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ウェブサービス構築における
構造整理、概念整理、情報整理 -YAHOO!知恵袋の経験から
岡本真 アカデミック・リソース・ガイド株式会社
代表取締役/プロデューサー
学問を生かす社会へ
World IA Day 2013 Tokyo
日時:2013年2月9日(金) 会場:東京大学 本郷キャンパス
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本日の題材としてのYAHOO!知恵袋
学問を生かす社会へ
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自己紹介
-岡本真とアカデミック・リソース・ガイド株式会社
学問を生かす社会へ
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自己紹介(現在)
1. アカデミック・リソース・ガイド株式会社(2009年~) 代表取締役/プロデューサー(2009年~)
ACADEMIC RESOURCE GUIDE編集長(1998年~)
2. オーマ株式会社(2008年~) 代表取締役(2011年~)
3. saveMLAKプロジェクト(2011年~) プロジェクトリーダー(2011年~)
4. iSPP 情報支援プロボノ・プラットフォーム(2011年~) 共同代表理事(2011年~)
5. ニコニコ学会β実行委員会(2011年~) 事務局長(2011年~)
学問を生かす社会へ
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第4回ニコニコ学会βシンポジウム、
4/27(土)、4/28(日)開催!
<参考>SAVEMLAK
学問を生かす社会へ
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MediaWikiを活用した
被災・支援情報の集約と共有
•約2.2万件の所在情報
•約900件の被災情報
•約300名の編集者
•約10万回の編集
自己紹介(過去)
1973年生まれ
39歳
国際基督教大学(ICU)卒業(1997年) 日本政治思想史を専攻
教育雑誌、学術書等の編集者等を経て、
1999年~2009年、ヤフー株式会社に在籍
Yahoo!カテゴリ、Yahoo!検索、Yahoo!知恵袋、Yahoo!検索ランキング、Yahoo!ラボ等の企画・設計・運用、また産学連携のコーディネートに従事
前半5年間:日夜、ウェブサイトの登録作業 サーファー職:20万サイトを見て、5万サイトを登録
後半5年間:企画・設計・運用の日々 プロデューサー職:投稿される質問・回答に学び続ける日々
学問を生かす社会へ
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[参考] アカデミック・リソース・ガイド株式会社
創業: 2009年9月30日
前史: 1998年7月11日創刊のメールマガジン“ACADEMIC
RESOURCE GUIDE (ARG)”
ビジョン: 「学問を生かす社会へ」
事業: 1. コミュニティー創造、
2. コラボレーション促進、
3. エンパワーメント支援、
4. ノウハウ提供
体制: 役員1名+パートナー4名+インターン1名
学問を生かす社会へ
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本日の目的と構成
-IAコミュニティーへの貢献を意識しつつ
学問を生かす社会へ
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本日の目的と限界、構成と手法
学問を生かす社会へ
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目的と限界:
比較的、よく知られ、よく使われているウェブサービス、特にユーザー参加要素の強いサービスにおけるIAのあり方を伝える
あくまで2003年~2009年までの知見に基づく
構成と手法:
Yahoo!知恵袋を題材に、
1. 概念整理
2. 情報整理
という2つの観点から、ユーザー参加型サービス初期におけるIA、あるいはそれに類するデザインの思考と実際を具体的に語る
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ヤフー株式会社の
公式見解ではありません
YAHOO!知恵袋・前史
-10年前のウェブ事情
学問を生かす社会へ
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YAHOO!知恵袋に至る過程
学問を生かす社会へ
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アメリカにおけるGoogleの伸張
Yahoo!, Inc.の苦境
日本への伝播可能性
対抗策としてのYahoo! JAPANの戦略
1. 検索エンジンの独自開発
Yahoo Search Technology (YST)
2. 検索対象の独自拡大
Product Search
Blog Search
Knowledge Search
Local Search
Bookmark
etc…
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参考:2003年の出来事
第65代横綱貴乃花が引退
イラク戦争開始
SARS大流行
はやぶさ打ち上げ
個人情報保護法成立
第2次小泉内閣
YAHOO!知恵袋の根本思想(当時)
学問を生かす社会へ
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「これはQ&Aサービスではない」
「検索対象の独自拡大」のためのツールとしてのKnowledge Search(知識検索)
検索対象となるCGMコンテンツを自生・自植させ、YSTのIndexを増強する「仕掛け」
ゆえに、検索結果ノーマッチ等、ユーザー満足度の低い導線をインターフェースと設定
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No Match
Q&A
Indexing
SRP
検索エンジン(Index)との
シームレス連携を
意識したサービス設計
YAHOO!知恵袋の設計
-構造整理
学問を生かす社会へ
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構造整理-「モノ」と「コト」と
学問を生かす社会へ
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構造の把握
調査対象としての先行サービス
Kin Naver(韓国)
研究対象としての先行サービス
Yahoo!オークション(日本)
概念の構造的理解へ
導き出された結論:「モノ」と「コト」と
「モノ」を出品し、入札するサービスとしてのヤフオク
「コト」を出品し、入札するサービスとしてのKin Naver
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「モノ」=「コト」 「出品」=「質問」 「入札」=「回答」 という理解
<参考>
オークションと知識検索の構造比較
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出品×1
入札×n
落札×1
質問×1
回答×n
知識×1
Yahoo!オークション Kin Naver
学問を生かす社会へ
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YAHOO!知恵袋の設計
-概念整理
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概念整理-昇華から時系へ
学問を生かす社会へ
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知識検索における基本概念
1. 質問(×1)と回答(×n)
2. 1. の状態遷移(問題解決)によって登場する「知識」
難解にして、高等な概念としての「知識」
用例:
「戦後知識人」(ポストモダン的批判文脈)
「知識に預かる者」(盧舎那仏造顕の詔)
「質問」から「知識」への転換に潜むもの
質的に転化するという概念昇華考え方
難解・高等という印象からの脱却
時系列的変化への変更(「未解決」から「解決済」へ)
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Linerな方向
への転換
<参考>
知識検索と知恵袋の概念比較
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質問
回答
知識
未解決の質問
回答
解決済の質問
Kin Naver Yahoo!知恵袋
学問を生かす社会へ
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YAHOO!知恵袋の設計
-情報整理の試み
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情報整理-名詞から動詞へ
学問を生かす社会へ
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10年前の常識としての名詞依存
「検索」「投稿」「購入」「予約」「出品」等……
ユーザー参加型サービスとしての熟慮
100%の安心と確信を持ってのボタン押下の重要性
「これを押すと、何が起きるのか」ということの明示
CGM普及の最初期という時代状況
3つのワーディングルール
1. 名詞の動詞化:
「質問する」「回答する」
2. 目的語の明確化:
「質問に回答する」「回答をベストアンサーに選ぶ」
3. 指示代名詞の使用:
「この質問に回答する」「この回答をベストアンサーに選ぶ」
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<参考>
従来ルールと知恵袋のワーディング比較
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回答
回答する
質問に回答する
この質問に回答する
従前のYahoo! JAPAN Yahoo!知恵袋
学問を生かす社会へ
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YAHOO!知恵袋における
さまざまな「設計」 -その他、時間があれば
学問を生かす社会へ
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<参考>
ランダムなメモ
学問を生かす社会へ
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デバイス間展開のシナリオ設計 PC展開とモバイル展開
メール投稿対応
ポイントによるインセンティブ設計 質問の大量創出
ゲーム性の演出
「信頼の構造」研究
「公開するID」というアイデンティティ設計 「匿名」性の考察
見直しを前提としたサービス/システム設計 ユーザーボイス、ユーザービヘイビア-の収集
Yahoo!知恵袋カテゴリの設置
オープンリサーチの実施
社会心理学共同研究の実施
Yahoo!知恵袋データの提供
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学問を生かす社会へ
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講談社現代新書
777円
Yahoo!知恵袋等の経験に
基づく書き下ろし
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日時:2013年2月9日(金) 会場:東京大学 本郷キャンパス
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