公衆無線LAN整備をめぐる論点 3/27/15

公衆無線LAN整備をめぐる論点

実積寿也

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公衆無線LANとは？（from ウィキペディア）

ノートパソコン・スマートフォン・タブレットコンピュータといったモバイル機器の所有者が、主に外出先や旅行先で、誰でも無線LANを利用してインターネットに接続できるサービス。

有料で利用できる場合と無料の場合がある。

有料の場合は電気通信キャリアが専らサービスを提供する。

無料の場合、専用のWi-Fi無線ルーターの購入設置と他の会員への開放が条件であったり、登録メールアドレス宛に広告が送られてくるなど、利用者に幾分かの負担が生じる場合がある。また、会場などで一時的に利用できる形態もある。

日本においては、電気通信事業者と利用契約が必要な無線LANサービスが多いため、2020年の東京オリンピック開催を控え、都市や観光スポットなどでの無料公衆無線LANサービスの拡充が開始された。

2015/3/27公衆無線LANの整備と地域経済・社会へのインパクト【ERP会員限定ワークショップ】

定義から抜け落ちている論点

何を目的として

複数の目的が存在する場合にはどうやって優先順位をつけるか？

誰を対象に

国内で利用可能な携帯電話を持っているのか否か？

どのようなサービスを提供し

アプリにどこまで踏み込むのか？

提供コスト・維持管理コストはどのように賄うのか？

提供者の持ち出しをどの程度想定するのか？


公衆無線LAN設置の目的

何のために整備を行うのか？優先順位はどのように考えるのか？


福岡市の場合

目的は観光客の利便性向上

その他の目的は副次的


利用対象者については、海外からの来訪者が、渡航先の福岡市内で簡単にインターネットに接続する手段を持っていないという状況及び国内の来訪者や市民についても無線 LAN に対するニーズは高く今後の利用拡大も見込まれることから、海外からの来訪者をはじめ、無線 LAN に接続できる端末を保有しているすべての人が無料で利用できるサービスが望ましいと考える。アクセスポイント（AP）の整備範囲は、主要な交通拠点を優先的に整備し、次に観光関連拠点、交通拠点・拠点接続ライン、公共施設への整備を進めることが望ましい。

「福岡市公衆無線LANの環境整備に関する検討会報告書（平成23年11月）」

一方、川崎市の場合


多様な需要を分析する際の視点


需要の強さ

需要発生の頻度

災害発生時の利用

観光目的での利用

（外国人観光客）

市民サービスの改善

観光目的での利用

（日本在住者）

デュアルユース or リバーシブル活用という視点


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災害発生時の利用

市民サービスの改善

観光目的

公衆無線LANの受益者

どうやったら利用してもらえるのか？


忘れがちな点：公衆無線LANの利用は義務ではない！！

公衆無線LANを利用して「特定の目的」を達成することを目指すのであれば、まずは「利用」を確保しなくてはならない。

消費者の利用を促すためには以下の二つの条件を満たすことが必要。

1. 利用者が享受できる便益が利用のコストを上回ること

2. 利用の純便益（便益－コスト）が代替手段のそれを上回ること


利用者の目から見た公衆無線LAN利用の便益とコスト

利用による便益

インターネットに接続できる。

月間利用量制限の枠外での利用

高速回線の利用

各種情報の取得

市町村からの情報提供

公衆無線LANに特化したお得情報

Geolocation情報とのコラボ

災害発生時の緊急通報がプッシュ配信

専用アプリの利用

スタンプラリーへの参加


利用に伴うコスト

通信網利用のコスト

多くの場合、無料

利用開始手続きに係るコスト

煩雑な本人認証

個人認証の提供

セキュリティリスク

情報漏えい

ウイルス感染

純便益の比較は代替手段の有無に大いに依存する

日本在住者の場合

携帯電話の加入契約数（＞総人口）を考えると、自宅やオフィスの外でのインターネット回線は、ほとんどの場合、新たな料金負担なしで確保されている。

インターネット契約を有していない消費者は、そもそもインターネット利用自体の必要性を感じていない？

海外からの来訪者の場合

公衆無線LANがインターネットに無料で接続するためのほとんど唯一の手段

国際データローミングは極めて高価


公衆無線LANのサービスメニュー

何を提供すれば良いのか？


利用者が求めているものは…..

まずは、制約のないインターネット接続

ついで、特別な情報提供


インターネット接続提供は既設網等との協調が望ましい

エリア的なデマケを行うことで展開コストを抑制できる。

民業圧迫を回避するという視点も必要。


導入スキーム

簡易アクセスポイント

民間施設購入・設置無線LAN環境整備に関する協定締結

機器の購入／設置費用、及び通信費用等は民間施設にて負担

半径約30ｍ

インターネットが利用できる施設の情報を入

手できる

○○ホテルタップ

○○ホテル

当ホテルは繁華街の中心に位置しています。ホテル最上階のバーからは、福岡市の夜景が一望できます。

簡易アクセスポイント※ Fukuoka City Wi-Fiのみ送波可能

簡易APはNTTBPより購入48,000円←WiFiポータル画面作成費を含む通信費用以外のランニングコストは福岡市が負担

失敗パターン

2015/3/27公衆無線LANの整備と地域経済・社会へのインパクト【ERP会員限定ワークショップ】出典：福岡市

情報提供についてはさらに抑制的な態度が必須

既存の民間サイトとのデマケ

公的サイトはそもそも競争力を維持できるのか？


公衆無線LANのビジネスモデル

設置費用や運営費用をどのように確保するのか？


できればマネタイズ？？？

Value for moneyの最大化は必要

敷設をしてしまえば運用コストについてはほぼ一定

利用便益を最大限に確保することが必須

防災だけに特化した整備は平常時に便益を生まない

広告モデルをベースにするなら「視聴率確保」が必須


Wi-Fi設置は平時の価値を最大化する観光目的を主に計画し、災害発生時に防災目的に切り替えて運用するといった工夫が望ましい出典：総務省（http://www.soumu.go.jp/main_content/000333324.pdf）

http://www.soumu.go.jp/main_content/000333324.pdf

つくったら終わりではない

サービス提供を開始したら、PDCAサイクルを常に回しておく必要あり

不断のメンテナンス

セキュリティリスクへの対応

アプリの高品質化に伴う帯域増強

フィルタリングの調整（…….ネットワーク中立性原則との関連があるかも？）

アウトプットではなくアウトカムの評価

公的資金の投入効果の検証

導入目的がきちんと達成されたのか？

副次的な効果の有無

一旦、開始したら…..


てんちかWi-Fiでの実効速度計測（2014/7/3-2015/1/24 平日14:00－17:00）

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West avenue

East avenue


効果検証はアウトカムで計測

インプット（どのくらい資源を必要としたのか？）

•ヒト・モノ・カネ

アウトプット（どういったシステムを構築したのか？）

•アクセスポイントの数は？人口カバレッジ、面積カバレッジ？

•どういったコンテンツやアプリケーションを実現したのか？

•実効品質の水準は？

アウトカム（公衆無線LAN設置の目的は果たされたのか？）

•観光振興には成功したのか？

•市民サービスの改善は果たされたのか？

•コミュニティの防災機能は向上したのか？


Going Concern


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