持続可能な開発目標(SDGs - JICA · 2019-06-17 · 持続可能な開発目標( sdgs)...

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持続可能な開発目標(SDGs) その背景、経緯、ねらい・・・その本質とは

2018.1.21

一般財団法人CSOネットワーク

事務局長・理事 黒田かをり

2017年度 JICA主催セミナー・ワークショップ 「地域と世界をつなぐSDGs」

一般財団法人CSOネットワーク

2

活動分野 ① 社会的責任・サステナビリティ推進事業 ② 地域主体の持続可能な社会づくり ③ 「持続可能な開発のための2030アジェンダ」推進 ④ 社会インパクト測定・評価事業

ウェブサイト:http://www.csonj.org/about/ フェイスブック:https://www.facebook.com/csonj

一般財団法人CSOネットワーク事務局長・理事。 民間企業に勤務後、コロンビア大学経営大学院日本経済経営研究所、米国の民間財団であるアジア財団日本の勤務を経て、2004年より現職。2010年よりアジア財団のジャパン・ディレクターを兼任。 日本のNGO代表としてISO26000(社会的責任)の策定に参加。現在、ISO20400(持続可能な調達)国内WG委員、2020年東京オリンピック・パラリンピック組織委員会「持続可能な調達コード」WG委員、持続可能な開発ソリューションネットワーク(SDSN)Japan理事、SDGs推進円卓会議構成員、国際開発学会理事などを務める。米国公認会計士協会会員。

黒田かをり

• 1999年設立。2011年から一般財団法人

• ミッション「公正で持続可能な社会に向けた価値ある取り組みを見出し、マルチス

テークホルダーの参画による社会課題解決を促す」

• 事務所所在地:東京都新宿区西早稲田2-3-18 アバコビル5階

• 社会的責任向上のためのNPO/NGOネットワーク幹事団体

• 「ビジネスと人権NAP市民社会プラットフォーム」幹事団体兼事務局

主な活動のご紹介

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地域の力診断ツールと ワークショップ

• 地域がどのように持続可能であるかを、その地域に住む人々が主体となり診断するた

めの指標セットを作成 • 数カ所の地域でワークショップを実施

サステナビリティ・ 社会的責任推進

責任あるサプライチェーン、ビジネスと人権、SDGsと企業、NPO/NGOと企業、複数の企業

と対話、企業アドバイザリーなど

持続可能な公共調達推進 • ヨーロッパの先進自治体、ASEAN諸

国の取り組みなどを調査。 • 2017年度、国内自治体のベースライ

ン調査を実施予定。

社会インパクト評価 • 分野別「社会的インパクト評価 ツールセット」の作成(環境教育)

• 社会的インパクト評価を専門的にNPO評価に転用できる人材の育成

国内外のネットワーク活動 SDGs市民社会ネットワーク

社会的責任向上のためのNPO/NGOネットワーク 国際協力NGOセンター

The Asia Foundation, Luce Foundation Civicus –World Alliance for Citizen Participationほか

SDGsの背景と作成の経緯

私たちの住む世界

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野生生物の減少

さまざまな脅威にさらされている 気候変動、生息地の消失と劣化、汚染、野生生物の過剰利用、貧困、格差拡大・・・

飢餓

写真と図: • 「生きている地球レポート2016」(要

約版)WWF • 写真:国際連合広報局 • http://www.wwf.or.jp/earth/ • www.emaze.com

「地球の限界」を超えた 生産・消費活動

このままだと持続不可能に!

「人」に関する最近のデータ

1日1.9ドル以下の 生活をしている人

約7.67億人 (2016年 世界銀行)

安全な飲み水にアクセスできない人

約21億人

(2015年世界保健機関)

児童労働に従事させられている子ども 約1.52億人

(2016年 国際労働機関)

世界の現代奴隷数(強制労働と強制結婚)

約4,000万人 (2016年 国際労働機関)

世界の難民、避難民は過去最高の6560万人

(2017年 難民高等弁務

官事務所)

飢餓人口再上昇 2015年の7億7700万人→2016年に8億1500万人 ( 2017年食糧農業機関他)

6 悪化している状況も少なくない!

環境と開発に関連した国際動向

1972 国連人間環境会議(ストックホルム)

1987 「ブルントラント委員会報告書」 「われら共通の未来ーOur Common Future」

1992 「環境と開発に関する国連会議」(ブラジル・リオデジャネイロ) リオ宣言・アジェンダ21

「気候変動枠組条約(UNFCCC)」 「生物多様性条約(CBD)」

1995 世界社会開発サミット

2000 国連ミレニアムサミット →「ミレニアム開発目標(MDGs)」採択(2001)

2002 持続可能な開発に関する世界首脳会議(南ア・ヨハネスブルク)

2012 国連持続可能な開発会議(リオ+20)

2015 持続可能な開発のための2030アジェンダ採択

国連気候変動枠組 条約第21回締約国会議 パリ協定採択 7

ミレニアム開発目標(MDGs)

2000年に採択された国連ミレニアム宣言をもとにまとめられた開発分野における国際社会共通の目標。達成期限は2015年。8つの目標、17のターゲット、60の指標からなる。

MDGsプログレス・チャート2014

9 出所:外務省HP, http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/doukou/mdgs/about.html#report を元に著者作成

改善の一方で、 地域間、目標間 格差が見られる

ポスト2015アジェンダの作成

(1992)国連環境開発会議〜 (2012年開催)国連持続可能な開発会議(リオ+20)

↓ SDGs

(2015年達成年) ミレニアム開発目標(MDGs)の

積み残し課題に引き続き取り組む

↓ ポストMDGs

持続可能性アジェンダ 開発アジェンダ

2030 アジェンダ

21世紀の国際社会の目標として貧困削減などを目指す「ミレニアム開発目標 (MDGs)」。2015年にその期限を迎えるにあたり、それに変わる新たな国際目標としてポスト2015アジェンダ(のちの2030アジェンダ)を作成

SDGs策定プロセス

リオ+20 ポストMDGs

国連オープン・ ワーキング・グループ

ハイレベルパネル

報告書

OWG報告書

資金専門家委員会

報告書

資金専門家委員会

(ICESDF)

持続可能な 開発目標 2016-30

採択

事務総長 統合報告書

14年12月

政府間交渉

国連総会 ポスト2015サミット

15年9月

毎月1週間、 7月までに8回会議

出典:EPC 資料

参加型のオープンなプロセス

SDGsの本質に迫る!

我々の世界を変革する: 持続可能な開発のための 2030 アジェンダ

• 貧困のない、持続可能な世界を次世代に受け継いでいくことを目指した

世界規模の目標

• 2015年9月、国連総会にて採択

• 2016-2030までに達成する国際目標

• 多様な主体の参加により、オープンなプロセスを経て作成

• 17ゴール・169ターゲットを踏まえつつ、各国政府が国家目標を定め、国

家戦略等に反映していくことを想定

• 指標を開発し、成果をはかる

• 民間セクターの役割、責任に言及

• 中心は持続可能な開発目標(SDGs)

内容

序文 宣言 持続可能な開発目標(SDGs)とターゲット(17の目標と169のターゲット) 実施方法とグローバルパートナーシップ フォローアップとレビュー

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持続可能な開発目標(SDGs)の特徴

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普遍性 包摂性 統合性

多様性 課題間のつ

ながり 重視

すべての人の人権の実現、ジェンダー平等、

女性と女の子のエンパワーメントを目指す

誰一人取り残さない(Leave No One Behind)

この偉大な共同の旅に出発するにあたり、私たちは、誰ひとり

取り残されることはないことを誓う。私たちは、人間の尊厳にこ

そ基本的な価値があることを認識し、全ての目標とターゲットが

、すべての国、人々、そして社会のあらゆる要素において実現

することを願う。私たちは、最も遠くに取り残されている人々にこ

そ、第一に手が届くよう、最大限の努力を行う。

(持続可能な開発のための2030アジェンダ 「宣言」第4段落)

世界193カ国 の首脳が集まって承認!

SDGsの精神 誰一人取り残さない

15

持続可能な開発目標(SDGs): 17の目標

16

SDGsの重要な5要素−5P

17

SDGsの5つのPsと17の目標

18 出所:SDGs市民社会ネットワークのウェブより

目標1 貧困をなくそう 目標2:飢餓をゼロに

あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる。

飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する。

あらゆる年齢の全ての人々の健康的な生活を保障し、福祉を促進する。

目標3:すべての人に健康と福祉を

People (人間)世界の貧困をなくす

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目標4 質の高い教育をみんなに

目標5:ジェンダー平等を実現しよう

全ての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を保障し、生涯学習の機会を促進する。

ジェンダー平等を達成し、全ての女性及び女の子のエンパワーメントを行う。

全ての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を保障する。

目標6:安全な水とトイレを世界中に

People (人間)世界の貧困をなくす

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目標7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに

目標8:働きがいも 経済成長も

全ての人々に安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを保障する

包摂的かつ持続可能な経済成長及び全ての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい仕事(ディーセントワーク)を促進する。

災害に強いインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る。

目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう

Prosperity(繁栄)つづく経済

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目標10 人や国の格差をなくそう

目標11:住み続けられるまちづくりを

各国内及び国家間の格差と不平等を是正する。

まちや人々が住んでいるところを、だれもが受け入れられ、安全で、災害に強く、持続可能な場所にする。

生産と消費の形態を持続可能なものにすることを促進する。

目標12:つくる責任 つかう責任

Prosperity(繁栄)つづく経済

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目標13:気候変動に具体的な対策を

目標14:海の豊かさを守ろう

気候変動とその影響を軽減するための緊急対策を講じる。

海と海洋資源を守り、持続可能な利用を促進する。

陸の生態系を保護・回復し、持続可能な利用を促進し、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地の劣化、生物多様性の喪失を止める。

目標15:陸の豊かさも守ろう

Planet(地球)環境を守り育てる

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目標16:平和と公正をすべての人に

目標17:パートナーシップで目標を達成しよう

持続可能な発展のための平和で包摂的な社会を促進し、全ての人に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する。

目標達成のために必要な行動を強化し、持続可能な発展に向けてグローバル・パートナーシップを活性化する。

目標1〜15の達成に必要

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日本のSDGs達成度への評価

25 出所:”SDGs Index and Dashboards Report 2017” by ベルテルスマン財団&SDSN

• 全体では11位 • 目標12は黄色(2016)から赤

(2017)へと後退

日本の様々な主体によるSDGsの取組

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<政府> • 2016年5月、SDGs推進本部と

SDGs推進円卓会議を設置 • 実施指針作成〜実施へ

<協同組合> • 持続可能な社会

の実現を前面に打ち出し、SDGsに積極的に取り組む

<産業界> • 日本経団連:Society 5.0の

実現と人権尊重を通じたSDGs達成のために企業行動憲章を改定

• 日本証券業協会:証券業界に関する懇談会設置

<自治体> • 地方公共団体におけるSDGs

達成に向けた取組支援 • 「環境未来都市」から「SDGs

未来都市」への流れ <投資家> • 年金積立金管理運用組合

法人(GPIF):ESG指数を選定、企業のSDGsの取組を後押し

<大学> • 金沢工業大学:「SDGs×ビ

ジネス×地方創生×産官学連携」のアライアンスを締結

<NPO・NGO> SDGs達成に向けた

政策提言、普及、タセクタートの連携などに取り組む

まだまだ他にもいろいろな取組がある!

関連法の遵守 責任ある倫理的な企業行動

パラ67 民間企業

民間企業の活動・投資、課題解決のための創造性・イノベーションなどによる持続可能な発展への貢献

「ビジネスと人権に関する指導原則」「国際労働機関の労働基準」「児童の権利条約」などの取り決めに従い労働者の権利や環境、保健基準を順守

ダイナミックかつ十分に機能する民間セクターの活動を促進する。

参考:我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(外務省訳)

企業の社会的責任

ポジティブな影響:共通価値(

Shared value)の創造を最大限に、

長期的戦略的CSRを推し進め、社

会と雇用のために革新的な製品、

サービス、ビジネスモデルを作り

上げる。

ネガティブな影響:起こりうるマイ

ナスの影響を特定し、予防し、緩

和する。

出所:欧州委員会ー企業の社会的責任

に関する新戦略2011-2014

共通価値の創造

Do no harm

環境 人権 労働

腐敗 防止

イノベーション 変革

企業の持続可能な発展への貢献

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SDGs推進にあたっての課題と展望

• 政府の本気度(政府間連携、予算の裏付けなど)

• 「誰一人取り残さない」ー幅広い社会セクターの参画の保証と人と社会の視点にたったイノベーション

• SDGsの達成を若者中心に進めていく

• モニタリングや評価への多様なセクターの参加

• 一人ひとりのライフスタイルの見直しも

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最後に

SDGs時代に求められているのは

これまでの延長線上でない「変革」である

持続可能な未来に向けて

あらゆる組織や一人一人が

これまでのやり方を見直して

人や社会を中心とした

イノベーションを探求することが

必要ではないか

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ご清聴ありがとうございました。

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黒田 かをり

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