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『仕事の流儀』と題して自社内の社内勉強会用に作成した資料です。第1回基本編として、「優れた仕事の条件」とは何かを「QCDとスコープ、リスク」というフレームワークを活用して説明しています。また、「コミュニケーションの基礎」について受け取り方、考え方、伝え方の3つのプロセスで気をつけるべきことを説明しています。
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『仕事の流儀』第 1回 基本編
はじめに
3Copyright © 2014 Hirotaka Nishimiya All rights reserved.
目的メールの書き方、報告 / 連絡 / 相談の仕方など基本的な仕事の仕方を振り返ります。みなさんが行っている仕事は技術力だけあれば問題なくこなせるものではありません。段取り良く作業をこなし、適切なコミュニケーションを行えて初めて成果になります。高い技術力を大きな成果に結び付け、信頼されるコンサルタント・エンジニア(もしくはそれ以外の何かしら)になるための仕事の仕方を学びましょう!1. コミュニケーションの方法
① 上司とのコミュニケーション
② クライアントやオフショアとのコミュニケーション
2. 文書の書き方① メールの書き方
② 障害報告の書き方
③ 議事録の書き方
④ 英語での文章の書き方
3. 運用保守業務の心構え① 内部統制の意味
② 文書管理の仕方
4Copyright © 2014 Hirotaka Nishimiya All rights reserved.
想定参加者若手メンバには是非参加してほしいと思っています。それ以外にも仕事の進め方に疑問を持っている方や技術力の高い方が次のステージに移るための土台固めとして参加してもらえればと思います。
B/N-2 年目の若手メンバ
転職組で働き方の理解を深めたい方
何となく上司と噛み合わないと思っている方
自分の技術力に自信がある方
1-2 年目の皆さんはここでお話するようなことがすべて完璧なはずがないと思ってください。同期に遅れを取らぬよう、是非参加してください。
会社が変われば文化が変わるものです。非公式トレーニングなのでお約束は出来ませんが、きっとここでの働き方への理解が深まると思いますので是非参加してください。
もしかすると自分の仕事の仕方が原因かも知れません。自分では出来ていると思っても意外と出来ていないものなので、振り返りのためにも是非参加してください。
技術力のある方は得てしてこのような所作を軽視しがちです。その技術力を十二分に発揮し、それをフェアに認めてもらうためにも、是非参加してください。
第 1回 基本編
6Copyright © 2014 Hirotaka Nishimiya All rights reserved.
アジェンダ• 優れた仕事の条件
– Scope– Quality– Cost– Delivery– Risk
• コミュニケーションの基礎– 受け取り方– 考え方– 伝え方
優れた仕事の条件
8Copyright © 2014 Hirotaka Nishimiya All rights reserved.
仕事のパフォーマンスを決定する 4 要素仕事のパフォーマンスは QCD とスコープで決まります。求められたスコープの作業をより低いコスト、より早いタイミング、より高い品質で提供することがハイパフォーマンスな仕事と言えます。
HighPerformanceC
ost
Delive
ry
Scope(求められている事・作業範
囲)
Quality(作業品質)
(
作業工数・残業
)
(
納期・
TAT
)
9Copyright © 2014 Hirotaka Nishimiya All rights reserved.
4 要素に潜むリスク求められる QCD とスコープで正確に把握出来たとしても時が経つとスコープ自体が変化したり、思ったように仕事が進まなかったりします。そういったリスクを早期に検知し対処していくことも気をつけなければいけないことです。
Scope
Quality
Cost
Delivery
時間が経ったらクライアントや上司が違うことを要求してくる
環境が変わり、求められるものが変化する
オフショアに作業を依頼したが、求めていた品質には程遠い成果物があがってくる
着手後に想定以上の工数がかかることが 判明する
飛び込み案件が発生しコミットした期限に間に合わなくなる
自分や身内の不慮の事故・病気
リスクの例
* 「リスク」の定義は文脈や使用する領域により様々ですが、ここでは起こりうる問題の意味で使用しています。
10Copyright © 2014 Hirotaka Nishimiya All rights reserved.
仕事の優劣を決める 5つのポイント求められている QCD とスコープを見極めた上でバランスさせ、リスクを最小化させておくことが「シュアな仕事」のポイントです。
11Copyright © 2014 Hirotaka Nishimiya All rights reserved.
Scope1. プロジェクト・システムを理解する
2. 自分で動くべき範囲を把握する
12Copyright © 2014 Hirotaka Nishimiya All rights reserved.
Scope 1. プロジェクト・システムを理解するプロジェクトの目指すべき方向や、システムの目的を理解しないまま与えられた仕事だけをしていたら、いつまでも与えられた仕事しか出来ません。
• プロジェクトの目的はなにか− コスト削減?
− 新たな価値の創造?
− 実験的プロジェクト?
• システムの目的はなにか− 誰がユーザ?
− 何のために使っている?
− どう役立っている?
• プロジェクトの目的や概要が分かる資料に目を通す− 提案書や計画書
− プロジェクト・各チームの報告資料
• システムの目的や概要が分かる資料に目を通す− システムマップ
− 業務・システムフロー図
− IF概要・一覧
考えるべきこと 行うべきこと
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Scope 2. 自分で動くべき範囲を把握する「自分がどこまでのことをすべきか」はなかなか上司から明確な指示はありません。失敗を繰り返しながらでも動くべき範囲を定め、広げていきましょう。
• 自分の役割について上司と認識が一致しているか
• 上司の仕事だが自分に出来ることはないか• 自分がやることで上司・クライアントや他
メンバはどれだけ助かるのか• やらなくてもいいことまでやっていないか
• SO などの機会に自分の役割・上司からの期待値を明確にする
• どこまでやれば作業完了とするかを上司やクライアントと認識合わせする
•率先して上司の仕事を”奪う”• クライアントから直接依頼された作業でも安請け合いせずやるべき内容か判断する。判断出来ない場合は上司に相談する
• 自分の責任範囲外のことを聞かれた場合「それは僕の担当ではありません」と答えずに、フレキシブルに動いてみる
考えるべきこと 行うべきこと
14Copyright © 2014 Hirotaka Nishimiya All rights reserved.
Quality1. 今必要な品質レベルを見極める
2. セルフレビューで品質担保する
15Copyright © 2014 Hirotaka Nishimiya All rights reserved.
Quality 1. 今必要な品質レベルを見極める最初から最高品質を目指し愚直に作業をしてしまっては、方向性が間違っていた場合に修正困難になります。 Quick & Dirty でまずは方向性を合わせましょう。
• 次回のマイルストンではどの程度の品質が必要か− 最初に求められる品質は往々にして高くない
•最終成果物に必要な品質はどの程度か
• “Quick & Dirty“:素早く、概要を掴む− 全データを最初から全てチェックせずに、サン
プリングで全体概要を掴む(やばそう、大丈夫そう等)
− 素早く必要な量だけ作業し概要が掴めれば、その後に残りを 念のため確認すれば良い
• 早いタイミングでたたき台を提示する− スピードと品質にトレードオフが存在すると信
じ時間をかけるより、早くアウトプットし識者にぶつけ揉んだほうが結果的に品質は高まる
− 一人が考えることには限界があるため、うまく他力を活用することがスピード & 品質面で好結果を生む
考えるべきこと 行うべきこと
※ 参考:パレート( 80対 20 )の法則成果の 8割は費やした時間全体の 2割から⇒ 作業全体のうち、どの 2割が成果 8割に結びつく(=レバレッジの高い)作業かを見極め、まずその作業から着手する
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Quality 2. セルフレビューで品質担保する上司やクライアントをスペルチェッカーとして使わないように、また報告・説明時に自分で考えこんでしまわないようにセルフレビューを行いましょう。
• 自分が 30 分作業を追加することで上司の作業を 30 分減らすことが出来ないか− 通常上司の時間単価は自分よりも高く貴重なの
で、同じ時間を費やすのであれば自分が余分に作業したほうが全体最適化する
• 作成した成果物を自分の言葉で説明出来るか− 言われたまま作成した成果物は自分でも上手く説明出来ず、その場合の品質は往々にして高くない
• 成果物提出前にセルフレビューを行う− 誤字・脱字チェック
− 前後の流れがおかしくないか
− (出来れば声に出して)ひと通り説明
考えるべきこと 行うべきこと
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Cost1. 無駄な作業をしない
18Copyright © 2014 Hirotaka Nishimiya All rights reserved.
Cost 1. 無駄な作業はしない過去のアセットを有効活用して無駄に時間を使ってしまうことを避け、また再利用性を考えて未来に無駄な作業を発生させないように気をつけましょう。
• これまでに同じような作業が発生していないか− 誰かが一度作業したことがあるはずのものを 1
から作ろうとしていないか
• これから同じような作業が今後も発生しないか− 一度きりであることが確定している作業であれ
ば構わないが、そうでなければ再利用性を考えたり、自動化を検討する
• アセットや人を利用する− 類似した作業が以前行われていないか確認し、
アセットや成果物を利用する(当時・現在の共通点・相違点を確認し流用する)
− 何でも自分で調べようとせず、聞けば一瞬で解決することは素直に聞いてしまう
•再利用しやすいコード・資料を作成する− ハードコーディングを行わない
− 各スライドでフォント・デザインを調整せずスライドマスタを変更する
− Excel では直打ちの量を減らし自動計算させる
• 何度も・みんなが行う作業は自動化・ツール化する
考えるべきこと 行うべきこと
19Copyright © 2014 Hirotaka Nishimiya All rights reserved.
Delivery1. 期限や優先順位を意識する
2. 着実に仕事を進める
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Delivery 1. 期限や優先順位を意識する自分の持っている作業は「いつまでに」、「どういう順番で」こなす必要があるかを常に把握しておく必要があります。また独りよがりにならずに、それを関係者と認識合わせしましょう。
• この作業の期限はいつまでか− その期限は依頼元と認識が合っているか
− 何に基づき期限が設定されているか
•担当する作業の優先順位は明確か
• 何か用事を頼まれたら、急ぎの用事かどうか、いつまでに必要かを確認する
•複 数の 人から依頼を受けた場合は両者と優先順位を合意する
• 期限を遵守する− 努力目標である完了予定日は調整可能だが、業務
イベントに基づいた期限を過ぎてしまうとクライアントに迷惑がかかってしまう
考えるべきこと 行うべきこと
21Copyright © 2014 Hirotaka Nishimiya All rights reserved.
Delivery 2. 着実に仕事を進める作業を開始する前に、まず最初にゴールをイメージした上でそこまでの道筋を決めましょう。作業を始めたら自分の作業とその状況をいつ聞かれていいようにしておきましょう。
•ゴールまでの道筋は明確か• 自分は今ゴールに対してどの地点にいるの
か• 作業に必要な知識で自分に足りないものは
ないか− どこまで分かって、どこからは分かっていない
のか?
− 言われたままただ行うだけならば問題ないが、そこで発生するリスクを検知・対処出来るだけの背景まで理解出来ているか?
•ゴールまでに必要な作業を分解し、順序付けする
• いつ聞かれても良いように、作業の状況を随時正確に報告できるようにしておく− 万が一作業が遅延する、やりきれない場合はそ
の理由を明確にして報告する。ただ「遅れます」では上司もクライアントに説明出来ないし、今後の対処も行えない
• 作業のために必要な知識が足りないと思ったら、前もって上司に共有する− 上司はそれを受け KT 要否を判断をしたり、し
ない場合のリスクを認識出来る
考えるべきこと 行うべきこと
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Risk1. リスクを見極め対処する
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Risk 1. リスクを見極め対処するリスクに対しては識別・分類→評価→優先順位付け→対応策検討→対応実施の5 ステップで対応します。
識別・分類 評価 対応策検討 対応実施優先順位付け
リスクを漏れなく洗い出しカテゴライズしながら一覧化する
リスクに重み付けをする
リスクを軽減・回避するための施策を検討する
検討した対応策に実行に移す
評価で行った重み付けをベースに対応すべき順序に並び替える
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Risk 1. リスクを見極め対処する自分の作業全体をイメージしてどのようなことが起こりうるかを検討し、適切な対処をしておきましょう。また将来のリスク対応のためにも周りで起こっていることから教訓を得ておきましょう。
• どのようなことが起こる可能性があるか•「最悪の状況」が発生した場合どうなるか• リスクに対応する方法は何が考えられるか
• 作業全体をイメージしてどんなことが起こりうるか、どんな危険性をはらんでいるか検討する
• 定量的にリスクを評価するクセをつける(発生可能性、頻度、影響範囲、重大性など)
• リスク評価結果や対応策を上司と共有し、判断出来なかったことは判断を依頼する
•計画は自分の限界で立てるのではなく、肉体的な余裕や突発的な作業に対応するための余裕を持たせる
• 自分やその周りでどのようなこと(障害など)が起こったかを把握し、知識として蓄えていく
考えるべきこと 行うべきこと
コミュニケーションの基礎
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コミュニケーションの基礎1. 受け取り方
2. 考え方
3. 伝え方
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コミュニケーション 1. 受け取り方依頼や質問を受け取ったときは言葉通りに受け取らず、その背景や経緯に思いを馳せ、不明な場合は確認を忘れずに。また同じことは 2度聞かないで済むようにしましょう。
•依頼や質問の背景・経緯は何か− 言葉通りに受け取らず、なぜそう言われたか
− 指示されたことのみで目的達成できるのか
• 相手が見落としていることはないか
•不明点を明確にする− 依頼の場合、 IPO (インプット、プロセス、アウトプット)が明確か、自分として腹落ちしたか確認する
− 曖昧なまま、憶測・推測で作業に移らない
− 相手が何か見落としていると気付いたらそのまま作業せずに認識合わせを行う
− 自分の理解を言葉・文章・図にして、どこまで理解しているか伝え分からない点を絞って聞く
• 同じことは 2度聞かない− 常にメモを取るように心がける、上司などに呼
ばれたときはメモも持っていく
− とはいえ分からなくなってしまった場合は正直にもう 1 回聞く(怒られる覚悟で)
考えるべきこと 行うべきこと
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コミュニケーション 2. 考え方ただ事実を羅列するのではなく、相手の立場に立って考え相手本位な回答を用意しましょう。
• 相手は何を知りたいか、何を懸念しているか、相手にわかりやすい表現はなにか− こう答えたら、これを用意したら喜ばれるだろ
う
− こう答えたら相手は不安にならないか
• 自分が用意した答えに対して、相手は次にどのような反応(追加質問・依頼)をしそうか
• 相手と自分の立場の違いを客観的に把握する− 相手の年齢・立場・性格
− 自社の常識とクライアントの常識の違い
• 1 手先を読み、追加で来そうな質問への回答を用意しておく
考えるべきこと 行うべきこと
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コミュニケーション 3. 伝え方まず伝えたいことを簡潔に伝えることが何よりも大事です。その上で誤解のない伝え方を心がけましょう。
• “ 伝えたいメッセージ”は何か− このコミュニケーションで、自分は相手に何を求
めているのか(同意?アドバイス?アクション?)
− 伝えたいことをひと言で表すと何か
• 相手に誤解や認識齟齬なく、理解しやすい形で伝わっているか− 曲解され問題になりうるような言葉・文章ではな
いか
− 相手のその背後にいる人にどう伝わるか
• 伝えたいことを簡潔に伝える− 漠然と話したり、いたずらに遠回りはしない
− 文書の場合は 1 文を短くし、箇条書きにする
− 事象・状況だけの報告は次のアクションに結びつかない。どんな影響があるか、誰が何をすべきか明示する
• 受け取る人の立場に合わせ伝え方を変える− 誤解を生む・多義的な表現を避け、相手に合った共通言語(業務用語・システム用語)を使う
• その場しのぎの報告・受け答えをしない− 推測で報告しない、推測の場合はそれを明示する
− 根拠のない情報は伝えず、どうしても分からない場合は持ち帰る(ただ単に分かりませんは NG )※ そして後々の反省材料とする
•口頭で確認・調整した内容は文書(メール)でも残しておく
考えるべきこと 行うべきこと
おわりに
31Copyright © 2014 Hirotaka Nishimiya All rights reserved.
今日の”伝えたいメッセージ”これまでお伝えした内容は本当に基本的なことばかりですが、日々の仕事に忙殺されていると忘れがち・怠りがちなことでもあります。 100% 自然に行えるようになるまでは意識しすぎるくらいに意識してみてください。
プロジェクト・システムの目的は?自分の動くべき範囲は?
Quick & Dirty を心がけるセルフレビューを欠かさない
無駄な作業をしない
期限と優先度を意識する
道筋はゴー
ルから逆算
Co
st
Delive
ry
Scope
Quality
Risk識別・分類評価
優先順位付対応策検討対応実施
コミュニケーションの基礎優れた仕事の条件
受け取り方
考え方
伝え方
• 依頼や質問の背景・経緯は?• 不明点を明確にする• 同じことを 2度聞かない
• 相手と自分の立場の違いを客観的に捉える
• 相手は次にどのような反応をしそうか?
• “ 伝えたいメッセージ”は何か?
• 相手に誤解や認識齟齬なく、理解しやすい形で伝わっているか?
•口頭確認は文書でも残しておく