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アニメツーリズムの可能性と限界

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進化経済学会・観光部会研究会での発表です

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Page 1: アニメツーリズムの可能性と限界

アニメツーリズムの現状と課題

小山友介 堀内和哉(芝浦工業大学)

Page 2: アニメツーリズムの可能性と限界

この発表の目的 (とかく、誤解を招きやすい)アニメ聖地巡礼という現象の全体像を示す

アニメ聖地巡礼と言う現象が地域観光の活性化とどうつながるのか/つながらないのかを示す

Page 3: アニメツーリズムの可能性と限界

現地調査を何度かしています たまに、いくつか調査結果を出します 基本的に、イベントの開催日に合わせて院生を現地に派遣し、足で稼いだアンケートを集計したものです

調査地 アニメタイトル 調査日 放送年 対象者数石川県金沢市 花咲くいろは 2013年 10月

12日2011年 172名

茨城県大洗町 ガールズ&パンツァー 2013年 10月23日

2012年 60名

広島県竹原市 たまゆら 2013年 11月 3日

2013年 209名

埼玉県秩父市あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。

2012年 8月 25日,

10月 8日2011年 102名

合計 543名

Page 4: アニメツーリズムの可能性と限界

アニメ「たまゆら」 (出典:たまゆら公式 HP)

アニメ「花咲くいろは」 (出典:花咲くいろは公式 HP)

アニメ「ガールズ&パンツァー」 (出典:ガールズ&パンツァー公式 HP)

アニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(出典:あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。公式 HP)

足を運んだ場所

Page 5: アニメツーリズムの可能性と限界

性別・年齢

秩父市:女性割合高 他地域: 10%以下

大洗町:年齢層高 秩父市:低

巡礼者の属性: アニメの内容に依存

大洗町

金沢市

竹原市

秩父市

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

56

160

193

72

4

11

16

30

性別比較

男性 女性

大洗町

金沢市

竹原市

秩父市

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

2

10

17

14

16

91

86

68

26

80

46

15

14

25

17

4

1

3

1

来訪者年齢層比較

10代 20代 30代 40代 50代

Page 6: アニメツーリズムの可能性と限界

あらためて、コンテンツツーリズムとは コンテンツにゆかりのある場所へ旅すること

どんなコンテンツか? どんなゆかりか?

どんなコンテンツ? 映画?  TVドラマ? 小説? アニメ? 作品の内容次第で来訪者も大きく変わる

萌えオタ? ミリオタ? レイヤー? フツーの女子も居る?

どんなゆかり? 作品の舞台? 原作者生誕地? イベント? 

Page 7: アニメツーリズムの可能性と限界

コンテンツツーリズム分類の概念図どんなコンテンツ?

小説 漫画 アニメ ・・・

どんなゆかり?

原作者・制作会社

広義のアニメツーリズム

作品の舞台

イベント

アニメツーリズムでの例 原作者・制作会社型:境港(水木しげるロード),宝塚(手塚治虫記念館)

作品の舞台:湯涌温泉(花咲くいろは),竹原(たまゆら)

イベント:洞爺湖( TOYAKOアニメフェスタ)

Page 8: アニメツーリズムの可能性と限界

いわゆる「聖地巡礼」について アニメ作品の舞台を旅するコンテンツツーリズム

映画などのコンテンツツーリズムとの差1. 実写ではなく、「描画を行うコンテンツ」である2. 既存の観光と比べて、来訪者が圧倒的に若年層主体3. 来訪者がデジタルガジェットに強い親和性を有する

まとめ wikiの記事を参照 twitterで実況中継しながら街歩き

4. アニメに出てきた風景>綺麗なランドスケープ ただの住宅地よりは特殊性が必要だが、 通常の観光地レベルの目新しさは不要

Page 9: アニメツーリズムの可能性と限界

ネットにある聖地巡礼マップの例

Page 10: アニメツーリズムの可能性と限界

聖地巡礼者の典型行動:痛絵馬

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茨城県大洗町 ( 磯前神社 )

埼玉県秩父市 ( 札所 17 番・定林寺 )

Page 11: アニメツーリズムの可能性と限界

茨城県大洗町 (発表者撮影 )

石川県金沢市 (発表者撮影 )

広島県竹原市 (発表者撮影 )

埼玉県秩父市 (発表者撮影 )

Page 12: アニメツーリズムの可能性と限界

聖地巡礼の誕生時期 アナログ時代( 1980年代~ 90年代)

TVアニメ:解像度の関係で背景雑 現代的な聖地巡礼:テレビの HD化以後1. テレビ放送のデジタル化:アニメの背景描写の精密化

深夜アニメに特に影響が 一般的な深夜アニメの放送期間:約 12 話 (1 クール )⇔ 移り変わりが早い:実際の風景をトレスした方が効率的

2. インターネットの普及:コミュニケーション方法の変容 SNS,掲示板,ブログ etc...

場所が「特定」され、あっという間に広まる 気軽に情報を他者へ公開

Page 13: アニメツーリズムの可能性と限界

聖地巡礼の「鷲宮モデル」1. 地域ぐるみ

× 一部の商業関係者 ○自治体も巻き込んだ地域ぐるみ

2. 版権元の協力 新規描下ろしポスターなどの宣伝用の商材を用意

3. 来訪者向けサービス 聖地巡礼マップなど

4. リピーターの発生努力 定期的なイベント実施

5. スタンプラリーなどの街歩きイベント 作品に登場した特定箇所だけでなく,街全体へ愛着

1と 2以外はほぼ全ての場所で実施

Page 14: アニメツーリズムの可能性と限界

聖地として街興しする際のボトルネック 地域の理解

地元の「わかる人」が要所のポジションにいるか 市役所の観光課・商工会青年部・・・ 居ないと組織だったキャンペーンが出来ない

来る人と上手く交流できるか

制作元:特に版権絵 イベント用ポスターなどで協力してもらえるか

よく似た絵でごまかすことも グッズ製作の許可が出るか

アニメの制作委員会は合意形成が大変→少額の利益しか出ない街のグッズのために会議で承認などの手間をかけたがらない

Page 15: アニメツーリズムの可能性と限界

近年の変化 「聖地巡礼」と言う現象の認知拡大 積極的に「仕掛ける」ように:死屍累々?

よくわからないままに張り切る→空振り(次スライド)

聖地じゃ無いけど聖地巡礼ブームに乗る 分類ではイベント型の一種

典型例: TOYAKO マンガ・アニメフェスタ 木刀に書かれた銘をきっかけに強引にイベントへ

こじつけもいいところだが、来訪者数はそこそこ: 57000 人( 2014)

Page 16: アニメツーリズムの可能性と限界

竹原市の「独走」 巡礼者:アニメの風景と同一の写真を撮影 竹原市:

商店街の柱を全面ピンク色に 各店舗の看板をアニメ仕様に 商店街ゲートを撤去

一部の巡礼者から反感

広島県竹原市 (発表者撮影 )「たまゆら」劇中画面キャプチャ

Page 17: アニメツーリズムの可能性と限界

主に 2つのベクトルが存在 「成長ベクトル」,「衰退ベクトル」と命名

• 「鷲宮模倣型」から「地域独走型」へ向かう場合も

• 深夜アニメ:「賞味期限」が存在

限られた期間内にどこまで成長させることができるか

が鍵?竹原市 ?

Page 18: アニメツーリズムの可能性と限界

コンテンツツーリズムは特需?契機? コンテンツの場所を巡る:せいぜい 1 ~ 2 回

短期間のブーム時だけの特需? リピーターになってもらう契機?

特需なら・・・ 最適政策:限定グッズを作って売りまくる

ぶっちゃけ、地域はどうでも OK 典型的な萌えアニメ?

契機なら・・・ 最適戦略:リピーター歩留まりを上げる

アニメ聖地以外の魅力が重要 個性が強いアニメ?

Page 19: アニメツーリズムの可能性と限界

来訪者の再来訪意志:強い

「来たくない」:どの地域でも回答数 0 大洗町: 8割が「観光目的」

観光資源:大洗町 ≪ 秩父市 < 金沢市 (湯涌温泉 ) < 竹原市

大洗町

金沢市

竹原市

秩父市

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

48

95

119

43

6

31

37

31

5

41

53

17

0

4

0

9

再来訪意志

観光目的でまた来たい 聖地巡礼でまた来たいイベントが開催されればまた来たい どうも思わない来たくない

Page 20: アニメツーリズムの可能性と限界

リピート数:一部の地域で驚異的

大洗町: 6 回以上来訪している人が 6割以上 60 回と回答した人も 竹原市,金沢市: 2割以下

大洗町

金沢市

竹原市

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

4

44

56

19

96

117

15

25

29

21

4

5

リピート数

1 回目 2 ~ 5 回 6 ~ 10 回 11 回~

Page 21: アニメツーリズムの可能性と限界

そもそも、どこが聖地化する?① 調査地の再来訪意志:高い リピート率:一部で驚異的→ そもそも、「一度足を運びたい」と思う程度の魅力が 無いと、アニメ聖地化しないことを反映?

→聖地=再発見された( Cランク程度の)観光地?

京都(けいおん!)・高山(氷菓)も聖地:他の要素が強い

Page 22: アニメツーリズムの可能性と限界

そもそも、どこが聖地化する?② どんなアニメだと聖地化する?

アニメファンがその場の空気を共有したいアニメ 景色が美しいことは大前提

大きな軸は 2つ 感動的なストーリー:あの花 (高校生の)日常系:たまゆら・いろは・ FREE? 特殊系:大洗←分類者泣かせ

ミリタリー系は特殊すぎる・・・ 下品なギャグ漫画はダメ

いくらヒットしても聖地化しない

Page 23: アニメツーリズムの可能性と限界

最終的な着地点は? いつかは、飽きられる→撤退をどうするのか

せいぜい持って数年 聖地として維持するのもコストがかかる

現在、見えている着地点 元から有力な観光地の場合

観光の1オプションとして残す ガイドブック/観光マップの1コーナーとして生きる

アニメで一時的に注目された地域の場合 祭りで賑わう定番の地位を手に入れる ヒット時に稼いだ知名度が原資

何度もリピートされる地域になれる? 大洗次第だけど、何とも言えない

Page 24: アニメツーリズムの可能性と限界

埼玉県旧鷲宮町

2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 20130

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

6.59

13

30

4245 47 47 47

鷲宮神社・正月 3ヶ日参拝者数推移

「らき★すた」ブームが去った後も、初詣として定番化

34万人増加

(万人 )

(年 )

出典:毎日新聞デジタル,鷲宮神社:「らき☆すた」聖地の初詣客数47万人

「らき☆すた」放送開始