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トヨタの海外戦略と現地事業体運営の歴史トヨタの海外戦略と現地事業体運営の歴史

(株)九州モノづくり研究所

代表取締役 雨澤 政材

…TPSは現地に素直に受け入れられたのか?………TPSTPSは現地に素直に受け入れられたのか?は現地に素直に受け入れられたのか?……

本日の講演内容本日の講演内容

1. 1. トヨタの海外生産のあゆみトヨタの海外生産のあゆみ

2.2.本格的な海外進出時における取組み本格的な海外進出時における取組み

3. 3. 海外事業体の自立化に向けて海外事業体の自立化に向けて

1.1. トヨタの海外生産のあゆみトヨタの海外生産のあゆみ

•• 地域別生産と販売状況地域別生産と販売状況

トヨタのグローバル販売の現状

169169万台万台227227万台万台

226226万台万台

8484万台万台

1616万台万台2222万台万台2222万台万台

3333万台万台

160ヶ国での販売台数160ヶ国での販売台数

<<‘‘1212年実績>年実績> 計799万台

トヨタのグローバル生産の現状

<<‘‘1212年実績(速報値)>年実績(速報値)>

日本および海外24ヶ国42生産会社での生産台数日本および海外24ヶ国42生産会社での生産台数

349349万台万台 172172万台万台(内(内OEM7OEM7万台)万台)

256256万台万台

4646万台万台

99万台万台2424万台万台1111万台万台

計874万台(OEM含む)

グローバル生産拡大(03年~)トヨタの国内・海外生産の歴史

(万台)

国内販売国内販売

輸輸 出出

海外生産海外生産

’55 ’60 ’65 ’70 ’75 ’80 ’85 ’90 ’95 ’00

100

200

300

400

500

600

700

800

完成車輸出

(58年~)

部品輸出現地組立

(74年~)

グローバル展開(00年~)

先進国展開(84年~)

’12

海外生産拠点数の拡大1980年:9カ国11拠点→2014年:27カ国54拠点1980年:9カ国11拠点→2014年:27カ国54拠点

2.2. 本格的な海外進出時におけ本格的な海外進出時における取組みる取組み

•• NUMMINUMMI((GMGMとの合弁)との合弁)

•• TMMKTMMK

急激な円高の進行

¥$rate日米自動車貿易摩擦

• 日米自動車貿易摩擦による生産台数の伸び鈍化

日米自動車貿易摩擦

プラザ合意

NUMMI

TMMC

TMMK

NUMMIの設立 1983

• 貿易摩擦への対応

• GM側はトヨタのモノづくりを研究したい

• トヨタ側はトヨタのマネジメントの導入を米国での実証

NUUMIでのトヨタ工場運営の実践基本方針「トヨタ方式による高度な生産性を実現し、高品質・低コスト

の乗用車を提供」

創業前に解決すべき課題

1. 安定した労使関係とトヨタ生産方式を支える制度

UAW本部と労働協約を締結

「労使は共通の目的を達成するためのパートナー」

柔軟な異動を可能とする少職種・時間給に関する規定、昇格・異動に関する会社の人事権

チーム制や多工程持ち、不良が発生した場合の作業者による迅速なラインストップなどのトヨタの方式の実現

2. フリモント事業準備室を設置

工場・生産技術・人事・経理も含む全社横断的な推進組織

3. 「親工場制度」を採用

高岡工場でNUMMIのグループリーダーとチームリーダー合計257人を

9回に分けて研修

標準作業の重要性・異常があればラインを停める自働化思

想やQC活動などの基礎教育と現場実習

4. 国際的に通用する調達業務に見直し

部品メーカーの選定方法や品質管理などの手法がトヨタと現地とでは大

きく異なり、図面や品質目標などの「技術情報」についての見直し

創業前に解決すべき課題

トヨタの工場運営の米国における実証

ラインオフ 一号車

高岡工場でのトレーニング

全米#1の品質を達成

カナダオンタリオ州にTMMC設立 1986 生産1988米国ケンタッキー州にTMMK設立 1986 生産1988

TMMKの全景

TMMKでのカムリラインオフ式

Cherry Blossom Load

TMMK (Toyota Motor Mfg. Kentucky Inc.)

TMMK全景

TMMKヘッドオフィス

車両工場

エンジン工場

★★GeogetownGeogetown,,Scott County,Scott County,KentuckyKentucky

・同一賃金制度 ・チームワークの醸成・EEOの推進 ・マルチコミュニケーションチャンネル・頑張れば報われる ・安全な職場

賃金制度 ・内部昇格優先

労務政策労務政策労務政策

・地元優先の雇用・市、郡への特別な配慮・マイノリティー、女性

の積極登用・広範な広報活動・地場企業のTPS指導

地域社会地域社会地域社会

・日本と同じ組織・コーディネーター制・日本で練りこまれた設備・親工場制・経営層を含むT/L以上

全員の日本研修

工場運営工場運営工場運営

経営方針実現のための対応

ケンタッキー州民の反応

会社としての認知度・地域への貢献度すべてに州民の高い評価

(01年のデータ)

(%)

企業市民としての認知度

TMMKTMMK Ford GE UPSLex-Mart

Wal-Mart

0

50

(%)

TMMKに対する好感度

良い良い 未回答悪いふつう

(%)100

<凡例>ケンタッキー州民工場近郊地域住民

0

州内の主な企業の認知度

TMMKTMMK Ford GE UPSLex-Mart

Wal-Mart

0

50

(%)

品質(JDパワー表彰履歴)

<車両工場>プラチナプラントプラチナプラント

20112011ゴールドプラントゴールドプラント

1990199319942000

シルバープラントシルバープラント19912001

ブロンズプラントブロンズプラント199219972009

<エンジン工場>ゴールドプラントゴールドプラント

1995

2.2. ケンタッキーケンタッキー工場の工場の

立上げの歴史立上げの歴史

親工場=堤工場

本社機能

人事機能

経理機能

調達機能

生産技術機能

人事部

経理部

調達部

工場部門

(生産技術含む)

人事部

経理部

調達部

生産技術

工場部門

TMMK 創業時 TEAMA(生産本社)

TMMK 現在

TMMKの運営支援関係

Coordinator 制度

部長

課長 課長

Executive Coordinator

係長

Executive Coordinator

Coordinator

CEO

VP

係長

トヨタの工場マネジメント・技術の指導役

コーディネーターは黒子といえどもマネジメントの中心的

役割

人種差別や社会制度、ビジネス習慣の壁は存在

しかし、創業時は日本人が主導で進めても問題とはならな

かった

創業時創業時創業時

日本人の役割の変化

日本人の役割の変化

交代した日本人のマネジメントの手法が前任者と異なって

いたり、部門ごとで異なり現地マネジメントに戸惑いが発生し始

めて来た

現地マネジメントも経験を積んできて自ら職場をマネジメ

ントする意欲が出てきたにも拘らず日本人側はそう思って

いない

コーディネーターと現地マネジメントに少しずつ軋轢が出

始める

コーディネーター交代時代コーディネーター交代時代コーディネーター交代時代

北米の需要増に対応するため生産規模倍増

高級セダン:アバロンの追加導入

背 景背背 景景

第2ラインの増設(1994)に伴い

様々な課題が発生

新たに3000人規模の増員(6000人以上の移動が伴う)

職制ポジションの倍増(一時的に職務能力が低下)

急激な変化で対応する組織体制や人材育成が追いつかず

新工場で新車種の生産

困難な状況困難な状況困難な状況

海外工場のマネジメント現地化の推進

創業10年となりマネジメントを現地人に完全移行し、

意思決定に日本人コーディネーターを介さない

現地のマネジメントとコミュニケーションが不十分な

日本人に戸惑いが発生

日本人側は現地マネジメントも経験を積んできたとは

いえ、まだまだ任せられないと思っている

コーディネーターと現地マネジメントの軋轢は極めて

大きくなった→Team Kentuckyの崩壊の危機

マネジメントの完全現地化マネジメントの完全現地化マネジメントの完全現地化

Team Kentuckyの再構築

マネジメントは現地人主体を継承するも、意思決定に

日本人コーディネーターを関与させる

日本人のみの会議はすべて禁止

日本人の交代時の摩擦を避けるために3年間のビジネス

プランを日本人と現地人が徹底的に議論し毎年度作成

し、日本人交代時には一年間は合意した方針を継承

会議での日本人の発言をもっとするよう促し、対等の

関係を醸成(会議で発言せず、後で反対は厳禁)

日本人出向者の意識改革日本人出向者の意識改革日本人出向者の意識改革

創業時のTOPマネジメントやシニアマネジメントは退社や転職でほとんどいなくなった

日本人も創業時にはいなかった人に全て交代

コンサルタントを採用し自社の診断を実施

結論は予想通り、各人の考えや目指す方向はバラバラ

TMMKの現状を再認識TMMKTMMKの現状を再認識の現状を再認識

TMMK 新VISIONの策定

一年間かけて現地人も日本人も次長以上の人でTMMKの向うべき方向と現状の問題点を共有化

経営理念・価値観として共有して守り抜くかを合意

課長・係長・組長・班長と一般へ述べ4万時間をかけ理解活動

TMMKの新しいVISONを確立TMMKTMMKの新しいの新しいVISONVISONを確立を確立

TMMK 新VISIONの策定

【2本の柱】【5つの要素】

The Toyota Way 2001

暗黙知として存在するトヨタ独自の信念・価値観・手法を暗黙知として存在するトヨタ独自の信念・価値観・手法を

トヨタウェイとしてグローバルトヨタで見える化・共有化トヨタウェイとしてグローバルトヨタで見える化・共有化

トヨタウェイ:普遍的合理性を持ち世界中どこでも通用するものトヨタウェイ:普遍的合理性を持ち世界中どこでも通用するもの

TPS基礎教育 (全職場の課長級を対象に)

米系部品メーカーを会場に1週間の改善実践教育(社長参加での報告会)

その後一年間で4テーマを自職場で改善を実施し、現場で社長へ報告

課長に対するTPS実践教育課長に対する課長に対するTPSTPS実践教育実践教育

TPSの基礎教育と実践能力の育成

受講者の意識は大きく変わってきた

改善活動にアレルギーがあるHourlyを代表する班長を徹底教育

各製造部単位で部内の班長へのTPS基礎教育を実施

受講者が2か月かけて実施した改善結果を毎週課長以上でフォローし激励

TPS専任班長を親工場に派遣しベンチマークし、自工程の課題を認知し、その解消のために日本の改善自主工程研究会にも参加

班長に対するTPS実践教育班長に対する班長に対するTPSTPS実践教育実践教育

TPSの基礎教育と実践能力の育成

33.現地事業体自立化に向けて.現地事業体自立化に向けて

グローバル人材育成グローバル人材育成グローバル人材育成

・海外工場支援の効率化

・海外工場マネジメント改革

・生産システムのシンプル化・スリム化+

+

現地事業体自立化の条件現地事業体自立化の条件

生産システムのシンプル・スリム化-ボデーライン生産技術開発例-

2万台/月2万台/月

小サブゾーン

2万台/月2万台/月

旧ライン1本分で新ライン2本設置

第第11ラインライン第2ライン第2ライン

第第11ラインライン

第2ライン第2ライン

ケンタッキーボデー工場への導入例

ケンタッキー工場可動支援状況

GBLFBL 15年間この状態

支援無しでも平均高い可動率を維持

繰り返し支援

平均可動率ライン可動率

レクサスラインオフ式レクサスラインオフ式

(左:レイ(左:レイ・・タンゲイ社長、右:大河内副社長)タンゲイ社長、右:大河内副社長)

レクサス組立ラインオフレクサス組立ラインオフ

生産準備自立化

生産準備自立化

生産準備自立化

‘98年~99年

(先代カローラ)

国内国内支援支援

現地現地支援支援

‘00年~01年

(現行カローラ)

‘01年~03年

(レクサス)

支援工数

支援工数

レクサス工場入口外観レクサス工場入口外観

カナダでのレクサス立上げ時の支援の効率化

明示化によるトヨタウェイの伝承明示化によるトヨタウェイの伝承

海外工場マネジメント改革

トヨタ親工場が中心となり海外工場のマネジメントの

あるべき姿を明文化=工場基本要件

これにより現地人マネジメントが自己診断し、不足部

分を認知してもらう( 工務機能・品質機能・原価管

理・生産管理・安全管理・・・・)

親工場によるアセスメントを行い自己診断との違いを

分析しお互いが納得

課題を認識し自ら改善改革を推進する

工場基本要件の明文化とアセスメント工場基本要件の明文化とアセスメント工場基本要件の明文化とアセスメント

海外工場マネジメント改革

組立工程評価基準の展開100点満点

60点/100点→80点/100点

工程内不良が激減

塗装工場の不良防止のため守るべき88項目の提示

40%実施→80%実施

不良は半減

親工場を詳細に調査し、自工程の課題の解消を現地の

マネジメントチームが自ら実践する風土が出来た

取組み開始5年で親工場のパーフォーマンスに並んだ

各種評価手法の開発と展開各種評価手法の開発と展開各種評価手法の開発と展開

海外工場マネジメント改革

出所:Visionary ManufacturingChallenges for 2020 模倣されない期間(年)

人は企業の最大の財産

人の能力はマネするのに人の能力はマネするのに1010年かかる年かかる

人材育成の必要性

競争力

0 2 4 6 8 10 12 14

製品、仕様

人的能力

企画力

技術力

工 法

開発プロセス、開発体制

マーケティングコンセプト

人の潜在能力

・資質

トヨタ・インスティテュート

設立:2002年1月設立:2002年1月

初代学長:張初代学長:張 富士夫富士夫

TOYOTA INSTITUTETOYOTA INSTITUTE

海外事業体自立化への人材育成

①現地経営人材の育成

②工場オペレーション管理・監督者の育成

「トヨタインスティチュート」設立:2002年1月

「グローバル生産推進センター」設立:2003年7月

次の2つの柱で取り組み→専任組織を設立し、実行中

グローバル生産推進センター設立:2003年7月

初代センター長:伊奈常務役員⇒日本のモノづくり競争力強化と海外生産事業体自立化促進

<目<目 的>的>

タフでマルチスキルな高い能力をタフでマルチスキルな高い能力を

持ったグローバル人材の育成持ったグローバル人材の育成

1.人材育成1.人材育成1.人材育成

形式知化形式知化

・シンプル化・判りやすく・早く・シンプル化・判りやすく・早く

2.効率的な手法・仕組みづくり

2.効率的な手法・2.効率的な手法・仕組みづくり仕組みづくり

世界最適

人材活用

世界最適

調達

世界最適

生産

グローバル ネットワークの構築

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