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文化を“視る”
~記号化・ファッション・サブカルチャー~
富山福祉短期大学
2013年度前期 『社会学』
担当: 中川 翔平
コミュニケーションの「コード・モデル」
ここでの「コード・モデル」とは
コミュニケーションが「言語」的・「記号化された非言語」の送受信として行われている(という仮説)
スチュアート・ホールによる
エンコーディング(記号化)
デコーディング(解釈)
送り手
エンコード
テクスト
インフォメー
ション
受け手
解釈された情報
デコーディング
再エンコード
送り手
受け手
「エンコーディング」「デコーディング」図式
従来のメディア研究での
送り手/メディア/受け手
に対し、
S・ホールは
生産・流通・分配/消費・再生産のプロセス
を提示した
脇道:〈テクスト〉と〈言説(ディスクール)〉
〈テクスト〉
= コトバの集積であり、コトバとしての産物
〈言説〉
=コンテクスト(文脈)から取り出された“テクスト”を再度埋め込んだもの。
〈言説〉といえばM・フーコーさんですが
フーコーにおける〈言説〉
“歴史家たちが考える歴史は、本質的には、人間が「為したもの」にある。・・・だが、フーコーが考えようとしていることは、そうした人間の行為がいったいどのような規定・条件づけに従っているか、ということなのである。(中略)行為はかならずある種の場の規制にそって行なわれるが、しかし本質上、事前的であるこの場はかならずしも行為主体によってつねに明確に意識されているわけではない。”ミシェルフーコー著、小林康夫・松浦寿輝・石田英敬訳(2006)『フーコー・コレクション〈1〉狂気・理性』(ちくま学芸文庫)、筑摩書房、429頁より引用。赤色による強調は中川による。
軌道修正:コードと身にまとう〈私〉
マス・メディア マス・メディア
エージェント
エージェント広告(代理店)・カリスマ等
皮下注射モデル
二段階の“流れ”モデル
言説としての“er”
• 1970-1980年代
ヤンキー
元ネタ:Yankee(アメリカ合衆国北東部に住む白人に対する俗称)。また、大阪・難波の「アメリカ村」で購入したアロハシャツやワイド・パンツを履いて繁華街をうろつく若者を指すコトバとなった。
→それから、「改造バイクなどで集団危険行為する集団」へ
チーマー:1990年代
"team"に「~する人」という意味の"-er"を付けた造語
ゲームセンターにたむろしたり、コンビニの駐車場でしゃがんで話し込み、喧嘩を売ったりする不良ぶったグループやグループに属している人のことである。
ファッション:リーバイス501などのジーンズやエンジニアブーツ、古着などの、いわゆる渋カジ、アメカジと呼ばれるストリートファッションを好むものが多く、ロン毛でヘアバンド等をしていた。
ゲーム 『428 〜封鎖された渋谷で〜』チューンソフト、2008より。
ギャング:1995~1996年に都心近郊に出現
• 「暴走族」、渋谷や池袋など東京都心の繁華街を中心に活動した「チーマー」に続く、新しい不良集団のカテゴリー
• チームカラーのバンダナや服、お揃いTシャツを着用(必ずしもB系ファッションとはかぎらない)
『池袋ウエストゲートパーク』制作TBS、原作:石田衣良、脚本:宮藤官九郎、2000
ブランド名・場所・人物に付けられる“er”
「シャネラー」
『JJ』1994年8月号(20巻8号)で
シャネル好きの女子大生を紹介
それによって全国区へ。
女子大生ブームから女子高生ブームへ
コギャルの誕生
70年代に誕生し80年代に定着した“ギャル”
イメージ:“ギャル”=「女子大生」
時代はバブル
ジュリアナに代表されるディスコで派手な扇子等を持ちワンレン(後にソバージュ)ボディコンハイレグで着飾り「お立ち台」で踊るなど
都築響一著「バブルの肖像」アスペスト社 2006 より。
80年代創刊の雑誌達
『JJ』創刊号、1975年6月 『CanCam』創刊号、1982年、1月
『ViVi』創刊後、1983年7月 『Ray』創刊号、1988年7月
コギャルの誕生 もともと80年代の終わりから
“ディスコ”に出入りしていた女子高生を指すコトバだった。
いづれ“ギャル”になるから“コギャル”
96年に全盛を迎え、黒ギャルは徐々に衰退していく。
記号:ルーズソックス・ポケベル・インスタントカメラ、雑誌等
その後、2000年に入ると、今
度はお姉ギャル誌が登場し、戦いの場を90年代にギャルの洗礼
を受けた「アラサー(アラウンドサーティー)」に移していく。
スティグマ性的対象としてのコギャル援助交際における性の商品化
安室奈美恵→“アムラー”
アムラー 1990年代においてを模倣した
ファッションスタイル。 1995年に現れ、1996年をピー
クに女性の間で流行した。
シャギーをいれた長い茶髪にメッシュ
剃り落とした後に描いた様な極端な細眉が特徴。
日焼けサロンで焼いた浅黒い肌も好まれた。
『ギャル文化特集~ギャルの歴史と生態~』〈http://asianbeat.com/ja/feature/issue_gal/history/01.html〉(アクセス日2013年7月12日) より引用
ギャルの歴史 1
コギャル1995年~2000年初頭ミニスカート・厚底ブーツ・ロングヘアに茶髪・剃り落とした後に描いた様な極端な細眉・日焼けサロンなどで焼いた浅黒い肌が特徴。アムラーと呼ばれる女性が誕生したヤマンバギャル1990年代後半~2000年代中盤ガングロや化粧に加え、髪の毛は脱色や部分メッシュ、メイクは白い色のグロスやアイラインを施す事がヤマンバの間で大流行。進化系としてマンバ、汚ギャルなどが登場した。
ギャルの歴史 2
アゲ嬢
2006年~現在
雑誌「小悪魔ageha」に登場しているよう
ファッションをしている女の子。髪は逆毛や巻き髪でボリューム感を出し、アイライナーやつけまつ毛でアイラインを強調。
消費・再生産される“商品”
• 当時の安室奈美恵のファッションは、その頃、すでに若いたちの間で流行していたファッションを安室奈美恵本人(+スタイリスト等)が取り入れて舞台衣装にしていた。
• つまり、もともとの歴史的なファッションのトレンドが『安室奈美恵』というメディアであり、『アイコン』が取り入れたことによって再解釈され、再び消費されていったといえる。
• ただし、〈言説〉に含まれていたイメージ(ラベルやスティグマ)も再生産の中に埋め込まれている。
モデル・読者モデル・ストリートスナップ・読者の立場の違い
「渋谷系」におけるオピニオン・リーダーと消費者
中村仁「オピニオン・リーダー層の変化と消費者行動− 「渋谷系」ストリート・ファッションを事例として−」『情報社会学会誌』第6巻第1号, 情報社会学会, 2011.06.18, pp.115-124.
再生産が共有される『場』の創出
『菜々緒を輩出した「Miss TGC」も実施!「第17回東京ガールズコレ
クション」開催』〈http://www.wwdjapan.com/fashion/2013/05/30/00004678.html〉(アクセス日:2013年7月12日)
結びにかえて:文化の作り手?受けて?
• 高度経済成長以後の付加価値の〈世界〉において消費活動を通してある文化を再生産し多層的な影響を与えていると考えられる。
• 大文字の〈文化〉ではなく、それぞれの属する〈文化〉が細分化(島宇宙化)し、その内部/外部を橋渡ししているのがコミュニケーション・メディアであり、それを可能としている“技術”も重要と指摘しておく。
• そして、再生産(再コード化)は新しいレイヤーも同時に生産するといえる。その中に含まれていたネガ/ポジの〈言説〉は埋め込まれたままではないかとも考えられる。