釈尊の呼吸法 Buddha's Breathing

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村木 弘昌氏の著作「釈尊の呼吸法」のダイジェスト版 Digest of BOOK「Buddha's Breathing」 関連サイト:仏陀の呼吸道  URL:http://breathway.blog.fc2.com/

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『釈尊の呼吸法』~大安般守意経に学ぶ~

作者:村木 弘昌発刊日: 2001年 12月 10日

発刊元:春秋社

「 Book   Digest 」

目次

第一部   釈尊と呼吸 ・呼吸と人生 ・釈尊の苦行と悟り ・息を止めるな ・数息について ・アナパーナー・サチに対する医学の見方 ・釈尊の呼吸と現代病 ・失った健康は取り戻せる ・生体の全機 ・四聖諦(苦集滅道)の組み立てとその展開

第二部   大安般守意経に学ぶ

第一章   アナパーナ・サチと修証 第二章   出息長・入息短 第三章   数息の進展 第四章   大自然と自己を見据える 第五章   悪を捨て行く還 第六章   浄めゆかなむ身と心 第七章   正しい呼吸から真の智慧 第八章   アナパーナ・サチの展開 

第三部   現代に蘇るアナパーナ・サチ ・吸う息は鼻から ・腹式呼吸と丹田呼吸の違い ・釈尊の長息と短息について ・赤ん坊の呼吸は丹田呼吸、そして変わりゆく ・動と静・二境の丹田呼吸 ・釈尊の呼吸と現代病 ・仏道における丹田呼吸 ・釈尊の呼吸は武道、芸道でも活用される ・釈尊の呼吸と現代 ・詩偈斉唱 ・マラソンと座りマラソン ・横隔膜の特性 ・長息(長呼気丹田呼吸)の進み行くところ ・ガンの完全予防はいつの日か ・大自然とわれとを繋ぐもの ・地球は楽土、息は自然息

【本の概要】良い呼吸、すばらしい呼吸は心身を爽快にし、人生を明るくする。古代インド伝来の瞑想システムを現代西洋医学の視点から読み解く。

大安般守意とは?安はサンスクリット語の āna[アーナ]で入息、 般は nāpānaで出息、  satiはパリ 語で念の意味。ー

大安般守意経は釈尊の入出息念(呼吸法?)を弟子達が経典したものを安世高あんせいこう (?~ 170)が後漢時代の洛陽で漢訳したもの。サンスクリット、バーリ語の原典はなく、漢訳されたものしか現存していない。

釈尊の入出息念についての経典はそのほかに①求那跋陀羅訳『雑阿含経』巻廿九第 801経から 815経までの一連の経、②伽提婆訳『増一阿含経』巻二「広演品第三」(第八経)ならびに巻七の「安般品第十七」(第一経)などが有り。

『大安般守意経』の訳者である安世高は、安息国すなわち古代イランの帝国パルティア( Pārtiyā[パールティヤー])の皇子でありながら、父王没した折にはその跡を継がずに出家して沙門となり、ついに西暦 147年頃(後漢の桓帝代)、支那に至り、支那で最初に仏典翻訳に従事して数々の漢訳経典を遺した偉大な僧です。

釈迦と呼吸法

釈迦は「生・老・病・死の苦」からの解脱を求めて出家し、苦行 6年間しても悟りをできない為、苦行では悟りが得られないと考え 苦行を止め、その後、釈迦は村娘スジャータが作ってくれた“牛乳がゆ”を食べて体力を回復させると、ガヤー村の菩提樹の下で静かに座禅を組んで瞑想に入った。そして、瞑想開始から 49日後の 12月8日未明に悟りを開き、彼は「菩薩(修行者)」から「仏陀(覚醒者)」となった。その後、正覚後、しばらくして 90日間のアナパーナ・サチを行い心身両面で得るところがあり、その法を弟子に語った。

その内容は次のページ

「弟子たちよ、私はこの3ヶ月間に入出息法を念じて、多く得るところがあった。入息、出息、長短の息などの様々な息を、実の如く知った。かくするならば、身体は疲れず、眼も患まず、観へるままに楽しみて住み、あだなる楽しみに染まぬことを覚えるであろう。かように入息出息法を修めるならば、大いなる果と、大いなる福利を得るであろう。かようにして私は、粗い思惟から更に深く禅定に進みて、慈悲の心を得、迷いを絶ち、より微細な思惟に入った」(雑阿含教第 29第6経)

具体的な十六の呼吸法の内容は次のページ

十六特勝~具体的な入出息~

十六特勝とは、数(数えること)・相随(従うこと)・止(留めること)・観(観察すること)との四つ、あるいはこれに還(転じること)・浄(完全なる清浄)の二つを加えた六つの行・要素からなる、とされる安般念(アーナーパーナー・サティ)の内容で、呼吸と身心の状態など、念の対象となるものを十六に列挙したものです。

① 数息  「ひとーつ、ふたーつ」と吐きながら呼吸数をカウント、心を数息に集中。

②相随  ①数息を繰り返すことで、雑念が消え、己の意識が五感の乱れから脱する。

③止   明鏡止水の境地 、気分の浮き沈みのない、浄化されゆく心を感じる。

④観   澄んだ心で意識を世界(大宇宙)に移し、すべてをあるがまま観察する。  ⑤還   己の意識を、本来の自分に戻し、自身(小宇宙)をあるがまま観察する。   ⑥淨   森羅万象の境地 大いなる宇宙と己の小宇宙が一体となる。

【十六特勝】呼吸による気づきの教え(アーナパーナサティ・スッタ)

 修行者は森に行き、樹下に行き、あるいは空家に行って、足を組んで坐り、身体をまっすぐに保って、対象に満遍なく気づきを向け、気をつけて息を吸い、気をつけて息を吐く。

最初の四考察(身体に関する組)1.息を長く吸っているときには「息を長く吸っている」と知り、  息を長く吐いているときには「息を長く吐いている」と知る。2.息を短く吸っているときには「息を短く吸っている」と知り、  息を短く吐いているときには「息を短く吐いている」と知る。3 .「全身を感知しながら息を吸おう、  全身を感知しながら息を吐こう」と訓練する。4 .「身体の動きを静めながら息を吸おう、  身体の動きを静めながら息を吐こう」と訓練する。

 

【十六特勝】呼吸による気づきの教え(アーナパーナサティ・スッタ)    

第二の四考察(感受に関する組)

五.「喜びを感じながら息を吸おう、喜びを感じながら息を吐こう」   と訓練する。

六.「安楽を感じながら息を吸おう、安楽を感じながら息を吐こう」   と訓練する。

七.「心の動きを感じながら息を吸おう、心の動きを感じながら息を吐こう」   と訓練する。

八.「心の動きを静めながら息を吸おう、心の動きを静めながら息を吐こう」   と訓練する。

 

【十六特勝】呼吸による気づきの教え(アーナパーナサティ・スッタ)    

 

第三の四考察(心に関する組)

九.「心を感じながら息を吸おう、心を感じながら息を吐こう」  と訓練する。十.「心を喜ばせながら息を吸おう、心を喜ばせながら息を吐こう」  と訓練する。十一.「心を集中させながら息を吸おう、心を集中させながら息を吐こう」  と訓練する。十二.「心を解き放ちながら息を吸おう、心を解き放ちながら息を吐こう」  と訓練する。

 

【十六特勝】呼吸による気づきの教え(アーナパーナサティ・スッタ)    

第四の四考察(法則性に関する組)十三.「無常であることを繰り返し見つめながら息を吸おう、    無常であることを繰り返し見つめながら息を吐こう」と訓練する。

十四.「色あせてゆくことを繰り返し見つめながら息を吸おう、    色あせてゆくことを繰り返し見つめながら息を吐こう」と訓練する。

十五.「消滅を繰り返し見つめながら息を吸おう、消滅を繰り返し見つめ    ながら息を吐こう」と訓練する。

十六.「手放すことを繰り返し見つめながら息を吸おう、手放すことを    繰り返し見つめながら息を吐こう」と訓練する。

  パーリ語原典より、井上ウィマラ訳)

参考サイト:真言宗泉涌寺派大本山 法楽寺

 第二章   出息長・入息短

* 数息について数息とは、数をかぞえながらする呼吸のことです。初めに正しい姿勢で座ります。(起立姿勢、椅座―椅子に座る、安座、正座)みずおちを落として肩の力を抜き、喉に力を入れないで下腹から出てくる息でヒトーツ、フターツとかぞえてゆきます。一回の呼気の長さは、最初は、5秒前後を標準とします。一から十までかぞえたら、また一からはじめます。数と数の間は、力を抜いて、軽く息を吸います。継続時間は、少なくとも5分間は続けます。さらに効果的な方法は、みずおち下に括れを作り、そこを軸にして上半身を静かにやや前方に倒しながら呼気をすると、横隔膜の働きが良くなります。

数息には呼気数息と吸気数息があります、は呼気数息は声を出しながら息を数える(無声でもよい)、吸気数息は息を吸いながら数えるから無声数息です。

出る息は長く、入る息は短く入る息は短くてもよいが出る息はつとめて長くすることを心懸けて行くと、次第に雑念が起こらなくなります。・・・・出息長こそが釈迦の呼吸法のバックボーンになっていることを心に留めて行きたい。

 

調和道

【数息】

肩の力を抜き、のどに力をいれないで「ひとつ」「ふたつ」とひと息ごとに    数を数えて吐きます

上虚:上半身の力を抜く

下実:下半身をどっしり構える

ひとつ

ふたつ

みっつ

呼吸は姿勢が大切、『上虚下実』が基本になります

【数息】

みぞおち下にくびれをつくり、そこを軸にして上半身を静かに前方に倒しながら「ひとつ、ふたつ」と発声する。

『目から鱗』

現在、TV等健康、美容の効果あるメソッドとして禅、ヨガ、気功等の呼吸法が紹介、取り上げられているがその元祖が仏教を開いた釈迦である。そして、釈迦が悟りを得るために開発した呼吸法を弟子に説法した仏典が大安般守意経(アナーパーナーサチ)である。

評価:評価ランク:☆☆☆☆★   四つ星

呼吸法の効用を医学的に説明し、病の根源は呼吸の不具合から生じていると具体的DATAを基に説明。著者は息を止めるなと怒責の弊害を何度も述べているがブッタは息を止めることの弊害を説いていない。ヨガの場合、クンバカ(止息)は重要なトレーニングのひとつである。

こちらのサイトも参考、願いします。

関連サイト:仏陀の呼吸道 

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