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INDEX あいさつ 理念・目的 研究実施体制 教員紹介 Topics 学テニュアトラックプログラム・ スタートアップシンポジウムについて Newsletter Vol.1 September 2011 Advanced Scientific Research Leaders Development Unit, Gunma University 先端科学研究 指導者育成 ユニット PPPP

ª 学 先端科学研究 指導者育成 ユニット Newsletter - Gunma ......群 ª学の「先端科学研究指導者育成ユニット(先端医 学・ Ç命科学研究チーム及び先端

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  • INDEX          ●学⻑⾧長あいさつ            ●理念・目的           ●概  要          ●研究実施体制          ●教員紹介          ●Topics            群⾺馬⼤大学テニュアトラックプログラム・            スタートアップシンポジウムについて

    NewsletterVol.1

    September 2011

    Advanced Scientific Research LeadersDevelopment Unit, Gunma University

    群⾺馬⼤大学 先端科学研究 指導者育成 ユニット

    P1

    P2 P3–6 P7

  •   群⾺馬⼤大学の「先端科学研究指導者育成ユニット(先端医学・⽣生命科学研究チーム及び先端⼯工学研究チーム)」におけるテニュアトラック制は,任期付雇⽤用による若⼿手研究者が⾃自⽴立立した研究環境で研究者・教育者として経験を積み,審査によって専任教員(テニュアポスト)となるキャリアパスを提供する制度です。任期中⼜又は任期終了までに,優れた研究業績を上げ,適格と認められたYA教員は,本学の専任の教員として採⽤用されます。 テニュアトラックポスト(YA教員)には、 ●スタートアップ資⾦金金(着任年度)   YA准教授・講師  500万円、YA助教  300万円を配分 ●研究費(毎年度)   YA准教授・講師  600万円、YA助教  300万円を配分    ●研究スペース(研究室・実験室を含む)   YA准教授・講師  約60㎡、YA助教  約40㎡を配分   ただし、研究費及びスペースの配分は、⽂文部科学省か らの予算措置及び研究教育業績評価等によって変動す る可能性があります

    ●研究⽀支援者   YA准教授・講師に1名配置 ●研究⽀支援   メンター(ベテラン教員)、アドバイザー(関連領域の   専⾨門家)による⽀支援 ●研究⽀支援設備   ⼤大学院教育⽀支援センター及び機器分析センター等の共通   機器が利⽤用可能

                                天然資源の乏しい⽇日本が21                           世紀を⽣生き抜くには,科学・                           技術発展の先頭にたち,知の                           時代を切りひらいていく必要                           があります。このような先端                           的な研究を推進するには,柔                           軟な発想を持った若い⼒力力が⼗十                           分にその能⼒力力を発揮できる環                           境の整備が不可⽋欠です。                            群⾺馬⼤大学では、平成22年度                           から科学技術振興調整費の補                           助を受け,新進気鋭の若⼿手研究者のためのテニュアトラック制を導⼊入しました。医学・⽣生命科学分野と⼯工学分野で⼗十分なサポート体制を構築し,若⼿手研究者が⼗十分にその⼒力力をふるう場を提供します。テニュアを取得したのちは本学の中核的な研究者としてさらなる活躍が期待されます。この機会を活かして世界中から群⾺馬⼤大学で⼤大いなる課題にチャレンジしていただければと考えます。   

      群⾺馬⼤大学では,若⼿手研究者が⾃自⽴立立して研究できる環境を構築することを⽬目的に「若⼿手先端科学研究者の研究環境改⾰革」プログラムを実施します。   このプログラムでは,次世代リーダー養成システムのモデルケースとして,学⻑⾧長・副学⻑⾧長のリーダーシップの下,既存の組織・研究体制の枠を超えた「先端科学研究指導者育成ユニット」を創設し,最先端の科学・技術研究を⾃自⽴立立的に遂⾏行行できる若⼿手研究指導者を育成する体制を確⽴立立します。   このユニットには,テニュアトラック(YA「Young Ambitious」教員,研究分野:先端医学・⽣生命科学研究チーム,先端⼯工学研究チーム)を導⼊入し,若⼿手研究者を国際公募・選定し,⼗十分な研究費と研究スペースを⽀支援することにより,その⾃自由な発想を最⼤大限に活かすことで,若⼿手先端科学研究者の研究環境改⾰革を推進します。   なお,研究の遂⾏行行に当たっては,メンター・アドバイザー制を整備し,若⼿手研究者の⾃自主性・独⽴立立性を尊重しつつ,研究を多⾯面的に⽀支援します。   また,研究⼈人材養成システム検討委員会を設⽴立立し,若⼿手研究者を登⽤用し業績に応じてステップアップさせるテニュアトラック制の試みを⼤大学全体の⼈人事制度改⾰革にフィードバックし,若⼿手研究者の研究活動の活性化,⼈人材の流動性の活性化を図るための体制を整えます。

    学⻑⾧長あいさつ

    概  要

    統括責任者:学教授・准教授・講師

    ユニット評価委員会 テニュア本審査テニュア予備審査

    中間評価

    国際公募

    YA准教授・講師YA助教

    セーフティネット(任期付、再任不可)

    ●進路アドバイス●リクルート 援●研究実績・レベル

    ●研究費獲得実績●研究・教育指導●チームマネジメント能

    ●研究の進 状況・チームの運営状況●研究費・研究スペースに反映

    ● 主的発想による研究テーマの設定●研究費、研究スペースの 援●研究 援者の配置(YA准教授・講師)●メンター・アドバイザー制による多 的 援●学 教育への関与の機会

    ● 性研究者・外国 研究者を含む多様かつ優れた若 研究者

    合格不合格

    理念・⽬目的

    1

    Newsletter vol.1 Advanced Scientific Research Leaders Development Unit, Gunma University

  • ①先端科学研究指導者育成ユニットの創設    最先端の科学・技術研究を遂⾏行行できる若⼿手研究指導者を育成するために、既存の組織・研究体制の枠を超えた先端科学研究指導者育成ユニットを創設し、ユニット内にユニット運営委員会を設置します。  このユニットにテニュアトラックポスト(YA教員)を導⼊入し、若⼿手研究者を国際公募により採⽤用し、これらの若⼿手研究者が⾃自⽴立立的に研究活動を⾏行行える環境整備を⾏行行います。YA教員には、⼗十分な研究費と研究スペース等を⽀支援し、さらに、YA教員の研究関連分野に応じたチームを設置し、チームにはメンター(ベテラン教員)、アドバイザー(関連領域の教員・専⾨門家)からなるメンター・アドバイザー制を整備し、YA教員を多⾯面的に⽀支援します。 ②ユニット運営委員会の設置    研究担当理事(副学⻑⾧長)を委員⻑⾧長とする「ユニット運営委員会」を設置し、ユニットを統括すると共に、ユニットにおける研究成果を世界に向けて発信します(例:国際シンポジウムの開催等)。また、ユニットにおける研究⼈人材養成システム改⾰革に関する情報をユニット評価委員会に伝え、ユニット評価委員会、研究⼈人材養成システム検討委員会からのフィードバックをユニット統括に活かします。 ③ユニット評価委員会の設置     内部評価委員に外部評価委員を交え、YA教員の選考及びテニュアトラック制への助⾔言を⾏行行います。外部評価委員には当該分野で先端的な業績を上げている研究者が就任します。

    ④研究⼈人材養成システム検討委員会の設置      研究⼈人材養成システム検討委員会(研究担当理事、学外の委員を含む)を設⽴立立し、この試みを⼤大学全体の⼈人事制度改⾰革にフィードバックし、研究活動の活性化、⼈人材の流動性の活性化を図るための体制を整備します。 ⑤若⼿手先端科学研究者による研究活動の実施    YA教員として採⽤用された若⼿手先端科学研究者は、先端科学研究指導者育成ユニット内に設置された先端医学・⽣生命科学研究チーム(昭和キャンパス)及び先端⼯工学研究チーム(桐⽣生キャンパス)において、それぞれの先端科学研究を実施します。

       群⾺馬⼤大学先端科学研究指導者育成ユニットのYA教員の略歴と簡単な研究内容について掲載いたします。

    次号から各教員の詳しい研究内容について掲載いたしますので、ご期待ください。

    研究実施体制

    教員紹介

    ⽒氏  名 チーム名 研究分野 ページ

    髙橋  昭久

    先端医学・⽣生命科学研究チーム (Advanced Medicine / Bioscience Research Team)

    放射線⽣生物学4

    ⿃鳥飼  幸太 医療情報学

    岩脇  隆夫 医学・⽣生命科学5

    定⽅方  哲史 医学・⽣生命科学

    ⼭山本  正道 医学・⽣生命科学6

    渡部  美穂 医学・⽣生命科学

         髙橋    剛 先端⼯工学研究チーム(Advanced Engineering Research Team)

    ⽣生物有機化学7

    Md. Zakir Hossain Silicon Related Chemistry

    2

    統括責任者:学

    研究 材養成システム検討委員会

    学全体の 事制度改

    ユニット評価委員会外部評価委員内部評価委員

    改 の 援・助

    先端科学研究指導者育成ユニット(ユニット運営委員会)YA准教授・講師、YA助教

    YA教員の選考・評価

    学院医学系研究科

    学院 学研究科

    体調節研究所 医学部附属病院 重粒 線医学研究センター

    テニュアトラック職 にポストを確保

    メンター、アドバイザーを配置

    テニュアトラック制の評価・助

    Newsletter vol.1 Advanced Scientific Research Leaders Development Unit, Gunma University

  • ●略  歴 1979年⽣生まれ。 九州⼤大学⼯工学部応⽤用原⼦子核⼯工学科卒業九州⼤大学⼤大学院⼯工学府エネルギー量⼦子⼯工学専攻修⼠士課程(⼯工学)修了⼤大学共同利⽤用法⼈人⾼高エネルギー加速器研究機構加速器研究施設・特別共同利⽤用研究員九州⼤大学⼤大学院⼯工学府エネルギー量⼦子⼯工学専攻博⼠士課程(⼯工学)修了放射線医学総合研究所重粒⼦子線医学研究センター重粒⼦子線がん治療普及推進室・博⼠士研究員 群⾺馬⼤大学重粒⼦子線医学研究センター・助教

    群⾺馬⼤大学先端科学研究指導者育成ユニット・助教

    ●研究内容    重粒⼦子線治療を含む「⾼高度化医療」「チーム医療」の現場では、「情報の連携」が求められ、必要とされる情報量が⽇日々増加し続けている。このため重要な情報が埋もれてしまうリスク、複雑化による医療ミス発⽣生のリスクなど多⽅方⾯面に課題が⽣生じている。⼀一⽅方で、⾼高度医療を提供する提供施設において省⼒力力化・効率化を⾼高度化と両⽴立立させることは、特に重粒⼦子線治療施設・総合病院のような⼤大規模病院で喫緊の課題である。   本テニュア・トラックにおいてはこれまでの粒⼦子線加速器研究等で得た⾼高度な⾃自動化技術、重粒⼦子線がん治療における体系化された情報処理技術を応⽤用し、医学物理学の観点から医療情報学に対し「全体最適化」「標準化」へのアプローチを医療情報システムを通じて開発・提案することで、「⼈人を⽀支援する標準化システムの研究」を推進する。合わせて、⻑⾧長期間に複合的な情報を必要とするがん医療を中⼼心とし、⾼高精度/普及型重粒⼦子線治療のキー技術となる照射システムの開発と放射線/重粒⼦子線がん治療の⾼高度化を両⽴立立した研究を推進する。

    ●略  歴1965年⽣生まれ。 東京学芸⼤大学教育学部中等教育教員養成課程理科専攻卒業東京学芸⼤大学⼤大学院教育学研究科理科教育専攻修⼠士課程(⽣生物)修了   奈良県⽴立立医科⼤大学腫瘍病理学教室・専修⽣生⼤大塚製薬株式会社⼤大津研究所・研究員奈良県⽴立立医科⼤大学⽣生物学教室・助⼿手奈良県⽴立立医科⼤大学⽣生物学教室・講師群⾺馬⼤大学先端科学研究指導者育成ユニット・准教授

    ●研究内容   ⽇日本⼈人の死因1位のがんに対する治療効果は、がん細胞の遺伝的背景の違いによって異なることが容易に予想されます。悪性腫瘍の約半数に異常が知られるがん抑制遺伝⼦子p53の機能を失ったがん細胞は、X線、抗がん剤、温熱によって、p53依存的なアポトーシスを誘導することができず、抵抗性になることを培養細胞のみならず、移植腫瘍系で明らかにしてきました。すなわち、がん細胞のp53の遺伝⼦子型を調べることが、がん治療効果の先⾏行行指標になることを提唱してきました。次の段階として、p53の機能を失ったがん細胞は、重粒⼦子線によって、p53⾮非依存的アポトーシスを⾼高頻度に誘導し、⾼高感受性になることを明らかにしてきました。重粒⼦子線はがん治療において、物理的に優れた線量分布の特性のみならず、p53遺伝⼦子型と無関係に⽣生物的にも殺細胞効果に優れていることを提唱してきました。これまでの成果をもとに、さらに重粒⼦子線による⽣生物応答を調べることで、がん治療効果の向上に貢献できるように基礎研究をすすめております。

    ●研究補佐員   濱  ⼩小苗                  ⼋八⾼高  知⼦子

    教員紹介

    先端医学・⽣生命科学研究チーム

    放射線⽣生物学分野

    准教授

    髙橋  昭久Akihisa Takahashi

    先端医学・⽣生命科学研究チーム

    医療情報学分野

    助教

    ⿃鳥飼  幸太Kota Torikai

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    Newsletter vol.1 Advanced Scientific Research Leaders Development Unit, Gunma University

  • ●略  歴1974年⽣生まれ。東北⼤大学理学部⽣生物学科卒業⼤大阪⼤大学⼤大学院医学系研究科医科学修⼠士課程修了東京⼤大学⼤大学院医学系研究科博⼠士課程脳神経医学専攻修了理化学研究所BSI分⼦子神経形成研究チーム・基礎科学特別研究員群⾺馬⼤大学先端科学研究指導者育成ユニット・助教

    ●研究内容   CAPS1は有芯⼩小胞特異的に細胞質側から会合することが知られている殆ど唯⼀一の分⼦子であり、その放出を制御している可能性が⽰示唆されているが、詳細については不明である。私はCAPS1のパラログであるCAPS2を新規遺伝⼦子としてクローニングし、CAPS2が神経ネットワーク形成に重要な分⼦子であるBDNFの分泌に関与すること、 CAPS2 KOマウスが⾃自閉症様形質を⽰示すこと、⾃自閉症患者特異的にexon 3がスキップしたCAPS2の発現が⾒見見られることなどを報告してきた。  私は最近、⾃自閉症で⾒見見られたCAPS2 exon 3 skipを起こすマウスを作製した。よりヒト⾃自閉症に近いモデルであるこのマウスを解析することで、発症メカニズムの解明につながると考えられる。  また、CAPS1 nullマウスは有芯⼩小胞分泌の⽋欠損により⽣生後すぐに死亡するため、私はCAPS1 floxマウスを作製した。これを各種Creマウスと掛けあわせ、脳の様々な部位特異的に活動依存的な有芯⼩小胞分泌のブロックを⾏行行い、有芯⼩小胞の分泌が脳神経回路の形成・機能に及ぼす影響を解析する。

    ●研究⽀支援者    岡  めぐみ

    ●略  歴1969年⽣生まれ。 奈良教育⼤大学教育学部特別理科⽣生物課程卒業NAISTバイオサイエンス研究科博⼠士前期課程修了NAISTバイオサイエンス研究科博⼠士後期課程修了理化学研究所 BSI・基礎科学特別研究員JST「情報と細胞機能」領域・さきがけ研究員(専任)理化学研究所・独⽴立立主幹研究員JST「代謝と機能制御」領域・さきがけ研究員(専任)群⾺馬⼤大学先端科学研究指導者育成ユニット・講師

    ●研究内容   私は今まで⼩小胞体ストレスを中⼼心に研究を⾏行行ってきました。これは⽂文字通り細胞内の⼩小胞体で⽣生じるストレスで、主に未成熟や不良品のタンパク質が⼩小胞体で増えることがその原因です。ストレスと⾔言うと多くの⼈人は精神的なものを想像しますが、⼩小胞体ストレスは細胞単位で感じとられるストレスで、古い研究は酵⺟母や培養細胞レベルのものが殆どです。しかし、私の⼩小胞体ストレス研究の特徴は分⼦子や細胞レベルだけでなく、動物個体も対象にしていることだと思います。特にマウスでの⼩小胞体ストレスイメージングは私の独⽴立立研究の⼟土台となっています。この10年間に⼩小胞体ストレスは様々な疾患に関与することが分かり、最近では私の研究も⼩小胞体ストレス応答分⼦子破壊マウスを⽤用いて⾎血糖値調節における⼩小胞体ストレス応答機構の役割に迫るものに拡張しつつあります。また細胞単位で感じとられる他のストレス(酸化ストレスや低酸素ストレスなど)への興味から、それらストレスの⽣生体イメージングにも取り組み始めました。将来的には精神的ストレスや疲労なども対象に分⼦子・細胞・個体レベルで研究を展開できたら嬉しいなぁと夢⾒見見ています。

    ●⽇日本学術振興会特別研究員    及川  ⼤大輔 ●研究員    ⾚赤井  良⼦子

    教員紹介

    先端医学・⽣生命科学研究チーム

    講師

    岩脇  隆夫Takao Iwawaki

    医学・⽣生命科学分野

    先端医学・⽣生命科学研究チーム

    医学・⽣生命科学分野

    助教

    定⽅方  哲史Tetsushi Sadakata

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    Newsletter vol.1 Advanced Scientific Research Leaders Development Unit, Gunma University

  • ●略  歴1976年⽣生まれ。 ⼤大阪⼤大学⼯工学部応⽤用⾃自然科学科応⽤用⽣生物⼯工学コース卒業⼤大阪⼤大学⼤大学院医学系研究科医科学修⼠士修了⼤大阪⼤大学⼤大学院医学系研究科⽣生体防御医学専攻修了(早期) ⽇日本学術振興会・特別研究員(D.C.1) ⽇日本学術振興会・特別研究員(P.D.) Samuel Lunenfeld Research Institute, Toronto, CANADA (Dr. Janet Rossant Lab.) Visiting Scientist ⼤大阪⼤大学 ⼤大学院⽣生命機能研究科 濱⽥田博司研究室・助教武⽥田薬品⼯工業株式会社 医薬研究本部 創薬研究所・研究員

    群⾺馬⼤大学先端科学研究指導者育成ユニット・助教

    ●研究内容  動物の形態は3つの体軸を基盤に形成される。この中で頭尾軸は最初に決定される体軸で形態形成の根幹に位置する。マウスにおける頭尾軸は受精後5⽇日⽬目に臓側内胚葉細胞(VE)から特定の遺伝⼦子群を発現する細胞群(DVE)が出現し、そのDVE内でNodal阻害因⼦子であるLefty1とCerlが⾮非対称に発現することでDVEの移動⽅方向(将来の頭側)が決定される。更に、Nodalシグナルの⾮非対称性が引き起こす細胞の⾮非対称分裂及びDVEの能動的な動きでDVEは将来の頭側へ移動し、その逆側に原条が形成される事により形態学的に頭尾軸が形成される事をこれまで明らかにしてきた。この中で特に①特定領域でのDVEの出現と②組織内でのDVE移動の制御機構は未だに不明な点が多く存在する。このためこの現象の詳細を明らかにすることにより⽣生体内で実際に起こっている同様の現象の制御機構解明にも応⽤用していきたい。

    ●略  歴 1973年⽣生まれ。 早稲⽥田⼤大学⼈人間科学部⼈人間基礎科学科卒業早稲⽥田⼤大学⼤大学院⼈人間科学研究科⽣生命科学専攻修了⽇日本医科⼤大学⼤大学院医学研究科システム⽣生理学分野修了(博⼠士(医学) )⽇日⽶米科学技術協⼒力力事業「脳研究」分野 共同研究者派遣(National Institute of Neurological Disorders and Stroke,National Institutes of Health)⾃自然科学研究機構⽣生理学研究所 発達⽣生理学研究系⽣生体恒常機能発達機構研究部⾨門・⾮非常勤研究員 同部⾨門・特任助教  

    群⾺馬⼤大学先端科学研究指導者育成ユニット・助教

    ●研究内容    成熟動物の脳内において主要な抑制性伝達物質であるGABAが発達期や傷害時には興奮性伝達物質として働くことが近年注⽬目されている。これまで、GABA応答の興奮/抑制を決める主要な分⼦子であるK+-Cl- 共役担体(KCC2)の機能制御におけるチロシンリン酸化の役割について検討を⾏行行い、リン酸化によりKCC2 はリピッドラフトにとどまりやすくなり、クラスターを形成し、効率的にCl-を排出させていること、障害時には急速なKCC2のチロシンリン酸化の減少が起こり、KCC2の機能が低下し、GABAの興奮性作⽤用が再現することを明らかにしてきた。本プログラムでは、発達期や傷害時の神経機能におけるGABA興奮性作⽤用の役割について個体レベルで明らかにしていく。これに加えて、成熟脳においても特異的にGABA興奮性が維持されており、⽣生殖内分泌調節において重要な働きを持つ⽣生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)ニューロンに注⽬目し、排卵を引き起こすGnRH分泌の制御機構におけるGABA興奮性作⽤用の役割について検討を⾏行行う。

    先端医学・⽣生命科学研究チーム

    医学・⽣生命科学分野

    助教

    渡部  美穂Miho Watanabe

    先端医学・⽣生命科学研究チーム

    医学・⽣生命科学分野

    助教

    ⼭山本  正道Masamichi Yamamoto

    教員紹介

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    Newsletter vol.1 Advanced Scientific Research Leaders Development Unit, Gunma University

  • ●略  歴1969年⽣生まれ。Bachelor of Science from Dhaka University, BangladeshMaster of Science from Dhaka University Master of Science from Kyoto UniversityDoctor of Science from Kyoto UniversityLecturer in chemistry in Shahjalal University of Science and Technology, BangladeshJSPS postdoctoral fellow in University of Tokyo

    Contract researcher in RIKENResearch fellow in Northwestern University, USAAssistant Professor, Advanced Scientific Research Leaders Development Unit, Gunma University

    ●研究内容  Fundamental understanding of molecular interaction with material surfaces leading to the fabrication of nano-pattern on the surface in ultrahigh vacuum (UHV). Selected contr ibut ions are organic nanostructures on hydrogen terminated silicon surface, site selective reaction and C-defect of bare silicon surface, and nanopattern of organically modified epitaxial graphene.

    ●略  歴1972年⽣生まれ。 東京⼯工業⼤大学⽣生命理⼯工学部⽣生物⼯工学科卒業東京⼯工業⼤大学⼤大学院⽣生命理⼯工学研究科バイオテクノロジー専攻修⼠士修了東京⼯工業⼤大学⼤大学院⽣生命理⼯工学研究科バイオテクノロジー専攻博⼠士修了博⼠士(⼯工学)取得⽇日本学術振興会・特別研究員東京⼯工業⼤大学⼤大学院⽣生命理⼯工学研究科・助⼿手スイス連邦⼯工科⼤大学チューリッヒ校・研究員東京⼯工業⼤大学⼤大学院⽣生命理⼯工学研究科・助教

    群⾺馬⼤大学先端科学研究指導者育成ユニット・准教授

    ●研究内容   タンパク質の⽴立立体構造が崩れるミスフォールディングは、種々の神経変性疾患の発症と密接に関連しています。アルツハイマー病は最も代表的な⽼老老⼈人性認知症であり、その発症にはアミロイドβペプチド(Aβ)の凝集体・アミロイド形成が関与していると考えられています。これまでAβの凝集体形成・ミスフォールディングを研究対象として、その凝集体形成を制御する⼈人⼯工分⼦子の構築などを⾏行行ってきています。その中の⼀一つとして、特定のタンパク質を改変してAβと相互作⽤用する分⼦子の構築を試みています。βバレル構造をもつGFP表⾯面を改変し、Aβ様のアミロイド構造を提⽰示するように設計した⼈人⼯工タンパク質がAβと相互作⽤用し、Aβの凝集体形成を強く抑制することを⾒見見出してきています。   現在は、Aβの中で特に強い細胞毒性をもつ可溶性会合体により強く結合する⼈人⼯工タンパク質・ペプチドや抗体などを新規に創製し、それらを⽤用いてAβの細胞毒性を効果的に中和できる分⼦子の開発を⽬目指しています。

    ●研究補佐員    寺脇  直美

    先端⼯工学研究チーム

    ⽣生物有機化学分野

    准教授

    髙橋  剛Tsuyoshi Takahashi

    ケイ素化学分野

    Md. Zakir Hossain

    教員紹介

    6

    先端⼯工学研究チーム

    助教

    Newsletter vol.1 Advanced Scientific Research Leaders Development Unit, Gunma University

  • Topics

                        群⾺馬⼤大学では、2010年に先端科学研                   究指導者育成ユニットを創設(昭和                   キャンパス[医学系研究科、医学部附                   属病院、重粒⼦子線医学研究センター、⽣生体調節研究所]の「先端医学・⽣生命科学研究チーム」と桐⽣生キャンパス[⼯工学研究科]の「先端⼯工学研究チーム」の⼆二つのチームから構成)、このユニットにテニュアトラック制度を導⼊入し、先端科学研究者の研究環境を改⾰革する試みをスタートさせました。   本シンポジウムはそのスタートアップのためのもので、2011年3⽉月8⽇日に昭和キャンパス医学部⼑刀城会館において、学内の若⼿手を中⼼心に多くの研究者が参加して開催されました。先ず⾼高⽥田邦昭群⾺馬⼤大学学⻑⾧長から、群⾺馬⼤大学におけるテニュアトラックプログラムの概略の説明があり、次に⽂文部科学省 科学技術・学術政策局 科学技術・学術総括官の常磐豊様から、我が国におけるテニュアトラック制の導⼊入の現状についてご説明がありました。第⼀一部は【国内外におけるテニュアトラック制度と最先端科学研究】と題して、先ず本プログラム顧問で英国ロンドン⼤大学ユニヴァシティカレッジのWilliam D. Richardson教授に、イギリスにおける科学研究者のステップアップシステムをご紹介いただいた後、哺乳類中枢神経系におけるオリゴデンドロサイトの発⽣生と機能に関する最新の研究成果をご発表いただきました。次に本プログラム顧問で⽶米国北ダコタ州⽴立立⼤大学副学⻑⾧長のPhilip Boudjouk教授に、アメリカにおけるテニュアトラック制度をご紹介いただいた後、シランからポリシラン複合体を⼀一段階で合成する⼿手法に関する最新の研究成果をご発表いただきました。最後に、ユニット評価委員会外部委員で豊橋技術科学⼤大学副学⻑⾧長の菊池洋教授に、豊橋技術科学⼤大学におけるテニュアトラック制度導⼊入の取組をご紹

    介いただいた後、細胞外核酸を産⽣生する海洋性光合成細菌の⽣生理学と応⽤用に関する最新の研究成果をご発表いただきました。フロアからはテニュアトラック制度及び研究成果に関して活発な質問が出されました。第⼆二部は【群⾺馬⼤大学テニュアトラック採⽤用研究者が⽬目指す先端科学研究】と題して、先ず先端⼯工学研究チームから髙橋剛准教授とMd. Zakir Hossain助教が、次に先端医学・⽣生命科学研究チームの髙橋昭久准教授、岩脇隆夫講師、⼭山本正道助教、定⽅方哲史助教、渡部美穂助教、⿃鳥飼幸太助教が、これまでの研究成果とこれからの研究計画・抱負を発表し、Richardson教授、Boudjouk教授、菊池教授のみならず、フロアからも質問が出され、活発な討議・意⾒見見交換が⾏行行われました。全体として群⾺馬⼤大学におけるテニュアトラック制度のスタートアップにとって⾮非常に有意義なシンポジウムであったと思います。   余談ですが、この3⽇日後に東⽇日本⼤大震災が起こり、本シンポジウムの後に岩⼿手医⼤大で講演することになっていたRichardson教授の消息が⼀一時不明となり、ラボと奥様から⽮矢のように安否を尋ねるメールが送られてきたのも、その後無事が確認され帰国された今となっては良い思い出です。

    群⾺馬⼤大学テニュアトラックプログラム・スタートアップシンポジウムについて  

    群⾺馬⼤大学⼤大学院医学系研究科教授 ⽯石崎泰樹(先端医学・⽣生命科学研究チーム統括補佐)

    7

    ●・編集後記・● 祝 Newsletter創刊号!! やっと完成しました!!!最後までお読みいただき、ありがとうございます。 先端科学研究指導者育成ユニットNewsletterは今後、年に3回程の発⾏行行を予定してます。 ユニットの活動やイベントの情報などを皆さんにお届けします。 次号から各先⽣生の詳しい紹介をしますので、お楽しみに!!!

    先端科学研究指導者育成ユニット  Newsletter vol.1平成23年9⽉月30⽇日発⾏行行

    編集・発⾏行行:群⾺馬⼤大学 先端科学研究指導者育成ユニット           (昭和キャンパス⽀支援室)〒371-8511  群⾺馬県前橋市昭和町三丁⽬目39-22TEL:027-220-7908 / FAX:027-220-7909E-mail:[email protected]ホームページURL:http://asrldu.dept.med.gunma-u.ac.jp

    Newsletter vol.1 Advanced Scientific Research Leaders Development Unit, Gunma University