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生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

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生体情報を用いた       「楽しさ」の評定. 文京 学院大学 ゲーム心理学研究会. 自己紹介. 長野 祐 一郎  学位:博士 ( 心理学 ). 文京学院大学人間学部心理学科 助教. 専門領域は、精神生理学、健康心理学、感情心理学. 1991 ~ 1996. 上智大学文学部心理学科. バイオフィードバック. 1997 ~ 1998. 早稲田大学人間科学研究科. ストレス負荷時の心臓血管反応. 早稲田大学文学研究科 / 札幌 医科大学心理学教室. 1998 ~ 2003. 対人ストレスによる心臓血管反応. 2005 ~現在. 文京学院大学人間学部. - PowerPoint PPT Presentation

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Page 1: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

生体情報を用いた      「楽しさ」の評定

文京学院大学 ゲーム心理学研究会

Page 2: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定
Page 3: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

長野 祐一郎  学位:博士 ( 心理学 )

文京学院大学人間学部心理学科 助教

1991 ~ 1996 上智大学文学部心理学科 バイオフィードバック1997 ~ 1998 早稲田大学人間科学研究科 ストレス負荷時の心臓血管反応1998 ~ 2003 早稲田大学文学研究科 / 札幌医科大学心理学教室 対人ストレスによる心臓血管反応2005 ~現在 文京学院大学人間学部 各種対人場面での心臓血管反応

専門領域は、精神生理学、健康心理学、感情心理学

自己紹介

Page 4: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

研究紹介 1-1競争型鏡映描写課題における心臓血管反応

目的 鏡映描写課題において競争が心臓血管系にもたらす影響を検討する。

方法 男子大学生 32 名(競争群 16 名、単独群 16 名)

安静(単独 /4 分)

練習 - 前半(単独 /8 分)

安静(単独 /4 分)

本課題(競争 /4 分)

安静(単独 /4 分)

練習 - 前半(単独 /8 分)

安静(単独 /4 分)

本課題(単独) /4 分単独群

競争群

練習 本課題競争相手

自分

・本課題時、競争群の PC は互いに接続され、相手カーソルの現在位置を知る事ができた。勝敗が一周ごとに決定され、勝率が星型の中央部に表示された。

・被験者と競争相手は、同一の机に 90 度の角度で着席し、お互いの表情を確認で きた。競争相手は実験者が用意したサクラであり、「どちらが勝つかわからない」状態を維持するように努めた。

被験者

競争相手

PC-1

PC

-2Hub100Base-T

Page 5: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

研究紹介 1-2

-5

0

5

10

15

20

25

HR(bpm)

CO(%)

TPR(%)

SBP(mmHg)

DBP(mmHg)

single groupcompetitive group

-5

0

5

10

15

20

25

HR(bpm)

CO(%)

TPR(%)

SBP(mmHg)

DBP(mmHg)

single groupcompetitive group

練習 本課題

・競争状況の導入により、本来血管優位の鏡映描写課題においても、明確な心臓優位型反応が生じた。

・競争という社会的要因は、主として心臓反応の増大を介して、血圧上昇に寄与する。

・従来の研究と同様に、鏡映描写は血管優位の反応を生じた。

長野祐一郎 2004 競争型鏡映描写課題における心臓血管反応  生理心理と精神生理学 , 22, 237-246.

Cha

nges

from

bas

elin

e

Page 6: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

研究紹介 2-1

被験者

PC

・評価は、「早い - 遅い」「賢い - 愚かな」「慎重な - 不注意な」等の、個人の資質の評価を想定させる形容詞対を用いて行われた。

評価的観察がストレス課題中の心臓血管反応におよぼす影響

目的 暗算・鏡映描写を用い、社会評価が心臓血管反応に与える影響を検討する。

方法 被験者:女子大学生 20 名

暗算評価あり

暗算評価なし

鏡映描写評価あり

鏡映描写評価なし

手続き:

・評価条件では、一人が課題を行い、残りの 4名は被験者の背後に立ち、被験者の課題遂行を観察し、評価を行った。

評価者 評価者 評価者 評価者

Page 7: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

-5

0

5

10

15

20

HR(bpm)

CO(%)

TPR(%)

SBP(mmHg)

DBP(mmHg)

暗算 - 評価あり暗算 - 評価なし鏡映描写 - 評価あり鏡映描写 - 評価なし

Cha

nges

from

bas

elin

e

研究紹介 2-2

・評価的観察は、課題の種類にかかわらず、心臓血管反応を心臓側へシフトさせる。

・評価的観察は、課題の種類にかかわらず、血圧を上昇させる。

・暗算課題は心臓優位型、鏡映描写課題は血管優位型を示す傾向にある。

COTPR

長野祐一郎 2005 評価的観察が精神課題遂行中の心臓血管反応に与える影響  心理学研究 , 76, 252-259.

Page 8: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

研究紹介 3-1サポート的他者の存在が暗算課題中の心臓血管反応に与える影響

目的サポート的他者の存在が、暗算課題中の血行力学的反応にあたえる影響を検討する。

方法男子大学生 20 名が、サポート群、非サポート群に半数ずつわりあてられた。すべての被験者は、 5 分間の安静期の後、 5分間の連続引き算課題を行った。

被験者

実験者

友人

・友人は被験者の課題遂行を観察できないよう被験者と 90 度の向きで着席し、さらにヘッドフォンを装着し、クロスワードパズルを遂行した。

・サポート群は、サポート的他者として友人を同伴し、実験に参加した。

Page 9: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

研究紹介 3-2

・サポート的他社の存在は、課題中の SBP 、 DBP の上昇を軽減した。

・血圧の上昇緩和は、主として TPR の減少(血管抵抗の低下)によってもたらされたものと考えられた。

HR(bpm)

CO(%)

TPR(%)

SBP(mmHg)

DBP(mmHg)

non-supportsupport

Cha

nges

from

bas

elin

e友人の存在は 血圧上昇を緩和

血管抵抗   の減少

長野祐一郎・児玉 昌久 2005 支援的他者の存在が心臓血管反応に与える影響  生理心理学と精神生理学 , 197-205.

0

5

10

15

20

25

30

Page 10: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

Lacey らの環境の取り入れ /拒

否モデル

決定因として想定する「注意」は,刺激の物理的特性(たとえば,どの程度視覚的注意を伴うか等)により決定される.

Obrist らの能動 /受動対処モデル

決定因として想定する「コン ト ロ ー ル の有無」は,主として実験状況(反応 -成果の随伴性)により規定されるが,主観的コントロールの存在も想定している.

Blascovich らの脅威 /挑戦モデル

決定因として想定する「認知的評価」は,環境要求と個人の資源の比をどのようにとらえる か に よ り 決 定 さ れる.

環境刺激の影響を重視             被験者の内的過程を重視

心臓血管反応の説明を試みるモデル

対人場面を考慮したモデルを構築する

Page 11: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定
Page 12: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

導入

生理心理学の様々な研究から得た知見を               社会にフィードバックしたい・・・

生理心理学は科学として   エンタテインメント産業にどのように貢献できるか?

ゲーム・映画などのコンテンツは   個人の経験をたよりに闇雲に作成している実態・・・莫大な制作費が必要となるコンテンツ開発に、上記のようなリスクを野放しにしておいて良いのか??

各種エンタテインメントのもたらす     「楽しさ」の定量的な評定が必要!

Page 13: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

各種生理指標・行動指標を用いて、コンピュータ・エンタテインメントの             「楽しさ」を客観的に評価することを目的にした研究会

1.エンタテインメント体験時の生体反応変化に関する基礎的知見を得ること2.エンタテインメントの楽しさを客観的に評価する手法を確立すること3. 生体情報計測を取り入れた新しいエンタテインメントを提案すること

文京学院大学ゲ-ム心理学研究会

コンピュータエンタ・テインメント ( ゲーム )の    ポジティブな側面を科学的に示してゆきたい!

Page 14: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

研究例の紹介

3.ホラーゲーム時の生体反応 (2010)

1. 対戦アクションパズルゲーム時の生体反応 (2009)2. 対戦格闘アクションゲーム時の生体反応 (2010)

4. 対人要因がゲーム中の飽きに及ぼす影響 (2011)5. ゲーム中のボタン押し行動が生体反応に与える影響 (2011)6. 対戦相手の存在感が生体反応に与える影響 (2011)・・・

Page 15: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

指標解説 皮膚伝導(SC) 感情変化に伴う発汗活動(精神性発汗)を反映。うそ発見に用いられる。主として交感神経の働きを反映した指標で、やる気、集中、各種感情の変化に対応して上昇する傾向がある。皮膚血流(BF)

 皮膚表面の血流量をレーザードップラー方式でとらえたもの。交感神経活動に伴う末梢血管収縮を反映する。緊張・不安が生じると、外傷時の出血によるダメージを緩和するために、皮膚表面の血管が収縮し、血流が減少すると考えられている。

心拍数(HR) 一分間あたりの心臓の拍動回数。交感 /副交感神経双方の影響を受ける。競争や他人からの評価をうける場面では大きく増加するが、集中したり、周囲への注意を高めたりすると減少することもある。

Page 16: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

対戦アクションパズルゲーム   「スーパーボンバーマン 3 (HUDSON SOFT )」

マップ上に爆弾を置いて、爆風で対戦相手をやっつけるパズル要素の強い対戦アクションゲーム。スーパーファミコン用で、ロングセラーシリーズのため、経験者が多く計測しやすい。画面はシンプルだが対戦が熱く、感情の変化が大きい。

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6

8

10

12

14

16

18

20

単独CPU対

対人

(μS)前安静 課題 後安静

N=41

アクションパズルゲーム中の皮膚伝導 (SC) の変化

1 2 3 4( 分 )

単独は壁を崩してアイテムをとるだけの条件。対 CPU 、対人は、 CPU もしくは友人を相手に対戦を行う条件。ゲーム開始直後 (1分 ) から急激な上昇が見られ、その変化の度合いは対人プレイにおいて一番大きい。プレイ後は、徐々に低下する。

Page 18: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

15

20

25

30

35

40

単独CPU対

対人

(ml/100g/m)

前安静 課題 後安静

N=41

アクションパズルゲーム中の血流量 (BF) の変化

1 2 3 4( 分 )

ゲーム開始直後から急激な下降が見られ、その変化の度合いは対人プレイにおいて一番大きい。プレイ後は、徐々に上昇し回復する。

Page 19: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

70

75

80

85

90単独

CPU対対人

(bpm)

前安静 課題 後安静

N=41

アクションパズルゲーム中の心拍数 (HR) の変化

1 2 3 4( 分 )

ゲーム開始後徐々に上昇し、中盤で最大になる。その変化の度合いは対人・対 CPU で大きく、単独では少ない。対人と対 CPU は明確な差が見られない。→対人ならではの楽しさは HR では測れない可能性?

Page 20: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

主観感情と生体反応の関係の検討PA 、 NA 、 CA( 主観感情 ) および、 SC 、 BF 、 HR ( 生体反応 ) に関して安静期から課題期への変化量を求め各指標の変化量の相関を条件ごとに算出した。

表  S 条件における主観感情と生体反応の相関行列

*は、 p<.05 であることを示す

表  C 条件における主観感情と生体反応の相関行列

PA -HRCA-BF 正の相関

・生理指標と心理指標の相関

NA-CA 負の相関

・心理指標どうしの相関

・生理指標どうしの相関 有意な相関は認められなかった*は、 p<.05 であることを示す

PA -BFNA-BF 負の相関

・生理指標と心理指標の相関

NA-CA 負の相関

・心理指標どうしの相関

CA-BF 正の相関

・生理指標どうしの相関 有意な相関は認められなかった

PA NA CA SC HR BFPA 1. 00NA . 18 1. 00CA - . 11 - . 36* 1. 00SC . 23 . 03 . 29 1. 00HR . 25 - . 06 . 00 . 03 1. 00BF - . 33* - . 40* . 41* - . 05 - . 13 1. 00

PA NA CA SC HR BFPA 1. 00NA . 06 1. 00CA - . 14 - . 51* 1. 00SC . 20 - . 28 . 14 1. 00HR . 33* . 08 - . 08 . 07 1. 00BF . 21 - . 06 . 40* - . 14 - . 26 1. 00

Page 21: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

表  V 条件における主観感情と生体反応の相関行列

・生理指標と心理指標の相関

NA-CA 負の相関

・心理指標どうしの相関

CA-BF 正の相関

・生理指標どうしの相関 有意な相関は認められなかった

3 条件をあわせて

・心理指標と生理指標の関係は、 S 条件で多くみられ、 S>C>V の順で関係性は希薄になっていくように見受けられた。

・ CA と BF の正の相関は、 3 条件を通してみられ、 CA が低くなるほど BF は下がるという関係性は条件をとおして一貫していた。

・ PA と CA の負の相関も、 3 条件を通して一貫してみられた。

*は、 p<.05 であることを示す

PA NA CA SC HR BFPA 1. 00NA - . 01 1. 00CA - . 14 - . 55* 1. 00SC . 20 - . 09 . 02 1. 00HR . 05 . 12 - . 27 - . 04 1. 00BF - . 13 - . 05 . 31* - . 13 - . 02 1. 00

Page 22: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

対戦格闘アクションゲーム「 Street Fighter IV(CAPCOM) 」

PS 3 用対戦格闘アクションゲーム。ロングセラーシリーズであるため、経験者が多く計測しやすい。背景・キャラクタともに高解像度で作りこまれ、キャラクタの表情やしぐさなどの表現も豊かであるため、感情移入しやすい。

Page 23: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

10

15

20

25

単独対 CPU対人

(μS)

前安静 課題 後安静

1 2 3 4( 分 )

格闘アクションゲーム中の皮膚伝導 (SC) の変化

単独はひとりで必殺技の練習を行う件。対 CPU 、対人は、 CPU もしくは友人を相手に対戦を行う条件。ゲーム開始直後 (1 分 ) から急激な上昇が見られ、その変化の度合いは対人プレイにおいて一番大きい。プレイ後は、徐々に低下する。変化の速度 ( 立ち上がり ) 、変化量ともにパズルゲームより大きい。

N=40

Page 24: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

10

12

14

16

18

20

22

単独対 CPU対人

(ml/100g/m)

前安静 課題 後安静

1 2 3 4( 分 )

格闘アクションゲーム中の血流量 (BF) の変化

ゲーム開始直後から急激に下降し、対人プレイにおいてのみ低下した状態が維持された。プレイ後は、徐々に上昇した。

N=40

Page 25: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

75

80

85

90

95

100(bpm)

単独

対 CPU

対人

前安静 課題 後安静

1 2 3 4( 分 )

格闘アクションゲーム中の心拍数 (HR) の変化

N=40

ゲーム開始直後から急激に上昇し、変化の度合いは、対人 > 対CPU> 単独となった。変化の度合いは、パズルゲームより明らかに大きい。

Page 26: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

ホラーゲーム 「零 月蝕の仮面(任天堂 /テクモ)」

幽霊が出没する病院跡地をさまよい、霊を封じ込めることのできる射影機をたよりに謎をといていくWii用ホラーゲームソフト。 Wii のモーションコントローラを用いた直感的な操作体系が特徴。

Page 27: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

導入ムービー

「部屋に戻りなさい」

スピーカー

麻生記念館入口

麻生記念館入室

射影機

幽霊出現 ,射影機チュートリア

幽霊と格闘

エンディングムービー

ホラーゲーム

分析イベント一覧前安静

後安静

Page 28: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

6

810

12

1416

18

20

22

2426

前安

導入

ムービ

「部屋

にも

どり

なさ

い」

スピ

ーカ

麻生記念館

入口

麻生記念館

入室

射影機

幽霊出

現・

チュー

トリア

幽霊

と格闘

エン

ドム

ービ

後安

N= 25

(μS)

******

*

ホラーゲーム中の皮膚伝導 (SC) の変化

約 20 分間のプレイ時間中に、感情の変化は二山構造を示す。最初の病院探索時の恐怖と、幽霊に襲われた時の恐怖の双方を反映。

Page 29: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

150

200

250

300

350

400

前安

導入

ムービ

「部屋

にも

どり

なさ

い」

スピ

ーカ

麻生記念館

入口

麻生記念館

入室

射影機

幽霊出

現・

チュー

トリア

幽霊

と格闘

エン

ドム

ービ

後安

N= 25

(ml/100g/min)

******

ホラーゲーム中の血流量 (BF) の変化

SC 同様、病院探索の恐怖と、幽霊の恐怖の双方を反映するが、概して下がりっぱなしの傾向にある。

Page 30: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

70

75

80

85

90

前安

導入

ムービ

「部屋

にも

どり

なさ

い」

スピ

ーカ

麻生記念館

入口

麻生記念館

入室

射影機

幽霊出

現・

チュー

トリア

幽霊

と格闘

エン

ドム

ービ

後安

N= 25

(bpm)

** ****

ホラーゲーム中の心拍数 (HR) の変化

SC ・ BF とは異なり、幽霊と戦う際の恐怖のみを反映する。探索時は、明確な変化が見られない。

Page 31: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

対人要因がゲーム中の「飽き」に及ぼす影響の検討( レースゲーム 「スーパーファミコン版 マリオカート」 )

 ゲームの販売成績には、楽しさと同時に「飽きにくさ」も重要。そこで、

  1.各種生理指標に「飽き」がどのように反映されるか  2. 対人要因 ( 他者との競争 ) が、「飽き」にどのように影響するか

              を、皮膚伝導、末梢血流、心拍数を用いて検討した。

Page 32: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

レースゲーム中の皮膚伝導 (SC) の変化

7

9

11

13

15

17

19

21

1回目

2回目

3回目

7

9

11

13

15

17

19

21

1回目

2回目

3回目

(μS)

前安静 課題 後安静

(μS)

前安静 課題 後安静

単独でプレイすると、繰り返しに応じて SC の反応は減弱してゆく。しかし、競争場面では SC は減弱せず、なおかつ課題後半まで維持される。

単独 競争

→競争状況の導入は「飽き」を防ぎ、     個々のゲーム内容をより楽しいものへ変える可能性

N= 30 N= 31

Page 33: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

0

5

10

15

20

25

30

1回目

2回目

3回目

0

5

10

15

20

25

30

1回目

2回目

3回目

レースゲーム中の血流量 (BF) の変化

(ml/100g/min)

前安静 課題 後安静

(ml/100g/min)

前安静 課題 後安静

単独 競争

SC 同様、単独プレイ時には BF の反応は減弱してゆく。一方、競争時はそのような傾向は見られず、なおかつ BF低下は                            課題後半まで維持される。

N= 30 N= 31

Page 34: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

65

70

75

80

85

901回目

2回目

3回目

65

70

75

80

85

901回目

2回目

3回目

レースゲーム中の心拍数 (HR) の変化

(bpm)

前安静 課題 後安静

(bpm)

前安静 課題 後安静

単独 競争

HR の変化量は、明らかに競争時に大きい。単独条件では、繰り返しによる HR 反応の減弱が認められるが、   競争状況では、そのような傾向は比較的少なく、            なおかつ HR 上昇は課題後半まで維持される傾向にある。

N= 30N= 31

Page 35: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

ゲーム中のボタン押し行動が生体反応に与える影響

LED点滅装置

LED の点滅スピードを 3段階に調節  High ・・・ 300ms 間隔   Midium ・・・ 500ms 間隔  Low ・・・ 1000ms 間隔

実験参加者は、三段階 (L ・ M ・ H) のボタン押し課題 + ゲーム課題 ( ストリートファイター 4) の計 4セットを行った ( 安静 1 分、課題 2 分 ) 。

ボタン押し課題時、実験参加者はLEDの点滅に合わせボタンを押すように教示された。

加速度センサー装着の様子

ゲーム中の激しいボタン押しは、各種生理指標に影響しているのでは?

→ゲーム中の指の加速度を測定し、ボタン押しが生じる生体反応を個別に検討

Page 36: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

安静期後半 30秒を基準とした変化量は、 ST4>butL,butM,butH となり、 ST4 の HR はボタン押しの 3 課題と比較して明らかに高い値を維持した。

70

75

80

85

90

95

100ST4

butH

butM

butL

(bpm)

安静から各課題にかけての HR の推移

Hear

t Rat

e

安静 課題

ボタン押しおよびゲーム課題中の心拍数 (HR) の変化

N= 24

Page 37: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

8

12

16

20

24

ST4

butH

butM

butL

(μS)

安静から各課題にかけての SC の推移

 安静期からの変化量は、 ST4 > butL,butM,butH となり、ゲーム中のSC 上昇は各ボタン押しに比べ明らかに大きかった。

Skin

Con

duct

ance

安静 課題

ボタン押しおよびゲーム課題中の皮膚伝導 (SC) の変化

N= 24

Page 38: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

5

10

15

20

25

ST4

butH

butM

butL

(ml/100g/min)

 安静から課題にかけて BF は下降した。安静期を基準とした変化量は、ST4>butL,butM,butH となり、ゲーム中の BF下降はボタン押しに比べ有意に大きかった。

安静から各課題にかけての BF の推移

Bloo

d Fl

ow

安静 課題

ボタン押しおよびゲーム課題中の血流 (BF) の変化

N= 24

Page 39: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

対戦相手の存在感が生体反応に与える影響

他者の空間的な存在 ( いわゆる Presence) の影響の検討が必要!

CPU よりも人との対戦が楽しく、生理反応が大きいのは、対戦相手が実際に隣にいる影響が大きな要因ではないのか??

スクリーン

CPU 条件 (C 条件 )CPU と対戦

スクリーン

実パーテショ

パーテーション条件 (P 条件 )パーテーション越しの相手と対戦

スクリーン

対人条件 (V 条件 )隣にいる相手と対戦

課題は、 Playstation3版 ストリートファイターⅣ (CAPCOM製 ) を使用。Presence の異なる 3 条件を設定した。ただし、実際はすべて CPU と対戦させた

Page 40: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

条件毎の SC の推移

(μS)

各条件における SC の推移

(sec)

 過去の計測事例と同様に、プレイ中 SC は顕著に上昇したが、上昇の程度は約 5μS であり、少ない傾向にあった ( 前回の測定時は 10μS程度上昇 ) 。

  SC変化の大きさは、 V 条件 >P 条件 >C 条件であるように見受けられたが、統計的に有意ではなかった。

N= 38

Page 41: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

条件毎の BF の推移

(ml/100g/min)

(sec)

34

各条件における BF の推移

 過去同様に、プレイ中 BF は顕著に低下したが、下降した血流は過去の研究ほど維持されない傾向であった。

  BF の低下度合いは、 V 条件 >P 条件 >C 条件であるように見受けられたが、統計的に有意な差はなかった。

N= 38

Page 42: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

条件毎の HR の推移

(bpm)

(sec)

33

各条件における HR の推移

 過去同様に、プレイ中 HR は上昇したが、上昇の程度は約 8bpm程度であり、過去の計測事例 (+15bpm) より少なかった。

  HR 上昇の度合いは、 V 条件 >P 条件 >C 条件であるように見受けられたが、統計的に有意な差はなかった。

N= 38

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今後の計画

・簡便なゲームの「楽しさ評価」システムの開発                 ( ソフトウェア・ハードウェア )

・ゲーム中の生体反応フィードバックが            感情体験におよぼす影響の検討

・より広い範囲のゲームジャンルの測定         (RPG ・スポーツ・恋愛シミュレーションなど )

・体感アトラクションの測定

・ゲーム経験測定尺度の開発

・より多彩な対人場面での測定                 ( 競争だけでなく協力など )

Page 44: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

本研究は文京学院大学人間学部で行われました。

ご清聴ありがとうございました

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・・・

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研究協力の依頼

・研究参加者への謝礼

・実験補助者へのアルバイト代金

・測定環境の増強

Page 47: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

我々と共同研究をするメリット

・自律系生理指標の測定経験

・対人場面での計測経験が豊富

・マンパワー ( 研究会のメンバー )

・研究の継続性

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以下倉庫

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心臓血管反応の説明を試みるモデル1

  Obrist らによる能動的対処 vs受動的対処モデル

心臓血管反応は被験者が環境に対し どの程度コントロールを持つかによって規定される.

努力次第で状況を改善できる!

解決策がなく,ただ耐え つづけなければならない・・・(環境に対するコントロールをある程度持つ場

合)(環境に対するコントロールがない場合)

心拍数は増加し,  パタン1様の反応を誘発

心拍数は減少し,  パタン2様の反応を誘発

能動的対処 受動的対処

例:暗算課題は能動的対処で寒冷昇圧課題は受動的対処

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環境

心臓血管反応の説明を試みるモデル2

  Lacey らによる環境の取り入れ vs拒否モデル

心臓血管反応を規定するのは被験者の環境への注意であると考えられている.

2378-7=・・・

環境

外界の出来事に注意をはらい,それをみつけようとする場合

認知的作業に邪魔な外界の出来事を積極的に無視もしくは拒否する場合

環境の取り入れ 環境の拒否

心拍数は増加心拍数は減少

例:ヴィジランス課題は環境の取り入れで暗算課題は環境の拒否

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心臓血管反応の説明を試みるモデル3

  Blascovich らによる脅威 vs挑戦モデル

心臓血管反応は task demand (課題の難易度などの環境要求)とresource (有効な対処方略を持っている等の個人の資源)の比によって規定される.

脅威 挑戦

task demand > resource resource > task demand状況は脅威と評価される 状況は挑戦と評価される

心臓側,血管側ともに反応亢進が        生じ血圧が大きく増大

心臓反応は増大するが,血管収縮が 減少するため,血圧の上昇は控えめ

同じ状況,刺激であっても,どのように評価するかは個人によって異なる.

Page 52: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

現在、実験で用いられている計測機器

自作の生体情報の測定機器。心電図と脈波と皮膚電位が計測できる。

測定用のプログラムがAVRマイコン Arduino の中に入っている。

Page 53: 生体情報を用いた       「楽しさ」の評定

現在、実験で用いられている計測機器

測定された生体情報は PC に送られ上記のように表示される。

心臓の速さ。深呼吸後に心臓がゆっくりに・・・

血管の収縮を示す緑のグラフ。心臓が一回収縮するごとに指の血流が変化。

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 これらの作品が芸術・娯楽たりうるのは、それら

が受け手に豊かな感情変化をもたらすからに他ならない。

 古典的な娯楽メディアであった絵画と音楽が統合されて映画という新しい芸術が生まれたように、コンピュータ・エンタテインメントは芸術・娯楽メディアの正統な進化型で、これからの娯楽文化の担い手で中心的役割を果たしていくことは間違いない。

 近年のコンピュータ・エンタテインメント作品

は、高品質かつ様々なモダリティを介したメディアに、さらに     インタラクティビティを加味した総合芸術である。

 これらがもたらす感情変化を正確に評価しようという試みは、学術的にも重要であると同時に、メディア製作者 ( ゲーム会社や映画会社 ) にとっても有意義なものとなると思われる。

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ゲーム、映画などのエンタテインメントの評価

それらにより生じる感情変化をとらえる作業

各種のアンケート、質問紙によって評価

各種の生理指標によって評価

ヒトは感情変化を潜在的に求めている・・・

→感情変化が顕著なものほど、優秀なエンタテインメントとなる

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生理指標は感情のバロメータになる!

怒っている! ・心拍数や血圧の増加・呼吸数の増加・気管支の拡張・筋肉の血管拡張・血糖の増加・瞳孔が開く・胃腸の活動抑制

緊急反応

感情の変化 自律神経系指標の変化

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感情は何によって決まる?

泣くから悲しい(ジェームズ=ランゲ説) 悲しいから泣く(キャノン=バード説)

シャクターの二要因説

主観感情の変化と生理反応はどちらが先なのか実は決着がついていない!

生理的変化は、状況判断に大きく影響している。

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恐怖体験の後は、   女性が魅力的に見える

→生体情報は,感情状態を把握する重要な手がかりとなっている!

実は主観的な感情は、それほど信頼できるものではない?

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人間は自分の感情を

正確に把握できない!!

つまり主観的な質問紙で楽しさを正確に評価するのは難しい?

生体情報を用いたほうが、     正確な評価となるのでは?

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生体情報で「楽しさ」を測ることのメリットは?

質問紙による調査は社会的な望ましさが反映されやすい (嘘がつける )欠点がある

→生理指標を用いると嘘がない反応が測れる

質問紙による調査はゲーム体験の総和として測られる

→時々刻々と変化する感情過程をモニターし続けることができる

→製作時に、投入したイベント、ゲームシステム等の効果を測定できる

ゲーム中の生理指標の変化は各ゲームイベントのインパクトを反映

→ゲームの売れ行きを数値として予測できる可能性

生体情報の反応量は、感情体験の強さ(楽しさ)を反映

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現在進行中の研究

生体情報を利用したゲームの「楽しさ評価」システムの開発  →適切な生体情報機器の選定、目的に即した使いやすいソフトウェアの開発

ゲーム中の生体反応のフィードバックが感情体験におよぼす影響の検討→任天堂

助け合うなど、対人過程にともなうポジティブな感情状態の測定→ KDDI 、 Sony

(全体としては )

ゲームのポジティブな側面を科学的にしめしてゆきたい!

他ジャンルゲームの測定(ロープレ・スポーツ・パズル・リズムアクション・育成など)

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