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スタートアップの組織内 コラボレーション まったく新しいニュースアプリの事例 JX通信社(vingowの開発) 細野 雄紀

スタートアップにおける組織内コラボレーション 〜まったく新しいニュースアプリの事例〜

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スタートアップにおける組織内コラボレーションをベースに、創造的な組織を形作るための方法(パターン・ランゲージの例)、組織における「環境」やモノづくりにおける「マナー」などを取り上げました。

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Page 1: スタートアップにおける組織内コラボレーション 〜まったく新しいニュースアプリの事例〜

スタートアップの組織内 コラボレーション

まったく新しいニュースアプリの事例

JX通信社(vingowの開発) 細野 雄紀

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自己紹介 JX通信社 細野雄紀 @healthyboy5

2012年4月:ジョイン 2013年4月より現職

学生時代は知識科学・教育工学系の研究室

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プロダクトの紹介

http://vingow.com/

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プロダクトの紹介

忙しいあなたに、 最高に捗るニュースアプリを。

「探す時間も、読む時間も短く」 余った時間を創造的に活用しよう

②記事の自動要約(日本初)

①タグベースで情報収集

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プロダクトの紹介

アジャイルに関連した記事が リアルタイムに自動要約されて集まる

例:タグ「アジャイル」を フォローすると…

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本題

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いかに人間同士が連動するか

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テーマ:「創造的な組織」を作る

人間は誰かと・どこかしらの環境で・ 何かしらの創造活動をする

ただでさえ複雑な人間同士の創造性を いかに引き出し、最適な風土を作るか

個人の創造性を組織に活かすためには?

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チーム

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チーム

平均年齢22歳のスタートアップ

•  早稲田OB+現役生が中心 •  経験が浅く、組織を自ら作る •  エンジニアが大半を占める •  代表はCSSすら書けない

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「コラボレーション」とは

協働

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「コラボレーション」とは

構成員が個性や自律性を発揮し、その響き合いが新しい価値の創出をもたらす

(抜粋)未来を創出する共同の営み:コラボレーションとは何か http://web.sfc.keio.ac.jp/~tomohito/lecture/CD06/fukaya_collabo.pdf

   複数者の相互作用がもつ創造性を 意図的に発現させようとする共同作業

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チーム    グループ

同質的で忠実 多様的で自由

(参考)ザ・チーム日本の一番大きな問題を解く http://www.amazon.co.jp/dp/4822249247

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多様なメンバーを扱う 誰ひとりとして同じ人はいない

年齢 性別 性格 思考

経験 立場 役職 趣向

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僕らは永遠に分かり合えない 完全に知識を伝達することは不可能

知識の分類:

①形式知(言葉で伝えられる) ②暗黙知(言葉では伝えられない)

例:老舗ラーメン店に行って、ラーメン作りのコツを教え

てくれと頼んでも伝わらない (積み重なった経験を言語化するのは極めて難しい)

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形式知

暗黙知

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多様性を受け止めよう •  知識・思考は統合できない •  それぞれ見えているもの・知っていることは大きく異なるという前提を理解する

  潜在的な知識や思考をいかに「引き出し」 「共有し」「活用するか」に目を向けよう

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多様性の効用

多様性 意思決定の 質の向上

幅広い 知識

深い知識

業績向上

(参考)IMD2007-2013 「Diversity Improve Performance」

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パターン・ランゲージの活用

組織を創造的にする (=クリエイティブ・シフト)

国内だと慶応大学の井庭研究室が著名 http://web.sfc.keio.ac.jp/~iba/sb/

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パターン・ランゲージとは 「状況」と「問題」、そして「解決法」が

セットになって記述

(抜粋)創造社会を加速させるクリエイティブ・メディア: パターン・ランゲージの新しい可能性 http://www.slideshare.net/takashiiba/ss-18786838

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パターン・ランゲージとは 建物や街の形態に繰り返し現れる法則性を「パターン」と呼んだ(1977)

•  パターンを共通言語として共有 •  デザイン対象がシフト –  「モノ」から「人間活動」へ

提唱者:建築家の クリストファー・ アレグザンダー

画像:http://ja.wikipedia.org/wiki/クリストファー・アレグザンダー

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パターン・ランゲージの利点 •  経験則の明文化 – 初心者であっても、洗練された方法で問題解決ができる

•  共通言語の提供 – 複雑な関係性について、チーム間で簡単に言及できるようになる

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自生的秩序を促す

具体的なボトムアップ (自由・多様)

抽象的な仕組み (制約)

    自生的秩序

外部からトップダウンに形成される秩序ではなく、 自分自身で成長し、形成される秩序

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コラボレーション・パターン

慶応大学 井庭研究室 http://collabpatterns.sfc.keio.ac.jp/

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コラボレーション・パターン例(1)

「レスポンス・ラリー」 【状況】 プロジェクトが動きだし、報告や連絡、相談などがなされている。 【その状況下で】 返答に長い時間を要すると、プロジェクトの進行が滞るだけでなく、メンバーのモチベーションも下げてしまう。 【そこで】 小さくてもよいので反応を示す。 【その結果】 進行がスムーズになる。さらに、コミュニケーションが頻繁に起こることによって、プロジェクトに活気が出てくる。 http://collabpatterns.sfc.keio.ac.jp/No6.html

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コラボレーション・パターン例(2)

「期待を超える」 【状況】 やってきたことがひとまずカタチになった。 【その状況下で】 事前に想定していたのと同じようなものには、驚きや感動は生まれにくい。 【そこで】 受け手が想像していると思うものを想像し、それを超えるように成果を育てていく。 【その結果】 受け手は自分も負けないようにと意欲が湧く(好循環が生まれる)。 http://collabpatterns.sfc.keio.ac.jp/No28.html

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実際の例

http://collabpatterns.sfc.keio.ac.jp/No28.html

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エンジニアとデザイナの例 •  デザイナーのレスの早さやアウトプットの質の高さに、エンジニアが触発される

•  「こんなことできるよ」とエンジニアがデザイナーに提案

•  技術面を考慮したデザイナーが再提案

一人の知識や考えを超えたものを生み出した

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コラボレーションの視点は非常に重要

•  ビジョナリー •  多様なメンバー •  こだわり •  自律性 •  熱意 •  ルールがない(不文律の塊) •  明確な目的意識

スタートアップだからこそ…

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最後に… あなたの組織は創造的ですか?

•  コラボレーションという「変数」が存在することを知り、メンバーに共有する – 改善は目を向けることで始まる

•  改善すべきは組織風土かもしれない – 人々ではなくチームの「機構」に働きかける

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  参考資料

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創造的な人材 参考資料

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創造的なリーダーシップ •  聞き耳のリーダー – 自分の考えが間違っているのかもしれないという思いを常に小脇に抱えるべき

– 多様な意見を「促す」仕掛け •  進むべき行き先を示す – 共感を得るビジョンを打ち出す

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リーダーシップの6分類 •  指示命令型(52%) – 言ったとおりにやれ(即座の服従)

•  ビジョン型(63%) – 「なぜ」を分からせる(長期視点の提供)

•  関係重視型(60%) – まず人、次に仕事(調和の形成)

数字は、イノベーティブだとされる企業のリーダーシップスタイルの割合 (調査)ヘイグループ, 2011年1/1~12/31

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リーダーシップの6分類 •  民主型(58%) – メンバーへの参画(情報の吸い上げ)

•  率先垂範型(42%) – 先頭に立つ(模範の提示)

•  育成型(59%) – 長期的な育成(能力の拡大)

数字は、イノベーティブだとされる企業のリーダーシップスタイルの割合 (調査)ヘイグループ, 2011年1/1~12/31

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彼我の知識生産パターンを知る

ストーリー型

因数分解型 システム思考型

この事業の問題点は ◯◯です。そのために ××すべきです

この事業部の問題点は 3つあって…

事業の売り上げが上がらないのは ××で、その理由は◯と△で、でも それを解消すると◯×に矛盾が…

……..……..……..……..……..……..……..……..……..……..……..……..……..……..……….…..……..

「伝える」ための ロジック

「問題解決」のロジック

(抜粋)「Think!」Winter 2013 No.44 P.68 より

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創造的な風土 参考資料

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創造性のためのマナー

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•  「HRT」(「Team Geak」より引用) – 謙虚(Humility) – 尊敬(Respect) – 信頼(Trust)

•  行動・言動は干渉する – 1人の態度や行動が他者に影響を与える

•  一人ひとりが違いを肯定的に受け入れる

モノづくりのマナーを守ろう

(引用)Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか http://www.amazon.co.jp/dp/4873116309

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規律と遊び

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“間抜け”アリのパラドックス •  蟻の巣からエサまでの経路をアリAがマーキングによって最初に指示する

•  マジメアリはまっすぐ「効率的」に進むが、間抜けなアリは途中で脱線する

•  間抜けなアリがより適切なルートを発見し、中長期的に「効率化」されていく

(参考)働かないアリに意義がある http://www.amazon.co.jp/dp/4840136610

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ブリコラージュ •  南米インディオの習性 •  将来なにかに役立ちそうなものをジャングルで収集

•  後々価値を生み出す可能性がある

予定調和的な思考の限界

(参考)レヴィ=ストロース「悲しき熱帯」 (参考)http://ja.wikipedia.org/wiki/ブリコラージュ

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効率化は必ずしも効率的でない •  3M – 労働時間の15%を自由に研究に使える – 一方で厳しい商品売り上げ管理を行う

•  中長期的な創造性 – 短期的に組織を効率化しすぎるとイノベーションが発生しにくくなる

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「学習する組織」化 未来を創り出す能力を持続的に伸ばす

•  企業内外の複雑な相互作用を把握する力を養う •  組織メンバーのコミットと創造性を高める •  個人の力を結集するスキルを養う

(参考)学習する組織――システム思考で未来を創造する http://www.amazon.co.jp/dp/4862761011

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創造的な環境 参考資料

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魚を飼うことは水を飼うこと

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魚を飼うことは水を飼うこと 「魚を飼うということは、水を飼うということ」である。とにかく、健康な水をキープできていれば、魚は元気に生き続ける。

魚を飼っている、なんて思わないほうがいい。水を飼っていると考えたほうがうまくいく。あなたのいる環境は、元気ですか?

糸井重里「今日のダーリン」2004年4月23日より

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環境はすべての土台 •  魚を元気にする – 魚に働きかけるのではなく、水に働きかける

•  水を管理しよう – メンバーが創造的でいられるために必須 – 人材管理者は「環境」に目を向けるべし

(参考)中原淳:「組織活性化」を問い直す:経営学習論・組織論の知見から http://hr-conference.jp/report/r06/basic.html

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動機をデザインする マクレランドの欲求理論

•  達成動機 設定した水準や目標を達成したい

•  親和動機 他者と親密で有効な関係を築きたい

•  パワー動機 組織や社会に影響を与えたい

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経験をデザインする メンバーの経験則に着目する

•  共通体験を生み出す工夫 – 透明な「場」の提供 – ワークショップの実施

•  経験を共有する仕掛け – 自由闊達な議論 – 本音のやりとり – 勉強会の実施

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弊社では開発者を募集中です

なぜか社内で餃子パーティやったときの光景

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参照用URL •  vingow[ビンゴー]

http://vingow.com/ •  株式会社JX通信社

http://jxpress.net/

細野雄紀 @healthyboy5 Twitterで気軽に話しかけてください!

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