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M銚he㎜就量脇によるIS-LM分析
野 田 哲 夫
はじめに
本稿は,現在スーパー⑧コンピュータからパーソナル⑧コンピュータまで広
範囲で普及している数式処理アプリケーション⑧ソフトMatehemat1caを使い
経済学の基礎的な理論のプロクラミンクを試みた拙稿「Matehemat1caによる
経済学」(『経済科学論集 第19号』所収)の続編にあたるものである。「Mat
hematicaによる経済学」においてはMathematicaによりマクロ経済学におけ
る<国民所得決定の乗数理論>や<加速度原理にもとつく投資関数と景気循環
モデル>のプログラミングとグラフィック化や,ミクロ経済学の基礎となる価
格理論の<予算制約下における2財の消費均衡>のプログラミング等を試み
た注1。そして,その後も経済学教育におけるコンピュータ利用の普及は目覚ま
しいものがあり,表計算ソフトを利用した計量分析は当然のものとなったが,
注2特にMathemat1ca利用に関しても,現在MacPower誌連載中の中村勝平
「たかがMathemat1ca」において拙稿の<国民所得決定の乗数理論>に計量分
析的な要素を加えて発展させる形でプログラミングがされている。注3また,深
谷庄 『コンピュータ麓エコノミクス』ではC言語を使いミクロ理論を中心に
経済学の基礎理論の全般的なプログラミングがされている。注4
そこで本稿では,「Mathemt1caによる経済学」のマクロ理論の部分を発展
させる必要があるので,マクロ経済分析の核心部分となる財市場と貨幣市場の
経済の調整メカニズム(IS-LM分析)のプログラミングを試みたい。注5
注1詳しくは拙稿「Mathemat1caによる経済学」(『経済科学論集第19号』1993年所収)を参昭。
注2表計算ソフトを利用した経済理論のプログラミングでは,前稿でも紹介した大沢豊,田中克明
『経済・経営分析のためのLotus1-2-3』(1990,有斐閣)の他,浅利一郎『経済学のための「Lotus1-2-
3」』(1991,青木書店),大薮和雄㊧安井修二他『経済学1-2-3 Lo亡us1-2-3を使った経済学入門』
(1992,日本評論社)なとの他,現在『経済セミナー』(日本評論社)に連載中のApp1e社のパーノナ
74
第1節 1S-LM曲線の導出
前稿「Mathemat1caによる経済学」では総需要曲線から均衡国民所得の決
定をプログラミングしたが,これは実物経済=財市場に限った均衡方程式であ
り貨幣市場の側面は捨象されている。そこで前回の扱った財市場のモデルに貨
幣市場を導入することによってマクロ経済の一般的な均衡式であるIS-LMモデ
ルが作られる。 まず,この均衡式を単純化した形で表示すると
I(R)=S(Y,R) (1)
M=PxL(Y,R) (2)
(Iは投資,Sは貯蓄,Yは実質国民所得,Rは利子率,Mは貨幣供給量,Pは
一般物価水準,Lは実質貨幣需要)
(1)式は財市場での均衡条件式を示し,利子率と実質国民所得を変数として
貯蓄と消費が均衡していることを表している。(2)式は貨幣市場の均衡条件
式を示し,利子率と実質国民所得の他に一般物価水準を変数として貨幣市場が
均衡していることを表している。この連立方程式では2個の方程式に対して変
数が3個存在するため,これを解くにはさらにもう一っの方程式が必要となる。
ケインズ以前の古典派経済学においては貨幣が実体経済のヴェールであると
考えられていたため(1)式と(2)式を分離する,いわゆる古典派二分法が
考えられてきた。そこで実質国民所得を所与とし数式的には
Y=Y。 (3)
が導入され(3)式(1)式に代入することによって財市場を均衡させる利子
ル・5ンピュータMacintoshを利用した笹山茂「MACで入門1経済学」や高橋克秀「MACで実践!
統計学」などがある。
注3中村勝平「たかがMathemetica」(『MacPower』所収,アスキー社,1993-1994)
卸深谷庄一『コンピュータ宙エコノミクス』(日本評論杜,1992)
注5このIS-LM分析に関しては,前掲の「MACで入門!経済学」の連載第8回「IS-LM分析をマッ
クで」(『経済セミナー』)1994年3月号収)において,表計算ソフト,マイクロソフト。エクセルを
利用したプログラミングとIS-LM曲線の描写がなされているが,表計算ソフトではリニアプログラミ
ングができないため財市場と貨幣市場の均衡式を解く連立方程式の解法がプログラムの前提となって
しまう(逆に言えば連立方程式を卓上で解いた後にプログラミングしなければならない)。
Mathemat1caによるIS-LM分析 75
率R。が決定され,このR。を(2)式に代入すると物価水準P。が決定されるこ
とになる。すなわち(2)式において貨幣供給Mの増減は財市場に影響するこ
とはなく,物価水準を増減させるだけになるのである。
これに対してケインズ経済学では
P:P。 (4)
を導入することによって,(1),(2)式を財市場と貨幣市場の同時決定式と
見るのである。すなわち(1)式は財市場の均衡を実現させる利子率Rと国民
所得Yの組合せを示すIS曲線となり,(2)式は貨幣市場の均衡を実現させる
利子率Rと国民所得Yの組合せを示すLM曲線となるのである。そして,このIS
曲線とLM曲線から均衡利子率R。と均衡実質国民所得Y。が決定されるのであ
る。注6
この連立方程式をMathemat1caのSo1ve関数を用いてプロクラミンクし,
IS-LM曲線をグラフィック化してみよう。
まず財市場における均衡式であるが,投資をINV,貯蓄をSAV,利子率をR
AT,実質国民所得Yとして投資関数と貯蓄関数を
INV=a*RAT+b (5)
SAV=c幸RAT+d。*Y (6)
と定義する(a,b,c,dはそれぞれ定数)。
財市場における均衡は投資と貯蓄が均衡するINV:SAVとなるところで利子
率RATと実質国民所得Yが決定されるのであるからこれに
INV=SAV (7)
を加えた連立方程式を解けはよい。
Mathemat1caでは方程式の解法にSo1ve関数を使うが,注7連立方程式を解く
場合はまず下記のように連立方程式をEqn1として定義して,Soユve関数によっ
注6もちろんケインズ自身が考えたのはこのような単純な均衡方程式ではなく,IS-LM分析はその
後の新古典派総合のマクロ経済学教科書によって単純化されたものであり,それに対する批判,ケイ
ンズ自身の再評価もあるが,本研究ノートではまず均衡方程式のプログラミングを前提としているた
めここではこれらの論争には触れない。
注7So1ve関数の詳しい定義にっいては拙稿「Mathematicaによる経済学」204頁を参照されたい。
76
てSo1ve[式,{未知数}コ//ExpandA11とすれば結果が得られる。
これをMathema七1ca上でまとめてプロクラミンク化すると,
Eqn1={INV==a*RAT+b,
SAV::INV,
SAV=;c*RAT+d*Y};
a=一10
b=200
c=5
d=0.5
So1n1=So1ve[Eqn1,{RAT,SAV,INV}]//ExpandA11
-10
200
50.5
40 200{{RAT一> 一00333333Y,SAV一> 十0333333Y, 3 . 3
200 INV一> 十0333333Y}} 3
となる。
ここで得られたRAT一>40/3-0.033333Yが財市場における均衡を達成さ
せる利子率RATと実質国民所得Yの組み合わせであり,これをグラフィック化
すればIS曲線となる。
そこでR1[y_コ:=(40/3)一〇.33333*yとして関数定義しP1ot関数によって
グラフィック化を行ってみる。
Mathemat1caによるIS-LM分析 77
R1[y_]:=(40/3)一0.0333333*y
P1ot[{R1[Y]},
{Y,0,400},
AxesLabe1一>{”Y’’,”R”}
コ
艮
雌
工⑪
8島
唾
毘
里 且⑪⑪ 易⑪⑪ 魯⑪⑰ 唾⑪⑪
一Graphics一
次に貨幣市場における均衡であるが,ケインズ経済学においては貨幣供給は
外生的となるが,貨幣需要に関しては貨幣それ自体の性質とは異なる貨幣需要
者の選考態度を重視した貨幣保有の動機がこれに取り入られる。すなわち,通
常貨幣の機能としては,①計算単位としての機能事②交換手段としての機能,
③価値貯蔵手段としての機能の3っの機能がある。古典派経済学ももちろんこ
れらの貨幣の機能を重視し,貨幣が現実経済の中で果たしている役割を重要視
していたからこそ,金本位性によって貨幣価値を安定させようとしたのである。
しかしながら,その場合も貨幣の供給は利子率の変更を通じて財市場の均衡に
影響を与えることはなく,物価水準に影響するだけであると見られていた。
これに対してケインズは取引的動機と予備的動機,投機的動機による貨幣需
要を貨幣市場の均衡式に導入し,この貨幣市場における均衡が所得と利子率を
変化させることによって財市場における均衡条件式に影響を与えることを理論
78
化したのである。
まず,取引的動機による貨幣需要であるが,経済主体が日常の取引に際して
受取と支出のギャップを埋めるために支払手段としての貨幣を常に手元におい
ておくための貨幣需要である。これは一般的に所得水準に依存しているため,
所得の関数となる。この貨幣需要をL1,実質国民所得をYとすると
L1=p*Y (8)
が得られる(以下,p,q,rは定数)。
次に,予備的動機による貨幣需要であるが,これは将来の取引の不確実性や
不意の支出に遭遇したときのため,また有利な購入の好機に備えるための貨幣
保有の動機であり,ケインズ自身はこれを中心的な動機と考えたのである。し
かしながら,現在ではこれは将来の資産選択と関連するため次の投機的動機に
よる貨幣需要に含めて考えられる。
その投機的動機による貨幣需要は,将来収益を生み出す様々な金融資産に対
して人々がその資産に投機せずに手元に貨幣を持っのは,それ以上の収益を生
み出すかもしれない資産への投機のために現在の資産との選択において「予備
的」に貨幣が必要だからである。これは金融資産の収益性との選択になるため
利子率の関数となる。この貨幣需要をL2,利子率をRATとすると
L2=q*RAT+r (9)
が得られる。
そこで,全体的な貨幣需要をL,外生的に決まる貨幣供給をM=M1として
貨幣市場における均衡式
M=L (10)
を解く連立方程式Eqnをプロクラミンクし,財市場における均衡式同様に表示
すると以下のようになる。
Eqn2={L1==p*Y,
L2:=q*RAT+r,
L==L1+L2,
M::L,
MathematlcaによるIS-LM分析 79
M:=1〉[1};
P=0.5
q=一45
r=180
M1=200So1n2=So1▽e[Eqn2,{RAT,L1,L2}コ//Expand.A11
{{L2一>200.一0.5Y,L1一>0.5Y,
RAT一>一1.33333+0.0333333Y}}
この,RAT一>一1.33333+0.0333333Yが貨幣市場における均衡を達成させ
る利子率RATと実質国民所得Yの組み合わせであり,これをグラフィック化す
ればLM曲線となる。これも財市場同様に行うと,
R2[y_]:=一1.33333+0.0333333*y
P1ot[{R2[Yコ},
{Y,0,400},
AxesLabe1一>{”Y”,’’R”}
]
盈
雌
且⑪
魯
且⑪⑪ 蟹⑪⑪ 3⑪⑰ 堪⑪⑪
80
一Graphics一
と表示される。
ケインズ経済学では上述のように財市場における均衡と貨幣市場における均
衡が相互依存的にリンクされているので,最後に両者を連立させれはマクロ的
な均衡状態における利子率と実質国民所得との実数として導出が可能であり,
IS-LM曲線のグラフィック化が可能である。
まず,実数の導出は
Eqn3={RAT二=R1[Y],
R1[Y]==R2[Y]}
So1n3=So1ve[Eqn3,{RAT,Y}]//ExpandA11
40 40{RAT= 一00333333Y, 一00333333Y== 3 3
-1.33333+O.0333333Y}
{{RAT一>6.,Y一>220.}}
でなされ,最後の6が均衡利子率,220が均衡実質国民所得である。
次にIS-LM曲線は,
P1ot[{R1[Y],R2[Yコ},
{Y,O,400},
AxesLabe1一>{’’Y’’,’’R’’},
P1otPoints一>200,
PlotSty1e一>
{{GrayLeveユ[0.0]},
{GrayLeve1[0.4コ}}
コ
MathematicaによるIS-LM分析 81
雌 \ \且⑪ \ b\
碁 \白
1 /〆1⑪⑪ 2⑬⑬
/!
3⑰⑪ 胡⑪
一Graphics一
で表示される。
第2節 財政政策と金融政策の効果のシュミレーション
ここでは第1節で得られたIS-LM曲線をもとに,財政政策と金融政策が利子
率と実質国民所得に与える効果を数値的,またグラフィック上表示してみよう。
まず第1節における均衡状態から,公共投資を始めとする財政支出の拡大が
あった場合を想定する。これは,財市場における均衡式(Eqn1)において投
資支出がbの他にdbの増加があったと考えればよい。これをプログラミングし,
その場合の利子率RATと実質国民所得Yの組み合わせを求めると,
Eqn4={INV==a*RAT+b+d-b2,
SAV==INV,
SAV::c*RAT+d一*Y};
a=一10
b=200
82
db=50
c=5
d=O.5
So1n4:So1ve[Eqn4,{RAT,SAV,INV}]//Expand-A11
-10
200
50
50.5
50 250{{RAT一> 一00333333Y,SAV一> 十0333333Y, 3 3
250 INV一> 十0333333Y}} 3
となる。
これをグラフィック表示すると,
R3[y_]:=(50/3)一0.0333333*y
P1ot[{R3[Y]},
{Y,0,4=00},
AxesLabe1一>{”Y”,’’R”},
PlotSty1e一>
{Dash1ng[{0025.0025}]}
コ
MathematicaによるIS-LM分析 83
㌔
㌔㌔
㌔㌔
㌔㌔
㌔㌧ Y
工⑪⑪ 馳⑰ 帥⑭ 魂⑰
となり,初期均衡の状態に比べて財政支出があった場合のIS曲線のシフトは以
下のように表示される。
P1ot[{R1[Y],R3[Y]},
{Y,0,400},
AxesLabe1一>{’’Y’’,”R”},
P1otSty1e一>
{{GrayLeve1[0.0]},
{Dash1ng[{0025.0025}]}}
] 艮
崎
鵬.5
五⑪
7.5
5
昆.5
㌧
㌧
㌔㌧
㌔㌔
㌔㌧
㌧㍉
工⑪⑪ 2⑪⑪ 3⑪⑪ 唾⑪⑪
84
一Graphics一
そして,貨幣市場の均衡に変化がなかったと仮定すると,新たな均衡状態に
おける利子率RATと実質国民所得Yの組み合わせは,前節と同様の式によって,
Eqn5={RAT==R3[Y],
R3[Yコ==R2[Y]}
So1n5=Soユve[Eqn5,{RAT,Y}]//ExpandA11
50{RAT== 一00333333Y, 3
50
-0.0333333Y==一1.33333+0.0333333Y}
3{{RAT一>7.66667,Y一>270.}}
となり,初期の均衡状態(利子率=6,実質国民所得=220)に比べて,財政支
出によって利子率と実質国民所得がそれぞれ上昇したことが明らかになり,こ
れをグラフィック上に表示すると以下のようになる。
P1ot[{R1[Y],R2[Y],R3[Y]},
{Y,0,400},
AxesLabe1一>{”Y”,”R”},
P1otSty1e一>
{{GrayLeve1[0.0]},
{GrayLevel[0.4]},
{Dash1ng[{0025.0025}]}}
]
Mathem-aticaによるIS-LM分析 85
崎
鵬.5
1⑪
7.5
§
昆.5
且⑰⑰ 薯⑰⑭ 書⑪⑰ 唾⑪⑪
一Graphics一
同様に,貨幣供給量を増加させて金融を緩和させた場合の均衡状態の変化も
プログラミングができる。
まず,前節における貨幣市場の(Eqn2)において,外生的な貨幣供給がM1に
加えてM2に増加した場合を考える。
Eqn6={L1==p*Y,
L2=:q*RAT+r,
L==L1+L2,
M==L,
〕〉[=:M1+M2};
P:O.5
q=一15
r=180
M1=200
M2:50
So1n6=So1ye[Eqn6,{RAT,L1,L2}コ//Expand-Au
0.5
86
一15
180
200
50
{{L2一>250.一0.5Y,L1一>0.5Y,
RAT一>一4.66667+O.0333333Y}}
次に,この場合のLM曲線は以下のように表示され,
R4[y_]:=一4.66667+0.0333333*y
P1ot[{R4[Y]},
{Y,0,400},
AxesLabe1一>{’’Y’’,’’R”},
P1otSty1e一>
{Dash1ng[{0015.0015}]}
]
艮
ノノノ
ノノノ
ノノ
1
ノノ
〆
1ノ
ノ
一2!
ノ
ノ岬㊧ 昆⑰⑪ 3⑪⑪ 唾⑪⑪
!
一唾 !
一Graphics一
初期の均衡状態からのシフトは,
MathematicaによるヱS-LM分析
P1ot〔{R2⊂Yコ,R4〔Yコ},
{Y,0,400},
AxesL&be五一>{”Y”,”R’’},
P!otStyヱポ>
{{Gr&yLeveHO.4⊃},
{D&sh五ng{{O O王δ,O015}n}
〕
蕊
87
蝸
?、5
5
箆.簿
閉蟹.5
一冨
〃〆
1由
11
ノ ノ ノ~
“ノ
♂
μ 餓⑬ 馳⑬ 唾⑬⑰
一Graphics一
となる。
そして茅この状態における利予率RATと実質国民所樗Yの組み合わせを求め
ると,
Eqn7二{RATε二R4ζYコ,
R4⊂Y]ご鴛R1⊂Yコ}Soh7コSo1ve[Eqn7,眠AT,Y}コ//ExpandAl1
{{RAT二黛一4.66667+O.0333333Yオ
雀O
-4.66667+O.0333333Y二鳶一〇.0333333Y}
3
88
{{RAT一>4.33333,Y一>270.}}
となり,初期の均衡状態(利子率=6,実質国民所得=220)に比べて,金融緩
和によって利子率が低下し実質国民所得が上昇したことが明らかになり,これ
をグラフィック上に表示すると以下のようになる。
P1ot[{R1[Y],,R2[Y],R4[Y]},
{Y,0,400},
AxesLabe1一>{’’Y’’,”R”},
P1otSty1e一>
{{GrayLeve1[0.O]},
{GrayLe∀e1[0.4]},
{Dash1ng[{0015.0015}]}}
コ
頁
鵬,5
且⑪
?.5
5
昆.5
’♂ ユ郷 昆⑰⑪4.5 ! ノノ
ー5
!!
一’
ノ1
3⑪⑪ 唾⑪⑪
一Graphics一
このように,単純なモデル上ではあるが,財政支出と金融緩和という外生的
な経済政策の影響によって国民所得が同様に増加するが(モテルを単純化する
ため物価水準の変化は捨象してある)財政支出の拡大は投資一貯蓄バランスを
変化させることによて利子率を上昇させていることがわかる。これは,財政支
Mathemat1caによるIS-LM分析 89
出の拡大が投資一貯蓄バランスを変化させ民間の資金需要を逼迫させるためで
あり,いわゆるクラウディングアウト効果と呼ばれるものである。注8
これを数式的に明らかにすると,財市場と貨幣市場の両市場における均衡に
財政支出が果たす役割を抽出するために,以下のM2=0として以下の連立方程
式を解くと,
Eqn8={INV==a*RAT+b+d-b,
SAV==INV,
SAV==c*RAT+d.*Y,
L1==P*Y,
L2:=q*RAT+r,
L==L1+L2,
M==L,
M==M1+M2};
a=一10
b=200
c=5
d=0.5
P=0.5
q=一15
r=180
M1:200
注8新新古典派(マネタリスト)などは財政支出の拡大による景気刺激策の有効性を否定する。これ
はたとえ国債発行によって政府支出を拡大しても、国債発行が資本市場での資金調達であるために、
金利を引き上げて民間資金需要を追い出してしまうためである。すなわち、資本市場では国債発行が
金利を引き上げ、これによって民間での投資水準が低下して民間の資金調達が減少することになる。
クラウディングアウトが起こるかどうかは国債発行による金利を引き上げるの水準、民間の資金需要
の金利への影響にかかわる。高度経済成長期には、日本の金融市場は、金利が固定的に運営されてき
たためにクラウディングアウトは起こらないという議論があったが、今日では、金利が市場で自由に
変動するためにクラウディングァウトの可能性が高くなることになる。
90
So1n8=So1ve囮qn8,{RAT,Y}]//ExpandA11
M2=0{{RAT一>6.十〇.333333n,Y一>220.十d-b}}
となる。
金融政策にっいても,同式にそのままdb=0を代入すれば,
d.b=0
Soln9=Solv-e[Eqn8,{RAT,Y}]//Expand-A11
{{RAT一>6.一0.333333n,Y一>220.十10.M2}}
となり,財政⑧金融政策が利子率RATと実質国民所得Yに与えている効果が数
式的にも明らかになる。
ここでも,両政策が実質国民所得Yの増加に与えている影響は同じであるが,
利子率RATの増減に対しては逆の効果を与えていることがわかる。
これをクラフィソク化すると,実質国民所得にっいては両政策とも以下のよ
うになり,
f1[x_,y_]:=220+x
fp1=Tab1e[{d-b,f1[db]},{db,50,100,5}]
gp1=ListP1ot[fp1,
AxesLabe1一>{”db’’,”Y”}
コ
{{50,270},{55,275},{60,280},{65,285},{70,290},
{75,295},{80,300},{85,305},{90,310},{95,315},
{100,320}}
Mathemat1caによるIS-LM分析 91
Y
3昆⑪
3且⑪
3⑪0
29⑪
鑓⑪
通b
畠⑪ ?⑪ 8⑪ 曾⑪
利子率RAT対して財政支出が与える効果は,
f2[x_]二=6+0.0333333x
fp2=Tab1e[{db,f2[d-b]},{db,50,100,5}]
gp2:ListP1ot[fp2,
AxesLabe1一>{”d-b”,”RAT”}
]
{{50,7.66667},{55,7.83333},{60,8.},{65,8.16666},
{70,8.33333},{75,8.5},{80,8.66666},{85,8.83333},
{90,9.},{95,9.16666},{100,9.33333}}
艮劃旺
写.量5
曾 圃
8.75
冒.5 團
8.昆5
且⑪⑪
ab團 島⑰ ?⑪ 昌⑪ 9⑪ 乱⑪⑰
?.75
92
逆に金融政策が与える効果は,
f3[x_]:=6-O.0333333x
fp3=Tab1e[{d-b,f3[d-b]},{db,50,100,5}]
gp3=ListP1ot[fp3,
AxesLabe1一>{’’db’’,”RAT’’}
]
1150,4・333331,/55,4.166671,160,4.1,/65,3.83334L
170,3・66667/,175,3.51,/80,3.33334/,185,3.166671,
190,3.},{95,2.833341.1100,2.66667}}
鼠劃眠
唾.昆5
唾
3.術
3.5
3.昆5
通b
2.75魯⑪ 7⑪ 魯⑪ 曾⑪ 圏 五⑪⑪
と表示される。注9
注9貿易収支の変化は税率,税収の変化がマクロ経済のバランスに与える影響も,初期状態の均衡式
を加工することによって同様に表示することが可能である。
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