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8 FTTHサービスを既に大井松田局で開始をされていま す。今後エリア拡大を行う方針とのことですが、拡大 の計画をお聞かせください。 二宮町・大磯町・平塚市に順次5年計画でFTTH伝送 路設備を敷設していく予定です。設備に関しては現加 入者を100%移行することを目標に、将来の加入者増 にも対応できるよう設計しています。 FTTHに期待する部分はどこでしょうか。 やはりFTTHの強みでもある光ファイバを用いた高 速、広帯域な伝送路が構築できるということになりま す。インターネットサービスにおいて、他キャリアが 100Mbps以上のサービスをスタンダードとし競争が激 化する中、顧客満足度向上という観点で、FTTHによる 通信サービスの高速化は必須のものと考えています。 また、映像サービスにおいては、CATV局独自の映像 配信のノウハウを活かしながら、BS-IFパススルーサー ビスや、2020 年の東京オリンピックに向けて放送準備 が進む、4K/8K放送といった最新の映像フォーマットに も柔軟に対応できることへも期待をしています。 FTTHサービスを開始されてみて、HFC設備と比較し て運用面で違いはありますか。 HFCでの通信サービスの開始以来、悩みの種である流 合雑音対策が不要になることがやはり最大のメリットで す。障害対応は昼夜を問いません。すぐに駆けつける ための保守人員の確保、高所作業車の確保など保守の 体制を維持しなければなりませんでしたが、FTTH設備 では、保守に関わる人員を少なくでき、作業自体が大幅 に削減されています。保守性は圧倒的に優れています。 また、HFC伝送路に必須なPSも不要になることで す。昨今大きな課題である震災等、停電時のPSの バッテリー駆動停止によるサービス停止を防げるこ とも大きなメリットと認識しています。 何よりPSがな くなることで民地承諾交渉が必要なくなったことが 大きいです(笑)。各加入者宅の工事においても、 V-ONU端末の RF出力レベルが均一のため、宅内での レベル管理も容易になりました。 FTTHの構築において重要視したポイントをお聞かせく ださい。 コストはもちろんのことですが、より高品質、高信頼 のサービスを提供できるよう設備構築することを重 要視しました。伝送路となる光ファイバケーブル、放 送・通信機器は、これまで他のケーブルオペレータで 実績があり信頼できるメーカのものであることが望ま しかったです。レベル変動がほぼない安定性を重視し た設備構築ができました。もう一つは将来拡張性で す。伝送路の設計時に予備ファイバを持たせた設計を しておけば、サービス提供エリア内での加入者増加に 対して対応可能となりますので、地域に合わせた伝送 路設計を重要視しました。インターネットサービスに おいては、さらなる高速化もモジュール交換で対応可 能な設計思想である機器の拡張性を重要視しました。 また、今期より実施中の FTTH設備へのマイグレーショ 湘南ケーブルネットワーク株式会社様(略称SCN 本社:神奈川県平塚市)は、1988年6月設立のケー ブルテレビ会社です。平塚市にある湘南局では平塚市、大磯町、二宮町、中井町エリアをカバーし、大 井松田局では大井町、松田町エリアをカバーし、およそ 7 万 3 千世帯へサービスを提供しています。地 デジ再放送、多チャンネル、インターネット、プライマリー電話とサービスを拡大する中で、2011 年から大井松田局全地域でFTTHサービスがスタートしました。古河電工は伝送路の構築、放送機器、 GE-PON装置、加入者端末を納入しています。今後FTTHサービスエリアを拡大させる中で、今後の展 開や古河電工にかける期待などについてお話を伺いました。 湘南ケーブルネットワーク株式会社様 導入事例 1 FTTH化へ邁進 湘南ケーブルネットワーク株式会社 本社 湘南局 湘南ケーブルネットワーク株式会社 大井松田局 湘南ケーブルネットワーク株式会社 営業本部 技術部 技術グループ 次長 根津 朋一様 ヘッドエンドの放送機器 大井松田局の放送・通信機器

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FTTHサービスを既に大井松田局で開始をされています。今後エリア拡大を行う方針とのことですが、拡大の計画をお聞かせください。�二宮町・大磯町・平塚市に順次5年計画でFTTH伝送路設備を敷設していく予定です。設備に関しては現加入者を100%移行することを目標に、将来の加入者増にも対応できるよう設計しています。

FTTHに期待する部分はどこでしょうか。やはりFTTHの強みでもある光ファイバを用いた高速、広帯域な伝送路が構築できるということになります。インターネットサービスにおいて、他キャリアが100Mbps以上のサービスをスタンダードとし競争が激化する中、顧客満足度向上という観点で、FTTHによる通信サービスの高速化は必須のものと考えています。また、映像サービスにおいては、CATV局独自の映像配信のノウハウを活かしながら、BS-IFパススルーサービスや、2020年の東京オリンピックに向けて放送準備が進む、4K/8K放送といった最新の映像フォーマットにも柔軟に対応できることへも期待をしています。

FTTHサービスを開始されてみて、HFC設備と比較して運用面で違いはありますか。HFCでの通信サービスの開始以来、悩みの種である流合雑音対策が不要になることがやはり最大のメリットです。障害対応は昼夜を問いません。すぐに駆けつけるための保守人員の確保、高所作業車の確保など保守の体制を維持しなければなりませんでしたが、FTTH設備

では、保守に関わる人員を少なくでき、作業自体が大幅に削減されています。保守性は圧倒的に優れています。�また、HFC伝送路に必須なPSも不要になることです。昨今大きな課題である震災等、停電時のPSのバッテリー駆動停止によるサービス停止を防げることも大きなメリットと認識しています。何よりPSがなくなることで民地承諾交渉が必要なくなったことが�大きいです(笑)。各加入者宅の工事においても、V-ONU端末のRF出力レベルが均一のため、宅内でのレベル管理も容易になりました。

FTTHの構築において重要視したポイントをお聞かせください。コストはもちろんのことですが、より高品質、高信頼のサービスを提供できるよう設備構築することを重要視しました。伝送路となる光ファイバケーブル、放送・通信機器は、これまで他のケーブルオペレータで実績があり信頼できるメーカのものであることが望ましかったです。レベル変動がほぼない安定性を重視した設備構築ができました。もう一つは将来拡張性です。伝送路の設計時に予備ファイバを持たせた設計をしておけば、サービス提供エリア内での加入者増加に対して対応可能となりますので、地域に合わせた伝送路設計を重要視しました。インターネットサービスにおいては、さらなる高速化もモジュール交換で対応可能な設計思想である機器の拡張性を重要視しました。�また、今期より実施中のFTTH設備へのマイグレーショ

湘南ケーブルネットワーク株式会社様(略称SCN 本社:神奈川県平塚市)は、1988年6月設立のケーブルテレビ会社です。平塚市にある湘南局では平塚市、大磯町、二宮町、中井町エリアをカバーし、大井松田局では大井町、松田町エリアをカバーし、およそ7万3千世帯へサービスを提供しています。地デジ再放送、多チャンネル、インターネット、プライマリー電話とサービスを拡大する中で、2011年から大井松田局全地域でFTTHサービスがスタートしました。古河電工は伝送路の構築、放送機器、GE-PON装置、加入者端末を納入しています。今後FTTHサービスエリアを拡大させる中で、今後の展開や古河電工にかける期待などについてお話を伺いました。

湘南ケーブルネットワーク株式会社様

導入事例

1 FTTH化へ邁進

湘南ケーブルネットワーク株式会社 本社 湘南局

湘南ケーブルネットワーク株式会社 大井松田局

湘南ケーブルネットワーク株式会社 営業本部 技術部 技術グループ次長 根津 朋一様

ヘッドエンドの放送機器

大井松田局の放送・通信機器

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ン期間は、共架柱への2重共架期間もあるため、負荷の少ない軽量な光ファイバケーブルの選択も重要視し、従来のSZスロット型ではない、間欠接着型4心テープを使ったスロットレス型ケーブルを採用しました。外径が3割近く細径で質量が約半分になりますので、共架申請での共架柱の建て替え、ルート変更などが大幅に減り、工期短縮に役立っています。

FTTH設備へのマイグレーション期間は、共架柱への2重共架期間もあるとのことですが、これはどう対応されますか?FTTH幹線設備が完成しても、顧客の新設備への移行が完了しないとHFC設備の撤去ができません。HFC設備の並行保守を考えると、保守コストの面からも、極力速やかなFTTH設備への移行を推進していきたいと考えています。インターネットサービス加入者を優先し、

サービスのグレードアップを行いつつ移行を行っていく予定です。

FTTHサービス拡大において、古河電工へ期待するところはどういったところでしょうか。大井松田局の時も、今回の湘南局エリア拡大の時もそうですが、伝送路設計は地域の特性を考慮した適切な設計を提案してもらっています。こういったところは経験豊富なところとして期待しているところです。導入済みの放送・通信機器は、大井松田のサービスイン後大きなトラブルもなく運用できているので、とても満足しています。今後のサービスエリア拡大にともない様々な新製品を提案してもらっていますが、当社の高品質、高信頼サービス提供のために品質の維持、向上を続けていくことに期待しています。

新規に採用されたスロットレス型ケーブル(写真は24心型)※撮影用にスパイラルチューブなどは外してあります

GE-PON管理装置AG-Manager湘南局HEでも操作可能

中井SHE 大井1 SHE

松田SHE

大井2 SHE

平塚HE

サーバ

GE-POND-ONU運用支援システム

AG-Manager

光増幅器

光送信機

カメラBS/CSアンテナ

スタジオ設備

編集装置インターネット網

一般公衆電話網

SW

光成端架

カプラ&クロージャ

地上放送アンテナ

放送用ヘッドエンド

平塚エリア大磯エリア

二宮エリア

※平塚・大磯・二宮エリアは、順次5年計画でFTTHエリアを拡大する予定

顧客認証サーバなど

光SW

光増幅器

GE-PON OLT

放送V-ONU

放送V-ONU

放送V-ONU

プライマリ電話0AB~J

D-ONU

LAN1

LAN2

HGW

TV

プライマリ電話0AB~J

D-ONU

LAN1

LAN2

HGW

TV

プライマリ電話0AB~J

D-ONU

LAN1

LAN2

HGW

TV

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CNCIグループ各社のGE-PONシステムの運用を支援するサービスについてお聞かせください。澤崎 �CNCIグループ各社にてFTTH事業を開始する

際、グループ全体で各種検討課題を議論し、システム仕様や施工基準などを策定しました。�その際、GE-PONに付帯する設備を各社毎に構築するのか、加入者管理装置(SMS)とのデータ連携をどうするかが課題でした。�グループ全体で様々な検討をした結果、当社にてSMS連携まで考慮されたシステムを一元的に構築し、グループ各社にサービス提供する方式を採用することになりました。

CNCI様にて構築されたシステムについて具体的にお聞かせください。澤崎 �GE-PONプロビジョニングシステムについては、

新規に構築する必要がありましたが、グループ各社毎にサーバを準備する方式では、設備効率が悪いため、仮想化システムを採用しました。さ

らにその仮想化システム上に、グループ各社用のAG-Managerをインストールするシステム構成としました。また、SMSとの連携についてもインターフェース仕様を策定し、AG-Managerをカスタマイズすることでシームレスな連携を可能にしました。

GE-PON運用支援システムをサービス提供する側として、このAG-Managerをご採用いただいたポイントなどお聞かせください。澤崎 �ポイントは、やはり技術力の高さです。通常は

GE-PONのプロビジョニングシステムを導入するのは、1社1システムだと思いますが、CNCIグループでは、前に述べたとおりグループ各社の共通利用を前提とした複数事業者対応をしなくてはなりませんでした。その要件についてもしっかりと実現の方法をご提案いただき、サービス提供まで漕ぎ着けたのは非常に大きいです。�また、AG-Managerの機能も、カスタマーサポー

株式会社コミュニティネットワークセンター様(本社:名古屋市東区、以下「CNCI様」)は、事業持株会社として2008年7月に設立、現在は(株)キャッチネットワーク様、知多メディアスネットワーク(株)様、中部ケーブルネットワーク(株)様、ひまわりネットワーク(株)様、おりべネットワーク(株)様、(株)ケーブルテレビ可児様、シーシーエヌ(株)様、三河湾ネットワーク(株)様、スターキャット・ケーブルネットワーク(株)様、グリーンシティケーブルテレビ(株)様がグループ会社となるMSOです。CNCIグループ各社にて当社GE-PONシステムをご採用いただいている一方で、CNCI様の提供サービスの1つとして、グループ各社のGE-PONシステムの運用を支援するサービスを当社AG-Managerにて提供されています。グループ内でどのようにお使いいただいているかお話を伺いました。

株式会社コミュニティネットワークセンター様

導入事例

2AG-Managerのグループ活用GE-PON運用支援サービスを提供

A社 B社 C社 D社

E社 F社 G社 H社

A社オペレータ

B社オペレータ

C社オペレータ

A社センタ設備

OLT装置

B社センタ設備

OLT装置

C社センタ設備

OLT装置

ファイアウォール

A社用接続CNCIプロビジョニングシステム

B社用接続

C社用接続

株式会社コミュニティネットワークセンターシステム事業部 第3グループグループ長 澤崎 栄治様

株式会社コミュニティネットワークセンターシステム事業部 第3グループリーダー 原田 昭生様

株式会社コミュニティネットワークセンター システム事業部 第3グループサブリーダー 小木曽 哲哉様

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株式会社コミュニティネットワークセンター様

トをしていくうえで必要な情報のほとんどが既に実装されており、SMS連携カスタマイズ以外の機能については大幅な変更も無くサービス開始できたのも、非常に評価できるポイントです。このような姿勢は、これまでの導入実績や各顧客からの要望を真摯に受け止めているからだと思いました。また、サービス提供開始後も、定期的なソフトウェアバージョンアップがあり、バグフィックスはもちろん、新機能も多くリリースされる事は、非常に評価できるポイントです。

実際にお使いのグループ各社からAG-Managerを使っていただいてのご感想はいかがでしょうか。澤崎 �初めて導入するシステムは改善要望が多く出る

ものですが、AG-Managerは、必要な機能が当初より実装されていることから、サービス提供を開始して数年が経過しますが、大きな改善要望が出てきていない事が全ての結果だと思います。検索項目の多さも好評いただいており、利用しているグループ各社からはSMSを利用することなくカプラ単位で検索ができるため、停止工事の際の連絡先の抽出等に役立つ、などの声も聞いています。

小木曽 ���システム導入後にSMS連携履歴の表示・ONUの光レベル表示・宅内誤配線があった場合のポート閉塞状態の表示など、運用性を向上するための細かな機能がバージョンアップの都度追加され、より使いやすくしたいと考えている御社の思いが伝わってきます。

御社のサービスを継続、拡張するうえでAG-Managerに期待することはどういったところでしょうか。澤崎 ��今後我々が取り組む課題の一つとして、10G対

応があります。当然、プロビジョニングの機能は、現在の運用を踏襲できるように、AG-Managerにて対応される事を期待しています。また、今後さらなる進化を期待したい部分としては、より細かなユーザトレースなど、統合管理システムとしての発展を期待します。

原田 �今後無線LAN機能付ONUなどがリリースされると伺っています。従来の同軸環境で運用している無線LAN機能付ケーブルモデムと同じように、リモートファームアップや遠隔管理などができるようにAG-Managerの仕様を検討していただければと考えています。�また、CNCIおよびグループ各社が希望する機能も多く取り入れて頂いていますので、今後も様々な機能を実装し、より使い易いシステムになることを大いに期待しています。

株式会社コミュニティネットワークセンター 様 (2014年9月末現在)

(1)事業内容 .................グループ会社の事業活動の経営管理、デジタル放送の再配信、電気通信事業

(2)所在地 .....................愛知県名古屋市東区東桜一丁目3番10号 (3)代表取締役社長 ......多和田 博 (4)資本金 ......................2億9,308万円 (5)グループ加入規模  ① 対象世帯数 2,700千世帯   ② サービス総世帯数 688千世帯   ③ 多チャンネルサービス世帯数 397千世帯   ④ ケーブルインターネット世帯数 381千世帯   ⑤ ケーブルプラス電話世帯数 330千世帯

(6)サービスエリア □株式会社キャッチネットワーク 愛知県刈谷市、安城市、高浜市、知立市、碧南市、西尾市

□知多メディアスネットワーク株式会社 愛知県東海市、大府市、知多市、知多郡東浦町 □中部ケーブルネットワーク株式会社 愛知県春日井市、小牧市、名古屋市緑区、豊明市、日進市、愛知郡東郷町、犬山市、丹羽郡扶桑町、 豊川市 岐阜県各務原市、美濃加茂市、

加茂郡川辺町、 白川町、八百津町、養老郡養老町、本巣市 三重県三重郡朝日町、川越町、桑名市多度町 □ひまわりネットワーク株式会社 愛知県豊田市、みよし市、長久手市 □おりべネットワーク株式会社 岐阜県多治見市、土岐市、瑞浪市 □株式会社ケーブルテレビ可児 岐阜県可児市、可児郡御嵩町 □シーシーエヌ株式会社 岐阜県岐阜市、羽島市、関市、美濃市、瑞穂市、 各務原市川島、山県市、下呂市、本巣郡北方町、 羽島郡笠松町、岐南町、郡上市 □三河湾ネットワーク株式会社 愛知県蒲郡市、額田郡幸田町 □スターキャット・  ケーブルネットワーク株式会社 愛知県名古屋市(守山区、緑区除く)、北名古屋市、西春日井郡豊山町、江南市、岩倉市、 清須市(旧西枇杷島町・旧春日町のみ) □グリーンシティ  ケーブルテレビ株式会社 愛知県名古屋市守山区、尾張旭市、瀬戸市

AG-Managerサーバ実装

AG-Managerの操作画面

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横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)に参加されていますが、概要を教えていただけますか。 横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)は、スマートシティの実現に向けて日本の4地域で行われている経済産業省による実証実験の一つです。みなとみらい21エリア、港北ニュータウンエリア、横浜グリーンバレーエリアの3地域を中心に、市民、民間企業、市の連携によりスマートシティモデルを構築し、その成功モデルを全国に展開するための取り組みです。エネルギーの管理、見える化を行うEMS(エネルギー・マネジメント・システム)としてそれぞれ施設の用途や規模に応じて、HEMS、BEMS、FEMSを設置し、これに加え、充放電対応電気自動車(EV)や充電ステーション、蓄電池SCADAなどをCEMSが集約、連携することで、コミュニティ全体で電力需要に対してエネルギーマネジメントを行うシステムの実証実験です。

YSCPにおける「横浜アイマークプレイス」の果たす役割はどういったものでしょうか。みなとみらい21地区はYSCPの3エリアの1つで、多くの商業ビル、オフィスビルがあります。横浜アイマークプレイスは、2014年春に竣工した地域で最新のテナントオフィスビルです。横浜アイマークプレイスには「シミズ・スマートBEMS」が導入されており、これらの上位になる統合BEMSを介して地域全体のCEMSと連携しています。2014年7月から9月にかけては、デマンドレスポンス(DR)実証実験に参画しました。これは施設の節電量を入札方式で管理するネガワット取引やDRによるピークカットの効果を検証するものです。特に、横浜アイマークプレイスではこれまでにない新しい試みとして、地域のデマンドレスポンスに対して、共用部分の照明などの自動制御、蓄電池とEVの放電、テナントによる省エネルギー実施を連動させています。

V2B+Liイオン蓄電池システムはどのように使われているのでしょうか。 横浜スマートシティプロジェクトでは、EVや充電ステーションも実証実験の対象としています。�

横浜アイマークプレイスでもV2B+Liイオン蓄電池システムを地上駐車場に3台設置し、日常はEV用充電スタンドとして利用しています。CEMSからデマンドレスポンスが発令された場合や、建物自体の需要電力が目標値を超えそうな場合には、「シミズ・スマートBEMS」からの指令によって放電を実施し、デマンドを削減します。

V2B付のLiイオン蓄電池システムを選択された理由はどういったところでしょうか。単なるEV用充電スタンドであるだけでなく、V2B機能を使ってLiイオン蓄電池の電力とEVの電力を施設に供給し、需要電力の削減を行います。また、万が一停電が発生し、非常用発電機の燃料が枯渇した場合でも、Liイオン蓄電池とEVを非常用電源として横浜アイマークプレイス1階の照明、コンセントなどに電力供給を行うためV2Bの機能が必要でした。�平常時に商用系統から切り離すことなく、Liイオン蓄電池とEVを協調させた電力供給が行え、しかも非常時には自立電源となる機能のある我が国初めてのシステムであることがこのシステムを選択した一番の理由です。

充電スタンドとしての使い勝手はいかがでしょう。 屋外設置タイプで、日よけや屋根の必要がない点は、施設設計上高く評価されます。また、操作を行うタッチパネルは晴天時でも見やすく、操作に慣れない人でも分かり易い表示となっています。非常停止ボタンにつ

清水建設株式会社様(本社:東京都中央区)は、1804年(文化元年)創業の日本国内有数の大手総合建設会社です。1838年には江戸城西の丸造営に参加、1859年には横浜に進出し、先進の洋風建築技術を習得しました。その後も日本各地でわが国の近代化の進展とともに、「日本初」となる建築に携わってきました。2014年5月には、横浜みなとみらい21地区に清水建設様が約300億円を投じて開発を進めてきた大規模テナントオフィスビル、「横浜アイマークプレイス」が開業しました。このビルは横浜スマートシティプロジェクトの実証対象地区にあり、充電スタンドとして古河電工の「V2B(Vehicle to Building)+Liイオン蓄電池システム」を3台導入しています。プロジェクトの推進にあたりどれほど寄与できているのか、お話を伺いました。

清水建設株式会社様

導入事例

3 V2B+Liイオン蓄電池を充電スタンドとして

清水建設株式会社 エンジニアリング事業本部 情報ソリューション事業部 主査 大山 俊雄様

清水建設株式会社  投資開発本部 プロジェクト推進二部 副部長 新井田 雅之様

1Fロビー設置のディスプレイ左側はビルのエネルギー情報を表示している。右側のディスプレイは災害時に緊急情報が表示される。

コントロールセンタ内のオペレーション 画面。EVも表示される。

横浜アイマークプレイス

駐車場に設置されているV2B+Liイオン蓄電池

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いては、いろいろな議論がありましたが、一般の方も通行する場所に設置されることから、誤って押さないようにカバーを付けてもらいました。充電プラグは重いと思いますが、これは誤って落としたりしても破損しないように作られているためだと考えると、これくらい頑丈な方がいいかもしれません。多数のユーザ様が使われ、落としたりするでしょうから。

BEMSとの連携はうまくできましたか。横浜アイマークプレイスでは、「シミズ・スマートBEMS」が「V2B+Liイオン蓄電池システム」の制御を行う上位システムとして構築しました。もともと「V2B+Liイオン蓄電池システム」は古河電工S-EMSが制御を行っているわけですが、それを「シミズ・スマートBEMS」が置き換える形を取りました。「V2B+Liイオン蓄電池システム」の通信仕様を開示していただき開発を進めましたが、既に出来上がっている2つのシステムを統合するというのは、お互いの設計思想やプログラム構造が異なっているためにとても骨の折れるものでした。古河電工スタッフには、仕様の策定から工場での調整、シミズからの要望にも丁寧かつ迅速に対応していただき、清水建設スタッフと協議を密にして、システムの連携・制御ができるようになりました。

清水建設様の提唱するecoBCPに導入いただいたシステムは適していたでしょうか。「横浜アイマークプレイス」は、東日本大震災後、みなとみらい地区で着工する初のテナントオフィスビルであることから、省エネ・節電といった平常時の環境対策機能(eco)と非常時の事業継続機能(BCP)を備えたビルとして計画されました。この計画は、清水建設が目指す「ecoBCPオフィス」を具現化したものです。具体的には、「eco」としての再生可能エネルギー利用、節電・ピークカット、「BCP」としての非常用電源の確保を実現しています。さらに、「V2B+Liイオン蓄電池システム」の導入は、当社でも初めての取り組みとして世の中に提供できたということで大変意義のあることと考えてい

ます。電気自動車用充電器、Liイオン蓄電池それぞれのものはすでに世の中にありますが、これらが組み合わさったシステムで、系統連系しながら放電でき、停電時の自立運転も可能なものは、今回の「V2B+Liイオン蓄電池システム」が我が国では最初になります。一体型となっていることで直流と交流の変換装置や制御装置を統合することが出来、コストパフォーマンスがよくなっていると思います。実用性が極めて高いものであると感じています。今回このシステムは沿道からも見えるということでPR効果も高く、看板も設置して取り組みを説明しています。お近くにおいでの際は是非ご覧になってみてください。

日産とのカーシェアリング事業にV2B+Liイオン蓄電池システムを連携すると聞きました。どの様なビジネスを目指しているのでしょうか。テナントビルにカーシェアリングを組み合わせることで、施設利用者、地域、カーシェアリング事業者、ビル事業者の皆が喜ぶ事業を実現しました。特に「横浜アイマークプレイス」では、カーシェアリングだけではなく、「ベイバイク」(共用自転車)や「チョイモビ」(共用2人乗り軽自動車)のサービス基地となっており、施設利用者の皆さんは自由に乗り物を選択して移動することができます。地域がこのようなサービス基地を複数持つことによって、環境に配慮しながら快適で便利な街づくりが実現しています。そしてカーシェアリング事業者にとっては、テナントビルがこのV2B蓄電池システムを構築することで、充電スタンド建設の投資が少なくてすみます。テナントビルとしては基地に何台か電気自動車がいれば、その電池を使うことができます。カーシェアリング事業の導入にあたっては、「シミズ・スマートBEMS」の機能を強化し最適な充放電条件に基づいた制御を行う事で、カーシェアリングユーザの利便性を損なわず建物の需要電力を削減することを目指します。つまり、負担が少なく基地が増えるカーシェア事業、高付加価値のテナントサービスを提供する省エネのテナントビル、シェアで負担が少なく乗り物を確保できる利用者、環境コンシャスな街づくりができる地域、まさにWin-Win-Win-Winの関係を作る大事な道具だと思っています。

蓄電池PCS

系統電源

電力供給

V2H対応EV

横浜アイマークプレイス 横浜アイマークプレイスモニター

シミズ・スマートBEMS

コントロールシステム

V2B

充電中

充電中

シミズ・スマートBEMS

平常時

蓄電池

系統電源

電力供給

停電

モニター

コントロールシステム

停電時

V2H対応EV

放電中

放電中

V2B

PCS

アイマークプレイスに設置されているチョイモビ(上)とベイバイク(下)。登録するだけで施設利用者が自由に利用できる。

災害時にV2B+Liイオン蓄電池から 電力供給される1Fコンセント

オフィス内の見える化画面