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低低低低低低低低低低低低低低低低低低低低 低低低低低低低低低低低低低低低低 低低低低低 【】 低低低低低 低低低低低低低低低低低低低低低 低低低低 低低低低低低低低低低低低低低低低低低低低低

低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

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若手研究者 による分野間連携研究プロジェクト. 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】. 国立天文台・太陽系外惑星探査プロジェクト室 成田憲 保. 本プロジェクトの背景. 太陽系外惑星探査はすさまじい速さで進展している 生命居住 可能領域にある惑星も発見された 地球や火星サイズの惑星も発見された SF ではなく、 宇宙に生命の痕跡を探す時代になりつつある. 本プロジェクトの趣旨と目標. 宇宙に生命を育む惑星は地球の他にないのか?. 天 文学・生物学・惑星科学・工学の若手研究者の - PowerPoint PPT Presentation

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Page 1: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

低温度星まわりの生命居住可能惑星における植物特性の考察とその観測に向けて

【実績報告】

国立天文台・太陽系外惑星探査プロジェクト室

成田憲保

若手研究者による分野間連携研究プロジェクト

Page 2: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

本プロジェクトの背景• 太陽系外惑星探査はすさまじい速さで進展している

• 生命居住可能領域にある惑星も発見された

• 地球や火星サイズの惑星も発見された

• SF ではなく、宇宙に生命の痕跡を探す時代になりつつある

Page 3: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

本プロジェクトの趣旨と目標

宇宙に生命を育む惑星は地球の他にないのか?

天文学・生物学・惑星科学・工学の若手研究者の分野間連携によってこれらの問題に取り組み、近い将来に宇宙の生命探しを行う体制を確立す

Page 4: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

近い将来の生命痕跡探索:低温度星

• 宇宙で最も多く存在する恒星– 太陽系近傍にも数多く存在している

• 主星の質量が太陽の 0.1-0.5 倍程度で、温度は 2000-3800K ( 太陽は約 5800K)

• 可視光では暗く、近赤外で明るい– 恒星のスペクトルは概ね黒体輻射

– さらに低温度星は恒星自身の分子吸収で可視光が弱い

• 世界中で生命居住可能惑星の探索が始まっている

Page 5: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

どのような生命の兆候を探すか?

私たちが注目しているのは「光合成生物」(植物)– 主星の光を利用する「光合成」を行う一次生産者

– 地球の歴史上、もっとも大きく地球大気環境を変えた生物

• 低温度星の生命居住可能惑星の植物はどんな特性を持つだろうか?

• どこを探せばよいだろうか?

• どうやって探せばよいだろうか?

若手研究者の分野間連携を確立し、この課題に取り組みたい

Page 6: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

グループメンバー

氏名 所属機関・職 専門分野 役割

成田憲保 国立天文台 PD 天文学 観測

滝澤謙二 基礎生物学研究所 PD 生物学 理論

皆川純 基礎生物学研究所教授 生物学 理論

松尾太郎 京都大学准教授 天文学・工学 装置

田村元秀 国立天文台准教授 天文学 観測

生駒大洋 東京工業大学助教 地球惑星科学 理論

村上尚史 北海道大学助教 天文学・工学 装置

小谷隆行 宇宙科学研究所 PD 天文学・工学 装置

Eric Gaidos ハワイ大学教授 地球惑星科学 観測

Page 7: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

3 つの研究テーマ

• テーマ A : 地球とは異なる惑星環境での植物特性の考察

– 滝澤謙二 ( 基生研 ) 、皆川純 ( 基生研 ) 、生駒大洋 ( 東工大 )

• テーマ B : 実際の観測による惑星の探索とその環境調査

– 成田憲保 ( 国立天文台 ) 、田村元秀 ( 国立天文台 ) 、 Eric Gaidos( ハワ

イ大 )

• テーマ C : 将来の 30m 級望遠鏡に向けた装置開発

– 松尾太郎 (京都大学 ) 、小谷隆行 ( 宇宙研 ) 、村上尚史 ( 北大 )

Page 8: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

各グループの役割と連携関係3 つのテーマで個々に目的を達成しつつ、有機的連携体制を

作る

ワークショップやミーティングを通して情報交換や共同研究を行う

テーマ A (理論)

テーマ C (装置開発)テーマ B (観測)

地球型惑星の直接観測のための新しい観測手法の実証

トランジット観測による低温度星まわりでの地球型惑星探索

低温度星まわりでの「生命居住可能領域」及び「植物特性」の

理論的考察

候補天体の提供

候補

天体

への

理論

的示

候補

天体

への

理論

的示

候補

天体

の情

装置

仕様

イン

プッ

ト装置仕様から制限される観測天体

Page 9: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

テーマ A の概要• 理論的考察と実験によって、観測への示唆を検討

• 実験:地球上の植物が持つ red edge という特性を、水生緑藻のクラミドモナスや、進化的に高等植物との中間に位置するヒメツリガネゴケを用いた実験で理解する

• 理論:地球上の植物特性の類推から、低温度星の地球型惑星でありうる植物の可能性を検討する– あらゆる色の光を使う黒い植物?

– 低温度星の弱い可視光でも地球型の光合成が可能?

– 赤外光を使った光合成の 3 光子反応?

Page 10: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

実験による Red Edge の特性評価

• 生育段階によって異なる形態を示すヒメツリガネゴケの原糸体( 赤 ) と茎葉体 (青 ) を比較しても、高等植物のオシロイバナ( 黒 ) と似た特性で特に差はなかった

• クラミドモナスの野生株(黒印)と細胞壁欠損株(赤印)の反射スペクトルの 680nm と750nm の反射比から Red Edge を求めても特性に差が見られなかった

400 500 600 700 8000.0

0.2

0.4

refle

ctan

ce (

rela

tive)

Wavelength (nm)

0 5 101

2

3

4

5

Ref

lect

ance

Rat

io, 7

50/6

80nm

Chl Conc (ug/cm2)

Red Edge は色素濃度でほぼ決定されており、植物形態や細胞構造の影響は小さいことがわかった

Page 11: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

低温度星周りでの光合成の可能性

低温度星まわりで H2O を分解し、

CO2 を固定するエネルギーを得る

ために必要な光合成機構は何か?

低温度星3,000~

3,800K

H2O O2

0 1000 2000 3000

Flu

x

Wavelength (nm)

6,000K

3,000K

LightHarvest

Electron Flow

Proton Flow

Carbon Fixation

2 NADPH

3 ATP

CO2

CH2O

440kJ

135kJ 480kJ

8 Red Photon

1390kJ

85%

1390kJ

40%65-100%8 Blue Photon

2180kJ

or

Page 12: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

三つの可能性を検証

A.黒い植物 広スペクトル集光アンテナで少ない可視光を無駄なく利用

空間利用効率が悪い光量の変化に弱い

吸収波長の異なる二つの反応中心で可視光と赤外線を無駄なく利用

波長の変化に弱い

B.省エネ型電子伝達

電子伝達経路の改善によりエネルギーの消耗を減らす

量子収率が下がる活性酸素の発生

電子伝達と ATP 合成を分離 pH依存の制御機構の欠落

C. 3光子過程三つ以上の反応中心を連続励起して電子伝達を駆動

構造が複雑になると効率が低下する

特性 機能的問題点 進化

Page 13: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

3 光子過程の構造的問題点

2 光子過程を単純に延長して 3 光子過程を構築した場合、電子伝達経路が長くなり、途中で失われるエネルギーが増大する(①)。 3 光子過程が有効であるためには、電子伝達経路が 2光子過程と同等にシンプルであるか(②)、反応段階毎に失われるエネルギーを少なくしなければならない(③)。

0 5 10 15 20 25 300

20

40

60

80

100

0 5 10 15 20 25 300

20

40

60

80

100

2 光子過程(地球型) 3 光子過程

電子伝達(酸化還元)反応 電子伝達(酸化還元)反応

①②③

必要なエネルギー

電子伝達の省力化が必要十分条件であり、 2 光子過程を省力化できれば 3 光子過程を必要としない。

Page 14: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

3 光子過程の進化的問題点

0 0 0

0 0 1

0 2 1

3 2 1

3 2 1

3 2 1

0 0 0

0 1

2 1

2 1

0

3 2 1

2 1

2 13 2 1

3 2 1

3 2 1

遺伝子の重複、変異、細胞融合によって 1 光子反応から 3 光子反応まで進化できるか?

2 1

2 1

0

3 2 1

2 光子過程は中間の電子伝達経路を共有することによって重複した 1 光子過程から進化できるが、 3 光子過程の実現には電子伝達経路の大幅な変更や、全く新しい反応中心が必要になる(破線で示したような回路のショートを防ぐため)。

チラコイド膜上に反応中心( 0, 1, 2 )と電子伝達経路を配した模式図

Page 15: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

三つの可能性を検証

A.黒い植物 広スペクトル集光アンテナで少ない可視光を無駄なく利用

空間利用効率が悪い光量の変化に弱い

吸収波長の異なる二つの反応中心で可視光と赤外線を無駄なく利用

波長の変化に弱い

B.省エネ型電子伝達

電子伝達経路の改善によりエネルギーの消耗を減らす

量子収率が下がる活性酸素の発生

電子伝達と ATP 合成を分離 pH依存の制御機構の欠落

C. 3光子過程三つ以上の反応中心を連続励起して電子伝達を駆動

構造が複雑になると効率が低下する

特性 機能的問題点 進化

Page 16: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

黒い植物:無駄なく集光する色素を備える

400 500 600 700 800

Wavelength (nm)

Abs

orba

nce

Hohmann-Marriott & Blankenship (2011) Annu Rev Plant Biol

Page 17: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

省エネ型:電子伝達を効率化する

集光赤色光x81380kJ

(青色光x8 )(2180kJ)

65-100%

電子伝達

プロトン輸送炭素固定

2 NADPH

3 ATP

CO2

CH2O

440kJ

135kJ 480kJ

1380kJ

H2O O2

85%40%

プロトン輸送( ATP 合成)を伴わずに40 % の効率で電子伝達を行うとすると、吸収波長は 910nm までシフト可能。

Page 18: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

結論:集光、電子伝達を最適化した光合成生物の存在と観測的検証が期待できる

A.黒い植物 広スペクトル集光アンテナで少ない可視光を無駄なく利用

吸収波長の異なる二つの反応中心で可視光と赤外線を無駄なく利用

B.省エネ型電子伝達

電子伝達経路の改善によりエネルギーの消耗を減らす

電子伝達と ATP 合成を分離

C. 3 光子過程 3 光子による連続励起

特性

4 光子による連続励起

可視光

~1030nm

~1380nm

~910nm

利用波長

可視光~1050nm

実現可能性

-

観測可能性

-Astrobiology誌に論文を投稿準備中

Page 19: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

テーマ B の概要

• 低温度星まわりの地球型惑星の探索体制の確立が目標

• 太陽系近傍にある低温度星の惑星を探すため、赤外望遠鏡の測光精度の高精度化に取り組んだ– 岡山、南アフリカ、チリにある 1-2m 級望遠鏡で試験観測を実施

– 全ての望遠鏡で惑星発見が可能となる 0.1-0.3% の測光精度を達成

– 既知の惑星系の大気や軌道の特徴付けも行った

• 低温度星のトランジット惑星候補の選定を行い、岡山観測所で実際の惑星探しの観測を開始した– 2012年 2月~ 5月にかけて 12夜の観測を実施予定

– データ解析の自動化を進めている

Page 20: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

今年度達成できたこと 今後数年間で観測するターゲットカタログの選定

今後利用する3つの望遠鏡全てでの高精度測光観測の実現

観測と解析を実施できる人材の育成

自動解析体制の構築 (2012年 3月の観測時に試験予定 )

岡山 188cm 望遠鏡 IRSF1.4m 望遠鏡 miniTAO1m 望遠鏡

Page 21: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

岡山観測所での惑星探しを開始

岡山のプロポーザル評価と岡山に設置した解析用マシン

Page 22: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

既知の惑星系の特徴付け

GJ1214

左:既知の地球型惑星 GJ1214b の多波長同時トランジット(南アフリカ)上:既知のホットジュピター WASP-12b が主星の裏側に隠れる現象の検出(岡山)どちらも高精度化によって初めて実現できた

Narita et al. in prep

Fukui et al. in prep

Page 23: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

テーマ C の概要

• 将来ハワイに設置される予定の 30m 望遠鏡 (TMT) に向けて、実際の観測を行うための装置開発を行う

• Second Earth Imager for TMT (SEIT)

– TMT で地球型惑星を直接撮像する装置

– シミュレーションによる観測手法の検証を実施済み

• 今年度の開発目標– SEIT 光学系を実験室で構築すること

– 主星超近傍での高コントラストを可能にする「新しい観測方式」を実証すること

Page 24: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

極限補償光学 コロナグラフ装置

主星が強め合う光

主星が弱め合う光

TMT

焦点面マスク:PSFコアを取り除く

スペックル

マイクロレンズアレイ+ 空間フィルター

波面をクリア波面測定装置:ポストプロセッシングによる高コントラスト化

どのように惑星を見つけるか?

• 大気により乱れた波面を補償光学により整える。

• コロナグラフにより恒星の光だけを弱め合う。

• ポストプロッセシング型の波面測定装置により波面残差を測定し、更なる高コントラスト化を行う。

Page 25: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

実証実験

• 実験方針:- 目標とするコントラスト( 10 の 8乗)は数年のタイム

スケールで達成する。- 実験一年目は、方式の実証を目的として設定条件を緩和

する。

• 実験条件:- 恒星と伴星の強度比: 100- 恒星と伴星の角距離:回折限界の 2 倍( 2λ/D )

Page 26: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

干渉型コロナグラフ波面測定装置再生した像

干渉縞

瞳像

実験

結果: SEIT 光学系を構築し、像再生に成功した。    主星の超近傍 (回折限界 ) でコントラスト( 1/100 )を達成。 今後:更なる高コントラスト化 (1/10000) を目指し、 実観測に向けた準備を行う。

光源

Page 27: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

本プロジェクトの支援で得られた業績

• 国内会議:招待講演 2件、口頭発表 11件、ポスター発表 1件

• 国際会議:口頭発表 1件、ポスター発表 4件

• 論文:査読あり 3件、準備中 3件

• ワークショップ開催: 1回

Page 28: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

まとめ

• 低温度星のまわりの生命居住惑星の探索とそこでの生命の痕跡の探索は今後最もホットになる研究テーマ

• このテーマに取り組む若手研究者の分野間連携体制を確立するため、理論・観測・装置開発の三位一体のグループ作りを行ってきた

• 本プロジェクトでは個々の設定した目標を達成しつつ、共同研究を推進することができた

• 今後もこの取り組みを続けていきたい

• 自然科学研究機構によるご支援に深く感謝いたします

Page 29: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

補足スライド:テーマ A

Page 30: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

なぜ“植物”を探すのか?1. 進化の必然性が高い: 惑星の全域で、持続的(数十億年)に利用可能な一

次エネルギー源は主星からの放射エネルギー以外に無い。効率のよい光エネルギーの利用を追及すれば“植物”に行きつく。

2. 観測可能性が高い: 光合成生物が進化した場合、海洋・大気成分組成に大きな変化をもたらす。陸生植物が存在した場合、反射光のスペクトル分析から検出できる可能性が高い。

進化に要する時間(実現可能性の低下)

観測

可能

従属栄養生物の進化

知的生物の進化?

 好気・陸生光合成生物

  好気・水生光合成生物

 嫌気・陸生光合成生物

  嫌気・水生光合成生物

原始細胞(発酵)生体膜

形成有機化合物

主星の影響をそれほど受けない進化

主星からの光条件に依存した進化

Page 31: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

低温度星まわりでの植物進化の検証(理論)

弱い可視光・強い赤外線

1. 低温度星周りの惑星環境の推定

2.植物特性の推定

3.実現可能性の検証

定期的に強いフレア

日周リズムが無い

3段階光励起反応による電子伝達

機能性の検証

広域スペクトルの集光色素

進化過程の検証

合理的に推測される植物特性を総合して低温度星まわりで進化する植物の全体像を予想する。

生体構造、生化学反応として可能なのか?

原始細胞(発酵)からの進化プロセスが想定可能か?

Page 32: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

Tinetti et al. (2006) The Astrophysical Journal

観測に役立つ植物特性の検証(実験)

最有力の観測指標の一つとして植生の反射光スペクトルに現れる “ Red Edge” がある。

植物が利用する可視光より長波長側に強い反射のピークが現われる。地球上の植物には共通して見られる現象であるが、系外惑星においても普遍的な現象であると言えるのか実験により検証する。

反射分光測定装置(有限会社オーリー)

Red Edge の測定

Page 33: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

観測に役立つ植物特性の検証(実験)

茎葉体

原糸体

クラミドモナス シロイヌナズナヒメツリガネゴケ

水生緑藻のクラミドモナス、陸生植物のシロイヌナズナ、及び進化的にその中間に位置するヒメツリガネゴケを用いて Red Edge と形態・光合成機能の関係を調べる

水生藻類から陸生植物への形態の変化

Page 34: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

観測に役立つ植物特性の検証(実験)

水生緑藻のクラミドモナス、陸生植物のシロイヌナズナ、及び進化的にその中間に位置するヒメツリガネゴケを用いて Red Edge と形態・光合成機能の関係を調べる光合成活性の測定:クラミドモナス用に開発した分光光度計を改良して 3種の光合成活性を測定する。

吸光度測定

Iwai et al. (2010) Nature

クロロフィル蛍光測定

Takizawa et al. (2009) Photosynthesis Research

Page 35: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

補足スライド:テーマ B

Page 36: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

背景1• なぜ近赤外で低温度星のトランジット観測か?

– 低温度星は小さいので地球型惑星のトランジットも地上から検出可能(減光率 1%オーダー) -> 地球型惑星にもっとも手が届きやすいのが低温度星

– 低温度星は可視では暗いが、近赤外では~ 5等 (100

倍 ) 程度明るくなる → 近赤外の方が測光精度が高い– そのため低温度星まわりのトランジット地球型惑星探

しは近赤外での観測が重要になる

Page 37: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

背景2• なぜ低温度星のトランジットが注目されているか?

– 低温度星はハビタブルゾーンが主星に近く、ハビタブルな惑星のトランジット確率が高い

– 公転周期が短いので発見の確認や追観測にかかる時間が短い

– トランジット惑星は多くの派生サイエンスがあり、 TMT やSPICA の時代に最も注目されるターゲット

– そのため特に太陽系近傍の低温度星まわりの(ハビタブルな)トランジット惑星探しとそのフォローアップ観測は、今後系外惑星観測のひとつの主流になると期待される

Page 38: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

補足スライド:テーマ C

Page 39: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

地球のスペクトル

• 地球は可視光では太陽の反射光により輝く。

• 赤外線では自身の熱放射により   輝く。

1Jy=10-23erg/s/cm2/Hz

0.1 1.0 10.0 100波長( µm )

強度

(Jy

太陽

地球

CO2O3CH4

H2OO2

H2O

10-10

10-8

10-6

10-4

10-2

100

102

Page 40: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

惑星直接観測のための条件

• 主星のハローに埋もれた惑星光を観測。

• 主星のハローだけを選択的に低減させる特殊な装置、コロナグラフが必要。

木星型惑星地球型惑星

主星からの離角(秒角)

主星の回折像

主星のハロー1.E-02

1.E-06

1.E-10

0.04 0.080.0コ

ントラ

スト

ハロー低減

ハロー低減後

コントラスト:主星と惑星との強度比

Page 41: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

コロナグラフとは?

サイエンスカメラ

遮蔽版(マスク)

中心に穴の空いたマスク

望遠鏡(主鏡)

惑星恒星

役割:恒星の光だけを    選択的に低減

役割:回折によって透過した 恒星の光を遮る

○ 主星からの光だけを選択的に低減。○ 惑星光だけを取り出す。

サイエンスイメージ

主星の光はマスクによって隠される

Page 42: 低温度星まわりの生命居住可能惑星における 植物特性の考察とその観測に 向けて 【 実績報告 】

SEIT の観測方式

○ 要求仕様: 回折限界で 10 の 8桁の高いコントラスト 新しい観測方式を提案 (松尾他 2011 ) ポイントは、地球大気による波面の乱れを補償光学なしで 完璧に補正するできること!○ シミュレーションにより要求仕様を満たすことを確認

シミュレーション結果

回折限界

主星とのコントラスト8桁