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-1- 仮説思考による新商品開発実習

【Schoo web campus】仮説思考による新商品開発実習 先生:嶋田毅

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仮説思考による新商品開発実習

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本日のアジェンダ

1.講義(前半)

2.実習―新商品開発のアイデアを考える 3.講義(後半) 4.質疑応答

20分 20分 20分 30分

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本日のアジェンダ

1.講義(前半)

2.実習―新商品開発のアイデアを考える 3.講義(後半) 4.質疑応答

20分 20分 20分 30分

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仮説とは何か

あるテーマや論点に関する「仮の答え」  (例)

「AをすればBになるだろう」 「Cの主要な原因はDだ」 等々

実は、世の中で「真実」と思われていることも、 大部分は仮説レベルということが多い

講義 (前半)

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参考:科学における仮説とその検証

1)ある結果を説明する仮説を考える 2)仮説を検証するための実験方法を考える

3)実験を行い、仮説が支持されるかを確認する

4)以上を繰り返し、仮説の深掘り、再構築を行う ⇒ 科学の進化の源は「仮説」

講義 (前半)

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ウォーミングアップ演習:Aさんの問題点は?

 研修会社のスキル&アップ社勤務のAさんは、明日X社へ研修プログラムの提案に行く予定だ。X社への訪問は3度目。初回訪問ではスキル&アップ社の一番の売りである「コミュニケーションスキル研修」を提案した。しかし、先方からは「今、自社の人材育成における 大の課題はミドル層だと考えている。コミュニケーションスキルは大事だが、それを上げるだけでは解決できない」と提案内容には否定な見解が示された。

 そこで、次は「リーダーシップ研修」と「モチベーションアップ研修」を提案した。ところが「なんかピンとこない。これでミドル層の課題が解決できる気がしない」と言われた。明日の訪問では「コーチング研修」を提案しようと考えている。

講義 (前半)

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Aさんの問題点

・まずは、相手の課題を把握する、もしくは自分なりに 推測した上で、提案内容を考えるべき

・相手の言っている「部下育成」と、自社が考える「リーダーシップ」が同じとは限らない。相手の言葉をもっと掘り下げ、本質的な解を考えるべき

・「なぜ、その提案をするのか妥当なのか」が、自分なりに説明できないと、相手の信頼は得られない

Aさんは「闇夜に散弾銃を撃っている」ようなもの。 効率も悪く、説得力も高まらない

講義 (前半)

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ビジネスにおける仮説の分類

時間軸  過去  現在  未来  問題解決の仮説  WHEREの仮説  HOW

の仮説  WHYの仮説

目的

 問題

 解決

結論の仮説

講義 (前半)

コミュニケーション

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参考:問題解決の流れ

how

(打ち手)

どうすべき?

why

 なぜ問題が 発生している?

where

どこに問題

がある?

what

(問題設定)

何を考える

べき?

講義 (前半)

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① 検証マインドの向上と、それゆえに高まる説得力

② 関心、問題意識の向上

③ スピードを生む

④ 行動の精度が高まる

ビジネスにおいて仮説思考を持つことの意義 講義 (前半)

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以下の仮説の中で、あなたが「ビジネス的に良い仮説だ」と感じるものを、理由とともに挙げなさい。また逆に、「良くない仮説だ」と感じるものを理由とともに挙げなさい

① 「火星の衛星にはかつて原始生物がいた」

②「バブル世代は意外に頭が柔軟だ」

③ 「日本でも欧米並みにビジネススクール(経営大学

   院)へのニーズが高まるだろう」

④シャープペンシルにはまだ性能アップの余地がある

良い仮説とは? 講義 (前半)

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■ そもそも論として

•   新規性・独自性がある •   ビジネスへの活用が可能である •   アクションオリエンテッドである(次の行動を  

喚起できる)

■ ビジネス的な観点から

良い仮説の条件

•   検証可能である •   何を調べれば検証できたか/できなかったか

がある程度明確 •   用語や定義が明確

講義 (前半)

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100%正しいと断言できるような仮説は、誰もが思いつくような陳腐な仮説か、あるいはなかば公然の事実であり、競争優位につながらない ビジネスにおいて良い仮説の条件のひとつは新規性。言い換えれば、誰も試したことがなく、検証のための情報が少ないということ

検証結果否定された仮説は「悪い仮説」か? 講義 (前半)

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競合を含め、誰も気づかないような仮説だからこそ、否定されることもある、くらいに割り切っておくとよい ビジネスが主に扱うのは未来。「未来の事実」は存在しない (例)ヘンリー・フォードの言葉

「もし、『車が欲しいか』と聞いたとしても、『欲しい』という答えは返ってこなかっただろう。皆、もっと丈夫で速い馬が欲しいと答えたはずさ」

検証結果否定された仮説は「悪い仮説」か? (続) 講義 (前半)

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本日のアジェンダ

1.講義(前半)

2.実習―新商品開発のアイデアを考える 3.講義(後半) 4.質疑応答

20分 20分 20分 30分

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数年後には、タバコが1箱1000円(もしくはそれ以上)になる可能性があると言われています その場合、どのような新しいニーズが喚起される  でしょうか? そのニーズを満たすどのような商品・サービスが  成り立つでしょうか?

演習 実習

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おそらくたくさんのアイデアが出たはず

 ・禁煙パイポ的なもの・飴等

 ・禁煙指導コーチ・合宿

 ・タバコ農家支援事業

 ・電子タバコ

 ・長持ちさせるためのパイプ

 ・禁煙者、非禁煙者用SNS  等々

ブレスト的に考えてみると 実習

考え方:ロジックツリーで考える(1)

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やめる人、やめた人の

ニーズ

吸い続ける人のニーズ

タバコが1箱 1000円に なった時の 喫煙者のニーズ

禁煙を成功させるまでの支えに対す

るニーズ

禁煙に成功した後 タバコの代替に対

するニーズ

肩身の狭い思いをせずに吸うニーズ

安くタバコを吸いたいというニーズ

実習

考え方:ロジックツリーで考える(2)

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気分転換のためのニーズ

タバコ部屋のコミュニケー

ションに 代わるものへのニーズ

禁煙に成功した後

タバコの代替に対するニーズ

コーヒーマシン・・・

オフィスグリコ・・・

喫茶室・・・

禁煙パイポ室・・・

実習

考え方:ロジックツリーで考える(3)

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落ち着いて喫煙できる場所へのニーズ

喫煙者の  イメージ  

アップへの   ニーズ

肩身の狭い思いをせず

に吸うニーズ

喫煙者限定喫茶店・・・

有料喫煙コーナー、 喫煙旅行・・・

副流煙を吸う   装置・・・

におい・煙のない タバコ・・・

実習

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多様な仮説を考えるための「思考方法」例

1.   別の立場・視点で考える

2.   そもそもの価値で考える

3.   隠れた前提を疑う

4.   全く違うものと組み合わせる

5.   しつこく考え続ける

実習

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本日のアジェンダ

1.講義(前半)

2.実習―新商品開発のアイデアを考える 3.講義(後半) 4.質疑応答

20分 20分 20分 30分

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1.別の立場・視点で考える

タバコに関係する人は? (例:喫煙者やタバコ会社だけでなく、タバコ農家、  医療関係者、フィットネスクラブなど) それぞれの関係者にとって、タバコが1000円になる ことはどのようなインパクトがある?  そこにビジネスチャンスは?

講義 (後半)

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2.そもそもの価値で考える

なぜ、タバコを吸うのか? その機能・価値は?  (例:精神安定、口寂しさを紛らわす、ダイエット、大人ぶりたい、間を持たす、コミュニケーションの道具) タバコが1000円になった際、その機能を代替する他の商品・サービスがヒットする可能性は?

講義 (後半)

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参考:逆の発想で、特性を他の商品に生かす

■爆薬   ・・・急速に気体を膨らませることが可能(優れた膨張力)

    →エアバッグに応用

■好熱性の細菌(温泉などで生息している細菌)   ・・・高熱下でもDNAを合成する

    →PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)に応用       分子生物学の発展に大いに寄与

講義 (後半)

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「刑務所」が利益を上げなくてはならないとしたら、どのような新事業を考えますか?

ミニ演習 講義 (後半)

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解答例

   特徴             機能・価値 

・警備が厳重

・広い敷地           ・安い人件費が豊富 ・犯罪を象徴

 人や貴重品を守りやすい 

 コンフィデンシャルな書類が扱える  (試験問題等)

 危険なことが実施可  (特殊部隊の訓練など)

 手間がかかるものを低コストで提供  非日常空間(1日体験コース等)

講義 (後半)

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3.隠れた前提を疑う

自分で固定化した前提を置いてしまっていないか? (火をつける、形状は棒状、口から吸う) その前提を変えたらどうなるか?

講義 (後半)

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参考:前提を疑うところから生まれた新製品例

「Wii」(お母さんはゲームが嫌い)

「におわ納豆」 (納豆は臭うものだ。納豆好きはあの臭いを好む)

「あらっ便利シリーズ」の納豆 (納豆のパックには袋に入れたタレとフィルムがあるのが当たり前)

「ファンタふるふるシェイカー」 (炭酸飲料を振ってはならない)

講義 (後半)

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4.全く違うものと組み合わせる

タバコと全く関係のないものと組み合わせる (例:タバコと冷凍食品を組み合わせて、冷凍タバコはできないか?)

講義 (後半)

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参考:S C A M P E R(スキャンパー)

Substitute  Combine  Adapt  Modify  Put to other purposes  Eliminate  Rearrange/Reverse 

入れ換えるたら? 結びつけたら? 応用させたら? 修正したら? 他の目的に使用したら? 除いたら? 並べ替えたら?/逆にしたら?

注)アレックス・オズボーンのチェックリストがベース

講義 (後半)

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5.しつこく考え続ける

少し面白い仮説やアイデアが出てきても、そこで考えを止めない 「だから何が言える?(So What?)」を考え続け たり、「他にもよいアイディアがないか?」と考え発想を止めない

講義 (後半)

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仮説構築のステップ

     仮説を検   証しながら、   肉付けして   いく(必要に   応じ修正   する)

  知識や情報     を組合せ、       その意味   合いを考え   意味づけを   し)ラフな   仮説を作る

知識の幅を   広げ、深く 耕しておく

講義 (後半)

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多様な仮説を考えるための「日常の心がけ」

いざ仮説を出そうと思っても、「思考方法」をいきなり 実践するのは難しい。普段から頭を耕しておく

 なぜそんなことが起こったんだろう」「本当か」と考えたり調べたりしてみる

 別の観点から見たときにどのように見えるか考える

 時系列で展開を追うことで、動的な把握をしてみる

  「ということは、今後こんなふうになるのかな」など、思考実験的に将来予測をしてみる

 類似の事象や、反対の事象とセットで考えてみる

講義 (後半)

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リサーチで仮説を検証する

リサーチの目的は、探索型と検証型に大きく分類できる。 検証型リサーチで仮説を検証していく

分類 目的

探索型 仮説が立てにくい段階で、大まかな方向

性や初期仮説を持つために行うリサーチ

検証型 仮説を検証するためのリサーチ

講義 (後半)

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仮説検証を繰り返す

初期 仮説

ざっくり 確認

より具体 的な仮説

大体の 裏付け

具体的な (行動に結び つく)仮説

緻密な 検証 肉付け、

具体化

検証でYes

検証でYes

講義 (後半)

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「どのように集める」か?

リサーチには色々な方法があり、メリット・デメリットがある。完璧な方法はないので、目的や時間、費用対効果を勘案しながらに応じて複数の方法を補完的に使う

書籍・新聞・雑誌等 データベース ネット検索 インタビュー(ヒアリング) アンケート 観察

  実験

講義 (後半)

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不適切なアンケート例

結婚してもいいと考える歳の差

  女性が5歳上まで 20%   女性が10歳上まで 10%   女性が5歳下まで  9%   女性が10歳下まで  5%   女性が15歳上まで  5%   女性が15歳下まで  5%   何歳離れていてもいい  4%   女性が20歳上まで  3%   女性が20歳下まで  3%   その他 36%

講義 (後半)

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ビジネスには絶対的・普遍的な真理はない。また、  将来の予測を正確に行うことには自ずと限界がある。 過去、現在の延長に未来があるかは「?」 したがって、鍵となる関係者にしっかり説明責任が果たせ、彼らが納得できる、というレベルが1つの目標 精度を追うよりも、スピーディにことを進めることが  大切な場合が多い。「Quick and Dirty」を強く意識 する

どこまでの精度で仮説検証すべきか 講義 (後半)

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本日のアジェンダ

1.講義(前半)

2.実習―新商品開発のアイデアを考える 3.講義(後半) 4.質疑応答

20分 20分 20分 30分