Upload
vuduong
View
219
Download
0
Embed Size (px)
Citation preview
2011年春、東京都板橋区清水町に、創立125周年記念「東洋大学総合スポーツセンター」がオープンした。アリーナ棟、アスリートビレッジ、グラウンドからなり、本学においては初めてプールが設けられた施設でもある。今号ではこの建物をのぞいてみよう。
創立125周年記念
General Sports Center
左手がアリーナ棟、右手がアスリートビレッジ。
月曜3限の授業「フットサル」のひとこま。フットサル専用コートが4面取れる人工芝グラウンドで思いっきりプレイできる。
(上)近隣の高層マンションから見下ろす位置となるプールの屋根は、芝桜などによる屋上緑化を施している。
(左・下)屋上ラウンジや中庭など、自然光のもとでの憩いの場が多い。
(左)アリーナの扉に注目。配色の組み合わせが異なるなど、ちょっとした遊び心が。(右)丸い窓からのぞく、教室の様子。
創立125周年記念 東洋大学総合スポーツセンター東京都板橋区清水町92-1敷地面積:20,706.49㎡構造:アリーナ棟、アスリートビレッジ 地上6階施設概要:アリーナ・トレーニング室・医務室・学生ラウンジ・50mプール 講義室・会議室・研究室・練習室・各部練習場・寮室(130室)・ ミーティング室・食堂・厨房・浴室・管理人室・人工芝グラウンド
総合スポーツセンターは、多くの住宅に囲まれた立地。住宅地において地域と共生する施設となるために、さまざまな配慮がなされている。例えばグラウンド外周の壁。写真では一見、壁が無いように見えるが、外周はすべて騒音を低減するための「透明」樹脂の
遮音壁になっており、外が見渡せるため広がりが感じられる。また、グラウンドを非常時における近隣の一時避難場所として機能させるため、非常時用の入り口を敷地外周の複数箇所に設置。もちろん、グラウンドは人工芝で砂塵の飛散を防止している。
特集
総合スポーツセンター誕生
谷釜 尋徳
法学部准教授〔スポーツ史〕
安則 貴香
経営学部講師
〔スポーツ科学、舞踊学〕
建物外観は、モノトーン系にまとめられた色調や、コンクリート打ち放し仕上げ、そしてユニークな外壁のデザインが印象的。全体デザインの基本テーマは大学名にちなみ、「東洋―oriental―」だ。 このテーマのもとに、東洋的(日本的)な要素、たとえば「直線主体の構成」「組み木細工」「格子を透かした光や影」「素材感を生かす」など、「端正かつ軽快でありながらも、風格や力強い存在感を有する、我が国の伝統的な建築のイメージを継承することを目指した」(株式会社久米設計・阿部氏)という。 もっとも目をひくのは、組み木細工を連想させる外壁の凹凸部分ではないだろうか。この凹凸は、スポーツ施設としてのリズム感や躍動感を表現するとともに、機能的には日射を制御して室内の熱負荷を軽減させる役割も果たしている。
現在は、主に白山キャンパスに通学する第1部学生のスポーツ健康分野の各授業(講義・実技)と、部活動の練習場、選手の寮として使用されている施設だが、今後は、当施設の完成を機に、教育・研究、文化、地域振興などの分野で、板橋区と連携協力していくことが約束されている。
スポーツクラブに引けを取らない、トレーニングマシンの数々。下の写真は月曜2限の授業「フィットネストレーニング」の様子。エアロバイクなどを使った有酸素系運動や器具を使った筋トレ方法について、個々にあった正しいメニューの考え方について学び、実践する。フリーウエイト(ダンベル等)を使った本格的なトレーニングもできる器具が整っているのが特長だ。
月曜3限「バスケットボール」のひとこま。誰
でも楽しめるバスケは、広々とした「アリー
ナ」を使用し、部活動経験者も初心者も男
女も混合でゲームを行う。
金曜2限「シェイプアップエクササイズ」。
広々とした「練習室1」は、壁面がガラス張
り。アップテンポの音楽にあわせて踊りなが
ら、理想的な体型を目指す!
スポーツ、というと「競技」をイメージする方が多いと思いますが、その語源から解釈すると、遊び・楽しみ・気晴らしに類するものはすべてスポーツに含まれると考えられます。講義では「こんなものもスポーツなのか!」と驚く学生が多いですね。 私は研究テーマのひとつとして、江戸時代の庶民の「旅」を扱っています。徒歩が主な移動手段であった頃の旅を「歩く」という視点から掘り下げていくと、彼ら庶民の一日の歩行距離、服装・履物と歩き方との関連性、狭い道を歩く時の暗黙のルー
ルなど、様々な日本独自の「スポーツ文化」に出会います。 国際化が進むにつれ、自国文化を知る必要性が高まっていくと思いますが、スポーツはかたや世界共通言語でありながら、一方ではその国の文化を映す鏡でもあるのです。実際に体を動かし楽しみつつ、色々な角度からスポーツを学んでください。
急速な情報化社会が進展する現代社会で、私たちはデジタルツールによる生活の利便性を獲得していますが、その一方、情報化社会での希薄化するアナログな人間性やコミュニケーションの回復を目的として、スポーツに多くの期待が寄せられています。有意義な大学生活や社会生活を送るための基礎条件である、心身ともに健康な生活を送るための知識の獲得や他者理解を目的として、身体を多角的に捉える姿勢は、スポーツ健康科学実技・講義だからこそ学ぶことができます。
授業でのエクササイズは、音楽に合わせて学生同士が同じ空間で動き、玉のような汗をかく。そこには共通の動きを前提にして、“個”の動きだけではなく“共感”やともに分かち合う雰囲気が生まれ、動きに喜びが溢れます。そんな経験を重ねながら、自分の身体と人とのコミュニケーションを学んで欲しいと思います。
Interview
Interview
02 03TOYO UNIVERSITY NEWSTOYO UNIVERSITY NEWS
Pool総合スポーツセンターの目玉は何といっても50メートルプール(*)。東京23区内の大学において同規模のプールはほとんどない。これまで東洋大学にはプール施設がなかったため、水泳部にとっては、長らく待ち焦がれたプールだ。
体育会水泳部の練習は、早朝がメイン。週6日、朝6時30分からに加え、週4日は午後練習もある。選手たちはここで朝練をこなしてから各キャンパスへと授業に向かい、授業が終わるとすぐに戻ってまた練習を重ねる。主要大会は、8月の関東学生選手権、9月の日本学生選手権。まもなくシーズンも佳境に入る。目標は男女ともに1部への定着だ。 これまでは外部施設を間借りしての練習で、場所の確保とやりくりに苦労していたが、待望のプールの誕生で、環境は劇的に変化した。まずは、北島康介選手らを輩出した東京スイミングセンターとの連携で、コーチ派遣や合同練習が叶うようになった。国内トップクラスの選手も在籍するスイミングクラブとのコラボは、本学部員に最先端のトレーニングを受ける機会を与え、新たなステージへと導く。小川監督は「いつか世界に羽ばたく選手を輩出したい」と意気込む。 創設から45年。歴代部員たちがプールのない大学で、これまでの歴史を作ってきた。「水槽が与えられたからといって、すぐに魚の動きが良くなるわけではない。しかし、この環境に対しての感謝は少しでも早く、結果で返すこと」。小川監督の言葉は、選手一人ひとりが胸に強く抱いている思いだろう。
(左)スポンジをふさ状に仕立てた手作りのアイテムを腰に巻き付け、パドル(水かき)、シュノーケルを装着して一定の速さで繰り返し泳ぐ選手たち。水を含んだスポンジは想像以上の負荷となるため、普通では到底泳げないそうだが、効果的な水中筋トレになるため、毎朝この特訓を取り入れている。(右)通常、プール室は気密性を保ちながら室内の吸音を行うことが難しいそうだが、本プールは「声の聞き取りやすさ」に配慮して、気密性に優れるアルミ製の特殊な吸音天井システムを採用。また、プール長手方向の窓部分には大型の引き分けガラス扉を設置。大会開催時にはこの扉を開けることで、隣接するトレーニングフィールドが「屋外観覧席」になるという仕組みだ。(*)公称50m競泳プール公認申請中
5月28日(土)には、剣道部関係者、近隣の剣道連盟などが参加して剣道場の道場開きおよび合同稽古会、翌日には高校生を招いての道場開き記念招待試合を開催。広 と々した道場が、収まりきらないほどの気迫と熱気に包まれた。
125周年マークの入った最新式のバックプレート付スターティングブロック。
各練習場を示すサイン。モノトーンの基調色の中に現れる、鮮やかな色彩がアクセントカラーとしてひき立つ。素材感を損なわないように、「染色」という手法により木材の目を残しながら、木肌に着色する方法を採用している。
体育会部活動選手の寮となる、アスリートビレッジ。現在は153名の選手が生活する。体づくりの資本となる食事はその運動によって必要なエネルギーが異なる。複数の部活動が入居するため、このことに配慮した「本日の競技別小鉢」という粋な計らいも。
Athlete village
04 TOYO UNIVERSITY NEWS