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企業価値を見抜いて投資せよ!【キャッシュ・フローバリュエーション編】

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M&A戦略コンサルティングや、ビジネスプラン策定(新規事業立ち上げ・上場戦

略立案)に約8年間従事

現在は、法人顧客向けにIRコンサルティングや、財務戦略立案業務を行なうブルー・マーリン・パートナーズ代表

個人投資家に向けた投資教育事業「シェアーズ(www.valuationmatrix.com)」の創業者

「論理的思考研修 ~思考のルールと効果的な分析フレームワークの修得~」

「企業再生:手段としての再建、目的としての再生」(業界団体セミナー講師)

「M&Aの成功要件」(セミナー講師)

「新会計基準および事業評価・分析」の講師(都市銀行向け研修講師)

「財務の観点から見たカンパニー制導入とその影響」(食品メーカー向け講演)

「地方自治体向け外資系企業誘致」セミナー講師(山梨県、鳥取県)

『企業再生プロジェクト ~あるCFOの12ヶ月奮戦記~』(『経理情報』2003/10中央経済社)

『なぜか日本人が知らなかった新しい株の本』ランダムハウス講談社2005/7

『企業分析力養成講座』日本実業出版社2008/10

ブルー・マーリン・パートナーズ株式会社 代表取締役

株式会社シェアーズ 代表取締役 ファウンダー

アビームM&Aコンサルティング シニア・ヴァイス・プレジデント

デロイトトーマツコンサルティング戦略&オペレーション事業部

アーサーアンダーセン People & Organizationチーム

早稲田大学政治経済学部

事業経歴

著書・講師・講演

学歴及び職歴

山口 揚平 Yohei Yamaguchi Blue Marlin Partners,Inc.

代表取締役

講師のご紹介

[email protected]

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価値創造

マクロ

ファンダメンタルと

行動ファイナンス

今回のセミナーの位置づけ

価値の本質

5分でできるバリュエーション

目的

安値で購入するチャンスをつかむことができるようになる

バイアスを学ぶことで感情をコントロールできるようになる

より深く価値の正体を知ることで、投資収益を高める

投資の本質を学び、企業の価値をざっくり弾けるようになる

企業価値を創造するロジックを理解・実行できるようになる

テーマ

B/Sの洗い替え

DCF法

事業構造分析

構造バイアスと感情バイアス

マクロファンダメンタル(為替・原油・金利)

行動ファイナンスとアノマリ

基礎編

中級編 上級編

投資の心得

価値と価格の差に着目する

PER、PBR

株式投資で、大きな損をださないための基礎知識を学ぶ

初級編

本日のセミナーでは、投資において、価値を測ることの重要性を知ること、キャッシュフローの本質を理解すること、価値を創造する事業のしくみを見抜くことを目的とする。

市場バイアス

の理解 企業価値評価 価値の基本 投資の基本

マクロ経済と相場のダイナミズムを学ぶ

資本政策(LBO)

マネジメントとリーダーシップ

戦略立案と実行

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今回のセミナーのメニューは、・・・

1. なぜ企業価値評価が重要なのか ~株価の正体 バリューとバイアス~

2. 『実践的企業価値評価』の手法

~創通エージェンシーの価値評価~

非事業用資産の評価

事業価値の評価

事業の本質を見抜く考え方

3. Q&A

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1. なぜ企業価値評価が重要なのか?

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株価は、何で成り立つのか?

株価

悲観

バリュー

(価値)

バイアス

(歪み)

+ =

株価は、「価値」+「バイアス」で成り立っている。

バリューとは、企業の「長期的経済的価値」であり、バイアスとは、企業への「短期的感情的評価」である。

楽観

悲観

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バイアスとは何か?

構造バイアス

- 機関投資家は、小型株(時価総額100億以下)には投資ができない(運用額が大きすぎる)

- 運用者の横並び主義(IBMからコンピュータを購入して首になることはない。)

- アナリストは、流動性のない小型株をフォローしない(必要とする人が少ないので、一生懸命分析しても食べていけない)

- 機関投資家は、見栄えの悪い低迷しそうな株を年末に処理することが多い。(そのため、1月に入って株価が上がるという、いわゆる1月効果が見られる)

感情バイアス(センチメント)

- 裁判・不祥事・下方修正などの一時的な問題を悲観視する:実は、買い

- 過去1,2年間だけの業績不振をみて、将来を悲観する(近い過去を人は重視する):買い

- 新製品・新事業進出への楽観評価:株価が暴騰すれば売り

- 悪徳事業(タバコ/ポルノ/ギャンブル・・)へのマイナス評価:買い

バイアスには、一般に構造バイアスと感情バイアス(センチメント)がある。

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ニュースが出たらそれが実質的なものか、名目的なものかを読み解くこと

分割・

売買単元

引き下げ

不祥事・

民事裁判

業績

修正

新製品・

新事業

業務提携

買収・

司法裁判

政府介入

自社株買い・

経営陣の

交代

アウト

ソーシング

(外部化)

価値への影響

株価への影響

(大)

(大)

IRやニュースの中には、株価への影響に比べると、価値への実質的な影響が小さい

ものがある。また、ニュースとしては取り上げられないが、価値には大きな影響を与える変化もある。このような局面を見極めることが投資のチャンスにつながる。

ニュースが与える価値と株価への影響

バイアスの発生

企業の実態的変化

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株価が上がるのは、価値と価格に差があり、それが埋まるストーリーがあるから

価値

株価

①価値と価格の差

差の解消までの期間

②ニュース

買い

売り

目に見えるのは、株価の推移だけ。

投資家は、株価チャートに現れない価値の線と、株価を押し上げるニュースを見抜く必要がある。

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投資家が常に考えるべきことは、「割安度×変化」である。

ムサシ

ナルミヤ・

インターナショナル

①価値と価格の差 ②ニュースによる

バリューへの収斂 結果

総選挙に伴い、ムサシの

選挙投票箱の需要拡大

との見込みから株価上昇

PALTEK

業績下方修正で、株価は急落。しかし、徐々に価値に収束

アルテラ社との代理店契約の解消により、株価低迷。ただし、ザイリンクス社との新規代理店契約の締結で、株価は戻る

およそ2倍

約1.5倍以上

約2倍と推定

2ヶ月で、約80%上昇

1ヶ月で、約50%上昇

1ヶ月で、30%上昇

×

ニュースによって、株価が押し上げられる。ただし、バリューの下支えがあって、始めて投資ストーリーを考える意味が出てくる。

マースエンジニアリング

業績下方修正で、株価低迷。その後、バリューへの見直しが徐々に起こる

約1.5倍 1ヶ月で、30%上昇

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なぜバリュエーションを学ぶのか?

株価は、「バリュー」と「バイアス」で構成されている。

バリューとは、企業の「長期的経済的価値」であり、バイアスとは、企業への「短期的感情的評価」である。

株価は、短期ではバイアスに左右されるが、長期ではバリューに収れんする。ただし、バイアスがバリューを創出し、バリューがバイアスを作り出すこともあることも理解しなければならない。そのため、私たちは、バリューとバイアスの両者を等しく理解しなければならない。

投資で成功するためには、バリューを下支えに、バイアスを利用するのが有効と考える。私たちが、株価が急落した時に「買い」を入れ、急騰した時に、「売り」を入れられるのは、肝が据わっているわけでもなく、単に、実質的なバリューの下支えがあるからである。

バリューの下支えがなければ、どのような冴えた投資ストーリーを持っていても投資で成功することはおぼつかない。そうであれば企業価値評価(バリュエーション)を学ぶことは、投資家としての最初の一歩であろう、と思う。

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2. 『実践的企業価値評価』の手法

「企業価値を算定する“公式”は、この世には存在しません。まずは企業について知るべきです。」 「実際、私は、投資という分野では代数の必要性を感じておりません。企業の真の価値を探ることが根幹にあるからです。」

(ウォーレン・バフェット:オマハの賢人と呼ばれた世界最高の投資家)

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ケースを使って価値を算定しよう

創通エージェンシー(3711)

(*)本体験演習では、特定企業を例に使いますが、必ずしも当該銘柄の購入を推奨するものではありません。

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創通エージェンシーの会社概要

【社名】 株式会社創通エージェンシー(JASDAQ:3711)

【事業内容】

メディア事業:アニメ番組企画・制作

ライツ事業 :アニメキャラクター版権管理

スポーツ事業:プロ野球球団の版権契約代行

【本社所在地】 〒104-0061 東京都中央区銀座5-12-5

【資本金】 414,750千円(2005年8月末現在)

【関係会社】 <子会社>

・創通映像(メディア事業)

・ジェイ・ブロード(メディア事業)

<持分法適用会社>

・創美企画(メディア事業)

【従業員数】 単:26名 連:92人(2005年8月末現在)

【沿革】 昭和40年創業、平成15年店頭登録

流動資産 8,414 流動負債 2,197

うち現預金 5,937 固定負債 669

固定資産 3,863 負債合計 2,867

投資有価証券 2,719 少数株主持分 164

資産合計 12,277 株主資本 9,246

【連結貸借対照表】(2005年8月末)

【株価情報】 発行済株式数:44,000株

時価総額(1/24):15,180百万円

創通は、ガンダムやアンパンマンなどのアニメ制作と版権ビジネスを行っている。

【全上場企業のランキング】

【連結損益計算書】

2003年8月期 2004年8月期 2005年8月期

売上高 9,936 11,020 12,004

営業利益 1,690 1,425 1,567

経常利益 1,723 1,438 1,603

当期利益 907 765 862

(*)著作権の都合上、自筆にて失礼します・・・

1人当り連結売上:235位/3067社

1人当り経常利益:84位/3067社 ※会社四季報CD-ROM2006年春版より

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2005 2006

競合との株価推移比較

創通エージェンシー

GDH

バンダイビジュアル

東映アニメーション

競合と比較すると、創通の株価はあまり伸びていない。

(出所:インフォシーク 株価情報)

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版権ビジネス

(広告サービス)

版権ビジネス

(商品化)

事業構造

企画・制作

アニメ

実写

スポーツ

業務の流れ

製品の領域

(出所:有価証券報告書のP9~10より著者作成)

制作委員会

への出資に

よる版権の

拡大予定

制作会社の

マネジメント

と金融機能を

提供

創通のビジネスは、「メディア事業」「ライツ事業」「スポーツ事業」に分類されている。

事業の分析を開始する際には、以下のように、業務の流れを横軸にとり、製品の領域を縦軸にとった事業構造マップを作成し、全体像を鳥瞰できるようにするとよい。

フォーサイド・ドット・コムとの

パートナーシップで展開

ガンダム・

アンパンマン

などが中心

球団グッズ

の商品化

メディア事業 ライツ事業

スポーツ事業

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事業分野別の収益構造

9,120

2,387

4971,092

35

2,993

50762541

45.8%

7.0%5.9%

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

メディア事業 ライツ事業 スポーツ事業

百万円

0%

10%

20%

30%

40%

50%

売上高 営業利益 資産 営業利益率

メディア事業は、売上規模は大きいが収益性は低い。版権を扱うライツ事業は、規模は小さいが収益性が高い。

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顧客層

ガンダム等 ガンダム

(総売上の10%) 潜在性あり

アンパンマン

他アニメ 潜在性あり

事業展開の広がりを考える

顧客層

エリア

青年

キッズ

中年

日本 北米 アジア

創通の主な顧客は、日本のキッズから青年、それから北米(売上の10%)である。

顧客層を捕らえるときには、どのようなエリアのどのような顧客を今後、抑えるべきなのかを考える。

ガンダムに

潜在性が

あるか?

現状

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バリュエーションのフレームワーク

事業価値 非事業用資産

(財産)価値

負債 株主価値 時価総額

それではバリュエーションを始めましょう。

株主価値は、「事業価値」と「財産価値」から構成され、ここから負債を引くことで求められます。株主価値がわかったら時価総額と比較してみましょう。差が2倍もあればしめたものです。

こうして算定された株主価値を時価総額と比較することで、その銘柄の割安度を判断することができるのです。

バリュエーションのフレームワーク

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入門編と中級編、バリュエーションの違い

入門編

Quick Valuation

中級編

Valuation

非事業用資産(財産)価値

事業価値

負債

流動資産分

固定資産分

流動負債の1.2倍を流動資産から引いたものと想定

業界、競合他社、ビジネスモデルを分析し、事業に必要な運転資本を分析し、残った流動資産を非事業用資産とする

投資等その他固定資産を適用

投資有価証券、土地等を事業用/非事業用に分解し、キャッシュフロー創出に貢献するもの、しないものに個別分解する

平均営業利益の10

倍と想定

営業利益から税金、減価償却、投資、運転資本の増減を考慮しフリーキャッシュフローを元にDCF法で算出

類似業種比較(マルチプル方式)で推定

固定負債+少数株主持分を負債と認識

固定負債+少数株主持分に加え、退職給付引当金等の検証等も行う。(*)今回は実施しない

「新しい株の本」や「入門編セミナー」で紹介したやり方を一歩進めたバリュエーションを行なう。

評価対象

今日の

焦点

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①非事業用資産(財産)価値を見積もろう

事業価値 非事業用資産

(財産)価値

負債 株主価値 時価総額

2. 『実践的企業価値評価』の手法

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まずは、非事業用資産の抽出を行なう

事業用

負債

株主

資本

株主

資本 固定資産

流動資産

固定負債

流動負債

事業用

資産

財産

(現金)

有利子

負債

(借入金)

バランスシートの会計上の切り分けとバリュエーション上の切り分けはまったく異なる。

バランスシートを見たら、会計上の「流動・固定」という切り口でなく、①事業用資産・負債、②非事業用資産、③調達資金(借入金・株主資本)という切り口で分解する。

会計上の分類 投資家による分類

財産

(有価証券

遊休地)

②非事業用資産

③調達資金

①事業用資産・

負債

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創通エージェンシーの非事業用資産を抽出してみましょう

創通エージェンシーのバランスシートを見て、非事業用資産を抽出してみましょう。(有価証券報告書を見ながら、一緒にやっていきます)

株主

資本

9,246

固定資産

3,863

流動資産

8,414

固定負債669

流動負債

2,197

少数株主持分

164

創通エージェンシーの

連結バランスシート

(2005年8月期)

a

b

b. a. + 非事業用資産 =

a.流動資産の中の非事業用資産

流動資産

-(流動負債 × )

b.固定資産の中の非事業用資産

非事業用投資有価証券(株式)

+非事業用投資有価証券(投信)

%

問題

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非事業用資産:流動資産分

流動資産の中の一定の現金などは、事業に必要のない非事業用資産と考えられる。その割合は、流動比率(流動負債に対する流動資産の額)から求めるのが妥当といえる。

では、創通の流動資産の中の非事業用資産はどのくらいか?

- 競合の流動比率はそれぞれ、東映アニメ:450%、バンダイビジュアル:220%、GDH115%。流動比率を250%ぐらいにするのが妥当か。

- 創通のIRに電話して聞いたところ、現金約60億円のうち約20億円は、運転資本として必要とのこと(残りの40億程度は、今後、制作投資やM&Aで活用する予定)

流動資産

8,414

流動負債

2,197

固定資産

固定負債

資本

流動負債

の2.5倍は

事業に必要

な資産

貸借対照表

a

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業種別の流動比率

317.1%

195.5%

162.7%

155.0%

144.9%

143.0%

129.4%

127.5%

124.4%

123.1%

119.6%

119.5%

116.6%

114.6%

111.7%

110.0%

103.6%

99.1%

96.1%

96.0%

92.6%

92.4%

91.8%

88.2%

84.3%

80.1%

70.9%

61.6%

56.3%

0% 50% 100% 150% 200% 250% 300% 350%

医薬品

その他製品

精密機器

金属製品

機械

電気機器

ゴム製品

食料品

サービス業

化学

繊維製品

情報・通信業

輸送用機器

建設業

倉庫・運輸関連業

卸売業

ガラス・土石製品

不動産業

非鉄金属

空運業

小売業

鉄鋼

水産・農林業

石油・石炭製品

鉱業

海運業

パルプ・紙

電気・ガス業

陸運業

(出所:新光総合研究所)

販売してから現金を回収するまでの期間が長い業種ほど、多額の運転資本を必要とするので要注意。目安となる業種別の流動比率は、以下のとおり。

一部上場企業の業種別流動比率(2003年)

平均118.2

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固定資産の中の投資有価証券、どれが非事業用なのだろうか?

投資有価証券が、事業用か非事業用であるかを判断するためには、それらを売却した際に実際にキャッシュフローに影響を与えるかを考える必要がある。またIRに確認するのも有効である。

貸借対照表 事業用 非事業用

計上額(千円)

㈱バンダイ 140,000 383,600 ○

㈱バンプレスト 60,000 174,300 ○

パイオニア㈱ 76,620 130,866 ○

㈱ミレアホールディングス 50 81,000 ○

㈱日立製作所 105,000 70,875 ○

㈱日本航空システム 180,000 55,980 ○

伊藤ハム㈱ 120,000 54,600 ○

㈱ローソン 10,000 41,300 ○

日本電信電話㈱ 80 38,400 ○

森永製菓㈱ 99,565 28,873 ○

野村ホールディングス㈱ 10,000 15,050 ○

㈱東京ドーム 11,660 6,692 ○

㈱三井住友ファイナンシャルグループ 4 3,608 ○

その他(2銘柄) 1,400 3,867 ○

小計 814,379 1,089,014 913,634 175,380

投資有価証券その他有価証券

銘柄 株式数(株)

貸借対照表 事業用 非事業用

計上額(千円)

(投資信託受益証券)

大和証券投資信託委託㈱ ダイワMMF 1,300,511 1,300,511 ○

小計 1,300,511 1,300,511 0 1,300,511

投資口数等(千口)

投資有価証券その他有価証券

種類及び銘柄

(出所:有価証券報告書「付属明細書」-「有価証券明細表」)

附属明細表の内訳

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回答(非事業用資産)

4,397

事業価値 非事業用資産

(財産)価値

負債 株主価値 時価総額

b 1475 a 2,922 + 非事業用資産 =

a.流動資産の中の非事業用資産

流動資産

-(流動負債 × )

b.固定資産の中の非事業用資産

非事業用投資有価証券(株式)

+非事業用投資有価証券(投信)

8,414

2,197 2.5

175

1,300

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②事業価値を見積もろう

事業価値 非事業用資産

(財産)価値

負債 株主価値 時価総額

2. 『実践的企業価値評価』の手法

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事業価値を評価する2つの手法(DCF法とマルチプル法)

ポイント

マルチプル法 インカムアプローチ法

(DCF法など)

(参考)

純資産法

業界他社の利益倍率などを元に、事業価値を算定

事業

価値

有利子

負債

株主

価値

?倍

非事業用

資産価値

純利益

営業利益

EBITDA

企業価値(EV)

企業価値評価のデファクト・スタンダードだが、将来のキャッシュフロー見積もりに難あり

競合との相対的価値を弾けるのが良い

投資銀行は、マルチをベースに価値算定を行うことが多い

非上場の中小企業で、税金・相続などに関連して簡易的に評価する際に使用

継続して事業を行う企業に適用するのは不自然

概要

事業価値の算定では、マルチプル法とDCF法が主流。純資産法は参考程度に使用。

企業が将来生む利益(キャッシュフロー)を現在の価値に引き直して評価

企業の純資産を実態に合わせて洗い替えする手法

本日の位置づけ

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DCF法の流れ

事業

価値

① 企業が将来生むすべてのフリーキャッシュフローはどの程度か?

「企業の価値は、その企業がライフサイクルの全過程で生み出すキャッシュフローの総額を妥当な利率で現在値に還元して得られる」 ジョン=バー=ウィリアムズ

事業価値を算定する際には、企業のもたらす現金(フリーキャッシュフロー)を、現在価値に割り引くというディスカウント・キャッシュ・フロー法(DCF法)を用いる。

DCF法において、事業価値を算定するためには、2つのことを考える必要がある。

① 企業が将来生む“すべて”のフリーキャッシュフローはどの程度か?

② 将来のキャッシュを現在の価値におき直す際には、どの程度割り引いて考える必要があるのか?

② 将来のキャッシュを現在の価値におき直す際には、どの程度割り引いて考える必要があるのか?

キャッシュフロー

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問い①

企業が将来生む“すべて”のフリーキャッシュフローはどの程度か?

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フリーキャッシュフローとは何なのか?

企業は、まず、積極的投資によって、事業を軌道に乗せ、キャッシュフローを回収する。その後、積みあがったキャッシュフローを次の成長のための投資に振り向けてゆくとともに、膨らみすぎた資産を絞り込む。このように企業は投資とリターンを繰り返しながら成長してゆく。

利益と異なり、フリー・キャッシュ・フローは、各年度によってぶれが大きく、一時期のキャッシュフローだけ見るのではなく、その連続的な流れを抑える必要がある。もしキャッシュフロー倍率などで株価水準を見てゆきたい場合は、最低でも3年間の平均フリーキャッシュフローを用いなければ、妥当な値は算定できない。

リターン

投資

投資

投資

リターン

リターン

企業の成長

フリーキャッシュフローの動き

投資

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フリーキャッシュフローのしくみ

フリー・キャッシュ・フローは、①営業利益から②税金を引いた税引後営業利益と、③償却費、④投資、⑤運転差資金で構成される。

①営業利益 税引後営業利益

(NOPAT)

フリー・キャッシュ・フロー

事業から生まれる利益のこと

利益に対して約40%の税が課せられる

償却とは、費用であるが、過去に投資し資産となっていたものの一部を、当期に費用として落としたもの。

実際にキャッシュは出て行かないものなので足し戻す

事業に必要な投資額。

通常、投資したものは、資産に計上され、費用化されないが、キャッシュが出て行くのでここで計上

売上を上げてからお金を回収するまでの期間をまかなうための資金(キャッシュ)が運転資本。事業が拡大するにつれ必要な運転資本(キャッシュ)が増えてゆく。

その増加分が運転差資金

1,567

627

940

19 26.4 ▲586

1,518 ②税金 ③償却費 ④投資 ⑤運転差資金

償却と投資は、

長期ではバランスする

傾向にある

※仕入債務が749百万円増加したため、運転資本減少

創通エージェンシーの2005年のフリーキャッシュフロー

(①-②+③-④-⑤)

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DCF法を利用して、創通エージェンシーの事業価値をはかろう

まず、創通エージェンシーのフリー・キャッシュフローを用いて算定してみましょう。有価証券報告書をもとにして、次のページのワークシートの穴を埋めてください。

問題

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DCF法で、創通のバリュエーションを行おう!【ワークシート】

(*)色のついた部分に数値を入れてゆきます

計算式 出所 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2007 2008 2009継続事業

価値2006年以降の

前提

a  売上高 連結損益計算書 5,826 7,477 9,936 11,020 12,004 13,194 14,502 15,940 17,521 19,2582003年~2005年の年平均増加率を適用 10%

b  営業利益 連結損益計算書 1,006 1,437 1,690 1,425 1,568 1,614 1,662 1,711 1,761 1,8132002年~2005年の年平均増加率を適用 3%

c  営業利益率 b/a 17.3% 19.2% 17.0% 12.9% 13.1% 12.2% 11.5% 10.7% 10.1% 9.4%

d 税引後営業利益 b×(1-税率(40%)) 604 862 1,014 855 941 969 997 1,027 1,057 1,088 営業利益*(1-0.4)

e 減価償却費連結キャッシュフロー計算書 18 15 19 19 19 18 18 18 18 18

過去4年の平均値を適用 18

f 投資 (g+h+i+j)×(-1) 5 12 46 26 22 22 22 22 22過去4年の平均値を適用 22

g 有形固定資産の取得連結キャッシュフロー計算書 -4.3 -8.2 -23 -7

h 有形固定資産の売却連結キャッシュフロー計算書 0.2

i 無形固定資産の取得連結キャッシュフロー計算書 -0.8 -4 -8 -20

j連結子会社株式の追加取得による支出 -15

k 運転差資金 当年o-前年o 210 330 400 378 -586 846 156 172 189 208

l 売上債権 (貸し倒れ引当金を控除)

連結貸借対照表 809 1,167 1,920 2,150 2,298 2,574 2,829 3,110 3,418 3,7572004年の売上債権回転率を適用

0.195

m  棚卸資産 連結貸借対照表 3 30 6 10 26 12 13 14 16 172004年の棚卸資産回転率を適用

0.001

n  仕入債務 連結貸借対照表 602 657 986 842 1,592 1,008 1,108 1,218 1,339 1,4712004年の仕入債務回転率を適用

0.076

o  運転資本 l+m-n 210 540 940 1,318 732 1,578 1,734 1,906 2,096 2,303

p フリーキャッシュフロー d+e-f-k 412 542 621 450 1,519 118 836 850 863 876 12,115

q ディスカウントファクター 1.00 0.93 0.87 0.81 0.76 0.71 0.66←割引率7.2%をベースに作成

r割引後フリーキャッシュフロー

p×q 110 727 690 653 618 7,969

sキャッシュフローの現在価値

rの合計値 10,768

WACC(割引率) 7.2%

実績 予測

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計算式 出所 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2007 2008 2009継続事業

価値2006年以降の

前提

a  売上高 連結損益計算書 5,826 7,477 9,936 11,020 12,004 13,194 14,502 15,940 17,521 19,2582003年~2005年の年平均増加率を適用 10%

b  営業利益 連結損益計算書 1,006 1,437 1,690 1,425 1,568 1,614 1,662 1,711 1,761 1,8132002年~2005年の年平均増加率を適用 3%

c  営業利益率 b/a 17.3% 19.2% 17.0% 12.9% 13.1% 12.2% 11.5% 10.7% 10.1% 9.4%

d 税引後営業利益 b×(1-税率(40%)) 604 862 1,014 855 941 969 997 1,027 1,057 1,088 営業利益*(1-0.4)

e 減価償却費連結キャッシュフロー計算書 18 15 19 19 19 18 18 18 18 18

過去4年の平均値を適用 18

f 投資 (g+h+i+j)×(-1) 5 12 46 26 22 22 22 22 22過去4年の平均値を適用 22

g 有形固定資産の取得連結キャッシュフロー計算書 -4.3 -8.2 -23 -7

h 有形固定資産の売却連結キャッシュフロー計算書 0.2

i 無形固定資産の取得連結キャッシュフロー計算書 -0.8 -4 -8 -20

j連結子会社株式の追加取得による支出 -15

k 運転差資金 当年o-前年o 210 330 400 378 -586 846 156 172 189 208

l 売上債権 (貸し倒れ引当金を控除)

連結貸借対照表 809 1,167 1,920 2,150 2,298 2,574 2,829 3,110 3,418 3,7572004年の売上債権回転率を適用

0.195

m  棚卸資産 連結貸借対照表 3 30 6 10 26 12 13 14 16 172004年の棚卸資産回転率を適用

0.001

n  仕入債務 連結貸借対照表 602 657 986 842 1,592 1,008 1,108 1,218 1,339 1,4712004年の仕入債務回転率を適用

0.076

o  運転資本 l+m-n 210 540 940 1,318 732 1,578 1,734 1,906 2,096 2,303

p フリーキャッシュフロー d+e-f-k 412 542 621 450 1,519 118 836 850 863 876 12,115

q ディスカウントファクター 1.00 0.93 0.87 0.81 0.76 0.71 0.66←割引率7.2%をベースに作成

r割引後フリーキャッシュフロー

p×q 110 727 690 653 618 7,969

sキャッシュフローの現在価値

rの合計値 10,768

WACC(割引率) 7.2%

実績 予測

DCF法で、創通のバリュエーションを行おう!【ワークシート】(ヒント)

連結損益計算書

より記入

営業利益に0.6を

かけて記入

連結キャッシュフロー

計算書より記入

連結貸借対照表より、買掛金を記入

税引後営業利益+減価償却費-投資-運

転差資金

前期と当期の

運転資本(l)の差

を記入

それぞれ前期分に

1.03(3%成長と想定)をかけて記入

連結貸借対照表より、

棚卸資産を記入

連結貸借対照表より、

売掛金+貸倒引当金を記入

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DCF法で、創通のバリュエーションを行おう!【回答例】

出所 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2007 2008 2009

 売上高 (a) 連結損益計算書 5,826 7,477 9,936 11,020 12,004 13,194 14,502 15,940 17,521 19,258

 営業利益 (b) 連結損益計算書 1,006 1,437 1,690 1,425 1,568 1,614 1,662 1,711 1,761 1,813

 営業利益率 (b)/(a) 17.3% 19.2% 17.0% 12.9% 13.1% 12.2% 11.5% 10.7% 10.1% 9.4%

税引後営業利益(c)=(b)*(1-税率(40%)) 402 575 676 855 941 969 997 1,027 1,057 1,088

減価償却費 (d)連結キャッシュフロー計算書 18 15 19 19 19 18 18 18 18 18

投資 (e) 5 12 46 26 22 22 22 22 22

有形固定資産の取得連結キャッシュフロー計算書 -4.3 -8.2 -23 -7

有形固定資産の売却連結キャッシュフロー計算書 0.2

無形固定資産の取得連結キャッシュフロー計算書 -0.8 -4 -8 -20

連結子会社株式の追加取得による支出 -15

運転差資金(f)=当年度(j)-前年度(j) 210 330 400 378 -586 846 156 172 189 208

 売上債権 (貸し倒れ引当金を控除)

(g) 連結貸借対照表 809 1,167 1,920 2,150 2,298 2,574 2,829 3,110 3,418 3,757

 棚卸資産 (h) 連結貸借対照表 3 30 6 10 26 12 13 14 16 17

 仕入債務 (I) 連結貸借対照表 602 657 986 842 1,592 1,008 1,108 1,218 1,339 1,471

 運転資本 (j)=(g)+(h)-(I) 210 540 940 1,318 732 1,578 1,734 1,906 2,096 2,303

フリーキャッシュフロー (k)=(c)+(d)-(e)-(f) 210 255 283 450 1,519 118 836 850 863 876

ディスカウントファクター (l) 1.00 0.93 0.87 0.81 0.76 0.71

割引後フリーキャッシュフロー (m)=(k)*(l)

キャッシュフローの現在価値 (n)=(m)の合計値

WACC(割引率) 7.2%

実績 予測

継続事業価値 2006年以降の前提

2003年から2005年までの年平均増加率を適用 10%

2002年から2005年までの年平均増加率を適用 3%

営業利益*(1-0.4)

過去4年の平均値を適用 18

過去4年の平均値を適用 22

2004年度の売上債権回転率を適用 0.195

2004年度の棚卸資産回転率を適用 0.001

2004年度の仕入債務回転率を適用 0.076

0.66←割引率7.2%をベースに作成

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将来のキャッシュを現在の価値におき直す際には、どの程度割り引いて考える必要があるのか?

問い②

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時間価値とは何か? ~Time is Money~

現在

3年後

10,000円 10,100円

金利=1%とすると、・・・

10,201円 10,303円

10,000円 9,900円

1%の金利が

増えて・・・

9,800円 9,704円

1%の金利が

増えて・・・

1%の金利が

増えて・・・

1%の金利が

増えるはずだから

1年後

2年後

Q 「今の10,000円と3年後の10,000円、あなたならどちらが良いか?」

金利が1%なら今の10,000円は3年後には10,303円になっている。逆に3年後の10,000円は、今のお金に直す(割り戻す)と9704円になってしまう。

「時は金なり」は真実である・・・。“将来”のキャッシュを“現在”の価値に直すときには、割り引いて考えなければならないのである。

1%の金利が

増えるはずだから

1%の金利が

増えるはずだから

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現在価値に割り引くとは?

時間価値控除前

合計

時間価値控除後

合計

事業の価値は、将来のキャッシュフローをすべて積み上げたものである。ただし、“将来”のキャッシュフローは、“現在”の価値に割り戻さなければならない。そうなると、遠い将来のキャッシュほど価値は小さいということになる。

将来キャッシュフロー

将来キャッシュフロー

キャッシュフローは大きいが、

時間を考慮すると

“価値”は

小さい

30年後

30年後

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期待収益率について

債権者

株主

では、どの程度で割り引くのが妥当か?

将来のキャッシュを割り引くときには、この将来の分け前を期待して企業にお金を出している“株主”と“債権者(主に銀行)”が期待している“利回り”(期待収益率)を用いなければならない。

この期待収益率のことを加重平均資本コスト、通称、WACC(ワック):Weighted Average Cost of Capital)という。

利回りを

期待

利回りを

期待

債権者と株主の

期待収益率

分け前を期待している株主と債権者が求めている利回りで、割り引くこと

で割り引く

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期待収益率(割引率)を算定する

債権者(銀行)と株主がそれぞれ求めている利回りを、おのおのが企業に出している金額に応じて加重平均すると資金提供者が企業に求めている期待収益率(これをWACC:ワックという)が算定される。

資金提供者が

企業に求めている

期待収益率(WACC)

(現在価値への割引率)

株主が求める

期待利回り

(%)

×

株主と債権者の出した

お金の合計

株主の出した

お金

+ 債権者の

求める

金利

(%)

×

株主と債権者の出した

お金の合計

債権者の出した

お金

= × (1-税率)

(*)後述

0.6

WACCの式

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イタリア 6.2%

ドイツ

フランス

スペイン

日本

8.1%

5.5%

5.4%

8.8%

英国 7.1%

8.3% アメリカ

南アフリカ 8.9%

6.8% 16カ国平均

出所:Dimson, Marsh, and Staunton(2002,2003)

(注:16カ国平均は、上記各国を含む代表的な16カ国の加重平均)

株式投資の過去100年間の平均年間利回り

(1900年~2002年)

株式投資の期待利回りは、6~8%程度

過去の統計を見ると、株主が求める期待利回りは、6~8%が妥当な範囲である。

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なぜ、債権者の金利には、0.6を掛けるのか?

100

営業利益

80

金利

20

税前利益

税金

(40%)

32

48

純利益

(キャッシュフロー)

100

営業利益

60

金利

40

税前利益

税金

(40%)

24

36

純利益

(キャッシュフロー)

金利が20増えても・・・

利益には、20の60%の

12しか影響与えない

債権者の求める利回りは、簡単に言うと銀行融資の金利。現在は2%~4%。

しかし、債権者(銀行)の求めている金利(%)は、一般に税前であるため、税引後の金利に変換する必要がある。現在の実効税率は約40%であるため、債権者の金利は、実質的には残りの60%しか影響を与えない。

そのため、キャッシュフローの割引に使う債権者の割引率は、金利(%)に(1-税率)を掛けたものになる。

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創通エージェンシーの期待収益率はいくらか?

資金提供者が

企業に求めている

期待収益率

(現在価値への割引率)

株主が求める

期待利回り

(%)

×

株主と債権者の出した

お金の合計

株主の出した

お金

+ 債権者の

求める

金利

(%)

×

株主と債権者の出した

お金の合計

債権者の出した

お金

= × (1-税率)

0.6

創通エージェンシーの場合、有利子負債がゼロなので、株主の期待収益率がそのままWACCとなる。

この値は、約7.2%と見積もられる。

7.2% × × × 0.6 3%

15,180

15,180

15,180 0

= 7.2%

(*)7.2%の内訳は、リスクフリーレート1.3%+マーケットリスクプレミアム5.9%

(*)リスクフリーレートは、2005年度末時点の長期国債(10年)利回り(日銀ホームページより)

(*)マーケットリスクプレミアムは、イボットソン・アソシエーツ社より

(*)

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期待収益率と自己資本比率の関係

0

2

4

6

8

10

12

14

0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0 18.0 20.0 22.0 24.0 26.0 28.0 30.0

D/E ratio

WA

CC

上場企業(3624社)の期待収益率と自己資本比率

ただし、自己資本比率が低くなっていくと、倒産の可能性が高まり、逆に期待収益率は高まる。

自己資本比率

50% 33% 25% 20% 16% 8% 5%

期待収益率

一般に、自己資本比率が高くなると、期待収益率(WACC)が高くなる。なぜなら、債権者(銀行)よりもリスクをとっている株主の方が、高い利回りを要求するからである。

ただし、自己資本比率が低くなりすぎると期待収益率は上がる。なぜなら、企業の倒産リスクが高まり、より高い利回りを債権者と株主が求めるようになるからである。

(出所:Bloomberg)

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負債と資本のバランスによって、期待収益率は変わってくる(問題)

株主

(時価総額)

債権者

(有利子

負債)

4.9%

期待収益率

(割引率)

100

50 ×3%×0.6 +

100

50 ×8%

= 6.76%

+ 100

20 ×3%×0.6

100

80 ×8%

= 6.82%

+ 100

90 ×8%×0.6

100

10 ×25%

=

50

50

10

90

80

20

金利

3%

期待利回り

8%

総投資額100 総投資額100 総投資額100

ピンチ

問題 それでは、以下のA,B,Cの場合の期待収益率を求めてみましょう

A,負債と資本が一対一 B,株主資本が多い C,負債が極端に多い

金利

3%

期待利回り

8%

金利

8%

期待利回り

25%

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負債と資本のバランスによって、期待収益率は変わってくる(回答)

株主

(時価総額)

債権者

(有利子

負債)

4.9%

期待収益率

(割引率)

100

50 ×3%×0.6 +

100

50 ×8%

= 6.76%

+ 100

20 ×3%×0.6

100

80 ×8%

= 6.82%

+ 100

90 ×8%×0.6

100

10 ×25%

=

50

50

10

90

80

20

金利

3%

期待利回り

8%

総投資額100 総投資額100 総投資額100

ピンチ

A,負債と資本が一対一 B,株主資本が多い C,負債が極端に多い

金利

3%

期待利回り

8%

金利

8%

期待利回り

25%

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DCF法を利用して、創通エージェンシーの事業価値をはかろう

今度は、WACCを用いて、創通エージェンシーの事業価値を算定してみましょう。次のページのワークシートの穴を埋めて見てください。

問題

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DCF法で、創通のバリュエーションを行おう!【ワークシート】

(*)色のついた部分に数値を入れてゆきます

計算式 出所 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2007 2008 2009継続事業

価値2006年以降の

前提

a  売上高 連結損益計算書 5,826 7,477 9,936 11,020 12,004 13,194 14,502 15,940 17,521 19,2582003年~2005年の年平均増加率を適用 10%

b  営業利益 連結損益計算書 1,006 1,437 1,690 1,425 1,568 1,614 1,662 1,711 1,761 1,8132002年~2005年の年平均増加率を適用 3%

c  営業利益率 b/a 17.3% 19.2% 17.0% 12.9% 13.1% 12.2% 11.5% 10.7% 10.1% 9.4%

d 税引後営業利益 b×(1-税率(40%)) 604 862 1,014 855 941 969 997 1,027 1,057 1,088 営業利益*(1-0.4)

e 減価償却費連結キャッシュフロー計算書 18 15 19 19 19 18 18 18 18 18

過去4年の平均値を適用 18

f 投資 (g+h+i+j)×(-1) 5 12 46 26 22 22 22 22 22過去4年の平均値を適用 22

g 有形固定資産の取得連結キャッシュフロー計算書 -4.3 -8.2 -23 -7

h 有形固定資産の売却連結キャッシュフロー計算書 0.2

i 無形固定資産の取得連結キャッシュフロー計算書 -0.8 -4 -8 -20

j連結子会社株式の追加取得による支出 -15

k 運転差資金 当年o-前年o 210 330 400 378 -586 846 156 172 189 208

l 売上債権 (貸し倒れ引当金を控除)

連結貸借対照表 809 1,167 1,920 2,150 2,298 2,574 2,829 3,110 3,418 3,7572004年の売上債権回転率を適用

0.195

m  棚卸資産 連結貸借対照表 3 30 6 10 26 12 13 14 16 172004年の棚卸資産回転率を適用

0.001

n  仕入債務 連結貸借対照表 602 657 986 842 1,592 1,008 1,108 1,218 1,339 1,4712004年の仕入債務回転率を適用

0.076

o  運転資本 l+m-n 210 540 940 1,318 732 1,578 1,734 1,906 2,096 2,303

p フリーキャッシュフロー d+e-f-k 412 542 621 450 1,519 118 836 850 863 876 12,115

q ディスカウントファクター 1.00 0.93 0.87 0.81 0.76 0.71 0.66←割引率7.2%をベースに作成

r割引後フリーキャッシュフロー

p×q 110 727 690 653 618 7,969

sキャッシュフローの現在価値

rの合計値 10,768

WACC(割引率) 7.2%

実績 予測

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計算式 出所 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2007 2008 2009継続事業

価値2006年以降の

前提

a  売上高 連結損益計算書 5,826 7,477 9,936 11,020 12,004 13,194 14,502 15,940 17,521 19,2582003年~2005年の年平均増加率を適用 10%

b  営業利益 連結損益計算書 1,006 1,437 1,690 1,425 1,568 1,614 1,662 1,711 1,761 1,8132002年~2005年の年平均増加率を適用 3%

c  営業利益率 b/a 17.3% 19.2% 17.0% 12.9% 13.1% 12.2% 11.5% 10.7% 10.1% 9.4%

d 税引後営業利益 b×(1-税率(40%)) 604 862 1,014 855 941 969 997 1,027 1,057 1,088 営業利益*(1-0.4)

e 減価償却費連結キャッシュフロー計算書 18 15 19 19 19 18 18 18 18 18

過去4年の平均値を適用 18

f 投資 (g+h+i+j)×(-1) 5 12 46 26 22 22 22 22 22過去4年の平均値を適用 22

g 有形固定資産の取得連結キャッシュフロー計算書 -4.3 -8.2 -23 -7

h 有形固定資産の売却連結キャッシュフロー計算書 0.2

i 無形固定資産の取得連結キャッシュフロー計算書 -0.8 -4 -8 -20

j連結子会社株式の追加取得による支出 -15

k 運転差資金 当年o-前年o 210 330 400 378 -586 846 156 172 189 208

l 売上債権 (貸し倒れ引当金を控除)

連結貸借対照表 809 1,167 1,920 2,150 2,298 2,574 2,829 3,110 3,418 3,7572004年の売上債権回転率を適用

0.195

m  棚卸資産 連結貸借対照表 3 30 6 10 26 12 13 14 16 172004年の棚卸資産回転率を適用

0.001

n  仕入債務 連結貸借対照表 602 657 986 842 1,592 1,008 1,108 1,218 1,339 1,4712004年の仕入債務回転率を適用

0.076

o  運転資本 l+m-n 210 540 940 1,318 732 1,578 1,734 1,906 2,096 2,303

p フリーキャッシュフロー d+e-f-k 412 542 621 450 1,519 118 836 850 863 876 12,115

q ディスカウントファクター 1.00 0.93 0.87 0.81 0.76 0.71 0.66←割引率7.2%をベースに作成

r割引後フリーキャッシュフロー

p×q 110 727 690 653 618 7,969

sキャッシュフローの現在価値

rの合計値 10,768

WACC(割引率) 7.2%

実績 予測

DCF法で、創通のバリュエーションを行おう!【ワークシート】(ヒント)

2009年度のフリーキャッシュフローを

割引率(0.072)で割る フリーキャッシュフローにディスカウントファク

ターを掛ける

割引後フリーキャッシュフローをすべて足す

ディスカウントファクターとは、

(1+WACC) (年数)

(*)色のついた部分に数値を入れてゆきます

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計算式 出所 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2007 2008 2009継続事業

価値2006年以降の

前提

a  売上高 連結損益計算書 5,826 7,477 9,936 11,020 12,004 13,194 14,502 15,940 17,521 19,2582003年~2005年の年平均増加率を適用 10%

b  営業利益 連結損益計算書 1,006 1,437 1,690 1,425 1,568 1,614 1,662 1,711 1,761 1,8132002年~2005年の年平均増加率を適用 3%

c  営業利益率 b/a 17.3% 19.2% 17.0% 12.9% 13.1% 12.2% 11.5% 10.7% 10.1% 9.4%

d 税引後営業利益 b×(1-税率(40%)) 604 862 1,014 855 941 969 997 1,027 1,057 1,088 営業利益*(1-0.4)

e 減価償却費連結キャッシュフロー計算書 18 15 19 19 19 18 18 18 18 18

過去4年の平均値を適用 18

f 投資 (g+h+i+j)×(-1) 5 12 46 26 22 22 22 22 22過去4年の平均値を適用 22

g 有形固定資産の取得連結キャッシュフロー計算書 -4.3 -8.2 -23 -7

h 有形固定資産の売却連結キャッシュフロー計算書 0.2

i 無形固定資産の取得連結キャッシュフロー計算書 -0.8 -4 -8 -20

j連結子会社株式の追加取得による支出 -15

k 運転差資金 当年o-前年o 210 330 400 378 -586 846 156 172 189 208

l 売上債権 (貸し倒れ引当金を控除)

連結貸借対照表 809 1,167 1,920 2,150 2,298 2,574 2,829 3,110 3,418 3,7572004年の売上債権回転率を適用

0.195

m  棚卸資産 連結貸借対照表 3 30 6 10 26 12 13 14 16 172004年の棚卸資産回転率を適用

0.001

n  仕入債務 連結貸借対照表 602 657 986 842 1,592 1,008 1,108 1,218 1,339 1,4712004年の仕入債務回転率を適用

0.076

o  運転資本 l+m-n 210 540 940 1,318 732 1,578 1,734 1,906 2,096 2,303

p フリーキャッシュフロー d+e-f-k 412 542 621 450 1,519 118 836 850 863 876 12,115

q ディスカウントファクター 1.00 0.93 0.87 0.81 0.76 0.71 0.66←割引率7.2%をベースに作成

r割引後フリーキャッシュフロー

p×q 110 727 690 653 618 7,969

sキャッシュフローの現在価値

rの合計値 10,768

WACC(割引率) 7.2%

実績 予測

DCF法で、創通のバリュエーションを行おう!【回答例】

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③株主価値を見積もり、時価総額と比べよう

事業価値 非事業用資産

(財産)価値

負債 株主価値 時価総額

2. 『実践的企業価値評価』の手法

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創通のバリュエーション(DCF法)まとめ

有利子負債と

少数株主持分の合計

問題

それでは、( )の中に、各数値を入れ、バリュエーションを完成させましょう。

創通の株の売買の判断をするために、さらに知るべきことは何でしょうか?

( )

( )

( )

( )

15,180

事業価値 非事業用資産

(財産)価値

負債 株主価値 時価総額(1/24)

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創通のバリュエーション(DCF法)まとめ(回答)

15,000

10,768

4,396

164

15,180

事業価値 非事業用資産

(財産)価値

負債 株主価値 時価総額(1/24)

DCF法によるバリュエーションでは、創通の株主価値と時価総額はほぼ同等といえる。

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創通のバリュエーションのポイント

フリー・

キャッシュ・

フロー

割引率

(期待収益

率)

事業価値

営業利益

税金

減価償却費

投資

運転差資金

自己資本比率

金利

非事業用資産価値

論点 創通の状況

余剰現金

投資有価証券

将来のM&Aに備えて現金を保有

投資有価証券が多く、営業上のつながりで、株の持ち合いをしているものがあるが、その必要性はあるのか?

売上規模の拡大に応じてこれまで順調に拡大

オーナー企業の内部留保に掛る税金のため、やや多い

設備投資が少なく、償却は微小

一般的な設備投資は少ない。ただし、今後は、メディア事業などで、制作委員会投資や制作会社への出資が膨らむか?

アニメ制作では、制作時からスポンサーからお金をもらうまでの期間が長い。そのため、創通は小規模な制作会社へ運転資金を供給しなければならず、作品数が増えるほど運転資金が嵩む

オーナー企業であり、有利子負債をまったく持たない(レバレッジが一切かかっていない)ため、結果的に、資本コスト(期待収益率)が高く事業価値を毀損している

創通のバリュエーション内容を以下のとおり整理した。

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創通の事業特性とフリー・キャッシュ・フローへの影響

税引後営業利益

(NOPAT)

フリー・キャッシュ・

フロー

創通では、営業利益の伸びに比して、フリーキャッシュフローは伸びない可能性がある。それは、アニメの制作では、小規模な制作会社へ運転資金を供給しなければならず、メディア事業の売上の増加に応じて大きな運転資金が必要になり、フリーキャッシュフローを圧迫するためである。

運転資本の増加

必要投資の増加

(制作委員会や制作会社への出資)

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P/L,B/S,FCF(フリー・キャッシュ・フロー)の関係はどうなっているのか?

通常、P/L上、いくら売上や利益が伸びても、必要な投資や運転資本がふくらんでしまっては、更なる資金調達(借入や増資)が必要となり、フリーキャッシュフロー(FCF)は伸びてゆかないうえ、資金提供者からの期待利回りを確保することも困難になってしまう。

よい会社とは、単に利益が伸びる会社ではない。P/Lが伸びつつもB/Sがふくらまない会社である。その結果、FCFが伸びてゆくのである。

P/L

B/S

FCF

売上・利益

投資・運転資本

P/L

B/S

FCF

売上・利益

投資・運転資本

まやかしの成長 真の成長

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キャッシュフローの読み方

キャッシュフローを読むときには、縦軸に投資キャッシュフロー、横軸に営業キャッシュフローをとり、その推移を分析するとよい。これをキャッシュフローマトリクス(CFM)と呼んでいる。マトリクスの右上に行くほど、FCFが増えることになる。

たとえば、玉子焼き屋の「あじかん」は、営業キャッシュフロー内で、投資キャッシュフローをまかなっており、継続的にフリーキャッシュフローを創出できる安定期に入っている。

-2,000

-1,500

-1,000

-500

0

500

1,000

1,500

2,000

-2,000 -1,500 -1,000 -500 0 500 1,000 1,500 2,000

2003

200020012002

2004

1999

投資キャッシュフロー

(百万円)

低迷期

安定期

営業キャッシュフロー

フリーキャッシュフローがプラス

(出所:Valuation Matrix:あじかん社)

停滞期

破綻期 投資期

後退期

フリーキャッシュフローがマイナス

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利益は意見、キャッシュフローは現実

-1,800

-1,300

-800

-300

200

-300 200 700 1,200 1,700

2002年

2001年

2003年

2005年

2004年 営業キャッシュフロー

投資キャッシュフロー

(*)MMFの購入によるものであり、

純粋な投資キャッシュフローではない

-65,000

-55,000

-45,000

-35,000

-25,000

-15,000

-5,000

0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000

2002年

2001年

2003年

2004年

営業キャッシュフロー

投資キャッシュフロー

2000年

創通エージェンシー 楽天

キャッシュフローマトリクスを見ると、企業が“実質的”に価値を生んでいるかがわかる。

Good Good

フリーキャッシュフローがプラス

フリーキャッシュフローが

常にマイナス

(出所:Valuation Matrix) (出所:Valuation Matrix)

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キャッシュフローの予測に関する考え方

・・・

来期 2年後 3 4 5 6

受注状況

需給関係

ビジネスモデル

顧客基盤の拡大余地

競争優位性(ユニークネス)

企業の直近の業績は、需給関係や受注状況に依存するが、3年後以降のキャッシュフローは、

ビジネスモデルや顧客基盤の拡大余地、事業の競争優位性(ユニークネス)に大きく依存する

中長期で、企業の本質的な経済価値に投資をするのであれば、後者の見極めが不可欠である。

今期

事業ビジョンの明確さ

卓越した人と技術

理念と組織文化の一貫性

優れた意思決定の連続

10

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良い会社の条件とは

企業の本質的な経済価値(フリー・キャッシュフロー)を増大させる企業の要件は2つである。

1.売上が継続的に成長すること。そのためには製品そのものの需要が安定しており、他社が模倣しづらいこと

2.一つの製品を新たに生成するのにかかるコスト(設備投資・運転資金・発生費用)が限定的であること

そして、上記を支える企業組織として、資本政策を含め、常に投資対効果を最大化するような意思決定をするトップマネジメントと、改善・改革を積み重ねる前向きで自発的なカルチャー(DNA)が現場にあること

一度、作ってしまえば、追加的投資が必要ない形態(フランチャイズ/工場など)

売上が継続的

に成長する

一製品の生成に

掛るコストが

限定的

設備投資

が限定的

運転資金

が限定的

発生費用

が限定的

製品そのものの

需要が

安定・成長

製品の相対的

競争力がある

フリー・キャッシュ

フローが増大

一言で言えば、「模倣されにくさ」

- 特許・規制などの法的保護

- 顧客のロイヤリティの高さ(安心・信頼)

- スイッチコストの高さ (中毒性・生涯性)

「衣食住」など陳腐化しない需要を対象にすること

健康・医薬・心のこもったサービスなど、国境を跨いで需要が共通しているもの

現金商売やキャッシュフロー経営の実践(在庫・売掛が少なく、買掛が多い)

取引先を含めたバリューチェーンが短い

労働生産性が高い

知識・情報などのデジタル財で、追加的な生成コストがかからないもの

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創通は良い会社か

良いビジネスは、総じて、キャッシュフロー増大の5要素の評価が高い。

創通がこれからフリー・キャッシュフローを増大させてゆくためには、メディア事業からキャッシュフロー総出力の高いライツ事業への移行が不可欠。

売上が

継続的に

成長する

一製品の

生成に掛る

コストが

限定的

設備投資

が限定的

運転資金

が限定的

発生費用

が限定的

製品そのものの

需要が

安定・成長

製品の相対的

競争力がある フリー・

キャッシュ

フローが

増大

武田薬品

×

セブン

イレブン ユニクロ

創通

(メディア事業)

×

医薬の効果はすべての人に共通

フランチャイズを活用し投資抑制

直営店方式で出店コストかかる

多額の研究開発費が発生

アニメキャラの人気は流動的

支払いサイトが長い

制作委員会への出資

創通

(ライツ事業)

食品、雑貨等、時代に合わせて変更可能

ベーシックな衣類だが流行の要素あり

特許多数 競合と類似

模倣は可能

卸が介在 小売 小売

高利益率

ガンダム等の根強い人気

アジア圏などの新規市場あり

過去の版権への投資は

限定的

版権活用の運転資金は低い

DVDなど

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(補足)マルチプル的バリュエーション

53,550

5,250

58,800

営業利益(来期)

4,000

有利子負債 時価総額(1/24) 財産価値※ 総事業投資

77,472 77,472

4,500

26,088 26,088

600

東映アニメーション

0

バンダイビジュアル

GDH

0

23.9倍

17.2倍

43.5倍

0

0 0

※流動比率300%

※流動比率250%

※流動比率250%

※余剰現金+余剰投資有価証券

ライツ(版権)事業を展開している競合他社の株価評価をすると、他社の株価対EBIT(営業利益)倍率は、総じて高い。

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(補足)

27,200

4,397

15,180

営業利益(来期)

1,600

有利子負債

時価総額(1/24)

財産価値 (余剰現金+余剰投資有価証券)

総事業投資

31,597

0

創通エージェンシー

17倍

EBIT(営業利益)倍率17倍を元にすると、創通のバリューは、時価総額の約2倍となる。

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最終問題

あなたなら、創通エージェンシーに投資しますか?

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10倍株(テンバガー)のロジック

打ち手の例

PER

(市場評価)

利益

(企業実態)

×

売上

利益率

時価総額

×

株主からの

期待

株の

需給構造

×

9億円→27億

18倍→10倍

→30倍

150億→1500億

120億円→150億

8%→18%

創通エージェンシーの株価が10倍になる可能性はあるだろうか?

10倍株(テンバガー)は、市場評価(PER)と、企業実態(利益)の掛け算で作られる。

単元株引き下げor分割の実施

積極的なIR

株主還元(増配など)

企業成長戦略のアピール

製品軸か顧客軸で顧客基盤を拡大

顧客単価の拡大

コストの外部化を進める(アウソー、フランチャイズ)

リストラ、オペレーション改革

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創通エージェンシーの株価を10倍にするアイデア(妄想?)

余剰資本の30億と取引先の株を売って現金に変え、合計50億円の自社株買いを実施。時価総額は150億円から100億円になる。これでPERは約10倍に下がる。

創業者社長を会長に。プロ経営者を採用。メディアへの露出を増やすとともに、IRを充実化。株主優待は非売品のガンダムのプレミアム製品を提供。アナリスト説明会を年4回実施。これで、PER

は業界平均の30倍へ上げる。

市場の一定の評価を得たところで、増資(100億円)を行い、海外でのガンダム版権展開・M&Aに備える

さらに、銀座から引越しをして、自社ビルを売却。フロアは広い六本木・溜池などへ引っ越して不動産売却益を得る(+3億)。

ガンダムシリーズ(旧作品を含む)を、中国を中心としたアジア諸国で大々的に展開。1億セットを売ったという“ガンプラ”ブームを再燃させ、売上を30億円増加させる。

社員に対して、成果主義を浸透させるとともに、新しい版権の獲得・タレントの発掘に対する報酬額を上げる。

マーケティングのプロ、アニメーションのプロ、戦略家、オペレーション革新のプロを採用し、事業モデルの版権ビジネスへの転換を図る。タレント(作家)にも積極的に投資。その権利を守るためのプロ集団と弁護士を採用、海外への輸出を積極化。同時に、税務戦略を実施し、海外法人を介したタックスマネジメントも検討。

これで、利益は、27億へ拡大。

PER30倍×利益27億で、時価総額は、150億から1500億の10倍へ。

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バリュエーションを行うにあたり、IRに電話して確認すべき項目

1.来期の業績見通しの確認

- 具体的な数値を出して聞くとよい(「来期の利益は、10億円ですか?」)

- 業績に影響を与える要因(キードライバー)の確認

2.非事業用資産の内容確認

- 運転資本で必要となる現金の水準(売上の何か月分か等)

- 投資有価証券のうち、純投資と営業上の持ち合いとの切り分けが必要

3.過去の投資キャッシュフローの内容確認と将来の投資方針の確認

- 創通の場合、上場時に得たキャッシュをほぼすべてMMF購入に充てた

4.増資、増配、自社株買いなどの資本政策の実施可能性

5.競合の名称(3社~5社)と自社の競争優位性の本質について

6.ビジネスモデルの変化とそれに伴う収益構造の変化可能性

- 顧客エリア/製品展開の変化

7.社内で起こっている変化の確認(キーパーソンの異動など)

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Valuationの5戒

1. 企業の価値は一義的なものではない。誰がやっても同じ結果になるとは限らない。

2. 数値等に関する経験則(この業界のEBITDA倍率は6~8倍ぐらい等)は役に立つ。

3. 数字は間違えてはならないが、特に絶対間違えてはならない数字(粗利率など)がある。

4. まず手持ちの資料で数値をざっくりと出してから、精緻なものにして行く。最初から精緻なものを作り上げようとすると、非効率である。

5. Valuation(Finance)の理論には、限界がある。一般的な理論を学んだ後は、価値を生み出す事業の“本質”の理解にまい進せよ。

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本日のまとめ

戒1:相場は利用するものであって、利用されるものではない。相場心理が生み出す市場のバイアスをうまく利用せよ。ただし、バリューの下支えなき投資はしてはならない。それは投資でなく、投機である。

戒2:投資の収益は、「知識」と「情報」で決まる。スキルの習得には時間がかかるものだが、それは勉強に取り組まない理由にはならない。2年間学び続けることができれば、人は変わる。

戒3:意見でなく、事実に基づいて投資をすること。自らの頭で考え、自らの足で事実を突き止めること。IRにはできるだけ電話をすること。人の一歩先行く先行指標(キャッシュフローやビジネスモデルの変化)を読み解くこと。

戒4:原理・原則から離れないこと。本当のプロは、基本や本質から外れることは決してない。応用とは、基本の深堀りと肉付けにすぎない。投資の真髄は、その企業の価値(将来事業価値、財産価値)に比して、どれだけ安く購入するか、にある。

戒5:自分が賢い/優秀だと過信したときから失敗は始まっている。失敗から学び、成功から過信しないこと。謙虚に学び続ける姿勢を失わないこと。

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運営会社 :株式会社シェアーズ(Shares,Inc .)

経営陣 :代表取締役 山口和也、代表取締役 ファウンダー 山口揚平

本社所在地 :〒169-0051 東京都新宿区西早稲田1-22-3

早稲田大学インキュベーションセンター内

ホームページ :http://bluemarl.in

お問合せ先 :[email protected]

TEL :TEL 050-3561-9160

投資情報サービス

事業

投資事業

フィナンシャル

教育事業

コンサルティング

事業

バリュエーションマトリクスなどの銘柄分析システムの開発・運営

財務戦略・CFO、M&A担当として、法人顧問・コンサルティングを実施

個人投資家コミュニティ「シェアーズ」の運営

セミナーの企画、運営、教材、DVD等の制作・販売の企画・運営

レポート、雑誌記事、書籍等の執筆、編修、出版

未公開企業を含む事業・資産への投資

投資後の企業価値向上支援

シェアーズ www.valuationmatrix.com

弊社の活動のご紹介

• 当社のホームページ(www.valuationmatrix.com)では、今回ご紹介した個人投資家に役立つ投資情報などをご提供しています。

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当資料中に記載された株式銘柄については、参考銘柄として取り上げたものであり、個別の銘柄について推奨するものではありません。

また、数値・データ・予測等については、公表された過去の実績や数値をもとに掲載したものであり、将来の成果を保証するものではありません。

実際の株式投資にあたっては、お客様ご自身のご判断と責任においてお願いいたします。

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