ブレーザーから電波銀河ローブまで

ASCA の成果高橋忠幸

宇宙科学研究所

多波長観測で進んだ理解　 EGRET : 1991-2000 ASCA : 1993- SAX : 1996-ASCA の論文 42 編（多くが、日本人が主体、あるいは重要な貢献をして書いたもの）

非常に密接な国際協力博士論文　窪：ブレーザーの統一的描像　（多くのターゲットをまとめた論文 )

ApJ 504, 693 (1998 )　片岡： TeV ブレーザーの時間変動

の統一的描像

ASCA の論文 42 編（多くが、日本人が主体、あるいは重要な貢献をして書いたもの）

非常に密接な国際協力博士論文　窪：ブレーザーの統一的描像　（多くのターゲットをまとめた論文 )

ApJ 504, 693 (1998 )　片岡： TeV ブレーザーの時間変動

の統一的描像

EGRET による「発見」

• 強いガンマ線放射• 速い時間変動•ジェットからの　　　非熱的放射 宇宙の加速器

1. 強いガンマ線放射の謎2. GeV Blazar と TeV Blazar の違い

シンクロトロンピーク

コンプトンピーク

ASCA

GeV

TeV

Kubo et al. 1998 ApJ 504, 693

シンクロトロンピークの位置

シンクロトロンに対するコンプトンのルミノシティの比

ルミノシティの高いものほどシンクロトロンピークの周波数が低い

TeV Blazar • Mkn421

• Mkn501• PKS2155-304• 1ES2344+514

High Energy Peaked BL Lacs (HBLs)からの TeV Emission

QSO

LBLHBL

LSSCLsync

=u'syncu'B

u'sync=Lsync

4πR2cδ4 ; R<ctvarδ1+z

LSSCLsync

=u'syncu'B

u'sync=Lsync

4πR2cδ4 ; R<ctvarδ1+z

多波長同時観測： ASCA のスペクトルからExternal 光子を種にしたガンマ線分布の中のシンクロトロン自己コンプトン(SSC) の寄与を求める

• 暗い Blazar ほど、冷却が効かず、効率よく加速 • Blazar のスペクトルの違いは、最大加速

エネルギーが決める

窪 D 論から

Blazar の統一的描像

ERC

SSC

max が高い

TeV Blazars

SSC のみでガンマ線放射を説明できる

ASCA

see also Fossati et al. 1998, Ghisellini et al. 1998

X 線の光度曲線から知る電子の冷却のプロセス (1)(Mrk421 観測 --- Takahashi et al. 1996, ApJ, 470, L89)

GISSIS

Energy (keV)0.5 0.7 1.0 2.0 3.0

1000

2000

3000

4000

5000

• 磁場中で、高いエネルギーの電子ほど速く冷却する。　シンクロトロン冷却 ( 「ぎんが」の田代Ｄ論を証明）

フレア時にソフトな X 線の変動はハードなＸ線の変動よりも遅れる。

Tsync∝B−3/2E−1/21keV で 6000 秒 ( 電子の冷却時間）磁場 0.14 Gauss (=10)多波長スペクトルを SSC を仮定してフィットした値とコンシステント

減光

増光Index

Fluxソフトな光子の変動の遅れ (s)

X 線の光度曲線から知る電子の冷却のプロセス (2)(PKS2155--- Kataoka et al. 1999, ApJ, 470, L89)

硬Ｘ線のピークがソフトＸ線のピークに先行する ( 光度曲線から明らか）

Soft Lag

B~0.1 Gauss

TeV Blazar--- Ｘ線と TeV ガンマ線の強い相関

単純なシンクロトロンセルフコンプトンモデル(SSC Model) から

(Catanese et al. 1997, ApJ, 487, L143)

ASCA (0.5-7.5 keV)

Whipple (>250 GeV)

EGRET (>100 MeV)

Date (1994 May)

10 12 14 16 18

Mrk421

Macomb et al. 1995, ApJ, 449, L99Takahashi, Madejski & Kubo1999, Astroparticle Physics, 11, 177

ASCA による Mrk421キャンペーンが先駆けMrk501

ASCA による Mrk421 の 1週間連続観測 (1998) と全波長的共同観測 (ASCA が主導） • 毎日のように起こるフレア ( はじめ

ての発見）• フレアの形は、ほぼ 対称•ソフトラグとハードラグが混在•「加速」の時間スケールが光度曲線にあらわれている

Takahashi et al. 2000, ApJ, submitted

ハードラグの検出

TeV ブレーザーの時間変動を「解く」：新しいアプローチ⇒片岡Ｄ論

Mrk421

Mrk501

シンクロトロンルミノシティの動き

シン

クロ

トロ

ンピ

ーク

エネ

ルギ

ー

• シンクロトロンピークのルミノシティとピークエネルギーはきれいに相関する（はじめての結果）。• フレアは、

•入射電子の増加•入射電子の最高エネルギーの増加⇒高いエネルギー程大きな変動

X 線ライトカーブを支配するタイムスケール

観測者が見るライトカーブは手前のレイヤーから、段々奥のレイヤーの放射が足されていく。電子の加速、冷却時間が R/C よりも短いと、観測されるライトカーブは“なまされ”て対称な形になる

TeV

Hard-XGeV

Soft-X

フレアのライトカーブの時間発展の定式化

Light Crossing Time の効果

電子の加速時間 <<電子の冷却時間低いエネルギーの電子ほど、ゆっくり冷える（明確なエネルギー依存性）⇒ ソフト X 線の変動がハードＸ線に遅れる（ソフトラグ）

電子の加速時間〜電子の冷却時間　 高いエネルギーの電子ほど加速に時間がかかる⇒ソフトＸ線の変動がハードＸ線に先行する（ハードラグ）

(Kirk et al. 1998, 片岡Ｄ論 2000)

Kataoka et al. 2000, ApJ, 528, 243

Mrk421 の 1998 長期キャンペーンは加速時間と冷却時間が拮抗している。

Structure Function による時間変動の解析(Kataoka et al. 2000 ApJ submitted)

PSD Index

• スティープなべき（速い変動は t_crs でなまされてしまう） • 4つの TeV ブレーザーに共通する特徴的なタイムスケール（１日） • ジェット中のブロッブが追突してフレア

が起こるとする（ Internal Shock Model)とエミッション領域に制限（ ~1017cm)

時間変動でブレーザーの物理状態を探る-BL Lac の例 (Tanihata et al. 2000, ApJ, submitted) -

ソフトＸ線のみに非常に速い変動⇒

　 max の電子のシンクロトロン放射(SAX では ON231 から , Tagliaferri et al.)

During High Gamma-ray State

e ~104-105

e ~100

TeV Blazar の長期観測 (AO7, AO8)

.

0 200 400 600 800time (ks)

2.0

1.5

1.0

0.5

0.6 - 2keV

2 - 10keV

.

0 200 400 600 800time (ks)

1.6

1.4

1.2

1.0

0.8

0.6

0.6 - 2keV

2 - 10keV

.

0 200 400 600time (ks)

1.5

1.0

0.5

0.6 - 2keV

2 - 10keV

Mrk421 (‘98) Mrk501

PKS2155-304•　日々のフレアの重ね合わせ•　異なる変動パターン

• ブレーザーの連続、長期ライトカーブは、最近のわれわれの観測が初めて。•これまでになかったアプローチの解析ができる。

•加速や冷却の時間発展の物理• マイクロ QSOとの比較や、 Radio 銀河、セイファートの時間変動とのつながりが興味深い

Fornax A (NGC1316) 　　　

電電電電電電電電電電電電電電電電電電電電電電電電電電電電

Kaneda et al. 1995 ApJ (ASCA) 　Feigelson et al. 1995 ApJ (ROSAT) 　

X 線：カラー (ASCA)電波 (1.4ＧＨｚ ): コントア（ Ekers 　 et 　 al．　 1983 ）

電電電電

電電電電電電電電電電電電電電電電電

電電電電電電電電電電電電電電電電電

電電電電電電電電電電電電電電電電電電電電電電電電電電電電電電電電電電電電電電電電電電

電電電電電電電電電電電電電電電電

Cen B, NGC 612 (ASCA)3C216 (SAX) ...

電電電電電電電電電電電電電

電電電電電電電電電

電電 電電

Fsync ∝ ue uB V

電電電電電電電電

電電 Soft 電電

FIC ∝ ue usoft V

Fsync uB FIC usoft

Fsync uB FIC usoft

∝

usoft 電電電電 uCMB or 　 uANG 電

uB , ue が求まるuB , ue が求まる

電電電電電電電電電電電電電電電電電電電電

電電電電電電電電電電電電電電電電電電電電(Harris & Grindlay 1979 MNRAS)

電電電電電電電電電電電電電

電電電電電電電電電電電電電電電電電電電電

電電電電電電電電電電電電電電電電電電電電

電電電電電電電電電電電

電電電電

AO9 観測提案 もっとも身近で明るい電波銀河CenA の　　 • Middle Lobe からの逆コンプトン　　 • Middle から Outerへの磁場密度と電子密度

の移りかわりをおさえる　　 • Outer Lobe は観測ずみ　　 コアの時間変動•　（セイファート⇒電波銀河⇒ブレーザーへのつながり）

(Scale bar = 1 arc minute)

予想イメージ( 一部実測）