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平成 27 年度 地球温暖化対策技術普及等推進事業 インド・ナビムンバイでのスマートシティ開発における JCM 事業実施可能性調査報告書 -経済産業省 産業技術環境局 地球環境対策室・地球環境連携室 委託調査- 平成 28 3 一般財団法人 日本エネルギー経済研究所

インド・ナビムンバイでのスマートシティ開発にお … , 6.Satna , 7.Ujjain 2 Andhra Pradesh 1.Vishakhapatnam , 2.Tirupati , 3.Kakinada 20 Maharashtra 1.Navi Mumbai

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平成 27 年度 地球温暖化対策技術普及等推進事業

インド・ナビムンバイでのスマートシティ開発における

JCM 事業実施可能性調査報告書

-経済産業省 産業技術環境局 地球環境対策室・地球環境連携室 委託調査-

平成 28 年 3 月

一般財団法人 日本エネルギー経済研究所

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目次 はじめに:調査の概要 1 第 1 章 インドにおけるスマートシティ開発にかかる政策及び動向 2

1.スマートシティ開発に係る各種政策との関連性 2 2.各都市が実施するスマートシティの構成要素 9

第 2 章 インドにおけるスマートシティ開発にかかる政策を活用した事業化に向けた具体

的計画の検討 15 1.インドにおける類似した開発に関する情報収集 15 2.事業計画の策定 20 3.事業化のためのファイナンスの検討 45 4.リスク低減策の検討 56

第 3 章 事業化した場合に適用可能な排出削減方法論の検討、同方法論を用いた排出削減

見込量の試算 58 1.JCM プロジェクトで採用する技術の検討 58 2.適用可能な JCM-MRV の検討 58 3.排出削減見込量の試算 73 4.排出削減ポテンシャル 76

第 4 章 事業化した場合の経済効果及びインドへの影響の分析 78

1.スマートシティ開発計画の成功による経済効果の検討 78 2.JCM 化そのものによる経済効果の検討 79 3.インド全体の経済及びエネルギー需給に対する潜在的効果の検討 82

第 5 章 今後の事業化の課題及び将来の JCM 化に向けた成功要因や解決すべき課題:事業

の具体化に向けた課題の抽出 89 第 6 章 インドにおける JCM 及びスマートシティに関連する政策(低炭素技術・製品に関

する技術的基準や財政的支援策等)の提言 94 1.ナビムンバイにおける税制優遇措置、財政的支援策とインド他州及び新興国との

比較 94 2.ナビムンバイ及びインドに適した技術的基準の検討 101

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第 7章 インド政府関係者や企業等との JCM及びスマートシティに対する理解の増進や関

係強化のために必要な取組の実施 129

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はじめに:調査概要 調査目的 経済産業省はインド・マハラシュトラ州政府との間で、産業協力に関する覚書を署名(平

成 27 年 9 月 11 日)し、エネルギー効率に焦点を当てたナビムンバイ・スマートシティ開発

の実現可能性調査を実施・協力することを合意している。そのため、この覚書に基づき、

将来の JCM 化を目指した当該地域におけるスマートシティ化に向けた実態調査や関連する

新たな政策の提言、当該政策提言と連動した低炭素技術・製品の普及等に向けた事業スキ

ームの提案等を行うことで、JCM と優れた低炭素技術・製品の有用性を明らかにし、ナビ

ムンバイのスマートシティ事業の推進を通じた低炭素技術・製品の普及促進を図るととも

に、制度に関する二国間文書への署名に向けた理解の促進、及びインドに対する環境の持

続可能性の達成への我が国からの貢献に資することを目的とする。 調査内容 ナビムンバイにおけるスマートシティ計画の現況は、現時点では、①どういった産業が

進出するか不明、②どの程度の居住規模、どういった住宅構造になるか不明、③商業エリ

アの具体的姿は不明となっている。そのため、今後、当該地域における開発計画の構築に

向けて、具体的な JCM 事業やスマートシティ化の可能性を明らかにし、開発計画において

必要な要素を組み込むというアプローチが必要になる。 そこで本調査は、当該計画での JCM やスマートシティ化の可能性の明確化に向けて、以

下の項目の調査・検討を実施した。調査方法は文献調査、ヒアリング調査等によって行っ

た。 (1)インドにおけるスマートシティ開発にかかる政策及び動向調査 (2)インドにおける JCM 及びスマートシティに関連する政策(低炭素技術・製品に関す

る技術的基準や財政的支援策等)の提言 (3)事業化に向けた具体的計画の検討 (4)事業化した場合に適用可能な排出削減方法論の検討、同方法論を用いた排出削減見

込量の試算 (5)事業化した場合の経済効果及びインドへの影響の分析 (6)今後の事業化の課題及び将来の JCM 化に向けた成功要因や解決すべき課題 (7)インド政府関係者や企業等との JCM 及びスマートシティに対する理解の増進や関係

強化のために必要な取組の実施

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第 1 章 インドにおけるスマートシティ開発にかかる政策及び動向 1. スマートシティ開発に係る各種政策との関連性 1.1 スマートシティ 100 都市構想が立案されるまでの経緯 インドでは、2005 年 6 月に特別経済特区法(SEZ 法:Special Economic Zone act)を制

定し、経済活性化を推進してきた。その後、2006 年 12 月には、日印共同事業として 6 州

にまたがる地域に貨物専用鉄道を敷設し、その周辺に経済特区を設定することで経済圏を

整備する「デリー・ムンバイ間産業大動脈(DMIC:Delhi-Mumbai Industrial Corridor)」構想が立ち上がり、工業団地、物流基地、商業施設の他、道路、発電所等のインフラ整備

に取り組んできた。DMIC 構想以外にも、デリー・コルカタ・チェンナイ・ムンバイの 4つの都市を高速道路でつなぐ「黄金の四角形(GQ:Golden Quadrilateral )」構想等の試

みも図られてきた。しかし実際には、インフラ整備が思うように進まず、機能しない特区

が目立つ結果となった。また、インドでは、年々都市人口が急増する一方、水や電力、都

市交通など基礎的な社会インフラの整備が求められている状況にある。 その中で、産業と都市のインフラ改善を目指し、2022 年までに国内 100 カ所にスマート

シティを構築する構想(以下、「スマートシティ 100 都市構想」)や、500 都市を対象にし

た都市再生計画「アタル・ミッション(Atal Mission for Rejuvenation & Urban Transformation)」構想(AMRUT 構想)等が打ち出された。 1.2 スマートシティ開発に係る各種関連政策 スマートシティ 100 都市構想やアタル・ミッション構想の他にも、特に 3 億 7,700 万人

(2011 年)から 6 億人(2031 年)に急増するとされる都市人口への対応を目的として、プ

ラダン・マントリ・アワズ・ヨジャナ(PMAY 構想)、スワッチ・バーラト・ミッション構

想(SBM 構想)などが導入されている。以下では、各政策について概要を記すとともに、

政策間の関連性について述べることにする。 ①スマートシティ 100 都市構想

2015 年 6 月にインド政府(都市開発省)は、スマートシティ 100 都市構想整備事業に向

けたガイドライン「Mission Statement & Guidelines」を公表した。そこでは、スマート

シティに関する明確な定義はないが、スマートシティを構成する要素として表 1.1.1 のよう

な事例を挙げている。同年の 8 月 27 日には、100 都市のうち 98 都市(ジャンヌカシミー

ル州の 1 都市とウッタルプラデシュ州 1 都市の 2 都市は候補から外れた)が整備候補都市

として選定された(表 1.1.2)。候補都市には 24 の州都の他、ビジネス・産業センターが 24都市、文化・環境地区が 18 都市、港湾地区が 5 都市、そして教育・ヘルスケア拠点が 3 都

市ある。 98 都市は都市開発計画を提出し、選考を経てスマートシティ整備対象に選定される。選

考は 3 回に渡って行われ、2016 年 8 月までに全選考が終了する予定となっている。

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表 1.1.1 スマートシティの構成要素

スマートソルーション 具体事例

(1) E-ガバナンスと市民サービス 電子サービスの提供、防犯など

(2) 廃棄物管理 エネルギー、燃料、堆肥、水、建築廃材など

(3) 水管理 スマートメーターによる測定・管理、漏水特定、水質管理など

(4) エネルギーマネジメント スマートメーターによる測定・管理、再生可能エネルギー

エネルギーの効率化、グリーンビルディングなど

(5) 都市交通 スマートパーキング、インテリジェント交通管理など

(6) その他 スマート医療、スマート教育、ベンチャー企業支援、

貿易促進センター、スキル開発センターなど

出典:都市開発省 Mission Statement & Guidelines1(2015.6 公表)

表 1.1.2 整備候補 98 都市(28 州、7 連邦直轄領)

1 http://smartcities.gov.in/writereaddata/SmartCityGuidelines.pdf

No 州名 都市名 No 州名 都市名

1 Andaman & Nicobar Islands

1.Port Blair 19 Madhya Pradesh 1.Bhopal , 2.Indore , 3.Jabalpur , 4.Gwalior , 5.Sagar , 6.Satna , 7.Ujjain

2 Andhra Pradesh 1.Vishakhapatnam , 2.Tirupati , 3.Kakinada 20 Maharashtra

1.Navi Mumbai , 2.Nashik , 3.Thane 4.Greater Mumbai , 5.Amravati , 6.Solapur 7.Nagpur , 8.Kalyan-Dombivali , 9.Aurangabad , 10.Pune

3 Arunachal Pradesh

1.Pasighat 21 Manipur 1.Imphal

4 Assam 1.Guwahati 22 Meghalaya 1.Shillong

5 Bihar 1.Muzaffarpur , 2.Bhagalpur , 3.Biharsharif 23 Mizoram 1.Aizawl

6 Chandigarh 1.Chandigarh 24 Nagaland 1.Kohima 7 Chhatisgarh 1.Raipur , 2.Bilaspur 25 Odisha 1.Bhubaneshwar , 2.Raurkela 8 Daman & Diu 1.Diu 26 Puducherry 1.Oulgaret

9 Dadra & Nagar Haveli

1.Dilvassa 27 Punjab 1.Ludhiana , 2.Jalandhar , 3.Amritsar

10 Delh 1.New Delhi Municipal Council 28 Rajasthan 1.Jaipur , 2.Udaipur , 3.Kota , 4.Ajmer 11 Goa 1.Panaji 29 Sikkim 1.Namchi

12 Gujarat 1.Gandhinagar , 2.Ahmedabad , 3.Surat 4.Vadodara , 5.Rajkot , 6.Dahod 30 Tamil Nadu

1.Tiruchirapalli , 2.Tirunelveli , 3.Dindigul , 4.Thanjavur , 5.Tiruppur , 6.Salem , 7.Vellore , 8.Coimbatore , 9.Madurai , 10.Erode 11.Thoothukudi , 12.Chennai

13 Haryana 1.Karnal , 2.Faridabad 31 Telangana 1.Greater Hyderabad , 2.Greater Warangal

14 Himachal Pradesh

1.Dharamshala 32 Tripura 1.Agartala

15 Jharkhand 1.Ranchi 33 Uttar Pradesh

1.Moradabad , 2.Aligarh , 3.Saharanpur , 4.Bareilly , 5.Jhansi , 6.Kanpur , 7.Allahabad , 8.Lucknow , 9.Varanasi , 10.Ghaziabad 11.Agra , 12.Rampur

16 Karnataka

1.Mangaluru , 2.Belagavi , 3.Shivamogga 4.Hubballi-Dharwad , 5.Tumakuru 6.Davanegere

34 Uttarakhand 1.Dehradun

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②アタル・ミッション構想(AMRUT 構想)

2014 年 5 月、500 都市を対象に都市再生計画「アタル・ミッション(Atal Mission for Rejuvenation & Urban Transformation)」構想(AMRUT 構想)が策定された。この計画

は、2005~2012 年の都市インフラ整備計画「ジャワハルラール・ネルー国家都市再生ミッ

ション」の後継として、主に上下水道の整備や都市交通の開発など市民サービスの向上を

中心に推進するものであり、スマートシティ開発の一面も有している。 インド政府(都市開発省)は、スマートシティ 100 都市構想と同様、この整備事業に向

けたガイドライン「Mission Statement & Guidelines」を 2015 年 6 月に公表した。アタル・

ミッション構想で想定される要素としては、表1.1.3に示す内容を挙げている。現時点では、

500 都市のうち 484 都市が整備対象として公表されている(表 1.1.4)。また、総事業費は 5年間で 5,000 億ルピー(約 8,250 億円 2)を計画している。

表 1.1.3 AMRUT 構想の構成要素

構成要素 具体例 (1)水供給 (ⅰ)上水道、水処理施設、一般計器設置

(ⅱ)上水道、水処理施設の改修 (ⅲ)飲料水や地下水の再利用 (ⅳ)供給難地域(丘、海岸沿いの都市)への供給

(2)下水処理施設 (ⅰ)地下下水道網 (ⅱ)老朽化下水システムと処理施設の改修 (ⅲ)下水の再利用

(3)腐敗槽汚泥管理 (ⅰ)費用効率の高い排泄物運搬管理 (ⅱ)下水道・浄化槽の機械、生物による浄化

(4)道路側溝 (ⅰ)洪水防止のための建設・改修 (5)都市交通 (ⅰ)運河用フェリー、バス

(ⅱ)歩道、橋の歩道、車を利用しない移動手段(自転車等) (ⅲ)多層式駐車場 (ⅳ)バス高速輸送システム(BRTS)

(6)環境配慮型スペース、 公園

(ⅰ)子どもに優しいスペース、公園

(7)キャパシティ ビルディング

(ⅰ)個人および企業向け (ⅱ)包括的キャパビル(CCBP)の継続

出典:都市開発省 Mission Statement & Guidelines3(2015.6 公表)

2 1 ルピー=1.65 円(H28.2.29 時点)で計算

3 http://amrut.gov.in/writereaddata/AMRUT%20Guidelines%20.pdf

17 Kerala 1.Kochi 35 West Bengal 1.New Town Kolkata , 2.Bidhannagar 3.Durgapur , 4.Haldia

18 Lakshadweep 1.Kavaratti

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表 1.1.4 整備対象 484 都市(アタル・ミッション構想)

No 州名 都市名

1 Andaman & Nicobar Islands

1.Port Blair

2 Andhra Pradesh

1.GVMC 2.Vijayawada 3.Guntur 4.Nellore 5.Kurnool 6.Kadapa 7.Rajahmundry 8.Kakinada 9.Tirupati 10.Anantapur 11.Vizianagaram 12.Ongole 13.Eluru 14.Nandyal 15.Machilipatnam 16.Adoni 17.Tenali 18.Proddatur 19.Chittoor 20.Hindupur 21.Bhimavaram 22.Madanapalle 23.Guntakal 24.Srikakulam 25.Dharmavaram 26.Gudivada 27.Narasaraopet 28.Tadpatri 29.Tadepalligudem 30.Chilakaluripet 31.Amravati

3 Arunachal Pradesh 1.Itanagar 4 Assam 1.Guwahati 2.Silchar 3.Dibrugarh 4.Nagaon

5 Bihar

1.Patna 2.Gaya 3.Bhagalpur 4.Muzaffarpur 5.Biharsharif 6.Darbhanga 7.Purnia 8.Arrah 9.Begusarai 10.Katihar 11.Munger 12.Chapra 13.Dinapur Nizamat 14.Saharsa 15.Hajipur 16.Sasaram 17.Dehri 18.Siwan 19.Bettiah 20.Motihari 21.Bagaha 22.Kishanganj 23.Jamalpur 24.Jehanabad 25.Buxar 26.Aurangabad

6 Chandigarh 1.Chandigarh 7 Chhatisgarh 1.Raipur 2.Bhilai Nagar 3.Korba 4.Bilaspur 5.Durg 6.Rajnandgaon 7.Raigarh 8.Jagdalpur 9.Ambikapur 8 Daman & Diu 1.Daman

9 Dadra & Nagar Haveli

1.Silvassa

10 Delh 1.North DMC 2.East DMC 3.South DMC 4.New Delhi Municipal Council (NDMC) 11 Goa 1.Panaji

12 Gujarat

1.Ahmadabad 2.Surat 3.Vadodara 4.Rajkot 5.Bhavnagar 6.Jamnagar 7.Junagadh 8.Gandhidham 9.Nadiad 10.Gandhinagar 11.Anand 12.Morvi 13.Mahesana 14.Surendranagar Dudhrej 15.Bharuch 16.Vapi 17.Navsari 18.Veraval 19.Porbandar 20.Godhra 21.Bhuj 22.Botad 23.Patan 24.Palanpur 25.Jetpur Navagadh 26.Valsad 27.Kalol 28Gondal 29.Deesa 30.Amreli 31.Dwarka 32.Guja

13 Haryana 1.Faridabad 2.Gurgaon 3.Rohtak 4.Hisar 5.Panipat 6.Karnal 7.Sonipat 8.Yamunanagar 9.Panchkula 10.Bhiwani 11.Ambala 12.Sirsa 13.Bahadurgarh 14.Jind 15.Thanesar 16.Kaithal 17.Rewari 18Palwal 19.Jagadhri 20.Ambala Sadar

14 Himachal Pradesh 1. Shimla 15 Jammu & Kashmir 1.Srinagar 2.Jammu 3.Anantnag 16 Jharkhand 1.Dhanbad 2.Ranchi 3.Deoghar 4.Adityapur 5.Hazaribag 6.Chas 7.Giridih 8.Jharkhand

17 Karnataka

1.BBMP 2. Hubballi-Dharwad 3.Mysore 4.Gulbarga 5.Mangaluru 6. Belagavi(Belgaum) 7.Davanagere 8.Bellary 9.Bijapur 10. Shivamogga 11.Tumakuru 12.Raichur 13.Bidar 14.Hospet 15.Gadag-Betigeri 16.Bhadravati 17.Robertson Pet 18.Chitradurga 19.Kolar 20.Mandya 21.Hassan 22.Udupi 23.Chikmagalur 24.Bagalkot 25.Ranibennur 26.Gangawati 27.Badami

18 Kerala 1.Thiruvananthapuram 2.Kochi 3.Kozhikode 4.Kollam 5.Thrissur 6.Alappuzha 7.Palakkad 19 Lakshadweep 1.Kavaratti

20 Madhya Pradesh

1.Indore 2.Bhopal 3.Jabalpur 4.Gwalior 5.Ujjain 6.Dewas 7.Satna 8.Sagar 9.Ratlam 10.Rewa 11.Murwara 12.Singrauli 13.Burhanpur 14.Khandwa 15.Morena 16.Bhind 17.Guna 18.Shivpuri 19.Vidisha 20.Mandsaur 21.Chhindwara 22.Chhatarpur 23.Neemuch 24.Pithampur 25.Damoh 26.Hoshangabad 27.Sehore 28.Khargone 29.Betul 30.Seoni 31.Datia 32.Nagda

21 Maharashtra

1.Greater Mumbai 2.Barshi 3.Pune 4.Yavatmal 5.Nagpur 6.Achalpur 7.Thane 8.Osmanabad 9.Pimpri Chinchwad 10.Nandurbar 11.Nashik 12.Wardha 13.Kalyan Dombivali 14.Udgir 15.Vasai-Virar City 16.Hinganghat 17.Aurangabad 18.Navi Mumbai 19.Solapur 20.Mira Bhayandar 21.Bhiwandi 22.Amravati 23.Nanded Waghala 24.Kolhapur 25.Ulhasnagar 26.Sangli-Miraj Kupwad 27.Malegaon 28.Jalgaon 29.Akola 30.Latur 31.Dhule 32.Ahmadnagar 33.Chandrapur 34.Parbhani 35.Ichalkaranji 36.Jalna 37.Ambarnath 38.Bhusawal 39.Panvel 40.Badlapur 41.Bid 42.Gondiya 43.Satara

22 Manipur 1.Imphal 23 Meghalaya 1.Shillong 24 Mizoram 1.Aizawl 25 Nagaland 1.Dimapur 2.Kohima

26 Odisha 1.Bhubaneswar Town 2.Cuttack 3.Brahmapur 4.Raurkela Town 5.Puri 6.Sambalpur Town 7.Baleshwar Town 8.Baripada Town 9.Bhadrak

27 Puducherry 1.Ozhukarai 2.Puducherry

28 Punjab 1.Ludhiana 2.Amritsar 3.Jalandhar 4.Patiala 5.Bathinda 6.Hoshiarpur 7.Batala 8.Moga 9.Pathankot 10.S.A.S. Nagar 11.Abohar 12.Malerkotla 13.Khanna 14.Muktsar 15.Barnala 16.Firozpur

5

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※網掛けはスマートシティ 100 都市構想整備候補都市(89 都市重複)

※下線はスマートシティ 20 都市選定都市(19 都市重複)

③プラダン・マントリ・アワズ・ヨジャナ(Pradhan Mantri Awas Yojana)(PMAY 構想) PMAY 構想は、「Housing for all(Urban)」から改名されたイニシアティブであり、2015年 7 月に住宅都市貧困緩和省からガイドライン「Scheme Guidelines」が公表された 4。こ

の計画では、2015 年から 2022 年までの期間において、貧困層やスラム街の住民を対象に

基礎的な設備を備えた住宅 2,000 万戸を都市に建設し、全ての市民が家を持つことを目標

としている。対象都市は、インドにおける全ての都市・町(4,041 ヶ所)(国政調査 2011で規定)となっている。PMAY 構想の構成要素として、基礎的な社会インフラ、水処理、

公衆衛生、電気供給などが挙げられる。また、主な補助政策としては、住宅ローン金利の

うち 6.5%が補助される。更に、財政的支援として、1 戸当たり 10 万~23 万ルピー(約 19~43 万円)の建設補助を受けることができる。 ④スワッチ・バーラト・ミッション構想(Swachh Bharat Mission)(SBM 構想)

SBM 構想は、都市における公衆衛生の改善を目的とした開発事業であり、2014 年 12 月

にガイドライン「Guidelines for Swachh Bharat Mission」が公表された。この計画は 2019

4 http://mhupa.gov.in/writereaddata/01_PMAY_Guidelines_English.pdf

29 Rajasthan

1.Jaipur 2.Jodhpur 3.Kota 4.Bikaner 5.Ajmer 6.Udaipur 7.Bhilwara 8.Alwar 9.Bharatpur 10.Sikar 11.Pali 12.Ganganagar 13.Tonk 14.Kishangarh 15.Hanumangarh 16.Beawar 17.Dhaulpur 18.Sawai Madhopur 19.Churu 20.Gangapur City 21.Jhunjhunun 22.Baran 23.Chittaurgarh 24.Hindaun 25.Bhiwadi 26.Bundi 27.Nagaur 28.Sujangarh

30 Sikkim 1. Gangtok

31 Tamil Nadu

1.Chennai 2.Coimbatore 3.Madurai 4.Tiruchirappalli 5.Salem 6.Tirunelveli 7.Ambattur 8.Tiruppur 9.Avadi 10.Tiruvottiyur 11.Thoothukkudi 12.Nagercoil 13.Thanjavur 14.Pallavaram 15.Dindigul 16.Vellore 17.Tambaram 18.Cuddalore 19.Alandur 20.Kancheepuram 21.Erode 22.Tiruvannamalai 23.Kumbakonam 24.Rajapalayam 25.Kurichi 26.Madavaram 27.Pudukkottai 28.Hosur 29.Ambur 30.Karaikkudi 31.Nagapattinam 32.Velankanni

32 Telangana 1.Khammam 2.GHMC 3.Warangal 4.Nizamabad 5.Karimnagar 6.Ramagundam 7.Mahbubnagar 8.Nalgonda 9.Adilabad 10.Suryapet 11.Miryalaguda

33 Tripura 1.Agartala

34 Uttar Pradesh

1.Lucknow 2.Budaun 3.Kanpur 4.Banda 5.Ghaziabad 6.Lakhimpur 7.Agra 8.Hathras 9.Meerut 10.Lalitpur 11.Varanasi 12.Modinagar 13.Allahabad 14.Deoria 15.Bareilly 16.Pilibhit 17.Moradabad 18.Hardoi 19.Aligarh 20.Mainpuri 21.Saharanpur 22.Etah 23.Gorakhpur 24.Basti 25.Firozabad 26.Chandausi 27.Loni 28.Gonda 29.Jhansi 30.Akbarpur 31.Muzaffarnagar 32.Khurja 33.Mathura 34.Azamgarh 35.Shahjahanpur 36.Ghazipur 37.Rampur 38.Mughalsarai 39.Maunath Bhanjan 40.Sultanpur 41.Farrukhabad-cum-Fatehgarh 42.Shikohabad 43.Hapur 44.Shamli 45.Etawah 46.Ballia 47.Mirzapur-cum-Vindhyachal 48.Baraut 49.Bulandshahar 50.Kasganj 51Sambhal 52.Amroha 53.Fatehpur 54.Rae Bareli 55.Orai 56.Bahraich 57.Jaunpur 58.Unnao 59.Sitapur 60.Faizabad

35 Uttarakhand 1.Dehradun 2.Hardwar 3.Haldwani-cum-Kathgodam 4.Rudrapur 5.Kashipur 6.Roorkee

36 West Bengal

1.Kolkata 2.Balurghat 3.Haora 4.Habra 5.Durgapur 6.Jamuria 7.Asansol 8.Bankura 9.Siliguri 10.North Barrackpur 11.Maheshtala 12.Raniganj 13.Rajpur Sonarpur14.Nabadwip 15.South Dum Dum 16.Basirhat 17.Rajarhat Gopalpur 18.Halisahar 19.Bhatpara 20.Rishra 21.Panihati 22.Ashoknagar Kalyangarh 23.Kamarhati 24.Baidyabati 25.Barddhaman 26.Puruliya 27.Kulti 28.Kanchrapara 29.Bally 30.Darjiling 31.Barasat 32.Titagarh 33.North Dum Dum 34.Dum Dum 35.Baranagar 36.Champdani 37.Uluberia 38.Bongaon 39.Naihati 40.Khardaha 41.Bidhan Nagar 42.Jalpaiguri 43.Kharagpur44.Bansberia 45.English Bazar 46.Bhadreswar 47.Haldia 48.Kalyani 49.Madhyamgram 50.Baharampur 51.Raiganj 52.Serampore 53.Hugli-Chinsurah 54.Medinipur 55.Chandannagar 56.Uttarpara Kotrung 57.Krishnanagar 58.Barrackpur 59.Santipur

6

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年 2 月まで実施され、屋外排泄の根絶やゴミ処理の改善、地方自治体による固形廃棄物処

理の推進、そして公衆衛生の意識向上を目的とした取り組みを対象としている。インドの

全 4,041 都市・町が対象となる。ガイドラインでは、以下の構成要素が挙げられている。(表

1.1.5)

表 1.1.5 SBM 構想の構成要素 No. 構成要素

1 家庭用トイレ(注水式水洗便所への転換含む)、共同体トイレ、公衆トイレ 2 固形廃棄物処理 3 公衆衛生についての大衆意識向上 4 キャパビル、事務管理

出典:都市開発省 Guidelines for Swachh Bharat Mission5(2014.12 公表)

その他の関連政策として、12 の都市を対象として、遺産都市の保護や観光による都市の

発展を目的とした Heritage City Development & Augmentation Yojana (HRIDAY)がある

が、HRIDAY とナビムンバイとの関連性は低いと思われる。

表 1.1.6 スマートシティ開発に関連する政策の変遷まとめ 政 策 名 制定年度 概 要

黄金の四角形構想 (GQ: Golden Quadrilateral) 1998 ・主要 4 都市(デリー・コルカタ・チェンナイ・ムンバイ)間の

道路整備構想。

国道整備計画 (NHDP: National Highway Development Project ) 1999 ・GQ・南北道路・東西道路の整備。

・既存国道の 2 車線化・4 車線化・6 車線化。

特別経済特区法 (SEZ: Special Economic Zone act ) 2005.6 ・特区による経済活性化やインフラ等の開発。

デリー・ムンバイ間産業大動脈構想 (DMIC: Delhi-Munbai Industrial Corridor ) 2006.12

・6 州(ハリヤナ州、ウッタルプラデシュ州、ラジャスタン州、マ

ディヤプラデシュ州、グジャラート州、マハラシュトラ州)に

またがる地域に貨物専用鉄道(DFC)を敷設し、その周辺に経

済特区を設定することで経済圏を整備。 ・特区では、工業団地、物流基地、商業施設、道路、発電所等の

インフラを整備。

チェンナイ・バンガロール間産業回廊構想 (CBIC: Chennai-Bengaluru Industrial Corridor ) 2011

・タミル・ナド州チェンナイとカルナカタ州バンガロール間の道

路を整備し、その周辺の経済圏を整備。 ・なお、タ州では、政策方針「Vision Tamil Nadu 2023」(2012.3)

の基、道路整備、電力・水の供給等を行う「タミル・ナド州投

資促進プログラム(TNIPP)」がある。

スマートシティ 100 都市構想 2014.5

・2022 年までに国内 100 ヵ所にスマートシティを構築。 ・モディ政権の「Make in India」(インドを国際的な製造業のハ

ブにするため投資促進計画)の受け皿づくりの一環。 ・都市開発省がスマートシティ整備事業に向けたガイドライン

「Mission Statement & Guidelines」(2015.6)※1を制定。 ・2015 年 8 月、98 都市※2の整備対象都市を選定。2015 年度末に

は第一期整備事業 20 都市を公表予定。

5 www.swachhbharaturban.gov.in/

7

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アタル・ミッション構想 (AMRUT: Atal Mission for Rejuvenation & Urban Transformation) 2014.5

・500 都市を対象に、水資源の供給・下水道処理・公園緑地など

の整備、都市交通の混雑緩和と汚染削減などを目指す都市整備

事業。 ・2005~2012 年の都市インフラ整備計画「ジャワハルラール・ネ

ルー国家都市再生ミッション」の後継事業。

PMAY 構想 (Pradhan Mantri Awas Yojana) 2014.6

・2022 年までに、全家庭に水道水供給、トイレ設置、24 時間無停

電を目指す「Housing for all(Urban)」イニシアティブから改

名。

スワッチ・バーラト・ミッション構想 (SBM:Swachh Bharat Mission ) 2014.6

・市民の健康や公衆衛生、廃棄物処理の改善を目的にした取り組

み ・2019 年 2 月まで実施される

1.3 スマートシティ開発に係る各種政策との関連性 ここでは、上記した 4 政策(スマートシティ 100 都市構想、アタル・ミッション構想、

PMAY 構想、SBM 構想)に関して、事業の概要について比較を行う。 まず、具体的な取り組み内容については、各政策の対象範囲に若干の違いがあるものの、

重複する取り組みがあることがわかる(表 1.1.7)。また、スマートシティ 100 都市構想の

ガイドラインにも関連する政策と協調して展開する方針が定められている。

表 1.1.7 各種政策における主な構成要素の比較

構成要素

各種政策(下段は対象都市数) スマート シティ

アタル・

ミッション PMAY 構想

SBM 構想

100 都市 500 都市 全市町村 (4041 ヶ所)

全市町村 (4041 ヶ所)

インフラ 水処理関係 ○ ○ ○ 交通 ○ ○ エネルギーマネジメント ○

ICT スマート医療・教育等 ○ E-ガバナンス ○

環境・衛生

廃棄物処理 ○ ○ ○ 環境に配慮した公園整備等 ○ トイレ整備(家庭・公衆等) ○ ○ 公衆衛生整備・意識向上 ○ ○

各政策が対象としている都市についてみると、スマートシティ 100 都市構想とアタル・

ミッション構想では、89 都市が重複している(表 1.1.2、1.1.4 参照)。また、PMAY 構想

と SBM 構想では、インドの全 4,104 都市・町が対象となっており、対象都市は同じである。

これらの事業の実施を通じて、特定の都市における重点的なインフラ整備が可能となる。

従って、政策としては異なるものの、一つの都市を整備するための資金調達手段として、

インフラ整備をはじめ、生活基盤や生活水準を向上させていくものと考えられる。

8

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この様に、インドにおけるスマートシティ政策の実施対象地域では、関連する分野に係

る他のプロジェクトが同時に実施されているケースが認められる。そのため、インドにお

けるスマートシティ化に向けた取り組みの把握には、そうした他の政策における資金支援

等の動向についても留意する必要がある。 2. 各都市が実施するスマートシティの構成要素 2.1 スマートシティ 20 都市選考結果 スマートシティ 20 都市の第 1 期選考(ラウンド 1)では、2015 年 11 月末(12 月 15 日

まで延長)の締切りまでに、98 都市のうち 97 都市から提案書が提出された。選考の結果、 2016 年 1 月 28 日に第一期の整備対象として 20 都市が選定された(表 1.2.1)。 20 都市の選考にあたっては、スコア制が導入され、世界銀行、アジア開発銀行などの国

際機関や大学、そして研究機関等によるパネルディスカッションにおいて、上位 20 都市(下

線・マーカー都市)が選定された(表 1.2.2)。選定都市をみると、チェンナイ等の大都市の

他、比較的インフラの整っていない小規模な都市も多く選ばれている。

表 1.2.1 スマートシティ 20 都市選定結果(H28.1.28 公表)

No 州名 都市名 No 州名 都市名

1 Andaman & Nicobar Islands

1.Port Blair 19 Madhya Pradesh 1.Bhopal , 2.Indore , 3.Jabalpur , 4.Gwalior , 5.Sagar , 6.Satna , 7.Ujjain

2 Andhra Pradesh 1.Visakhapatnam , 2.Tirupati , 3.Kakinada 20 Maharashtra

1.Navi Mumbai , 2.Nashik , 3.Thane 4.Greater Mumbai , 5.Amravati , 6.Solapur 7.Nagpur , 8.Kalyan-Dombivali , 9.Aurangabad , 10.Pune

3 Arunachal Pradesh

1.Pasighat 21 Manipur 1.Imphal

4 Assam 1.Guwahati 22 Meghalaya 1.Shillong

5 Bihar 1.Muzaffarpur , 2.Bhagalpur , 3.Biharsharif 23 Mizoram 1.Aizawl

6 Chandigarh 1.Chandigarh 24 Nagaland 1.Kohima

7 Chhatisgarh 1.Raipur , 2.Bilaspur 25 Odisha 1.Bhubaneswar , 2.Raurkela

8 Daman & Diu 1.Diu 26 Puducherry 1.Oulgaret

9 Dadra & Nagar Haveli

1.Silvassa 27 Punjab 1.Ludhiana , 2.Jalandhar , 3.Amritsar

10 Delh 1.New Delhi Municipal Council 28 Rajasthan 1.Jaipur , 2.Udaipur , 3.Kota , 4.Ajmer

11 Goa 1.Panaji 29 Sikkim 1.Namchi

12 Gujarat 1.Gandhinagar , 2.Ahmedabad , 3.Surat 4.Vadodara , 5.Rajkot , 6.Dahod

30 Tamil Nadu

1.Tiruchirapalli , 2.Tirunelveli , 3.Dindigul , 4.Thanjavur , 5.Tiruppur , 6.Salem , 7.Vellore , 8.Coimbatore , 9.Madurai , 10.Erode 11.Thoothukudi , 12.Chennai

13 Haryana 1.Karnal , 2.Faridabad 31 Telangana 1.Greater Hyderabad , 2.Greater Warangal

14 Himachal Pradesh

1.Dharamshala 32 Tripura 1.Agartala

15 Jharkhand 1.Ranchi 33 Uttar Pradesh

1.Moradabad , 2.Aligarh , 3.Saharanpur , 4.Bareilly , 5.Jhansi , 6.Kanpur , 7.Allahabad , 8.Lucknow , 9.Varanasi , 10.Ghaziabad 11.Agra , 12.Rampur

9

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表 1.2.2 スマートシティ 20 都市のランキング 順位 都市名 州/連邦直轄領 スコア(%) 1 Bhubaneswar Odisha 78.83 2 Pune Maharashtra 77.42 3 Jaipur Rajasthan 73.83 4 Surat Gujarat 68.16 5 Kochi Kerala 66.98 6 Ahmedabad Gujarat 66.85 7 Jabalpur Madhya Pradesh 63.03 8 Visakhapatnam Andhra Pradesh 61.12 9 Solapur Maharashtra 60.83 10 Davanagere Karnataka 59.93 11 Indore Madhya Pradesh 59.89 12 New Delhi Municipal Council Delh 59.63 13 Coimbatore Tamil Nadu 58.74 14 Kakinada Andhra Pradesh 58.19 15 Belagavi (Belgaum) Karnataka 57.99 16 Udaipur Rajasthan 57.91 17 Guwahati Assam 57.66 18 Chennai Tamil Nadu 56.16 19 Ludhiana Punjab 55.84 20 Bhopal Madhya Pradesh 55.47 21 Ujjain Madhya Pradesh 55.03 22 Gwalior Madhya Pradesh 54.82 23 Warangal Telangana 54.79 24 Chandigarh Chandigarh 54.73 25 Amritsar Punjab 54.55 26 Shivamogga Karnataka 54.36 27 Jalandhar Punjab 53.82 28 Madurai Tamil Nadu 53.34 29 Lucknow Uttar Pradesh 53.24 30 Newtown Kolkata West Bengal 53.10

16 Karnataka

1.Mangaluru , 2.Belagavi (Belgaum), 3.Shivamogga 4.Hubballi-Dharwad , 5.Tumakuru 6.Davanagere

34 Uttarakhand 1.Dehradun

17 Kerala 1.Kochi 35 West Bengal 1.New Town Kolkata , 2.Bidhannagar 3.Durgapur , 4.Haldia

18 Lakshadweep 1.Kavaratti

10

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31 Nagpur Maharashtra 53.00 32 Panaji Goa 52.99 33 Salem Tamil Nadu 52.95 34 Nashik Maharashtra 52.75 35 Agra Uttar Pradesh 52.69 36 Thane Maharashtra 52.34 37 Rajkot Gujarat 52.33 38 Kalyan-Dombivali Maharashtra 52.30 39 Pasighat Arunachal Pradesh 52.26 40 Vellore Tamil Nadu 52.04 41 Kanpur Uttar Pradesh 52.00 42 Tirupati Andhra Pradesh 51.78 43 Greater Mumbai Maharashtra 51.77 44 Hubballi-Dharwad Karnataka 51.71 45 Navi Mumbai Maharashtra 51.68

出典:都市開発省 スマートミッションホームページより 6

2.2 スマートシティの構成要素 インド政府は 2015 年に、97 都市から提案のあったスマートソリューションの一部を公

表した(ヒアリングを通じ取得)。公表されたソリューションは、以下の通りであるが、基

本的には表1.1.1で示したガイドラインのスマートソリューションに概ね沿ったものとなっ

ている。 ○ICT の活用した E-ガバナンス(27 都市) ○スマートメーターを用いたスマート水管理(21 都市) ○固形廃棄物処理の改善(20 都市) ○スマート公共交通(16 都市) ○LED 街灯(16 都市) ○公共防犯のための CCTV カメラの設置(14 都市) ○交通と水供給監視のための指令・制御センター(9 都市) ○市民のためのスマートアプリ(6 都市) ○WiFi(5 都市) ○GIS(地理情報システム) マッピング(4 都市)

6 http://smartcities.gov.in/writereaddata/Ranking_of_Smart%20Cities.pdf

以下、省略

11

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今回選定された 20 都市の提案書 7と、ナビムンバイの提案書(ヒアリングを通じ取得)

の事業内容に関して、表 1.2.3 に整理する。

表 1.2.3 各都市が実施するスマートソリューション スマートソリューション

スマートシティミッション ガイドライン

選定 20 都市 ナビムンバイ 都市数 採用率(%) 採用の有無

E-ガバナンスと 市民サービス

電子サービス 10 50 ○ CCTV(防犯、交通管理等) 11 55 ○ 大気質監視 8 40 ○

廃棄物管理 廃熱・エネルギー利用 1 5 固形廃棄物処理 20 100 ○

水管理 上下水道 20 100 ○ 水質・漏水管理 9 45 ○

エネルギー マネジメント

スマートメーターによる

測定・管理 20 100 ○

再生可能エネルギー 20 100 ○ 省エネ(LED 街灯等) 20 100 ○

都市交通 スマートパーキング 20 100 ○ スマート交通 20 100 ○ マルチ/ インターモーダル輸送

3 15

その他 ICT 20 100 ○ WiFi 10 50 ○ GIS(地理情報システム)

(マッピング、旅行等) 11 55

スマート医療・教育 5 25 ○ ベンチャー企業支援 1 5 ○ スキル開発センター 3 15 ○

20 都市が採用するスマートソリューションについてみると、交通の便の向上、水供給・

下水処理やゴミ(固形廃棄物)処理、再エネ(10%以上を太陽光で賄うことが要件)などに

ついては、ほぼすべての都市で採用されている。特に、水処理では、SCADA(監視制御シ

ステム)を用いている例が多い。交通関連では、Coimbatore での 30km に渡るエコモビリ

ティ回廊などにみられるように、歩道や、自転車道の整備を通じた、自動車依存を減らす

取り組みが多くなっている。また、防犯を目的とした CCTV カメラの導入が多い一方、

Jaipur と Udaipur では、タージマハール周辺の観光地の美化のため、CCTV カメラでの

7 http://smartcities.gov.in/winningCityp1.htm

12

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監視を計画に組み込んでいる。また Jabalpur、Coimbatore、Kakinada では、洪水対策や

高波対策など地域特性を考慮したソリューションの提案がみられる。また、New Delhi Municipal Council 等では、EV などの比較的先進的な取り組みもみられるが、生活基盤そ

のものに係るソリューションが多いことがわかる。 ナビムンバイについても、「市民の生活の質の向上と、持続性かつ信頼性があり、斬新か

つ活気のある都市の実現」というビジョンのもと、20 都市と同様のソリューションを多く

提案したが 45 位という結果となった。この理由として、スキル社は、ナビムンバイは比較

的インフラの整った大都市であると分析としているが、提案者のナビムンバイ市有公社

(NMMC)が中央・州政府が監視する特別目的会社(SPV)に反対であることや他都市と

比較し特徴ある提案内容でなかったことなども起因したものと考えられる。8 なお、インドでは国策として、太陽光発電を中心とした再生可能エネルギー等の導入が

進みつつある他、インド電力省ではスマートグリッド関連技術の実証にも積極的に取り組

んでおり、今後より高度なスマートシティの技術要素を取り入れていくと考えられる。な

お、スマートグリッド実証には、ハリヤナ州パニパット市において新エネルギー・産業技

術総合開発機構(NEDO)との共同によるスマートメータを活用した配電系統監視・制御

技術実証などがある。

2.3 残り 80 都市の選考スケジュール

今回選定された 20 都市はラウンド 1 であり、2016 年 4 月から受付が始まるラウンド 2に先駆け、今回選定されなかった 20 都市以外の州、23 州より各 1 都市が選定される予定

である。 また、ラウンド 2 については、残り 57 都市のうち、40 都市を上限に選定される予定と

なっている。ナビムンバイについては、残り 57 都市に該当するため、このタイミングで再

度申請する予定である(表 1.2.4)。 スマートシティ開発にかかる総事業費は 5 年間で 4,800 億ルピー、1 都市当たり毎年 10

億ルピーが支給される計画となっている。 なお、マハラシュトラ州からは 10 候補都市が提案書を提出し、ラウンド 1 では 2 都市が

選定された。10 都市の合計費用は 3,200 億ルピーとされており、ナビムンバイは 850 億ル

ピーと、最も費用の高い開発計画であった。 中央政府が打ち出したスマートシティ 100 都市構想とは別に、マハラシュトラ州都市産

業開発公社(CIDCO9)はナビムンバイのスマートシティ開発を目的として、2015 年 12月に州独自の政策である「スマートシティアクションプラン」を発表した。2019 年までに

3,500 億ルピー規模の計画であるが、中央政府からの予算はなく、CIDCO 独自の資金調達

や民間企業の参加によって賄う計画となっている。ただ、州政府によるスマートシティ整

備計画があるものの、中央政府が主導し国際的にも認知されている 100 都市構想に選定さ

れない場合には、資金調達や海外企業の参加という点で、少なからず影響が伴う可能性が

8 現地ヒアリングによる

9 CIDCO : City and Industrial Development Corporation of Maharashtra

13

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ある。

表 1.2.4 今後の選考スケジュール

※ナビムンバイはラウンド 2 で再申請を予定

2016年

選考過程 対象 1月 4月 6月 8月

1月28日

選定(済)

4月15日

4月1日 6月30日

選定

全97都市から20都市を選定(1)ラウンド1

(1)、(2)で選定されていない都市のうち40都市を上限として選考

(3)ラウンド2

(1)で選定都市のない23州の各1都市を優先して選考

(2)ファーストトラック受 付

受 付

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第 2 章 インドにおけるスマートシティ開発にかかる政策を活用し

た事業化に向けた具体的計画の検討 1. インドにおける類似した開発に関する情報収集 1. 1 調査対象工業団地の選定 現在のナビムンバイ開発計画は計画策定段階にあるため、具体的な事業計画の策定に当

たっては、インドの典型的な工業団地等を参照する必要がある。また、本調査事業は、ス

マートシティ開発による二国間クレジット制度(JCM)化の検討を念頭に置いていること

から、日系企業が進出している他の工業団地の動向を調査し参考とする。なお、調査は、

文献等による調査に加え、現地訪問によるヒヤリングにより実施する。 現在、インド国内には大小様々な工業団地が存在し、現在も開発が進行中である。2015年 4 月には、日本の経済産業大臣とインドの商工大臣間において、日本が投資支援する 11ヶ所の工業団地が選定され、共同文書が発行された 10。選定された 11 ヶ所の工業団地へ

の日系企業の進出状況も含め、在インドの政府関係組織・企業等に確認した結果、ラジャ

スタン州ニムラナ工業団地がインド国内で最も成功している工業団地であることがわかっ

た。なお、日本が投資支援する工業団地の進出状況については、表 2.1.1 の通りである。

表 2.1.1 日本が支援する工業団地と進出企業数(2015 年 11 月調査時) 州名 地域名 進出

企業数 州名 地域名 進出 企業数

アンドラ・プラデシュ (Andhra Pradesh)

州南部とクリシュナパト

ナム港間の地域 0 軒 ラジャスタン (Rajasthan)

ギロット工業団地 0 軒

グジャラート (Gujarat)

マンダル工業団地 3 軒 タミルナド (Tamil Nadu)

ポネリ工業団地 0 軒

ハリアナ (Haryana)

ジャジャール工業団地 2 軒 タミルナド (Tamil Nadu)

ワンハブチェンナイ

工業団地 3 軒

カルナカタ (Karnataka)

トゥムクゥル工業団地 0 軒 タミルナド (Tamil Nadu)

双日マザーソン工業

団地 0 軒

マハラシュトラ (Maharashtra) スパ工業団地 0 軒 ウッタル・プラデシュ

(Uttar Pradesh) グレーターノイダ統

合工業団地 0 軒

ラジャスタン (Rajasthan)

ニムラナ工業団地 46 軒

10 http://www.meti.go.jp/press/2015/09/20150911004/20150911004.html

15

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ニムラナ工業団地は、図 2.1.1 に示す通り、ラジャスタン州の北東部のハリアナ州との境

界付近にあり、ニューデリーより約 120km の場所に位置する。この工業団地は、経済特別

区の指定は受けてはいないものの、前述したデリー・ムンバイ間産業大動脈(DMIC)構想

の周辺地にあり、インドとしても今後最も注力する地域にある。今回、ナビムンバイの開

発に当たり参考とするため、ニムラナ工業団地を視察することにした。

図 2.1.1 ニムラナ工業団地位置図

1.2 類似した工業団地の調査結果 ニムラナ工業団地は、ラジャスタン州産業公社(RIICO)により開発された工業団地で

ある。3 つの開発エリアのうち、1 つが日系企業専用エリアであり、2007 年より分譲開始

されている。現在、日系企業の入居率は 8 割以上に達しており、電気機械や自動車関連部

品が主な進出企業である。日系企業専用エリアの敷地面積は約 467ha、電力需要は現時点

で約 100MW である。

16

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図 2.1.2 ニムラナ工業団地の見取り図

図 2.1.3 ニムラナ工業団地の風景 ① ニムラナ工業団地の電力供給 ニムラナ工業団地の電力供給は、開発初期と現在で状況がかなり異なる。工業団地周辺

には11kVと33kVの2種類の電力系統があり、開発初期は全て11kVより供給されていた。

11kV 系統は一般家庭も含めた多くの需要家に供給する系統でることもあり、開発初期は予

告なく週に数回の停電から一度停電すると数日間継続する状態下であった。このため、工

業団地では、以下のステップで電力供給の改善が図られていることがわかった。

17

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ステップ 対 策 備 考

第 1 期 (2007 年~)

・各需要家の自家用発電機(ディーゼル発電機

DEG)を連携し、地域で相互融通するキャプテ

ィブ発電 CPP※1 を実施。

・※1:図 2.1.4 参照

第 2 期 (2012 年~)

・自家用発電機(DEG)と太陽光発電(6MW の

うち 1MW)を連携。 ・発電会社は 30MW ガスタービン発電機を導入。

・供給力の向上 ・低炭素化の実現

現在 ・需要家の 2/3 は 11kV から 33kV に昇圧済。 ・停電頻度の縮小

・自家用発電機の燃料 コストの抑制

これにより、現在の停電頻度は、月1回数時間程度までに大幅に改善されている。なお、

突発的な停電に備え、需要家ではバックアップ設備として自家用発電機は保有している。

図 2.1.4 キャプティブ発電と太陽光発電による電力供給イメージ

安定的な電力供給の実現には、供給力以外にも、電力設備そのものの品質も重要な要素

である。そこで、工業団地の電力系統の敷設状況についても調査した。工業団地に敷設さ

れている電線は裸電線にも関わらず街路樹と離隔不足にあること、また、地中ケーブルの

敷設も防護なしの直接埋設であることなど、インドで最も成功している工業団地でさえも、

依然として停電リスクがある状況下にあり、改善余地が見られた。なお、この状況は、イ

ンドのコスト意識と電力供給品質に対する意識の問題であるとも考えられ、工業団地内に

ある電線の所有者に応じて改善交渉は異なる。

18

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図 2.1.5 電力系統の架線状況

図 2.1.6 地中ケーブルの敷設状況

② 工業団地開発での留意点 海外における日系企業が進出する工業団地開発を考えた場合、安定した電力供給以外に

も、日本人従業員の住環境への配慮が必要である。今回視察した企業によると、日本人従

業員のうち、独身者は工業団地周辺に居住し、家族同伴者は教育や生活環境が整ったハリ

アナ州グルガオン市より通勤している(図 2.1.1 参照)。ただし、独身者についても、週に

一度はグルガオン市に食料品等の買い出しをしなければならない状況下であった。更に、

グルガオン市とニムラナ工業団地を結ぶ国道 8 号線は慢性的な交通渋滞にあり、通勤や生

活面で負担が強いられていた。現在、ニムラナ工業団地では、団地に隣接した居住エリア

(住居・商業・病院等)の整備が進められている(図 2.1.2、図 2.1.7 参照)。

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図 2.1.5 ニムラナ工業団地に建設中の居住エリアの様子

また、日本が投資支援する 11 ヶ所の工業団地に選定されたマハラシュトラ州スパ工業団

地(開発総面積約 930ha うち日系企業専用エリア約 200ha。2015 年 9 月分譲開始。)にお

いても、開発エリア内には工業区の他、病院、日本人学校、レストランなども完備されて

いる。 このように、工業団地開発と併せ、労働者の住環境も整備することが、日系企業にとっ

てより進出しやすい環境になるものと言える。 2. 事業計画の策定 2.1 Navi Mumbai Special Economic Zone(NMSEZ)の開発計画の現状

NMSEZ は、経済特区に指定された開発総面積約 2,000ha の大小4つのエリア、Ulwe(Waterfront)、Ulwe(Airport)、Kalamboli および Dronagiri からなる。経済発展が著し

いムンバイの中心からこの NMSEZ への移動には、現時点ではムンバイ湾北部を経由する

必要があり、車で 2 時間から 2 時間半の道のりである。しかし、ムンバイ湾において円借

款により総長約 22km にもなる連絡橋を敷設する計画が現在進行中であり、この連絡橋の

完成によりムンバイからのアクセスは大幅に短縮され、30 分程度になる見込みである。ま

た、ナビムンバイ北部には新空港の建設も予定されており、既に工事は着工されている。

ヒヤリングによれば、連絡橋と新空港の完成時期は双方とも 2019 年度の完成(運用開始は

2020 年代初頭)を目指しているが、完成時期が前後する可能性もある。(図 2.2.1 参照)

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図 2.2.1 NMSEZ の開発エリア

NMSEZ には、現在、以下の開発条件が設定されている。 ・工業区と併せ、商業・居住・公園なども整備する。 ・工業区は開発エリア全体の 85%とする。(残り 15%は商業・居住・公園など)

・工業区で製造した商品のうち 75%は海外輸出とする。(残り 25%は国内販売可) この条件の基、NMSEZ の開発者である SKIL Infrastructure Ltd11(以下、スキル社と

いう。)の現時点の開発計画は、表 2.2.1 の通りであり、4 エリア全体の総需要は、700MWを想定している。 この開発計画によれば、工業区に加え、居住区などの併設も想定しているのは Dronagiri

の 1 エリアのみであり、その他 3 エリアは工業区のみとなっている。また、Dronagiri の進

出想定業種は多岐に亘る一方、残り 3 エリアについては、比較的広大な敷地面積および需

要想定にも関わらず、特定業種に限定している。現時点のスキル社による開発優先順位は、

以下のとおりである。 ・優先順位 1 位:②Ulwe(Airport)、④Dronoagiri ・優先順位 3 位:③Kalamboli ・優先順位 4 位:①Ulwe(Waterfront) 更に、本地域の開発事業者であるスキル社は、現在の彼らの開発計画に対する事業計画

11 プラント・港湾・鉄道等の EPC(設計・調達・建設)ビジネス、防衛ビジネスの他、

造船、物流などを手掛ける総合エンジニアリング企業。1990 年設立、ムンバイ拠点。

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の立案を求めているのではなく、NMSEZ における開発コンセプトそのものや、最終的に実

現すべきスマートシティの将来像を求めている段階にあり、実現したいスマートシティ像

として、低炭素かつ最先端なスマートシティの実現を目指している。

表 2.2.1 現時点の NMSEZ 開発計画

用 途 区 分 ①Ulwe(Waterfront) ②Ulwe(Airport) ③Kalamboli ④Dronagiri

計画業種と構成比率

[100%]

宝飾品

[67%]

国際金融センター

[32%]

IT 分野における

外部委託サービス

(ITES・BPO・KPO)

[100%]

繊維・アパレル・

革製品

[32%]

物流倉庫・配送

[18%]

自動車部品・

軽工業・電気機械

[14%]

電子機器・

小型電子部品・

家電・家庭用品

[14%]

化学薬品・バイオ・

医薬品製造

[14%]

加工食品・飲料

[8%]

繊維・アパレル・

革製品

工業区

1.工業エリア 52 ha 208 ha 228 ha 425 ha

2.物流倉庫・配送センター - - - 200 ha

その他

3.居住エリア - - - 145 ha

4.ユーティリティスペース 2.2 ha 9 ha 7.3 ha 23 ha

5.公園・オープンスペース 11 ha 44 ha 49 ha 130 ha

6.社会インフラ 3.8 ha 14 ha 16.7 ha 56 ha

7.道路 11 ha 45 ha 49 ha 171 ha

8.その他、溜池(既存) - - - 100 ha

総 計 80 ha 320 ha 350 ha 1,250 ha

(備考)最大電力量 35MW 126MW 147MW 392MW

注:ITES : Information Technology enabled Services.

BPO : Business Process Out-sourcing.

KPO : Knowledge Process Outsourcing.

2.2 NMSEZ の開発提言 本稿では、ニムラナ工業団地および NMSEZ の調査結果を踏まえ、事業計画の立案に先

駆けて実施すべく、開発コンセプトの立案と開発エリアの周辺環境を踏まえた具体的な方

向性について提言する。なお、本提言では、現在スキル社が考える将来像は押さえつつ、

コンセプトの抜本的見直しを実施した。

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2.2.1 開発コンセプトの立案 ナビムンバイ開発のコンセプト立案に当たり、先ずは、ナビムンバイで将来的に実現す

る街づくりを検討した。インド国内に日系企業が進出し操業していくためには、一番の課

題は安定した電力の確保である。最近は以前と比較すると停電頻度は低下傾向ではあるが、

頻繁かつ無計画に停電するような環境下では各企業の事業計画に影響するため、日系企業

が進出する判断は難しくなる。このため、開発エリアには、各企業の事業継続が可能とな

る強靭な電力供給を備えておく必要がある。 ただし、電力の安定供給だけでは企業進出を促進することは難しい。如何に低廉な電気

を供給できるかが次の課題となる。これまでのように、各需要家が電力の供給量を管理し

ている状況下では、設備維持費などのコスト面で各需要家にかなりの負担を強いることに

なるため、進出促進には繋がらない。そこで、各需要家のコスト負担を排除するためには、

域内として全体のエネルギーを管理し、効率よく利用できる仕組みの提供も、開発エリア

には必要である。 更に、現在のインド国内ではコストメリットなどの観点から比較的エネルギー効率が低

い機器や設備等が普及しており、例えば近年は、著しく増加した自動車による排気ガス汚

染なども深刻な問題となっている。今回の開発エリアがこれまでと同様なエネルギー利用

を継承するようでは、低炭素かつ最先端なスマートシティの実現には程遠い。そこで、開

発エリアに低炭素に繋がる様々な取組みを導入することによって、スマートシティのある

べき姿を示し、現地の人々に向けて環境意識を変革するメッセージを伝える役割・機能も、

開発エリアには必要である。 以上より、ナビムンバイで実現したい街づくりのポイントを、以下 3 点に設定する。 1) 停電に強く、事業継続可能な「レジリエンスシティ」 2) 域内のエネルギーを賢く利用する「スマートエネルギーシティ」 3) インド国内を代表する低炭素な「環境配慮型スマートシティ」

この街づくりの実現に向け、実施すべきアクションについて検討した。電力供給を安定

化するうえで、先ず必要なことは電力インフラの充実である。ニムラナ工業団地でさえも

日本の電力設備と比較すると停電リスクが随所に見受けられたため、ナビムンバイの開発

に当たっては、極力、停電リスクを排除した設備構築が必要なアクションと言える。 次に、停電リスクが排除された電力インフラにおいて、大規模な低炭素を実現するため

には、先ずは開発エリアの至る所に省エネルギー設備を導入していくことが必要である。

しかし、省エネルギー設備の導入に頼るだけの低炭素化では、その製品の持つ性能だけに

委ねられ、実運用上でエネルギー効率を高めることはできない。そこで、系統電力に頼ら

ないエネルギー源も開発エリアに組み込むことも必要と言える。具体的には、太陽光発電

などに代表される創エネルギー設備や、蓄電池に代表される蓄エネルギー設備の導入など

であり、これらは省エネルギー設備の導入と同様に重要な要素である。 これらのアクションの実現だけでも十分なスマートシティにはなり得るが、電力供給面

以外においては、インド国内に対しメッセージ性のある最先端なスマートシティを提供し

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ているとは言い難い。そこで、電力インフラの開発に併せて構築した情報通信回線を用い、

様々な IOT12サービスを開発エリアに提供することを考える。これにより、外面的には開

発エリアにおけるスマートシティ像を域外に対して見える化できるだけではなく、内面的

には開発エリアの企業やそこで生活する人々に対してスマートシティの恩恵を実感させる

ことに繋がるため、IOT サービスの提供も必要なアクションとなる。 以上より、ナビムンバイで実現したい街づくりに向け、実施すべきアクションとしては

次の 3 点を設定する。 1) 域内グリッドの充実 2) 省エネ・創エネ・蓄エネの大規模導入 3) IOT の展開 開発コンセプトの概念図は、図 2.2.1 に示す通りである。また、3 つのアクション関して、

以下、それぞれ具体的に提言する。

図 2.2.1 ナビムンバイに提案するスマートシティ化構想

(1)域内グリッドへの提言 域内グリッドへの提言は、次の 3 点である。

・工場向けには、特別高圧(22kV 級配電線)の専用回線にて構築。 ・停電範囲を短時間に縮小するため、工場には 2 方向引込、その他は配電自動化システ

ムを推奨。 ・電力系統の停電時には、再生可能エネルギーと蓄電池のみで域内供給。 ナビムンバイ周辺の電力系統は 11kV と 22kV である。そのため、工場での停電リスクの

回避を考えると、22kV 系統から専用回線にて構築することが望ましい。また、更に電力品

質を高めるうえでは、以下の点についても推奨される技術要素となる。

12 Internet of Things の略称であり、あらゆるモノがネットワークを介して繋がり、モノ同

士が人の操作・ 入力を介さず、自律的に最適な制御が行われることを意味する概念のこと。

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・2 方向引込化 ・配電線の地上高確保 ・電線のケーブル化 ・地中ケーブルの保護管敷設 なお、工場以外の需要家に対して、通常のように 11kV 系統から供給する場合には、停電

範囲を極小化するうえで、配電自動化システムの導入なども考慮すべき技術要素と言える。 開発エリア内における通常の電力供給方法としては、太陽光発電を基本として供給し、

太陽光発電による供給量で足らない分は系統電力から供給する。また、天候等による再生

可能エネルギーの需要変動を補う技術要素として、蓄電池を域内に組み込むことを想定し

ている。しかし、停電により系統電力からの供給が完全に途絶えた場合には、域内だけで

電力供給する必要がある。この場合、マイクログリッドにおいて太陽光発電と蓄電池のみ

の運転に切り替えする。その際、全体の電力供給量は減少とならざるを得ないため、無通

告で供給量を減らすのではなく、きめ細やかなサービスを提供するうえで、需要家に対し

てデマンドレスポンス(DR)を発動し、電力使用量の目安や停電時刻の周知など適切な情

報を提供するツールも備えておくことが必要である。

図 2.2.2 再生可能エネルギーと蓄電池による供給イメージ

(2)省エネ・創エネ・蓄エネ導入への提言 省エネ・創エネ・蓄エネ導入への提言は、以下 2 点である。

・省エネ・創エネ・蓄エネの大規模導入により、「低炭素基盤」を構築。 ・ICT13/M2M14を活用し、導入した省エネ・創エネ・蓄エネ機器を全体で管理制御す

ることにより、更なる低炭素化の促進と電力安定供給を実現。

13 Information and Communication Technology の略称であり、情報・通信に関する技術の総称

のこと。 14 Machine to Machine の略称であり、機械と機械が通信ネットワークを介して、互いに情

報をやり取りすることにより、自律的に高度な制御や動作を行うこと。

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低炭素化の実現のためには、先ずは域内に省エネ・創エネ・蓄エネ設備を導入していく

ことが基本となるが、どれだけの規模で導入できるかによって低炭素化の進展が左右され

る。また、より低炭素化を促進させていくためには、それら設備の導入だけに留まらず、ICTを活用しそれぞれの情報を連携させ、域内エネルギーをトータルで管理・制御することが

重要である。 このトータルマネジメントは、単に低炭素化を促進するだけでなく、域内にあるエネル

ギーを無駄なく効率的に制御することも可能なため、電力の安定供給にも寄与する。具体

的に実施すべき内容を、図 2.2.3 に示す。

図 2.2.3 ナビムンバイに導入すべき技術要素

図に示したように、開発エリア内では、設備導入・モニタリング・オペレーションの 3

点セットを展開する。これにより、設備導入を単独で実施するときよりも、より低炭素化

の促進と電力の安定供給を図ることが可能となる。更に、トータルマネジメントを電力エ

ネルギーの枠だけに留めず、熱エネルギー、上下水や工場排水と言った水処理、交通分野

などにも拡大することによって、街全体としてより一層の効果を見込むことができる。 しかし、省エネ・創エネ・蓄エネ設備の大規模導入を一度に実現することは難しい。そ

のため、進出企業の規模数も考慮しながら、小規模からでも設備導入・モニタリング・オ

ペレーションの 3 点セットで PDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルを廻しながら、

域内を徐々に好循環(スパイラルアップ)させていく事業計画の立案が必要である。 また、これらの要素技術は、日本企業が得意としている分野でもある。そのため、ナビ

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ムンバイのスマートシティ化に当たっては、日本企業の活躍にも大いに期待でき、強いて

は日本の技術や製品の海外輸出にも繋がる可能性がある。 (3)IOT(Internet of Things)の展開への提言

IOT の展開への提言は、以下 3 点である。 ・域内に張り巡らされた情報通信網を活用し、様々な情報を連携した「情報プラットフ

ォーム」を構築。 ・ ICT を活用し、業務の質・量・速さの向上を実現。 ・将来は、蓄積されたビックデータ 15を活用することで、様々な新サービスを域内に提

供。

エネルギーマネジメントの実施により、開発エリア内には情報通信網が張り巡らされる

ことになる。また、ICT と M2M により、域内のあらゆる機器と機器とが接続され、利用状

況などの様々なデータが多く集約される。この集約データを活用することで、域内エネル

ギーの更なる効率化に役立てることが可能になる。そこでは、域内データを集約する「情

報プラットフォーム」を域内に設置し、一元的に管理する仕組みを構築する。 また、インド経済の今後の成長や中東・アフリカなどへの輸出量増加などを考えれば、

開発初期から ICT を活用した業務スタイルの変革をしておくことが必要である。ICT を活

用し、業務の質・量・速さを向上させることによって、ビジネスチャンスを逃さない仕組

みが構築できれば、電力供給面以外でも魅力的な産業拠点となり得る。 更に、域内で得られたデータをエネルギーマネジメントや業務面だけで活用するだけで

は、スマートシティとしての魅力は十分ではない。そこで、域内で得られたビックデータ

の解析や情報通信網をエネルギー分野以外へ活用し、域内で働く人々や生活する人々にも

様々なサービスを提供する。これにより、開発エリアを、インドを代表する先進的なスマ

ートシティとすることが可能になる。 なお、新サービスの提供には、サービス提供会社へのデータ売買だけではなく、ビック

データを解析するマーケティング業界と連携しながら自ら提供することなども考えられる。

図 2.2.4 に、域内において考え得る IOT サービスの一例を示す。 例に挙げたように、様々なデータを連携していくことで、提供できるサービスは無限大

である。従って、IOT サービスの提供に当たっては、スキル社が提供したい IOT サービス

を実現していく必要がある。また、省エネ・創エネ・蓄エネ導入への提言でも述べたよう

に、例えば、スマート物流から初め、スマート交通、スマート通販へと段階的に域内サー

ビスを拡充していくなど、IOT サービスの展開においても事業計画の立案が必要である。

15 インターネットの普及やコンピューターの処理速度の向上などに伴い生成される、大容

量のデジタルデータのこと。

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図 2.2.4 域内に提供するうえで考え得る IOT サービスの一例

2.2.2 開発エリアの周辺環境を踏まえた具体的な方向性 (1)ナビムンバイに構築するスマートシティの概念 ここまで想定してきたスマートシティ化の基本的な構想を踏まえれば、具体的にナビム

ンバイに構築するスマートシティは次の通りである(図 2.2.5 参照)。 ・各需要家など街全体に、環境性に優れた「LED 照明」や「省エネ機器」などを大規模

導入。 ・域内へ乗入れする車両には、蓄電設備としても活用できる「次世代自動車(EV 車)」

を採用。 ・メガソーラー、建物のルーフトップ、道路灯など「太陽光発電」を広範囲に設置。 ・各需要家が保有する自家発電設備は、域内で「蓄電池」を一括配備。 ・エネルギーマネジメントや IOT の展開のため、データセンターを中心に据えた「ICTインフラ」を構築。

スマートシティの構成要素は、大きく分けて 3 つの分野からなる。 一つ目の分野は、域内にある、需要家、太陽光発電に代表される再生可能エネルギー、蓄

電池を連携し、エネルギーマネジメントを実施するものである。具体的には、工場や商業

施設には、各需要家のコスト負担を軽減するため、需要家毎にビルであれば BEMS16、工

16 Building Energy Management System の略称であり、機器・設備などの運転管理によ

ってエネルギー消費量の削減を図る システム(EMS)のことを意味し、ビル向けに導入す

るシステムのこと。

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場であれば FEMS17などを直接実装するエネルギーマネジメントシステムではなく、デー

タセンターで管理されたソフトウェアを活用するクラウド型エネルギーマネジメントを提

供する。また、一般家庭においては HEMS18を導入し、域内の需給状況に応じて、家庭内

の家電・機器類の利用時間帯や温度設定などを制御するエネルギーマネジメントを実施す

る。 データセンターはエネルギーマネジメントシステムの提供だけでなく、域内のデータを

蓄積するデータバンクとしての役割も担う。また、エネルギーマネジメントでは電力エネ

ルギーだけでなく、熱エネルギーなども利用することで、エネルギーの有効利用を図る。

具体的には、工場などで発生する排熱だけでなく、域内にゴミ焼却炉を構築し、域内で発

生した産業廃棄物や生活ゴミなどを焼却させる。これは単に熱エネルギーを産出するだけ

の目的ではなく、域内で発生したゴミを域内で処理する(封じ込める)ことで、開発エリ

アが環境配慮型のスマートシティであることを域外に示すことができ、更には域外やイン

ドでの参考となる環境面でのメリットとなる。

図 2.2.5 ナビムンバイに構築するスマートシティの概念図

二つ目の分野は、運輸部門での取組みである。省エネ・創エネ・蓄エネ導入への提言で

も述べたように、運輸部門では CO2 排出量ゼロである EV 車の導入を促進する。EV 車は

自家用車だけでなく、バス、トラック、タクシー、レンタカー、二輪などあらゆる車両に

採用する。現在の技術では、EV 車はガソリン車と比較し走行距離が短いのが課題である。

しかし、ナビムンバイのエリアでは、近くに空港、港湾、鉄道などがあることから、各拠

点間の人や物の短距離輸送に活用することから導入する。 また、EV 車にはカーナビなどの無線端局を搭載させ、利用状況の一元管理や指令端末と

17 Factory Energy Management System の略称であり、工場向けの EMS のこと。 18 Home Energy Management System の略称であり、家庭向けの EMS のこと。

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しても活用する。具体的には、トラックでは物流管理、バスでは運行管理、タクシーでは

業務手配などに活用できる他、最近のインドでは著しい交通渋滞情報をタームリーに提供

することによって、的確な運行指示にも活用できる点でメリットがある。 更に、EV 車は蓄電池を搭載していることから、蓄電池をエネルギー源と見なし活用する

ことも可能である。具体的には、前述した通り、系統電力が停電した場合、域内では太陽

光発電に代表される再生可能エネルギーと蓄電池のみでの電力供給となるため、供給量は

低下する。この供給量の低下を補充する目的として、開発エリアでは EV 車を活用する。

EV 車はエネルギーのバックアップシステムとしても活用できる点で、ナビムンバイのスマ

ートシティ化構想の実現には必要な要素となる。 三つ目が IOT サービスの展開である。前述した通り、データセンターに蓄積されたデー

タや域内の情報通信網を利用することによって、域内への多様なサービスを提供する。な

お、サービス提供は域内だけでなく、域外へのサービス提供なども今後のビジネス展開で

は考えられる。 これらの要素については、開発初期から如何に組み込んでいくのかグランドデザインを

描いておくことが重要である。そこで、開発エリア毎にどのような要素を組み込むべきか

について、以下で考える。 (2) 開発エリアの工業区に取り込む業種の検討 開発エリアの成功には、インドの国内企業だけでなく、如何に日本なども含めた海外資

本を取り込んでいくのかが鍵を握る。日系企業の海外進出状況を図 2.2.6 に示す。

図 2.2.6 日系企業の海外進出状況

現在、海外進出企業のうち、約 4 割が製造業、残り約 6 割が非製造業である。製造業の

業種では、「輸送機械」「電気・通信機械」「化学工業」の順に多く、その他にも、「生産用

機械」「金属製品」「食料品」「繊維」などが進出している。一方、非製造業については、「卸

売業」が最も多いが、「運輸業」「情報通信業」などの進出も見られる。

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また、日系企業の海外進出国としては、図 2.2.7 に示すように、近年ではアジア周辺への

進出が著しく、インド・中東・アフリカへの進出は少ない。しかし、今後、インド国内の

経済成長に加え、中東・アフリカへの輸出拠点も踏まえると、インドは魅力的な進出拠点

と言える。

図 2.2.7 日系企業海外進出の分布

インドを生産拠点として確立していくためには、製造した商品を供給するターゲット地

域とターゲット地域の経済情勢なども含めた業種を踏まえ、開発計画を立案することが重

要となる。そこで、インド・中東・アフリカの将来需要を見据えたターゲット業種を、表

2.2.2 に整理した。

表 2.2.2 インド・中東・アフリカの将来需要を見据えたターゲット業種 将来需要の着眼点 開発地点のターゲット業種

1) 建設ラッシュ ・鉄鋼業

・サッシ、インテリア建材

・建築用機械

・ポンプ、エレベーター等の汎用機械

2) 生活水準の向上 ・電気機械(エアコン、TV、冷蔵庫)

・繊維業(アパレル)

・生活用品(紙パルプ、洗剤等)、生活雑貨

・家具、調度品

3) 生活スタイルの変化 ・電気機械(通信機器、モバイル関連)

・輸送機械(自動二輪・四輪、自転車)

・加工食品

・ジュエリー等宝飾品

・美容製品

4) 医療・健康面の向上 ・医薬品

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・健康食品

・医療機器

以下、今回、整理したターゲット業種も踏まえながら、開発エリア毎にスマートシティ

化を提言する。 (3) 開発エリア毎のスマートシティ化への提言 (a) Ulwe(Waterfront)地域への提言 本開発エリアは、図 2.2.1 に示す通り、ナビムンバイ北西部のムンバイ湾に隣接した場所

に位置する。本開発エリアの周辺環境と現況を、図 2.2.8 および図 2.2.9 に示す。 本開発エリアの特徴は以下のとおりである。 ・ 海外に隣接。(排水路の確保、ムンバイ湾を眺望) ・ 近隣には居住区が密集し、旅客用鉄道も敷設。(通勤環境と集客力に好立地) ・ 幹線道路、空路、港湾へのアクセスも容易。(陸・空・海運販路の確保) ・ ムンバイ地域と結ぶ連絡橋 MTHL(Mumbai Trans Horbour Link)の他、貨物用鉄

道網なども敷設予定。 また、NMSEZ の4エリアのうち、現時点で最も整備が進んだ地域であり、他のエリアと

比較し着工も容易と考える。

図.2.2.8 Ulwe(Waterfront)地域の周辺環境

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図.2.2.9 Ulwe(Waterfront)地域の現況

以上より、本開発エリアの開発に向けた提言は、以下の 2 点である。 ・ 商業を核とした工業および各種施設の充実に焦点を当てる。 ・ スマートシティのショールーム的街づくりを実施する。

具体的には、以下の施設を構築する。 1) 商業を核とした工業および各種施設の充実に焦点

工業施設 電気機械(エアコン・TV・冷蔵庫)、加工食品 繊維(アパレル)、ジュエリー工房

商業施設 大型複合商業施設

その他 総合スポーツセンター(球場、ジム、温水プール、ランニング・サイ

クリングコース) ナレッジキャピタル(文化・教育、図書館、行政出先機関)

ムンバイ湾の眺望と集客力に優れていることから、本開発エリアでは大型複合商業施設

を構築する。そして、製造される大半は海外輸出が基本となるが、この大型複合商業施設

に対しても商品供給を可能とする業種にターゲットを絞った工業施設を隣接させる。工業

施設の業種としては、インドでまだまだ普及率が低い家電製品、特に、エアコン、TV、冷

蔵庫にターゲットを絞った電気機械業の他、衣食関連では加工食品と繊維(アパレル)業、

更には地産品でもあるジュエリー工房なども業種として組み込む。 また、工業施設や商業施設だけではなく、本開発エリアは密集する居住区にも隣接して

いることから、更に集約力を高め、周辺住民にとっても恩恵を受ける場を提供する。具体

33

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的には、総合スポーツセンターやナレッジキャピタル 19の併設である。ここでは、例えば、

ICT を活用し、運動や食事の履歴を管理するスマート健康、学習状況や習得レベルを管理

するスマート教育、または行政サービスを電子化したスマート行政なども展開させ、人々

の暮らしもスマートにする「情報のスマート化社会」を実現させる。 2) スマートシティのショールーム的街づくり

ポイント 1 域内には、様々な再エネ・省エネ設備を取り入れ (太陽光発電+小型風力・ゴミ発電・排熱利用)

ポイント 2 ナレッジキャピタルには、スマート技術を紹介する「スマートシティ

PR 館・ツアー」を併設

ポイント 3 次世代自動車(EV 車)の多用化

スマートシティ 100 都市構想で選出された先行 20 都市の取組み内容は、インフラ整備や

生活水準の向上するための要素が高い。そこで、NMSEZ を最先端なスマートシティのモデ

ルエリアとして PR していくことができれば、開発エリアの誘致促進に繋がるだけでなく、

日本企業にとっても技術や製品輸出の後押しとなる。 第一に、域内には太陽光発電だけでなく、様々な再エネ・省エネ設備を組み込みショー

ルーム化する。特に、再生可能エネルギーのショールーム化では、海岸沿いでもあること

から小型風力発電を併設、商業施設では施設内で発生するゴミを活用しバイオマス発電も

しくはバイオガス発電を実施する。また、工業区からの排熱を、隣接する商業施設や温水

プールなどへ熱エネルギーとして供給する。このように、スマートシティで必要となる技

術要素をパッケージ化し、開発エリアに組み込む。 第二は、ナレッジキャピタルを活用したスマート技術の紹介である。ナレッジキャピタ

ルではスマート技術および製品の展示から、域内における取組みの事例紹介、実機の視察

などを実施することで、スマート技術および製品の理解と普及促進に繋げる。なお、この

理解と普及促進活動については、政府・団体・企業を対象としたものだけではなく、市民

や幼少期からの学校教育など幅広く活用することで、エネルギー環境教育の教材としても

利用する。 そして、第三は、スマートシティを象徴する街として、域内で利用する車両は全て次世

代自動車(EV 車)を採用する。 このように、エリアそのものをスマートシティの PR グッズとして活用できる街づくりを

この開発エリアでは実施する。 本開発エリアのイメージ図を、図 2.2.10 に示す。

19 文化・教育・交流などを通じ新たな価値を生み出す知的創造拠点のこと。

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図.2.2.10 Ulwe(Waterfront)地域のスマートシティ化のイメージ図

(b) Ulwe(Airport)地域への提言

本開発エリアは、図 2.2.1 に示す通り、ナビムンバイ北部の新空港に隣接した場所に位置

する。本開発エリアの周辺環境と現況を、図 2.2.11 および図 2.2.12 に示す。 本開発エリアの特徴は以下のとおりである。 ・ 空港に隣接。(空運販路の確保) ・ 隣接道路と鉄道網が充実。(陸運販路の確保) ・ 道路または鉄道による貨物港への輸出が容易。(海運販路の確保) ・ ムンバイ地域と結ぶ連絡橋 MTHL(Mumbai Trans Horbour Link)が敷設予定。

(人・物の流れが活発化) 視察時点では空港の外渠工事が既に始まっているものの、開発エリアについては未整備

の状態にある。なお、湿地地帯も多く、地盤改良なども含めた整地からの工場着手となる

と考える。 以上より、本開発エリアの開発に向けた提言は、以下の 2 点である。

・ 空港を核とした工業およびサービスに焦点を当てる。 ・ 次世代自動車を多用化した環境配慮型街づくりを実施する。 具体的には、以下の施設を構築する。

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図.2.2.11 Ulwe(Airport)地域の周辺環境

図.2.2.12 Ulwe(Airport)地域の現況

1) 空港を核とした工業およびサービスに焦点

小型・軽量 繊維(アパレル)、革製品(カバン、靴)、生活用品、生活雑貨、 文具品、印刷業(本・雑誌類)

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物流・物販 航空便の物流倉庫、ネット通販の物流拠点、 ムンバイを代表する生活用品の大型卸売拠点なども併設

旅行産業 ホテル、ショッピングセンター、展望公園

空港に隣接した開発エリアとなることから、この立地環境が利点となるような工業やサ

ービスに着目する。 第一に、空運貨物が可能となる製品として、小型かつ軽量となる製品の業種を選定する。

具体的には、衣類関連や生活用品、生活雑貨などが主力製品となる。また、経済発展に伴

い進学率や識字率の向上なども踏まえると、文具品や本・雑誌・新聞などの組み込みも効

果的である。また、これらは国内外への輸送を目的とするだけでなく、空港施設や域内の

商業施設などへの商品供給なども活用する。 第二に、航空便の物流拠点とした整備である。ムンバイには既に国際空港がある。しか

し、NMSEZ の工業区を充実させることができれば、新空港の貨物発着数も増加するため、

空港経営にとってもメリットがある。そのため、開発段階から航空便の物流拠点を目指し

た開発を実施する。更に、物流の流れが構築されると、単なる商品の運搬業務だけでなく、

ネット通販の物流拠点や、大型卸売センターなども併設することによって、開発エリアを

中心としたビジネスが広がり、隣接する工場団地の恒久的な発展にも繋がる。 第三は、新空港により人の流れが活発化することに着目し、空港利用者を域内に呼び込

むための工夫をする。そこで、旅行産業に着目し、旅行者向けのホテルなどを併設する。

また、空港利用者だけでなく、ショッピングセンターや展望公園など空港設備をレジャー

設備として活用する工夫なども組み込むことにより、地域に根差した土地開発が可能とな

る。 なお、本開発エリアに導入するスマートコミュニティの技術的な要素としては、これま

で述べてきたものと同様、太陽光発電に代表される再生可能エネルギーや蓄電池を導入し、

各需要家に応じたエネルギーマネジメントシステムを導入する。 2) 次世代自動車を多用化した環境配慮型街づくり

大型車 貨物運搬用 EV トラック 空港・駅など主要拠点間の送迎 EV バス

中小型車 EV タクシー EV レンタカー(将来はカーシェアリングに利用)

本開発エリアでは、空港を核とした工業およびサービスに焦点を当てたことから、この

域内で往来する人や物の輸送機械全てに対して、次世代自動車(EV 車)を採用する。これ

により、運輸部門での低炭素化の実現だけでなく、本開発エリアが環境配慮型の街である

認知度を高めることができ、インド国内を代表するスマートシティの実現にも貢献する。

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本開発エリアのイメージ図は、図 2.2.13 に示す通りである。

図.2.2.13 Ulwe(Airport)地域のスマートシティ化のイメージ図 (c) Kalamboli 地域への提言

本開発エリアは、図 2.2.1 に示す通り、ナビムンバイ北東部のサイオン・パンベル区間の

高速道路沿いに位置する。本開発エリアの周辺環境と現況を、図 2.2.14 および図 2.2.15 に

示す。 本開発エリアの特徴は以下のとおりである。 ・ 他の工業エリア(MIDC TALOJA※1)に隣接。(空運販路の確保) ・ 近くには居住エリア(Kharghar,Belapur,Panvel)が点在。(労働者の確保が容易) ・ 隣接道路と鉄道網が更に充実予定。(陸運販路の確保、通勤環境が更に向上) ・ 空港、港湾、ムンバイ地域と結ぶ連絡橋 MTHL(Mumbai Trans Horbour Link)へ

のアクセスも容易。(人・物の流れが活発化) (注釈)MIDC TALOJA

・マハラシュトラ州産業開発公社 MIDC が開発した工業団地。 ・現在の進出業種としては、鉄鋼(飲食用含む)、プラスティック、塗料、

プリンタ、製薬 R&D センター、繊維など。

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図.2.2.14 Kalamboli 地域の周辺環境

図.2.2.15 Kalamboli 地域の現況

以上より、本開発エリアの開発に向けた提言は、以下の 2 点である。 ・ 隣接工業エリアと差別化した専門性の高い工業に焦点を当てる。 ・ 専門性の高い分野を基軸とした(近隣の居住者サービスにも配慮)街づくりを実施す

る。 具体的には、以下の施設を構築する。

1) 隣接工業エリアと差別化した専門性の高い工業に焦点

精密機械 パソコン・モバイル関連、通信機器、光学機器、 精密機械加工、医療機器

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化学工業 医薬品製造

本開発エリアの最大の弱点は、他の工業団地が隣接していることである。同じ地域に2

つの工業団地があると、企業誘致合戦となり、入居率は低迷する。そのため、先行して整

備された工業団地と極力差別化したエリア開発が必要となる。TALOJA 工業団地に進出し

ている業種を見ると、現時点では業種は偏っていない。そこで、TALOJA 工業団地への進

出業種が確立する前に、本開発エリアの業種を確立させ、企業誘致を促進する、または、

両工業団地間で一定の条件のもと、差別化を行うのも一案である。なお、業種選定におい

ては、今回整理したターゲット業種と NMSEZ の 4 地点のうちデータセンターの構築に最

も適した場所の選定も意識しながら、絞込みを実施した。 第一に、整備する業種としては、精密機械に特化した工業団地である。具体的には、パ

ソコンやモバイル関係をはじめ、通信機器、光学機器などであり、更に専門性の高い医療

機器なども開発エリアに組み込む。 第二に、医療関係として、医薬品製造なども取り込むことにより、他のエリアには見ら

れない専門性の高いエリアが構築される。 導入するスマートシティの技術要素は、他のエリアと同様に、太陽光発電に代表される

再生可能エネルギーや蓄電池の導入と、各需要家に応じたエネルギーマネジメントシステ

ムを導入する。 2) 専門性の高い分野を基軸にした街づくり (近隣の居住者サービスにも配慮)

情報系 情報ソフトウェアの設計開発、 データセンター(クラウド EMS、データバンク)

医療系 総合病院、高度先進医療、医薬品開発

その他 大型商業施設、 拠点間巡回 EV バス(駅、空港、通勤)、 次世代自動車(EV トラック)の多用化

上述したように専門性の高い業種を選択したことから、それに関連する施設を構築する。 具体的には、精密機械の工場が隣接することから情報系分野の業種を選別し、データセン

ターも本開発エリアに構築する。また、医療機器や医薬品製造の工場が隣接することから、

医薬品開発から地域住民サービスの一環として総合病院、高度先進医療なども併設し、総

合医療エリアとして構築する。 更に、開発エリアの周辺には住居エリアが多く点在し、交通インフラも整備されている

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ため、大型商業施設の併設の他、域内に勤務する労働者の通勤手段として、また、主要拠

点への交通機関として、巡回バスなども運行する。なお、域内で利用する車両は、スマー

トシティ戦略として、他のエリアと同様、次世代自動車(EV 車)を採用する。 本開発エリアのイメージ図を、図 2.2.16 に示す。

図.2.2.16 Kalamboli 地域のスマートシティ化のイメージ図 (d) Dronagiri 地域への提言 本開発エリアは、図 2.2.1 に示す通り、ナビムンバイ南東部のムンバイ湾に隣接した位置

する。本開発エリアの周辺環境と現況を、図 2.2.17 および図 2.2.18 に示す。 本開発エリアの特徴は以下のとおりである。 ・ 1,000ha 超えの広大な敷地面積。(NMSEZ の中で最大) ・ 海や河川、溜池に囲まれた海岸地帯。(工業排水路の確保) ・ 貨物港湾に隣接。(海運販路の確保、輸出拠点には好立地) ・ 道路および鉄道網が更に拡充予定。(陸運販路の確保) ・ 空港やムンバイ地域と結ぶ連絡橋 MTHL(Mumbai Trans Horbour Link)にも近い。 (空運販路の確保、人・物の流れが活発化)

また、NMSEZ の4エリアのうち、立地環境と規模から最も工業団地に適したエリアと考

えるが、視察時点では未整備状態であったため、整地からの工事着手になると考える。

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図.2.2.17 Dronagiri 地域の周辺環境

図.2.2.18 Dronagiri 地域の現況

以上より、本開発エリアの開発に向けた提言は、以下の 2 点である。

・海運を核とした大型かつ重量物の製造業に焦点を当てる。 ・産業廃棄物などを活用した環境配慮型街づくりを実施する。 具体的には、以下の施設を構築する。

1) 海運を核とした大型かつ重量物の製造業に焦点

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重化学工業 鉄鋼、金属製品(サッシ、建材)、 化学工業(化学薬品、プラスティック製品)

輸送機械 自動二輪・四輪車(組立て・部品・ゴム製品)、 建築用機械、農耕用機械

電気機械 再エネ機器(太陽光パネル、風力発電、PCS、蓄電池など)の 製造拠点、汎用機械(ポンプ・エレベーター)

物流関係 物流倉庫の拠点

その他 紙・パルプ、繊維、家具加工

商品運搬に海上輸送を利用する場合、本開発エリアは、内陸部よりも運搬コストが安く、

商品提供も迅速に行える環境にある。 そこで、比較的、大型かつ重量物の製造業に着目した業種を選定する。具体的には、建

物やインフラ整備に使用するサッシ、建材などの金属製品、自動車や建築用機械、再エネ

関連機器なども主力業種となる。また、それらに関係するものとして、集合住宅や商業施

設などに使用するポンプやエレベーターなどの汎用機器、塗装などに使う化学工業品など

もある。更には、インドでは農業政策が手厚いこともあり、農業工具の機械化なども今後

需要が増加するものと考えるため、開発エリアに組み込む。その他、広大な敷地面積を活

かし、様々な業種の取込みが可能である。

なお、本開発エリアに導入するスマートシティの技術要素としては、他のエリアと同様、

ベースとしては、太陽光発電に代表される再生可能エネルギーや蓄電池の導入と、各需要

家に応じたエネルギーマネジメントシステムの導入である。 2) 産業廃棄物などを活用した環境配慮型街づくり

ポイント 1 産業廃棄物の域内処理(域内に封じ込め)

ポイント 2 製造過程や産業廃棄物の焼却などにより発生する排熱の面的融通

ポイント 3 次世代自動車(EV 車)の多用化

本開発エリアには、大型かつ重量物の製造業など様々な業種を組み込むことから、他の

開発エリアと比較し、製造業で発生する産業廃棄物も増大する。域内で発生する産業廃棄

物を他の地域で焼却処分するとなると、スマートシティとしてのイメージも悪い。また、

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本開発エリアは、ナビムンバイの中心街が離れ、ナビムンバイ湾に隣接し、広大な敷地面

積であることなども踏まえると、域内で発生した産業廃棄物を域内で処理する仕組みを構

築するには最適な場所とも言える。そこで、ここでは、他の開発エリアとは異なり、ゴミ

焼却炉を併設させることで、環境配慮型を意識したエリアとして昇華させる。 ゴミ焼却炉については単に産業廃棄物の焼却のためではない。焼却炉からの排熱を熱エ

ネルギーとして域内に提供することによって、エネルギーの有効活用が図れ、強いては低

炭素化にも繋がる。更に、域内には大型かつ重量物の製造業を組み込んでいることから、

ここでも大量の排熱が生じるため、この熱エネルギーについても域内で活用すれば、更に

効果は向上する。 域内で利用する車両は、スマートシティ戦略として、他のエリアと同様、次世代自動車

(EV 車)を採用する。 本開発エリアのイメージ図は、図 2.2.19 に示す通りである。

図.2.2.19 Dronagiri 地域のスマートシティ化のイメージ図

ここまで提言した内容は、インドでの先進的なスマートシティを目指すという開発目的

に適合することができるが、最終形の高いスペックの開発計画であると言える。そのため、

実施可能な事業計画に展開するには、今後、以下のステップを踏んでいく必要があると考

える。 (STEP1) 開発主体としてどのレベルまで実現したいのか検討 (STEP2) 開発主体が実現したい内容の更なる具体的化

(必要により各分野の企業なども活用) (STEP3) 確定した実施内容について、開発エリア毎に開発フェーズをプラン化

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(STEP4) 開発フェーズに応じて事業採算性(FS)の検討 また、開発主体の開発の順位は2(1)の通りであるが、現地視察の結果、現時点では、

工事着工が容易な Ulew(waterfront)を先ずは優先させ、スマートシティを構築する経験値

を高める。その後、空港運開と極力併せるため Ulwe(Airport)の開発を優先させ、それらの

経験を活かし、NMSEZ で最も工業団地に適した Dronagiri を開発する。そして、最後に

Kalamboli を開発する順序が望ましいのではないかと考える。なお、Kalamboli の開発ま

では、データセンターは別の場所に仮置しておき、Kalamboli の完成と併せて移転する。 最後に、各開発エリアは、数年後にはムンバイ地域と結ぶ連絡橋の完成で、ナビムンバ

イの経済圏は大きく広がり、国内外から益々脚光を浴びるスポットになる。そのため、広

大な開発地を効果的に活用し、開発初期から「経済成長」と「環境配慮」との両立を目指

した街づくりが必要ではないかと考える。そのコア技術として「省エネ」「創エネ」「蓄エ

ネ」の3点セットの導入と「ICT の活用」が鍵となる。今回、提案したスマートシティの

展開は、ナビムンバイにこれまでにない「工業区と商業・居住区とが共存する街づくり」

と「域内における豊かな暮らしと経済活動」をサポートするものであり、スマートシティ

100 都市構想のガイドラインの要求事項にも適合しているものと考える。 3. 事業化のためのファイナンスの検討 3.1 インドのスマートシティの資金源 インド政府は 2015 年、スマートシティ整備事業の対象となる 98 都市を発表し、整備事

業実施には、政府が各都市の開発計画書を審査した上で、100 都市を対象に 5 年間で 4,800億ルピーの予算を振り向けられ1都市当たり 10億ルピーが毎年支給されることになるとの

報道がある。マハラシュトラ州ナミムンバイは、2006 年日印政府間で合意したデリー・ム

ンバイ間産業大動脈(DMIC)構想にカバーされており、工業団地、物流基地、道路・港湾、

商業、住居施設などのインフラ整備が進められる。主たる事業である、高速貨物専用道路

(DFC)、チェンナイ地下鉄建設事業、西ベンガル州上水道整備事業に JICA はインド政府

向け円借款総額 1,830 億 7,900 万円を限度に貸付契約に調印している。DFC 周辺では、日

印双方で様々なプロジェクトが始まっており、日本側では、マハシュトラ州での双日によ

る FTWZ(Free Trade&Warehouse Zone、物流加工保税区)と鉄道輸送を合わせた複合物

流インフラ事業など、インド側では、工業団地(シェンドラービドキン地区、スーパーネ

ワサータブラプリ地区)、物流のほか、ナビムンバイはコンベンションセンタープロジェク

トなどが上がっている。 これらの都市開発には、初期投資の資金調達に、民間の資金を活用し、料金収入が見込

めれば、PPP スキームを活用するケースが多くみられる。例えば、高速道路、港湾の整備、

運営は料金収入が見込まれるが長期的リスクが内包される。上水や電力供給は料金収入が

低いため ODA などに依存しがちである。DMIC の場合、プロジェクト開発ファンド(Project Development Fund)が DMIC 開発公社に組成され、インフラ個別案件毎に州政府により

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特別目的会社(SPV)を設立し、実施可能性調査、許認可、土地をパッケージ化し、入札によ

り、SPV を民間事業者に売却するスキームをとっている。マハラシュトラ州では、マハラ

シュトラ州産業開発公社(MIDC)が担っている。JBIC は、2009 年 12 月にインドインフ

ラ金融公社(IIFCL)に対し、DMIC 構想推進のための事業開発資金として 7500 万ドルを

限度とした融資契約を締結しており、主に日本に関連のあるプロジェクトに活用されるこ

とが想定されているが、インドの公共入札制度においてどの範囲で適用可能かは明確では

ない。これらの開発計画を背景に、ナビムンバイスマートコミュニティの事業化に関連し

てファイナンスについて検討する。

3.2スマートコミュニテイ計画の事業化のファイナンス面での現状

2009 年末、DFC 周辺開発にスマートシティ計画が盛り込まれた。マハラシュトラ州では

シェンドラ地区に対して、2011 年に日揮株式会社が幹事となり、横浜市と、三菱商事、荏

原エンジニアリング、日本 IBM、日建設計などのコンソーシアムで実施可能性調査を実施

している。そのほかにも、日系企業コンソーシアムでいくつかのスマートシティの調査が

行われている。これらの計画は、主に、IT制御によるエネルギーネットワーク構築、ス

マート交通・物流インフラ、再生可能エネルギーや蓄電池を利用したスマートグリッドな

どの要素を盛り込んだ絵図である。我が国でも実証段階に進んでいるスマートシティ事業

は多くなく、地権者が1者でありエネルギーの需要者がすでに多くが決まっている場合で

あるという。また、再生可能エネルギーの固定買い取り制度は必須であり、需要家側の努

力(負荷カーブ整形による節電、デマンドレスポンス等)以外のインセンティブの設定な

どが必要とされる。実際にはスマートシティとして収益の上がるビジネスモデルを描くこ

とは容易ではなく、アブダビのマスダールシティのスマートシティが成功したとされるの

も、住宅分譲および法人テナントの入居が成功しなければ付加価値に対して投入されるコ

ストを回収することは難しいとされている。

3.3インド政府の再生可能エネルギーおよび省エネルギー資金源

インド政府には、スマートシティを実装する際に有効な再生可能エネルギーおよび省エ

ネルギーに関する資金施策が多くとられており、スマートシティへの資金源の誘導のイン

センティブになる。都市開発自体にもインセンティブはあるが、本項では、二国間クレジ

ット制度の対象事業である再生可能エネルギーおよび省エネルギーの施策について以下に

まとめる。

3.3.1 インド国内の資金源及びプログラム

(1)再生可能エネルギー関連のインセンティブスキーム インド政府は、再生可能エネルギー推進策として、2009 年から固定価格買取制度(FIT)

を導入したほか、初期コスト支援・補助金、採算性ギャップに対する補助金、貸出優遇金

利、税制優遇(関税免除、付加価値税減免、減価償却の加速)、売買電支援・買取価格補助

など、さまざまな優遇措置を打ち出している

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表 3.1 インドの再生可能エネルギー支援策 産業政策 i) 新エネルギー・再生可能エネルギー省(MNRE)による新規大規模開発に関する指針:

インドの設備容量の 69%を占める風力発電開発に関する様々な資金援助政策や促進政

策を定めている。発電収益にかかる所得税の免除などの財政優遇措置が含まれている。 ii) 小規模/超小規模水力発電プロジェクト支援:MNRE は、官民両部門における小規模 / 超

小規模水力発電事業の立ち上げに対し資金援助を行っている。 iii) 国家海上風力エネルギー政策:2015 年 9 月に承認された。外国直接投資や官民パーナー

シップ、国際協力を促進するため、財政的なインセンティブの策定が示唆された。 iv) アンドラ・プラデッシュ州、ハリヤナ州、パンジャブ州、マディヤ・プラデッシュ州、

マハラシュトラ州、ラジャスタン州、タミル・ナドゥ州、グジャラート州、ケララ州、オ

リッサ州、そしてウェスト・ベンガル州の州電力規制委員会は、風力発電で生産された電

気の購入に対し優遇税率の適用を発表している。マハラシュトラ州には再生可能エネルギ

ーの優遇タリフの命令については現在パブリックコメント中、屋上型や小規模ソーラーの

2015 の命令がでている。 2014 年連邦予算における規定 風力発電機に使われるベアリング製造に用いられる鍛造スチールリングに課される物

品税率が 12%からゼロに引き下げ。 太陽光発電電池 / モジュール、太陽光発電機器 / システムや平面太陽光集光器に使わ

れる太陽光強化ガラスについて、物品税が全額免除される。 太陽光発電所建設に必要な機械や機器について物品税が全額免除される。 太陽光セル / モジュール製造で使われるバックシートや EVA シート、その他特定の

原材料について物品税を全額免除。 非従来型エネルギー機器を製造する工場内で消費される部品に対する物品税の全額免

除。 太陽光セル / モジュール生産に使用する PV リボン ( 錫被膜接続 )の原材料の平面

銅線にかかる物品税の全額免除。 圧縮バイオガス工場設立に必要な機械や機器について物品税を全額免除。 風力発電機部品のベアリング製造に使われる鍛造スチールリングについて、基本関税

率 ) を 10%から 5%に軽減。 風力発電機の部品にかかる特別追加関税 Special Additional Duty の完全免除。 太陽光発電所設立に必要な機械、機器にかかる基本関税率を 5%引き下げ。 太陽光パネルのバックシートや EVA シート生産に必要な特定の材料について基本関

税が全額免除。 太陽光 PV セル / モジュールに使用される PV リボン ( 錫被膜接続 )生産に使用さ

れる平面銅線にかかる基本関税の全額免除。 圧縮バイオガス工場の設立に必要な機械、機器に関して優遇関税率 5%の適用。 太陽光発電部門の開発のためインド政府が提供する優遇措置: 太陽光発電所設立に必要な部品や機器について物品税の免除、および優遇輸入税率の

適用の引き下げ。 太陽光発電事業に対し、10 年間の免税措置。 送電、銀行取引、第三者電力販売と電力買い戻し等に対する州政府の優遇措置。 州による電力買い上げを義務化し、市場を保証。 送電容量 33KV 以下の送電網に接続する小規模太陽光発電プロジェクトのための、発

電容量ベース優遇措置。インド政府は、33kV 以下の送電網に接続する小規模太陽光発

電プロジェクトを用意。 送電料が他の従来エネルギーに比べ低く抑えられている。

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再生可能エネルギー分野に特化した経済特区 (SEZ) からの輸出に対する特別優遇措

置。 州の電気水道ガスサービス/電力送電公社のデフォルトリスクに対応する補償金システ

ム。 送電網に接続しない太陽光発電および太陽熱プロジェクトに対し、事業費の 30%を補

助。 送電線を利用しない発電プロジェクトに対し、優遇ローン金利を適用。 バイオマス発電事業のための資金援助措置 加速償却:初年度に限り特定の機器に対し、80%の償却申請を認める。 所得税を 10 年間免除。 プロジェクト立ち上げの期間は、機械や部品に対し、優遇関税率を適用し、物品税を

免除する。 特定の州では売上税の免除を適用している。 バイオマス発電とバガス熱電併給の立ち上げ事業については、インド再生可能エネル

ギー公社(REDA)が資金援助を行う。 小規模水力発電プロジェクトに対する資金援助 特恵関税。 小規模/超小規模水力発電機を設置する州政府や民間部門に対する、中央政府による資

金援助。 優遇関税率の適用。 10 年間の免税。

また、MNRE は、金融面から再生可能エネルギー、省エネルギーおよび環境技術への投

資を支援・促進するため、1987 年にインド再生可能エネルギー開発公社(The Indian Renewable Energy Development Agency Ltd.:IREDA)を設立し、再生可能発電と省エ

ネルギービル基準(ECBC:Energy Conservation Building Code)を含む省エネルギーの

プロジェクトに金融支援を行っている。対象分野のプロジェクト、機器の製造、機器の取

得を対象として必要資金の 70~80%を期間6~10年、金利9.75~12.75%で融資している。

世界銀行も同公社に省エネルギープロジェクト支援のためのクレジット・ラインを供与し

ている。 なお、上述の再生可能エネルギー法案では、再エネ導入強化のための技術支援、財政支

援等が盛り込まれ、目標達成を資金面で支援するため、国家再生可能エネルギー基金

(National RE Fund)を設立する一方、州政府は州レベルで緑の基金(State Green Funds)の設立も可能にし、再エネプロジェクトへの資金支援やエクイティ投資、リスク負担、研

究開発への資金支援を推進するとしている 20。同法案は 2016 年に議会に提出される予定で

ある。

(2)省エネ関連のインセンティブスキーム エネルギー効率向上に関する資金プラットフォーム(Energy Efficiency Financing

Platform; EEEP)やエネルギー高効率経済開発のための枠組み構築(Framework for

20 2015 年 12 月に 10 億ドルのエクイティ基金の設立の予定が明らかにされたが、当初は

国有企業の再エネ事業に投資するとしている。

48

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energy efficient economic development; FEEED)がある。EEEP では、ESCO の促進、

合理的な貸出利率の提供や金融機関のキャパシティビルディングが実施される。FEEED の

下では、エネルギー効率向上プロジェクト向けのベンチャーキャピタルファンドとリスク

部分保証ファンドの設置が考えられている。 インドでは、アジアの途上国としては比較的早く、2002 年に省エネルギー法を施行、エ

ネルギー効率局(BEE)を設立して本格的な省エネルギー政策の取組を開始した。2008 年の NAPCC の一部として策定された「国家省エネルギー計画(National Mission for Enhanced Energy Efficiency: NMEE)」では、省エネ証書(ESCerts)取引制度(PAT)やエネルギー効率向上のためのファイナンスプラットホーム(ESCO ビジネスの推進、融

資制度など:EEFP)が設定された。そのほか、省エネ機器への切り替え促進策や、インセ

ンティブの設定、税制優遇といった省エネ財政政策が制定されている。また、モディ政権

は、2015 年都市圏の急速な拡大に対し、政府は国内 100 都市を対象とするスマートシティ

整備事業を策定、5 年間で 9,800 億ルピーを予算配分した 21。

表 3.2 国家エネルギー計画(NMEE)で規定された省エネ資金メカニズム

省エネ証書取引制度

(Perform, Achieve and Trade:PAT)

省エネにおける cap-and-trade 制度。8 つの業種の指定エネルギー

消費者(DC)に対し、達成すべきエネルギー消費原単位(SEC)が設定され、超過達成する企業と目標達成できない企業間で、省

エネ証明書(ESCerts)が取引される。 エネルギー効率向上の

た め の 市 場 変 化

(MTEE)

国際資金・CDM の活用促進策

エネルギー効率向上の

ためのファイナンスプ

ラットホーム(EEFP)

政府のプログラムを通じた資金と人材面からの ESCO 市場の育

成促進事業

エネルギー高効率経済

開発のための枠組み構

築(FEEED)

部分リスク保証基金(PRGFEE)、省エネベンチャーキャピタル基

金(VCFEE)等のファイナンス制度

なお、州政府には州指定機関(State Designated Agency: SDA)が設置され、BEE の方

針に基づいて州内の省エネ政策を推進しており、「州エネルギー基金」も設立されている。

(3)インフラ投資機関

インドでは銀行とは異なる、インフラや発電プロジェクトを専門に投融資する企業が多

数存在しており、Indian Renewable Energy Development Agency Limited(IREDA)、PTC India Financial Services Limited(PFS)、 Power Finance Corporation Limited(PFC)、

India Infrastructure Finance Company Limited(IIFCL)などが該当する。

21 World Energy Council "2015 World Energy Issues Monitor"

49

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IREDA は、再生可能エネルギー、省エネプロジェクトへの融資を行うノンバンクで、国

内金融機関だけでなく世銀や ADB との協調融資も行っており、JICA や KfW(独)、NIB(ノルウェー)、AFD(仏)からの資金受け入れ実績もある。 PFS は、発電セクターに特

化した投融資を行ってきており、これまで 500 億ルピーの投融資実績がある。この 1 年は

再生可能エネルギーに焦点を当てているものの、超臨界圧石炭火力発電所 7~8 件(合計

13,000MW)にも資金供給実績がある。

3.3.2 海外の資金源及びメカニズム

(1)世界銀行、アジア開発銀行等からのスマートシティに対する資金源 インド政府のスマートシティ整備事業の2015年からの 5年間で4,800億ルピー(約 8,600

億円)の予算は、世界銀行およびアジア開発銀行から 2015 年から 2020 年までのローンか

ら賄われる。インド経済省は、さらに BRICS 新開発銀行、アジア投資インフラ銀行、KfW、

GIZ(独)、AFD などにもアプローチをして資金を募る予定である。 これらの国際開発金融機関は、スマートシティのプラン作りに対しても技術支援を提供

し、これには英国、USAID も加わる。 (2)外資系銀行

外資系銀行もインドにおいて活発に活動しており、資金需要旺盛なインフラ関連案件に

も融資を行っている。進出 35 行のうち、シティバンク、スタンダード・チャータード銀行、

HSBC が 3 強であり、日系では三菱東京 UFJ 銀行及びみずほコーポレート銀行が支店を有

している。昨今の欧州金融危機の影響に伴い、欧米系が引き締めを行っている中、アジア

系の銀行に勢いがある。 3.4 インドのスマートシティに関連するファイナンスの課題 (1) 低初期コストの追求

初期コストが高い日本技術がプロジェクト期間では正味現在価値は高くても、投資回収

までに時間がかかる。インドの金融機関等は、現地事業者が設備投資を行う場合、ライフ

サイクルコストより、初期コストの抑制に非常に重きを置いている。また、インドでは高

成長に支えられて、省エネより生産拡大の優先順位が高く、結果的に、高効率の最先端設

備よりエネルギー大量消費型であっても安価な設備導入となる傾向が高い。現地金融機関

関係者によっては、日本の高品質・高効率技術の優位性は認めつつも、最も安い他国の同

様技術の 20~25%以内の価格帯に収まらない検討は厳しいとしている。

(2) 実証事業の重要性 同国では、新技術など、実験や調査に基づくデータよりも当該設備の使用実体験や他の

事業者からの口コミに基づいて意思決定されることが多いといわれる。したがって、イン

ド市場に適合した技術・製品によるパイロットプロジェクトを通じて技術の実証を早い段

階から行い、インド事業者の日本技術への安心感を高めることが重要である。

(3)低水準に抑えられているエネルギーコスト

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インドの電力価格は低く抑えられている。インドの電力部門財政の悪化原因は、産業用・

工業用の電力料金と比較して、農業・住宅用の電力料金を意図的に低く設定している事に

あり、金融機関も新たな投資には消極的。また、インド配送電会社との電力購入契約では、

実質稼働率の 85%までと、それ以上発電した場合の 1kWh あたりの固定価格が別に定めら

れており 85%以上の発電分に対する買取価格は極端に低い。このため、発電効率を上げて

発電する魅力がない。 3.5 ナビムンバイスマートコミュニテイ計画の事業化の資金調達手法 スマートシティ事業を実装するためには、優先順位を決めたマスタープランに合わせ、

事業をいくつかのフェーズに分けて実施していくことになる。土地に関しては、開発事業

者である SKIL 社がすでに入札により地方政府から取得済みで土地収用は完了していると

の情報である。今後は、まずは基本的都市開発の要素である上下水道(マハラシュトラ水

供給衛生局からの許可取得済み)、電力供給施設などのインフラ設備に関して、EPC 契約を

結び実施していく。ナビムンバイスマートシティの事業計画提案には、前述した、経済産

業省から日揮コンソーシアムが平成 22 年度の事業として受託した「インフラ・システム輸

出促進調査等委託事業(グローバル市場におけるスマートシティ等の事業可能性調査)」で、

DMIC が促進するマハラシュトラ州シェンドラ地区業団地の持続可能なインフラ開発に対

して行った調査が参考となる。 3.5.1 インドの PPP 制度 前述のとおり、スマートシティの各コンテンツの事業化は、SPV を設定し PPP のスキー

ムを使って実装することが考えられる。 財務省経済局内の ”Guidelines for Financial Support to Public Private Partnerships in Infrastructure”22に従って各州が PPP ユニット(PPP セル)を設置しており、特にアンドラ・

プラデーシュ州、グジャラート州、パンジャブ州の 3 州は PPP インフラ事業に関する包括

的な法整備が行われている。 インドには PPP 支援のため Viability Gap Funding (VGF)制度がある。これは事業自体では

採算性が低い社会的に意義のあるインフラ案件を商業的に成立させるため、事業採算性の

不足分を政府の無償資金補助で補うもので、全体事業費に対して中央政府から 20%、実施

機関が政府または政府系機関である場合、実施機関からさらに 20%、併せて最大で全体事

業費の 40%の補助金(Grant)が供与可能である。PPP セル 23が供与機関となり、承認機関

は VGF の申請額によって異なる。 ・ 10 億ルピーまでの VGF:Empowered Institution(EI、承認組織)24による承認

22 http://pppinindia.com/VGF_Guidelines_and_Forms.php 23 http://pppinindia.com/approval-committees.php#2 24 Empowered Institution (EI、承認組織): An institution, company or inter-ministerial group designated by the Government for the purpose s of this Scheme

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・ 20 億ルピーまでの VGF:Empowered Committee(EC、承認委員会)25による承認 ・ 20 億ルピーを超える VGF:Finance Minister と EC による承認 インド VGF スキームの適用基準は民間出資比率が 51%以上、調達方式が公開競争入札で

あり、民間企業が事業の資金調達・建設・維持・運営を行う場合となっている。さらに、

サービス提供の対価を利用者から直接受け取る事業で、事業採算性向上のために料金(使

用料)の引き上げや事業期間の延長が出来ないことなどが適用基準となっている。26適用

範囲は、道路・橋梁、鉄道、港湾、空港、灌漑・水路、電力、都市交通、上水道、下水道、

廃棄物処理、その他物的都市インフラ、特別経済地区(Special Economic Zones)内のインフ

ラ事業、国際コンベンションセンター、その他観光関連インフラ等が対象となっており、

2013 年 7 月までに 31 事業(総事業費 1,008.6 億ルピー、VGF 合計 198.7 億ルピー相当)が

最終承認された。表 2.3.3 は VGF のセクター別プロジェクト数である。

表 3.5.1 インド中央政府による VGF 承認・供与状況(2013 年 7 月) VGF 申請

承認プロセス

(2013 年 7 月)

プロジェクト数(合計・セクター別)

合計

交通

電力

教育

地下鉄

鉄道

空港

上水

医療

その他

最終承認案件 31 30 1 0 0 0 0 0 0 0

基本承認案件 116 102 1 10 2 0 1 0 0 0

承認検討中 8 3 1 1 1 0 0 1 1 0

その他提案案件 8 5 0 0 0 2 0 0 0 1

合計 163 140 3 11 3 2 1 1 1 1

出典: PPP in india website

また、インドのその他の PPP 支援スキーム及び州レベルのスキームを表 3.5.2 と表 3.5.3に示す。

25 Empowered Committee (EC): 財務省経済局局長「Secretary (Economic Affairs)」を議長とし、

歳出局局長「Secretary (Expenditure)」、計画委員会次官「Secretary (Planning Commission)」、その他当該プロジェクトの所管官庁次官「Secretary of the line ministry dealing with the subject」で構成される承認委員会 26 Scheme and Guidelines for Financial Support to Public Private Partnerships in Infrastructure, Annex-1, 3 Eligibility

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表 3.5.2 PPP スキームの一覧 施策 概要 関連機関 開始年

Viability Gap Funding (VGF) 資本費に対する補助金供与 財務省 PPP セル 2005

India Infrastructure Finance Company Limited (IIFCL)

長期資金供与 IIFCL 2006

India Infrastructure Project Development Fund(IIPDF)

案件形成に対する無利子融資 財務省 PPP セル 2008

Infrastructure Debt Funds (IDF) Mutual Fund かNon-bank financial company (NBFC)による債権の買取

RBI, SEBI 2013

出典:PPP India Database27

表 3.5.3 マハラシュトラ州における PPP インフラ支援スキーム

スキーム名称 略称 資金の 性質

電力

水道

道路

地下鉄

港湾

産業/都市

Maharashtra Suvarna Jayanti Nagarotthan Mahaabhiyan MSJNM 無償資金

補助 〇 〇

Maharashtra Urban Infrastructure Fund

Project Finance Fund MUIF_PFF

無償資金 補助 △ △ △ △

貸付 Project Development Fund

MUIF_PDF 成功報酬型資金供与 △ △ △ △

Debt Service Reserve Fund MUIF_DSRF 債務保証 △ △ △ △ △ △

注:表中の「○」は該当セクターが対象であると明記があるもの、「△」は該当セクターが対象であると想

定されるもの。

出典:JICA「インド国 PPP インフラ事業への外国直接投資の促進に関する基礎情報収集調査ワークショ

ップ資料」を基に MUMSS 作成

3.5.2 ナビムンバイスマート PPPスキームによる資金調達の検討

ナビムンバイ特別経済区(NMSEZ)はDMICの一環であるためプロジェクト開発ファンド

(PDF)の活用を見込み、SKIL 社はすでに以下の4者で SPV を組成し土地収用、資金調

達などをしており、地方自治体に代わりマハラシュトラ州地域タウン計画法 1966 で許可が

与えられ同地区の開発を担っている。 【ナビムンバイ経済特区 SPV のメンバー】 ① Skil Infrastructres Ltd.

27 PPP India Database www.pppinindia.com/pdf/draftnationalppppolicy.pdf

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② Reliance Group(金融・通信・電力・インフラ・メディア・不動産・ヘルスケアなど

幅広く事業を展開する民間コングロマリット) ③ Jai Corp. ④ CIDCO Ltd.(マハラシュトラ州都市産業開発公社) 本項では、SPV が JCM の対象である太陽光発電事業および BEMS/インバータエアコン

(INV-AC)事業をスマートシティとして面展開する場合の資金調達のスキームについて検

討する。スマートシティ整備事業には1都市当たり毎年 10 億ルピーが与えられるとされて

いるが、当該資金は水、ごみ処理、送配電網などの基本インフラから活用されることを考

えれば、本対象事業に対して独立した形での資金スキームの検討が必要であると考える。 (1)SPC が太陽光発電所を所有 再生可能エネルギー事業における資金調達は、一般的に、特別目的会社(SPC)を設立し、

返済原資を売電収入というキャッシュフローに依拠するプロジェクトファイナンス形態と

なる。SPC は電力の供給に関してはマハラシュトラ州配電会社(MSEDCL)と契約をし、

同州の太陽光エネルギーへの優遇タリフを活用することとなる。SPC は IPP として太陽光

発電事業を行い、発電事業へは SPV だけでなく日印で別途民間が出資することにより、日

本機器導入の機会を高められる。国内外の融資には前述の資金源以外に、JBIC、JICA な

どの海外投融資スキームなどの適用も考えられる。SPC は MSEDCL に売電し売電収入を

得る。NMSEZ 内の電力使用者が MSEDCL へ支払う電力料金については、他の州に比べて

競争力があれば同地区への投資誘致に支障をきたすとは言い難い。

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図 3.1 SPC が太陽光発電所を所有する場合のスキーム (2)導入機器を NMSEZ 内の企業および居住者にリース NMSEZ 内に誘致された商業施設所有者、居住用不動産所有者などに対して、BEMS や

INV-AC、屋上型太陽光機器などの導入を促すために、ビルの省エネコードなどの啓蒙や屋

上太陽光設置の優遇措置の啓蒙など、同地区への誘致の際のガイドラインなどを作成する

ことにより促進、もしくは条件づけなどが考えられる。しかしながら、日本企業の機器も

含め初期投資が高額になることは否めず、BEMS/インバータエアコンを NMSEZ に誘致さ

れた企業もしくは建物に導入するためには、導入のインセンティブを作る必要がある。そ

こで、機器導入者の初期投資費用を軽減するために機器リーススキームを SPV が提供する

ことは一法と考える。 平成22年度経済産業省委託による野村総合研究所の「販売金融事業者のアジア展開に

関する調査」によれば、インドにおいては個人耐久財、自動車、二輪車、工作機械、情報

機器などのリースは提供されている。 これらのリース会社が、対象機器を導入する企業等に対し対象機器をリースし、利用者

MIDC

出資

NMSEZ SPV 州発電公社

(MSPGC)

出資

電力供給

日印株主出資

SPC(太陽光発電) MSEDCL

電力料金(+@)

      融資    電力供給

地場銀行

/国内外公

的融資

       電力料金

NMSEZ内

電力供給先

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は、対象機器を利用することによって通常支払わなければならない電力料金との差額分(省

エネ分、太陽光発電分)によりリース料を支払う一方、リース会社が初期の機器調達に必

要な資金に関しては、省エネおよび太陽光推進のための国内外の公的資金の低利融資を活

用する、もしくは、地区での導入促進のために、SPV が低利でリース会社に融資すること

によりリース会社に同スキームを実施するインセンティブとする(図 3.2 参照)。

図 3.2 SPC が機器をリースする場合のスキーム 4. リスク低減策の検討 今回提案したスマートシティの開発には、膨大な資金と年月が必要となる。今回、資金

面では、スマートシティ 100 都市構想において先行 20 都市に選出されなかったため、中央

政府からの補助金獲得はできなかった。しかし、現時点では、ナビムンバイの開発につい

ては、マハラシュトラ州政府が資金援助する予定となっている。

MIDC

出資

NMSEZ SPV国内外公

的融資  低利融資

低利融資

リース会社

    BEMS/INV-AC:機器リース リース料金 リース料金  太陽光機器リース

(省エネ分) (太陽光発電分)

商業施設所有者等  住居施設所有者等

(マンション所有者、

ハウジング会社)

電力料金(-省エネ分) 電力供給 電力供給             電力料金 (-太陽光発電分)

MSEDCL

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州政府の資金援助を継続するためには、州政府にとってのメリットも必要である。州政

府にとっては今回開発する工業団地の誘致が成功し、税収面の向上、雇用改善、環境改善

などが図れることである。そのためには、全体のグランドデザインを策定したうえで、サ

イト内の細分化や構成要素なども細分化し、費用対効果なども見ながら、段階的にスマー

トシティを展開していくことがリスク低減に繋がるものと考える。 また、NMSEZ の開発事業者をスキル社のみが実施するのではなく、NMSEZ の開発に賛

同するステークホルダーを集め、資金面も含め、開発要素の分散化なども必要と考える。

この点で、スマートシティのショールームづくりは、如何に NMSEZ におけるスマートコ

ミュニティが意義をなすかを対外的に示すことに役立ち、ステークホルダー集めの一役も

担うことができるものと考える。

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第 3 章 事業化した場合に適用可能な排出削減方法論の検討、同方

法論を用いた排出削減見込量の試算 1. JCM プロジェクトで採用する技術の検討

第 2 章の NMSEZ 開発提言では、さまざまな技術の導入への提言を行ったが、本章では、 ① 日本の低炭素技術・製品普及の可能性 ② どういった産業が進出するか不明であり、工場における製造プロセスに直接関係する

ものを対象にすることは難しいこと ③ 系統からの電力の供給が期待できること ④ JCM としての排出削減量の MRV の確実性

を考慮して、JCM プロジェクトとして、まず、第 1 段階として、次の 3 つの技術を取り上

げ、次節以降で、排出削減方法論の検討、同方法論を用いた排出削減見込み量の試算を行

う。 1. 太陽光発電 2. 商業施設への BEMS(Building Energy Management System)導入 3. 住宅へのインバータエアコン導入

なお、太陽光発電については、設備容量で 210MW 程度を想定しており、面積では 147ha程度となり、NMSEZ の全体の面積 2000ha に対して、その地面および屋根に十分に設置で

きる。 また、インバータエアコンに関しては、現在、インドにおけるエアコンの機器効率は、

機器の定格電力容量に基づくエネルギー消費基準(Energy Efficiency Ratio: EER)を評価手

法として採用しているが、今後、期間効率(Seasonal Performance Factor: SPF)の評価手法を

採用することが検討されている。 2. 適応可能な JCM-MRV の検討

2.1 太陽光発電

インドは一日当たりの日照時間が長くまた日射量が強いことから、太陽エネルギーは有

望なエネルギー源とされている。インド政府は 2010 年に「ジャワハルラール・ネルー国家

ソーラーミッション(Jawaharlal Nehru National Solar Mission: JNNSM)」を策定して

おり、2022 年までに合計 20GW の太陽光発電を導入することを目標に掲げた。2015 年 6月に目標が改訂され、2022 年に 100GW の太陽光発電の導入(うち 40GW はルーフトップ

型、60GW は中大規模の系統連携型)を目指している 28。ただ現状は、電源構成における

28 2008 年に発表された「気候変動に関する国家行動計画(NAPCC:National Action Plan

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太陽光発電は全体の 1.5%程度(4,346.82MW)に過ぎない。

図 3.2.1 インド全体の電源構成(左)と RES 内訳(右)【2015 年 12 月末】 *1 RES=Renewable Energy Sources(再生可能エネルギー源)。

*2 小水力は 25MW 以下の規模のものを指す。

出典:CEA Executive Summary Power Sector に基づき MUMSS 作成

また本プロジェクトの対象地域であるマハラシュトラ州は「新・再生可能エネルギー源

由来の系統連系発電プロジェクトに関する方針(2015)」において、今後 5 年で 7,500MW の

太陽光発電の導入を目標に掲げているが、現状承認されているプロジェクトの合計容量は

360.25MW29である。 本プロジェクトで太陽光発電を導入することは、インド政府及びマハラシュトラ州が掲

げる政策に寄与するものである。 2.1.1 適格性要件

on Climate Change)」の下で「Jawaharlal Nehru National Solar Mission」(JNNSM)

は太陽光発電の推進を担う重要な国家イニシアティブとなっている。この JNNSM の下で

の太陽光発電の目標導入量はイニシアティブ開始当初は 2022年に 20GWであったが、2015年になってから 2022 年 100GW へと大幅に拡大された。 29 Maharashtra Energy Development Agency http://www.mahaurja.com/PDF/PG2_GridConnSPPCommissioned.pdf

石炭

60.86%

水力

14.99% ガス

8.61%

原子力

2.03%

ディーゼル

0.35%

風力

8.57%

小水力*2

1.46%

バイオマス

1.6%

太陽光

1.53%

廃棄物

0.04%

RES*1

13.2%

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表 3.2.1 適格性要件 要件 内容 設定根拠

適格性要件 1 当該プロジェクト活動は、当該プロジェクト活動実施

前に再生可能エネルギーによる発電プラントが稼動し

ていないサイトに太陽光発電システムを新規導入する

ものである。

インドにおける太陽光発電

の設備容量の全体の 1.5%程

度に過ぎず、当該プロジェク

トはインドが推進する太陽

光発電に関する政策に寄与

するものである。 適格性要件 2 当該プロジェクトで導入される太陽光発電システム

は、グリッドに連結、もしくはプロジェクトサイトの

内部グリッドに連結している。

当該プロジェクトは系統と

の連結が可能となるメガソ

ーラー及び建物のルーフト

ップ太陽光発電を対象とし

ている。 適格性要件 3 オペレーションを含むトータルサービスが提供されて

いる。 確実な効果を一定期間保証

し、ホスト国への貢献を最大

限確保する。 適格性要件 4 プロジェクトで導入される太陽光発電システムの太陽

電池は、国際電気標準会議(IEC)による性能認証規

格及び安全認証規格の認証、もしくは、これらに完全

整合する国家規格の認証を受けている。

具体的な国際電気標準会議(IEC)の規格は:

- 性能認証規格: IEC 61215(結晶系)、IEC 61646(薄

膜系)IEC 62108(集光型)

- 安全性認証規格: IEC 61730-1(構造審査)及び IEC

61730-2(試験)

インドでは一部製品の性能

低下や故障・不具合の発生が

問題となっていることから、

国際電気標準会議(IEC)に

よる性能認証規格及び安全

認証規格等の認証を受けて

いる機器を選定することに

より、製品の品質と信頼性を

付与し、安定的な稼働による

確実な排出削減を実現する。

リファレンス排出量の算定 当該方法論におけるリファレンス排出量は、太陽光発電システムが導入されない場合に

使用されるグリッド電力システムに連結している発電所における化石燃料利用から発生す

る CO2 排出量であり、当該プロジェクトによる発電量にグリッドの CO2 排出係数を乗じる

ことにより求める。

𝑅𝐸𝑝 = 𝐸𝐺𝑖,𝑝 × �1 + 𝐼𝑛𝑣𝐿𝑜𝑠𝑠𝑃𝐽 − 𝐼𝑛𝑣𝐿𝑜𝑠𝑠𝑅𝐸�× 𝐸𝐹𝑔𝑟𝑖𝑑 パラメータ 詳細 ソース RE p 期間pにおけるリファレンス排出量

(tCO2) 計算により算出

EGi,p 期間pにおけるプロジェクトで設置

される太陽光発電システム i による

正味発電量(MWh/p)

モニタリングされる実績データ

InvLossPJ プロジェクトで設置されるインバ

ータの最大ロス カタログ値

60

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InvLossRE リファレンスインバーターの最大

ロス 市場調査により保守的に事前設定され

るデフォルト値 EFgrid グ リ ッ ド の CO2 排 出 係 数

(tCO2/MWh) プロジェクト開始時点の最新公式値を

事前設定値(デフォルト値)として適

用 Net Emission Reduction の確保においては、プロジェクトで使用するインバーター(パワ

ーコンディショナー)よりもロスの多いインバータをリファレンスインバーターと想定し、

インバータによるロスを多く見積ることにより、プロジェクトがグリッドに供給した正味

発電量を実際より低めに算出することにより、保守性を担保している。 2.1.2 プロジェクト排出量の算定

当該プロジェクトにより設置される照明や建屋の冷却等の補機による電力消費量をプロ

ジェクト排出量として計上する。

𝑃𝐸𝑝 = 𝐸𝐺𝐴𝑈𝑋,𝑝 × 𝐸𝐹𝑔𝑟𝑖𝑑

パラメータ 詳細 ソース PE p 期間pにおけるプロジェクト排出量

(tCO2) 計算により算出

EGAUX,p 期間pにおけるプロジェクト補機に

よる電力消費量(MWh/p) モニタリングされる実績データ

2.1.3 モニタリング項目

本方法論におけるモニタリング項目は、下記のとおりである。 パラメータ 詳細 ソース

EFgrid グ リ ッ ド の CO2 排 出 係 数

(tCO2/MWh) 0.995

InvLossRE リファレンスインバーターの最大

ロス 0.05(市場調査による暫定値)

なお、上記のグリッドの CO2 排出係数はオペレーティングマージン 75%とビルドマージ

ンを 25%ずつの比率で計算したコンバインマージンを採用している。30

30 IGES グリッド排出係数一覧表

http://pub.iges.or.jp/modules/envirolib/view.php?docid=2137

61

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2.2 EMS

エネルギー監理システム(Energy Management System : EMS)とは、電力使用量の可視化、

節電(CO2 削減)の為の機器制御、ソーラー発電機等の再生可能エネルギーや蓄電器の制

御等を行うシステムである。 我が国において EMS は、住宅/家庭(Home)、ビル(Building)、地域(Community)、工場(Factory)などの導入施設において、各々HEMS、BEMS、CEMS、FEMS の呼称で表現されるなど、その定義および適用範囲は幅広い。一方で、導入対象に

より様々な呼称で表現されるものの、エネルギー需要とエネルギー供給のモニタリングと

コントロールを実現するというシステムの基本機能は共通である。 このため本書では、「EMS」を導入技術の総称と位置づけ、EMS 導入事業に対応する MRV

方法論の検討を行う。 2.2.1 適格性要件

本法論は、表 3.2.2 にまとめた 4 項目の適格性要件を満たす事業に適用される。 当該方法論は、プラント、ビル、地域等において EMS を導入し、エネルギー利用を最適

制御することによりエネルギー消費量の削減を図る事業を対象とする。本方法論における

EMS は、事業活動対象プラント、ビル、地域等の一部もしくは全ての機器・設備等を対象

に、エネルギー利用の計測・計量装置、制御装置、データ収集・保存・分析・診断装置等

を設置し、対象機器・設備等の運用効率向上・最適化を図るものとする。 EMS 導入事業における最大の課題は、その効果の定量化が困難な点にある。こうした特

徴を持つ事業に対応する MRV 方法論は、リファレンス排出量の設定や削減効果の要因を

EMS 導入に特定することが困難であることから、事前のエネルギー消費量データ収集やモ

ニタリングの煩雑さの解消を考慮した方法論開発が望まれる。ここでは、事業者に対し、

妥当性のある EMS 導入効果を定量化することを求めるとともに、定量化に向けた簡易手法

の検討を行う。 EMS 導入の目的の一つに、デマンド制御がある。日本のように時間帯による電気料金の

差異がある場合、EMS による負荷変動の可視化とそれに伴うピークカット制御による電力

消費量の平準化は、エネルギーコスト削減に寄与する。一方で、この電力消費量の平準化

は、必ずしも省エネおよび GHG 排出量の削減に直結するものではない。こうした省エネお

よび GHG 排出量効果の定量化には、対象となる系統電源の時間帯別排出係数のデータが得

られるなど、負荷平準化の効果を明確化する諸条件の存在が不可欠となるが、こうしたデ

ータの収集は途上国では極めて困難な要求となる。このため、EMS の導入効果をデマンド

制御に限定する事業は適用外とする。

表 3.2.2 適格性要件 要件 内容 設定根拠

適格性要件 1 プラント、ビル、地域等において EMSを導入し、エネ

ルギー利用を最適制御することによりエネルギー消費

量の削減を図る事業であること。

エネルギー消費量のモニタ

リング(見える化)だけ行い、

運用で効率化を図るEMS導入

事業は除外する。

適格性要件 2 EMS は、事業活動対象プラント、ビル、地域等の一部

もしくは全ての機器・設備等を対象に、エネルギー利

用の計測・計量装置、制御装置、データ収集・保存・

同上

62

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分析・診断装置等を設置し、対象機器・設備等の運用

効率向上・最適化を図る機能を有すること。

適格性要件 3 EMS 導入におけるエネルギー効率の改善効果は、デフ

ォルト値として定量化出来ること。

モニタリングの煩雑さを低

減する。

適格性要件 4 EMS の導入効果をデマンド制御に限定する事業には適

用できないものとする。

省エネ効果の明確化と系統

電源排出係数の固定値化を

図る。

2.2.2 リファレンス排出量の算定

事業対象施設において、気候や運用、経済状況などの様々な要因に影響されるため、リ

ファレンス排出量の定量化は、長期間に渡る安定的なデータの存在が必要となり、実質的

に極めて困難な課題である。 このため、本方法論によるリファレンス排出量は、以下に述べるように、リファレンス

のエネルギー消費量を、プロジェクトエネルギー消費量の実測値から割戻すことで算定し、

削減対象エネルギーの排出係数を乗じて求める。削減エネルギーを電力および化石燃料に

分類し、それぞれのリファレンス排出量の和を以て、総リファレンス排出量とする。

pfuelpgridp RERERE ,, +=

ここで、 REp = 期間 p におけるリファレンス排出量 [tCO2/p]

REgrid,p = 期間 p における電力消費に伴うリファレンス排出量 [tCO2/p]

REfuel,p = 期間 p における化石燃料消費に伴うリファレンス排出量 [tCO2/p]

∑∑

×=

i j

gridpjipj

pgrid

EFECRE

ji,EMS,

,,,

, 1 η

ここで、 ECpj,i,j,p = 期間 p における用途区分 i における機器等 j が消費する電力消費量

[tCO2/p] EFgrid = インドにおける系統電源 CO2 排出係数 [tCO2/MWh]

ηEMS,i,j = 用途区分 i における機器等 j に対する省エネ効率 [dimensionless]

∑∑

××=

i j

jifueljifuelpjipjpfuel

EFNCVFCRE

ji,EMS,

,,,,,,,, 1 η

63

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ここで、 FCpj,i,j,p = 期間 p における用途区分 i における機器等 j が消費する化石燃料消費

量 [ton または kl/p] NCVfuel,i,j = 用途区分 i における機器等 j が消費する化石燃料の単位発熱量

[GJ/ton または kl] EFfuel,i,j = 用途区分 i における機器等 j が消費する化石燃料の CO2 排出係数

[tCO2/GJ] ηEMS,i,j = 用途区分 i における機器等 j に対する省エネ効率 [dimensionless]

各用途区分における省エネ効果(ηEMS,i,j)については、以下の通り、電力および化石燃料

消費量の実測データを用いて算出する。但し、EMS 導入前後でエネルギー消費量の実測デ

ータを用いることができない場合、省エネ効果については EMS 製造者又は販売者のカタロ

グ値等の一定の信頼性を有する想定値を使用することができる。

pjiref

pjipj

pjiref

pjipj

FCFC

ECEC

,,,

,,,

,,,

,,,ji,EMS, 11 −=−=  若しくは   η

ここで、 ECpj,i,j,p = 期間 p における用途区分 i におけるプロジェクト機器等 j が消費する

電力消費量 [MWh] ECref,i,j,p = 期間 p における用途区分 iにおけるリファレンス機器等 jが消費する

電力消費量 [MWh] FCpj,i,j,p = 期間 p における用途区分 i におけるプロジェクト機器等 j が消費する

化石燃料消費量 [ton または kl] FCref,i,j,p = 期間 p における用途区分 iにおけるリファレンス機器等 jが消費する

化石燃料消費量 [ton または kl] ここで、電力および化石燃料消費量の実測データ取得期間に関する考察を行う。 各年の施設運用状況は一定とした場合、リファレンスエネルギー消費量は、事業実施前

に実測による測定される。これにより、四季や雨季・乾季などの気象条件を考慮したリフ

ァレンス消費量として、事業開始後の実測によるプロジェクトエネルギー消費量との比較

により、EMS のエネルギー削減効果を定量化する。

64

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図 3.2.2 エネルギー消費量実測期間イメージ(一年間) 実際の事業状況では、リファレンスエネルギー消費量の実測期間を十分に確保できない

場合が予想され、条件の整理によって、実測期間を半年若しくは 1 か月に短縮することを

検討する。前述のとおり、気象条件以外の諸条件を同一とした、保守性を考慮しつつ、年

間を通じたエネルギー使用量試算に関する実測対象期間の短縮を図る。図 3.2.3 は、半年間

のリファレンス実測期間のイメージになる。条件として、対象とする半年間には、平均外

気温度の最高月と最低月を含むこととする。これによって、年間の気温の変化と同様の影

響を考慮した EMS 導入効果が求められる。 また、図 3.2.4 は、1 か月測定モデルである。最も外気温度が高い月に一定期間毎に EMS

の ON/OFF 運転を切り替え、リファレンスとプロジェクトのエネルギー消費量を実測する。

外気温度が高い月のデータを用いることで、EMS 効率値の保守性を確保する。 空調運転で無駄が生じるのは、空調負荷が機器能力に比べて小さく、空調機が部分負荷

運転状態になる状況下にある。その際の運転状況を、EMS により効率化・最適化すること

で省エネ化を図ることができる。空調機の容量は、最大負荷時(最も気温が高い状態)に

合わせて設定され、機器容量最大の運転時には、EMS 制御による省エネ化は図れない。よ

って、外気温度が最も高い月のデータをもとに EMS 導入効果を算定することで、保守的な

試算が実現できる。

65

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図 3.2.3 エネルギー消費量実測期間イメージ(半年間)

図 3.2.4 エネルギー消費量実測期間イメージ(一か月間) 2.2.3 プロジェクト排出量の算定

プロジェクト排出量は、以下のように対象事業となる施設が EMS を導入した場合のエネ

66

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ルギー消費量に基づく排出量とする。但し、EMS を複数の機器等に導入する場合 31の排出

量については、用途区分(空調、照明など)毎の排出量を算出し、エネルギータイプ(電

気、化石燃料)毎の事業活動の排出量を合算する。

pfuelpgridp PEPEPE ,, +=

ここで、 PEp = 期間 p におけるプロジェクト排出量 [tCO2/p]

PEgrid,p = 期間 p における電力消費に伴うプロジェクト排出量 [tCO2/p]

PEfuel,p = 期間 p における化石燃料消費に伴うプロジェクト排出量 [tCO2/p]

( )∑∑ ×=i j

gridjipjpgrid EFECPE ,,,

ここで、 ECpj,i,j,p = 期間 p における用途区分 i における機器等 j が消費する電力消費量

[tCO2/p] EFgrid = インドにおける系統電源 CO2 排出係数 [tCO2/MWh]

( )∑∑ ××=i j

jifuejifueljipjpfuel EFNCVFCPE ,,,,,,,

ここで、 FCpj,i,j,p = 期間 p における用途区分 i における機器等 j が消費する化石燃料消費

量 [ton または kl/p] NCVfuel,i,j = 用途区分 i における機器等 j が消費する化石燃料の単位発熱量

[GJ/ton または kl] EFfuel,i,j = 用途区分 i における機器等 j が消費する化石燃料の CO2 排出係数

[tCO2/GJ] 2.2.4 排出削減量

排出削減量は、以下の算定式により、プロジェクト排出量からリファレンス排出量を減

じて求める。

ppp PEREER −=

31 EMS を多数の機器等に導入する場合については同一の用途区分・エネルギータイプ毎に

J-MRV ガイドライン 2.(7)に基づきサンプリングによる推計乃至理論値等に基づき測定

等を行うことができる。

67

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ここで、 REp = 期間 p における排出量削減量 [tCO2/p]

REp = 期間 p におけるリファレンス排出量 [tCO2/p]

PEp = 期間 p におけるプロジェクト排出量 [tCO2/p]

2.2.5 モニタリング項目

本方法論におけるモニタリング項目を以下にまとめる。 パラメータ データ 適用

EFgrid インドにおける系統電源 CO2 排出係数

バリデーション実施時における公的に入手

可能な最新の値とし、その後のモニタリン

グ期間は固定とする。 ECpj,i,j,p 期間 p における用途区分 i に

おけるプロジェクト機器等 jが消費する電力消費量 [MWh]

実測値とする。

ECref,i,j,p 期間 p における用途区分 i におけるリファレンス機器等 jが 消 費 す る 電 力 消 費 量 [MWh]

実測値とする。

FCpj,i,j,p 期間 p における用途区分 i におけるプロジェクト機器等 jが消費する化石燃料消費量 [ton または kl]

実測値とする。

FCref,i,j,p 期間 p における用途区分 i におけるリファレンス機器等 jが消費する化石燃料消費量 [ton または kl]

実測値とする。

但し、実測データを入手することができない場合は、以下とすることができる。 パラメータ データ 適用

EFgrid インドにおける系統電源 CO2 排出係数

バリデーション実施時における公的に入手

可能な最新の値とし、その後のモニタリン

グ期間は固定とする。 ηEMS,i,j 用途区分 i における機器等 j

に対する省エネ効率 [dimensionless]

EMS 製造事業者または販売者のカタログ

値とする。

68

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ECpj,i,j,p 期間 p における用途区分 i におけるプロジェクト機器等 jが消費する電力消費量 [MWh]

実測値とする。

FCpj,i,j,p 期間 p における用途区分 i におけるプロジェクト機器等 jが消費する化石燃料消費量 [ton または kl]

実測値とする。

2.3インバータエアコン

インドのエアコン市場は、2014 年には年間 386 万台 32と、ここ数年、年間 5-6%程度の増

加で推移している。人口比率から見れば日本の 10 分の 1 程度と、普及率は未だ低いものの、

今後の成長市場として日中韓の製造事業者各社が注目している。 市場シェアは、LG と地場の Voltas 社が 20%前後でトップを争っており、3 位のサムソン

に次いで、日本メーカー、中国メーカーが続いている。日本で一般的なスプリットタイプ

が全体の 75-80%を占めるなか、安価なウィンドタイプの需要も依然として根強いという。 日本では 100%の普及率を誇るインバータタイプの普及率は、僅か 3%にすぎず、中国の

50%、ベトナムの 35%と比べても極めて低い状況下にある。こうした中、日韓の製造事業者

は、インバータ機のラインアップを充実させ、シェアの拡大を目論んでいる。 本項では、インバータエアコン普及事業における MRV 方法論の検討を行う。

2.3.1 適格性要件

表 3.2.3 に 7 つの方法論適格性要件をまとめる。本方法論は、個別住宅等分散型の普及事

業を除外し、公共施設や病院、ホテル、工場、集合住宅などの施設に、インバータエアコ

ンを新規導入若しくは既存リプレイスする事業を対象とする。インドでは、機器分野の基

準ラベリング制度を施行しており、インド市場で製品を製造・販売・輸入する事業者を対

象として最小エネルギー効率基準 (Minimum Energy Performance Standard - MEPS) の遵守と

ラベリングの表示を定めている。この制度では、対象品目別に規制と任意に区別し運用さ

れているが、規制 4 品目の一つに 11,000W 以下の単相・単一スプリット型ルームエアコン

が指定されており、その対象機種の導入事業を前提とする。また、本事業の推進による GHG排出削減は、消費電力量の低減によるものであり、排出係数を明確化するため、系統電力

供給施設を対象とする。 エアコンの導入に当たっては、冷媒の取り扱いによって、大規模な温室効果ガス排出を

招くことになる。JCM 事業としての推進するに当たり、冷媒のオゾン破壊係数 (ODP) がゼ

ロの機器に限定するとともに、既存機器およびプロジェクト機器の撤去時に、機器からの

冷媒が大気に放出されないよう、適正な計画がなされていることを要件とした。

32 一般社団法人日本冷凍空調工業会 http://jraia.or.jp/download/e-book/airacon2015/index.html

69

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本法論は、プロジェクト機器とリファレンス機器の効率の差異により、排出削減量を算

出するものである。インドにおけるエアコンの機器効率は、機器の定格電力容量に基づく

エネルギー消費効率 (Energy Efficiency Ratio: EER) を評価手法として採用しており、冷房負

荷の変動に対し可変的にコンプレッサー出力をコントロールすることで省エネ化を図るイ

ンバータ技術の効果が評価できないものとなっている。この問題に対し、日本をはじめと

した先進国では、実態に則した効率評価手法を採用しており、我が国で推奨する期間効率 (Seasonal Performance Factor: SPF) の評価手法は、2014 年に ISO に認定されるなど国際標準

化されている。本方法論では、機器効率の指標として、冷房に特化した期間効率である CSPF (Cooling Seasonal Performance Factor) を採用する。

表 3.2.3 適格性要件 要件 内容 設定根拠

適格性要件 1 インバータエアコンの新規導入若しくは、既存のノン

インバータエアコンのインバータ機へのリプレイス事

業であること。

新規導入・既存リプレイスの

両タイプの事業を網羅する。

適格性要件 2 本方法論は、公共施設、商業施設、集合住宅などに適

用するものとし、戸建て住宅は対象としない。 MRV の煩雑性を考慮し、大

規模ビルへのエアコン導入

事業のみを対象にする。 適格性要件 3 対 象 と す る 空 調 機 器 の 能 力 は 、 11000W

(38000BTU/h).を上限とする。 家電等を対象にした基準ラ

ベリング制度で、強制 4 品目

に規制されるルームエアコ

ンを対象にする。 適格性要件 4 対象インバータエアコンへの電源供給は、系統電源で

あること。 排出係数の明確化のため、系

統電源供給の事業を対象と

する。 適格性要件 5 プロジェクト機器で用いる冷媒のオゾン破壊係数

(ODP) はゼロとする。 HFC の使用規制に対する考

慮。 適格性要件 6 リファレンス機器およびプロジェクト機器の期間冷房

効率 (CSPF) の算定は、ISO5151 に基づくものとす

る。

インバータの優位性を担保

するための要件。

適格性要件 7 既存機器およびプロジェクト機器撤去時に、機器から

の冷媒が大気に放出されないよう、計画がなされてい

ること。

GHG 削減事業であることを

考慮した要件。

2.3.2 リファレンス排出量の算定

リファレンス排出量は、計測されるプロジェクト電力消費量に、リファレンス機器とプ

ロジェクト機器の CSPF の比率と系統電力排出係数を乗じて求める。保守性の確保のため、

リファレンス機器は、市場で最も多く購入されている機器よりも高効率な機器を選定する

こととする。 リファレンス機器とプロジェクト機器の CSPF は、以下の手順に沿って設定される。

ステップ 1: 保守性を考慮したリファレンス機器の選定

以下の条件に基づき、リファレンス機器を選定する。選定にあたっては、プロジェ

70

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クト機器の能力ごとに対応する。表 3.2.4 に、インドの省エネラベル表示値 (評価指標: EER) を示す。リファレンス機器の性能については、今後の市場調査をもとに決定して

いく。

表 3.2.4 インドにおける省エネラベル表示値 (評価指標: EER) 省エネラベル表示

☆ ☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ 2.50 - 2.70 2.70 - 2.90 2.90 - 3.10 3.10 - 3.30 3.30 - 3.50

ステップ 2: リファレンス機器の CSPF の決定

前述の通り、インドにおけるエアコンの評価指標は EER であり、CSPF に関する製品情

報の入手は困難である。CSPF 値の算定は、機器の 50%負荷時および 100%負荷時の効率と

地域の気象データをもとに ISO5151 に則って行う。100%負荷時の効率は、EER 値であり、

省エネ基準により明示が義務付けられているため入手は可能である。一方で、50%負荷時の

値は、専用施設での測定が必要となり、インドにおいてはその実施が困難である。 事業実施段階では、気象データの取得および CSPF 算定に関数する方向性の確立が必要

となる。

ステップ 3: プロジェクト機器の CSPF の決定 プロジェクト機器の CSPF 値は、ISO5151 に準拠した評価方法にて算定された数値とす

る。現在インドには、当該評価を実施できる検査機関は存在せず、製造事業者が独自に実

施した評価値を用いる。 ステップ 4: モデル毎のリファレンス機器とプロジェクト機器の CSPF 比率の算定

リファレンス機器の CSPF 値を、リファレンス機器と同等の能力のプロジェクト機器の

CSPF 値によって除した値とする。 ステップ 5:リファレンス機器とプロジェクト機器の CSPF 比率プロジェクト値の決定

ステップ 4 で算定したモデル毎のリファレンス機器とプロジェクト機器の CSPF 比率の

なかで、最も小さい数値を CSPF 比率プロジェクト値とする。 リファレンス排出量は、以下の算定式に基づき、プロジェクト電力使用量をプロジェク

ト機器およびリファレンス機器の冷房期間効率の比で割戻し、系統電源の排出係数を乗じ

て求める。

GridREF

PJn

1ip,i,PJp EFECRE ×

∑ ×== η

η

71

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ここで、 REp = 期間 p におけるリファレンス排出量 [tCO2/p]

ECPJ,i,p = 期間 p における i タイプのプロジェクト機器による電力消費量 [MWh/p]

n = 対象となる積算電力計により計測されるプロジェクト機器の台数

[dimensionless] i = プロジェクト機器のタイプ

ηPJ = プロジェクト機器の冷房期間効率 (CSPF) [dimensionless]

ηREF = リファレンス機器の冷房期間効率 (CSPF) [dimensionless]

EFGrid = インドにおける系統電源 CO2 排出係数 [tCO2/MWh] 2.3.3 プロジェクト排出量の算定

プロジェクト排出量は、以下の算定式により、プロジェクト機器による電力消費量に系

統電源の排出係数を乗じて求める。

y,Gridn

1iy,i,PJy EFECPE ×∑=

= ここで、 PEp = 期間 p におけるプロジェクト排出量[tCO2/p]

ECPJ,i,p = 期間 p における i タイプのプロジェクト機器による電力消費量

[MWh/p] EFGrid = インドにおける系統電源 CO2 排出係数 [tCO2/MWh]

2.3.4 排出削減量

排出削減量は、以下の算定式により、プロジェクト排出量からリファレンス排出量を減

じて求める。

ppp PEREER −=

ここで、 REp = 期間 p における排出量削減量 [tCO2/p]

REp = 期間 p におけるリファレンス排出量 [tCO2/p]

PEp = 期間 p におけるプロジェクト排出量 [tCO2/p]

72

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2.3.5 モニタリング項目

本方法論におけるモニタリング項目は、インドにおける系統電源 CO2 排出係数と対象と

なる積算電力計により計測されるプロジェクト機器の台数とする。 パラメータ データ 適用 EFGrid インドにおける系統電源

CO2 排出係数 バリデーション実施時における公的に入手可能

な最新の値とし、その後のモニタリング期間は

固定とする。 n 対象となる積算電力計に

より計測されるプロジェ

クト機器の台数

プロジェクト実施者は、1 から 20 の固定番号を

プロジェクトで使用されるエアコンタイプ毎に

付与する。 3 排出削減見込量の試算

3.1 太陽光発電 次の通り GHG 排出量を推計する。 <前提条件> 太陽光による電力最大需要予測(MW)

= 全体の年間電力需要予測 × 太陽光発電が占める割合(30%) 太陽光発電の年間発電量(MWh)

= 太陽光発電による電力需要予想 × 8,760 時間(24 時間×365 日)× 設備利

用率(17%)

全体の電力最大 需要予測(MW)

太陽光による 電力最大需要 予測(MW)

太陽光による 推定発電量(MWh)

①Ulwe (Waterfront) 35 11 15,637 ②Ulwe (Airport) 126 38 56,292 ③Kalamboli 147 44 65,674 ④Dronagirl 392 118 175,130 合計 700 210 312,732 <リファレンス排出量>

𝑅𝐸𝑝 = 𝐸𝐺𝑖,𝑝 × �1 + 𝐼𝑛𝑣𝐿𝑜𝑠𝑠𝑃𝐽 − 𝐼𝑛𝑣𝐿𝑜𝑠𝑠𝑅𝐸�× 𝐸𝐹𝑔𝑟𝑖𝑑

73

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パラメータ 詳細 値 ソース

RE p 期間 p におけるリファレンス排出量 (tCO2)

301,833

EGi,p 期間 p におけるプロジェクトで設置さ

れる太陽光発電システム i による正味

発電量(MWh/p)

312,732

InvLossPJ プロジェクトで設置されるインバータ

の最大ロス 0.02 ヒアリングによる暫

定値 InvLossRE リファレンスインバーターの最大ロス 0.05 ヒアリングによる暫

定値 EFRE グリッドの CO2 排出係数(tCO2/MWh) 0.995

<プロジェクト排出量>

𝑃𝐸𝑝 = 𝐸𝐺𝐴𝑈𝑋,𝑝 × 𝐸𝐹𝑔𝑟𝑖𝑑 パラメータ 詳細 値 ソース

PE p 期間 p におけるプロジェクト排出量 (tCO2)

878

EGAUX,p 期間 p におけるプロジェクト補機によ

る電力消費量(MWh/p) 882 類似案件(1MW あ

たり空調 4,200kWh/年)を基に試算。33

𝐸𝐹𝑔𝑟𝑖𝑑 グリッドの CO2 排出係数(tCO2/MWh) 0.995 <排出削減量>

ppp PEREER −=

= 301,833 - 878 = 300,955 tCO2/p 上述の通り、期間pを1年間とすると、太陽光発電の導入によるGHG削減量は年間300,955トンと推定される。

表 3.3.1 太陽光発電による GHG 想定排出削減量* レファレンス排出量

(tCO2e) プロジェクト排出量

(tCO2e) 想定排出削減量

(tCO2e)

33 http://gec.jp/jcm/jp/projects/14ps_mgl_01.html

74

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①Ulwe (Airport) 15,092 44 15,047

②Ulwe (Waterfront) 54,330 158 54,172

③Kalamboli 63,385 184 63,200

④Dronagirl 169,027 491 168,535

年間 301,833 878 300,955 *排出係数: デフォルト値の設定:0.995

出典:調査結果を基に MUMSS 作成

3.2 EMS 本書では、以下の条件をもとに、BEMS 導入における GHG 排出削減量を推計する。

[想定条件] エリアの年間消費電力量:2,146,200MWh (デマンド値 700MW, 平均電力使用量 35%) BEMS 導入エリア:商業施設 商業施設の電力消費量:エリア全体の 7.5%

表 3.3.2 BEMS 導入事業による GHG 想定排出削減量* (BEMS 設備の法定耐用年数:7 年)

レファレンス排出量

(tCO2e) プロジェクト排出量

(tCO2e) 想定排出削減量

(tCO2e) 年間 160,160 144,144 16,016

法定耐用年数期間

の合計(tCO2e) 1,121,121 1,009,009 112,112

*排出係数: デフォルト値の設定:0.995 出典:調査結果を基に MUMSS 作成

3.3 インバータエアコン 本書では、以下の条件をもとに、INV-AC 導入における GHG 排出削減量を推計する。

[想定条件] 家族世帯数(平均 5 人家族):50,880 世帯 単身世帯数:25,440 世帯 設置エアコン台数(家族世帯):2 台/世帯(101,760 台) 設置エアコン台数(家族世帯):1 台/世帯(25,440 台) 導入エアコン能力:一馬力(2.8kW)

75

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運転時間:7 時間/日、300 日/年 平均出力:50% η:30%

表 3.3.3 INV-AC 導入事業による GHG 想定排出削減量* (INV-AC 設備の法定耐用年数:7 年)

レファレンス排出量

(tCO2e) プロジェクト排出量

(tCO2e) 想定排出削減量

(tCO2e) 年間 372,098 260,468 111,630

法定耐用年数期間

の合計(tCO2e) 2,604,686 1,823,276 781,410

*排出係数: デフォルト値の設定:0.995 出典:調査結果を基に MUMSS 作成

4 排出削減ポテンシャル

4.1 工業施設での排出削減ポテンシャル

現時点では、どういった産業が進出するか不明であり、工場における製造プロセスに直

接関係するものを対象にすることは難しいことから、前 2 節では、排出削減方法論の検討

の対象としなかった。しかし、工業施設での電力消費量は、エリア全体の 85%を占めるこ

とから、そこでの排出削減ポテンシャルを何らかの形で評価しておきたい。ここでは、例

示的に、FEMS(Factory Energy Management System)の導入を想定し、それによる排

出削減ポテンシャルを推計してみる。 本節では、以下の条件をもとに、FEMS 導入における GHG 排出削減量を推計する。FEMS

による省エネ率については、産業の種類やその製造プロセスが現時点では不明であり、保

守的な数値から積極的な機器の更新を伴う場合までさまざまな値が考えられることから、

ここでは、2.5~25%の範囲を用いて推計を行った。 [想定条件] エリアの年間消費電力量:2,146,299MWh(デマンド値 700MW,平均電力使用量 35%) FEMS 導入エリア:工業施設 工業施設の電力消費量:エリア全体の 85% FEMS による省エネ率:2.5~25% 排出係数:0.995kg-CO2/kWh 上述の想定条件に基づくと、FEMS 導入による GHG 削減量は、次表のとおり年間 45,379

76

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~453,787 トンと推定される。

表 3.4.1 FEMS 導入事業による GHG 想定排出削減量 レファレンス排出量

(tCO2e)

プロジェクト排出量

(tCO2e)

想定排出削減量

(tCO2e)

最小 1,815,149 1,769,770 45,379

最大 1,815,149 1,361,361 453,787

出典:調査結果をもとにエネ研作成

4.2 JCMプロジェクトによる排出削減見込量および FEMSによる排出削減ポテンシャル

前節の JCM プロジェクトによる排出削減見込量および本節の FEMS による排出削減ポ

テンシャルをまとめたものが次表である。JCM プロジェクトによる排出削減見込量は、再

エネと省エネの二重計上を除くと、410,001tCO2e/年となる。また、それに FEMS による

排出削減ポテンシャルを加えると、448,767~797,665 tCO2e/年となる。 表 3.4.2 JCM プロジェクトによる排出削減見込量および FEMS による排出削減ポテンシ

ャルの試算結果

想定排出削減量

(tCO2e/年)

再エネと省エネの

二重計上を除く

太陽光発電 300,955 300,955

BEMS 16,016 13,682

インバータエアコン 111,630 95,364

合計(JCM プロジェクト分) 410,001

(参考)

FEMS 45,379~453,787 38,766~387,664

総計(削減ポテンシャル) 448,767~797,665

77

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第 4 章 事業化した場合の経済効果及びインドへの影響の分析 1. スマートシティ開発計画の成功による経済効果の検討 ナビムンバイ地区の開発はいまだ計画段階であり、多くの企業が進出に興味を示しては

いるものの、進出する産業が具体的に定まっているわけではない。即ち、当該地区の開発

計画の成否は日本企業を含む海外企業の進出の可否に大きく依存しており、JCM 事業化の

成功と、それによる日本企業の関与の深化がナビムンバイ地区の開発そのものを大きく後

押しすることが期待される。 このスマートシティ計画では、約 28 万人が居住することが見込まれており、そのうち、

約 13 万人の就業者が各産業に従事することが見込まれている。約 7 割が製造業に従事し、

商業及びその他サービス業がそれぞれ 15%となっている。

表 4.1.1 各エリアで見込まれる就業者数(人) Manufacturing Commercial Service Total DRONAGIRI 50,000 10,717 10,717 71,434 ULWE(Waterfront) 16,640 3,566 3,566 23,772 ULWE(Airport) 4,160 891 891 5,942 KALAMBOLI 18,240 3,909 3,909 26,058 Total 89,040 19,083 19,083 127,206

製造業、商業・サービス業従事者の賃金水準は農業従事者の 4-7 倍程度高く、スマート

シティ内での高い購買力が期待される。仮に、計画地近隣の農業従事者が、このスマート

シティに移住し、新たな産業に従事した場合、年間 195 億ルピーの雇用者報酬の増加が見

込まれる。

図 4.1.1 各エリアで見込まれる雇用者報酬の増加

0

2

4

6

8

10

12

DRONAGIRI ULWE(Airport) ULWE(Waterfront) KALAMBOLI

Billion Rs

78

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2. JCM 化そのものによる経済効果の検討 本項では、3 章で検討した PV、エアコン、BEMS の追加投資額と省エネによるエネルギ

ーコスト低減について経済的評価をする。さらに、JCM 等によって導入された機器による

追加投資がナビムンバイ地区を中心とした国内のマクロ経済に与える影響を評価する。こ

の目的のため、本項では産業連関分析を用いてこの波及効果を推計する。特に、当該技術

に関連する機器が国内(ナビムンバイ工業団地も含めたインド全体)において製造される

場合と、海外から輸入される場合との双方の評価を行う。 2.1 追加投資額と省エネによるエネルギーコスト低減の経済的評価

JCM 事業化による追加投資額の算出方法は機器ごとに異なる。PV は kW 当たりの追加

投資額に導入設備容量、BEMS は省エネ量当たりの追加投資額に省エネ量、エアコンは台

当たりの追加投資額に導入台数を乗じて算出する。 PV の導入設備容量、エアコンの普及台数は 3 章で示した通りである。PV の導入設備容

量の家庭、工場、商業の比率は面積比(7.5%、85%、7.5%)で配分した。PV・エアコン・BEMSの追加投資額は

表 4.2.1 の通り想定した。

表 4.2.1 各機器の単位当たりの追加投資額 PV (1000Rs/kW) BEMS (1000Rs/MWh) エアコン (1000Rs/台)

93 31 25

JCM 事業化によるエネルギーコスト低減額はマハラシュトラ州の電気料金に 3 章で推計

した省エネ量を乗じて算出した。マハラシュトラ州では複数の電力会社が異なる電気料金

で電力を供給しているが、各社の発電量を用いて加重平均をし、電気料金を算出した 34。

用いた電気料金は表 4.2.2 の通りである。

表 4.2.2 2014-15 年の電気料金(Rs/kWh) 家庭 工場 商業 6.85 9.18 10.69

出典:Economic Survey of Maharashtra 2014-2015、Economic Survey of Maharashtra 2010-2011 を用

いて推計。 この追加的な投資額と省エネにより得られる便益を合わせると、BEMS は 1.1 billion Rs、

エアコンは 2.2 billion Rs の純便益を生む。PV は工場用で 5.4 billion Rs、商業用で 0.8

34 電気料金については 2014-15 年の値を用いた一方で、発電電力量については利用可能な

最新のデータが 2010-2011 年であったことから、その値を用いて加重平均を行った。

79

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billion Rs の純便益を生む一方で、電力料金が比較的低い家庭用 PV はネットで 0.01 billion Rs のコストとなる(図 4.2.1)。

図 4.2.1 直接的な便益・費用の推計 2.2 追加的な投資額の国内生産、雇用への波及効果分析 追加的な投資は新たな需要を生むため、国内産業や雇用数に影響を与える。 表 4.2.1 で示した投資額を産業別に分け、投資による国内産業の生産、雇用への波及効果

を推計した。産業別比率は文献調査などから表 4.2.3 で示した割合を用いた。

表 4.2.3 各機器の追加投資額の産業別内訳 PV BEMS エアコン

機械 74% 21% 80%

その他製造工業製品 0% 4% 0%

建設 15% 4% 14%

商業 10% 5% 5%

運輸 1% 0% 1%

ソフトウェア業 0% 66% 0%

全ての関連する財を国内で製造した場合、誘発された分を含む総生産額は PV では 57.9 billion Rs、エアコンでは 9.6 billion Rs、BEMS では 0.6 billion Rs の増加となる。この合

計は 68.1 billion Rs となり、マハラシュトラ州の GDP の 0.5%に相当する。さらに、産業

の生産増加を受け、雇用が PV では 68.8 thousand person、エアコンでは 11.1 thousand person、BEMS では 1.3 thousand person 増加し、合計で 81.3 thousand person の増加に

-20-15-10

-505

10152025

PVHousehold

PVIndustry

PV Commercial

Air conditioner

BEMS

Saved energy costAdditional investmentTotal benefit

Billion Rs

80

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なる。特に、エアコンや PV は素材産業からの投入が多い機械産業や建築・土木において投

資が多いことから、波及効果が大きくなる。このため、PV とエアコンは国内で生産するか、

輸入するかで経済影響が大きく変わる。全機器を海外から輸入した場合、誘発分を含む生

産額は PV では 10.9 billion Rs、エアコンで 1.4 billion Rs、BEMS で 0.4 billion Rs の増加

に留まり、合計では 12.4 billion Rs に留まる。雇用も PV では 22.8 thousand person、エ

アコンでは 2.6 thousand person、BEMS では 1.1 thousand person の増加に留まり、合計

で 22.8 thousand person の増加になる。

図 4.2.2 追加投資額の生産誘発効果

図 4.2.3 追加投資額の雇用誘発効果 エアコン、BEMS、産業用 PV、商業用 PV はそれを導入する主体がエネルギーコストの

削減により便益を得ることができる。一方、家庭用 PV はそれを導入する主体は導入コスト

が省エネによって得られる便益よりも高いことから負担を強いられる。さらに、エアコン

や PV が輸入される場合は国内経済にもたらす便益は限定的である。仮にこれらが国内で製

造されることになれば、国内の生産や雇用が増加し、経済全体にプラスの影響になる。ス

マートコミュニティ化を進めていく際は、エネルギー環境関連技術の生産企業を国内に誘

0102030405060

Dom

estic

Impo

rt

Dom

estic

Impo

rt

Dom

estic

Impo

rt

Dom

estic

Impo

rt

Dom

estic

Impo

rt

PVHousehold

PVIndustry

PV Commercial

Air conditioner BEMS

IndirectDirect

Billion Rs

0 10 20 30 40 50 60 70

Dom

estic

Impo

rt

Dom

estic

Impo

rt

Dom

estic

Impo

rt

Dom

estic

Impo

rt

Dom

estic

Impo

rt

PVHousehold

PVIndustry

PV Commercial

Air conditioner

BEMS

IndirectDirect

Thousand Person

81

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致していくことが推奨される。 3. インド全体の経済及びエネルギー需給に対する潜在的効果の検討 インドのエネルギー需要は経済成長に伴って急速に増加しており、今後も拡大が続くも

のと見通される。本項では、日本エネルギー経済研究所「アジア/世界エネルギーアウトル

ック 2015」による 2030 年までのエネルギー需給見通しに基づき、今後拡大するインド全

体のエネルギー需要の中で、エネルギー機器等の導入が潜在的にもたらし得る経済効果を

検討する。 3.1 2030 年までのインドのエネルギー需給見通し IEA(国際エネルギー機関)のエネルギーバランス表データによれば、インドの一次エネ

ルギー消費量は 1990 年の 307 石油換算百万トン(Mtoe)から 2013 年には 775 Mtoe まで

2.5 倍に拡大している。これまでの趨勢が継続する「レファレンスケース」において、今後

2030 年までの間に更に 1.8 倍の 1,360 Mtoe まで拡大する見通しである(図 4.3.1)。燃料別

に見ると、最も大きなシェアを占めるものは石炭であり、2013 年のエネルギー消費のうち

44%を占める。このシェアは 2030 年にかけて 43%と微減で推移する見通しであり、代りに

天然ガスや原子力の比率が上昇する。

図 4.3.1 インドのエネルギー需給見通し 出典:日本エネルギー経済研究所「アジア/世界エネルギーアウトルック 2015」

電化の進展に伴い、電力需要はエネルギー全体よりも更に急速に拡大している。1990 年

から 2013 年までインドの発電電力量は 4.1 倍に拡大しており、今後 2030 年にかけて更に

2.3 倍に拡大する(図 4.3.2)。2013 年現在、発電電力量の 73%を石炭火力発電で賄ってい

るが、今後天然ガス火力や原子力、再生可能エネルギー発電の拡大によりこのシェアは 65%

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1990 2000 2013 2020 2030

Otherrenewables

Hydro

Nuclear

Natural gas

Oil

Coal

Mtoe

82

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まで低下する。

図 4.3.2 インドの発電構成の見通し 出典:日本エネルギー経済研究所「アジア/世界エネルギーアウトルック 2015」

インドの世帯数は 2013 年におよそ 2 億 3,000 万と推計される。人口の増加に伴い、2030

年には 2 億 7,000 万世帯程度まで増加する(図 4.3.3)。また、エアコンの普及率は低く、

2013 年時点で 4%程度と推計される。今後所得の上昇に伴い普及率上昇が見込まれるもの

の、2030 年時点でも 6%程度に止まる。

図 4.3.3 世帯数の見通し 出典:日本エネルギー経済研究所「アジア/世界エネルギーアウトルック 2015」

家庭部門及び業務部門の電力消費量は図 4.3.4 のように拡大する。2013 年時点では家庭部

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

1990 2000 2013 2020 2030

Otherrenewables

Hydro

Nuclear

Natural gas

Oil

Coal

TWh

0%

1%

2%

3%

4%

5%

6%

0

50

100

150

200

250

300

1990 2000 2013 2020 2030

Million households

Household number

Penetration ratio

Penetration ratio

83

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門の電力消費量は 207 TWh、業務部門は 82 TWh であり、前者は後者の 2.5 倍の水準である。

今後 2030 年にかけて、家庭では非電化世帯における電化進展などの影響もあり、電力需要

はおよそ 2.5 倍に拡大する。また業務部門では、産業化・サービス化の進展に伴い家庭より

も高い伸び率で 3.5 倍に拡大する。

図 4.3.4 家庭・業務部門の電力消費の見通し 出典:日本エネルギー経済研究所「アジア/世界エネルギーアウトルック 2015」

3.2 2030 年におけるインド全体の導入ポテンシャル 3.2.1 エアコン

(1)節で述べた世帯数及びエアコン普及率の見通しに基づき、2030 年のインド全体のエア

コン保有台数は 1,557 万台程度と推計される。これに対し、今後エアコンの販売台数に占

めるインバータエアコンのシェアが徐々に上昇し、2030 年には販売の 100%がインバータ

式になると想定した。ストックベースでいうとおよそ 84%、1,314 万台のエアコンがインバ

ータ式になる想定である。 3.2.2 BEMS

BEMS については、新たに建設されるオフィスビル等のうち、2030 年に 50%、2040 年

に 100%に対して BEMS が導入されるとした。但しビルはエアコンに比べて耐用年数が長

いため、2030 年時点のストックベースでの BEMS 導入比率は 15%程度、即ち図 4.3.4 に示

す業務用電力需要のうち 44 TWh 程度が BEMS の対象となるとした。 3.2.3 PV

PV については、インド政府の提出した約束草案(INDC)では 2022 年に 100 GW の導

入が見込まれている。2030 年には更に導入拡大が見込まれることから、ここではレファレ

ンスケースの 2030 年の PV 導入量 16GW に対し、2030 年に 150 GWh、設備利用率を 17%

0

100

200

300

400

500

600

1990 2000 2013 2020 2030

TWh

Residential

Commercial

84

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として 223 TWh の導入を想定した。これは 2030 年の発電電力量全体に対して 8.2%程度の

シェアを占めることとなる。 3.3 省エネルギー導入による潜在的経済効果 上記の前提条件のもとで、エアコン・BEMS 及び PV の導入による費用・便益を計算す

ると(図 4.3.5)のようになる。但し、ここで PV における追加コスト及び便益が AC 及び

BEMS に比べて大きいため、PV のみスケールを 10 分の 1 倍している。また、ここでの省

エネ便益は石炭火力の燃料費削減分と初期投資費用、及び石炭火力発電所の運転維持費を

含んでいる。なお石炭価格については「アジア/世界エネルギーアウトルック 2015」の 2030年の石炭価格 106 ドル/t を用いた。

図 4.3.5 省エネ機器導入の費用及び便益(インド全体) 追加投資による生産誘発効果は図 4.3.6 及び図 4.3.7 のようになる。ここでも PV につい

てのみスケールを 10 分の 1 倍している。国内で生産を行った場合、生産誘発効果は全体で

38 兆ルピー、雇用誘発効果は 4,500 万人に及ぶ。38 兆ルピーの生産誘発効果は、単年に換

算するとインド全体の GDP のおよそ 0.8%に相当する。

-1.5

-1

-0.5

0

0.5

1

PV AC BEMS

Saved energy cost

Additional investment

Net benefit

10 trillion Rs (PV), trillion Rs (AC & BEMS)

85

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図 4.3.6 追加投資による生産誘発効果(インド全体)

図 4.3.7 追加投資による雇用誘発効果(インド全体) 省エネルギーによる発電量減少効果は 221 TWh、2030 年の発電電力量の 8.1%に及ぶ(図

4.3.8)。但しここでは、PV の導入分も「省エネ」と見做している。これにより、図 4.3.9に示すように、石炭火力発電の設備投資は約 4.1 兆ルピー減少、また 2030 年までの累積の

燃料費は 6.1 兆ルピー減少する。

0

1

2

3

4

Domestic Import Domestic Import Domestic Import

PV AC BEMS

Indirect

Direct

10 trillion Rs (PV), trillion Rs (AC & BEMS)

0

1

2

3

4

5

Domestic Import Domestic Import Domestic Import

PV AC BEMS

Indirect

Direct

10 million (PV), million (AC & BEMS)

86

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図 4.3.8 省エネによる発電量削減効果

図 4.3.9 省エネ機器導入による投資額の変化 レファレンスケースではエネルギー起源 CO2排出量は 2013 年の 1,894 Mt から、2030年には 3,459 Mt まで 1.8 倍に増大する(図 4.3.10)。これに対して、PV、AC 及び BEMS を

導入することにより、2030 年の CO2排出量を 206 Mt(6.0%)削減することができる。

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

1990 2000 2013 2020 2030

TWh

8.1%(221 TWh)

-10

-5

0

5

10

15

PV, AC & BEMS Coal

trillion Rs

Initial investment

Fuel cost

PV

AC & BEMS

87

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図 4.3.10 省エネルギーによる CO2削減効果

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

1990 2000 2013 2020 2030

MtCO26.0%(206 MtCO2)

88

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第 5章 今後の事業化の課題及び将来の JCM化に向けた成功要因や解決すべき

課題: 事業の具体化に向けた課題の抽出 (1) 横断的課題

過去のJCM実現可能性調査や、今回の事業の対象技術メーカー(太陽光、空調機器、BEMS)とのヒアリングにおいて指摘された課題のうち、本事業において直面する可能性のある横

断的課題について表 5.1 にまとめる

表 5.1 事業家における横断的な課題

①企業の省エネ意識 • 企業の省エネに対する関心・知識が乏しい。また、利益を増や

すためには、増産等を行うという選択肢もあり省エネの優先度

が低い 35(※)

②政府及び政府系企

業の能力

• プロジェクトに必要な許認可の手続きが煩雑 • 当局の能力不足で予定通りに許認可の手続きを進められな

い 36

③商習慣 • 日本とは異なる商習慣が多数ある • 例として、サプライヤーの納期を守る意識が希薄(※)

④現地化 • 現在、太陽光パネル 37やエアコンの分野ではインド国内で生産

されるため、日本からの製品輸出では輸送費等のために競争力

を確保できない(※)

⑤税制等 • 連邦と州政府で様々な税があり、総じて税額が高い 38

⑥土地取得の問題

• 土地取得における権利者・住民との調整に多大な労力を必要と

し、時間がかかる 39 • 住民との訴訟に発展すると、訴訟終了まで数年にわたって事業

が完全に停止してしまう(※) (※)ヒアリング調査において指摘された点

出典:各種資料より日本エネルギー経済研究所作成

NMSEZ におけるスマートコミュニティーを事業化するという観点では、⑤税制について

は、SEZ のための特別税制(各種の免税詳細は第 6 章 1 を参照)が整備されているため大

35JFEスチール株式会社他「平成 23 年度成果報告書地球温暖化対策技術普及等推進事業

インド JSW スチール社製鉄所における省エネルギー・プロジェクトの案件組成調査」2012年。 36NTT ファシリティーズ他「平成 23 年度成果報告書 インド国における太陽光発電事業の

案件発掘調査」2012 年。 37 例として、米国の SunEdison が進出している http://www.sunedison.com/en-in 38 三菱化学エンジニアリング株式会社「平成 23 年度地球温暖化対策技術普及等推進事業イ

ンド国コークス炉自動燃焼制御システム(ACCS)技術導入による省エネルギー案件の発掘

調査」2012 年。 39 同上。

89

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きな問題にはならないと考えられる。また、⑥土地取得については、今回の土地は開発業

者により取得済みであるため、この点も問題にならないと考えられる。 他方、①企業の省エネ意識、②政府の能力、③商習慣、④現地化の際の労働力について

は、対策をとることが必要である。 ①企業の省エネ意識 先行する JCM 実行可能性調査によれば、参入する企業側が省エネやスマートコミュニテ

ィーの便益に関心を持ち、理解している必要性が指摘されている。また、定量的に省エネ

の効果の試算を提示しても、インド側ではその数字そのものを信用しようとしないことも

あるとヒアリング調査で指摘された。NMSEZ における企業誘致の際には、その省エネ効果

やスマートコミュニティーとしての利便性の説明に注力する必要がある。 ②政府の能力 NMSEZ のスマートコミュニティー事業においては、インフラの整備から工業団地の誘

致・運営まで多種多様な要素が含まれる事業であるため、それだけに必要となる許認可も

多くなる。先行する JCM 実行可能性調査によれば、これが、遅々として進まなくなること

は、事業を推進していく上で大きな障害となる。また、こうした行政の非効率は複数の省

庁がまたがるプロセスについてはことさらに悪化すると言われている。このため、NMSEZの開発に対して関連政府機関(主に州政府)がコミットし、迅速に各種手続きを進められ

る体制を構築する必要がある。また、インフラの整備は、企業誘致のために各種手続きの

窓口を一本化する必要がある。たとえば、ラジャスタン州のニムラナ工業団地は、ラジャ

スタン産業開発・投資公社が事務所を設置し、窓口を一本化することで効率化を図ってい

る 40。このように、州政府のコミットメントを早期に勝ち取り、デベロッパーと政府の連

携が緊密に取れる体制づくりが必要になると考えられる。 ③商習慣 JCM 実行可能性調査において日本とインドの間での商習慣の違いが多く、それらに留意

したプロジェクトの遂行が求められることが指摘されている。同様の指摘はヒアリング調

査の対象企業からもなされた。たとえば、インド国内の施工業者、納入業者などの問題で

は製品の納期が守られないことが多いことや、粗雑な施工で多く品質の確保が難しく、納

品が遅れることも多い。更に、工期が長いことも問題である。例として、高級住宅を建設

する場合、4~5 年かかることが多いとヒアリング調査で指摘されている。 ④現地化の際の労働力 現在インドにおいては、製造業の成長が著しく、今回対象とする太陽光パネルや高効率

エアコンもインド国内で製造されている。今後、NMSEZ やそれ以降のインド中のスマート

コミュニティーの製品需要を満たすために、日本からの製品輸出の場合、輸送費や関税と

いったコストが発生するため、インド市場において競争力を持つには現地生産も検討する

40 JETRO「インド・ラジャスタン州 ニムラナ工業団地のご案内」

https://www.jetro.go.jp/jetro/overseas/in_newdelhi/neemrana/neemrana_201406.pdf

90

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必要がある。 しかしながら、JCM 実行可能性調査においては現地での生産のための人材を確保するこ

とが難しい状況にあることが報告されるとともに、今回ヒアリング調査の対象企業からも

市場が拡大していることもあり、各社とも人材を必要としており、奪い合い・引き抜きが

多く行われていることが指摘された。今回対象とする技術に関しては、工員に一定の水準

の技能が求められる一方、製造業全体が成長している中、同業他社からの引き抜きだけで

はなく、自動車産業など他業種からの引き抜きもある。また、インドの工員の転職志向も

強いため、人材の確保は重要な課題となっている。 同時に、複雑な機器の設置工事につ

いては、工員の教育も行う必要がある。

(2) 個別技術に関する課題

① 太陽光発電

1) 気候条件などの問題 ヒアリング調査の対象企業によると、インド国内において太陽光発電を実施する際には、

季節の変動(雨季と乾季の違い)、気温、砂塵などの影響で発電効率を低下させる要因があ

るため、それらに対策が必要となる。 ①雨季と乾季の違い インドでは雨季(7 月~9 月)と乾季(10 月~3 月)があるため、年間を通じて発電効率

の変動が大きい。特に、雨季には別途電源を用意する必要がある。太陽光発電の間欠性対

策としては蓄電池の設置などが考えられるが、蓄電池のコストは依然として高いため、蓄

電池の導入は太陽光発電の採算性を悪化させる要因となる。 ②高い気温 気温が高くなると、太陽光パネルに熱が滞留し発電効率を悪化させる要因となる。イン

ド国内でも気温が高い地域(特にムンバイは年間通じて最高気温が30℃以上で、最高で40℃台なる。また、パネルの表面温度は 80℃~90℃程度になる)においては、太陽光パネルの

熱対策が必要。 ③砂塵 インドでは砂塵が多く、パネル表面に堆積することでも発電効率の低下を招いているた

め、日々のメンテナンスにおいて砂塵を除去する必要がある。水洗による除去は有効であ

るが、上水道設備が整備されていない地区も多く、また整備されていても水道料金が高い

ため、太陽光発電のコストを上げる要因とる。特にミネラル分の多い水質であれば、時間

の経過とともに含有する塩分によって機器の故障が発生することもあり、インド国内での

太陽光発電実施の上での課題となっている。

2) 市場の競争激化と需要家の価格重視の姿勢 表 5.2 の通り、インド連邦政府及びマハラシュトラ州政府による太陽光発電の優遇政策が

整備されている 41。

41 その他の優遇税制等は第 2 章 2 を参照。

91

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表 5.2 インド連邦政府及びマハラシュトラ政府による太陽光発電事業優遇措置

Viability Gap Funding (VGF)42 所管:連邦政府

• 固定価格での売電契約(最大 Rs.6.43/kWh ≒10.5 円)

と設備補助が与えられる。設備補助は、1MW 当たり

1 千万ルピー(≒1640 万円)を上限とする逆オークシ

ョンを行う。 Renewable Purchase Obligation43 所管:マハラシュトラ州政府

• 発電事業者に対して、再エネ電源を購入すること義務

付けている。再エネの発電量は証書取引の対象となる

(米国の RPS に近い制度)。 売電契約 44 所管:マハラシュトラ州電力

規制委員会

• 競争入札により売電価格を決定 • 契約期間は 13 年間 • 優先給電

出典:各種資料より日本エネルギー経済研究所作成

このように、太陽光支援策は用意されているが、現在日本の太陽光パネルが参入してい

くのが難しい状況にある。ヒアリング調査の対象企業によると、市場の拡大を受けて、多

くの企業が参入しているが、このことは一方で、市場の競争を激化させ、価格競争が激し

くなってきている。米国の企業の中には、輸送費用を抑えるためにインド国内に太陽光パ

ネル製造工場を建設し、インド国内で販売する太陽光パネル製造をしている企業もいる。

そのため、日本からインド国内に輸出すると輸送費がかさみ価格の競争力が失われている。

また、インド国内では、価格が最も重要な判断基準となっており、少々、性能が悪くても

価格が安いものが選ばれている。また、マハラシュトラ州での太陽光発電事業の売電価格

を決定する際に、MERC が発表している目安の設備費が 6090 万ルピー(≒1 億円)となっ

ている。一方、日本の固定価格買取制度の価格を検討する調達価格算定委員会では、2015年度の想定費用が 2.9 億円/MW となっている 45。連邦政府の VGF 制度による太陽光発電

プロジェクトを実施する際も、設備補助費は約 1,640 万円が上限となっており、日本とイ

42 Maharashtra Electricity Regulatory Commission, (Renewable Purchase Obligation, Its Compliance and Implementation of REC Framework) Regulations, 2010 http://www.mercindia.org.in/pdf/Order%2058%2042/Final_MERC(RPO-REC)_Regulation_2010_English.pdf 43 Ministry of New and Renewable Energy, Guidelines for Implementation of scheme for setting up of 2000 MW Grid-Connected Solar PV Power Projects with Viability Gap Funding (VGF) under Batch-III of Phase-II of the JNNSM, http://mnre.gov.in/file-manager/grid-solar/Scheme-2000MW-Grid-Connected-SPV-with-VGF-under-JNNSM.pdf 44 Maharashtra Electricity Regulatory Commission, Maharashtra Electricity Regulatory Commission (Terms and Conditions for Determination of Renewable Energy Tariff) Regulations, 2015 http://www.mercindia.org.in/pdf/Order%2058%2042/MERC(TandC%20for%20Determination%20of%20RE%20Tariff)%20Regulations,%202015%20.pdf 45 経済産業省 調達価格等算定委員会(第 20 回)配布資料「資料 1 再生可能エネルギー

の導入状況と固定価格買取制度見直しに関する検討状況について」。想定設備費用は 10kW以上の発電設備の値。 http://www.meti.go.jp/committee/chotatsu_kakaku/pdf/020_01_00.pdf

92

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ンドの市場の差を埋めることは難しい。このことから、日本市場向けに主に事業展開して

いる企業にとって、インドは、極めて厳しい競争環境だと言える。こうしたなか、パネル

の性能や耐久性といった点で優れている製品が優遇されるような規制や政策が整備されて

いるわけではないため、高性能だが価格の高い日本製の太陽光パネルが進出することは非

常に困難な状況にある。

② 高効率エアコン 1) ラベリング制度の問題

インドの省エネラベリング制度は負荷変動を想定せずに設定されているため 46、日本の

空調機器メーカーの得意とするインバーターエアコンの性能が強みとならない。現在、負

荷変動を踏まえた APF(Annual Performance Factor)基準の制定が検討されているが、

インド国内での気候が大きく異なり、特に、NMSEZ は気温が高いため、高出力で負荷変動

なくエアコンを稼働させる需要家も多い。こうした使用状況においては、日本のメーカー

の強みであるインバーター技術が優位性を持てない状況にある。

2) 消費者の価格重視の傾向 インドの需要家の多くが省エネに関心がなく、関心がある一部の需要家であっても製品

購入の際には省エネ性能よりも製品の安さを優先するとヒアリング調査では指摘さている。

このため、どれだけエネルギー効率が悪い製品でも、販売価格が安ければ、多くの需要家・

消費者は、価格の安い製品を選んでしまう傾向が強いのが現状である。

③ BEMS あるいは制御系

1) コストの問題と信頼性 ヒアリング調査の対象企業によると、インド国内では人件費が安いため、高価な機器を

導入して空調機器の制御を行うよりも、人員を配置して管理させる方が費用対効果は高い

のではないかと指摘している。また、制御系技術の必要性を顧客に説明する際には、顧客

側が省エネ効果のデータを用意に信頼しないこともあり、省エネ効果の証明には力を入れ

る必要があると指摘している。

46 Bureau of Energy Efficiency, “AC Notification/ Gazette, Schedule 3 - Room Air Conditioners,” https://www.beestarlabel.com/Content/Files/Schedule3A-RAC9jun.pdf

93

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第 6 章 インドにおける JCM 及びスマートシティに関連する政策

(低炭素技術・製品に関する技術的基準や財政的支援策等)

の提言 1. ナビムンバイにおける税制優遇措置、財政的支援策とインド他州及び新興国

との比較

JCM 及びスマートシティの推進に当たっては、環境に配慮した設備の導入により追加的

な投資や費用が発生するため、財政的支援策の検討も必要である。ここでは、インド他州

及び、中国など経済成長率の高い新興国の税制優遇措置なども参考にしながら、インド・

マハラシュトラ州ナビムンバイ開発に考慮した財政的支援策のあり方を検討する。 1.1 ナビムンバイにおける税制優遇措置・財政支援策 ①インドにおける主な優遇措置の比較 インドでは、輸出・雇用などの振興を目的として、2005 年に始まった SEZ(経済特別区)

に入居する企業は、多くの税制優遇措置が受けられる。その後、製造業の発展を目的に、

2013 年に導入された NMIZ(国家製造投資区)では、国家製造業政策(2011 年発表)に基

づき、GDP に占める製造業の比率を 2022 年までに現在の約 16%から 25%まで高めること

を目標としている。具体的には、物流など製造業に不可欠なインフラ整備補助などに焦点

を当てることによって製造業誘致を図る政策となっている。その他、ソフトウェアなど特

定産業の工業団地に向けた税制優遇や、上下水道や電力関連など基礎的なインフラ整備を

目的とした補助金等も用意されている。具体的な優遇策等について、表 6.1.1 に示す。

表 6.1.1 インドにおける主な優遇政策 項 目 主な税制優遇措置

(1) SEZ(特別経済区) ・法人税、輸入関税、物品税、サービス税、中央売上税、付加価値税(VAT)などが免税。

・ただし、法人税は、最大 15 年間の減免措置(最初の 5 年間は100%、続く 5 年間は 50%、収益再投資を条件に更に 5 年間は50%免税)。

・なお、配当分配税(DDT)および最低代替税(MAT)は通常通り課税。

(2) NMIZ(国家製造投資区) ・税制優遇については記載なし。 ・ただし、SEZ を組み合わせた NMIZ を創設することによって、

SEZ の優遇措置を受けることができる。 ※ SEZ は 10~1,000 ヘクタール、NMIZ は 5,000 ヘクタール以上の面積が必要

(3) 100%輸出指向型企業

(EOU:Export Oriented Unit) ・輸入関税、物品税、サービス税、中央売上税、付加価値税(VAT)

などが免税。

94

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(4) 以下の産業パーク内の企業

①ソフトウエア・テクノロジー・パーク

②エレクトロニクス・ハードウエア・

テクノロジー・パーク

③バイオ・テクノロジー・パーク

同 上

(5) インフラ分野への投資 ・道路、上下水道整備、灌漑、廃棄物処理などのインフラ開発は、プロジェクト開始から 20 年のうち、連続する 10 年間の法人税が免税。

・通信分野は、最初の 5 年間は法人税が免税。続く 5 年間は 30%が免税。

・その他規制:生産開始から 5 年間を1ブロックとし、以後継続的にブロック間の輸出入収支をプラスにすること。

(6) 発電および送配電分野への投資 ・発電・送電・送配電網の整備開発および送配電網の補修・アップグレードは、プロジェクト開始から 15 年のうち、連続する 10 年間は獲得利益全額が免税。

・ただし、発電、供給、送配電網の補修は、2017 年 3 月 31 日までにプロジェクトの開始が必要。

②ナビムンバイにおける優遇措置 ナビムンバイで受けられる優遇措置は、SEZ(経済特別区)域内と域外で分かれる。SEZ

域内(ナビムンバイ SEZ)では、SEZ とマハラシュトラ州産業政策 2013(2013 年 1 月発

表)の両方の優遇措置を受けることができる。SEZ 域外では、マハラシュトラ州産業政策

2013 の優遇措置のみが適用される。 SEZ の優遇措置では、州を問わず多くの税項目について同様の減免を受けることができ

る(表 6.1.2)。例えば、法人税は、最初の 5 年間は 100%免税、続く 5 年間は 50%免税、

そして利益の再投資を条件に、さらに 5 年間の段階的な免税措置を受けることができる。

また物品税、中央販売税(CST;Central Sales Tax)、関税、付加価値税(VAT;Value Added Tax)、そして入境税については 100%免税となる。消費電力税と印紙税については、各州

で優遇措置が異なる。ただし、SEZ 開始時は 100%免税であったが、最低代替税(MAT;Minimum Alternate Tax47)と配当分配税(DDT;Dividend Distribution Tax48)につい

ては、2011 年から課税が再開されている。 一方、マハラシュトラ州の産業政策に係る優遇措置では、一部の州税減免や、その他優

遇措置を受けることができる(表 6.1.3)。州税については、消費電力税と印紙税(土地売買、

リース契約等)に関して免税措置を受けることが可能である。また、スマートコミュニテ

ィの構築要素となる省エネや節水設備については、設置補助や、水道・電力の監査費用の

還付を受けることができる。しかし、マハラシュトラ州の政策では、地域の発展度合いに

よって優遇措置の対象となる場合とならない場合があり、ナビムンバイは比較的開発の進

んでいる地域であることから、電気料金の割引や事業投資補助(VAT と CST の年間支払額

の一部還付)といった補助は受けることができない。 インドの SEZ では、2015 年 1 月時点で、開発許可を受けた 491 箇所の SEZ のうち、稼

47 MAT:会計上の利益の 18.5%が法人税額を超過時に課税 48 DDT:配当税

95

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働しているのは 196 箇所に留まっている。その背景としては、例えば、国際的にみて高い

法人税(約 41~43%)が挙げられ、50%減免期間が認められているものの、6 年目からは

課税が再開される。そのため近年では、2016 年 4 月から 4 年間で法人税を 30%から 25%まで引き下げる(課税所得 1,000 万ルピー未満の内国法人の場合)の動きがみられる。そ

れに先立って、インド国内に新設される製造業について2016年3月から25%が適用される。

また、インフラ整備を促す土地収用法の改正も課題となっている。地権者の同意獲得や社

会影響調査を免除することが改正の内容であるが、農民に不人気な政策であるため足踏み

状態が続いている。しかし、マハラシュトラ州など与党系の州では、先行して改定される

可能性があると言われている。 その他、肥満予防などを目的に砂糖税も間もなく導入される見込みであるが、飲食産業

の多国籍企業進出に影響を及ぼす可能性がある。 上述のように、SEZ 域内に入居することで多くの優遇措置が見込まれる一方で、SEZ 域

外にはない制約も受けることになる。例えば、SEZ 域内で製造した製品に対して輸出比率

の下限を設けており、海外向け販売比率を 75%以上、国内向け販売比率を 25%未満と規定

としているが、この規定は、インド市場での販路拡大を見込む海外企業の投資判断に影響

を与える可能性がある。ナビムンバイはインド最大都市ムンバイに隣接し、土地代や人件

費が高いという諸条件を考慮すると、その市場などを見据えた国内販売の上限を緩和して

いくことが求められると考えられる。国内販売を目的とし、SEZ 域外へ進出する企業にと

っては、比較的税制優遇などが手薄いため、更なる優遇措置が求められる。

表 6.1.2 SEZ 政策における優遇措置

注釈 1:会計上の利益の 18.5%が法人税額を超過時に課税 注釈 2:州を跨ぐ搬入物品に課税

表 6.1.3 マハラシュトラ州産業政策の優遇措置

①インドSEZの優遇措置(税制面)

税分類 税目 内容

国税 法人税 100%免税(最初の5年間)50%免税(続く5年間)50%免税(利益の再投資を条件にさらに5年間)

物品税・中央販売税(CST)・関税・サービス税 100%免税

最低代替税(MAT)(注釈1)、配当分配税(DDT) 2011年~課税再開

州税(各州で設定可)

付加価値税(VAT)・入境税(注釈2) 100%免税

消費電力税・印紙税等 各州で優遇措置設置(注釈3、4参照)

②マハラシュトラ州産業政策(2013)の優遇措置

優遇項目 NMSEZの対象項目

税制優遇 州税 消費電力税100%免税 ○ (注釈3)

電気料金割引 ×

印紙税100%免税(土地購入、リース契約) ○ (注釈4)

その他優遇措置

事業投資補助 VATとCSTの年間支払額の一部還付 ×

設備投資補助 省エネ・省水機器 設置補助/監査費用還付 ○

96

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1.2 ナビムンバイとインド他州との優遇措置の比較 マハラシュトラ州以外の州で定める優遇政策は、国が主導する SEZ 政策とは異なり自由

に設定できることから、州によって優遇措置が異なる。ここでは、スマートシティ 100 都

市構想での整備対象都市が多く、デリー・ムンバイ間産業大動脈構想(DMIC)、チェンナ

イ・バンガロール間産業回廊構想(CBIC)沿いに工業団地が多く集中しているインド 5 州

(グジャラート州、ラジャスタン州、ウッタルプラデシュ州、タルミナド州、カルナタカ

州)(図 6.1.1、6.1.2、図 6.1.3)とマハラシュトラ州ナビムンバイとの優遇措置の比較を行

うことにする。 (社)

図 6.1.1 インド各州の日系企業の拠点(本支店・営業所・工場等)数

図 6.1.2 インド各州の GDP

397

84 79 72

523

299

0

100

200

300

400

500

600

DMIC ゾーン CBIC ゾーン

11.97

5.84

4.11

6.94 6.72

4.62

2.62

0

2

4

6

8

10

12

14

DMIC ゾーン CBIC ゾーン

兆ルピー

97

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図 6.1.3 インドのインフラ整備構想

ここで取り上げた 5 州では、「事業投資補助」、「設備投資補助」、「優遇ローン」の 3 つの

優遇措置を州独自で設定している(表 6.1.4、6.1.5)ことが特徴である。また、設定されて

いる優遇措置は、プロジェクトや企業の規模に応じたメニューとなっていたり、地域を指

定した措置となっていたりする点が特徴となっている。 特に、スマートシティ導入の観点からは、企業進出にとって重要なコアインフラ 49構築

補助や、クリーンな生産設備導入による補助、再エネ設置補助、汚水処理、そして排水設

備設置補助などの環境対策関連補助が織り込まれているのが特徴的である。 以上より、NMSEZ では、税制面で多くの国税・州税が減免されているものの、スマート

シティの主たる要素となる「省エネ」、「創エネ」、「蓄エネ」に着目した「投資補助」や「優

遇ローン」が追加されれば、企業進出とともにスマートシティの実現にも貢献すると考え

られる。

49 工業団地内道路、電線、通信機能、配水管、下水処理施設、排水施設等

0 500km

ムンバイ

コルタカ

チェンナイ

コーチンカーニャクマリ

ハイデラバード

シルチャル

アーマメダバード

ポルバンダル

スリナガル

バンガロール

東西南北回廊(NSEW)

南部インド産業経済回廊

チェンナイ・バンガロール間産業回廊(CBIC)

デリー

黄金の四角形(GQ)

デリー・ムンバイ間産業大動脈(DMIC)

貨物専用鉄道建設計画(DFC)西回廊

貨物専用鉄道建設計画(DFC)東回廊

インド

98

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表 6.1.4 インド他州との優遇措置の比較

注 1:DMIC(Delhi-Mumbai Industrial Corridor):デリー・ムンバイ間産業大動脈構想 注 2:CBIC(Chennai-Bangalore Industrial Corridor):チェンナイ・バンガロール間産業回廊構想 注 3:工業団地内道路、電線、通信機能、配水管、下水処理施設、排水施設等

表 6.1.5 インド他州の優遇措置詳細

※ NM:NMSEZ、MA:マハラシュトラ州、GU:グジャラート州、RA:ラジャスタン州、

UT:ウッタルプラデシュ州、TA:タルミナド、KA:カルナタカ州

項目(各州で設定)

インド東部(DMIC)(注釈1) インド北部(DMIC) インド南部(CIBC)(注釈2)

NMSEZマハラシュトラ

グジャラート

ラジャスタン

ウッタルプラデシュ

タルミナド カルナタカ

税制優遇 1.州税 消費電力税減免 △ △ △ ● △

印紙税減免 △ △ ○ ● ● ● ●

その他優遇措置

2.事業投資補助

VATとCSTの支払総額の一定率補助 △ △ △

雇用奨励金 △ △

3.設備投資補助

コアインフラ構築(注釈3)

環境対策 △ △ △ △ ●

4.優遇ローン

ローン金利補助 △ △ △

借入金補助 △

無利息ローン △ △

ソフトローン △

5.登録料減免

土地取引、融資契約等 ● ○ ○ ○

6.土地取得補助

支払総額の一定率補助 △

優遇項目

(各州で設定)

優遇対象

(不等号は優遇の度合いを表す)導入州

NM MA GU RA UT TA KA

1.税制優遇

(州税)消費電力税減免 指定なし ○

輸出特化企業・IT・バイオ関連の大企業(州特定地域) ○ ○

新規工業系・パイオニア産業 ○

事業を拡張する製造業(投資額・雇用数別) ○

SEZ ○

印紙税減免 土地登記、融資契約等(業種・地域指定の場合あり) ○ ○ ○ ○ ○ ○

SEZ ○ ○ ○ ○ ○

2.事業投資

補助

VATとCSTの支払総額の

一定率補助州特定地域 ○

電子システム製造業>その他産業 ○

雇用奨励金 VSTとCSTの支払総額の一定割合相当の補助金 ○

新規企業・事業拡張する製造業(特定工業団地内厚遇)(投資額・雇用数別) ○

3.設備投資

補助コアインフラ構築 製造業(特定開発地域内) ○

環境対策 省エネ・省水機器の設置/監査費用 ○ ○

中小零細製造業(クリーンな生産技術導入/環境設備設置/グリーン格付コンサル料等)

再エネ設備調達補助 ○

汚水処理施設(SEZ内の開発企業) ○

排水処理施設/危険廃棄物貯蔵・処理施設 ○

4.優遇ローン ローン金利補助 中小企業(州指定地域) ○

州特定地域内>域外/中小零細の新規サービス業/製造業(大<中小零細) ○

新規織物業(設備調達)/新規工業系企業(設備調達、インフラ開発)(州指定地域)/研究開発

借入金補助 州指定地域内>域外 ○

無利息ローン 新規工業系企業、食品加工業(州特定地域) ○

企業規模別 ○

ソフトローン 地域・プロジェクト規模別 ○

5.登録料減免 土地取引、融資契約等 地域指定の場合あり ○

SEZ ○ ○ ○ ○

6.土地取得

補助支払総額の一定率補助 特定工業団地

99

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1.3 ナビムンバイと他国との優遇措置の比較 ここでは、これまでに外資の誘致が進んでいる(図 6.1.4)中国、タイ、インドネシアの

3 カ国とインドの優遇措置の比較を通して、今後インドにおいて検討すべき優遇措置の在り

方について検討を行う。

(出所)進出企業数:経済産業省「海外事業活動基本調査」2013 年度版

一人当たり GDP:IMF「世界経済アウトルック」

図 6.1.4 一人当たり GDP、進出企業数の比較

表 6.1.6 他国との優遇措置の比較

(※1) タイの SEZ では、認可により BOI(タイ工業省傘下の投資誘致機関)の優遇も受けられる (※2) 現在、通常税率に設定されている軽減税率の適用を受ける(時限立法措置)

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

中国 タイ インドネシア インド

進出日系企業数

(2013年10月時点)

一人当たり名目GDP(US$)

(2014年)

国 政策区分

税制優遇 その他優遇政策

法人税 関税その他税制

補助金優遇

ローンその他

NMSEZ(インド)

SEZ 輸出拡大、産業育成 ○ ○ ○ ○

中国

外商投資企業 外資優遇 ○ ○ ○ ○

国家投資奨励業務 重点的に発展援助、推奨する産業等 ○ ○ ○ ○ ○

重点地区 内陸の開発等 ○ ○ ○ ○ ○

SEZ

経済特別区 税制、行政審査認可の面で厚遇 ○ ○ ○

経済技術開発区 工業と化学技術のための経済区域 ○ ○

ハイテク産業開発区 ハイテク産業発展の化学技術経済区域 ○ ○

保税区 対外貿易、加工貿易の拡大・振興 ○ ○ ○

タイ

投資奨励委員会 (BOI)推奨業種・プロジェクト

7分類107業種の投資推奨業務を設定 ○ ○ ○ ○

民間管理区域 BOIの投資推奨を受けた工業団地 ○ ○ ○ ○

SEZ(※1)

一般工業区 工業・サービス業もしくは関連事業 ○ (※2) ○

自由事業区 輸出向け(国内販売60%まで可) ○ (※2) ○ ○ ○

関税フリーゾーン 税関所管 ○ (※2) ○ ○ ○

インドネシア

外資系企業 外資優遇 ○

SEZ

保税地区 輸出加工区、保税倉庫・保税工場等 ○ ○ ○

自由貿易地域(FTZ) 産業育成 ○ ○ ○

経済統合開発地区 経済発展 ○ ○ ○

(参考)(単位:米ドル) アメリカ:54,367 ドイツ:47,774 フランス: 44,332 日本:36,222

100

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現在のインドの SEZ では、幅広い業種に対して、政府が指定する区域内に進出すること

で優遇を受けられる。一方、評価対象の 3 カ国では、経済の成長につれて、「特定の重点地

域」から、「国の重点産業」への優遇投資の切り替えがみられると同時に、国内産業の競争

力が高まった分野については、外資への優遇を徐々に低減させていく動きがみられる。 また、インドでは、一部産業に特化した政策の他、民間企業による特別区などもみられ

るものの、SEZ としては 1 種類であるのに対して、評価対象の 3 カ国では、政府が指定す

る多様な「推奨業務」と「特区」が設定されており、業種や目的別に特別区域が数分類み

られることが異なる点である。インドでも、各州政府が定める政策では、特定の産業にお

ける企業進出を促進する政策がこれまでも採られてきた。近年では、2014 年発表の「メイ

ク・イン・ディア」政策に代表されるように、国を挙げて製造業向けの特区を創設するな

ど、特定産業の企業進出促進に政策的な焦点をあてる方向に変化しつつあると考えられる。

そのためこうした流れを維持しながら、他国にみられるより特定業種や目的に特化した

SEZ などを設定すれば、海外企業の工場進出を促進するうえで、より効果的となるものと

考えられる。 (参考文献) ・http://www.makeinindia.com/search?tag=smart%20city ・インド各州日系企業進出数

www.in.emb-japan.go.jp/Japanese/J_cos_list_j_2013_10.pdf ・各国一人当たり GDP

http://www.imf.org/external/ns/cs.aspx?id=28 ・20 都市について

www.india-bizportal.com/jacomp/p21154/ 2. ナビムンバイ及びインドに適した技術的基準の検討 第 3 章および第 5 章で検討したように、JCM プロジェクトで採用する低炭素技術・製品

について、現在、技術的基準に関する障壁は存在してない。 インバータエアコンの普及のためには、その機器効率について、期間効率(Seasonal Performance Factor)の評価手法が採用されていることが重要であるが、インドでは、機

器の定格電力容量に基づくエネルギー消費基準(Energy Efficiency Ratio: EER)が評価手

法として採用されている。しかし、インドでは、現在、期間効率の評価手法を採用するこ

とが検討されており、今後は、インバータエアコン普及の障壁にはならなくなると考えら

れる。

101

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(別紙 6-1-1) インドにおける外資系企業進出に係る主な課税(国税)

分類

税 目 課 税 対 象 所管

通 常 税 率 ※1ルピー=約 2円 特別経済区(SEZ)

開 発 企 業 入 居 企 業

直接税

法人所得税 所得(2015年度からの適用)

中央政府

43.26% (所得 1億ルピー以上)

42.024% (所得 1千万以上~1億ルピー未満)

41.20% (所得1千万ルピー未満)

・開発から 15年間のうち継続した 10年間

分を 100%免税。

(SEZ開発で得られた利益の免税措置)

・製造活動または役務提供開始から最初の 5年間は 100%免税、続く 5年間は 50%免税。

・利益を再投資することを条件に、更に 5 年

間の 50%免税。

最低代替税(MAT: Minimum Alternate Tax)

所得(利益 18.5%が法人税額を超過時に適用)

20.0077%(所得 1億ルピー以上)

19.4361%(所得 1千万以上~1億ルピー未満)

19.055% (所得1千万ルピー未満)

同 左 同 左

配当分配税(DDT: Dividend Distribution Tax)

配当 15%(実行税率 16.995%)

※受取側は 100%免税

※二国間租税条約により 10%に減免措置

同 左 同 左

間接税

物品税(Excise Duty) 物品の製造 12.5% 100%免税

※SEZ外からの調達品も免税 同 左

中央販売税(CST:

Central sales tax) 州を越えた販売 2%(注釈1) 100%免税 同 左

関税

(一般関税率:合計) 輸出入品 29.44%

100%免税 同 左

基本関税(BCD:Basic Custom Duty) 10%

追加関税(AD:Additional Duty)

※物品税との相殺税 CVD (CVD:Countervailing Duty)

12.5%

※製造過程に組み込まれる輸入部品・ 原材料は控除

教育目的税 (Education Cess) 3%

特別追加税(ADC:Additional Duty of Customs or SAD:Special Additional Duty)

4% ※製造過程に組み込まれる輸入部品・

原材料は控除

サービス税 (Service Tax/GST:

Goods and Service Tax)

特定のサービス

14%

※ネガティブリスト方式(17 種:製造・生産行為に結び付く作業、電気の送配電等)以外のサービスに適用

100%免税

同 左

備 考

注釈1:

ラジャスタン州のニムラナ・ギロット工業団で

は、中央販売税 CST の減免措置あり。

(別紙 6-1-4「州税③ラジャスタン州」を参照)

【SEZ 資格条件】

※特定業種 SEZ

・最低投資額 25 億ルピーor 純資産 5 億ルピー超

・超最低敷地面積 100ha(IT 専用の場合、10ha)

※多目的 SEZ

・最低投資額 100 億ルピーor 純資産 25 億ルピー超

・最低敷地面積 1,000ha~上限 5,000ha

(別途、基準を設けている州もあり)

【SEZ 資格条件】

・生産開始から 5 年間を1ブロックとし、以後継続

的にブロック間の輸出入収支をプラスに保つこ

と。(最低輸出義務などの要件はなし)

・国内向けの販売は、一般輸入関税(DTA)等支払う

ことにより可能。

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(別紙 6-1-2 ①)

インドにおける外資系企業進出に係る主な課税(州税:①マハラシュトラ州)

分類

税 目 課 税 対 象 所管

通 常 税 率 ※1ルピー=約 2円 特別経済区(SEZ)

大企業 中小企業 開発企業 入居企業

間接税

州付加価値税(VAT:

Value Added Tax) 州内での販売

地方政府

基本税額 12.5%+物品毎に税率を設定(1%~20%)

※輸出品 : 100%免税

※100%輸出志向型企業(EOU:Export Oriented Unit)の部品・原材料購入 : 100%免除

※輸出製品の購入や部品・原材料購入 : 全額還付

※製品の再販:付加価値分(価格上乗せ分)が課税対象

100%免税 同 左

入境税(Entry Tax) 使用・消費・販売のために入境してくる

商品 5% 100%免税 同 左

物品入市税(Octroi)

(注釈1)

州内の自治体や特定区域で使用・消費・

販売のために、搬入してくる商品

※~2013年 : 0.1%~7%の従価税(2013年 12月 Octroi廃止)

※2014年~ : 地方公共団体税 LBT(Local Body Tax:体地方税)の導入 平均 4%(0.1~8%)

※ 2015年 8月 LBT廃止決定、2016年より VAT利上げを検討。

100%免税 同 左

印紙税

(Stamp Duty) 契約文書他

・授権資本額 50万ルピーごとに 1000ルピー(上限 50万ルピー) 100%免税

(2006年 3月迄) 同 左

※IT・バイオ関連企業のリース契約・土地購入: 100%免除(グループ A・B地域は、ITパーク・バイオパークに限る)

消費電力税

(Electricity Duty) 消費電力

支払総額の 15%

同 左 同 左 ※輸出特化企業・IT・バイオ関連企業: 100%免税

(グループ A・B地域に限る)

※電力料金補助: 1ユニット(kWh)当たり 0.5~1ルピー(3年間)

(グループ A地域以外)

その他 - -

・ガソリン税 ・奢侈税 ・興行税

:100%免税

同 左

その他優遇措置

設備投資補助 設置補助 ・省水、省エネ機器の設置費用:50%補助(50万ルピー迄) 同 左 同 左

その他還付金 ・監査費用:75%還付(水道 10万ルピー、エネルギー20万ルピー迄) 同 左 同 左

産業誘致奨励金

・VATと CSTの支払総額 60~100%相当額を還付

※食品加工部門には 10%を1年分上乗せ可

(グループ A・B以外の地域)

・VATと CSTの支払総額 20~100%相当額を還付

※食品加工部門には 10%を1年分上乗せ可

(グループ A・B以外の地域)

- -

優遇ローン ローン金利補助 - ※金利のうち 5%を補助(電力料金を上限)

(グループ A以外の地域) 同 左 同 左

各種登録料 - - 100%免税

(2006年 3月迄) 同 左

※注釈1:マハラシュトラ、グジャラート、パンジャブ、ジャミンカシミールの 4 州に導入 ※グループ A・B:州の産業政策「PSI(Package Scheme of Incentives)-2013」における開発地域

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(別紙 6-1-2 ②)

マハラシュトラ州産業政策「PSI(Package Scheme of Incentives)-2013」における開発地域リスト(1/2)

管理部門 地区名

グループ A グループ B グループ C グループ D グループ D+

産業開発地区 グループ Aより産業開発 地区が少ない開発地区

グループ Bより産業開発 地区が少ない開発地区

グループ A~Cが含まない 小規模産業開発地区

グループ A~Dが含まない 最小規模の産業開発地区

KONKAN (コンカン)

部門

Greater Mumbai (大ムンバイ)

Greater Mumbai

Thane (ターネー)

Thane/Vasai/Palghar/Kalyan /Ulhasnagar/Ambernath

Dahanu/Murbad Bhivandi/Shahapur Jawhar/Mokhada/Talasari /Wada/Vikramgad

Raigad (ライガッド)

Alibag(注釈1)/Uran/Panvel /Karjat(注釈1)/Khalapur /Pen(注釈1)/Roha

Alibag(注釈2)/Pen(注釈2) /Sudhagad

Karjat(注釈2)/Mahad /Mangaon/Murud

Shrivardhan Poladpur/Mhasala/Tala

Ratnagiri (ラトナギリ)

Ratnagiri /Chiplun

Khed Guhagar/Dapoli/Lanja/Mandangad /Rajapur/Sangameshwar

Sindhudurg (シンズダル)

Vengurla Kankavli/Kudal/Sawantwadi/Malvan /Deogad/Vaibhavwadi/Doda Marg

PUNE (プネ) 部門

Pune (プネ)

Pune City/Maval/Haveli(注釈1) /Bhor(注釈1)/Daund(注釈1) /Shirur(注釈1)/Khed(注釈1) /Mulshi(注釈1)

Haveli(注釈2)/Mulshi(注釈2) Shirur(注釈2)/Daund(注釈2) /Bhor(注釈2)/Khed(注釈2) /Indapur/Baramati/Purandar

Ambegaon/Junnar Velhe

Solapur (ショーラープル)

Solapur (North ) /Pandharpur /Malshiras

Barshi/Akkalkot/Solapur (South) /Mohol/Mangalwedhe /Sangole/Karmala/Madha

Satara (サタラ)

Satara/Khandala/Koregaon/Phaltan /Khatav/Karad/Mahabaleshwar

Wai/Man/Patan/Jaoli

Sangli (サングリ)

Miraj Tasgaon/Khanapur/Atapadi/Jat /KavatheMahaankal/Walwa /Shirala/Kadegaon/Palus

Kolhapur (コールハープル)

Karveer/Panhala/Hatkanangale /Shirol

Kagal/Gadhinglaj/Chandgad/Ajra /Bhudargad/Radhanagari/Bavada /Shahuwadi

NASIK (ナーシク)

部門

Nasik (ナーシク)

Nasik Niphad/Sinnar Dindori/Yeola/Igatpuri Peth/Surgana/Kalwan/Baglan /Chandwad/Nandgaon /Trimbakeshwar/Deola Malegaon

Ahmednagar (アフマドナガル)

Nagar/Rahuri/Shrirampur/Newasa /Karjat/Shrigonda/Akola /Sangamner/Kopergaon/Rahata

Shevgaon/Pathardi/Jamkhed /Parner

Dhule (ドゥーレ)

Dhule Sakri/Shirpur/Shindkheda

Nandurbar (ナンドゥバル)

Nandurbar/Nawapur/Shahade /Talode/Akrani/Akkalkuva

Jalgaon (ジャルガウン)

Yawal/Chalisgaon/Amalner /Dharangaon

Chopada/Raver/Edalabad/Bhusawal /Jamner/Pachora/Bhadgaon/Parola /Erandol/Bodwad

※注釈1:ムンバイ首都圏地域(MMR:Mumbai Metropolitan Region)内 ※注釈2:ムンバイ首都圏地域(MMR:Mumbai Metropolitan Region)外

※MMR:8つの地方自治体(Greater Mumbai, Thane, Kalyan-Dombivali, Navi Mumbai, Ulhasnagar, Bhiwandi- Nizamapur, Vasai-Virar and Mira-Bhayandar)と9つの市町村(Ambarnath, Kulgaon-Badalapur,

Matheran, Karjat, Panvel, Khopoli, Pen, Uran, Alibaug)および Thaneと Raigadにある 1,000以上の市町村で構成された地域。

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(別紙 6-1-2 ③)

マハラシュトラ州産業政策「Package Scheme of Incentives-2013」における開発地域リスト(2/2)

管理部門 地区名

グループ A グループ B グループ C グループ D グループ D+

産業開発地区 グループ Aより産業開発 地区が少ない開発地区

グループ Bより産業開発 地区が少ない開発地区

グループ A~Cが含まない 小規模産業開発地区

グループ A~Dが含まない 最小規模の産業開発地区

AURANGABAD (アウランガバード)

部門

Aurangabad (オーランガーバード)

Aurangabad Khuldabad/Kannad/Soegaon/Sillod /Paithan/Gangapur/Vaijapur/Phulambri

Jalna (ジャルナ)

Jalna/Ambad/Jafferabad/Partur /Bhokardan/Badnapur /Ghangsavangi/Mantha

Beed (ビード)

Beed/Georai/Majalgaon/Ambejogai /Kaij/Patoda/Ashti/Dharur/Parli /Wadavani/Shirur Kasar

Osmanabad (オスマナバード)

Osmanabad/Kalamb/Omerga/Tuljapur /Paranda/Bhum/Washi/Lohara

Parbhani (パルバニ)

Parbhani/Jintur/Selu/Gangakhed/Pathri /Palam/Purna/Manawat/Sonpeth

Hingoli (ヒンゴリ) いずれのグループにも属さない産業開発地区がない地区

Latur (ラトゥール)

Latur/Ahmedpur/Udgir/Nilanga/Ausa /Chakur/Deoni/Shirur-Anantpal /Jalkot /Renapur

Nanded (ナンデル)

Nanded/Bhokar/Hadgaon/Kinwat/Biloli /Deglur/Mukhed/Kandhar/Loha /Mudkhed/Ardhapur/Naigaon /Dharmabad/Himayatnagar/Umari/Mahur

AMARAVATI (アマラバティー)

部門

Amravati (アムラバティ)

Amravati/Achalpur/Bhatkuli /Nandgaon- Khandeshwar /Chandur Bazar/Morshi/Warud /Chandur Rly. /Teosa/Daryapur /Anjangaon -Surji/Chikhaldara. /Dharni/Dhamangaon- Rly.

Akola (アコラ)

Akola/Barshitakli/Akot/Telhara /Balapur/Patur/Murtijapur

Washim (ワシム)

Washim/Malegoan/Risod /Mangrulrpir/Manora/Karanja

Buldhana (ブルダナ)

Buldhana/Chikhali/Shegaon /DeulgaonRaja/Malkapur/Motala /Nandura/Jalgaon Jamod/Sangrampur /Khamgaon/Mehkar /Sindakhed –Raja /Lonar

Yavatmal (ヤバトマル)

Yavatmal/Babhulgaon/Kalamb/Kelapur /Ralegaon/Ghatanji/Wani/Maregaon /Pusad/Mahagaon/Umarkhed/Darwaha /Ner/Digras/Arni/Zari-Jamdi

NAGPUR (ナーグプル)

部門

Nagpur (ナーグプル)

Nagpur City Nagpur (R) /Kamptee/Hingana/Katol /Narkhed/Savner/Kalmeshwar/Ramtek /Parseoni/Mauda/Umred/Bhiwapur/Kuhi

Bhandara (バンダラ)

Bhandara/Pauni/Tumsar/Mohadi /Sakoli/Lakhandur/Lakhani

Gondia (ゴンディア)

Gondia/Goregaon/Tirora /Arjuni- Morgaon/Deori/Sadakarjuni /Amgaon/Salekasa

Wardha (ワルダ)

Wardha/Deoli/Seloo/Arvi/Karanja /Ashti/Hinganghat/Samudrapur

Chandrapur (チャンドラプル)

Chandrapur/Gondpipri/Mul/Warora /Chimur/Bhadravati/Brahmapuri /Sindewahi/Nagbhid/Rajura/Korpana /Sawali/Pobhurna/Ballarpur/Jiwati

Gadchiroli (ガッドチロリ) いずれのグループにも属さない産業開発地区がない地区

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(別紙 6-1-3)

インドにおける外資系企業進出に係る主な課税(州税:②グジャラート州)

分類

税 目 課 税 対 象 所管

通 常 税 率 ※1ルピー=約 2円 特別経済区(SEZ)

中小零細企業(MSME:Micro, Small and Medium Enterprises) 開発企業 入居企業

間接税

州付加価値税(VAT:

Value Added Tax) 州内での販売

地方政府

基本税額 12.5%+物品毎に税率を設定(0%~38%) ※輸出品 : 100%免税 ※100%輸出志向型企業(EOU:Export Oriented Unit)の部品・原材料購入 : 100%免除 ※輸出製品の購入や部品・原材料購入 : 全額還付 ※製品の再販:付加価値分(価格上乗せ分)が課税対象

100%免税 同 左

入境税(Entry Tax) 使用・消費・販売のために入境してくる商品

7品目に限定し、物品毎に税率を設定(6%~21.6%) ①自動車、オートバイ等:12%、②セメント:8%、③大理石、花崗岩:12%、④コタストーン:6%、 ⑤ナフサ:16%、⑥軽油:8%、⑦高速ディーゼルオイル:21.6%

100%免税 同 左

物品入市税(Octroi)

(※1)

州内の自治体や特定区域で使用・消費・販売のために、搬入してくる商品

物品毎に税率を設定(4%~8%) (2015年 11月 Octroi廃止)

100%免税 同 左

印紙税 (Stamp Duty)

契約文書他 ・契約金額 1億ルピー未満:100ルピー毎に 0.25ルピー(10万ルピーを上限) ・契約金額 1億ルピー以上:100ルピー毎に 0.5ルピー(30万ルピーを上限)

・土地の移転・抵当 ・借款協定・信用契約 :100%免税

同 左

消費電力税(Electricity Duty)

消費電力 支払総額の 20% 同 左 同 左

その他 -

・請負工事税・奢侈税 :100%免税(7年間)

・興行税 :50%減税(7年間)

同 左

その他優遇措置

優遇ローン

借入金 ①GIDC開発地域内外 ・域内:金融機関/銀行ローンの 10%補助(150 万ルピー迄) ・域外:金融機関/銀行ローンの 15%補助(250 万ルピー迄)

同 左

金利補助

①DIDC開発地域内外 ・域内:金利のうち 5%補助(年 250 万ルピー迄)(5 年間) ・域外:金利のうち 7%補助(年 300 万ルピー迄)(5 年間)

②特定対象分野 ・サービス分野の新規中小零細企業:金利のうち 5%補助(州内の設備に係るローンに限る)

(年 250 万ルピー迄)(5 年間) ・製造業:10 億ルピー迄の投資額に対して、

(中小零細企業)金利のうち 7%補助(年 250 万ルピー迄)(5 年間) (大企業)金利のうち 2%補助(年 500 万ルピー迄)(5 年間)

同 左

設備投資補助

インフラ構築補助 ・新規 GIDC(※2)開発地域内の製造業:コアインフラ構築に係る支出額の 50%補助(2億ルピー迄) 同 左

環境対策補助

(中小零細企業の製造業

に限る)

①環境対策に係る費用 ・よりクリーンな生産技術導入:費用の 35%補助(大規模プロジェクト 10%)(350 万ルピー迄) ・環境マネジメントプロジェクト:費用の 25%補助(大規模プロジェクト 10%)(350 万ルピー迄)

②環境活動に係る費用 ・環境システムの設置:費用の 50% or 100 万ルピーのうち少ない方を補助(1 企業 1 回迄) ・安全・労働衛生に関するシステム等の購入(最低 10 企業を 1 グループとして共同使用):

費用の 35%補助(350 万ルピー/1 グループ迄) ・GPCB(※3)認証の無排水化処理(ZLD)による排水回収設備費(回収率最低 50%以上):

費用の 35% or 350 万ルピーのうち少ない方を補助 ・オンラインによる継続的排気ガス監視システム or 排水水質監視システムの導入:

費用の 25% or 50 万ルピーのうち少ない方を補助 ・グリーン格付(IGBC※4, LEED※5, GRIHA※6)を取得した 2000 ㎡以上の産業ビル:

コンサルに要した費用の 50% or 25 万ルピーのうち少ない方を補助 ③環境監査に係る費用

・定期環境監査(州が定める監査(Act & Rules)規定に基づき行われるもの、および裁判所の要求によるものを除く):監査費用の 75% or 1 件当たり 5 万ルピーのうち少ない方を補助

同 左

各種登録料 ・GIDC開発地域の開発企業による土地購入 or 最初の土地購入者:100%免税(製造業に限る) ・土地の移転・借款協定 :100%免税 同 左

※1 マハラシュトラ、グジャラート、パンジャブ、ジャミンカシミールの 4 州に導入 ※2 GIDC(Gujarat Industrial Development Corporation):グジャラート州産業開発公社 ※3 GPCB (Gujarat Pollution Control Boad):グジャラート州環境汚染管理委員会 ※4 IGBC (Indian Green Building Council):インドグリーンビルディングカウンシル ※5 LEED (Leadership in Energy and Environmental Design):グリーンビルディング認証システム ※6 GRIHA (Green Rating for Integrated Habitat Assessment):グリーンビル格付制度

106

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(別紙 6-1-4)

インドにおける外資系企業進出に係る主な課税(州税:③ラジャスタン州)

分類

税 目 課 税 対 象 所管

通 常 税 率 ※1ルピー=約 2円 特別経済区(SEZ)

開発企業 入居企業

間接税

中央販売税(CST: Central sales tax)

州を越えた販売

中央政府

2%(通常通り)

※ニムラナ工業団地:0.25%に減免(2007 年より分譲開始、減免措置 2015 年も延長中) ※ギロット工業団地:0.25%に減免(2015 年 4 月より分譲開始)

100%免税 同 左

州付加価値税(VAT:

Value Added Tax) 州内での販売

地方政府

基本税額 12.5%+物品毎に税率を設定(1%~65%) ※輸出品 : 100%免税 ※100%輸出志向型企業(EOU:Export Oriented Unit)の部品・原材料購入 : 100%免除 ※輸出製品の購入や部品・原材料購入 : 全額還付 ※製品の再販:付加価値分(価格上乗せ分)が課税対象

100%免税 同 左

入境税(Entry Tax) 使用・消費・販売の

ために入境してくる商品

物品毎に税率を設定(0.25%~65%)

※資本財:50%減免(電子システム設計製造業に限る)(注釈1) 100%免税 同 左

印紙税

(Stamp Duty) 契約文書他

10%

※土地購入、賃貸:50%減税 (注釈2)

100%免税

(RIICO※3 SEZ 内に限る) 同 左

消費電力税

(Electricity Duty) 消費電力

1 ユニット(kWh)当たり 40 パイサ (1 パイサ=100 ルピー)

※50%減免(7 年間)(注釈2) (通常通り)

50%免税 (7年間)

その他優遇措置

運営資金補助

・VAT と CST の総額を 10 年間一定利率相殺 (当初 4 年間 75%、次の 3 年間 60%、最後の 3 年間 50%)

(電子システム設計製造業に限る)(注釈1)

・VAT と CST の支払総額 30%相当の補助金(7 年間)(注釈2)

※~2013 年:労賃の 25%を VAT より相殺(上限は VAT の半額)

- -

雇用奨励金 ・VAT と CST の支払総額 10%を上限に労賃を相殺(10 年間)(電子システム設計製造業に限る)(注釈1)

・VAT と CST の支払総額 20%を上限とした奨励金(7 年間)(注釈2) - -

土地取得補助

※ニムラナ工業団地:(土地取得:99 年リース)

【2015 年現在の政策】

・分譲価格:3,000 ルピー/㎡

・補助なし(入居率 8 割超過のため)

【2014 年時点の政策】

・分譲価格:3,000 ルピー/㎡

・全額一括前払 2%割引

・2 万㎡以上かつ初期投資額 5 億ルピー以上で、

土地支払額の 10%を返金

【2012 年時点の政策】

・分譲価格:2,000 ルピー/㎡

・1 万㎡以上 10%、以降 1,000 ㎡毎に 0.2%加算し、

最大 25%を返金.

・2 万㎡以上かつ初期投資額 5 億ルピー以上で、

土地支払額の 10%を返金

【2006 年時点の政策】

・分譲価格:970 ルピー/㎡

・1 万㎡以上 10%、以降 1,000 ㎡毎に 0.5%加算し、

最大 25%を返金

※ギロット工業団地:(土地取得:99 年リース)

【2015 年現在の政策】

・分譲価格:3,500 ルピー/㎡

・土地支払総額に対し一定利率を返金

(生産開始 3 年後 10%、更に 5 年経過後 15%)

- -

※注釈1:ESDM(Electronics System Design and Manufacturing)政策、注釈2:ラジャスタン投資促進スキーム 2014 ※注釈3:RIICO (Rajasthan State Industrial Development & Investment Corporation Limited)ラジャスタン州産業開発・投資公社

107

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(別紙 6-1-5)

インドにおける外資系企業進出に係る主な課税(州税:④ウッタルプラデシュ州)

分類

税 目 課 税 対 象 所管

通 常 税 率 特別経済区(SEZ)

開発企業 入居企業

間接税

州付加価値税(VAT:

Value Added Tax) 州内での販売

地方政府

基本税額 12.5%+物品毎に税率を設定(1%~32.5%) ※輸出品 : 100%免税 ※100%輸出志向型企業(EOU:Export Oriented Unit)の部品・原材料購入 : 100%免税 ※輸出製品の購入や部品・原材料購入 : 全額還付 ※製品の再販:付加価値分(価格上乗せ分)が課税対象

100%免税 同 左

入境税(Entry Tax) 使用・消費・販売のために入境してくる

商品

物品毎に税率を設定(0%~5%) 100%免税 同 左

印紙税

(Stamp Duty) 契約文書他

8% ※中央・州政府及び政府関連企業からの、土地・倉庫・入居建屋の購入・賃貸に対し以下税率を減免

・州東・中央部、ブンデールカンド地区での設立企業:100%免税 ・IT、バイオテクノロジー等に関連する企業:100%免税 ・民間が設立する企業(インフラ開発を目的とした官民パートナーシップを除く)の土地購入:100%免税 ・上記以外の企業:75%免税

※民間企業からの土地購入に対し以下税率を減免 ・州東・中央部、ブンデールカンド地区での設立企業:100%免税 ・IT、バイオテクノロジー等に関連する企業:100%免税 ・民間が設立する企業(インフラ開発を目的とした官民パートナーシップを除く):土地購入 100%免税 ・上記以外の企業:50%免税

※特定の工業地域(※注釈 1)の民間開発業者:25%還付(購入から 3 年以内に 50%以上開発が条件)

100%免税

(初回のみ) 同 左

消費電力税

(Electricity Duty) 消費電力

支払総額の 5% ※新規工業系企業:100%免税(10年間) ※パイオニア産業:100%免税(15年間) ※自家発設備による発電電力量の自家消費分:100%免税

100%免税

(10年間) 同 左

その他優遇措置

優遇ローン

無利息ローン

※Poorvanchal、Madhyanchal、Bundelkhand地域 ・工業系新規企業、食品加工業等(固定資本投資額 5千万ルピー以上):

VATと CSTの支払総額 or 年間売上高の 10%のうち少ない方(最大 10年間) ※上記地域以外 ・新規工業系企業(固定資本投資額 1億 2500万ルピー以上):

VATと CSTの支払総額 or 年間売上高の 10%のうち少ない方(最大 10年間)

- -

ローン金利補助

①設備調達 ※Poorvanchal、Madhyanchal、Bundelkhand地域 ・新規工業系企業:金利のうち 5%還付(500万ルピー迄)(最大 5年間) ・紡績・衣類等の新規織物業:金利のうち 5%還付(1000万ルピー迄)(最大 5年間) ※上記地域以外 ・紡績・衣類等の新規織物業:金利のうち 5%還付(500万ルピー迄)(最大 5年間) ②インフラ開発 ※Poorvanchal、Madhyanchal、Bundelkhand地域 ・新規工業系企業における自家用インフラ(道路、上下水道等)開発:

金利のうち 5%還付(上限 1000万ルピー)(最大 5年間) ③その他 ・研究、品質改善・向上に係る実験設備等:金利のうち 5%還付(1000万ルピー迄)(最大 5年間)

同 左 同 左

同 左 同 左

同 左 同 左

マンディ料金 (Mandi fee) (農産物の流通・輸出料金)

・新規食品加工業(5年間で 5千万ルピー以上投資時に限る):原料購入費 100%免除(5年間) 同 左 同 左

各種登録料 - 100%免税

(初回のみ) 同 左

※注釈 1:バイオテクノロジーパーク、IT パーク、製薬パーク、酪農等

108

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(別紙 6-1-6 ①)

インドにおける外資系企業進出に係る主な課税(州税:⑤タルミナド州)

分類

税 目 課 税 対 象 所管

通 常 税 率 ※1ルピー=約 2円 特別経済区(SEZ)

開発企業 入居企業

間接税

州付加価値税(VAT:

Value Added Tax) 州内での販売

地方政府

基本税額 12.5%+物品毎に税率を設定(1%~4%) ※輸出品 : 100%免税 ※100%輸出志向型企業(EOU:Export Oriented Unit)の部品・原材料購入 : 100%免税 ※輸出製品の購入や部品・原材料購入 : 全額還付 ※製品の再販:付加価値分(価格上乗せ分)が課税対象

100%免税 同 左

入境税(Entry Tax) 使用・消費・販売のために入境してくる商品

物品毎に税率を設定(4%~30%) 100%免税 同 左

印紙税

(Stamp Duty) 契約文書他

8% ※土地の購入、賃貸(州指定の A、B地域かつ SIPCOT(注釈 1)工業団地に限る): ・通常:50%減税 ・ウルトラメガ級のプロジェクト:100%免税

100%免税

(土地取引に限る) 同 左

消費電力税

(Electricity Duty) 消費電力

1ユニット(kWh)当たり 10パイサ (1パイサ=100ルピー) ※新規及び、事業拡張する製造業(州指定の地域 A、B) ・TANGEDCO(注釈 2)からの購入電力量、自家発発電電力量:

100%免税(固定資産投資額、直接雇用者数に応じて、2~5年間を適用)

(通常通り) 同 左

その他優遇措置(※注釈4

事業投資補助

①州指定の地域別補助 ・A、B地域

新規及び事業拡張する製造業: 300万~2250万ルピーを補助(固定資産投資額・直接雇用者数による) ※SIPCOT工業団地内:上記補助額の 50%上乗せ ※但し、B地域の SIPCOT工業団地外:上記補助額の 10%上乗せ ※C地域の SIPCOT工業団地外:上記補助額の 25%上乗せ

・B、C地域 予定雇用 2倍時: (a)VATと CSTの支払総額の 10%補助を付加(EFA<※注釈 3>投資額を上限) (b)投資家向けローンの提供:(EFA投資額を上限)

②プロジェクト別補助 ・メガ級:純売上における VATと CSTの支払総額(事業拡張時は 70%迄) ・スーパーメガ級: (a)純売上における VATと CSTの支払総額(事業拡張時は 80%迄) (b)資本財の VAT全額還付(上記支払総額を上限)

・ウルトラメガ級: (a)総売上における VATと CSTの支払総額(事業拡張時は 80%迄) (b)資本財と請負費の VAT:100%還付(上記支払総額を上限) (c)仕入費用の VAT:100%還付(総売上 VATと CSTの還付期間 or ソフトローン期間と同等)

同 左

設備投資補助 ・排水処理プラント(ETP:Effluent Treatment Plant)の設置: 300万ルピー or 費用の 25%のうち少ない方を補助

・危険廃棄物貯蔵・処理施設(HWTSDF)の設置:同上 同 左

優遇ローン ソフトローン

プロジェクト別 ・メガ級:EFA投資額の 80%を上限(事業拡張時は 70%)(10年間) ・スーパーメガ級(A):EFA投資額の 90%を上限(事業拡張時は 80%)

(12年間+未完の場合 6年間延長可) ・スーパーメガ級(B):EFA投資額の 100%を上限(事業拡張時は 80%)

(14年間+未完の場合 7年間延長可) ・ウルトラメガ:EFA投資額を上限(事業拡張時は 80%)

(16年間 or 総生産の VATと CSTの累積合計額が EFA投資額に到達のうち早い方

同 左

各種登録料 - 100%免税

(土地取引に限る) 同 左

※注釈 1:SIPCOT(The State Industries Promotion Corporation of Tamil Nadu Limited;タミルナド州産業促進機構) ※注釈 2:TANGEDCO(Tamil Nadu Generation and Distribution Corporation Limited;タミルナド発送電コーポレーション) ※注釈 3:EFA(Eligible Fixed Asset);有形固定資産のうち意図した使用ができるまでに相当の期間を有する適格資産(土地、建物、工場、生産機械、発電機、電化製品等)のこと ※注釈 4:州南部に対する優遇措置は省略

109

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(別紙 6-1-6 ②)

タルミナド州産業政策「Tamil Nadu Industrial Policy 2014」における地域およびプロジェクト区分 ①地域区分

地域区分 地域数 地域名

A (3 地域) Chennai、Tiruvallur、Kancheepuram

B (20 地域) A 地域および C 地域以外

C (9 地域) 南部地域 Madurai, Theni, Dindigul, Sivagangai, Ramanathapuram, Virudhunagar, Tirunelveli, Thoothukudi, Kanniyakumari

②プロジェクト区分

プロジェクト区分 投資額 雇用条件

雇用者数 雇用期間

メガプロジェクト A 50 億~150 億ルピー 300 人

3 年 B 35 億~100 億ルピー 200 人

スーパーメガプロジェクト

A-A 150 億~300 億ルピー 400 人 5 年

A-B 100 億~200 億ルピー 300 人

B-A 300 億~500 億ルピー 600 人 6 年

B-B 200 億~400 億ルピー 500 人

ウルトラメガプロジェクト A 500 億ルピー以上 700 人

7 年 B 400 億ルピー以上 600 人

110

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(別紙 6-1-7 ①)

インドにおける外資系企業進出に係る主な課税(州税:⑥カルナタカ州)

分類

税 目 課 税 対 象 所管

通 常 税 率 ※1ルピー=約 2円 特別経済区(SEZ)

開発企業 入居企業

間接税

州付加価値税(VAT:

Value Added Tax) 州内での販売

地方政府

基本税額 13.5%+物品毎に税率を設定(1%~20%) ※輸出品 : 100%免税 ※100%輸出志向型企業(EOU:Export Oriented Unit)の部品・原材料購入 : 100%免除 ※輸出製品の購入や部品・原材料購入 : 全額還付 ※製品の再販:付加価値分(価格上乗せ分)が課税対象

100%免税 同 左

入境税(Entry Tax) 使用・消費・販売

のために入境してくる商品

・設備、資本財:100%免税 ※大企業(3年間)、メガ企業(3年間)、ウルトラメガ企業(5年間)、スーパーメガ企業(5年間)

・原料、投入資本、部品、消耗品(石油製品除く):100%免税 ※大企業(5年間)、※メガ企業(6年間)、ウルトラメガ企業(7年間)、スーパーメガ企業(8年間) ※但し、特定の製造業(※注釈 1)のウルトラメガ企業およびスーパーメガ企業は 9年間

100%免税 同 左

印紙税

(Stamp Duty) 契約文書他

6%

※賃貸契約のローン協定等:75~100%免税

・土地登記 ・融資契約 ・クレジット契約 :100%免税

・リース契約 ・サブリース契約 ・融資契約 ・クレジット契約 ・工業用地取引 :50%減税(初回のみ)

消費電力税

(Electricity Duty) 消費電力

支払総額の 5%

※但し、特定の製造業(※注釈 1)に限り以下期間は 100%免税 ①HKZ-1 地域:ウルトラメガ企業(10 年間)、スーパーメガ企業(9 or 10 年間) ②HKZ-2 地域:ウルトラメガ企業(9 年間)、スーパーメガ企業(9 or 10 年間) ③上記以外の地域:ウルトラメガ企業、スーパーメガ企業(7~9 年間)

100%免税 同 左

その他 - ・建設費用に係る労働 福祉税(1%)

:100%免税 同 左

その他優遇措置

設備投資補助

再エネ設備 再エネ設備調達に要した VAT:50%還付 同 左

汚水処理施設 - 施設建設:50%補助

(1回限り) (1千万ルピー迄)

優遇ローン 無利息ローン

VATと CSTの支払総額の 100% ※但し、融資ローンの上限額および期間は以下の通り ①HKZ-1地域: ・大企業:固定資産の 60-75%迄(9 or 10 年間) ・メガ企業:固定資産の 75-90%迄(10 or 11 年間) ・ウルトラメガ企業:固定資産の 85-95%迄(11 or 12 年間)

※但し、特定の製造業は固定資産の 95-100%迄(13 or 14 年間) ・スーパーメガ企業:固定資産の 95-100%迄(13 or 14 年間)

※但し、特定の製造業は固定資産の 100%迄(15 or 16 年間) ①HKZ-2地域: ・大企業:固定資産の 60-75%迄(9 or 10 年間) ・メガ企業:固定資産の 75-90%迄(10 or 11 年間) ・ウルトラメガ企業:固定資産の 85-95%迄(11 or 12 年間)

※但し、特定の製造業は固定資産の 95-100%迄(13 or 14 年間) ・スーパーメガ企業:固定資産の 95-100%迄(13 or 14 年間)

※但し、特定の製造業は固定資産の 100%迄(15 or 16 年間) ①上記以外の地域: ・大企業:固定資産の 40-65%迄(7 or 9 年間) ・メガ企業:固定資産の 50-80%迄(8 or 10 年間) ・ウルトラメガ企業:固定資産の 60-85%迄(9 or 11 年間)

※但し、特定の製造業は固定資産の 75-90%(11 or 13 年間) ・スーパーメガ企業:固定資産の 75-95%迄(11 or 13 年間)

※但し、特定の製造業は固定資産の 80-100%迄(12 or 14 年間)

同 左

各種登録料 -

・土地登記 ・融資契約 ・クレジット契約 :100%免税(初回のみ)

・リース契約 ・サブリース契約 ・融資契約 ・クレジット契約 ・工業用地取引 :50%減税(初回のみ)

※注釈 1 製造業:航空宇宙産業、自動車、工作機械(鉄鋼・セメントセクター除く) 111

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(別紙 6-1-7 ②)

カルナタカ州産業政策「Karnataka Industrial Policy 2014」における地域リスト(1/2)

No. 地区名 郡

(taluk)数

ハイデラバード カルナタカ地域 ハイデラバード カルナタカ地域以外

HKZ-1 HKZ-2 OHKZ-1 OHKZ-2 OHKZ-3 OHKZ-4

1 Bellary

(ベラリ) 7 H B Haili/ Hadagalli/Kudligi Bellary/Hospet/ Sandur /Siraguppa

2 Bidar

(ビーダル) 5 Bhalki/ Huninabad /Basava Kalyana/ Aurad Bidar

3 Gulbarga

(グルバルカ) 7 Gulbarga/ Afzalpur/ Aland / Jewargi Sedam/ Chittapur/Chincholi

4 Yadgir

(ヤドギル) 3 Yadgir/ Shahapur/ Shorapur

5 Koppal

(コパール) 4 Kushtagi/ Yelburga Koppal/ Gangavathi

6 Raichur

(ライチュール) 5 Sindhanur/ Manvi /Lingasugur/Devadurga Raichur

7 B'Iorc (U) 4 Anekal/ B’lore (N)/ B’lore (S) / B’lore (E)

8 B’lore (R) 4 Devanahalli/ D’balIapura /Hoskote/ Nelamangala

9 Ramanagara

(ラマナガーナ) 4 Magadi/ Chaimapauana /Kanakapura Ramanagara

10 Chitradurga

(チトラドゥルガ) 6 Holalkere Hiriyur/Molkalmuru/ Chitradurga/Hosadurga Challakere

11 Davanagere

(ダバンゲレ) 6 Channagiri/ Jagalur/ HPHaIIi Honnali Davanagere/ Harihar

12 Chikkaballapura (チッカバラプラ) 6 Gudibande/ Bagepalli Chintamani/ C’ballapura Gowribidanur/ Siddlaghatta

13 Kolar

(コラール) 5 Mulbagal/Srinivasapura Kolar/ Bangarpet/ Malur

14 Shimoga

(シモガ) 7 Soraba Hosanagara Shimoga/ Bhadravathi

/Sagar/Shikaripura /Thirthahalli

15 Tumkur

(トゥムクル) 10 Madhugiri/ Koratagere /Gubbi/Sira/Pavagada

Tumkur/Turuvekere/Tiptur /Chikkanaya kanahalli/

Kunigal

16 Chmarajanagar

(チャムラジナガル) 4 Yelandur/ Gundlupet Chamarajanagar/ Kollegal

17 Chickmagalur

(チクマガルル) 7 Kadur/Mudigere/Tarikere Cliclinagaloru/Shringeri /Koppa/N R Pura

18 Dakshina Kannada (ダクシーナ・カナダ) 5 Bantwal Mangalore/Puttur/Sulya

/Beithangadi

19 Hassan

(ハッサン) 8 Arakalgud/ Belur Arasikere/ C R Patna /H N Pura/Alur Hassan/ Sakleshpura

20 Kodagu

(コダグ) 3 Virajpet Madikeri/ Somwarpet

21 Mandya

(マンディヤ) 7 Malavalli Srirangapatna

/Nagamangala/K R Pet /Pandavapura

Mandya/ Maddur

22 Mysore

(マイソール) 7 Periyapatna/ H D Kote Hunsur/TNPura/K R Nagara Mysore/ Nanjangud

23 Udupi

(ウドゥピ) 4 Udupi/ Kundapura/Karkala

24 Bagalkote

(バガルコート) 6 Bilagi/ Badami Bagalkote/Mudhol /Jamkhandi/Hunagund

25 Belgaum

(ベルガウム) 10 Bailhongal/Soundathi /Chikkodi/Raibag

Belgaum/ Athani/Hukkeri /Gokak/Khanapur/Ramdurg

26 Bijapur

(ビジャープル) 5 Muddebihal/ B Bagewadi Sindgi/Indi/Bijapur

27 Dharwad

(ダーワッド) 5 Navaigund Dharwad/ Hubli/Kaighatagi /Kundaghol

112

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(別紙 6-1-7 ③)

カルナタカ州産業政策「Karnataka Industrial Policy 2014」における地域リスト(2/2)

No. 地区名 タルーク数 ハイデラバード カルナタカ地域のタルーク ハイデラバード カルナタカ地域以外のタルーク

HKZ-1 HKZ-2 OHKZ-1 OHKZ-2 OHKZ-3 OHKZ-4

28 Gadag

(ガダグ) 5 Nargund/ Ron Mundargi Gadag/ Shirahatti

29 Haveri

(ヘイバーリ) 7 Hirekerur/ Hanagal Savanur/ Shiggaon/Haven Ranebcnnur/ Byadagi

30 Utiara Kannada

(アターラ・カナダ) 11 Honnavar/ Sirsi/Mundagod /Yellapura/Siddapura

Karwar/ Haliyal/Supa /Bhatkal/Ankola/Kumta

カルナタカ州産業政策「Karnataka Industrial Policy 2014」における企業分類

企業区分 固定資本投資額 直接雇用者数

大企業(Larger enterprises) 1 億~25 億ルピー 20~200 人

メガ企業(Mega enterprises) 25 億~50 億ルピー 200~400 人

ウルトラメガ企業(Ultra Mega enterprises) 50 億~100 億ルピー 400~800 人

スーパーメガ企業(Super mega enterprises) 100 億ルピー以上 800 人以上

113

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(別紙 6-1-8 ①)

中国における外資系企業進出に係る主な課税(1/2) 分類

税 目 課 税 対 象 所管

通 常 税 率 外商投資企業(外資系企業) 国家投資奨励業務

(国家重点産業・プロジェクト)

重点地区(SEZ)

(上海浦東新区・沿岸経済開放区・中西部地区)

直接税

企業所得税

(中央:60%、地方 40%) 所得

共通(中央政府・地方政府)

25%

※~2008 年:

・一般:33%

・外資・一部の商社:16%

(2009 年以降、外内資政策の不均衡を

段階的に是正)

※2009 年~

・非居住者企業の配当利益、利子、

賃借料、特許権使用料:20%

(但し、実施条例では 10%に軽減)

同左

※~2008 年

・通常:20%

・ハイテク企業:2 免 3 減(廃止)

[1~2 年目免除、3~5 年目 50%減免

するタックスホリデイを適用]

・配当の再投資による税金還付(廃止)

※2009 年~

・みなし外国税額控除(TSC)の導入

[外国で減免した税額を、日本側で

納税したものと見なし控除]

・国内居住企業への株式配当、利益

配当等:100%免除

・環境保護・省エネ・節水プロジェクト・

公共インフラプロジェクト等による

所得:100%免除 or 減免

・ハイテク企業:15%

・小型薄利企業:20%

【中西部地区(内陸部)への外商投資】

・国家重点産業:15%

間接税

流通税(付加価値税)

増値税

(中央:75%、地方:25)

国内での物品販売、

加工、輸入、修繕役務

共通

・生活基盤商品 13%、その他 17%

・輸出品:100%免税

※2009 年~

・不動産以外の生産に係る固定資産:

仕入増値税の控除

・輸出製品における免税輸入材:

輸出増税値の還付

・国家規定商品(生産設備):100%免税

・奨励品・ハイテク製品設備の輸入:

総投資額の範囲内で減免税

※~2008 年

・国家重点産業における輸入設備購入

に係る増値税 100%免除(原則廃止)

・国産設備購入に係る増値税の還付

(廃止)

・輸入自社設備・部品等:課税再開

※~2008 年:100%免除

【中西部地域(内陸部)への外商投資】

・輸入自社設備・部品等:課税再開

※~2008 年:100%免除

消費税 高級品、贅沢品、

環境汚染製品(製品油)

中央

省略 - - -

営業税 サービス業、建設業、

娯楽業等

地方

省略 - - -

関 税 輸出入品 中央

従価税:平均 9.8%

※日本からの輸入品:最恵国税率適用

※二国間・FTA 締結国:特恵税率適用

同左

・輸入自社設備・部品等:100%免除 【中西部地域(内陸部)への外商投資】

・輸入設備:100%免除

資源税

都市郷鎮

土地使用税 土地面積

共通

1㎡当たり 0.6 元~30 元

同左

※~2007 年:100%免除 - -

その他優遇措置

輸出補助金

(1)輸出奨励のため、主として以下2つの政策を実施。

・輸出減税:国内での直接税および間接税の減税、輸出税の減税

・輸出税還付金:国内での直接税および間接税の全部または一部を還付

※2005 年~ 還付金改定(環境悪化・エネルギー資源多用産業は還付金引下げもしくは廃止、ハイテク産業は還付金を引上げ)

財政支援

(1)輸出奨励のため、以下の融資政策を実施。

・輸出売主ローン:機械電気製品、ハイテク製品の調達または生産に必要な資金を対象

(2)その他、インフラ整備を目的に以下の融資政策もある。

・中西部地域:外国政府ローン、国際金融機関ローン

・経済特区:低利開発ローン(財政収入の増加分は開発区内で使用)

・ハイテク区:ハイテク企業の科学プロジェクト向けの国の優遇ローン

(注釈)近年、外資を国内に積極的に取り込む戦略「引進来」を終息させるため、国内の外資優遇措置を縮小・撤廃し、海外へ積極に投資・進出する戦略「走出法」に方針転換。 114

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(別紙 6-1-8 ②)

中国における外資系企業進出に係る主な課税(2/2)

分類

税目 課税対象 所管

経済特別奨励区(SEZ)

経済特別区 経済技術開発区 ハイテク産業開発区 保税区(税関所管)

直接税

企業所得税

(中央:60%、地方 40%) 所得

共通(中央政府・地方政府)

・ハイテク企業:2 免 3 減

[1~2 年目免除、3~5 年目 50%減免

するタックスホリデイを適用]

通常税率

※~2008 年

内陸部の奨励類の外資系企業は

15%を 3 年間据置

【ハイテク認定企業】

・15% (区域内外、外内資問わず適用)

保税区により税率異なる

※~2007 年:

・加工輸出生産型外資:15%

(段階的に廃止)

間接税

流通税(付加価値税)

増値税

(中央:75%、地方:25)

国内での物品販売、

加工、輸入、修繕役務

共通

・輸入自社設備・部品等:課税再開

※~2008 年:100%免除

・輸入自社設備・部品等:課税再開

・輸出品:原則、100%免除 -

・輸出入、中継貿易、加工貿易、

物流・倉庫、商品展示業務:

保税(支払保留)

消費税 高級品、贅沢品、

環境汚染製品(製品油)

中央

- - - -

営業税 サービス業、建設業、

娯楽業等

地方

- - - -

関 税 輸出入品 中央

・輸入自社設備・部品等:100%免除

・輸出入貨物の関税:減免税

・輸入自社設備・部品等:100%免除

・輸出品:原則、100%免除

・国家奨励プロジェクトの生産に係る

輸入設備:100%免除

・輸出入、中継貿易、加工貿易、

物流・倉庫、商品展示業務:

保税(支払保留)

・輸入自社設備・部品等:100%免除

・保税区内の企業への販売: 輸出と

見做され税金還付

資源税

都市郷鎮

土地使用税 土地面積

共通

その他優遇措置

備 考

(1)中国では開発区を、国家級、省級、市級、県級の4つに分類。

・国家級では、「経済特別区(経済特区)」「経済技術開発区」「沿岸経済開放区」「ハイテク産業開発区(高信技術産業開発区)」「浦東新区」「保税区」

「保税区物流園区」「輸出加工区」「税制港区」の9種類がある。

・上表に記載のない「保税区物流園区」では域内への搬入された時点で増値税が還付、「輸出加工区」では保証金台帳不要・域内への搬入された時点で

増値税が還付・24 時間オンライン通関が可能などの優遇措置がある。

(2) 2008 年以降の優遇措置は、重点地域や開発区など特定地域の投資から、ハイテク産業などの国家重点産業への投資に転換している。

115

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(別紙 6-1-9 ①)

タイにおける外資系企業進出に係る主な課税(1/2) 分類 税 目 課 税 対 象 所

管 通 常 税 率 ※1バーツ=約 3 円 タイ投資奨励委員会(BOI:Board of Investment)奨励業種・プロジェクト

直接税

法人所得税 所得

中央政府

原則 30% ※現在、時限立法として、次のとおり、軽減措置を実施中。

・0% (30 万バーツ以下) ・15%(30 万超過~100 万バーツ以下) ・20%(100 万バーツ超過)

※二国間租税条約により、次のとおり、減免措置あり。

・配当金 10% ・利息 15%(金融機関への支払い 10%) ・ロイヤリティー15%

【投資奨励業種(7 分類 107 業種):グループ A1,A2,A3,A4,B1,B2】 (別紙 6-1-3 ③~⑥参照) (1)グループ A1 の業種:

・上限なしで、100%免除(8 年間) (2)グループ A2 の業種:

・投資金額(土地代・運転資金除く)を上限に、100%免除(8 年間) (3)グループ A3 の業種:

・投資金額(土地代・運転資金除く)を上限に、100%免除(5 年間) (4)グループ A4 の業種:

・投資金額(土地代・運転資金除く)を上限に、100%免除(3 年間) ※配当金 100%免除

間接税

物品税 (Excise Tax)

特定物品の販売 従量と従価のうち、高額の方を適用

※小型自動車・石油・石油製品・酒・煙草等に課税

同左

付加価値税(VAT: Value Added Tax)

物品の販売、 サービスの提供 および輸入

10% ※現在、時限立法として、7%に軽減措置中。 ※輸出品・国際輸送等:100%免除

※BOI による規定はないが、BOI の保証のもと、事実上、関税の優遇措置と同様

の取扱いとなる。(輸出品についても同様)

関 税 輸出入品

従量と従価のうち、高額の方を適用

※輸入品は関税と VAT の両方を課税(特定産業の輸入品は上限 10%ルール適用) ※輸出品は米・鉄くず・生皮・ゴム・木材・生糸・魚粉等が課税、VAT は 0% ※経済連携協定(EPA)および日 ASEAN 包括的経済連携協定により一部関税を撤

廃 (EPA 協定国:ニュージーランド・ペルー・日本・インド・オーストラリア)

【投資奨励業種(7 区分 107 業種):グループ A1,A2,A3,A4,B1,B2】 ・グループ B2 以外の業種:

機械の輸入 100%免除 ・全グループの業種:

輸出向け原材料・資材の輸入 100 免除(1 年間)(必要により延長措置あり)

印紙税 契約文書他 1,000 パーツにつき1バーツ(通常 0.1~1%) 同左

土地家屋税

(Land and Building Tax)

自己の居住以外の 土地・建物

地方政府

年 12.5% 同左

地方開発税

(Land development Tax) 土地 年 0.25%~0.95% 同左

看板税 建物外側の看板 表示言語・面積により異なる 同左

その他優遇措置

・運送費、電気代、水道代の2倍控除 ・インフラの設置、建設への投下資本の 25%を追加し控除 ・外国人による土地所有の許可 ・外国人による就労許可 ・外国通貨の送金の許可

備 考

※2014 年迄は、地域分散政策として全国を3つのゾーンに分類し、ゾーン別に

法人所得税・輸出入に関する優遇措置を設定。 ※2015 年より地域分散政策(ゾーン制)を廃止し、業種やプロジェクトの重要

度に応じた優遇措置に方針転換。 ※但し、BOI の投資奨励地域として、「一人当たりの国民所得が低い 20 県」、「特

別経済区(SEZ)」、「BOI 奨励科学技術区」がある。

116

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(別紙 6-1-9 ②)

タイにおける外資系企業進出に係る主な課税(2/2)

分類 税 目 課 税 対 象 所

経済特別区(SEZ)

タイ工業団地公社(IEAT:Industrial Estate Authority Thailand)管理区域 〔Industrial Estate〕

民間管理区域

Industrial Park /Industrial Zone /Industrial Land

一般地区 保税地区

一般工業区 (GIZ:General Indutrial Zone)

自由事業区 (IEAT Free Zone)

関税フリーゾーン (DFZ:Duty Free Zone)

*工業・サービス業もしくは関連事業 *国内販売および輸出向け

*国等が定めた工業・サービス業 もしくは関連事業

*輸出向け(国内販売は 60%可能。但し、 国内販売時は通常どおり課税)

*旧輸出加工区(EPZ:Export Processing Zone)

*税関所管 *輸出向け

直接税

法人所得税 所得

中央政府

(通常どおり) 同左 同左 BOI と同様

間接税

物品税 特定物品の販売 (石油製品他)

(通常どおり) 100%免除 ※国内への搬出時は、通常どおり課税

同左 (通常どおり)

付加価値税(VAT:

Value Added Tax)

物品の販売、 サービスの提供 および輸入

(通常どおり) 100%免除

※工場建設資材、生産用機械設備・原材

料・部材に限る 同左 同左

関 税 輸出入品 (通常どおり) 100%免税

※工場建設資材、生産用機械設備・原材

料・部材に限る 同左 BOI と同様

印紙税 契約文書他 (通常どおり) 同左 同左 同左

土地家屋税 (Land and Building Tax)

自己の居住以外の 土地・建物

地方政府

(通常どおり) 同左 同左 (通常どおり)

地方開発税 (Land development Tax)

土地 (通常どおり) 同左 同左 (通常どおり)

看板税 建物外側の看板 (通常どおり) 同左 同左 (通常どおり)

その他優遇措置

・外資の出資比率は問われない。 ・土地取得許可、建設許可、工場設

立許可、工場創業許可を一括受付。 ・外国人による就労許可が容易 ・外国通貨の送金の許可

・外国人による土地所有の許可 ・外国人による就労許可が容易 ・外国通貨の送金の許可 ・BOI 特別手数料の免除

・国内販売時には、現地調達率に応じて

特恵税率を適用 ・迅速な貨物の搬出入が可能

備 考 ・BOI による奨励業種・プロジェクトに認可されると、工業団地の優遇措置と両方の優遇措置を受けることが可能。 ・BOI による投資奨励を受けて造成、

販売、管理を行う工業地域のため、

BOI の優遇措置が付与されている。

117

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(別紙 6-1-9 ③)

タイ投資奨励委員会(BOI:Board of Investment)による投資奨励業種(7 分類 107 業種)2015 年-2021 年(1/4)

分 類 グループ A グループ B

A1 A2 A3 A4 B1 B2

(1 類)

農業および農作物

1.3 商用材木の植林(ユーカリを除

く) 1.8 植物、野菜、果物、花の選別、

包装、保存(果物等の非破壊内部

品質センサー、殺虫用高周波処

理、核磁気共鳴の使用等の先進技

術を使用する場合) 1.12 天然材料から活性成分の製造 1.14.2 天然ゴムから製品の製造 1.16.1 農作物から燃料の製造 1.16.2 農作物のスクラップ、ごみ、

廃棄物を含む農産品から燃料の

製造(例:BTL、廃水からの天然

ガス) 1.18 メディカルフードまたは栄養

補助食品の製造

1.1 バイオ肥料、有機肥料、ナノ化

学肥料、土壌改良剤、バイオ除草

剤 1.2 植物もしくは動物の育種(バイ

オテクノロジーに当てはまらな

いもの) 1.7 深海漁業 1.8 植物、野菜、果物、花の選別、

包装、保存(種子用色彩選別機、

果物のハエの卵を殺す蒸熱処理、

種子コーティング等の先進技術

を使用する場合) 1.9 加工澱粉又は特殊な植物から

の製粉 1.10 植物(大豆を除く)又は動物か

らの油脂の製造 1.13 皮革なめし、加工 1.16.3 圧縮バイオマス燃料の製造 1.17 最新技術を使用した食品、飲

料、食品添加品の製造、又は食品

調合物の製造又は保存(飲料水、

アイスクリーム、キャンディー、

チョコレート、ガム、砂糖、炭酸

飲料、アルコール飲料、カフェイ

ン飲料、植物からの小麦粉・澱粉、

ベーカリー、インスタントラーメ

ン、鳥エキス、ツバメの巣スープ

を除く) 1.20 農産物取引センター

1.5 動物の繁殖又は畜産 1.6 屠殺(とさつ) 1.11 天然エキスの製造又はエキス

からの製品の製造(薬品、石鹸、

シャンプー、歯磨き、化粧品を除

く) 1.14.1 基礎ゴム加工 1.15 農業の副産物あるいは残り屑

からの製品の製造(窯での乾燥、

空気乾燥等簡素な工程を除く)

1.4 乾燥植物及びサイロ施設 1.19 冷凍倉庫、冷凍運輸

優遇措置

法人所得税 上限なしで 100%免除

(8 年間)

投資金額(土地代・運転資金 除く)を上限に 100%免除

(8 年間)

投資金額(土地代・運転資金 除く)を上限に 100%免除

(5 年間)

投資金額(土地代・運転資金 除く)を上限に 100%免除

(3 年間) - -

機械の輸入 100%免除 同左 同左 同左 同左 -

輸出向け原材料・ 資材の輸入

100 免除(1 年間) (必要により延長措置あり)

同左 同左 同左 同左 同左

118

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(別紙 6-1-9 ④)

タイ投資奨励委員会(BOI:Board of Investment)による投資奨励業種(7 分類 107 業種)2015 年-2021 年(2/4)

分 類 グループ A グループ B

A1 A2 A3 A4 B1 B2

(2 類)

鉱業、 セラミック、 基礎金属

2.3.1 同一プロジェクトで製造された

アドバンス・マテリアル或はナノ・マ

テリアルの製造、アドバンス・マテリ

アルあるいはナノ・マテリアルから作

る製品の製造 2.7 川上の鉄鋼品の製造(溶鉄、銑鉄、

海綿鉄) 2.8 川中の鉄鋼品の製造(造板用鋼片、

小鋼片及び鋼片)(同一プロジェクトに

川上鉄鋼品に続く製造工程がある場

合) 2.9.1 川下の高抗張力鉄鋼の製造 2.9.2 同一プロジェクトに川上及び川

中の工程がある川下の鉄鋼製品の 製造

2.13.1 ダクタイル鋳鉄部品の製造

2.3.2 アドバンス・マテリアル或はナ

ノ・マテリアルから作る製品の製造 2.4.1 特別な品質のガラス製品の製 2.9.7Tin Mill Black Plate の製造 2.9.8 冷延電磁鋼板の製造 2.10.1 シームレス鋼管とセミシームレ

ス鋼管の製造 2.11 鉄粉の製造(ショットブラスト用

鉄粉を除く) 2.13.2 その他鋳鉄部品の製造 2.14 鍛造鉄/スチール部品の製造

2.8 川中の鉄鋼品の製造(造板用鋼片、

小鋼片及び鋼片)(川中鉄鋼品の製造工

程のみの場合) 2.9.3 ワイヤーロッド、ワイヤー、シャ

フト鉄を含む産業用棒状鉄の製造 2.9.5 熱延、冷延ステンレス鉄板、厚鉄

板、熱延、冷延鉄板、メッキ鉄板を含

む産業用板状鉄の製造 2.12 フェローアロイの製造 2.15 圧延、伸線、鋳造、鍛造による非

鉄部品の製造

2.1 鉱物探査 2.2 炭酸カリウムの採鉱又は炭酸カリ

ウムの選鉱 2.4.2 ガラス製品の製造 2.4.3 セラミック製品の製造(土器及び

セラミックタイルを除く) 2.9.4 ワイヤーロッド、ワイヤー、シャ

フト鉄を含む建設用棒状鉄の製造 2.9.6 熱延、冷延ステンレス鉄板、厚鉄

板、熱延、冷延鉄板、メッキ鉄板を含

む建設用板状鉄の製造 2.10.2 その他鋼管の製造

2.5耐火材及び断熱材(軽量煉瓦を除く)の製造

2.6 石膏ボード又は石膏製品の製造 2.16 コイルセンター

(3 類)

軽工業

3.9 創造的製造デザインと開発センタ

ー 3.1.1.1 特殊繊維の製造 3.11.1 ハイリスク又は高度技術を持つ

医療機器又は、公的部門による研究も

しくは官民共同研究で商品化された

医療機器の製造

3.1.2.1 特殊糸又は布の製造 3.1.3 漂白、染色及び仕上げ又はプリン

ト及び仕上げ 3.11.2 その他医療器具・機器(繊維・フ

ァイバーから作られた医療機器を除

く)の製造

3.1.1.2 リサイクル繊維の製造 3.1.2.2 その他糸又は布の製造(※1) 3.1.4 衣類、衣類部品、及び家庭用繊維

製品の製造(※1) 3.2 不織布の製造又は不織布から衛生

製品の製造 3.3 皮革又は人工皮革からの鞄、履物製

品の製造(※1) 3.6 家具及び部品の製造(※1) 3.7 玩具の製造(※1) 3.8 宝石及び装飾品、又は原材料含む部

品、プロトタイプの製造 3.10.1 医療器具・機器、日除けレンズ、

美容コンタクトレンズに該当しない

レンズの製造 3.11.3 ガウン、帽子、マスク、グロス、

ガーゼ、コットンなど布その他の繊維

からの医療機器の製造

3.1.1.3 その他繊維の製造 3.1.2.2 その他糸又は布の製造(※2) 3.1.4 衣類、衣類部品、及び家庭用繊維

製品の製造(※2) 3.3 皮革又は人工皮革からの鞄、履物製

品の製造(※2) 3.4 スポーツ用品及び部品の製造 3.5 楽器の製造 3.6 家具及び部品の製造(※2) 3.7 玩具の製造(※2) 3.10.2 日除けレンズ、美容コンタクト

レンズ、眼鏡フレーム及び部品の製造

優遇措置

法人所得税 上限なしで 100%免除

(8 年間)

投資金額(土地代・運転資金 除く)を上限に 100%免除

(8 年間)

投資金額(土地代・運転資金 除く)を上限に 100%免除

(5 年間)

投資金額(土地代・運転資金 除く)を上限に 100%免除

(3 年間) - -

機械の輸入 100%免除 同左 同左 同左 同左 -

輸出向け原材料・ 資材の輸入

100 免除(1 年間) (必要により延長措置あり)

同左 同左 同左 同左 同左

※1:最初の3年間の総売上の 0.5%以上デザインや商品研究開発への投資費用があるプロジェクト ※2:デザインや商品研究開発への投資費用がない或は投資費用が最初の 3 年間の総売上の 0.5%未満であるプロジェクト

119

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(別紙 6-1-9 ⑤)

タイ投資奨励委員会(BOI:Board of Investment)による投資奨励業種(7 分類 107 業種)2015 年-2021 年(3/4)

分 類 グループ A グループ B

A1 A2 A3 A4 B1 B2

(4 類)

金属製品、機械、 運輸機器

4.11.1 エンジン、飛行機部品、プロペ

ラ、電子部品等航空機の機体、機体部

品、基幹部品の製造

4.5.1 自動制御機械又はエンジニアリ

ングデザインを有する自動制御器具

の製造 4.8.1 高度技術を使用する乗り物部品

の製造 4.8.2 安全及び省エネルギー乗り物部

品の製造 4.8.3 ハイブリッド自動車、EV、プラ

グインハイブリッド車両の部品の製

造 4.8.4 乗り物のゴムタイヤの製造 4.9 造船または船舶の修理 4.10 汽車或は電車或は器具又は部品

(レールシステムのものに限る) 4.11.3 航空機及び器具の修理 4.13 燃料電池の製造 4.15.1 高度技術を使用する科学機器の

製造

4.1.1 金属粉又は合金粉からの製品の

製造 4.1.2 金属製品又は金属部品の製造 4.5.2 機械、器具、部品の製造または金

型の修理 4.7 乗り物用エンジンの製造(成形加工

あり) 4.11.2 その他航空機部品、機内器具、

道具の製造(消耗用品及び再利用機内

用品を除く) 4.12 オートバイの製造(シリンダーが

248cc 未満のものを除く)(成形加工あ

り) 4.14.1 エンジニアリングデザイン工程

のある金属構造の製造とプラットフ

ォーム修理 4.15.2 その他科学機器の製造

4.1.3 その他の金属部品を含む金属製

品の製造(同一プロジェクト内で圧

延、引張や非鉄金属の鍛造に続く成形

工程があるプロジェクト) 4.3 熱処理 4.4 汎用エンジン又は部品の製造(メイ

ンエンジン部品の成形工程があるプ

ロジェクト) 4.5.3 機械または器具の組み立て 4.7 乗り物用エンジンの製造(エンジン

組立) 4.14.2 石油産業に対する金属構造の製

造又はプラットフォーム修理

4.1.3 その他の金属部品を含む金属製

品の製造(マシニング・スタンピング

等の成形工程があるプロジェクト) 4.2 表面処理又は陽極酸化処理(外観の

ためのコーティング・着色処理を除

く) 4.4 汎用エンジン又は部品の製造(汎用

エンジンや機器の組み立て) 4.6 一般自動車の製造 4.8.5 その他自動車部品の製造 4.12 オートバイの製造(シリンダーが

248cc 未満のものを除く)(成形加工な

し)

(5 類)

電子・電気機械産業

5.6 電子設計 5.7.1 組み込みソフトウェア開発

5.3.1OPE 製品の製造 5.3.2.1光ファイバー及びワイヤレス通

信システムに使用される発光、送信、

受信機器の製造 5.3.3 産業・農業用電子制御及び測定機

器の製造 5.3.4 安全管理機器の製造 5.4.1OPE 部品の製造 5.4.2 太陽電池及び太陽電池原材料の

製造 5.4.3.1光ファイバー及びワイヤレス通

信システムにおける発光、送信、受信

機器部品の製造 5.4.4 産業、農業、医療/科学機器、乗

り物用電子制御及び測定機器部品の

製造 5.4.5 安全管理機器部品の製造 5.4.6.1 先進技術 HDD 又はその部品の

製造 5.4.7Solid state drives 及びその部品

の製造 5.5.1 ウエハーの製造

5.1.1 先進技術を含んだ電気製品の 製造

5.2.1.1 産業用パワーインバーターの 製造

5.3.2.2 その他電気通信機の製造 5.4.3.2 その他電気通信機部品の製造 5.4.6.2 一般 HDD 又はその部品の製造 5.4.8 太陽エネルギーを利用する機器

及び部品の製造 5.4.9 半導体及び半導体部品の製造 5.4.10 フォトニックス部品及び機器及

びフォトニックスを使用するシステ

ムの製造 5.4.11 フラットパネル表示装置の製造 5.4.12 フレキシブルプリント基板又は

多層プリント配線基板又はその部品

の製造 5.5.2Thin Film Technology を使用す

る素材の製造 5.7.2 企業アプリケーションソフトウ

ェア又はデジタルコンテンツの開発

5.1.2 エアコン、冷蔵庫、冷凍庫、洗濯

機、乾燥機の製造 5.2.1.2 その他パワーインバーターの 製造

5.2.2LED 電球の製造 5.2.3 電気機器用コンプレッサー又は

モーターの製造 5.3.5 音声視覚製品の製造 5.3.6 電子事務機器の製造 5.4.6.3HDD 用 Top Cover 及び Base Plate 及び Peripheral の製造

5.4.13 その他記憶装置の製造 5.4.14 一般プリント回路板組立の製造 5.4.15 電磁製品の製造 5.4.16 受動部品の製造 5.4.17 音声視覚製品部品の製造 5.4.18 電子事務機器部品の製造

5.1.3 その他電気製品の製造 5.2.4 ワイヤーハーネスの製造 5.2.5 その他電気機器部品の製造 5.3.7 その他電子製品の製造 5.4.19 その他電子部品の製造

5.8E-commerce

優遇措置

法人所得税 上限なしで 100%免除

(8 年間)

投資金額(土地代・運転資金 除く)を上限に 100%免除

(8 年間)

投資金額(土地代・運転資金 除く)を上限に 100%免除

(5 年間)

投資金額(土地代・運転資金 除く)を上限に 100%免除

(3 年間) - -

機械の輸入 100%免除 同左 同左 同左 同左 -

輸出向け原材料・ 資材の輸入

100 免除(1 年間) (必要により延長措置あり)

同左 同左 同左 同左 同左

120

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(別紙 6-1-9 ⑥)

タイ投資奨励委員会(BOI:Board of Investment)による投資奨励業種(7 分類 107 業種)2015 年-2021 年(4/4)

分 類 グループ A グループ B

A1 A2 A3 A4 B1 B2

(6 類)

化学、紙、 プラスチック

6.2.1 環境にやさしい化学品又はポリ

マー又は環境にやさしいポリマー製品

の製造、又は環境にやさしいポリマー

と同一プロジェクトにある製品の製造 6.5 特殊ポリマー製品又は特殊化学品

の製造 6.9 薬品の有効成分の製造 6.11 化学肥料の製造 6.12.1 衛生パルプ又は衛生紙の製造

6.2.2 環境にやさしいポリマーから 製品の製造

6.4 石油化学品の製造 6.7.特殊プラスチック包装材の製造 6.12.2 特殊パルプ又は特殊紙の製造 6.14.1 デジタル印刷物の製造

6.1 産業用化学品の製造 6.8 リサイクルプラスチック製品の 製造

6.13 紙製品の製造

6.3 石油の精製 6.6 工業用プラスチック製品の製造 6.10 薬品の製造 6.14.2 一般の印刷

(7 類)

サービスおよび 公共施設

7.1.1.1ゴミ或はゴミからの燃料による

電力又は電力及びスチームの製造 7.8 エネルギーサービス 7.9.2 技術工業団地又は工業区 7.10 クラウドサービス 7.11 研究開発 7.12 バイオテクノロジー 7.13 エンジニアリングデザイン サービス

7.14 科学研究所 7.15Calibration サービス 7.19 職業訓練学校

7.1.1.2 太陽、風量、バイオマス、バイ

オガス等再生可能エネルギーによる

電力又は電力及びスチームの製造 7.1.5 商業用空港 7.3.1 鉄道運送 7.3.3 海運運送 7.16 製品向け殺菌サービス 7.17 不用品の再利用(リサイクルや有

益物質の回収のために追加加工と選

別/分離工程がある場合) 7.18 廃棄物処理

7.1.2 一般水道水、産業用水又はスチー

ムの製造 7.1.3 コンテナー方式による輸出品の

検査、コンテナー方式による輸入品の

検査の一時倉庫、コンテナー積載のた

めの内陸コンテナーデポ 7.1.4 海上輸送貨物船での海運積荷取

扱い業 7.3.4 航空運送 7.4.2 国際物流センター 7.9.1.2宝石及び装飾品工業団地又は工

業区 7.9.1.3 ロジスティクスパーク 7.9.1.4 映画工業団地又は工業区 7.9.1.5 環境保護工業団地又は工業区 7.17 不用品の再利用(選別/分離) 7.20 タイ映画の製作 7.21 映画製作向けサービス 7.22.3 遊園地 7.22.4 美術文化又は民芸品展示場 7.22.5 屋外動物園 7.22.6 水族館 7.22.7 レーストラック 7.22.8 ケーブルカー 7.23.2 大型会議センター 7.23.3 国際展示場

7.1.1.3その他のエネルギーによる電力

又は電力及びスチームの製造 7.23.1 ホテル(特別投資促進 20 県に立

地する場合)

7.2 天然ガスサービスステーション 7.3.2 パイプライン運送 7.4.1 物流センター 7.5 地域統括本部(IHQ) 7.6 国際貿易事業(ITC) 7.9.1.1 工業団地又は工業地区 7.22.1 フェリー、遊覧船、遊覧船の レンタル

7.22.2 遊覧船港湾サービス 7.23.4 リハビリテーションセンター

7.7 貿易・投資支援事務所(TISO) 7.23.1 ホテル(他の県に立地する場合)

優遇措置

法人所得税 上限なしで 100%免除

(8 年間)

投資金額(土地代・運転資金 除く)を上限に 100%免除

(8 年間)

投資金額(土地代・運転資金 除く)を上限に 100%免除

(5 年間)

投資金額(土地代・運転資金 除く)を上限に 100%免除

(3 年間) - -

機械の輸入 100%免除 同左 同左 同左 同左 -

輸出向け原材料・ 資材の輸入

100 免除(1 年間) (必要により延長措置あり)

同左 同左 同左 同左 同左

121

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(別紙 6-1-10 ①) インドネシアにおける外資系企業進出に係る主な課税(1/2)

分類 税目 課税対象 所

管 通 常 税 率 ※1ルピア=約 0.01 円 外資系企業

直接税

法人税 所得

中央政府

25%

※年間売上 500 億ルピア以下の小規模企業:48 億ルピア迄を 50%割引 ※年間売上 48 億ルピア以下の特定企業:売上の 1%課税 ※株式上場及び 40%以上株式公開時:20% ※配当金:国内企業 15%、外資企業 20% ※二国間租税条約により ・配当金送金: 10%(出資比率 25%以上)、15%(出資比率 25%未満) ・インドネシアの課税分は日本で控除あり

【特定分野(パイオニア産業 5 分野)への投資】 ※5 分野:基礎金属・基礎有機化学・機械・通信機器・再エネ ・1 兆ルピア以上投資時:

5~10 年間 100%免除+50%免税(終了から 2 年間)のタックスホリデー 【特定業種・特定地域限定分野(129 分野)への投資】 ※特定業種 66 分野:石油精製・複写機製造・家電製造他 ※特定地域限定分野 77 分野:米・大豆・石炭採掘・砂糖製造 他 ・投資額の 30%迄:年 5%控除(6 年間) ・減価償却 1/2 に短縮 ・外国への配当金:10%に軽減 ・欠損金の繰り延べ:条件つきで最長 10 年(通常 5 年)

間接税

物品税 酒類・タバコ 単位(1リットル・1本)当たりの税額を設定 同 左

奢侈販売税(LST:

Luxury-goods Sales Tax)

贅沢品の供給・輸入 (二輪・四輪・カメラ・エアコン・電子レンジ・酒・宝飾品等)

10%~200% (現在の適用税率:10%~75%)

同 左

付加価値税(VAT:

Value Added Tax)

物品の販売、 サービスの提供 輸入等

10% (政令により 5%~15%に増減可)

※輸出品:100%免税 ※外国企業向けサービス提供:通常課税 or 100%免税 ※物品(鉱産物や生活必需品等)やサービスの一部に非課税あり ※戦略物品(課税製品の製造する資本財・電気代(6600W 超住宅除く)・水道料

金等)の輸入・国内供給:100%免除

同 左

関税 輸出入品

・輸入:現行最高税率 40%(関税評価額の 0%~150%) ・輸出:従量 or 従価税 ※事業開始・拡大時、投資における機械・原材料の輸入:

100%免除(2 年間)(国産品 30%の機械資料時は 4 年間)

同 左

印紙税 契約文書他 文書に応じて、3 千ルピア or 6 千ルピア(固定額) 同 左

土地建物税(PBB:

Pajak Bumi dan Bangunan) 土地・建物 中央から地方へ移管

0.5% ※非課税控除あり (政府発表概算価格(NJOP)の 20% or 40% で課税:2400 万ルピア上限)

同 左

土地建物取得税(BPHTB:

Ben Pengalihan Hak atas

Tanah dan Bangunan)

不動産の購入、 権利移転 一律 5% 同 左

備 考 ・地方税(自動車税、遊興税、広告税、ホテル税、レストラン税、地下水・水道

利用税他)は省略

122

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(別紙 6-1-10 ②) インドネシアにおける外資系企業進出に係る主な課税(2/2)

分類

税 目 課 税 対 象 所管

主な経済特別区(SEZ)

保税地区

(Bonded Zone/KB:Kawasan

Berikat)

自由貿易地域(FTZ:Free Trade Zone)・自由貿易港 経済統合開発地区

(KAPET:Kawasan Pengembangan Ekonomi Terpadu)

*輸出加工区(輸出向けの最終製品を生産)

*保税倉庫(Bonded Warehouse)・保税工場等 *指定期間:70 年

直接税

法人税 所得

中央政府

・輸入・国内購入時の

輸入品に係る前払所得税(22 条):100%免税

・輸入・国内購入時の

輸入品に係る前払所得税(22 条):100%免税

・配当金:50%免税

・機械設備の減価償却 1/2 に短縮

・欠損金の繰り延べ:最長 10 年(通常 5 年)

間接税

物品税 酒類・タバコ (通常通り)

・輸入品:100%免税

・FTZ 内の会社間:100%免税 (通常通り)

奢侈販売税(LST:

Luxury-goods Sales Tax)

贅沢品の供給・輸入 (二輪・四輪・カメラ・エアコン・電子レンジ・酒・宝飾品等)

・輸入・国内購入:100%免税 ・輸入品:100%免税 ・製造活動の資本財・原材料・機器等の輸入

・加工を目的とした輸入品・当事者間の引き渡し

:100%免除

付加価値税(VAT:

Value Added Tax)

物品の販売、 サービスの提供 輸入等

・輸入・国内購入:100%免税 ・輸入品:100%免税

同 上

関税 輸出入品

・原材料・資本等の輸入:100%免税

・その他輸入:100%免税

・国内向け販売:

前年度実績の 50%を上限に可

(輸入手続き不要。VAT も 100%免税)

・輸入関税:100%免税

・保税倉庫、経済特区からの搬入:100%免税

・FTZ 内の会社間:100%免税

・製造活動の資本財・原材料・機器等の輸入

:100%免除

印紙税 契約文書他 (通常通り) 同 左 同 左

土地建物税(PBB:

Pajak Bumi dan Bangunan) 土地・建物 中央から地方へ移管

(通常通り) 同 左 同 左

土地建物取得税(BPHTB:

Ben Pengalihan Hak atas

Tanah dan Bangunan)

不動産の購入、 権利移転 (通常通り) 同 左 同 左

備 考

123

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(参考文献)

(1)マハラシュトラ州の州税

・マハラシュトラ州SEZ/マハラシュトラ州ホームページ

http://www.sezindia.nic.in/writereaddata/statePolicies/maharashtrapolicy.pdf

・MIDC(MAHARASHTRA INDUSTRIAL DEVELOPMENT CORPORATION)ホームページ

http://www.midcindia.org/Lists/TenderDocumentsList/DispForm.aspx?ID=13283

・Maharashtra Budget 2014-15 - Key indirect tax proposals/changes/KPMG

https://www.kpmg.com/Global/en/IssuesAndInsights/ArticlesPublications/taxnewsflash/D

ocuments/india-june-11-2014no2.pdf#search='https%3A%2F%2Fwww.kpmg.com%2F...%2

Ftaxnewsflash%2F...%2Findiajune1'

・印紙税(インド企業省・全州掲載)

http://www.mca.gov.in/MCA21/dca/efiling/eStamp_rate.pdf

(2)グジャラート州の州税

・グジャラート州SEZ/グジャラート州ホームページ

http://www.sezindia.nic.in/writereaddata/statePolicies/gujaratsezact.pdf

・The Gujarat Value Added Tax Amendment Act, 2006/Tata Consultancy Services Limited.

http://www.commercialtax.gujarat.gov.in/vatwebsite/Acts/actsMain.jsp?viewPageNo=1

・Gujarat abolishes octroi in seven crucial cities/HT Media Ltd

http://www.livemint.com/Politics/ozJcnYcohaaQe6ViSH8qzM/Gujarat-abolishes-octroi-in-

seven-crucial-cities.html

(3)ラジャスタン州の州税

・ラジャスタン州SEZ/ラジャスタン州ホームページ

http://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=3&cad=rja&uact=8

&ved=0ahUKEwiDwp_9ya_JAhUBv5QKHaQdCksQFgglMAI&url=http%3A%2F%2Fbusi

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・Taxation/Bureau of Investment Promotion Rajasthan

http://www.investrajasthan.com/taxation.cms

・ラジャスタン州消費電力税/ラジャスタン州ホームページ

http://rajtax.gov.in/vatweb/download/act/ElectricityDuty.pdf

(4)ウッタルプラデシュ州の州税

・ウッタルプラデシュ州SEZ/ウッタルプラデシュ州ホームページ

124

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http://www.sezindia.nic.in/writereaddata/statePolicies/up_sez_policy_2007_part_a.pdf

・THE UTTAR PRADESH VALUE ADDED TAX ACT, 2008/Uttar Pradesh Commercial Taxes

Department

http://comtax.up.nic.in/Vat_Act/UPVAT%20SCHEDULE%20Updated%20upto%20dt%2012-

03-2015.pdf

・2009 ENTRY TAX – ALPHABETICAL RATE OF TAX/ntnonline.net

http://ntnonline.net/entry_rate.pdf

(5)タルミナド州の州税

・タルミナド州SEZ/タルミナド州ホームページ

http://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=3&cad=rja&uact=8

&ved=0ahUKEwjT587GyK_JAhUCKJQKHWr5DqQQFggrMAI&url=http%3A%2F%2Fw

ww.mahindraworldcity.com%2Fdocs%2Fchennai%2Fspecial_economic_zones.pdf&usg=AF

QjCNHj4Mstb0nocGyWh_8fziG9PLl-jw

(6)カルナタカ州の州税

・カルナタカ州SEZ/カルナタカ州ホームページ

http://www.sezindia.nic.in/writereaddata/statePolicies/state%20policy%20of%20sez%2020

091.pdf

(7)インド全体の税制

・Stamp Duty/Propertiesindia.com

http://www.propertiesindia.com/content-resources.php?id=17

・Tax and Duty on Electricity bills in india

https://www.bijlibachao.com/electricity-bill/electricity-duty-and-tax-on-electricity-bills-in-i

ndia.html

(8)ニムラナ・ギロット工業団地へのインセンティブ

・ラジャスタン州日本企業専用工業団地(ニムラナ、ギロット)のご案内 2015 年 4 月/JETRO

https://www.jetro.go.jp/jetro/overseas/in_newdelhi/rajasthan.html

・インド・ラジャスタン州ニムラナ工業団地のご案内 2014 年 6 月/JETRO

https://www.jetro.go.jp/jetro/overseas/in_newdelhi/neemrana/neemrana_201406.pdf#searc

h=%27%E3%83%8B%E3%83%A0%E3%83%A9%E3%83%8A%E5%B7%A5%E6%A5%AD

%E5%9B%A3%E5%9C%B0%27

125

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(9)インド各州の政策

・マハラシュトラ州:産業誘致政策 2013/マハラシュトラ州産業開発公社(MIDC)

http://www.jbic.go.jp/wp-content/uploads/page/2015/08/.../inv_India28.pd

・Government of Maharashtra Industries, Energy and Labour Department Government

Resolution No.: PSI -2013/ (CR- 54 )/IND-8 ;Package Scheme of Incentives – 2013/マハ

ラシュトラ州政府

http://foodprocessingindia.co.in/state_pdf/Maharashtra/PackageSchemeofIncentives2013.

pdf#search='Maharashtra+PSI+2013'

・グジャラート州:産業部門支援策 2013/州政府

http://ic.gujarat.gov.in/?page_id=2523

・ラジャスタン州:ラジャスタン投資促進スキーム 2014/州政府

http://investrajasthan.com/japanese-zone/policies/rips.pdf

http://investrajasthan.com/japanese-zone/incentives.php

・ウッタルプラデシュ州:基盤産業投資政策 2012/州政府

http://www.upkvib.gov.in/Indl_Policy_English_2012.pdf

・タルミナド州:タルミナド産業政策 2014/州政府

http://ficci.com/SEdocument/.../TN_Industrial_Policy_2014

・カルナタカ州:産業政策 2014-2019/州政府

http://www.events.investkarnataka.gov.in/.../industrial-policy

http://www.kpmg.com/.../Karnataka-Industrial-Policy-2014

(10)中国の税制

・税制、外資に関する奨励 各種優遇措置 詳細/JETRO

https://www.jetro.go.jp/world/asia/cn/invest_04.html

https://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/country/cn/invest_03/pdfs/cn8B010_yuuguu_gyous

yu.pdf

・中国投資環境シリーズ/国際協力銀行

https://www.jbic.go.jp/wp-content/uploads/inv-report_ja/2013/10/12085/jbic_RIJ_2013003.

pdf#search='%E4%B8%AD%E5%9B%BD+%E9%80%81%E9%87%91%E7%B5%84%E6%8

8%BB%E3%81%97%E5%88%A9%E6%BD%A4%E4%BF%9D%E8%A8%BC%E9%87%91%

E5%88%B6%E5%BA%A6'

・中国事業の会計税務/中国書籍専門出版社 蒼蒼社 近藤義雄著

http://www.mmjp.or.jp/sososha/hon/kaikeizeimu.html ・中国税務/近藤公認会計士事務所

http://homepage2.nifty.com/kondo-cpa/usefull/chinese/taxation/chinese_taxation.html

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(11)タイの税制

・税制、外資に関する奨励/JETRO

https://www.jetro.go.jp/world/asia/th/invest_04.html

https://www.jetro.go.jp/world/asia/th/invest_03.html

・タイの税務行政と税制の概要(税大ジャーナル 2015.1)/国税庁

https://www.nta.go.jp/ntc/kenkyu/journal/saisin/270130_satou.pdf#search='%E3%82%BF

%E3%82%A4+%E7%A8%8E%E5%88%B6'

・日タイ経済提携協定(JTEPA)/タイ国政府貿易センター

http://japan.thaitrade.com/trade/jtapa.html

・タイ国税務小冊子 2014 年/PWC

https://www.pwc.com/th/en/publications/2014/thai-tax-booklet2014-jp-web.pdf#search='IEA

T+%E8%BC%B8%E5%87%BA%E5%85%8D%E9%99%A4+%E5%95%86%E5%93%81'

・タイのビジネス経済ハンドブック/東京デベロップメントコンサルタント

http://133.242.142.95/app/webroot/handbook/

http://www.fact-link.com/handbook_index.php

・アジアビジネス情報ポータルサイト thai plus one/トータル・コーディネーション・オブ・

ライフ

http://thai-plusone.asia/business/basic/

・タイにおける税務の基礎知識/税理士法人ザット

http://www.xat.jp/news/thai_tax25.html

・タイ:BOI の新投資奨励制度について/三菱東京UFJ銀行

http://www.bk.mufg.jp/report/insasean/AW20150316.pdf#search='%E3%82%BF%E3%82%

A4+BOI'

・INCENTIVES UNDER THE INVESTMENT PROMOTION ACT/THAILAND BOARD OF

INVESTMENT

http://www.boi.go.th/index.php?page=incentive&language=en

・タイ工業団地公社の投資優遇策/中小企業基盤整備機構

http://www.smrj.go.jp/keiei/kokurepo/faq/asean/thailand/051833.html#ttl2

(12)インドネシアの税制

・税制、外資に関する奨励/JETRO

https://www.jetro.go.jp/world/asia/idn/invest_04.html

https://www.jetro.go.jp/world/asia/idn/invest_03.html

・インドネシアの投資環境 2012 年 4 月/JBIC

http://www.jbic.go.jp/ja/information/investment/inv-indonesia201204

・インドネシア税務ポケットブック 2014 年,2015 年/PWC

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https://www.pwc.com/id/en/our%20services/japanesebusinessdesk/indonesian-ptb-2014-ja

pan.pdf#search='%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%8D%E3%82%B7%E3

%82%A2+%E7%A8%8E%E5%88%B6'

https://www.pwc.com/id/en/indonesian-pocket-tax-book/assets/indonesian_pocket_tax_boo

k_2015-jpn.pdf#search='%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%8D%E3%82%

B7%E3%82%A2+%E6%B6%88%E8%B2%BB%E7%A8%8E'

・A Primer on Indonesian Added Value Tax/KPMG HADIBROTO

https://www.kpmg.com/ID/en/IssuesAndInsights/ArticlesPublications/Documents/A-Prim

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第 7 章 インド政府関係者や企業等との JCM 及びスマートシティに

対する理解の増進や関係強化のために必要な取組の実施 インド政府関係者や企業等とのJCM及びスマートシティに対する理解の増進や関係強化

のために、インドで開催されたワークショップを中心とした取組を実施した。ワークショ

ップ開催に向けて、インド現地日系企業や開発事業者である SKIL Infrastructure Limited (以下、SKIL 社)、州政府関係者と、2 度の現地ヒアリング・調査を行った。まず、2015年 11 月に事業趣旨の説明やプレゼンを行い、意見交換を実施。2016 年 2 月には、SKIL 社

とワークショップの最終調整を行った。また、在ムンバイ日本総領事館やムンバイ日本人

会商工部を訪問し、意見交換を行うとともに現地日系企業関係者の招聘を依頼した。 これらを経て 2016 年 3 月 9 日、インドのムンバイでスマートシティ開発と JCM に係る

ワークショップを開催した。 今回のワークショップでは、現地日系企業関係者(11 社 13 名:官公庁 2 団体、コンサル

2 社、建設 1 社、商社 2 社、製造業 4 社)、現地州政府関係者(5 団体 9 名)、SKIL 社(9名)、IEEJ(5 名)から約 40 名の参加のもと行われた。 まず、日本エネルギー経済研究所(IEEJ)からスマートシティコンセプト、スマートシ

ティ要素導入による JCM 効果及び、経済性評価に関するプレゼンを行い、次にマハラシュ

トラ州の産業大臣と SKIL 社のガンジー社長がナビムンバイ開発に係る発表を行った後、現

地日系企業関係者も交えた参加社全体で議論が行われた。

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ワークショップタイトル: 「インド・ナビムンバイでのスマートシティ開発の実現可能性調査-JCM プロジェクトの可能性-」 日時:2016 年 3 月 9 日(金) 13:00-16:05 場所:ムンバイ(Hotel The Oberoi, Mumbai 内)

時間 プログラム 発表者 13:00-13:40

13:45-13:50

13:50-14:15

14:15-14:35

14:35-15:00

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全参加者による交流

WS 開会<司会:IEEJ 理事 山下> 発表①

“Proposals for the development of Smart City in Navi Mumbai special economic zone (NMSEZ)”

発表② “Joint Crediting Mechanism and CO2 Emissions Reduction Technology for NMSEZ”

発表③ "Economic effects of the diffusion of energy saving technologies"

コーヒーブレーク

マハラシュトラ州産業大臣 発表

SKIL Infrastructure Ltd. 発表 全体討論 閉会

山本 (IEEJ)

渡辺 (IEEJ)

末広 (IEEJ)

S.Desai

N.Gandhi

(プレゼン内容は別添資料を参照) WS を通じて示されたインド参加者からの主な意見は以下の通り。 ・ スマートシティにおける省エネは、技術面のみでなく、ライフスタイルや行動の変革も

重要である。例えば、日本では室温を 28 度に設定したり、クールビズのような取り組

みを行うことの重要性の指摘や、太陽光発電や蓄電池導入によるエネルギーマネジメン

トなどの提案も見られた。 ・ Subhashji Desai マハラシュトラ州産業大臣からは、日本とのパートナーシップを歓迎

するとともに、州政府でも許認可等の規制緩和を進めるとの意向が示された。また、ナ

ビムンバイにおける州政府のスマートシティ計画の対象は、グリーンフィールドで、土

地収用済みであることがアドバンテージになるとの意向が示された。

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・ N.Gandhi 会長は、州政府による補助やその信頼性、治安の良さ等を背景に、ナビムン

バイにおける開発の優位性を強調。民間セクターとのジョイントも重要との意向を示し

た。 ・ インド中央・州政府の JCM への姿勢については、ゼロカーボン、省エネ技術などの導

入を積極的進めていくため、日本からの投資や技術を歓迎するとの考えが示された。 ・ インド側から、BEMS とは何かという質問が出された。認知度が低いと思われることか

ら、今後認知度を高める取り組みが必要であると思われる。 ワークショップ風景(左:Desai 大臣 右:会場風景)

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