ServiceNowのベストプラクティスを取り入れ...お客様事例...

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お客様事例

で、ITコストの削減も可能です。これにより、運用においても提案型サービスができるようになりました」(土井氏)

<ServiceNow導入の効果>

● レポート機能により、肌感覚であった情報やデータが具体性を帯びることで、業務目標の立案や意識改革に好影響をもたらした

● 見える化を実現したことで、こなすだけの運用から、マネジメントされ、改善の仕組みを持つ運用へと変化した

● これまで行ってこなかったSLAの合意も行い、「運用業務」を「サービス」として提案していくことが可能となった

可視化されることで、「守りの運用」から「攻めの運用」への変革を目指す

YISSが運用契約をSLAベースに全面移行したことは、「守りの運用」から「攻めの運用」への変革のスタートという意味もあります。同社では今後、攻めの運用として、ITIL準拠のプロセスを通じ、継続的なサービス改善を行うだけでなく、測定できる結果を用いたユーザー側への改善提案、さらにはシステム設計段階からの運用企画にも関わっていこうとしています。運用スタッフが、より上流工程からプロアクティブに関わっていくことで、コスト削減と品質向上が両立しやすくなるからです。土井氏は、そこにもServiceNowが役立つと期待しています。

「2018年度はファイナルステージを終えて、いよいよバリューを得る段階に入ります。ServiceNowを使っていくことでデー

タが蓄積され、優れたレポート機能を活用すれば要点を押さえた形で可視化していくことができるようになります。実はこれまでもデータを自動で蓄積する仕組みがあったのですが、ほとんど参照されておらず、運用においてPDCAという考え方は希薄でした。可視化され測定できるようになってこそ継続的な改善が可能になると考えています」

「改善が行われないものはプロセスではない」という考えのもと、YISSでは事業に貢献できるサービス品質向上に努めていく構えです。土井氏は、「ユーザーから注文された作業を行うことは単なるオペレーションであって、サービスではありません。そういった気付きを社内で広く共有してもらえれば、当社が提供しようとしている価値に近付いていけるはずです」と期待を示します。

業務改革推進室では今後、ServiceNowを活用したサービスデスク機能の強化も行おうとしています。現状ではまだ、ユーザーからの問い合わせを、ヘルプデスク

準化を通じて属人化を解消し、サービス品質向上やコスト削減を図っていくことにしました。ファーストステージで運用標準化のロードマップを作成し、グローバルに通用する会社にすべくITILをベースとすることを決定しました」(土井氏)

<ServiceNow導入前の課題>

● 事業を熟知した情報システム子会社として、ビジネスに近いところでITによる成果を出せる企業へと変革したかった

● 守りの運用から攻めの運用に変革を進めるための運用業務の改善が必要であった

● グローバルに通用できるよう、ITILをベースとした運用の標準化が求められた

ITIL準拠のベストプラクティスが提供されるSaaSである点に注目

こうしてYISSでは、改革のセカンドステージを迎え、土井氏らのタスクチームはITILの勉強と現状の運用業務の調査を行いながらITILの有効性の検証を行い、プラットフォーム選定に進んでいきました。

土井氏らは、ITILを学びながら実際の業務に落とし込む取り組みを進める中で、ITILからさまざまな気づきを得たといいます。例えば、ITILを通じて運用の標準化や効率化、コスト削減を進めるだけでなく、NEXTで目指す「あるべき姿」を具体化していくことにも役立ちました。

「NEXTでは、『事業の課題を解決』『ソリューションを提案』といったミッションも掲げています。一方、運用コスト削減マネジメントチームのメンバーはチーム専任でなく、事業会社に提供しているシステムの運用・保守業務を担当していました。ミッションと現状の業務とのギャップはとても大きなものでしたが、何が足りないのかを考えていくうちに、『現状が見えないま

までは改善もできない』と気づいたのです。そこで、ITILによる見える化を期待しました。ITILは、継続的にサービスを改善していくアプローチを概念としてもっており、その改善プロセスは測定可能であることが前提となっています。測定できなければ改善もできないということを強く認識しました」(土井氏)

こうしてチームはITILへの期待をより高め、改革のイメージもつかんでいきました。さらに、2016年度のサードステージへ向けて、2016年3月に、ITILを実践するためのITサービスマネジメント製品の選定が行われました。11種類の製品を候補とし、YISSが必要とする各種機能の対応や費用などの条件で比較検討していき、最終的に選ばれたのが、ServiceNowのIT Service Management(ITSM)だったのです。

「まず、多言語対応であり、24時間稼働するグローバルの運用に対応でき、海外拠点や協力会社にも展開しやすいクラウドサービスとして提供されている点を評価しました。また、そこまで高額なものでないことなども1つのポイントでした」と土井氏は話します。

さらに、「ServiceNowはSaaSとして提供されており、いわばITILに準拠したグローバルの最新ベストプラクティスを形にしたような製品です。我々はServiceNowに触れることで、より具体的なITILのイメージをつかむことができました。エンジニアですから、実際に製品を触りながら概念を理解していく方が合うのだと感じました」と、土井氏は振り返ります。

<ServiceNowを評価したポイント>

● 多言語対応や24時間稼働を前提にしたグローバルでの運用に対応できること

● 海外拠点や協力会社にも展開しやすい

レポート機能で測定と可視化が容易に 業務の「サービス化」への移行も成功

2016年12月に開始されたServiceNowによるシステムの構築は、4カ月の構築期間を経たのち、ファイナルステージとなる2017年4月にカットオーバーを迎えました。稼働時はインシデント管理、問題管理、変更管理の各プロセスで利用を開始し、続いて10月には構成管理、2018年1月にはナレッジ管理にて利用されるようになっています。適用範囲も、当初はYISS社内だけでしたが、後にユーザー企業である事業会社にも順次拡大していきました。グローバルで運用展開された新規システムにも、一部ServiceNowを活用しています。導入効果として土井氏は次のように話します。

「レポート機能を活用していますが、月別の推移やカテゴリ別の表示で情報を把握しやすくなったのは有効だと感じます。インシデント情報が障害なのかその他の問い合わせなのか、その比率や件数が具体性を持って見える化されることで、業務目標を立案する際にも役立ちます。また、見えなかったものが見えるようになることは、やらなければならないことを明確化することにつながるので、現場の社員の意識に良い影響を与えています」(土井氏)

クラウドサービスであること

● ITILに準拠したグローバルの最新ベストプラクティスが提供されるSaaSであること

標準機能を活かしてベストプラクティスを展開、約4カ月の構築で運用開始

2016年度のサードステージでは、まずI T I Lに基づいたプロセスの設計と、ServiceNowのカスタマイズによって業務標準化への取り組みが進められました。カスタマイズとはいっても、このとき運用コスト削減マネジメントチームでは、ServiceNowをできるだけ標準のまま利用することに留意したといいます。

「カスタマイズによって属人的な運用となってしまっては、プロジェクトの意味がありません。ITILプロセスを設計していく上ではベストプラクティスを重視しました」(土井氏)

実 際 に 製 品 に 触 れ て いく中 で 、ServiceNowが当初から備えている機能やプロセスに学ぶことも多かったといいます。「構築においては実際、『我々はこう思う。ITILではこのような考えとなっている。ではServiceNowではどうなっているか』といった会話がよくありました。標準化を進める上で、自分たちの経験やプライドが邪魔をしないよう注意を払いました」と、土井氏は振り返ります。

サードステージでは、ITILの継続的改善プロセスのアプローチを社内へ啓蒙していく準備も並行して進められました。「ヤンマーグループ全体の業務効率を最適化するサービスの提供」と銘打ち、ITサービスマネジメントの実践を通じて「運用業務の目指す姿」を図にまとめ、2017年1月には専任組織としてプロジェクトを引き継ぐ「業務改革推進室」を発足させ、ファイナルステージへの布石としています。

産業用エンジンや農機、建機、船舶、エネルギーなどの事業をワールドワイドに展開するヤンマーグループ。同社は1912年の創業から100年を迎えた2012年に持株会社体制に移行し、次の100年に向けて「食」と「エネルギー」の分野で未来のテクノロジーを切り開く取り組み「YF2112」(YANMAR FUTURE 2112)を進めています。

そのヤンマーグループで情報システム分野の機能会社としての役割を担うのが、ヤンマー情報システムサービス株式会社(以下、YISS)です。旧ヤンマーディーゼルおよび旧ヤンマー農機の情報システム部門が機能分社化して1986年に設立されて以降、ITソリューションのトータルコンサルティングから情報システムの設計・構築、それを支えるITインフラ調達、さらに運用管理業務まで、さまざまな事業を手がけています。

YISSでは近年、「NEXT」という名の構造改革活動を、複数のフェーズに分けて中期計画として推進してきました。「グループ各社の事業をIT面からサポートする」という役割をさらに強固なものにしていくための取り組みで、「システム・サービス」「技術」「リレーション」「人財」「組織・拠点」「原価管理」「経営管理」「コスト低減活動」の8つの柱からなっています。同社業務改革推進室 グループ長の土井直哉氏は、NEXTに取り組むこととなった背景を以下のように語っています。

「当社は20年以上にわたってヤンマーグループのITに関わってきましたが、NEXTを開始した2014年当時は『日本中心型』『受け身型』『個別最適』といった状況でした。ヤンマーグループ唯一のソフトウェア企業として、ビジネスを熟知しているにもかかわらず、その強みを十分に発揮できていませんでした。事業会社側にしてみればYISSも数ある発注先の1つですから、我々も決して安穏としてはいられません。とはいえ現場は、日々の運用業務に追われてそれどころではありません。そこでNEXTには運用業務での改革も盛り込んで、強みを出せる構造に変革していくことにしたのです」

こうして、NEXTの中でも重要なテーマの1つとして、「運用業務改革」が進められてきました。改革のファーストステージとなった2014年には運用標準化タスクチームが活動を開始し、運用標準化のためのロードマップを策定、続く2015~2016年度はセカンド&サードステージとして運用コスト削減マネジメントチームが主に活動し、守りの運用から攻めの運用へのシフトを図っていきました。

「それまでの業務は属人化していたため、ITサービスの品質が均一でない上、人材の流動性もなく、運用のコスト比率が高いという課題がありました。そこで、運用業務の標

このお客様事例は、ヤンマー情報システムサービス株式会社 業務改革推進室 グループ長の土井直哉氏へのインタビューによります。

ServiceNowのベストプラクティスを取り入れITILベースの運用業務標準化を実現グループ会社への提供サービス価値向上へ

グループの業務を熟知した情報システム子会社が高いサービス価値創出を目指す

ハイライト

ServiceNowによりITIL準拠のプロセスを導入、属人化解消などの運用業務改革を実施し、グループ会社へ提供するITサービス価値の向上を目指す

組織

ヤンマー情報システムサービス株式会社

業種

ITサービス

本社

大阪市、日本

対象地域

日本国内

ソリューション

ITサービスマネジメント基盤の構築

導入期間

Serv iceNowの構築開始から稼働まで:約4カ月間

www.servicenow.co.jp/

や各システム担当者など複数の箇所で受け付けている状態であるため、今後は窓口をサービスデスクに一本化し、そこからインシデント管理製品を介して各担当者にタスクが流れるフローを構築する方針です。インシデント対応の情報を集約し、同じく可視化して継続的に改善していくことで、品質やユーザー満足度の向上、および運用部門の工数削減などにつながることが期待されます。

「弊社では、スキルがあり業務知識が豊富なのに、業務プロセスに無駄があることで、能力を発揮できないスタッフがいました。だからこそ、業務改善をしていけるプロセス確立に取り組んできました」と土井氏は話します。

事業部のビジネスに近いところにITで貢献する方法は、最先端技術や革新的なツールを導入することだけに限りません。既存の業務の改善とそれを継続的に行っていく体制の地盤を固めたYISSでは、これからもグループ各社へきっと新たな価値を提供し続けていくでしょう。

さらに、NEXTのビジョンに沿った契約の変更も行われました。これまでYISSは運用業務に関して、顧客であるグループ会社との契約を工数に基づいた料金で締結していましたが、2018年4月からはSLA(Service Level Agreement:サービス品質保証制度)に基づく新料金体系での契約に切り替えました。前述の「目指す姿」で宣言したように、文字通り「サービス」で価値を提供する姿勢を、料金面でも明確にしました。

こうした変化が可能になったのは、ITILに基づいた業務の標準化や体系化の成果であることはもちろん、蓄積された情報がServiceNowによって可視化されたことも大きな要因です。タスクが見えることは、作業量やコストの見通しを生み出すとともに、来た仕事をこなすだけの運用から、しっかりとマネジメントされた運用へと変化させることができます。

「旧料金体系での契約はすべて解約し、新料金体系で契約し直していただいています。今回の新たな運用料金体系は17のサービスメニュー、102のビジネスサービスとして定義し直しました。サービスが明確になったことで、ビジネスオーナーがコントロールできるようになっていますし、オーナーとYISSが業務で協業していくこと

お客様事例

で、ITコストの削減も可能です。これにより、運用においても提案型サービスができるようになりました」(土井氏)

<ServiceNow導入の効果>

● レポート機能により、肌感覚であった情報やデータが具体性を帯びることで、業務目標の立案や意識改革に好影響をもたらした

● 見える化を実現したことで、こなすだけの運用から、マネジメントされ、改善の仕組みを持つ運用へと変化した

● これまで行ってこなかったSLAの合意も行い、「運用業務」を「サービス」として提案していくことが可能となった

可視化されることで、「守りの運用」から「攻めの運用」への変革を目指す

YISSが運用契約をSLAベースに全面移行したことは、「守りの運用」から「攻めの運用」への変革のスタートという意味もあります。同社では今後、攻めの運用として、ITIL準拠のプロセスを通じ、継続的なサービス改善を行うだけでなく、測定できる結果を用いたユーザー側への改善提案、さらにはシステム設計段階からの運用企画にも関わっていこうとしています。運用スタッフが、より上流工程からプロアクティブに関わっていくことで、コスト削減と品質向上が両立しやすくなるからです。土井氏は、そこにもServiceNowが役立つと期待しています。

「2018年度はファイナルステージを終えて、いよいよバリューを得る段階に入ります。ServiceNowを使っていくことでデー

タが蓄積され、優れたレポート機能を活用すれば要点を押さえた形で可視化していくことができるようになります。実はこれまでもデータを自動で蓄積する仕組みがあったのですが、ほとんど参照されておらず、運用においてPDCAという考え方は希薄でした。可視化され測定できるようになってこそ継続的な改善が可能になると考えています」

「改善が行われないものはプロセスではない」という考えのもと、YISSでは事業に貢献できるサービス品質向上に努めていく構えです。土井氏は、「ユーザーから注文された作業を行うことは単なるオペレーションであって、サービスではありません。そういった気付きを社内で広く共有してもらえれば、当社が提供しようとしている価値に近付いていけるはずです」と期待を示します。

業務改革推進室では今後、ServiceNowを活用したサービスデスク機能の強化も行おうとしています。現状ではまだ、ユーザーからの問い合わせを、ヘルプデスク

準化を通じて属人化を解消し、サービス品質向上やコスト削減を図っていくことにしました。ファーストステージで運用標準化のロードマップを作成し、グローバルに通用する会社にすべくITILをベースとすることを決定しました」(土井氏)

<ServiceNow導入前の課題>

● 事業を熟知した情報システム子会社として、ビジネスに近いところでITによる成果を出せる企業へと変革したかった

● 守りの運用から攻めの運用に変革を進めるための運用業務の改善が必要であった

● グローバルに通用できるよう、ITILをベースとした運用の標準化が求められた

ITIL準拠のベストプラクティスが提供されるSaaSである点に注目

こうしてYISSでは、改革のセカンドステージを迎え、土井氏らのタスクチームはITILの勉強と現状の運用業務の調査を行いながらITILの有効性の検証を行い、プラットフォーム選定に進んでいきました。

土井氏らは、ITILを学びながら実際の業務に落とし込む取り組みを進める中で、ITILからさまざまな気づきを得たといいます。例えば、ITILを通じて運用の標準化や効率化、コスト削減を進めるだけでなく、NEXTで目指す「あるべき姿」を具体化していくことにも役立ちました。

「NEXTでは、『事業の課題を解決』『ソリューションを提案』といったミッションも掲げています。一方、運用コスト削減マネジメントチームのメンバーはチーム専任でなく、事業会社に提供しているシステムの運用・保守業務を担当していました。ミッションと現状の業務とのギャップはとても大きなものでしたが、何が足りないのかを考えていくうちに、『現状が見えないま

までは改善もできない』と気づいたのです。そこで、ITILによる見える化を期待しました。ITILは、継続的にサービスを改善していくアプローチを概念としてもっており、その改善プロセスは測定可能であることが前提となっています。測定できなければ改善もできないということを強く認識しました」(土井氏)

こうしてチームはITILへの期待をより高め、改革のイメージもつかんでいきました。さらに、2016年度のサードステージへ向けて、2016年3月に、ITILを実践するためのITサービスマネジメント製品の選定が行われました。11種類の製品を候補とし、YISSが必要とする各種機能の対応や費用などの条件で比較検討していき、最終的に選ばれたのが、ServiceNowのIT Service Management(ITSM)だったのです。

「まず、多言語対応であり、24時間稼働するグローバルの運用に対応でき、海外拠点や協力会社にも展開しやすいクラウドサービスとして提供されている点を評価しました。また、そこまで高額なものでないことなども1つのポイントでした」と土井氏は話します。

さらに、「ServiceNowはSaaSとして提供されており、いわばITILに準拠したグローバルの最新ベストプラクティスを形にしたような製品です。我々はServiceNowに触れることで、より具体的なITILのイメージをつかむことができました。エンジニアですから、実際に製品を触りながら概念を理解していく方が合うのだと感じました」と、土井氏は振り返ります。

<ServiceNowを評価したポイント>

● 多言語対応や24時間稼働を前提にしたグローバルでの運用に対応できること

● 海外拠点や協力会社にも展開しやすい

レポート機能で測定と可視化が容易に 業務の「サービス化」への移行も成功

2016年12月に開始されたServiceNowによるシステムの構築は、4カ月の構築期間を経たのち、ファイナルステージとなる2017年4月にカットオーバーを迎えました。稼働時はインシデント管理、問題管理、変更管理の各プロセスで利用を開始し、続いて10月には構成管理、2018年1月にはナレッジ管理にて利用されるようになっています。適用範囲も、当初はYISS社内だけでしたが、後にユーザー企業である事業会社にも順次拡大していきました。グローバルで運用展開された新規システムにも、一部ServiceNowを活用しています。導入効果として土井氏は次のように話します。

「レポート機能を活用していますが、月別の推移やカテゴリ別の表示で情報を把握しやすくなったのは有効だと感じます。インシデント情報が障害なのかその他の問い合わせなのか、その比率や件数が具体性を持って見える化されることで、業務目標を立案する際にも役立ちます。また、見えなかったものが見えるようになることは、やらなければならないことを明確化することにつながるので、現場の社員の意識に良い影響を与えています」(土井氏)

クラウドサービスであること

● ITILに準拠したグローバルの最新ベストプラクティスが提供されるSaaSであること

標準機能を活かしてベストプラクティスを展開、約4カ月の構築で運用開始

2016年度のサードステージでは、まずI T I Lに基づいたプロセスの設計と、ServiceNowのカスタマイズによって業務標準化への取り組みが進められました。カスタマイズとはいっても、このとき運用コスト削減マネジメントチームでは、ServiceNowをできるだけ標準のまま利用することに留意したといいます。

「カスタマイズによって属人的な運用となってしまっては、プロジェクトの意味がありません。ITILプロセスを設計していく上ではベストプラクティスを重視しました」(土井氏)

実 際 に 製 品 に 触 れ て いく中 で 、ServiceNowが当初から備えている機能やプロセスに学ぶことも多かったといいます。「構築においては実際、『我々はこう思う。ITILではこのような考えとなっている。ではServiceNowではどうなっているか』といった会話がよくありました。標準化を進める上で、自分たちの経験やプライドが邪魔をしないよう注意を払いました」と、土井氏は振り返ります。

サードステージでは、ITILの継続的改善プロセスのアプローチを社内へ啓蒙していく準備も並行して進められました。「ヤンマーグループ全体の業務効率を最適化するサービスの提供」と銘打ち、ITサービスマネジメントの実践を通じて「運用業務の目指す姿」を図にまとめ、2017年1月には専任組織としてプロジェクトを引き継ぐ「業務改革推進室」を発足させ、ファイナルステージへの布石としています。

産業用エンジンや農機、建機、船舶、エネルギーなどの事業をワールドワイドに展開するヤンマーグループ。同社は1912年の創業から100年を迎えた2012年に持株会社体制に移行し、次の100年に向けて「食」と「エネルギー」の分野で未来のテクノロジーを切り開く取り組み「YF2112」(YANMAR FUTURE 2112)を進めています。

そのヤンマーグループで情報システム分野の機能会社としての役割を担うのが、ヤンマー情報システムサービス株式会社(以下、YISS)です。旧ヤンマーディーゼルおよび旧ヤンマー農機の情報システム部門が機能分社化して1986年に設立されて以降、ITソリューションのトータルコンサルティングから情報システムの設計・構築、それを支えるITインフラ調達、さらに運用管理業務まで、さまざまな事業を手がけています。

YISSでは近年、「NEXT」という名の構造改革活動を、複数のフェーズに分けて中期計画として推進してきました。「グループ各社の事業をIT面からサポートする」という役割をさらに強固なものにしていくための取り組みで、「システム・サービス」「技術」「リレーション」「人財」「組織・拠点」「原価管理」「経営管理」「コスト低減活動」の8つの柱からなっています。同社業務改革推進室 グループ長の土井直哉氏は、NEXTに取り組むこととなった背景を以下のように語っています。

「当社は20年以上にわたってヤンマーグループのITに関わってきましたが、NEXTを開始した2014年当時は『日本中心型』『受け身型』『個別最適』といった状況でした。ヤンマーグループ唯一のソフトウェア企業として、ビジネスを熟知しているにもかかわらず、その強みを十分に発揮できていませんでした。事業会社側にしてみればYISSも数ある発注先の1つですから、我々も決して安穏としてはいられません。とはいえ現場は、日々の運用業務に追われてそれどころではありません。そこでNEXTには運用業務での改革も盛り込んで、強みを出せる構造に変革していくことにしたのです」

こうして、NEXTの中でも重要なテーマの1つとして、「運用業務改革」が進められてきました。改革のファーストステージとなった2014年には運用標準化タスクチームが活動を開始し、運用標準化のためのロードマップを策定、続く2015~2016年度はセカンド&サードステージとして運用コスト削減マネジメントチームが主に活動し、守りの運用から攻めの運用へのシフトを図っていきました。

「それまでの業務は属人化していたため、ITサービスの品質が均一でない上、人材の流動性もなく、運用のコスト比率が高いという課題がありました。そこで、運用業務の標

グループの業務を熟知した情報システム子会社が高いサービス価値創出を目指す

「ServiceNowは、いわばITILに準拠したグローバルの最新ベストプラクティスを形にしたような製品です。我々はServiceNowに触れることで、より具体的なITILのイメージをつかむことができました」

ヤンマー情報システムサービス株式会社業務改革推進室グループ長土井 直哉 氏

や各システム担当者など複数の箇所で受け付けている状態であるため、今後は窓口をサービスデスクに一本化し、そこからインシデント管理製品を介して各担当者にタスクが流れるフローを構築する方針です。インシデント対応の情報を集約し、同じく可視化して継続的に改善していくことで、品質やユーザー満足度の向上、および運用部門の工数削減などにつながることが期待されます。

「弊社では、スキルがあり業務知識が豊富なのに、業務プロセスに無駄があることで、能力を発揮できないスタッフがいました。だからこそ、業務改善をしていけるプロセス確立に取り組んできました」と土井氏は話します。

事業部のビジネスに近いところにITで貢献する方法は、最先端技術や革新的なツールを導入することだけに限りません。既存の業務の改善とそれを継続的に行っていく体制の地盤を固めたYISSでは、これからもグループ各社へきっと新たな価値を提供し続けていくでしょう。

さらに、NEXTのビジョンに沿った契約の変更も行われました。これまでYISSは運用業務に関して、顧客であるグループ会社との契約を工数に基づいた料金で締結していましたが、2018年4月からはSLA(Service Level Agreement:サービス品質保証制度)に基づく新料金体系での契約に切り替えました。前述の「目指す姿」で宣言したように、文字通り「サービス」で価値を提供する姿勢を、料金面でも明確にしました。

こうした変化が可能になったのは、ITILに基づいた業務の標準化や体系化の成果であることはもちろん、蓄積された情報がServiceNowによって可視化されたことも大きな要因です。タスクが見えることは、作業量やコストの見通しを生み出すとともに、来た仕事をこなすだけの運用から、しっかりとマネジメントされた運用へと変化させることができます。

「旧料金体系での契約はすべて解約し、新料金体系で契約し直していただいています。今回の新たな運用料金体系は17のサービスメニュー、102のビジネスサービスとして定義し直しました。サービスが明確になったことで、ビジネスオーナーがコントロールできるようになっていますし、オーナーとYISSが業務で協業していくこと

お客様事例

で、ITコストの削減も可能です。これにより、運用においても提案型サービスができるようになりました」(土井氏)

<ServiceNow導入の効果>

● レポート機能により、肌感覚であった情報やデータが具体性を帯びることで、業務目標の立案や意識改革に好影響をもたらした

● 見える化を実現したことで、こなすだけの運用から、マネジメントされ、改善の仕組みを持つ運用へと変化した

● これまで行ってこなかったSLAの合意も行い、「運用業務」を「サービス」として提案していくことが可能となった

可視化されることで、「守りの運用」から「攻めの運用」への変革を目指す

YISSが運用契約をSLAベースに全面移行したことは、「守りの運用」から「攻めの運用」への変革のスタートという意味もあります。同社では今後、攻めの運用として、ITIL準拠のプロセスを通じ、継続的なサービス改善を行うだけでなく、測定できる結果を用いたユーザー側への改善提案、さらにはシステム設計段階からの運用企画にも関わっていこうとしています。運用スタッフが、より上流工程からプロアクティブに関わっていくことで、コスト削減と品質向上が両立しやすくなるからです。土井氏は、そこにもServiceNowが役立つと期待しています。

「2018年度はファイナルステージを終えて、いよいよバリューを得る段階に入ります。ServiceNowを使っていくことでデー

タが蓄積され、優れたレポート機能を活用すれば要点を押さえた形で可視化していくことができるようになります。実はこれまでもデータを自動で蓄積する仕組みがあったのですが、ほとんど参照されておらず、運用においてPDCAという考え方は希薄でした。可視化され測定できるようになってこそ継続的な改善が可能になると考えています」

「改善が行われないものはプロセスではない」という考えのもと、YISSでは事業に貢献できるサービス品質向上に努めていく構えです。土井氏は、「ユーザーから注文された作業を行うことは単なるオペレーションであって、サービスではありません。そういった気付きを社内で広く共有してもらえれば、当社が提供しようとしている価値に近付いていけるはずです」と期待を示します。

業務改革推進室では今後、ServiceNowを活用したサービスデスク機能の強化も行おうとしています。現状ではまだ、ユーザーからの問い合わせを、ヘルプデスク

準化を通じて属人化を解消し、サービス品質向上やコスト削減を図っていくことにしました。ファーストステージで運用標準化のロードマップを作成し、グローバルに通用する会社にすべくITILをベースとすることを決定しました」(土井氏)

<ServiceNow導入前の課題>

● 事業を熟知した情報システム子会社として、ビジネスに近いところでITによる成果を出せる企業へと変革したかった

● 守りの運用から攻めの運用に変革を進めるための運用業務の改善が必要であった

● グローバルに通用できるよう、ITILをベースとした運用の標準化が求められた

ITIL準拠のベストプラクティスが提供されるSaaSである点に注目

こうしてYISSでは、改革のセカンドステージを迎え、土井氏らのタスクチームはITILの勉強と現状の運用業務の調査を行いながらITILの有効性の検証を行い、プラットフォーム選定に進んでいきました。

土井氏らは、ITILを学びながら実際の業務に落とし込む取り組みを進める中で、ITILからさまざまな気づきを得たといいます。例えば、ITILを通じて運用の標準化や効率化、コスト削減を進めるだけでなく、NEXTで目指す「あるべき姿」を具体化していくことにも役立ちました。

「NEXTでは、『事業の課題を解決』『ソリューションを提案』といったミッションも掲げています。一方、運用コスト削減マネジメントチームのメンバーはチーム専任でなく、事業会社に提供しているシステムの運用・保守業務を担当していました。ミッションと現状の業務とのギャップはとても大きなものでしたが、何が足りないのかを考えていくうちに、『現状が見えないま

までは改善もできない』と気づいたのです。そこで、ITILによる見える化を期待しました。ITILは、継続的にサービスを改善していくアプローチを概念としてもっており、その改善プロセスは測定可能であることが前提となっています。測定できなければ改善もできないということを強く認識しました」(土井氏)

こうしてチームはITILへの期待をより高め、改革のイメージもつかんでいきました。さらに、2016年度のサードステージへ向けて、2016年3月に、ITILを実践するためのITサービスマネジメント製品の選定が行われました。11種類の製品を候補とし、YISSが必要とする各種機能の対応や費用などの条件で比較検討していき、最終的に選ばれたのが、ServiceNowのIT Service Management(ITSM)だったのです。

「まず、多言語対応であり、24時間稼働するグローバルの運用に対応でき、海外拠点や協力会社にも展開しやすいクラウドサービスとして提供されている点を評価しました。また、そこまで高額なものでないことなども1つのポイントでした」と土井氏は話します。

さらに、「ServiceNowはSaaSとして提供されており、いわばITILに準拠したグローバルの最新ベストプラクティスを形にしたような製品です。我々はServiceNowに触れることで、より具体的なITILのイメージをつかむことができました。エンジニアですから、実際に製品を触りながら概念を理解していく方が合うのだと感じました」と、土井氏は振り返ります。

<ServiceNowを評価したポイント>

● 多言語対応や24時間稼働を前提にしたグローバルでの運用に対応できること

● 海外拠点や協力会社にも展開しやすい

レポート機能で測定と可視化が容易に 業務の「サービス化」への移行も成功

2016年12月に開始されたServiceNowによるシステムの構築は、4カ月の構築期間を経たのち、ファイナルステージとなる2017年4月にカットオーバーを迎えました。稼働時はインシデント管理、問題管理、変更管理の各プロセスで利用を開始し、続いて10月には構成管理、2018年1月にはナレッジ管理にて利用されるようになっています。適用範囲も、当初はYISS社内だけでしたが、後にユーザー企業である事業会社にも順次拡大していきました。グローバルで運用展開された新規システムにも、一部ServiceNowを活用しています。導入効果として土井氏は次のように話します。

「レポート機能を活用していますが、月別の推移やカテゴリ別の表示で情報を把握しやすくなったのは有効だと感じます。インシデント情報が障害なのかその他の問い合わせなのか、その比率や件数が具体性を持って見える化されることで、業務目標を立案する際にも役立ちます。また、見えなかったものが見えるようになることは、やらなければならないことを明確化することにつながるので、現場の社員の意識に良い影響を与えています」(土井氏)

クラウドサービスであること

● ITILに準拠したグローバルの最新ベストプラクティスが提供されるSaaSであること

標準機能を活かしてベストプラクティスを展開、約4カ月の構築で運用開始

2016年度のサードステージでは、まずI T I Lに基づいたプロセスの設計と、ServiceNowのカスタマイズによって業務標準化への取り組みが進められました。カスタマイズとはいっても、このとき運用コスト削減マネジメントチームでは、ServiceNowをできるだけ標準のまま利用することに留意したといいます。

「カスタマイズによって属人的な運用となってしまっては、プロジェクトの意味がありません。ITILプロセスを設計していく上ではベストプラクティスを重視しました」(土井氏)

実 際 に 製 品 に 触 れ て いく中 で 、ServiceNowが当初から備えている機能やプロセスに学ぶことも多かったといいます。「構築においては実際、『我々はこう思う。ITILではこのような考えとなっている。ではServiceNowではどうなっているか』といった会話がよくありました。標準化を進める上で、自分たちの経験やプライドが邪魔をしないよう注意を払いました」と、土井氏は振り返ります。

サードステージでは、ITILの継続的改善プロセスのアプローチを社内へ啓蒙していく準備も並行して進められました。「ヤンマーグループ全体の業務効率を最適化するサービスの提供」と銘打ち、ITサービスマネジメントの実践を通じて「運用業務の目指す姿」を図にまとめ、2017年1月には専任組織としてプロジェクトを引き継ぐ「業務改革推進室」を発足させ、ファイナルステージへの布石としています。

産業用エンジンや農機、建機、船舶、エネルギーなどの事業をワールドワイドに展開するヤンマーグループ。同社は1912年の創業から100年を迎えた2012年に持株会社体制に移行し、次の100年に向けて「食」と「エネルギー」の分野で未来のテクノロジーを切り開く取り組み「YF2112」(YANMAR FUTURE 2112)を進めています。

そのヤンマーグループで情報システム分野の機能会社としての役割を担うのが、ヤンマー情報システムサービス株式会社(以下、YISS)です。旧ヤンマーディーゼルおよび旧ヤンマー農機の情報システム部門が機能分社化して1986年に設立されて以降、ITソリューションのトータルコンサルティングから情報システムの設計・構築、それを支えるITインフラ調達、さらに運用管理業務まで、さまざまな事業を手がけています。

YISSでは近年、「NEXT」という名の構造改革活動を、複数のフェーズに分けて中期計画として推進してきました。「グループ各社の事業をIT面からサポートする」という役割をさらに強固なものにしていくための取り組みで、「システム・サービス」「技術」「リレーション」「人財」「組織・拠点」「原価管理」「経営管理」「コスト低減活動」の8つの柱からなっています。同社業務改革推進室 グループ長の土井直哉氏は、NEXTに取り組むこととなった背景を以下のように語っています。

「当社は20年以上にわたってヤンマーグループのITに関わってきましたが、NEXTを開始した2014年当時は『日本中心型』『受け身型』『個別最適』といった状況でした。ヤンマーグループ唯一のソフトウェア企業として、ビジネスを熟知しているにもかかわらず、その強みを十分に発揮できていませんでした。事業会社側にしてみればYISSも数ある発注先の1つですから、我々も決して安穏としてはいられません。とはいえ現場は、日々の運用業務に追われてそれどころではありません。そこでNEXTには運用業務での改革も盛り込んで、強みを出せる構造に変革していくことにしたのです」

こうして、NEXTの中でも重要なテーマの1つとして、「運用業務改革」が進められてきました。改革のファーストステージとなった2014年には運用標準化タスクチームが活動を開始し、運用標準化のためのロードマップを策定、続く2015~2016年度はセカンド&サードステージとして運用コスト削減マネジメントチームが主に活動し、守りの運用から攻めの運用へのシフトを図っていきました。

「それまでの業務は属人化していたため、ITサービスの品質が均一でない上、人材の流動性もなく、運用のコスト比率が高いという課題がありました。そこで、運用業務の標

グループの業務を熟知した情報システム子会社が高いサービス価値創出を目指す

や各システム担当者など複数の箇所で受け付けている状態であるため、今後は窓口をサービスデスクに一本化し、そこからインシデント管理製品を介して各担当者にタスクが流れるフローを構築する方針です。インシデント対応の情報を集約し、同じく可視化して継続的に改善していくことで、品質やユーザー満足度の向上、および運用部門の工数削減などにつながることが期待されます。

「弊社では、スキルがあり業務知識が豊富なのに、業務プロセスに無駄があることで、能力を発揮できないスタッフがいました。だからこそ、業務改善をしていけるプロセス確立に取り組んできました」と土井氏は話します。

事業部のビジネスに近いところにITで貢献する方法は、最先端技術や革新的なツールを導入することだけに限りません。既存の業務の改善とそれを継続的に行っていく体制の地盤を固めたYISSでは、これからもグループ各社へきっと新たな価値を提供し続けていくでしょう。

さらに、NEXTのビジョンに沿った契約の変更も行われました。これまでYISSは運用業務に関して、顧客であるグループ会社との契約を工数に基づいた料金で締結していましたが、2018年4月からはSLA(Service Level Agreement:サービス品質保証制度)に基づく新料金体系での契約に切り替えました。前述の「目指す姿」で宣言したように、文字通り「サービス」で価値を提供する姿勢を、料金面でも明確にしました。

こうした変化が可能になったのは、ITILに基づいた業務の標準化や体系化の成果であることはもちろん、蓄積された情報がServiceNowによって可視化されたことも大きな要因です。タスクが見えることは、作業量やコストの見通しを生み出すとともに、来た仕事をこなすだけの運用から、しっかりとマネジメントされた運用へと変化させることができます。

「旧料金体系での契約はすべて解約し、新料金体系で契約し直していただいています。今回の新たな運用料金体系は17のサービスメニュー、102のビジネスサービスとして定義し直しました。サービスが明確になったことで、ビジネスオーナーがコントロールできるようになっていますし、オーナーとYISSが業務で協業していくこと

レポート機能によって、蓄積した情報の見える化が容易に行えるようになった

お客様事例グループの業務を熟知した情報システム子会社が高いサービス価値創出を目指す

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で、ITコストの削減も可能です。これにより、運用においても提案型サービスができるようになりました」(土井氏)

<ServiceNow導入の効果>

● レポート機能により、肌感覚であった情報やデータが具体性を帯びることで、業務目標の立案や意識改革に好影響をもたらした

● 見える化を実現したことで、こなすだけの運用から、マネジメントされ、改善の仕組みを持つ運用へと変化した

● これまで行ってこなかったSLAの合意も行い、「運用業務」を「サービス」として提案していくことが可能となった

可視化されることで、「守りの運用」から「攻めの運用」への変革を目指す

YISSが運用契約をSLAベースに全面移行したことは、「守りの運用」から「攻めの運用」への変革のスタートという意味もあります。同社では今後、攻めの運用として、ITIL準拠のプロセスを通じ、継続的なサービス改善を行うだけでなく、測定できる結果を用いたユーザー側への改善提案、さらにはシステム設計段階からの運用企画にも関わっていこうとしています。運用スタッフが、より上流工程からプロアクティブに関わっていくことで、コスト削減と品質向上が両立しやすくなるからです。土井氏は、そこにもServiceNowが役立つと期待しています。

「2018年度はファイナルステージを終えて、いよいよバリューを得る段階に入ります。ServiceNowを使っていくことでデー

タが蓄積され、優れたレポート機能を活用すれば要点を押さえた形で可視化していくことができるようになります。実はこれまでもデータを自動で蓄積する仕組みがあったのですが、ほとんど参照されておらず、運用においてPDCAという考え方は希薄でした。可視化され測定できるようになってこそ継続的な改善が可能になると考えています」

「改善が行われないものはプロセスではない」という考えのもと、YISSでは事業に貢献できるサービス品質向上に努めていく構えです。土井氏は、「ユーザーから注文された作業を行うことは単なるオペレーションであって、サービスではありません。そういった気付きを社内で広く共有してもらえれば、当社が提供しようとしている価値に近付いていけるはずです」と期待を示します。

業務改革推進室では今後、ServiceNowを活用したサービスデスク機能の強化も行おうとしています。現状ではまだ、ユーザーからの問い合わせを、ヘルプデスク

準化を通じて属人化を解消し、サービス品質向上やコスト削減を図っていくことにしました。ファーストステージで運用標準化のロードマップを作成し、グローバルに通用する会社にすべくITILをベースとすることを決定しました」(土井氏)

<ServiceNow導入前の課題>

● 事業を熟知した情報システム子会社として、ビジネスに近いところでITによる成果を出せる企業へと変革したかった

● 守りの運用から攻めの運用に変革を進めるための運用業務の改善が必要であった

● グローバルに通用できるよう、ITILをベースとした運用の標準化が求められた

ITIL準拠のベストプラクティスが提供されるSaaSである点に注目

こうしてYISSでは、改革のセカンドステージを迎え、土井氏らのタスクチームはITILの勉強と現状の運用業務の調査を行いながらITILの有効性の検証を行い、プラットフォーム選定に進んでいきました。

土井氏らは、ITILを学びながら実際の業務に落とし込む取り組みを進める中で、ITILからさまざまな気づきを得たといいます。例えば、ITILを通じて運用の標準化や効率化、コスト削減を進めるだけでなく、NEXTで目指す「あるべき姿」を具体化していくことにも役立ちました。

「NEXTでは、『事業の課題を解決』『ソリューションを提案』といったミッションも掲げています。一方、運用コスト削減マネジメントチームのメンバーはチーム専任でなく、事業会社に提供しているシステムの運用・保守業務を担当していました。ミッションと現状の業務とのギャップはとても大きなものでしたが、何が足りないのかを考えていくうちに、『現状が見えないま

までは改善もできない』と気づいたのです。そこで、ITILによる見える化を期待しました。ITILは、継続的にサービスを改善していくアプローチを概念としてもっており、その改善プロセスは測定可能であることが前提となっています。測定できなければ改善もできないということを強く認識しました」(土井氏)

こうしてチームはITILへの期待をより高め、改革のイメージもつかんでいきました。さらに、2016年度のサードステージへ向けて、2016年3月に、ITILを実践するためのITサービスマネジメント製品の選定が行われました。11種類の製品を候補とし、YISSが必要とする各種機能の対応や費用などの条件で比較検討していき、最終的に選ばれたのが、ServiceNowのIT Service Management(ITSM)だったのです。

「まず、多言語対応であり、24時間稼働するグローバルの運用に対応でき、海外拠点や協力会社にも展開しやすいクラウドサービスとして提供されている点を評価しました。また、そこまで高額なものでないことなども1つのポイントでした」と土井氏は話します。

さらに、「ServiceNowはSaaSとして提供されており、いわばITILに準拠したグローバルの最新ベストプラクティスを形にしたような製品です。我々はServiceNowに触れることで、より具体的なITILのイメージをつかむことができました。エンジニアですから、実際に製品を触りながら概念を理解していく方が合うのだと感じました」と、土井氏は振り返ります。

<ServiceNowを評価したポイント>

● 多言語対応や24時間稼働を前提にしたグローバルでの運用に対応できること

● 海外拠点や協力会社にも展開しやすい

レポート機能で測定と可視化が容易に 業務の「サービス化」への移行も成功

2016年12月に開始されたServiceNowによるシステムの構築は、4カ月の構築期間を経たのち、ファイナルステージとなる2017年4月にカットオーバーを迎えました。稼働時はインシデント管理、問題管理、変更管理の各プロセスで利用を開始し、続いて10月には構成管理、2018年1月にはナレッジ管理にて利用されるようになっています。適用範囲も、当初はYISS社内だけでしたが、後にユーザー企業である事業会社にも順次拡大していきました。グローバルで運用展開された新規システムにも、一部ServiceNowを活用しています。導入効果として土井氏は次のように話します。

「レポート機能を活用していますが、月別の推移やカテゴリ別の表示で情報を把握しやすくなったのは有効だと感じます。インシデント情報が障害なのかその他の問い合わせなのか、その比率や件数が具体性を持って見える化されることで、業務目標を立案する際にも役立ちます。また、見えなかったものが見えるようになることは、やらなければならないことを明確化することにつながるので、現場の社員の意識に良い影響を与えています」(土井氏)

クラウドサービスであること

● ITILに準拠したグローバルの最新ベストプラクティスが提供されるSaaSであること

標準機能を活かしてベストプラクティスを展開、約4カ月の構築で運用開始

2016年度のサードステージでは、まずI T I Lに基づいたプロセスの設計と、ServiceNowのカスタマイズによって業務標準化への取り組みが進められました。カスタマイズとはいっても、このとき運用コスト削減マネジメントチームでは、ServiceNowをできるだけ標準のまま利用することに留意したといいます。

「カスタマイズによって属人的な運用となってしまっては、プロジェクトの意味がありません。ITILプロセスを設計していく上ではベストプラクティスを重視しました」(土井氏)

実 際 に 製 品 に 触 れ て いく中 で 、ServiceNowが当初から備えている機能やプロセスに学ぶことも多かったといいます。「構築においては実際、『我々はこう思う。ITILではこのような考えとなっている。ではServiceNowではどうなっているか』といった会話がよくありました。標準化を進める上で、自分たちの経験やプライドが邪魔をしないよう注意を払いました」と、土井氏は振り返ります。

サードステージでは、ITILの継続的改善プロセスのアプローチを社内へ啓蒙していく準備も並行して進められました。「ヤンマーグループ全体の業務効率を最適化するサービスの提供」と銘打ち、ITサービスマネジメントの実践を通じて「運用業務の目指す姿」を図にまとめ、2017年1月には専任組織としてプロジェクトを引き継ぐ「業務改革推進室」を発足させ、ファイナルステージへの布石としています。

産業用エンジンや農機、建機、船舶、エネルギーなどの事業をワールドワイドに展開するヤンマーグループ。同社は1912年の創業から100年を迎えた2012年に持株会社体制に移行し、次の100年に向けて「食」と「エネルギー」の分野で未来のテクノロジーを切り開く取り組み「YF2112」(YANMAR FUTURE 2112)を進めています。

そのヤンマーグループで情報システム分野の機能会社としての役割を担うのが、ヤンマー情報システムサービス株式会社(以下、YISS)です。旧ヤンマーディーゼルおよび旧ヤンマー農機の情報システム部門が機能分社化して1986年に設立されて以降、ITソリューションのトータルコンサルティングから情報システムの設計・構築、それを支えるITインフラ調達、さらに運用管理業務まで、さまざまな事業を手がけています。

YISSでは近年、「NEXT」という名の構造改革活動を、複数のフェーズに分けて中期計画として推進してきました。「グループ各社の事業をIT面からサポートする」という役割をさらに強固なものにしていくための取り組みで、「システム・サービス」「技術」「リレーション」「人財」「組織・拠点」「原価管理」「経営管理」「コスト低減活動」の8つの柱からなっています。同社業務改革推進室 グループ長の土井直哉氏は、NEXTに取り組むこととなった背景を以下のように語っています。

「当社は20年以上にわたってヤンマーグループのITに関わってきましたが、NEXTを開始した2014年当時は『日本中心型』『受け身型』『個別最適』といった状況でした。ヤンマーグループ唯一のソフトウェア企業として、ビジネスを熟知しているにもかかわらず、その強みを十分に発揮できていませんでした。事業会社側にしてみればYISSも数ある発注先の1つですから、我々も決して安穏としてはいられません。とはいえ現場は、日々の運用業務に追われてそれどころではありません。そこでNEXTには運用業務での改革も盛り込んで、強みを出せる構造に変革していくことにしたのです」

こうして、NEXTの中でも重要なテーマの1つとして、「運用業務改革」が進められてきました。改革のファーストステージとなった2014年には運用標準化タスクチームが活動を開始し、運用標準化のためのロードマップを策定、続く2015~2016年度はセカンド&サードステージとして運用コスト削減マネジメントチームが主に活動し、守りの運用から攻めの運用へのシフトを図っていきました。

「それまでの業務は属人化していたため、ITサービスの品質が均一でない上、人材の流動性もなく、運用のコスト比率が高いという課題がありました。そこで、運用業務の標

や各システム担当者など複数の箇所で受け付けている状態であるため、今後は窓口をサービスデスクに一本化し、そこからインシデント管理製品を介して各担当者にタスクが流れるフローを構築する方針です。インシデント対応の情報を集約し、同じく可視化して継続的に改善していくことで、品質やユーザー満足度の向上、および運用部門の工数削減などにつながることが期待されます。

「弊社では、スキルがあり業務知識が豊富なのに、業務プロセスに無駄があることで、能力を発揮できないスタッフがいました。だからこそ、業務改善をしていけるプロセス確立に取り組んできました」と土井氏は話します。

事業部のビジネスに近いところにITで貢献する方法は、最先端技術や革新的なツールを導入することだけに限りません。既存の業務の改善とそれを継続的に行っていく体制の地盤を固めたYISSでは、これからもグループ各社へきっと新たな価値を提供し続けていくでしょう。

さらに、NEXTのビジョンに沿った契約の変更も行われました。これまでYISSは運用業務に関して、顧客であるグループ会社との契約を工数に基づいた料金で締結していましたが、2018年4月からはSLA(Service Level Agreement:サービス品質保証制度)に基づく新料金体系での契約に切り替えました。前述の「目指す姿」で宣言したように、文字通り「サービス」で価値を提供する姿勢を、料金面でも明確にしました。

こうした変化が可能になったのは、ITILに基づいた業務の標準化や体系化の成果であることはもちろん、蓄積された情報がServiceNowによって可視化されたことも大きな要因です。タスクが見えることは、作業量やコストの見通しを生み出すとともに、来た仕事をこなすだけの運用から、しっかりとマネジメントされた運用へと変化させることができます。

「旧料金体系での契約はすべて解約し、新料金体系で契約し直していただいています。今回の新たな運用料金体系は17のサービスメニュー、102のビジネスサービスとして定義し直しました。サービスが明確になったことで、ビジネスオーナーがコントロールできるようになっていますし、オーナーとYISSが業務で協業していくこと

インシデントもシステム上で一元化され、ステータスが容易に把握できる

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