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決定木
東京大学 三好雄也
1
決定木
決定木とは、データの特徴量を用いた簡単なルールで分岐を作り、特徴空間を分割することを通じて判別や回帰を行うモデルのこと
モデルの種類:CARTやC4.5(C5.0)
CART
1. 木の構築:何らかの基準を満たすまで、予め定義しておいたコストに基づいて特徴空間を2分割する手続きを繰り返す
2. 剪定(pruning):構築された木の深さが深いほど複雑なデータを扱うことができるが、過学習の可能性がある。そこで、過学習を防ぐため、予め定めておいたパラメータによってモデルの複雑度を制御すること
利点:高次元の判別が容易に視覚的に確認できる
2
決定木のイメージ
ルートノード
ターミナルノード
線形回帰
3
分類の考え方
分類の考え方
例えば、ある商品を購入するか否かを最も良く説明する分類を作成するとする。この時、分類されたデータが買う、買わないできれいに分けられれば、それは「純粋である」とされる。
分類により、純化していく作業が決定木
4
決定木の手法
CART(Classification And Regression Trees)
不純度を表すGINI係数を基準に分割
ノードを分岐させることによって、不純度が減少する(=分岐後のそれぞれのノードの純度が増す)ような分岐点を探す
「純度が増す」=「バラツキが少なくなる」
C4.5(C5.0) エントロピーに基づくゲイン比という基準で分割
5
木の構築コスト
木の構造T、m番目のターミナルノード𝑅𝑚、 𝑅𝑚中の例題数𝑛𝑚
𝑅𝑚において、ラベルがgになる確率
𝑝 𝑚,𝑔 = 1
𝑛𝑚 𝐼[𝑦𝑖 = 𝑔]
𝑅𝑚におけるラベルの予測
𝑦 (m) = argmax𝑔 𝑝 𝑚,𝑔
Tにおけるノードmのコスト𝑄𝑚(𝑇)
1. ジニ係数 𝑄𝑚 𝑇 = 𝑝 𝑚,𝑔𝑝 𝑚,𝑔′ = 𝑝 𝑚,𝑔(1 − 𝑝 𝑚,𝑔)
2. エントロピー 𝑄𝑚 𝑇 = 𝑝 𝑚,𝑔𝑙𝑜𝑔𝑝 𝑚,𝑔𝐺𝑔=1
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ジニ係数とエントロピー
ジニ係数で分類
不平等さを示す指標 0~1の間の値を取り、0で平等
ジニ係数が最も低下するように分類する。
エントロピーに基づくゲイン(情報利得)比 情報量を測る指標(物理では熱や物質の拡散度を示す指標)
情報量:確率pで起こる事象の情報量は -𝑙𝑜𝑔2𝑝 で定義される
𝑙𝑜𝑔2𝑝の絶対値が大きい=情報量が多い
エントロピー( - 𝑝 𝑚,𝑔𝑙𝑜𝑔𝑝 𝑚,𝑔𝐺𝑔=1 )が低いほどノードの純度は高い
7
ジニ係数とエントロピー:教科書の例
全体で200個の例題が存在、それぞれクラスが2つ
分割1 𝑅1にクラス1が75個、クラス2が25個
𝑅2にクラス1が75個、クラス2が25個
分割2 𝑅1にクラス1が50個、クラス2が100個
𝑅2にクラス1が50個、クラス2が0個
ジニ係数 分割1 100
200 75
100(1−
75
100) ×2 = 0.1875
分割2 150
200 50
150(1−
50
150) +
50
200 50
50(1−
50
50) = 0.1666
エントロピー 分割1 100
200 75
100 ×log(
75
100) ×2 = -1.5
分割2 150
200 50
150 ×log(
50
100) +
50
200 50
50 ×log(
50
50) = -0.3962
注意:C4.5などはエントロピーに基づくゲイン(情報利得)比を用いる
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決定木 in R library(rpart) ; library(mlbench)
data(Glass)
nrow(Glass) # → 214
head(Glass) # 9つのデータと7つのType
table(Glass$Type) # 各Typeの個数
set.seed(1) # 乱数の種を指定
# 学習データ
tra.index <- sample(nrow(Glass), nrow(Glass)*0.7) # ランダムサンプリング
# ジニ係数で学習 split= “information” でエントロピー
res <- rpart(Type~., Glass[tra.index,], method=“class”, parms=list(split=“gini”))
pred <- predict(res,Glass,type=“class”) # ラベルの予測
mean(pred[tra.index]!=Glass$Type[tra.index]) # 訓練誤差 判別器を構成する際の学習データの誤り率
mean(pred[-tra.index]!=Glass$Type[-tra.index]) # 予測誤差 未知のデータに対する誤り率
# 決定木の表示
plot(res);text(res)
9
木の剪定(pruning)
木T’を構築した時、T⊂T’をT’を剪定することで得られる部分木(subtree)とする
部分木Tのコスト 𝐶α(T) = 𝑛𝑚𝑀𝑚=1 𝑄𝑚(𝑇) + α 𝑇
𝑇 :ターミナルノードの個数
α:剪定を制御するパラメータ
学習データの適応度とαの大きさはトレードオフ
𝐶0(T)への寄与が小さなノードから順に剪定を行う
→ 𝐶α(T)を最小にする部分木𝑇αを探索する
Rではαではなくオプションcpを用いる
𝐶𝑐𝑝(T) = 𝐶0(T) + cp 𝑇 𝐶0(𝑇0), 0≦ c ≦ 1
10
木の剪定と木の深さ
学習データの適応度
4
ただし、実際にはcp≧2で1つだけの分岐となる
11
木の深さ=4
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損失行列と事前確率
クラスごとのサンプル数によって誤判別の重さが異なる
>table(Glass$Type) 1 2 3 5 6 7 70 76 17 13 9 29
Glassのデータは左のようになっている。
ゆえに、サンプル数が少ないクラスである3,5,6
を誤判別するコストは小さい。
[,1] [,2] [,3] [,4] [,5] [,6] [1,] 0 1 100 100 100 1 [2,] 1 0 100 100 100 1 [3,] 1 1 0 100 100 1 [4,] 1 1 100 0 100 1 [5,] 1 1 100 100 0 1 [6,] 1 1 100 100 100 0
そこで、左図のような損失関数を導入し、3,5,6の誤判別のコストを100倍にしてみる
0.1666667 0.1666667 … またパターン認識の本では一様分布を仮定した分析も合わせて行っている
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損失行列と事前確率 in R library(rpart) ; library(mlbench)
data(Glass)
set.seed(1)
tra.index <- sample(nrow(Glass),nrow(Glass)*0.7)
# 損失行列
LOSS <- matrix(1,length(levels(Glass$Type)), length(levels(Glass$Type)))
LOSS[,c(3:5)] <- 100 ; diag(LOSS)<-0
# 学習
res2 <- rpart(Type~., Glass[tra.index,], method="class", parms=list(loss=LOSS))
yhat2 <- predict(res2,Glass,type=“class”) # ラベルの予測
mean(yhat2[tra.index]!=Glass$Type[tra.index]) # 訓練誤差
mean(yhat2[-tra.index]!=Glass$Type[-tra.index]) # 予測誤差
table(true=Glass$Type, prediction=yhat2) # 判別結果
# 一様分布の場合→parms=list(prior=rep(1/6,6)
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事前確率に一様分布を仮定した場合
15
決定木の不安定性
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決定木の問題点
判別結果の分散が大きく、データが少し変わっただけで構築される木の構造や判別ルールが大きく変わってしまう。
14章で扱うバギング等で木の安定性を測っている。