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平成 29 年度 技術部報告集 茨城大学 工学部技術部

平成 29 年度 技術部報告集 › wordpress › wp-content › uploads › ... · 2018-05-31 · 2. 9年度技術部報告集発行にあたって 総括技術長 伊佐治

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平成 29 年度

技術部報告集

茨城大学

工学部技術部

技術部長挨拶

茨城大学工学部 技術部長

増澤 徹

茨城大学工学部では学部 4 年間に大学院博士前期課程 2 年間を加えた 6 年間

を高度専門技術者を育成するために必要な養成期間と捉え,6 年一貫教育システ

ムの確立,それに伴う組織改革を行って参りました. 2018 年度より工学部の学

科も 8 学科から 5 学科となり,新しい教育システムが稼働します.我々,技術

部も E1 棟に新たに技術部室を設け,工学部全域にサービスが行き届くよう組織

改革を行っております.技術部のミッションは本学の学生,教職員の教育・研

究活動を技術プロフェッショナルの経験・知識をもとにサポートすることであ

ります.そのために個々が工学技術のエキスパートとして日々研鑽を積み,技

術支援活動に従事しております.その活動の一部を本技術部報告集にまとめさ

せていただきました.技術部の活動のご理解の一助となれば幸いです.技術部

は今後とも茨城大学工学部の教育・研究に貢献できるよう努力する所存ですの

で,ご理解,ご支援のほど,よろしくお願い申し上げます.

平成 29年度技術部報告集発行にあたって

総括技術長 伊佐治 進

平成 30 年 4 月 1 日に総括技術長を拝命した伊佐治 進と申します。これから技術部の運

営に携わっていく所存ですので、皆様方のご支援、ご協力の程よろしくお願い申し上げま

す。今年度も一年間の活動内容をまとめた技術部報告集を発行することができました。各

技術職員の日頃の努力に敬意を表しますとともに、茨城大学の多くの教職員のご支援に感

謝申し上げます。

平成 10 年度に第 1 回技術発表会が開催され、同時に技術発表報告集が発行されました。

それ以来技術報告会および報告集の発行は現在も継続しております。

技術部の組織構成・活動内容を載せた Newsletterも不定期ではありますが、平成 30年 3

月に発行いたしました。技術部の最新の内容が記載されておりますのでご覧頂ければと思

います。

技術部の経緯および活動内容等は以下の URL にて知ることもできますので、ご高覧頂け

れば幸いです。

茨城大学工学部技術部 HP URL:http://www.gijutsu.ibaraki.ac.jp/

平成 29 年度

茨城大学工学部技術部研修報告会

プログラム

受付 10:00 ~ 10:30

開会 10:30 ~ 10:45 技術部長挨拶 工学部長(技術部長)

講演準備 10:45 ~ 10:50

特別講演 10:50 ~ 11:50

休憩 11:50 ~ 12:00

交流会 12:00 ~ 13:00

ポスター発表 13:00 ~ 13:30

休憩&発表準備 13:30 ~ 14:00

技術発表(1) 14:00 ~ 14:30

技術発表(2) 14:30 ~ 15:30

休憩 15:30 ~ 15:45

技術発表(2) 15:45 ~ 16:05

技術発表(3) 16:05 ~ 16:25

技術発表(4) 16:25 ~ 16:45

閉会 16:45 ~ 17:00

山口 一成

UV レジンでイニシャルキーホルダーを作ろう

藤田義人

危険物保管庫の安全対策

井上 和浩

交流会はE5棟8階イノベーションルーム隣のリフレッシュラウンジで開催

伊佐治 進

黒田 彰男

佐藤 義典

IT基盤センター 准教授 大瀧 保広

工学部の薬品受入業務について

ネットワーク機器死活管理システムの構築と運用

宮本 和明

定年退職を迎えて -40年8カ月の業務内容-

測量学実習における技術職員の取り組み

ソフトウェア脆弱性とセキュアコーディング

第20回茨城大学工学部技術部研修報告会プログラム

日時 : 平成30年2月28日(水)10:30~17:00

会場 : 工学部E5棟8階 イノベーションルーム

受付 : 10:00~10:30

モノづくり体験

崎野 純子

子供向け科学イベント出展 回り続けるコマ

旋削チップと NC 旋盤

電子工作による技術支援事例の紹介 ――開発と修理――

井上 賢治

ICT 機器の管理, 運用

荒川 真

特別講演

「ソフトウェア脆弱性とセキュアコーディング」

IT 基盤センター 准教授 大瀧 保広

ソフトウェアぜいじゃくせい

脆弱性とセキュアコーディング

IT基盤センター大瀧 保広

1 はじめに

近年、多くのソフトウェアでぜいじゃくせい

脆弱性が見つかっており、社会的に影響が特に大きいときには一般のニュース

でも取り上げられることもある。「ソフトウェアの脆弱性」とは具体的にどのようなものか、また、それがどの

ようにしてセキュリティ上の問題になるのか、といった詳細については通常報道されない。しかし、これらの情

報は秘密にされているわけではなく、むしろ、他のソフトウェア開発者が自分のプログラムに類似の脆弱性がな

いかチェックしたり、新たなソフトを開発するときに、どのような点に注意しなければならないか参考にしたり

できるように、整理され、公開情報となっている。

2 Buffer Overflow

脆弱性には非常に多くのものがあるが、分析すると、共通するいくつかのパターンがあることが知られてい

る。ここでは、もっとも基本的な脆弱性パターンの一つである Buffer Overflowについて、それがどのように攻

撃に繋がるのか、簡単に見てみよう。

Bufferとは「一時保管用の領域」を意味する用語であり、一般には作業に必要なだけのサイズのメモリ領域を

プログラマが指定する。例えば C言語などでは、サイズ 1KBの整数配列を使いたい時、int buf[1024]; や

buf=(int *)malloc(1024*sizeof(int)); といった形で宣言/確保する。こうして確保された領域は buf[0]

~buf[1023]としてアクセスできる。

Buffer Overflow とは、配列にデータを格納するときに、確保された領域を超えて、つまり buf[1024] や

buf[2000]などという場所にデータを書き込んでしまう現象をいう。実行効率を優先する言語や環境では、ほ

とんどの場合、範囲チェックが行われないため、領域外へのデータの格納は成功してしまう。つまり別の目的で

使用されているメモリ領域の内容を破壊してしまったことを意味する。

8

1 0

1

A

st d A

����u

A

図 1: Buffer Overflow攻撃の原理 (スタックの場合)

外部から入力されたデータを、このような BufferOverflow脆弱性がある Bufferにそのまま格納するプログラ

ムの場合、外部からプログラム片を流し込み、そこに制御を移すことができる(図 1)。つまり、元々のプログ

ラムには存在しなかったプログラム片が実行されてしまう。

このように、Buffer Overflow脆弱性をついた攻撃の原理自体は極めて単純であり、簡単に予防できるように

も見える。しかし実際には、他の様々な要因と組み合わされることで非常に気付きにくいものとなる。例えば

図 2に示すコードは、GNUの標準ライブラリである glibc の base64エンコード用の関数であるが、(後の処理

で)Buffer Overflowを引き起こす脆弱性を含んでいる。プログラム上の処理ロジックとしては何も問題がない

(ように見える)のに、プログラミング言語(つまり C言語)の仕様のために脆弱性が生まれる例である。

'>= A+* A @A,

0@=N=, N A >E =L @=N= N A @A0 A , N A A N 0@=N='

=L >= A+* A @A N =L @=N=& ESA A

=L NE N N=NA (& N AE N = A (

LAN L = E =E @=N= 44& 44LAN L = E =E A / (& 44

' A = A = = AL E EN ALA& E A A F N A = A@ N=NA E ( 'N = A * ' ) *N A >= A+* A @A NA @=N=& A & 3 46 & N& N=NA& = AN A >= A+* A @A A 3 46 & N N A & N=NA& = AN N A ; !:(!

LAN L =L NU

図 2: glibcの base64エンコーダで見つかった脆弱性のあるコード

3 セキュアコーディング

脆弱性は、あとから見つかった場合、修正に要するコストが非常に大きくなり(広く利用されている商用ソフ

トウェアの場合には特に)、そのコストは設計/開発時点で発見/修正するコストの 100倍と言われている。そ

のため、プログラムを作成する時点でなるべく脆弱性を作り込まないようにするのが、セキュアコーディングと

いう考え方である。

多くの場合、ソフトウェア脆弱性は、そのプログラムが本来処理対象として想定していない入力が与えられた

時に、プログラムが異常動作1することによって、攻撃が成功する。したがってセキュアコーディングの基本と

なる考え方は、想定している入力以外のあらゆる事態に対して安全サイドに倒れて動作するようにソフトウェア

を記述する、ということである。

とはいえ、セキュアコーディングの技術をもたないプログラマは、そのような「起こりうる あらゆる事態」を

想像すること自体がなかなか難しい。セキュアコーディングの経験が少ない我々にできる対策は、チェック機構

が強力な、新しいより安全な言語を使ったり、開発環境が提供するチェック機構を有効化したりすることである。

4 さいごに

セキュアコーディングの重要性は様々なサイトで紹介されているので、情報工学が専門でなくても、もし研究

室でプログラム開発をしているなら、ぜひ一度目を通すことをお勧めしたい。また、商用プログラムを利用する

ときにも、その脆弱性情報に注意を払い、アップデートが出たら早め早めに対策することも重要である。

「情報処理推進機構 セキュア・プログラミング講座」

(https://www.ipa.go.jp/security/awareness/vendor/programming/)1プログラマが意図していなかった動作をするという意味であり、もちろん計算機は言われた通りに動いているだけである。

ポスター発表

1 モノづくり体験

UV レジンでイニシャルキーホルダーを作ろう/情報処理部門・崎野 純子

地域貢献を目的として、主に小学生を対象としたモノづくり体験教室として、技術部では

UV レジン教室を 2016 年から開催している。

これまで、こうがく祭(2016 年 5 月・2017 年 6 月)、成沢交流センター(2017 年 8 月)、東

海フロティア(2017 年 10 月)と 4 回出展しており、参加者のアンケートの結果もほぼ全員

から「満足した」という評価を得ている。UV レジンという女性にも人気のあるテーマを取

り上げることにより、「工学部とはどういったところなのか」と興味を持ってもらうきっか

けづくりになれば幸いと思っている。レジン作品はシリコン製の型を変えることで簡単に

違ったモチーフを作ることができるので、今後も引き続き UV レジン教室を出展していき

たいと考えている。

2 子供向け科学イベント出展 回り続けるコマ/情報処理部門・藤田 義人

茨城大学工学部技術部は科学系イベント「青少年のための科学の祭典」に毎年出展をして

いる。この活動は子供が科学に興味をもってもらう事を目的としている。

出展テーマとして「周り続けるコマ-磁力ゴマ-」を取り扱った。テーマの選定には「動き

がある事」「その場で工作でき持ち帰れる事」を念頭に置いた。磁力ゴマはこの2つの要件

を満たしている。

磁力ゴマは電子工作となる。電子工作に欠かせない道具としてニッパーやはんだゴテが

挙げられる。しかしながら,出展会場では人の往来あり,刃物の取り扱いは注意しなければ

ならない。また,電源も十分に確保できるか不透明であった。そこで,電子部品はピンソケ

ットに刺すという方法をとり,この問題を解決した。

イベント当日は大変盛況で,用意した分はすべて捌けた。今後の課題として,事前準備の

工数削減と材料費の削減が挙げられる。より良い物を提供できるよう引き続き努力してい

きたい。

3 危険物保管庫の安全対策/安全管理部門・井上 和浩

危険物保管庫の入り口にある掲示と棚の保管物落下防止に関して、安全対策改善のため

保管庫の責任者から技術部へ協力依頼があった。それぞれ、いくつかの改善案を提示し、費

用対効果を考慮した上で一つを選択、制作等を行った。入り口の掲示は種別、品名、最大数

量を印刷後ラミネートし、これを貼った。落下防止対策としては各棚にφ3 のワイヤーロー

プを張った。ワイヤーロープと棚をつなぐ部分には O 型フックを用いた。

4 旋削チップと NC 旋盤/モノづくり部門・山口 一成

NC(Numerical Control)機を利用した機械加工は、複雑な形状加工や大量生産が可能であり、

自動運転は無人化への近道となるが、切削時に発生する切りくずの処理が課題とされる。今

回、旋削加工を対象とし、アルミ材を NC 旋盤で削り発生した切りくずの観察を行った。使

用機器は NC 旋盤・カスタムレース C5(アマダワシノ製 )と外径用旋削チップ・

DCGT11T304AH(京セラ製)、切削条件はマシン性能とチップブレーカ(カタログ参考)等から

設定した。切りくず形状の観察から、良好・適当・不適当とみなす分類の切りくずが発生し

た。これらより加工条件を選定して自動運転による 2 つの試作品加工を行ったが、最適な切

りくず処理には至らず、引き続き切りくず処理の課題には向き合っていきたい。

5 ICT 機器の管理, 運用/

情報処理部門・荒川 真, 伊佐治 進, 崎野 純子, 宮本 和明, 藤田 義人, 井上 賢治

安全管理部門, モノづくり部門に引き続き情報処理部門の共通業務について簡単にご紹

介する.情報処理部門では,主な通年の共通業務として,Web 関連業務, 授業評価アンケー

トの集計処理, カードキーによる出入管理システムの維持管理, 防犯用品の維持管理, ネッ

トワーク機器の維持管理などを行っている. その他,主な通年の共通業務以外にも不定期

で各種 IT 機器などの維持管理, メンテナンス作業, 相談などを適宜,行っている.

X

UV-C UV-B UV-A

0.01 10 400 760 106 (nm)

200 280 315 400 (nm)

9

9 2

UV

UV UV

UV

(1)

UV 90%

3 10

UV

M M

M M

M

O

O M

I M

M M O M M M O

I

M

O

(2)

(3)

20~30 2~5

UV 370~395nm

1640 14 1035 11 34345 34 m200 mm

30 m10 m

34291243

1 10 738 58362

O1 599

35 2096529950

1 2 169

18

1 129

35

3042

4515

1 480

35 16800

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1

25 4

11835 mm 3514 151440 mm25 50

4672

3690

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29327

O

5025

50

240004225

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1440 1440 1440

1440 1440 1440 1440

835

835

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157

2 2 2

2 2 2 2 2

3

3

3

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φ3 40 m

φ3 50

1540 14 935 11 31845 32 m100 mm

14143 23257

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26 (mm)

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(mm)

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(mm)

f (mm/rev)

exex

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L0 = 1.0D

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LZ = 0.5D

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f0.40.30.20.1

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, Web CMS

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ICT

Web , , , , ,

ICT ,

, , , Web

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, , ICT , ,

, , , ICT (PC, NAS, )

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技術発表

「定年退職を迎えて-40 年 8 カ月の業務内容-」

総括技術長 佐藤 義典

第 20 回 技術部研修会 配付資料 佐藤義典

定年退職を迎えて

-40年 8カ月の業務内容-

茨城大学工学部 技術部 佐藤 義典

発表要旨

1. はじめに

昭和 52年 8月 1日付けで茨大学工学部工業化学科の文部技官(教室系技術職員)として採

用され、40 年と 8カ月になろうとしている。人生の約半分は茨城大学工学部で過ごしてきた

ことになる。40 年の間には学科の改組も 3 回経験している。採用時の工業化学科に始まり、

平成 3年には金属工学科と合併した物質工学科に改組し、平成 19年には生体分子機能工学科

に改組され、平成 30 年 4月には物質科学工学科に改組されることが決定した。これまでに行

ってきた学生実験支援業務、研究室支援業務および技術部業務について報告する。

2. 学生実験支援業務(昭和 53年~平成 29年)

昭和 53 年から学生実験の支援業務に携わってきた。工

業化学科の時代となる昭和 53 年~平成 2 年までは化学工

学実験として、教官 1 名と共に 10 テーマもの実験の支援

を行った。平成 3年に物質工学科に改組された後、テーマ

数は 5テーマに減尐したが、実験の説明やレポートの評価

を任されるようになった。平成 19 年に生体分子機能工学

科に改組された。改組後の実験の受け持ちは 5テーマであ

ったが、1テーマについては教員の支援を行った。平成 26

年から現在までは教員の下で 2 テーマの実験支援を行っ

た。

3. 研究室支援業務(昭和 52年~平成 18年)

昭和 52 年に配属された場所は工業化学科の物理学講座

(化学工学)であり、長坂教官の研究室であった。この先

生と約 30 年にわたって研究を行ってきた。赴任して間も

なくは拡散係数の測定などの物質移動に関する研究を行

っていたが、その後がらりとテーマを変え排水処理に関す

る研究を行うようになった。昭和 54 年から平成 3 年にか

けては汚泥の沈降性改善や、嫌気性消化に関する研究を行

った。平成 4 年から平成 18 年にかけては小型合併処理浄

化槽、回分式活性法、連続装置を用いた活性汚泥法、膜分

液体クロマトグラフィー

過渡応答

回分式活性汚泥法

第 20 回 技術部研修会 配付資料 佐藤義典

離活性汚泥法、オゾン処理に関する研究などを行った。一

連の研究は卒業研究および修士の研究として行われた。こ

れらの研究成果は延べ 95件にも及び、その内の 30件はみ

ずから口頭発表を行った。平成 12 年 7 月には下水道研究

発表会にて最優秀ポスター賞を受賞した。学術誌論文にも

16 件(内筆頭著者 8件)投稿している。また、5編の学術

誌論文を取り纏め平成 13 年 3 月に博士(工学)の学位を

取得した。

4. 技術部業務(平成 21年~現在)

技術部の組織は安全管理部門、モノづくり部門およ

び情報処理部門の 3部門に分かれている。平成 21年 4

月から安全管理部門の測定分析班技術班長を拝命し、

平成 23年 4月から平成 27年 3月までは同部門の技術

長と 6年にわたって安全管理部門の業務に携わってき

た。平成 27 年 4 月に総括技術長を拝命し、現在に至

っている。

安全管理部門の業務内容は作業環境測定および局

所排気装置保守点検の総括であり、この業務は実働時

間が多いため全部門で対応している。安全管理部門の

独自の業務内容は薬品登録および配達の業務であり、

週 2回の業務をローテンションで行っている。平成 23

年 4月から平成 28年 3月までは福島第二原発事故に伴

う放射線量の測定および放射性微粒子のサンプリング

を行った。また、安全パトロールの指摘事項に伴う転

倒防止作業は不定期で行うことが多いが、年々作業は

増加している。

5. おわりに

40 年と 8 カ月にわたって茨城大学工学部に奉職する

ことができました。大病もなく務めてきたことに誇り

に思います。平成 30 年 4月からは再雇用者として勤め

ていく予定ですので、引き続きご指導ご鞭撻の程、よ

ろしくお願い申し上げます。

ベルトのひび割れ

破過した活性炭

活性炭の交換作業

膜分離活性汚泥法

College of Engineering, Ibaraki University

College of Engineering, Ibaraki University

College of Engineering, Ibaraki University

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College of Engineering, Ibaraki University

ΔP 8μLu / r02 32μLu / D2- -

College of Engineering, Ibaraki University

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College of Engineering, Ibaraki University

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College of Engineering, Ibaraki University

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Na 30.0K 30.0Mg 30.0

Ca 30.0

Cl 25.0 /L

NO2-N 7.6 /LNO3-N 5.7 /LPO4-P 8.0 /L

SO4 25.0 /L

College of Engineering, Ibaraki University

College of Engineering, Ibaraki University

College of Engineering, Ibaraki University

College of Engineering, Ibaraki University

College of Engineering, Ibaraki University

College of Engineering, Ibaraki University

College of Engineering, Ibaraki University

College of Engineering, Ibaraki University

College of Engineering, Ibaraki University

College of Engineering, Ibaraki University

2012.05.30

2012.09

College of Engineering, Ibaraki University

2013.10.02

College of Engineering, Ibaraki University

2013.01.23

College of Engineering, Ibaraki University

2016.8.17

College of Engineering, Ibaraki University

2017.03.22

College of Engineering, Ibaraki University

College of Engineering, Ibaraki University

技術発表

「電子工作による技術支援事例の紹介

-開発と修理-」

情報処理部門 井上 賢治

電子工作による技術支援事例の紹介 —開発と修理—

情報処理部門 井上 賢治

1 はじめに

技術部への依頼の中には,開発や修理の依頼がある.

筆者が担当する依頼は,ソフトウェアで完結することが

多いが,電子工作が必要になってくる業務もある.今回

は,業務の中で電子工作に関わる事例を 2つ紹介する.

2 ホタルロボットの修理

2.1 依頼内容

2016年 10月,機械工学科の稲垣先生から「以前,研究

で使用していた装置の稼働確認をすると動かなかった.

再度利用したいため,動かせるか見てほしい」という話

があった.状態を確認したいと伝えると,「複数の LED

が接続されたフラットケーブル」,「ケーブルを接続する

金属ボックス (中継器)」,「古い PC」が運び込まれた.

正常であれば LEDが点滅する装置とのことだったが,

どの LED も点灯しなかった.大まかに調べたところ,

中継器内の回路の故障,ソフトウェアのエラーなどが疑

われた.しかし,その場では原因の特定が難しかったた

め,装置「ホタルロボット」を預かってチェック・修理

を行うことになった.

2.2 ホタルロボットとは

ホタルロボットとは,2000年頃に稲垣研究室で製作さ

れた,ホタルの光を疑似的に再現する装置である [1]*1.

この装置は,「ホタルの光が人の精神に及ぼす影響や癒

しの効果」の研究の一環として,ホタルの輝度変化を模

した LEDの官能評価などに使用された.

ホタルロボットの構成は図 1 のようになっている.

PC内の制御プログラムは,ホタルの輝度変化を記録し

たファイルを読み込み,D/A ボードから輝度に応じた

電圧を出力する.D/Aボードの出力は,中継器で増幅・

分岐され,LED へと繋がっている.ホタルを模擬する

LED の輝度変化は,D/A ボード 1 枚につき 16 個の制

御が可能で,D/A ボードを 4 枚使用することで最大で

64個まで模擬できる発光パターンが用意されていた.

2.3 修理内容

主な修理項目は,表 1のとおりであり,ハードウェア,

ソフトウェアの両方で対応した.修理の際には,とくに

「LED の輝度変化が以前のシステムと同等になること」

に注意を払った.

ハードウェアの対応は,ものづくり部門の黒崎に担当

図 1 ホタルロボットの概略図

*1 論文内の装置名称は「バーチャルホタルイルミネーションシステム」となっている

していただいた.中継器の回路基板に多数のはんだ付け

不良が見受けられたため,回路そのものを新しくした.

新しい回路の作製では,元の回路での入出力の測定し,

同等となるように製作した.

ソフトウェアの対応は,有効なソースコードを判別し,

それをもとに現行の OSでも動作するようにプログラム

を書き直した.

表 1 主なチェック・修理項目

ハードウェア ソフトウェア

中継器の回路基板の作製 有効なソースコードの判別

LEDの動作チェック 最新 OSへの対応

ケーブルの断線チェック 設定画面の追加

接続コネクタのチェック

ハードウェア,ソフトウェアの修理が終わり,ホタル

の光のような明滅を行えることを確認して,2016年 12

月,修理したホタルロボットを返却した.

3 NC平面研削盤用の報知器開発

3.1 依頼内容

2015年,技術部の土田から「ものづくり教育研究支援

ラボに設置されている NC平面研削盤*2(図 2)に研削終

了の報知器を付けてほしい」という依頼があった.

図 2 NC平面研削盤 (黒田精工株式会社 GS-63PF)

NC平面研削盤には,時間の掛かる研削加工を指定し

た厚みまで行う「自動サイクル」があり,他の加工など

と並行して作業を進めることができる.しかし,平面研

削盤の加工終了を知るためには,機械に近付く必要があ

り,気付くまでに時間が掛かることがあった.そのため,

加工終了を知らせる機器を取り付けることで,工作物の

両面を研削する場合などでも,次の加工へ早期に移れる

ようにしたいとのことだった.

3.2 メロディによる報知器

今回の依頼では,報知方法は問わないとの要件であっ

たため,図 3のようなメロディを用いた報知器を製作し

た.報知器の制御にはマイコン (PIC18F2553)を用いて

いる.平面研削盤の自動サイクル起動ランプ・停止ラン

プの明滅から加工終了の検知し,トランジスタで増幅し

た矩形波をスピーカーに入力することで音を鳴らしてい

る.音の高さは矩形波の周期,音の長さは関数のループ

回数によって変わるようになっており,これらによって

メロディが流れるようになっている.

図 3 報知器の概略図

製作期間は約 4ヵ月で,完成した報知器は依頼者の土

田に取り付けていただいた.

4 おわりに

電子工作に関連する事例を 2つ挙げた.装置のその後

であるが,ホタルロボットは,以前聞いたところによる

と無事動いているとのことだった.報知器は,機械工学

実習などで元気に曲を奏でていると聞いている.

参考文献

[1] 阿部宣男, 稲垣照美, 木村尚美, 松井隆文, 安久正紘:

ホタルの光と人の感性について—感性情報計測と

福祉応用—, 感性工学研究論文集, 第 3 巻 2 号, pp.

41-50, 2003

*2 数値制御 (NC:Numerical Control)により,平面を研削する工作機械のこと

••

••

5V

0V0 255127

Vmax

Vmin

技術発表

「測量学実習における技術職員の取り組み」

情報処理部門 技術長 伊佐治 進

測量学実習における技術職員の取り組み

~都市システム工学科実習支援~

技術職員 ○伊佐治 進 金澤 浩明 木村 亨

1. はじめに

測量学実習は 1983 年 10 月に建設工学科(現都市システム工学科)にて始まり、現在

まで 34 年間行なわれている実習です。現在、教員 1 名、非常勤講師 1 名、技術職員 3

名、TA2 名の構成で実習が行われています。実習内容は、距離測量、角測量、水準測量、

平板測量、GPS 測量などを 2 グループに分けて行ないます。また、測量学実習の関連

科目は、測量学、空間情報工学、空間情報工学演習があります。

2. 概要

測量学実習が始まった当初は、室外で行う

実習(外業)と室内で行なう実習(内業)

に大別して行なわれていました。外業では、

測量学で学んだ理論を実地に展開し、基本

的な技術を身に付ける手順を学び、内業で

は、建設関連分野における空中写真利用に

必要な基礎知識・機器使用方法・手順を学

びます。

現在の測量学実習では、外業と内業では区

別をせず、光学式セオドライト及びトータ

ルステーションを用いたトラバース測量の実習を行なうとともに、GPS を用いた測量

を学びます。測量学で学んだ理論を実地に展開し、「専門分野の学力」となる測量技術

を身に付ける手順を学んでいます。成果確認のために、簡単な筆記試験・実技試験及び

課題レポートを科し、それを評価します。

3. 到達目標

(1)班単位での協力体制を通して測量成果をレポートに取りまとめ、調査計測と周辺理論

の学習、そして整理の方法を取得する。(2)三脚の設置や角測量の方法を身に付ける。(3)

測量誤差の扱い、様々な測量条件や地形条件への対応など、状況に応じた状況に適した

方法の選択と対処術を身に付けるとなっています。

4. 実習内容

(1) 選点・造標・距離測量

測量学実習風景

測定点を設置し巻尺を用いて 2 点間の距

離を測り、最確値や残差を計算する。

(2)角測量

セオドライトを用いて水平角を測る。

(3)水準測量

チルチングレベル、オートレベルを使って

高定差を測る。

(4)トータルステイション(TS)による測量

TS を用いて、トラバース点の距離、比高、

角度を計測する。

(5)実技試験

セオドライトを用いた角測量

(6)平板測量

平板を用いた測量を行ない、平面図を作成する。

(7)GPS 測量

GPS 電波補足域把握のためのクリノメータ使用に

よる天空図作成。

GPS 機器により野球用のダイヤモンドを測量する。

また TS による測量の値と比較検討する。

GPS 測量結果による平面図作成。

5. 評価方法

測量学実習の評価は復習シートを提出にて、努力の継続を自立的・継続的学習能力とし

て評価。平面図・天空図・GPS 作図にて技術者としての基礎力として評価。筆記試験・

実技試験・トラバース計算表にて専門基礎学力として評価をします。

6. おわりに

現在行われている測量学実習は 2 年生が対象で前期に授業で測量学を受講し、後期に測

量学実習を行なうことになっています。1 週間に 2 コマ分の時間しか実習を行うことが

出来ず、実習内容の習得率が悪いように感じざるを得ない。出来れば集中して 1 週間か

ら 10 日間で終えられるようになれば良いのではないかと 20 数年前から思います。卒業

後、国土地理院に書類を申請すれば資格が取得できる授業ですので、せめて卒業研究終

了後に測量をしなければいけない分野に進む人は、簡単な実習が受けられたら良いので

はと思う次第です。私たちは今まで測量学実習に対して色々な工夫をしてきましたが、

少しでも学生が理解しやすい実習になれば良いと思いますので、これからも教職員がそ

れぞれの立場で協力し合い努めていきたいと思います。

セオドライト

トータルステーション

GPS

(1)

2

(2)

(3)

(4) TS

TS

(1)

2

(2)

(3)

(4) TS

TS

• 2

1 2

1

10

20

技術発表

茨城大学の薬品管理」

安全管理部門 黒田 彰男

工学部の薬品受入業務について

黒田彰男

1. なぜ薬品登録が必要か

1.1 薬品とは

辞書が定義する薬品とは「化学変化を起こさせるために用いる固体・液体などの物質の事(大辞林)」である。

法律の場合、薬品という言葉ではなく化学物質という言葉が使われており、化学物質の定義とは「元素又は化

合物に化学反応を起こさせることにより得られる化合物をいう。(化審法の定義)」と書かれている。

どちらも化学反応によって変化する物質という事が書かれている。

1.2 薬品によって体に影響が出る場合がある

人体も化学物質で構成されているため、薬品の影響により皮膚や体内で化学変化がおきる場合がある。

薬品の保管場所や使用場所では、蒸気になったものを肺に吸い込む事や、薬品が皮膚に付着する事があり、

それにより健康に影響を及ぼす事がある。症状が出る時期は体内に入ってすぐの場合もあれば、25~50 年後

の場合もあり、現在は影響が無いと言われていても、後年、体に対する影響が判明して規制される場合がある

ので、単純に「大丈夫と言われてるから」とは言えない。

25~50年後に症状が出る有名な事例としては、アスベストによる中皮腫の被害がある。

近年、新しく規制対象になった物としては、インクの拭き取りに使う「1,2-ジクロロプロパン」という物質がある。規

制対象になった経緯は、2012年に、ある印刷会社で胆管がんになる人が多いので、業務内容に関わる病気で

はないかとニュースになる。調査したところ「1,2-ジクロロプロパン」を体内に取り込んだ事が原因だと思われたた

め、2013 年に厚生労働省より特定化学物質として規制された。その後 2016年に東京大学の研究グループが、

体内に取り込んだ「1,2-ジクロロプロパン」が肝臓の中で代謝され、その代謝物の中に発がん性の高い物質が

あり、それが肝臓から胆汁中に排泄される際、胆管の壁を傷つけるため、胆管がんになるということを解明した。

この時も、聞き取り調査などを含め、過去にどういう薬品を使用していたかを調べて原因物質の特定を行ってお

り、そういう時のためにも、すでに危険性が分かっている薬品についてはもちろんの事、危険性が分からない薬

品についても使用履歴や使用量など、調査出来るようにしておく必要がある。

1.3 薬品の維持管理に関係する国の法律及び県の条例

薬品の維持管理には下記のような法律が関係してくる。

国の法律

① 特定化学物質等: 有機溶剤: 労働安全衛生法

② 毒物: 劇物: 特定毒物: 毒物及び劇物取締法

③ 危険物: 消防法

④ PRTR制度 第一種指定化学物質: PRTR制度 第二種指定化学物質:

特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律

(化学物質排出把握管理促進法 又は 化管法 又は PRTR法)

⑤ 高圧ガス: 高圧ガス保安法

⑥ 揮発性有機化合物 (VOC): 大気汚染防止法

⑦ 悪臭防止法

⑧ 麻薬: 向精神薬: 麻薬及び向精神薬取締法

⑨ 覚せい剤: 覚せい剤取締法

⑩ 化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律

⑪ 農薬: 除草剤: 農薬取締法

⑫ 火薬類: 火薬類取締法

茨城県の条例

① 知事が定める化学物質: 茨城県生活環境の保全等に関する条例

法律が意図するのは、使用者や周辺住民の安全確保、火災などの予防や災害時の対応、危険な物質の管

理、環境や近隣住民への配慮である。特に、④番目の化管法については、対象化学物質の排出・移動に関す

るデータの開示(PRTR 制度)や、他の事業者に譲渡・提供する際の薬品についての情報提供(化管法SDS

制度)についての法律である。茨城大学は、取扱量が少ないなどの理由で対象事業者にならない部分もあるが、

出来る範囲で法律に対応していく事が望ましいと思われる。

1.4 茨城大学での規則

茨城大学では下記のような規程を作っており、それに則って薬品を使用する事になっている。

① 国立大学法人茨城大学安全衛生管理規程

② 国立大学法人茨城大学安全衛生委員会細則

③ 国立大学法人茨城大学化学物質安全管理規程

④ 国立大学法人茨城大学化学物質安全管理委員会細則

この中で、③番目の化学物質安全管理規程 第 11 条では「当該部局において取り扱われる化学物質等につ

いて、有害性等の特定及びリスクアセスメントを実施しなければならない。」とされており、その第 4 項に 「化学

物質等を譲渡し、又は提供しようとする教職員等は、当該化学物質等について有害性等を調査し、かつ、当該

化学物質等を譲渡し、又は提供する相手方に対し、有害性等に関する必要な情報を文書で通知しなければな

らない。」と記載されているので、薬品の受け渡しをする場合は、該当薬品について必ず SDS を添付して渡さ

なければいけない。

2. 薬品管理手続き

2.1 工学部(日立事業所)の薬品管理手続き

茨城大学は薬品登録システムを運用しており、登録上問題が無い場合は薬品登録システムの化学物質管

理システム(IASO)を使用することになっている。工学部は、技術部が購入薬品の受け入れを行っている。

2.2 基本的な受け入れ手順

発注者が会計係を通して薬品取扱業者に薬品を発注した後、伝票のコピーに納品先、薬品管理者などを記

入し発注済み書類として技術部に引き渡される。

火曜日と金曜日の 14:00~16:00 に薬品の受け入れを行っており、当日は、薬品取扱業者が持ってきた薬品

について、検収作業を行い SDS とセットで受け取る。

受け取った薬品は化学物質管理システム(以下 IASOと表記)に薬品の製品データを入力し、薬品データベー

スと照合して該当する品物を登録する。IASO には各メーカーの販売している薬品データベースがあるので、

該当メーカー、該当製品で登録を行っている。登録が終わったら登録内容について印刷し、薬品管理者に登

録情報を引き渡せるようにする。

最後に薬品、SDS、登録データを印刷した物を納品場所に配送する。

2.3 例外処理

<冷凍品について>

冷凍品の場合は-40℃以下などを指定している場合があり、そういう場合は技術部に一時保管が出来ない

ため、基本的に直接配達をしてもらい、後で登録作業を行っている。

<類似品登録について>

登録時に薬品データベース上に該当薬品が無かった場合は、「化学物質名」、「CAS No.」、「PATR/政令番

号」、「分子式」などを IASOで検索し、他社メーカーの同一化学物質、または含有成分、法規制対象成分等で

合致した物の類似品として登録をする。類似品登録の場合は品物に類似品登録の表示をし、引渡し時に必ず

類似品で登録している事を伝え管理台帳を作成するように伝える。

2.4 棚卸し

日立事業所では、年1回、5月の第2週金曜日を締め切りに、棚卸しをお願いしている。

棚卸しの方法は、登録されている薬品の保管場所、薬品の残量が、登録情報と同一か確認してもらい、棚卸し

が終了するまでは薬品の納品を停止する事になっている。

3. 登録件数

3.1 去年度の処理件数

2016年4月~2017年 3月末の間、工学部に入庫登録した薬品の件数と関係法令

労働安全衛生法 557件

毒物及び劇物取締法 424件

消防法 940件

総薬品登録数 2,110件

25 50

•↓

• ↓

• ↓

•↓

•NGO

• 2012 5

• 1,2-

• 1,2-

• 2013 7

• 2016 4

• 1,2

• ABCC2

28 4 18

PRTR PRTR

PRTR

VOC

11

2

3

4

5

• MSDS SDS JISZ7253:2012 GHS

• SDS

• GHS

SDS Safety Data Sheet

SDS 1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

16 :

• IASO • 14:0016:00

SDS

• IASO •

• SDS

•••

2016 4 2017 3

• 557 • 424 • 940 • 2,110

技術発表

「ネットワーク機器死活管理システムの

構築と運用」

情報処理部門 宮本 和明

ネットワーク機器死活管理システムの構築と運用

茨城大学 工学部 技術部 情報処理部門 宮本和明

1 はじめに情報処理部門では、ネットワークを利用する機器の管理業務を請け負っている。請け負った当初は台数も少なく、定期的に人の手によって管理できると楽観視していた。しかし現実は、度重なるネットワーク不良、機器の不良が続き、管理台数も増え、人間の手のみでは管理することが不可能となった。そこで、ネットワーク機器の状態を、人的コストをかけずに 24時間 365日稼働状況を確認し続けることが

できる「ネットワーク機器死活管理システム」の構築を行った。

2 ネットワーク機器の死活管理とはネットワーク機器の死活管理とは、ネットワーク機器の稼働状況を維持するために、断続的に機器の確認を行うことをいう。死活管理の手法は、ping監視、サービス監視、リソース監視がある。

3 ネットワーク機器死活管理システム

図 1 死活管理システムの一連の流れ

ネットワーク機器死活管理システム(以下「死活管理システム」と称する)の一連の流れを図 1に示す。死活管理システムでは、設定した条件通りに稼働状況の確認を行い、条件を満たしていない場合は、障害が発生したと認識し、管理者へ通知を行う。管理者は通知を受け取ってから原因の特定を行い、復旧作業を行う。障害通知後に管理者は動くことになるため、確実に初動対応は遅れるが、通知内容や他の機器の稼働状況から原因が分かることもあり、障害期間を大幅に短縮することができる。また、死活管理システムを構築することにより、図 1の

3⃝稼働状況の確認、 4⃝管理者へ通知、 5⃝原因の特定の一部が人の手を必要としなくなる。

4 ネットワーク機器死活管理システムの構築構築した死活管理システムの概要図を図 2に示す。2台の管理サーバを置き、監視対象および管理サーバを

それぞれ死活管理している。また、2台の管理サーバは、違う建屋に配置してあり、耐障害性を高めている。管理サーバは、OSに CentOS、死活管理ソフトウェアは Xymonを採用した。死活管理の手法は、基本的に ping監視とし、一部のサーバを対象としてサービスの監視も行っている。死活管理ソフトウェアの Xymon

は、BigBrotherのプラグインから派生した BigBrotherライクなソフトウェアで、GPLv2ライセンスで配布されるオープンソースであるため、無償で利用することができる。

Xymonのトップ画面を図 3に示す。一番左の列が管理対象の機器で、そこから右側は稼働状況を表している。Xymonは管理対象をセグメントごとにグループ化することができ、ネットワークのイメージを把握しやすいように設定している。図 3では、管理対象の稼働状況が全て緑アイコンになっており、障害が発生していないことを表している。障害発生時は赤アイコン、軽微な障害は黄色アイコンとなり、どこで障害が発生しているのかひと目で判断することができる。

図 2 ネットワーク機器死活管理システムの概要図

図 3 Xymonのトップ画面

5 まとめネットワーク機器死活管理システムの構築を行い、現在も運用している。障害発生時の管理者への通知機能もあり、死活管理システム構築後は大きな問題は起きていない。また、耐障害性を高めるために、2台の管理サーバを違う建屋に配置したのが幸いし、障害の原因特定に一

役買っている。ネットワーク機器死活管理システムの構築は、ネットワークを利用する機器の管理業務において非常に良好な結果が得られた。

.

.

••••

••••

BigBrother

BigSister BigBrother BigBrother

Xymon BigBrother BigBrother

Nagios

ZABBIX

Hinemos

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•••••

•••

•••

•••

••

••

••••

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24 24

•••

付録

茨城大学工学部技術部の経緯

年度 経緯

平成 3 年 ・工学部技術職員問題検討委員会発足

構成:工学部長、教官層(3 名)、技官層(3 名)、事務官層(3 名)

平成 8 年 ・工学部技術部発足

構成:第一技術系(14 名)、第二技術系(14 名)、第三技術系(9名 )

・工学部技術部運営委員会発足

構成:技術部長(工学部長)、教官(7 名)、技官(9 名)、工学部事務長

平成 10 年 ・工学部技術専門官、技術専門職員選考基準制定

・工学部技術職員研修実施要領制定

・技術部研修委員会設置(技術部研修会の企画、運営および技術発表報告集の編集)

構成:技術専門官、各技術系より 2 名

平成 11 年 ・茨城大学技術職員研修実施要領制定

平成 12 年 ・技術部組織の一部変更

構成:第一技術系(12 名)、第二技術系(6 名)、第三技術系(9 名)、第四技術系(6 名)、

総合情報処理センタ(1 名)

・技術部研修委員会構成の変更

構成:第一技術系(2 名)、第二技術系(1 名)、第三技術系(2 名)、第四技術系(1 名)

平成 17 年 ・工学部技術部再編

構成:総括技術長(1 名)、技術長(3 名)、班長(7 名)、先任技術専門職員(2 名) 、

技術職員(17 名)

平成 20 年 ・工学部技術部

構成:総括技術長(1 名)、技術長(3 名)、班長(6 名)、技術職員(17 名)、

技術支援推進員(5 名)

平成 22 年 ・工学部技術部再編

構成:総括技術長(1 名)、技術長(3 名)、班長(5 名)、技術職員(12 名) 、

技術支援推進員(4 名)

平成 23 年 ・工学部技術部

構成:総括技術長(1 名)、技術長(3 名)、班長(5 名)、技術職員(13 名)、

技術支援推進員(5 名)

平成 24 年 ・工学部技術部

構成:総括技術長(1 名)、技術長(3 名)、班長(5 名)、技術職員(12 名)、

技術支援推進員(3 名)

平成 25 年 ・工学部技術部

構成:総括技術長(1 名)、技術長(3 名)、班長(5 名)、先任技術専門職員(2 名) 、

技術職員(11 名)、事務支援室シニアスタッフ(3 名)

平成 26 年 ・工学部技術部

構成:総括技術長(1 名)、技術長(3 名)、班長(5 名)、先任技術専門職員(2 名:

内1名班長兼任)、技術職員(12 名)、事務支援室シニアスタッフ(4 名)

平成 27 年 ・工学部技術部

構成:総括技術長(1 名)、技術長(3 名)、班長(6 名)、先任技術専門職員(2 名:

両名とも班長兼任)、技術職員(11 名)、事務支援室シニアスタッフ(5 名)

平成 28 年 ・工学部技術部

構成:総括技術長(1 名)、技術長(3 名)、班長(6 名)、先任技術専門職員(2 名:

班長兼任)、技術(専門)職員(10 名)、事務支援室シニアスタッフ(4 名)

平成 29 年 ・工学部技術部

構成:総括技術長(1 名)、技術長(3 名)、班長(6 名)、先任技術専門職員(2 名:

班長兼任)、技術(専門)職員(10 名)、事務支援室シニアスタッフ(3 名)

総括技術長

(技術専門員)

伊佐治 進

安全管理部門

技術長(技術専門員)

水野 孝泰

測定・分析班

班長(技術専門職員)

金澤 浩明

塩澤 悠太(技術職員)

黒田 彰男(技術専門職員)

安全衛生班

班長(技術専門職員)

井上 和浩

木村 亨(技術専門職員)

神永 尚哉(技術職員)

モノづくり部門

技術長(技術専門員)

佐久間 隆昭

機械・材料班

班長(技術専門職員)

小松 護

土田 正也(技術職員)

電気・電子班

班長(技術専門職員)

山口 一成

黒崎 亘(技術専門職員)

情報処理部門

技術長(技術専門員)

山本 武幸

維持・管理班

班長(技術専門職員)

崎野 純子

藤田 義人(技術専門職員)

情報・広報班

班長(技術専門職員)

荒川 真

宮本 和明(技術職員)

井上 賢治(技術職員)機器分析部門

維持・管理担当(日立・東海)

山本 武幸

技術支援推進員

環境衛生担当(技術専門職員)武田 誠

環境安全担当(技術専門職員)関根 正美

環境分析担当(技術専門職員)佐藤 義典

技術部長

(工学部長)

増澤 徹

平成30年度工学部技術部組織図

編集後記

本報告集は主に茨城大学工学部技術部で行った第20回目となる技術部研修報告会での発

表をまとめたものとなります。皆様方の今後の活動に本報告集を活用していただければ幸

いです。

最後となりますが、特別講演をしていただいた IT 基盤センターの大瀧 保広先生、原稿

をお寄せいただいた執筆者ならびに発刊にご協力いただいた皆様に感謝し御礼申し上げま

す。

2018年5月

平成29年度茨城大学工学部技術部研修委員会

荒川 真

伊佐治 進

小松 護

崎野 純子

塩澤 悠太

土田 正也

水野 孝泰

宮本 和明

平成29年度技術部報告集

発行 : 平成30年5月1日

発行者 : 茨城大学工学部 技術部研修委員会

〒316-8511 茨城県日立市中成沢町4-12-1

e-mail : [email protected]