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    JJCP Executiveシリーズ

    Credit Suisse、 Java Community Processについて

    語るCredit Suisse独自の視点について、Susanne Cech Previtali氏と

    Victor Grazi氏に聞くJanice J. Heiss

    今回のJCP Executiveシリーズでは、スイスに本部を置き、世界50か国以上で事業を展開している金融サービス企業グループCredit SuisseのJava Community Process(JCP)Executive Committeeの優秀なメンバー2人にインタビューしました。Credit Suisseは、2010年6月にIT系以外の企業として初めてJCP Executive Committeeに選ばれ、2012年11月に再選されました。Credit Suisseは、Eclipse財団のMike Milinkovich氏が「Javaユーザー企業」と呼んでいるように、顧客および自社のビジネス・ニーズに対応することを目的に、Javaプラットフォームの改善に力を注いでいます。Credit Suisseは、ユニークで価値の高い視点をJCPに持ち込んだのです。今回私たちがインタビューしたのは、

    Credit SuisseでJCP代表を務めている

    写真:CHRIS LANE / GETTY IMAGES

    http://oracle.com/javamagazinehttp://blogs.oracle.com/javahttp://www.twitter.com/javahttps://www.facebook.com/ilovejavahttp://www.oracle.com/technetwork/java/index.htmlhttp://java.netmailto:JAVAMAG_US%40ORACLE.COM?subject=http://www.oraclejavamagazine-digital.com/javamagazine/20121112?sub_id=RWgm3aisYRFk#pg15

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    Susanne Cech Previtali博士とVictor Grazi氏の2人です。Credit Suisseのインフラストラクチャ・アーキテクチャ・グループのメンバーであるCech Previtali氏は、Credit SuisseのJava Application Platform(JAP)およびJAPに関連する大規模Java EEアプリケーションの開発に関する構成ガイドラインを担当するJavaプラットフォーム・アーキテクトです。先頃、JSR 354、Money and Currency APIに関する実績からBest Spec Leadとして年間JCP賞を受賞したGrazi氏は、投資銀行アーキテクチャに関係する一方で、技術コンサルタントおよびJavaエバンジェリストとしても活躍しているJavaチャンピオンです。Java Magazine: 先日、Credit SuisseはJCPのExecutive Committeeに再選されました。オンラインでポジション・ステートメントを公表されていますが、将来に向けてのCredit Suisseの立場についてお話をうかがいたいと思います。Credit Suisse: 今回JCPのExecutive Committeeに再選されたことを大変喜んでいます。Credit Suisseではこれからも、ベン

    ダーやオープン・ソース・コミュニティが競争市場に導入できる強力でオープンかつ安定した標準の検討に顧客視点を取り込んで行くつもりです。標準化やアーキテクチャ・ガバナンスに関する私たちの専門知識を活かし、専門家グループに仕様リードとして積極的に参加して行きたいと思っています。仕様リードとしてまた専門家グループのメンバーとして、たとえば良質な仕様への貢献など、教員レベルでの大学の参加を促進していくことを目指して行くつもりでいますし、また、学生の方たちには、たとえばJavaユーザー・グループ(JUG)の「Adopt-a-JSR」構想の一環として、開発レベルへ携わってもらいたいと考えています。 Java Magazine: Credit SuisseはJCPに参加したIT系以外の最初の企業ですが、自社および顧客のニーズへの対応を向上させるためにJavaを改善することを目標に掲げたJavaユーザー企業というのが特徴となっています。ソフトウェアの開発および販売を行う企業とは異なる観点を提供できる背景には、この特徴が関係していますが、そうしたCredit Suisseの考え方が、他のJCPメンバー企業

    の考え方と衝突することはありませんか。また、他のExecutive Committeeメンバーが、企業がどのようにJavaを活用しているのか理解を深めるのに役立っていますか。Credit Suisse: 私たちはJavaコミュニティにおける自分たちの役割を一般的にとらえています。一方Executive Committeeは、投資の安全を確保するためにミッションクリティカル・アプリケーションを強力でオープンかつ安定した標準に基づいて構築することに関心のある顧客代表として、より具体的にとらえています。これまでCredit Suisseは、多数の顧客諮問委員会への参加や、使用中のコアなJava関連商品の拡充に関する要件記述や、JSRへの積極的参加によって、Java EE仕様の策定に貢献してきました。JCP Executive Committeeのメン

    バーは現在もベンダーが大半を占めています。エンド・ユーザーとしてのJavaテクノロジーの主要顧客はJCPに含まれていなかったので、Javaテクノロジーの開発や進化を導く役を果たすことができませんでした。Credit Suisseはベンダーと近い関係にあります。たとえば、私たちのJava Application

    ニューヨーク・マンハッタンにあるCredit Suisse の屋上デッキで一息入れるVictor Grazi 氏とSusanne Cech Previtali 氏

    http://oracle.com/javamagazinehttp://blogs.oracle.com/javahttp://www.twitter.com/javahttps://www.facebook.com/ilovejavahttp://www.oracle.com/technetwork/java/index.htmlhttp://java.netmailto:JAVAMAG_US%40ORACLE.COM?subject=http://jcp.org/en/jsr/detail?id=354http://jcp.org/en/jsr/detail?id=354http://www.jcp.org/aboutJava/communityprocess/elections/2012/Credit_Suisse_JCP_Position_Statement.pdf

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    PlatformにおけるJavaテクノロジーの具体的応用に関する経験やフィードバックは、ベンダーにとっても興味深く、関係があることでもあります。Java Magazine: 2010年にJCPへの参加を決めた理由は何でしょうか。JCPに参加することはCredit Suisseにどのようなメリットがあるのでしょうか。Credit Suisse: オラクルは、Java EE/SE Executive CommitteeのExecutive Committeeメンバー候補にCredit Suisseを指名しました。Credit SuisseはJCPコミュニティの77%の支持を得て、2010年6月から任期が始まるExecutive Committee指名メンバーに選出され、先頃85%の支持によって再選されました。Credit SuisseはWebテクノロジーやJavaテクノロジーに早くから取り組んだ金融機関の1つです。1997年にはスイスの銀行として初めて、Webベースの支払ソリューションをお客様に提供し、1999年に発表した商品「YouTrade」は市場に出た最初のクライアント取引アプリケーションの1つでした。Credit Suisseは、Java Application Platform(JAP)と呼ばれるJava EEをベースとした内部標準を策定し、内部でのJava EEアプリケーションの開発および運用の産業化を推し進めました。JAPからはほかにも、2004年に数多くのPlatform-as-a-Service(PaaS)コンセプトが作り出され、それが現在では年間4,000万USドル以上のコスト削減に貢献しています。JAPの特徴は、最初の大規模SOA実装の1つであり、最初のユビキタスPKI(Public Key Infrastructure)が含まれています。また、共有サーバーでの統合によってサーバー・フットプリントが削減されました。さらに、トランザクション・モニターやJSF(JavaServer Face)、ポータルなど多数のJava EEテクノ

    ロジーを最初に取り入れたのもJAPでした。現在、Credit Suisseは1年間に多額の費

    用を新しいJava EEアプリケーションの開発や既存アプリケーションのメンテナンスに投資しており、また保有するJavaコードの量は3,000万行以上に達しています。将来は、メインフレームのバックエンドからJava EEプラットフォームへさらにワークロードを移行しながら、その投資額を着実に増やして行くつもりです。Java Magazine: Credit SuisseのJava EEのビジョンは、他のJCP Executive Committeeメンバーのビジョンと相違はありますか。Credit Suisse: 私たちのJava EEの一般的なビジョンは、クラウド機能とモジュール化のサポートに向けられています。プロビジョニングやマルチテナント機能、適応性などのPaaS機能の標準化と、クラウドへのアプリケーションのデプロイメントは開発者や業務にとってきわめて重要なものです。Java SEプラットフォームのモジュール化や、それに伴ってモジュール間の依存関係とバージョンを把握できるようになることは、大規模なアプリケーションには重要なことです。こうしたことはJavaプラットフォームにとって大きな影響をもたらす変化であり、Java EE 7からJava EE 8に移行した理由でもあります。ロードマップやタイムラインに関しては意見の相違がありますが、現在のビジョンは共通しています。Java Magazine : オラクルがSun Microsystemsを吸収合併した後、JCPはどのように変わりましたか。Credit Suisse: もっとも重要な変化は、透明性、参加、オープン性を高める取組みであるJCP.nextイニシアチブです。JCP.next.1、JSR 348、Towards a New Version of

    the Java Community Processは、すべての開発をオープンなメーリング・リストおよび課題追跡ツールで実施するよう(提案ではなく)義務付けたことで、透明性の大幅な向上の基礎となりました。さらに、専門家グループのメンバーの募集プロセスが透明性のある開示により、誰もが見ることができるようになります。TCK(Technology Compatibility Kit)テスト・プロセスの結果について調査が行われる予定です。現在は、一般の人たちがTCKテスト・プロセスの結果を知ることはほとんどありません。このような展開はすべて、公共性、オープン性、アクセス可能性、透明性の面でより優れたJCPを確立するよう考えられたものです。JCP.next.2、JSR 355、JCP Executive

    Committee Mergeでは、(Java SE/EEとJava MEという)2つのExecutive Committeeの統合に取り組んでおり、1つのプラットフォームの基礎が築かれることになります。JCP.next .3、JSR 358、A Major

    Revision of the Java Community

    JCP代表としてGrazi氏とCech Previtali氏は、強力でオープンかつ安定した標準の議論で顧客視点を提案しています。

    変化は大歓迎「もっとも重要な変化は、透明性、参加、オープン性を高める取組みである JCP.nextイニシアチブです」。

    http://oracle.com/javamagazinehttp://blogs.oracle.com/javahttp://www.twitter.com/javahttps://www.facebook.com/ilovejavahttp://www.oracle.com/technetwork/java/index.htmlhttp://java.netmailto:JAVAMAG_US%40ORACLE.COM?subject=http://www.jcp.org/en/jsr/detail?id=348http://www.jcp.org/en/jsr/detail?id=348http://jcp.org/en/jsr/detail?id=355http://jcp.org/en/jsr/detail?id=355http://jcp.org/en/jsr/detail?id=358http://jcp.org/en/jsr/detail?id=358

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    P r o cessでは、JSPA(Java Specification P a r t i c i p a t i o n Agreement)の改訂を行っています。このJSRは、JSPA、プロセス文書、Executive Committeeの 議 事規則を変更し、Executive Committeeのプロセスを改善して、近年顕在化してきた問題を解決し、言い回しを明確にして曖昧さを解消することを

    目指しています。Java Magazine: JCPにはどのような構造的変更が必要だと思いますか。Credit Suisse: オープン性、透明なライセンス付与モデル、容易な参加、Javaコミュニティの幅広い参加、そしてテクノロジー・ガバナンスの重要性の認識です。Java Magazine: JCPの透明性やオープン性を高めるという約束をオラクルは果たしてきたでしょうか。Cred i t Su isse : はい。オラクルはExecutive Committeeのメンバーであり、JCP.next.1およびJCP.next.2に同意し順守してきましたし、JCP.next.3でも協力しています。Java Magazine: JCPの参加を促進するには、オラクルはどうすればいいでしょうか。Credit Suisse: 適切なレベルでの認知度を高めることになるため、Executive CommitteeにJUGを加えることは非常に効果的です。Java Magazine: JCPによるJavaコミュニティへの貢献を拡大する方法はありますか。Credit Suisse: JCPはプログラミング言語とそのエコシステムの進化を推進しており、

    またJavaコミュニティにとって非常に重要なアセットになっています。ユーザーのニーズとテクノロジー・プロバイダのニーズを結び付けることで、JCPは最高のプログラミング言語の1つであるというJavaのポジションを確実に守ることができます。また、次世代のことも忘れてはなりません。大学の教員や学生がJavaの価値を認識し続けるようにすることも必要です。Java Magazine: JCPについて最大の不満は何ですか。Credit Suisse: Javaコミュニティは素晴らしくまたきわめてアクティブですが、Javaテクノロジーのすべてのユーザーがテクノロジー・ガバナンスの重要性や影響力を理解しているわけではありません。JSRはJCPコミュニティによって策定されるものですから、もっと多くの人や企業をJCPコミュニティに取り込んで、Javaテクノロジーの進化に関与してもらうことができるはずです。Java Magazine: JCPの専門家グループのメンバーは、自分たちの使用事例によって左右される、つまり、仕様が何を必要とし、何を必要としていないかについて客観性な立場でいることが難しいというリスクがあるように思えますが、自分自身の使用事例による先入観をどのようにしたら排除できるのでしょうか。Credit Suisse: ベスト・プラクティスに関してはそれぞれの考え方があり、時にその考え方が衝突することもあるため、コンセンサスを得ることは簡単ではありません。そこには多少のエゴも関係してきます。しかし、使用事例をすべて明らかにして、堅固な実装を実現することこそが最優先の目標です。日常の業務を管理する一方で時間を作り出すことを含め、すべての仕様リードは同じような課題を抱えています。また、時間を作ることができても、他のメンバーに関与してもらうことは、彼

    らも日常の業務を抱えていることから簡単ではありません。Java Magazine: SRグループをリードすることに関連して、Java.netの改善についてご意見はありますか。Credit Suisse: Java.netはJSR仕様リードにとっては最高の仲間です。Wiki、ソース管理、メール・リスト、アーカイブなど、JSRを管理するために必要なものがすべてそろっています。サポート問題に関して、JCPが提供してくれる迅速なフィードバックには本当に感心しています。専門家グループに実績に基づいたインセンティブ、たとえばもっとも大きな貢献をした人に何らかの賞を贈るなどといったことができれば素晴らしいと思います。Java Magazine: JSR 354を受けて、金融アプリケーションを現在作成しているクリエイターやユーザーのために、潜在的な改善点があれば教えていただけますか。どのようにしたら、作業を簡単にすることができるのでしょうか。Credit Suisse: 一例を挙げれば、金融アプリケーションを作る時に、開発者は一からやり直す必要がなくなったことでしょうか。一般的に見られるエラーは、金銭的な数値を表すのにFloatやDoubleを使用していることです。しかし、これらの形式は精度を重視した設計ではありませんし、n位の小数点で丸め誤差が簡単に発生します。会計士は丸め誤差を認めませんので、精度を高める方法をよく考える必要があります。また、JSR 354は書式設定にも役立ちます。アメリカやヨーロッパでは、ほとんどの国が数字を表すのに非常に標準的な書式を使っていますが、lakh(=10万ルピー)やcrore(=100万ルピー)を使用するインドなどの国は、現在Javaフォーマッタで使用可能な書式とはかなり異なります。それが、JSR 354によって

    大きな課題「ベスト・プラクティスに関してはそれぞれの考え方があり、コンセンサスを得ることは簡単ではありません。. . …しかし、使用事例をすべて明らかにして、堅固な実装を実現することこそが最優先の目標です」。

    http://oracle.com/javamagazinehttp://blogs.oracle.com/javahttp://www.twitter.com/javahttps://www.facebook.com/ilovejavahttp://www.oracle.com/technetwork/java/index.htmlhttp://java.netmailto:JAVAMAG_US%40ORACLE.COM?subject=http://jcp.org/en/jsr/detail?id=358

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    改善されることになります。また、丸め規則も重要です。

    アメリカでは四捨五入が一般的ですが、中には珍しい丸め規則を採用している国もあります。Java Magazine: 標準の尊重とイノベーションの推進とのバランスを保とうとする中で、JCPは一方向に大きく偏っていませんか。Credit Suisse: 製品を使う側として、私たちはテクノロジーの標準化に期待しています。製品の選択に柔軟性をもたらし、それによってベンダーによる囲い込みを減らすことができるからです。中には、標準化する前には少なくとも2件の実装が利用可能な状態である必要があると主張する人もいます。しかし、既存の実装の移行パスについて考えてみてください。すでに顧客が既存の実装を使用している場合の移行パスについてはどうでしょうか。結果として、非常に弱い標準やコストのかかる移行、またはその両方がもたらされることになるかもしれません。早すぎる標準化には問題があります。未成熟なテクノロジーは役に立つレベルにまでは至りません。標準化が遅れれば費用がかさみ、標準テクノロジーに移行した顧客に大きな変更を強いる可能性があります。そこには微妙なバランスがあるのです。

    LEARN MORE• Java Community Process• Credit Suisse

    Janice J. Heiss: オラクルのJava編集者であり、Java Magazineのテクノロジー編集者

    JSR 354の結果、金融アプリケーションの開発において、開発者は車輪をあらためて発明する必要がなくなったとCech Previtali氏とGrazi氏は述べています。

    選択の促進「製品の選択に柔軟性をもたらし、それによってベンダーによる囲い込みを減らすことができるため、私たちはテクノロジーの標準化に期待しています」。

    http://oracle.com/javamagazinehttp://blogs.oracle.com/javahttp://www.twitter.com/javahttps://www.facebook.com/ilovejavahttp://www.oracle.com/technetwork/java/index.htmlhttp://java.netmailto:JAVAMAG_US%40ORACLE.COM?subject=http://jcp.org/en/home/indexhttps://www.credit-suisse.com

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