25
― はじめに ― 我が国における2012年度基準年(1990年度:12億運輸部門からのCO 排出量は輸部門における、航空、船舶、乗用車は50.2%を占めていま このため、運輸部門における地球 り組んでおり、その取組を年度したものを、交通環境対策アクシ 地球温暖化をはじめとする今日 れらの取組を積極的に推進してい 温室効果ガス排出量は、13億4,300万,100万トン)を6.5%、前年比を2億2,600万トンと、日本全体の排出量鉄道を除いた自動車部門が占める割合は86ます球温暖化対策として、自動車対策等様々な施策 ごとに評価し、これを踏まえた今年度の取組ションプランとして作成しています。 の環境問題に対し、中部運輸局は皆様のごいきますトン (CO 換算値)で、 8%上回っています。 17.7%であり、運 8%、その内、自家用 によりCO 削減に取 体系的かつ具体的に示 理解とご協力のもと、こ (参考 国土交通省HP)

はじめに ― 我が国における2012年度の 温室効果ガス排出量は … · 気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP ... 《平成26年度の施策・目標》

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Page 1: はじめに ― 我が国における2012年度の 温室効果ガス排出量は … · 気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP ... 《平成26年度の施策・目標》

― はじめに ―

我が国における2012年度の

基準年(1990年度:12億6

運輸部門からのCO2排出量は2

輸部門における、航空、船舶、鉄道

乗用車は50.2%を占めています

このため、運輸部門における地球温暖化対策

り組んでおり、その取組を年度ごとに

したものを、交通環境対策アクションプランとして

地球温暖化をはじめとする今日

れらの取組を積極的に推進していきます

の温室効果ガス排出量は、13億4,300万トン

6,100万トン)を6.5%、前年比を2.

2億2,600万トンと、日本全体の排出量の

鉄道を除いた自動車部門が占める割合は86.

めています。

地球温暖化対策として、自動車対策等様々な施策

ごとに評価し、これを踏まえた今年度の取組を

アクションプランとして作成しています。

今日の環境問題に対し、中部運輸局は皆様のご理解

していきます。

トン(CO2換算値)で、

.8%上回っています。

の17.7%であり、運

.8%、その内、自家用

施策によりCO2削減に取

を体系的かつ具体的に示

理解とご協力のもと、こ

(参考 国土交通省HP)

Page 2: はじめに ― 我が国における2012年度の 温室効果ガス排出量は … · 気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP ... 《平成26年度の施策・目標》

平成

1.公共交通機関の利用促進

① 地域公共交通確保維持改善事業

② 出前講座、セミナーの開催

③ エコ通勤の促進

④ バリアフリー対策

2.物流部門における環境負荷の

① 物流効率化事業の推進

② グリーン物流パートナーシップ

3.省エネ法に基づく取組

① 省エネ対策の推進

4.渋滞解消対策

① 踏切除却の推進

5.環境対応車・船舶の普及促進

① 環境対応車の普及促進

② 超小型モビリティの普及

③ エコカー減税による環境対応車

④ スーパーエコシップの建造促進

6.その他の地球温暖化対策の

① エコドライブの普及推進

② グリーン経営の普及促進

③ 船舶に対するオゾン層破壊物質

1.低公害車の普及促進等

① 環境対応車の普及促進(

② 中部低公害車普及促進協議会等

2.自動車交通集中地域における

① 自動車NOx・PM法に

Ⅰ.地球温暖化対策の

Ⅱ.大気汚染対策の推進

平成26年度の施策・目標

目 次

・・・ 1

確保維持改善事業 ・・・ 3

開催 ・・・ 4

・・・ 4

・・・ 5

の低減

・・・ 7

パートナーシップ事業 ・・・ 8

・・・ 9

・・・ 10

普及促進

・・・ 10

普及促進 ・・・ 11

環境対応車の普及促進 ・・・ 12

建造促進 ・・・ 13

の取組

普及推進 ・・・ 13

普及促進 ・・・ 14

層破壊物質対策 ・・・ 14

・・・ 15

(再掲) ・・・ 16

中部低公害車普及促進協議会等 ・・・ 17

における自動車排出ガス対策

に基づく対応 ・・・ 17

の推進

推進

10

10

11

12

14

Page 3: はじめに ― 我が国における2012年度の 温室効果ガス排出量は … · 気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP ... 《平成26年度の施策・目標》

② 整備不良車及び不正改造車

3.船舶からの大気汚染防止対策

① 船舶に対するオゾン層破壊物質

② 船舶からの排出ガス対策

1.船舶からの海洋汚染防止対策

① 海洋汚染防止設備の整備点検

2.放置座礁船未然防止・船舶油濁損害事故

① 船主責任保険未加入船舶

1.自動車リサイクル対策

① 自動車リサイクル制度

② 環境にやさしい(グリーン

2.FRP船リサイクル対策

① FRP船リサイクル制度

※ 各見出しの末にある記号は、以下

:鉄道モードに関する事項

:自動車モードに関する事項

:船舶モードに関する事項

Ⅲ.海洋汚染防止対策の

Ⅳ.循環型社会の形成に

不正改造車の排除 ・・・ 17

大気汚染防止対策

層破壊物質対策(再掲) ・・・ 18

対策 ・・・ 18

・・・ 19

海洋汚染防止対策

整備点検 ・・・ 20

船舶油濁損害事故の防止対策

船主責任保険未加入船舶の排除等 ・・・ 20

・・・ 21

・・・ 21

グリーン)協議会 ・・・ 21

制度 ・・・ 22

以下の項目であることを表しています。

:補助金の交付に関する

:規制に関する活動

:普及・啓発活動に関

の推進

に向けた対策

18

18

19

20

20

21

21

する活動

関する活動

Page 4: はじめに ― 我が国における2012年度の 温室効果ガス排出量は … · 気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP ... 《平成26年度の施策・目標》

京都議定書が1997年12月に

については、CO2を始めとする温室効果

に基準年である1990年度比で6

また、2005年2月に京都議定書

決定(2008年3月全部改定)し

その後、2009年9月にニューヨークで

る公平かつ実効性のある国際枠組みの

25%削減するという政府目標を表明

2011年11月~12月に開催

法的枠組み」に関して、可能な限り

施するとの道筋が合意され、2012

取りが明らかになった。他方、京都議定書

我が国は同約束期間には参加しない

2013年に開催されたCOP19

6%削減目標を達成する見込みであること

ることを表明した。

【環境・エネルギー政策の動向

Ⅰ.地球温暖化対策の推進

◇ 国の動き

1

に気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP

温室効果ガスを2008年度から2012年度

6%削減する数値目標が定められた。

京都議定書が発効したことを受け、同年4月に京都議定書目標達成計画

した。

にニューヨークで開催された国連気候変動首脳会合では

みの構築と意欲的な目標の合意を前提に2020

表明。

開催されたCOP17では、我が国が目指す「全

り早く、遅くとも2015年中に議論を終え、

2012年11~12月に開催されたCOP18では

京都議定書の第2約束期間について、その設定に

しない方針を表明し、自主的な削減努力を実施することとしている

19では、我が国の京都議定書第一約束期間の

みであること、2020年の自主的な削減目標を2005

動向】

COP3)で採択され、我が国

度までの間(第1約束期間)

京都議定書目標達成計画を閣議

では、すべての主要国によ

2020年までに1990年比

全ての国に適用される将来の

、2020年から発効及び実

では、その具体的な交渉の段

に向けた合意がなされたが、

することとしている。

の削減実績は8.2%であり、

2005年比3.8%減とす

Page 5: はじめに ― 我が国における2012年度の 温室効果ガス排出量は … · 気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP ... 《平成26年度の施策・目標》

【運輸部門における地球温暖化対策

旅客輸送における公共交通の分担率

東京を中心とする首都交通圏

大阪を中心とする京阪神交通圏

名古屋を中心とする中京交通圏

となっており、中京交通圏は自家用自動車

また、物流においてもトラックによる

このため、旅客についてはエコ通勤

ーンパートナーシップ等物流の効率化

◆ 中部運輸局の現状

2

地球温暖化対策】

分担率を三大都市圏で比較すると、

約7割

約6割

3割弱

自家用自動車による移動の割合が高くなっている。

においてもトラックによる輸送が9割と高くなっている。

通勤等による自家用自動車から公共交通への利用転換

効率化など、環境にやさしい移動手段の促進に取り

利用転換、物流においてはグリ

り組んでいくこととしている。

(都市交通年報より)

Page 6: はじめに ― 我が国における2012年度の 温室効果ガス排出量は … · 気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP ... 《平成26年度の施策・目標》

《施策概要》 (担当部課:企画観光部

生活交通の存続が危機に瀕している

また、バリアフリー化やより制約

解消等がされるよう、地域公共交通

《平成26年度の施策・目標》

存続が危機に瀕している生活交通

確保維持のため、地域の多様な関係者

組に対して支援を行う。

公共交通施設等のバリアフリー

対して支援を行う。

① 地域公共交通確保維持改善事業

1.公共交通機関の利用促進

◆ 中部運輸局の動き

3

企画観光部 交通企画課)

している地域等において、地域の特性・実情に最適

制約の少ないシステムの導入等移動に当たっての

地域公共交通の確保・維持・改善を支援する。

生活交通のネットワークについて、地域のニーズを

関係者による議論を経た地域の交通に関する計画

のバリアフリー化、鉄道の安全性向上に資する設備整備、公共交通

最適な移動手段が提供され、

たっての様々な障害(バリア)の

のニーズを踏まえた最適な交通手段の

計画等に基づき実施される取

公共交通の利用環境改善等に

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4

《施策概要》 (担当部課:交通環境部 環境課)

自家用自動車に過度に依存する「クルマ」中心のライフスタイルから電車やバスなどの公共交通機関へ

の利用転換を促すなど、人々の考え方や行動を環境負荷の小さい交通手段への利用に向けて意識醸成を図

ることを目的に、一般市民や小学生を対象とした「出前講座」を開催する。

また、環境的に持続可能な交通(EST)を目指す取組みを普及・促進するため、地域における人材育

成を目的とする「EST創発セミナー」を開催する。

《平成26年度の施策・目標》

交通と環境の問題を考え、環境にやさしい生活スタイルの意識を醸成することを目的とする「出前講

座」を依頼に応じて随時開催するとともに、各種イベント等を通じて宣伝活動を行う。

また、管内の自治体等の要望を踏まえ、「EST 創発セミナー」の開催を計画する。

《施策概要》 (担当部課:交通環境部 環境課)

二酸化炭素の排出量の少ない公共交通等への交通手段の転換のため、通勤手段を公共交通機関や自転車、

徒歩などへ利用転換する「エコ通勤」の普及促進を行う。

《平成26年度の施策・目標》

平成25年度に行った自治体アンケート結果を踏まえ、エコ通勤に積極的な自治体に対して制度説明を

実施する。今年度は10事業所の新規認証を目標として普及啓発に取組む。

【エコ通勤とは】

② 出前講座、セミナーの開催

③ エコ通勤の促進

Page 8: はじめに ― 我が国における2012年度の 温室効果ガス排出量は … · 気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP ... 《平成26年度の施策・目標》

5

【エコ通勤優良事業所認証制度の趣旨・目的】

エコ通勤に関する意識が高く、エコ通勤に関する取り組みを自主的かつ積極的に推進している事

業所、自治体を優良事業所として認証し、登録するとともに、その取組み事例を広く国民に周知

することにより、エコ通勤の普及促進を図ることを目的として実施する。

《施策概要》 (担当部課:交通環境部 消費者行政・情報課/鉄道部 計画課

/海上安全環境部 船舶検査官、船舶安全環境課)

「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(以下、バリアフリー法という)に基づき、

移動上及び施設の利用上の利便性・安全性の向上の促進を図る。ハード面の施策としては、旅客施設、車

両、船舶のバリアフリー化、ならびに、ソフト面では「心のバリアフリー」の啓発や、施策のスパイラル

アップのための活動を行っていく。

《平成26年度の施策・目標》

ア) 面的・連続的なバリアフリー整備を推進するために市町村が作成するバリアフリー基本構想につ

いて、管内市町村に対して制度説明や構想の必要性を意識づける“プロモート”を行い、基本構想の

作成を促す。(年度内実施目標:6件)

イ) 高齢者・障がい者の擬似体験や介助体験等を行うことを通じて、バリアフリーについての理解を

深めるとともに、高齢者・障がい者の方々に対して配慮とサポートができるよう、「心のバリアフリ

ー」の啓発と推進をするための“交通バリアフリー教室”を開催する。(年度内実施目標:15件)

ウ) 引き続き、鉄軌道駅のエレベーターの設置による段差の解消や障がい者対応型多機能トイレの設置

等に向け支援することとしており、14駅において整備を進めている。

バリアフリー法に基づく基本方針は平成23年に改正され、新たな整備目標として「1日当たりの

平均的な利用者数が3千人以上の駅については、平成32年までに原則として全てをバリアフリー化

④ バリアフリー対策

Page 9: はじめに ― 我が国における2012年度の 温室効果ガス排出量は … · 気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP ... 《平成26年度の施策・目標》

6

する」目標達成に向け、鉄軌道事業者・地方公共団体・国による三位一体の取組を行っていくことと

している。

加えて平成23年8月、ホームドアの整備促進等に関する検討会による「中間とりまとめ」の中で、

転落防止対策の進め方が整理された。これを踏まえて、現在、14駅において内方線付き点状ブロッ

クの整備を進めている。また、1駅において固定式ホーム柵の整備を進めている。

エ) バリアフリー新法に基づいて新造旅客船の旅客設備を審査し、高齢者、障がい者等の利用の利便性及

び安全性に適合した旅客船を建造する。

(新造旅客船旅客設備審査目標数 1隻)

オ) 就航しているバリアフリー新法が適用されている旅客船に立ち入りし、高齢者、障がい者等のための

旅客設備が引き続き良好に保守されていることを確認する。

(バリアフリー新法適用旅客船検査目標数 22隻)

Page 10: はじめに ― 我が国における2012年度の 温室効果ガス排出量は … · 気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP ... 《平成26年度の施策・目標》

7

《施策概要》 (担当部課:交通環境部 物流課/自動車交通部 貨物課)

物流の情報化・共同化・円滑化等により物流の効率化を推進する。

《平成26年度の施策・目標》

ア) 物流効率化法に基づく拠点・輸送網の集約

「効率的で環境負荷の小さい物流」への取組を求められる中「流通業務の総合化及び効率化の促進に

関する法律(物流効率化法)」が平成17年10月に施行された。基本方針で求めている事業計画①輸

送・保管・荷捌き・流通加工を総合的に実施する、②輸送網の集約・輸配送の共同化・積載率の向上・

モーダルシフト等により効率化を図る、③環境負荷の低減(CO2排出量の削減)に基づき、物流を総

合的かつ効率的に実施することにより、物流コストの削減や環境負荷の低減を図る事業に対して認定を

行い、流通業務総合効率化事業の推進に努める。

《平成26年3月末現在の認定件数 中部管内65件、全国219 件》

【流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(物流効率化法) 概要】

2.物流部門における環境負荷の低減

① 物流効率化事業の推進

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イ) モーダルシフト等の推進

荷主企業及び物流事業者等物流

推進事業計画に基づく事業に要

送手段への転換を図るモーダルシフト

低炭素型の物流体系の構築を図

モーダルシフト事業の計画を

業者(協議会)に対しては、運行経費

《施策概要》 (担当部課:交通環境部

実効ある温暖化対策には、荷主企業

改善に向けた産業横断的な取組

平成23年度よりエネルギー

ニシアチブ(SII)への申請手続

制度」は廃止となったが、従来

及可能性・先端性」「省エネルギー

エネルギーを進めることが必要

もに、高い省エネルギー効果が

普及・拡大を推進し環境負荷の

《平成26年度の施策・目標》

各種会議を通し、グリーン物流

の発掘を行い、グリーン物流への

② グリーン物流パートナーシップ

【モーダルシフトとは】

モーダルシフトとは、トラックによる幹線輸送

しく、大量輸送が可能な海運又は鉄道に転換

CO2排出原単位の小さい輸送モードを

地球温暖化防止に効果があるほか、省エネルギー

にも効果があります。

8

物流事業者等物流に係る関係者によって構成される協議会

要する経費の一部を補助することにより、CO

るモーダルシフト等を推進し、温室効果ガスの削減による

図る。

を募り、その内容について国土交通省により認定

運行経費の最大2分の1を補助する。

交通環境部 物流課)

荷主企業と物流事業者の協働(パートナーシップ

取組が必要となる。

エネルギー使用合理化事業者支援事業の実施機関となる

申請手続きが一本化されたことを受け、これまでの

従来から行われているモーダルシフト、3PL等

エネルギー効果」「費用対効果」を踏まえ政策的意義

必要とされている。今後も引き続き、中部運輸局

が得られた支援プロジェクトの内容を公表するなど

の少ない物流の実現を図る。

物流パートナーシップ事業のPR、新しいビジネスモデルの

への取組の一層の裾野拡大・普及を図る。

パートナーシップ事業

幹線輸送を、「地球にやさ

転換」することをいいます。

モードを採用することによって

エネルギー、道路の渋滞緩和

協議会が行うモーダルシフト等

、CO2排出原単位の小さい輸

による地球温暖化の防止及び

認定を行う。認定された事

パートナーシップ)による物流システムの

となる一般社団法人環境共創イ

これまでの国土交通省による「認定

等の取組において「技術の普

政策的意義の高いものは、更なる省

中部運輸局として支援・助言するとと

するなど、省エネルギー技術の

しいビジネスモデルの構築による事業

Page 12: はじめに ― 我が国における2012年度の 温室効果ガス排出量は … · 気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP ... 《平成26年度の施策・目標》

9

《施策概要》 (担当部課:交通環境部 環境課)

平成18年4月1日に改正施行された「エネルギーの使用の合理化に関する法律」(改正省エネ法)に

より、新たにすべての輸送事業者に省エネ対策を推進する努力義務が課せられるとともに、一定規模以上

(別表)の輸送能力を有する輸送事業者(いわゆる輸送事業者だけでなく、自家物流を行っている者も含

む。)に省エネ計画の作成・エネルギー使用量等の定期報告が義務付けられた。(中長期計画、定期報告

の提出期限は、毎年6月末)

また、一般の事業者(企業)には、従業員の通勤や業務等事業活動に関する移動における公共交通機関

等の利用推進について努力義務が課せられている。

《平成26年度の施策・目標》

平成25年5月31日に一部改正(平成26年4月1日施行)があった改正省エネ法について、定期報

告義務付け事業者に対する説明会を行う。

同事業者に対する、省エネに係る取組みの実態調査については、12事業者に対して計画的に実施する。

《施策概要》 (担当部課:鉄道部 計画課)

鉄道と道路との立体交差事業による踏切の除却を推進する。

《平成26年度の施策・目標》

踏切道における交通の円滑化を促進するため、「踏切道改良促進法」に基づき除却を計画すべき踏切を

指定し、立体交差化等を促してその踏切における渋滞緩和を推進する。

また、地域の実情に応じ踏切利用者の安全確保を第一に指定及び調整を進める。

[別 表]

輸送機関 基 準 貨 物 旅 客

鉄 道 車 両 数 300両 300両

自 動 車 台 数 200台 バ ス 200台

タクシー 350台

海 運 総船腹量 2万総トン

3.省エネ法に基づく取組

① 省エネ対策の推進

4.渋滞解消対策

① 踏切除却の推進

Page 13: はじめに ― 我が国における2012年度の 温室効果ガス排出量は … · 気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP ... 《平成26年度の施策・目標》

《施策概要》 (担当部課:自動車交通部

運送事業者等が環境対応車(CNG

温暖化及び大気汚染対策を推進し

また、環境性能が特に優れた電気自動車

業のグリーン化を推進する観点から

の導入を図る。

中部管内の低公害車保有台数(

http://wwwtb.mlit.go.jp/chubu/kotsukankyo//koutsukankyo_kankyo/sozai/eco_ca

《平成26年度の施策・目標》

各地域及び運送事業者の取組みを

また、環境対応車の普及促進を

5.環境対応車・船舶の普及促進

① 環境対応車の普及促進

10

自動車交通部 旅客第一課、旅客第二課、貨物課)

(CNG車、ハイブリッド車)を導入する際の経費

し、地域環境および地球環境の保全を図る。

電気自動車の普及を効果的に加速し、低炭素まちづくりや

から、運送事業者等による電気自動車(バス・タクシー

(中部運輸局HP)

http://wwwtb.mlit.go.jp/chubu/kotsukankyo//koutsukankyo_kankyo/sozai/eco_ca

みを支援し、環境対応車の普及促進に努める。

を図るため、事業者等への説明活動を行う。

普及促進

経費の一部を補助し、地球

まちづくりや地域・交通事

バス・タクシー及びトラック)

http://wwwtb.mlit.go.jp/chubu/kotsukankyo//koutsukankyo_kankyo/sozai/eco_car_data.pdf

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《施策概要》 (担当部課:自動車技術安全部

超小型モビリティは、交通の省

の手軽な足を提供し生活・移動の

である。

幅広い普及に向け社会受容性を

まちづくりに関する検討を加速する

《平成26年度の施策・目標》

超小型モビリティの普及や関連制度

地方自治体、観光・流通関係事業者

を重点的に支援する。公募を行い

う。

《施策概要》 (担当部課:自動車技術安全部

環境性能に優れた自動車について

ーの車体課税について重点的に負担

③ エコカー減税による環境対応車の

② 超小型モビリティの普及促進

11

自動車技術安全部 保安・環境課)

省エネルギー化に資するともに、高齢者を含むあらゆる

の質の向上をもたらす、少子高齢化時代の「新

を高めつつ、車両区分等関連制度の整備、これを

する。また、超小型モビリティの市場を創出する

関連制度の検討に向け、成功事例の創出、国民理解

係事業者、ディベロッパー等の主導による先導導入

い、対象者に対しては導入に係る費用の3分の

自動車技術安全部 保安・環境課)

について、エコカー減税やグリーン化特例措置を実施

負担を軽減し環境対応車の普及を図る。

の普及促進

むあらゆる世代に新たな地域

新たなカテゴリー」の乗り物

これを活用した低炭素・集約型

する。

国民理解の醸成を促す観点から、

先導導入や試行導入の優れた取組み

の1から2分の1の補助を行

実施することにより、エコカ

Page 15: はじめに ― 我が国における2012年度の 温室効果ガス排出量は … · 気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP ... 《平成26年度の施策・目標》

12

《平成26年度の施策・目標》

エコカー減税の周知等を行い、制度を活用した環境対応車の普及促進を図る。

《施策概要》 (担当部課:海事振興部 旅客課、貨物・港運課、船舶産業課)

物流効率化と地球温暖化対策等の環境負荷低減を促進するとともに、内航海運の活性化を図るため、ス

ーパーエコシップ(SES)の建造を促進する。

《平成26年度の施策・目標》

SESの建造を促進するため、管内海運事業者、造船事業者及び関係団体に対し、鉄道運輸機構の支援

事業等の説明・情報提供に積極的に取り組む。

④ スーパーエコシップの建造促進

Page 16: はじめに ― 我が国における2012年度の 温室効果ガス排出量は … · 気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP ... 《平成26年度の施策・目標》

13

《施策概要》 (担当部課:交通環境部 環境課/自動車技術安全部 保安・環境課)

環境に配慮した自動車使用の促進のため、ドライバーの意識向上を促すエコドライブの認知・理解を進

める情報提供を行う。エネルギー問題・環境問題としての取組だけでなく、ドライバー一人ひとりにとっ

ても燃費削減効果により経済的メリットがあることや交通安全にも繋がること、エコドライブには自動車

の定期点検整備が重要であることもあわせて伝えていく。

《平成26年度の施策・目標》

各地で行われる自動車の安全・環境や定期点検整備に関するイベント等において普及啓発を行う。

また、出前講座等の実施にあわせてエコドライブの普及促進を図る。

【エコドライブ10のすすめ】

1 ふんわりアクセル「eスタート」

2 車間距離にゆとりを持って、加速・減速の少ない運転

3 減速時は早めにアクセルを離そう

4 エアコンの使用は適切に

5 ムダなアイドリングはやめよう

6 渋滞を避け、余裕を持って出発しよう

7 タイヤの空気圧から始める点検・整備

8 不要な荷物はおろそう

9 走行の妨げとなる駐車は駐車はやめよう

10 自分の燃費を把握しよう

《施策概要》 (担当部課:交通環境部 環境課)

運輸業界における環境負荷の低減につなげていくため、運輸関係事業者に対し、グリーン経営(自主的・

継続的に環境対策を進めながら、環境保全と経営向上の両立を目指した企業経営)の普及・促進を図る。

《平成26年度の施策・目標》

中小規模の事業者でも環境改善に向けた取組の目標設定と評価が容易にでき、自主的・継続的な環境保

全活動を行うことができる「グリーン経営認証制度」の普及とその認証取得を促進するため、関係業界団

体と連携してグリーン経営講習会を開催する。

講習会の開催に当たっては、認証制度の効果がより見込まれる業種に対し、重点的に実施する。

また、講習会以外にも機会を通じて、グリーン経営普及促進に努める。

6.その他の地球温暖化対策の取組

① エコドライブの普及推進

② グリーン経営の普及促進

(エコドライブ 啓発チラシ)

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グリーン経営認証登録事業所数

《施策概要》 (担当部課:海上安全環境部

船舶に対するオゾン層破壊物質の

《平成26年度の施策・目標》

フロン、ハロン等の物質を船舶

を破壊しない物質を使った設備等

査を実施する。

京都議定書におけるCO2排出削減対象

からのCO2排出量を抑制するため

承認された二酸化炭素放出抑制航行手引書

(船舶立入検査目標数 160

トラック バ ス タクシー

愛 知 532 6

静 岡 356 27

岐 阜 88 1

三 重 150 3

福 井 51 9

中部計 1177 46

全国計 5791 307 4

③ 船舶に対するオゾン層破壊物質対策

14

経営認証登録事業所数(平成26年6月末現在)

海上安全環境部 船舶検査官、船舶安全環境課)

の規制により大気汚染の防止を図る。

船舶の設備等において新たに使用することを禁止

設備等が普及することを目的として、船舶に対し定期的検査

排出削減対象外である国際海運において、平成

するため、排他的経済水域を越えて航行する400

二酸化炭素放出抑制航行手引書の備付けを義務づけ、船舶からの

160隻)

タクシー 旅客船 内航海運 港湾運送 倉 庫 合

64 0 2 11 62

19 0 0 0 25

5 0 0 0 11

0 1 0 1 15

7 0 0 0 6

95 1 2 12 119 1

470 12 33 81 644 7

層破壊物質対策

禁止するとともに、オゾン層

定期的検査に併せて立入検

平成25年1月1日より船舶

400トン以上の船舶に対し、

からのCO2排出の低減を図る。

合 計

677

427

105

170

73

1452

7338

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○自動車からの排出ガス対策

「自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置

法(自動車NOx・PM法)」の対策地域における平成24年度の環境基準達成率(自動車排出ガス有効測

定局「NO2」216箇所、「SPM」207箇所における測定)は「NO2」98.6%(平成23年度

比0.5ポイント悪化)、「SPM」100%(平成23年度比24.4ポイント改善)である。

・自動車NOx・PM法の対策地域内二酸化窒素(NO2)の環境基準達成率の推移

環境省HPより

・自動車NOx・PM法の対策地域内の浮遊粒子状物質(SPM)の環境基準達成率の推移

環境省HPより

前章の地球温暖化対策の推進は大気汚染対策としても重要な施策である。国土交通省では前章施策の他、

大気環境改善のため主に次の施策を推進している。

・環境対応車の開発・普及の推進

大気汚染の主な原因となっている大型ディーゼル車に代替し得る非接触給電ハイブリッド自動車等の

次世代低公害車の開発・実用化を促進するため、産学官の連携により、車両の開発、実証走行試験等を

実施し、安全上・環境保全上の技術基準の策定等、普及に向けた環境整備を進めている。

平成14年度からバス・トラック事業者を中心に、低公害バス・トラック等の導入に対する補助を実

施し環境対応車の普及・促進を図っている。

Ⅱ.大気汚染対策の推進

◇ 国の動き

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・排出ガス規制の強化

平成20年3月25日、国土交通省は新車のトラック・バス及び乗用車から排出される窒素酸化物

(NOx)及び粒子状物質(PM)の更なる低減を図るため、世界最高水準の厳しい規制である、い

わゆる「ポスト新長期規制」を制定した。

この排出ガス規制の強化は、平成17年4月の中央環境審議会「今後の自動車排出ガス低減対策の

あり方について」(第8次答申)を踏まえ、「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」(平成1

4年7月15日国土交通省告示第619号)等を一部改正したもので、新車のディーゼル車等に対し

平成21年10月から順次強制適用されている。

平成22年3月18日には告示の改正が行われ、公道を走行する大型特殊自動車及び小型特殊自動車の

排出ガス規制を強化した。この改正は、平成20年1月の中央環境審議会第9次答申に基づくものであり、

具体的には、ディーゼル特殊自動車の排出ガス規制値が、従来と比較して粒子状物質(PM)で88~9

3%強化される。新車のディーゼル特殊自動車に対し、定格出力により平成24年10月1日から順次強

制適用されている。

○船舶からの排出ガス対策について

地球表面積の約7割を占める海洋は、地球環境の変化と大きく関わるため、海洋汚染を防止し、海洋環境

への負荷を低減させることが一層重要となっている。このため、我が国は、船舶による汚染の防止のための

国際条約(※ MARPOL条約)の締約国として、海洋生態系に深刻な影響を与える油や有害物質の流出

防止に加え、船舶に起因する大気汚染の防止対策、また、衝突や船舶火災等の海難事故発生時等における対

応措置等の取組を関係機関と連携しながら着実に進めている。

また、平成25年1月1日より「京都議定書」の適用外である国際海運において、この分野から排出さ

れるCO2排出量を抑制するため、排他的経済水域を越えて航行する400トン以上の船舶に対し、承認

された二酸化炭素放出抑制航行手引書の備付けを義務づけている。

※ MARPOL条約:船舶による汚染の防止のための国際条約で、汚染物質毎に以下の規則が附属書

として規定されている。

附属書Ⅰ油、附属書Ⅱばら積み有害物質、附属書Ⅲ容器収納有害物質、附属書Ⅳ船内発生汚水(ふ

ん尿等)、附属書Ⅴ船内発生廃棄物、附属書Ⅵ船舶からの大気汚染

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(P10.Ⅰ.5.①環境対応車の普及促進を参照)

《施策概要》 (担当部課:交通環境部 環境課)

低公害車の普及促進を目的に、中部運輸局及び運輸支局が中心となり関係官庁・地方自治体・経済団体・

運輸関係団体を構成員として意見・情報交換等を実施するとともに、各県単位の地域部会を設置し、各地

方における低公害車の関連イベント開催に協議会として積極的に参画するなど、地域に密着した低公害車

の普及推進を図る。(平成14年10月発足)

《平成26年度の施策・目標》

引き続き、低公害車開発普及アクションプランの見直しと歩調をあわせ、協議会の開催に努める。

また、協議会の活動とは別に運輸局による取組として、低公害車セミナー等の実施、関連イベントへの

参画等により低公害車の普及促進に努める。

《施策概要》 (担当部課:自動車技術安全部 管理課、保安・環境課、技術課/自動車交通部 自動車監査官)

自動車NOX・PM法による規制を確実に実施する。

《平成26年度の施策・目標》

引き続き、整備事業者等に対する研修を実施するとともに、自動車NOX・PM法について更なる周知

を図る。

《施策概要》 (担当部課:自動車技術安全部 整備課、保安・環境課、技術課)

保安基準に適合しない車両を排除し、ディーゼル車の排出ガス抑制対策、自動車騒音対策を推進する。

《平成26年度の施策・目標》

① ディーゼル車からの排出ガス対策、不正軽油使用防止のため、「ディーゼルクリーン・キャンペーン」

に基づく取組みを年間を通じて行うこととし、特に6月・10月を強化月間として、「街頭におけるデ

ィーゼル黒煙検査及び地方自治体との連携をさらに強化した不正軽油検査」を実施し、保安基準不適合

車の排除に努める。

また、運輸支局の迷惑黒煙相談窓口(黒煙110番)に通報のあった自動車の使用者に対し、車両

の点検を促すハガキを送付し自主点検を促す。

② 中部低公害車普及促進協議会等

2.自動車交通集中地域における自動車排出ガス対策

① 自動車NOX・PM法に基づく対応

② 整備不良車及び不正改造車の排除

1.低公害車の普及促進等

① 環境対応車の普及促進(再掲)

◆ 中部運輸局の動き

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② 道路交通の安全確保、排出ガスによる大気汚染対策のため、「不正改造車を排除する運動」に基づく

取組みを年間を通じて行うこととし、特に6月を強化月間として、「排出ガス、騒音の増大を招くマフ

ラー切断・取外し及び基準不適合マフラーの装着」を重点排除項目として取り組み、保安基準不適合車

の排除に努める。

また、運輸支局の不正改造車相談窓口【不正改造車110番】に通報のあった自動車の使用者に対し、

保安基準に適合する状態へ戻すように促す。

③ 自動車本来の安全・環境性能を維持するためには、自動車ユーザーが責任を持って、適切に点検整備

を行うことが必要である。このため、「自動車点検整備推進運動」に基づく取組みを年間を通じて行う

こととし、特に9月・10月の2ヶ月間を強化月間として、「点検整備の必要性の啓発」を図る。

④ 自動車社会の秩序維持と安全確保、環境保全のために、目標台数を設定し、年間を通じて街頭検査を

実施する。あわせて構内検査、企業等対象検査等も行う。

(街頭検査目標台数15,600台)

(P14.Ⅰ.6.③船舶に対するオゾン層破壊物質対策を参照)

《施策概要》 (担当部課:海上安全環境部 船舶検査官、船舶安全環境課)

船舶からの排出ガスに対する規制により大気汚染の防止を図る。

《平成26年度の施策・目標》

船舶について海洋汚染防止条約及び海洋汚染等防止法に基づく、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化

物(SOx)及び揮発性物質等の大気汚染物質に関する規制並びに船舶発生油焼却等による大気汚染

防止のための設備に関する適正な検査・監督に取り組む。

特に、海洋汚染防止条約附属書Ⅵの改正(平成24年1月1日発効)に伴い、一般海域において船

上で使用される燃料油の硫黄分濃度について規制が強化されており、本件に該当する検査・監督の強

化に努め、船舶からの排出ガスによる大気汚染の低減を図る。

3.船舶からの大気汚染防止対策

① 船舶に対するオゾン層破壊物質対策(再掲)

② 船舶からの排出ガス対策

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地球表面積の約7割を占める海洋は、地球環境の変化と大きく関わるため、海洋汚染を防止し、海洋環境

への負荷を低減させることが一層重要となっている。このため、我が国は、船舶による汚染の防止のための

国際条約(※ MARPOL条約)の締約国として、海洋生態系に深刻な影響を与える油や有害物質の流出

防止に加え、船舶に起因する大気汚染の防止対策、また、衝突や船舶火災等の海難事故発生時等における対

応措置等の取組を関係機関と連携しながら着実に進めている。

近年の大規模油汚染の背景には、海上安全・海洋環境保全に関する条約等の基準を満たさない船舶(サブ

スタンダード船)の存在が大きな要因の一つであり、これを排除していくために、日本に寄港する外国船舶

に対して、確実にポートステートコントロール(PSC)を実施する。PSCでは、国内の港に入港する外

国船舶に対し立入検査を実施し、船舶の構造設備等の整備状況や、乗組員へのインタビューを通じて乗組員

が必要なオペレーションに精通していること等、国際条約に基づく基準適合性を確認し、重大な欠陥が発見

された場合には出航前の是正を命令するなどして、海洋汚染の未然防止に努める。

船舶の座礁事故等による油濁損害賠償や船体撤去等は、船舶所有者等の責任において対応するのが原則で

あるが、賠償資力を欠く船舶の座礁等により、被害者への損害賠償や船舶の撤去等が適切に行われていない

事態が発生したことから、国土交通省では、放置座礁船問題等に対応するため、平成17年3月1日からタ

ンカー以外の外航船舶(国際総トン数100トン以上)に対しても、船主責任保険(P&I保険)の加入を

義務付けている。また、船主責任保険の加入を強制することが困難な無害通航船(領海内を通航する船舶)

等、無保険船舶からの流失油の防除作業等をやむを得ず実施した地方自治体に対する支援措置を平成16年

度から講じている。

さらに、平成20年9月17日には、海洋環境保護の観点から、AFS条約(船底塗料に有機スズ化合

物を含む防汚塗料の使用を規制するための国際条約)が発効しており、本条約への基準適合性を確保する

ため、日本船に対する定期的検査時の確認に加え、外国船に対するPSC等、必要な措置を講じている。

※ MARPOL条約:船舶による汚染の防止のための国際条約で、汚染物質毎に以下の規則が附属書

として規定されている。

附属書Ⅰ油、附属書Ⅱばら積み有害物質、附属書Ⅲ容器収納有害物質、附属書Ⅳ船内発生汚水(ふ

ん尿等)、附属書Ⅴ船内発生廃棄物、附属書Ⅵ船舶からの大気汚染

Ⅲ.海洋汚染防止対策の推進

◇ 国の動き

【ポートステートコントロール(PSC)の様子】

【油水分離器】 【油水分離器の作動テスト】

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《施策概要》 (担当部課:海上安全環境部 船舶検査官、外国船舶監督官)

船舶からの海洋汚染の防止を図るため、海洋汚染防止設備について適切な監督指導を実施する。

《平成26年度の施策・目標》

平成25年度に引き続き、油及び有害液体物質に係る海洋汚染防止設備について、事故等により海

洋環境に重大な影響を及ぼす油タンカーや危険物運搬船等に重点的に立入検査・監督を行い、旅客船

にあっては夏季及び年末・年始の総点検の機会に、また、その他の一般貨物船等にあっては、年間を

通じて立入検査・監督を実施し、当該設備の保守・管理の強化に努める。

また、船舶からのふん尿・汚水及び生活ゴミ等の廃棄物についても、適宜、立入検査を実施して、

適正な排出及び処理の監督指導に努めるとともに、海洋環境に有害な有機スズ系塗料の使用を規制す

る海洋汚染対策に取り組む。

(危険物運搬船目標隻数 25隻)

(夏季及び年末年始総点検目標事業者数 62事業者)

(ポートステートコントロール目標隻数 580隻)

《施策概要》 (担当部課:海上安全環境部 海事保安・事故対策調整官、外国船舶監督官、船舶安全環境課)

放置座礁船を未然に防止し、船舶油濁賠償保障制度で被害者の保護を図るため、管内各港に入港する外

航船舶の船主責任保険の加入状況等を確認し、適切な監督指導を実施する。

《平成26年度の施策・目標》

船主責任保険未加入船舶の管内各港への入港を排除し、船舶に積載されていた油による海洋汚染を防

止するため、引き続き船舶油濁損害賠償保障法に基づく保障契約通報による確認業務の確実な遂行、船

舶への立入検査による保険加入の有無、保障契約証明書等の船内備置を確認する。是正が必要な船舶に

は、保障契約証明書等の船内備置命令や保障契約締結命令等の行政処分を行い、是正を指導する。

(保障契約証書確認等 国際航海船舶 480隻)

1.船舶からの海洋汚染防止対策

① 海洋汚染防止設備の整備点検

◆ 中部運輸局の動き

2.放置座礁船未然防止・船舶油濁損害事故の防止対策

① 船主責任保険未加入船舶の排除等

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○自動車リサイクル

平成17年1月に本格施行された「使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)」

に基づく新たなリサイクル制度により、自動車製造業者を中心とした関係者に適切な役割分担が義務付け

られた。同法に基づいて処理することが定められているシュレッダーダスト、エアバッグ、フロン類のう

ち、シュレッダーダスト及びエアバッグについては、現在、国産自動車製造業者主要5社のリサイクル率

が90%を超える(※)など、高い水準を維持している。

また、改正「道路運送車両法」に基づき、自動車の抹消登録の際には、リサイクル制度に従って使用済

自動車が解体されたことを確認した上で手続が行われている。さらに、使用済自動車に係る自動車重量税

の還付制度も併せて施行され、使用済自動車の適正処理の促進及び不法投棄の防止を図っている。

※平成25年度実績の公表データによる。

○FRP船リサイクル

1960年代後半以降急速に普及したFRP(繊維強化プラスチック)船は、高強度で非常に大きく、

全国に広く薄く分布していること、製品寿命が30年以上にも及ぶ製品特性から処理が困難であることに

加えこれまで適正な処理ルートが存在しなかったため、利用者による適正処理が進まず、不法投棄等の問

題が発生している。

このため、「FRP廃船高度リサイクルシステム構築プロジェクト」(国土交通省立ち上げ)の研究開

発等により確立したリサイクル技術を踏まえて、 (社) 日本舟艇工業会が主体となり平成17年11月か

ら廃FRP船を適切に処理し再資源化する「FRP船リサイクルシステム」が行われている。

《施策概要》 (担当部課:自動車技術安全部 管理課)

「自動車リサイクル法」について、周知活動等を推進する。

《平成26年度の施策・目標》

引き続き「自動車リサイクル制度について」運輸支局等窓口においてポスター・パンフレット等により

関係事業者・使用者等来庁者に対し幅広く周知徹底を図る。

《施策概要》 (担当部課:自動車技術安全部 整備課)

自動車整備事業者等を構成員とし、使用済み自動車及び廃部品等の適正処理・リサイクル部品の使用・

環境保全の向上を目的とする協議会の活動を支援する。

Ⅳ.循環型社会の形成に向けた対策

◇ 国の動き

1.自動車リサイクル対策

① 自動車リサイクル制度

◆ 中部運輸局の動き

② 環境にやさしい(グリーン)協議会

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《平成26年度の施策・目標》

温暖化防止対策におけるCO2の排出量の把握及び排出量の削減に対する取組を更に推進するとともに、

引き続き、「環境にやさしい(グリーン)協議会」へ参画し、表彰等を通じ協議会の活動を支援する。

《施策概要》 (担当部課:海事振興部 船舶産業課)

平成18年度から運用開始された「FRP船リサイクルシステム」について、周知活動等を推進する。

《平成26年度の施策・目標》

「FRP船リサイクルシステム」についてパンフレットにより関係者に対し、幅広く周知徹底を図る。

2.FRP船リサイクル対策

① FRP船リサイクル制度