早期胃癌に対するESDの実際...粘膜層 粘膜下層 筋層 しょう膜下層 しょう膜...

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早期胃癌に対するESDの実際

仙台厚生病院 消化器内視鏡センター

三島 利之

粘膜層

粘膜下層

筋層

しょう膜下層

しょう膜

正常胃壁の層構造

粘膜層

粘膜下層

筋層

しょう膜下層

しょう膜

癌の発生

リンパ節

リンパ節転移

内視鏡治療可能 外科手術

早期胃癌

粘膜内 粘膜下層少し 粘膜下層深く

内視鏡治療可能な早期胃癌

I 型 IIa 型 IIc 型

外科手術となる早期胃癌

IIc 型

内視鏡的粘膜下層剥離術

Endoscopic Submucosal Dissection

(ESD)

ESDのための処置具ITナイフ フレックスナイ

三角ナイフフックナイフ

ESD

ESDの流れ

1. 術前診断

2. マーキング

3. プレカット

4. 粘膜切開

5. 粘膜下層剥離

6. 出血予防処置

ESDの流れ

1. 術前診断

2. マーキング

3. プレカット

4. 粘膜切開

5. 粘膜下層剥離

6. 出血予防処置

マーキング

・フックナイフまたは針状メスを格納したまま、シースを粘膜面に押し当て、凝固波を一瞬通電

・病変辺縁より2mm以上離してマーキング

・マークとマークの間隔はやや密に

マーキング

ESDの流れ

1. 術前診断

2. マーキング

3. プレカット

4. 粘膜切開

5. 粘膜下層剥離

6. 出血予防処置

プレカット

・プレカット部の粘膜を局注にて十分に膨隆させ、針状メスで切開する

・穿孔を回避するため、やや斜め方向からアプローチする垂直にあたる場合は、メスが深く入らないよう留意する

・粘膜筋板を十分切開する

プレカット

ESDの流れ

1. 術前診断

2. マーキング

3. プレカット

4. 粘膜切開

5. 粘膜下層剥離

6. 出血予防処置

粘膜切開

・先端系ナイフは押し切り、ITナイフは引き切りが基本

・出血コントロールが重要送水機能を有するscopeや止血鉗子の出し入れが不要なM-scopeが有用

・穿孔を回避するため、針状メスは深くはいらないよう注意するIT-2では寝かせすぎないよう注意する

粘膜切開(針状メス)

粘膜切開(IT-2)

粘膜切開(IT-2) 切開時出血

ESDの流れ

1. 術前診断

2. マーキング

3. プレカット

4. 粘膜切開

5. 粘膜下層剥離

6. 出血予防処置

粘膜下層剥離

・穿孔に注意し、粘膜側に切り込まないようにするため、できるだけ直視下に剥離をすすめる

・出血コントロールが重要送水機能を有するscopeや止血鉗子の出し入れが不要なM-scopeが有用適宜プレコアグレーションを行う

粘膜下層剥離(フックナイフ)

粘膜下層剥離(IT-2)

ESDの合併症

1.術後出血

2.穿孔

3.狭窄

・頻度は4~5%

・吐血,タール便,めまい感,ムカツキ

→安静,バイタルサインのチェック,Drコール,ライン確保,緊急内視鏡

・頻度は1~2%,術中穿孔がほとんど

・腹痛,発熱,腹部膨満感

→数日間の絶(飲)食,補液・抗生剤投与,脱気

・幽門部,噴門部で3/4周以上切除したときに起こる

→内視鏡的拡張術

よくみられるその他の症状

1.咽頭痛

2.発熱

3.心窩部痛,嘔気

→トローチ,鎮痛剤,抗生剤内服

・治療時間の長い例に多い

→数日で軽快,基本的にはクーリング

・切除後潰瘍の症状

→多くは数日で軽快,対症療法

その他の合併症

1. 誤嚥性肺炎

2. 血栓・塞栓症

3. 無石性胆嚢炎

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