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1kujimeakira.web.fc2.com/toyoigakuron/bunken/hidensho.pdf- 2 - 云 ふ。昼 夜 針 法 昼 よ り 前 は 陽 中 の 陽 に し て 気 血 上 に あ る に よ つ て 針

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  • - 1 -

    針法秘傳抄

    久次米晃

    翻刻

    ■柳谷素霊氏の頭注は、

    という形で示した。

    ○「……」

    針法秘傳抄注解について

    皇漢医書写傳会で「針法秘傳抄」の原本並に注解本を発行するについて余にとの頭注を属し来つた。余の

    之を見て先づ其の順序立つてる組織に瞠目した。次でその内容を読むに至つて、その実際的事項の記載しあ

    るに一驚を喫した。我々が日常実地臨床実際行ふて効果を収めてゐる手法が随所に散見するを見たからであ

    る。例へば、水腫の鍼や帯下の鍼、癥瘕の鍼、虫喰歯の鍼等は日常実際に行ふもの、或嘆に優するものであ

    る。幸に此の書が世に用ひられ病人の一人たりと快癒するあらば注解者ふる余の欣快之に過ぎるものはない

    次第である

  • - 2 -

    云ふ。

    昼夜針法

    昼より前は陽中の陽にして気血上にあるによつて針先を上へむかふ。昼より後は陰分にして気も血も下に

    ある故に針先を下にむくる物なり。又病症によつてちがふなり。

    春夏秋冬針法

    春夏は陽なるによつて針を浅くすべし。又気も血も上に浮ぶ故なり。秋冬は陰にして気血共に底にしづむ

    故に針を深く立るなり。

    一陰一陽

    五月は一陰生ずる月、十一月は一陽生ずる月なり。これによつて病治のかはりあり。

    男の針

    男は陽にかたどる故に総ての針を浅く手軽に立るを本とす。

    女の針

    女は陰なるによつて陰気門に甚しきが故に陰血あまり月に一度の経水を見、依つて重くおし深く立るに心

    持あり。

    死の針

    死する針と云ふはむねの中すぢに一寸四五分ほど瀉に立れば尤も死す。背の七の椎又

    金ぼねまわりに

    かりがね

    深く立れば大事あり。かたさき膝の上廉足の

    の内惣じて脉のうごく所はふかくいむ。右はえんりよして

    かど

    くるぶし

    立べからずと云ふ義なり。

    ○第七椎は至陽宛なり。

    ○厂金骨は「かいがね」の訛

    「かいがね」は胛を云ひ「かいがらぼね」の古名、現今の肩胛骨なり。

    ○肩さき以下の文、肩井、梁丘、水泉等を云ふ。

    万病一如の針

    万病一如の針事、前は臍の両傍一寸五分に穴と、又鳩尾の下にあり。背は十一の骨に深く立ふ。次に十一

    の両傍一寸五分補に立る。百会心しづかに立つる。此法はすべての病に用ふ。尤補の病に妙なり。五品の妙

    針ともいふ。さりながら大事なり。

    ○万病一如の鍼は

    鍼灸廣挟神倶集

    にも出づ

    これによれば陰都

    中脘より相去ること三寸の点に深三寸

    胃兪に三日刺すべしと云ふ。本書と同じやうなるべし。背第十一の骨は督脈の脊中を云ふ。

    病の表裏

    諸々の病に表裏あるを知るは脉の浮ぶと沈むとおそきと数あるを以て寒熱を見る。瀉針を立発散すべし。

    ○病の表裏

    表裏を明め針の深浅を決す。

    実病の針

    気実にして上にあるは瀉なり。注して曰く、実とは熱なり。気上に実するは実性の人とす。かやう成には

    十本立れば十本瀉に立ると云事なり。

    気虚の針

  • - 3 -

    病人弱きは先づ補にやはらげて立る。併し乍ら結する人は熱あれば先づ瀉すべし。虚せば補に立る。やま

    ひによつてやはらげ下すべし。

    ○実すれば瀉、虚すれば補、虚人なるも結すれば先瀉、次に補すべし。

    虚実

    諸々の病に針を立て心のよきは虚なり。おして痛有れば実なれば瀉に立べし。

    ○虚実以下三項これ至言あり。今の鍼医心すべきなり。

    気の強弱による針

    病人気力弱気人には針を深く立べからず。気力のつよき人には深く立てもくるしからず。

    空腹満腹の針

    空心とて食せざる前に立る針はあさく立て補なり。食して後に立る針は瀉に立るなり。

    己が気を鎮めて

    病人にかかる時先づ己が気しづめて、針の先に心を添えて、病人の目に我目をはなさぬものなり。然乍病

    人ならば心持有り。

    扁鵲の外治

    扁鵲の外治には穴にかかはらず。大事あり。

    補針

    針をぬきたるあとをもむ事補なり。

    補瀉

    針を立入ずして

    あると云ふ事は皮をおしきうして補にして補なり。瀉してよきは瀉なり。気を送り気を

    むかへ一陰一陽の心にならひおなじ。

    瀉針をぬきたるあとそのまま一直事発散なり。瀉なり。寒す針なり。

    ○瀉の條の言これ至言なり。熟考了得すべし。

    針の後をさする

    針をぬきたる跡をさする事気血痰の欝したる散さん為なり。

    針の後をたたく

    針をぬきたるあとをたたく事は痰をゆるくし血をめぐらしすじめ痛をとどめ、又痃癖五痺中風に用ひてよ

    し。

    ○五痺=

  • - 4 -

    補して置く

    補し置くといふはそろりそろりとさすりておしやはらげ、又針を二つ三つ立るやうにして皮をもきらずし

    て置をやはらげといふ。初て針を立る人又は小児初て立るとき久しき病人の補ひなどに用るなり。

    気おくり下し向ふる法

    針立栄衛の穴をそろりそろりとやはらげ針を立る事、気を下し気をおくり向る法を補と号するなり。

    ○栄衛=吾人身体を栄養護衛する物の総称なり。

    腹陰背陽

    諸々に陰陽有といふは、前とは陰とし、脊をば陽とす。陰には針を深くし陽には浅く立るなり。

    病人のくらい

    病人の針にあはぬほどに立るを補とす。病人のくらいをよく見分、それぞれによつて心を用ふる事上手な

    り。心得かんやうなり。

    大事の病人

    病人の気力に過ぎて立れば栄衛をとろへ瀉すなる物なり。

    ○大事の病人瀉、これ至言。鍼医の忽

    に附すべからざる言なり。

    病人の気力

    針を入れてよきころす又水ぬき上ぬもかかとに立入味はひを立補と云ふなり。同皮をかると云事ふかき補

    なり。

    腹のまくれを治す法

    針を入れてぬいて其ままおくは瀉なり。食を過して後腹膨は其所に二つ三つほどそろそろと立て其ままぬ

    けば腹のまくれを治す。妙なり。

    脾胃を補ふ

    脾胃を補ひ針立る事、是補の口傳なり。但し病者に依ての口傳多し。

    やはらげの針

    針を立入て又水ぬき上て又入いかにもそろりそろりと立るをやはらげといふ。

    ○やはらげの針は強直痙攣に少用すべきか。

    針口をつむる

    針口をつむる事陽なり。つうれいの補なり。

    大事の症

    諸々の病人前には針をうけ後には針を受かぬるは大事の症なり。

    ○大事の症の條下の経験するもの症の悪変を示す。

  • - 5 -

    病人の顔色にて寒熱虚実を知る

    病人顔を見、何れの病をわきまへ蔵府の寒熱虚実を知て補瀉をかくる。色を見るといふは顔色に青きはか

    ん、黄はひい、赤きはしん、白きは肺、黒きは腎のわづらいと知るべし。

    ○顔色青(肝)黄(脾胃)赤(心)白(肺)黒(腎)はそれぞれ五蔵の色体を示す。

    針を立かねる病

    何れの蔵府にても何れ針を立かぬる病は其蔵府まで針を立入ず、皮肉まで立補瀉をかくれば其病かるくな

    る。さて次第次第に気力をつけ、又の味をしりたる時本法の如く針するなり。

    毛の穴に針を立る産前後

    毛の穴に針を立る事発散なり。惣じて百会の針に補といふ事なし。然し乍ら産前には補なり。産後には瀉

    なり。

    大事の病人

    大事の病人ならば、先心を鎮め、少もいたまざるやうに其病人の気に應ずることをかたり、此病は心やす

    く治すべしなどいて気をかろくし、日かずをおくり養生する事大事のならひなり。

    痛む用に針立る

    いたむやうに針を立、いたむやうに針を抜く事、病に依つて用ひずしてかなはざる事あり。然し乍ら是に

    ならひあり。

    ○痛む様に刺す場合は実症の人の実に対してである。

    病人に尋ぬ事

    先づ病人に尋ぬべき事、補するか瀉するかを尋ぬ、可なり。

    昼病夜病

    諸病、昼わずらふは気、夜わずらふは血、夜昼病は気血も共にわずらふなり。これらをよく心得て治すべ

    し。

    病左に邪気あるは

    諸の病に、左に邪気あるは血わづろう、病夜甚し。左を専と養生すべし。此の人の脉は沈むべし。若し浮

    ぶか数あらば大事なり。邪気右にあるは気をやむによつて、病昼甚し。右を専とさす。此の人寸口の脉たく

    ましくしどろならば大事なり。

    病人の新久

    病人の新久を尋る事専なり。久しき病はわづらい急なりならずとも治しがたし。新病は強く病むとも治す

    る事やすかるべし。

    酒をとじむる針

    酒をとじむる針とは積に依つて酒をのぞむあり。その病人に酒を近づけ酒の香をかがせしうしんをさせて

    酒をのませず、はやく針を立る。瀉のかげんあり。積の居所をよくさぐり立るものなり。

  • - 6 -

    難産の針

    難産の針は、手足の大指の内廉と、又三陰交の針三分立るなり。

    傷寒の針

    傷寒の針は、上脘の針三つ、両の章門。熱気を散発するには三のずいを浅くたつる。七の椎、十一の椎五

    分までは苦しからず

    発散して風を去るべし

    若し風去らずは三日四日目にかならずむねの門に熱気入べし

    鳩尾より二寸下に吐逆の針を立べし。是は大事のかげんであり。若し又惣身ひの手足少もかなはずは陰毒の

    傷寒と心得、何れも補の針を立つべし。内熱を皮肉に引とどむるやうに針すべし。かやうの時は前に書する

    如く針を痛む様にすべし。さて手には曲池足には三里三陰交何れも補に立つべし。

    ○鳩尾の下二寸とは巨闕なり。

    暑気の針

    暑気の針、夏は心の蔵旺ずるゆへに百会を発散し、又心の

    をすべしめ、腎の蔵をいかにしめたため後は

    五の椎を三四分ほど瀉針を立よ。若又むね発熱せば瀉の針を立よ。下りすぐかならば止めよ、補なり。頭痛

    み目くらむものなり。若又口ごもりいたらば百会に気の針を立べし。さてそれにて治し、そろりそろりと補

    針を立べし。

    ○五の椎は神道。

    肺積

    肺積は五蔵をつかさどる故に上にありて気を生ずるなり。鼻は肺の穴なる故にいろいろの香をきらひ、な

    まくさき香をかぐ。からき味はひをこのむ。ふだん悲しむ事をさす。此の性肺金なる故其色白く濡脉なり。

    かくの如くの人は肺のしやくと心得て、右のはきより立はじむべし。胸先にさしのぞく故肺積と名付、針を

    やわらかに静に立るなり。気をむかふるやうに立べし。皮やせ身枯れば大事なり。肺は皮毛を主る故なり。

    鳩尾の下一寸を心静に立。鳩尾の下一寸の両わきを瀉に立る後は、鳩尾の一寸下の両方一寸五分ひらきて針

    をふせ三分ばかりほど立るなり。虚実によつて補瀉をほどこすべし。

    心の積

    心の積は南方の火に属する故、あかきゐんを以て血を生ずるなり。鼻にはこがれくさき香をこのみ、常に

    笑ふ事を望

    味は苦きものを好んで顔色赤し

    是心の蔵をすぐしくして積にも発散の加減あり

    補に立べし

    前はりは中をりを立。是又百会にも立るなり。

    ○中をりは中程に、中間まで。

    かんの積

    かんの積は胸の上廉さしのぼる

    常に怒る事を多し

    顔の色青し

    此性は東方の木に属し

    青き色を主る

    かど

    人を呼ぶ事を好む。又酸ものを好むなり。油くさき香をかぐ。必ずたん積あり。それ本と立て九のずいに立

    すき

    る。虚実によつて補瀉の加減あり。

    ○九の椎は筋縮穴なり。

    脾の積

    脾の積は臍のまわりにあり。此の症は上に属する故に甘き味を望み、歌うたふ事を好み、顔の色黄なり。

    臍のまわり一寸外を四方に立る。結せば瀉に立べし。くださば止めよ。其後虚実によつて補瀉の加減あり。

    後は十一のずいを立べし。

    ○臍の囲は臍傍堅緊を目標に刺すべし。

    ○十一の椎は脊中穴なり。

  • - 7 -

    腎の積

    腎の積は名付て奔豚といふ。脉沈なり。臍の下に有り。上り下る時なし。是症は北方の水に型取て、処を

    こごめずありくものなり。顔の色黒くして、しわはゆき味ひを望み、口の中くさきものなり。何れも臍の回

    に立る。腎の針に瀉なし。気と云ふは六府の病なるに依つて上に浮び表を病ろうなり。其時は発散なり。後

    に十四の椎それより下はやむ所に立。いつもおそる事を主る。

    ○奔豚とは子宮産攣を云ふ。又気積、血道の痛み、寸白等もこれに入る。

    ○十四の椎は命門穴なり。

    脚気

    風市、三里、三陰交、膝の口の針二分。其外いたむ所をおぎなひ暖めよ。

    百会

    両のまゆの中両耳の上両まじり頭の両角発散の針を立る。

    ○頭の両角は頭維なり。

    便秘の針

    大便結するには臍の囲の針、尤瀉に立るなり。それにても通ぜずは中をりに

    かくの如く三つならべて立

    るなり。

    てんかんの針

    手首の小指の方に筋二つある中を五六分程立る

    日を経て起るは腎かんと心得て

    腎の蔵を本に立るなり

    食物に向つて起るは肺の蔵を本に立る。見物の庭にて起るは脾の蔵と心得て臍の囲に立る。怒る事にて起る

    は肝と心得て肝の蔵に立る。水を見て起るは腎肝と心得て腎の蔵を本と立る。さて百会、三の兪、中ぼねの

    上五六分立るなり。

    ○三の兪は三焦兪ならん。

    きようきの針

    指先同うしろの風門を本として、又百会に立るものなり。

    ○きようきは驚悸、今の心悸亢進なり。

    つきものに似たる

    つきものに似たる病あり。これは本心をうしなうなり。後の一の首より立始めて亀の尾迄皆立るなり。

    頭の病の針

    頭の病には百会を本に立。又病処を少しづつ立。後の風門に立なり。

    喘息の針

    喘息の針は咽ど天突と鳩尾一寸両の脇にかたき筋あり。それに心静かに補に立る。

    のん

    淋病の針

    腹の大しわの方に弓の弦の如き筋あり。其に立あはしむる後は十四の椎両傍各々一寸五分補なり。又おと

    がひ、ひじの下角二分立る。

  • - 8 -

    ○十四の穴の両傍は腎兪穴なり。

    脱肛

    きがいの穴を二つ立。腹は股の根に補に立べし。

    もも

    ○きがい穴は癸亥穴なり。腰眼なり。

    ○股の根は環跳穴なり。

    帯下の針

    足の五里両方各五分、後は十四の椎の下にくぼみある立る。腹は臍の下にかたまりたる血あり。其上に少

    づつやはらかに立る。又張筋あらばそれを本と立る。月水止らば先下る様に立。月水の色を見るべし。月水

    色黒くは熱に傷られたると心得、少し瀉の加減あるべし。下るもの薄くば虚したると心得よ。白ものおりは

    ひえたるものと分別し補に立るなり。又少づつ臍の囲に立る。下虚すれば必ず上熱するなり。さて胸の中ま

    でも発熱せば先百会に瀉に立、ひやすべし。其にても気上る事止ずば章門を立るなり。

    ○帯下の鍼、現今も又斯の如く運用して神効あり。

    癥瘕の事

    おこりやうは上下心腹をいたませ、わきをせめ、小腹ふくれ、小便下らざるものなり。肩痛むには一の骨

    むね

    に一寸程立る。又肩井に針をふせて一寸ばかり立る。其外は痛む所の筋に立る。去乍ら厂金骨の辺に立るべ

    からず。

    ○癥瘕に対する発散、即ち散ずる鍼の運用、

    に実際的手法なり。其の効期すべし。

    心気

    心気は肺の気を主るあいだ、先心に立。発散する後は、三の椎、五の椎、

    の間を分別して立、発散す

    むね

    これら

    るなり。

    ○三の椎は身柱穴。

    ○五の椎は神道穴。

    ○心気はきふさぎ。気病み「ヒポコンデリー」なり。

    産後の針

    下る物残らば必ず臍の下はるる。其時やむ所に心静に立れば血下りて後やすし。

    下り腹の事

    強く痛むにはふるひはなく事あるものなり。又発熱する事も有り。先百会を本に立、後痛む所を心静に立

    て、後は十四椎を五六分立る。兎角ふるひ付処を補に立る。身熱する時は瀉に針を立るなり。

    寸白の針

    大じわの上にかたきむしあり。其れをよくさぐりて心静に立なり。其にても止ずば、きんのねを柔かに握

    り、其寸白の間中と思ふ所をさし通し、針をぬき、其穴にあしげの間の尾の黒き処をきらずして針の穴にさ

    あな

    し通し、其毛のあとさきをむすびておけば次第次第に寸白細くなるものなり。これは大事のひじあり。大方

    はせざる事なり。

    ○寸白は婦人疝痛なり。

    消渇の針

  • - 9 -

    脾胃の病なる間、脾の蔵に立、補べし。後は十一椎を一寸程づつ立べし。

    ○十一穴は脊中穴なり。

    夜小便

    しげきには大序より一寸両方三つを補して立る。又中おり三つ二つも立る。後は十四椎に立るなり。

    まなこの病の針

    目の後にくぼみあり。眉の中、手の曲池、是の三里、三陰交、後の風門、四五分立なり。

    口中の針は腎虚

    口中の針は腎虚すれば歯痛みはるなり。其れに針さし血をさいさい取り、強く痛むには十四椎を本にしさ

    し、腎の穴を心静かに立る。舌破れば心熱と知て心の蔵を瀉し、又やぶれたる舌に針をそろそろとさして瀉

    すべし。喉どの内にはれ

    ば早く針を立て血を

    てよし。

    のん

    重舌の針

    重舌に針を立るは瀉なり。おとがひの下にすじあり。これを心経と云ふ。おとがひの骨のはづれみぼみあ

    り。其れに浅く補すべし。又それより一寸五分わき骨のはずれ浅く立るなり。

    ○おとがいの下は奇穴の下頥穴か廉泉穴なり。

    ○骨のはずれの穴処は扶突穴なり。

    あしき瘡の秘

    あしき瘡の秘ばり、手くびにあり。いかにも瀉すべし。又あしのおつとりのくぼみにあり。四五分程立る

    なり。

    下血の針

    下血には臍の一寸五分下を補に立る。それより痛む所を立る。いづれも補なり。後は十四椎に立る。これ

    も補、又百会に立なり。

    霍乱の針

    先づ百会を立。気を付ける。さて又臍の上下左右一寸づつ間を置き、いかにも補ふ。上脘の穴をすずしく

    し、又ぎやくの針を補に立るときやくすぎばむしのある処を心静に立る補針なり。

    事多くは先とめよ。

    くださす

    まず

    又鳩尾の下一寸五分の間を本と立る。腹の中発熱せば瀉の針を立べし。

    しわぶきの針

    腹の両脇に如何にも堅き筋あり

    それをよくただし心を鎮めて補に立る

    又鳩尾の下一寸二寸のあいだと

    それより両の脇を専に立る。又は百会を発散するなり。

    ○しわぶきは咳嗽なり。せきなり。

    むねむしの針

    鳩尾の下に少し深く立る。其後やむところの上を少立てくつろぐる。鳩尾の下に待針を立て、其外は分別

    して立べし。

    ○待鍼は今の置鍼の如く立つるなり。

  • - 10 -

    水腫の針

    目の上のきびしく腫れたるを水腫と云ふ。腫れたる上を発散し立るなり。

    膈の病の針

    膈の針、足の大指の先にあり。後は三の兪、七の兪に立る。腹の針に心得あり。

    虫喰歯の針

    虫くいばには頬より刺通し、歯の本へ補に立る。腹は中脘の中と両方と

    かくのごとくに立る。

    痰飲の針

    上脘の穴と又上脘の両方とを専に立る。何れも補に立る。

    不食するには

    鳩尾より一寸下と中おりにも立る。又の下一寸にも立べし。

    咽のわずらひ

    心熱の甚しき故なれば鳩尾より一寸五分下をいかにも心静に立ておぎなふなり。後は三の兪、五の兪を補

    針する。

    からえずきの針

    ひいをいかにも補ふものなり。又は三の兪をおぎのふ。

    ○からえずきとは乾嘔なり。

    はうたんの針

    ひの蔵なるあいだ、その門黄なり。先脾の蔵を心静に立る。又は中おりの両方各一寸五分に立る。又は十

    四の兪の間を分別して立る。補瀉の口傳あり。

    食ちがひの針

    先づ上脘に立て瀉する。其後ひの蔵、胃の府を補ふ。後は十一に九の兪を立るなり。

    小児のかん

    歯黒く歯ぐき腫れて口中くさく涙ばかり流す。色青きは肝の蔵にしやくあるを以てなり。色白く歯の根浮

    き白くただれるものなり。大事是は肺の蔵にしやくあり。いづれも五蔵をさぐりやむところにあたるところ

    を本と立る。章門を専に立べし。九の兪と中骨の両方各一寸ずつおきて立るなり。五蔵よりおるかんをつま

    びらかに見分べし。

    夜鳴の針

    門におけつありて胃の府に集り起るなり。痛む所を心静かにさぐり補針に立る。又章門両方に立べし。

    小児の乳をあます

    小児の乳をあますには鳩尾の下一寸を少し深くやはらかに立る。又上脘の両方と中折とに立る。

  • - 11 -

    小児の腹みちて痛

    小児の腹満て痛あらば、先其色を見て分別して立る。

    小児の少熱あらば

    風門の穴を浅く立、発散すべし。又中折としやうもんに立る。九の兪もよし。

    血ばらみは

    血くわいとも云ふ。其物をあらわなくあたらぬ様にそろりそろりとさぐりとり柔ぐれば、所を離れて上下

    と左右を歩くべし。四五日過ぎて少しづつ補に立る。気上り顔の色青きは章門に立る。又百会に立れば気納

    るなり。小便渋りしげくは大事。はりの中筋をさぐり堅き処を補に立なり。血下り止ずは臍の一寸五分下に

    やま

    心静に立なり。さてはやむ所にも、又三の兪の下くぼみにも立なり。

    月水のとどこほるには

    臍の囲に必ず血の塊有り。それに本と立て下るやうに瀉す。臍の下中折に立べし。又両の脇各一寸五分ず

    つ立て補ふ。つ

    ろらひへば補に立、きびしくあたしむる。腰の囲熱せば浅く立て発散すべし。顔熱せば

    百会を発散し、足の三里、三陰交を補ふべし。

    白血なが血には

    臍の下三寸に如何にも柔かに補針を立る。其の外は病処を本に立る。足の五里、三陰交に補針する。十四

    の兪を補すれば血止る。白きもの下らば寒なり。補すべし。黒きもの下るは熱に傷られたり。瀉すべし。気

    を患ふには肺の府にやはらかに立るなり。

    気のつかえ

    気のつかへてしやくあるは血塊にまぎれて見分がたし。脇のつかえたるは上にあつて心肺の蔵にまづかへ

    るなり。はらみたる人は右を本に患ふ。瀉の針を浅く立るなり。血の右を本に患らふ。深く補に立る。

    活針

    いかす活

    針とは気付針なり。頭に三ところ、腹の中すじに深く立る。後は十一の兪、野がへりの針、足はきびす

    にあり。

    補瀉深浅は病の気根次第なり

  • - 12 -

    右の図を以て能知るべし。但し臍の囲一寸四方を退けて立るなり。胃の針はぬしの気力を見分て立べし。

    かりそめにも病にあらくつよく立つべからず。いかにもやはらかに立べし。連々にやまひをきわむるものな

    つれづれ

    り。五しやくといふはありところさだまるあるところを立べし。聚ははじめより立ればわづろうものなり。

    ふかくあさくはねて立べし。七日にであげにゆをあびせこしあたためて立べし。食をすすめて立る。よくよ

    くやまひをきはめ見分立る。補瀉深浅もその主のきこんを見はかつて立べし。

    一、小児の疳気には何れも章門を第一にたつる。七日の内三日目より毎日まづうしろを立べし。

    一、女の血の為にはかしらに三所あり。口傳大方は

    にあり。

    一、百会の針は痘瘡、目眩、上気、血の道

    目まらふとめ万によし。

    一、眉中の針は中風、頭

    瘡、

    、うはひ、そこひに吉。

    かしらかさ

    ねむるに

    ○朝鮮の大明穴ならん。

    一、耳下の針は立

    暗、歯瘡、血の道、停耳によし。

    たちくらみ

    みみごり

    ○翳風穴なり。

    一、目合の針は立暗、病目、目蛭、頭風、目の霞、血の道によし。

    ○睛明穴又は瞳子髎穴ならん。

    一、米嚼の針は血の道、歯瘡、口熱、舌しとぎ、あご

    によし。

    はるる

    ○頭維穴ならん。

    一、手の合の針は中風、脚気、瘡母によし。

    ○合谷穴なり。

    一、大の骨の針は

    、喘息、乳風、心虫、く

    ちによし。

    はしか

    むねむし

    ○大椎ならん。

    一、たちの口の針は足なり。中風、脚気、瘧母、くじけによし。

    一、手合はさめの針は脚気、中風、くじけ、目瞳によし。

    一、とちうの針は脚気、血のかよわず、手のかなはづによし。

    一、章門の針は相腹、

    、瘧母、児腹、脚気、霍乱によし。

    あいはら

    おこり

    ちごはら

    一、臍脇下の針は血塊、消渇、腰気、瀉に立る。しぼりはら、下りはら、後もの下すによし。

    一、臍下一束の針は下り腹、腰気、消渇、寸白、脊虫、なまず、しぼりはらによし。

  • - 13 -

    ○臍下四横指の処。

    一、水落の針は積聚、虫

    瘧、咳逆、虚労によし。

    むしおこり

    しやくり

    一、水落一束脇の針は積聚、強腹、腹病、脚気、心

    悸によし。

    むなさわぎ

    一、臍脇一束の針は石淋、血塊、寸白、咳逆、下冷によし。

    右の書は扁鵲が経鍼と意に流とを合

    解ものなり。腹の穴は意斉流、餘穴は扁鵲が経鍼と心得べし。

    けいはり

    あわせとく