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AJG_060624 1 中京大学 情報科学部 認知科学科 授業風景大学も 変わりつつ あります

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中京大学情報科学部認知科学科

授業風景…

大学も変わりつつあります…

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大学での協調的学びの構築-認知科学の立場からの実践-

三宅なほみ(中京大学)

AJG(アカデミック・ジャパニーズ・グループ:日本語教育学会テーマ研究会)

総会・第9回研究会

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学習科学• 学習理論

–人はいかに学ぶかを明らかにする

• 学習支援

–人がうまく学べるための工夫を実践的に確かめる

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背景に認知科学

• ~1980– 問題解決や記憶に「構造化された知識」が重要

• ~1990– 状況依存的認知 vs. メタ認知による制御

– 教室で記憶理論や問題解決方略の実践的検証

• ~2000– 大型実践プロジェクト(中・高理数中心)

• 2002 The International Society of the Learning Sciences

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うまくいく学び:得意になるまで

• 一定以上の時間をかける

• 強い動機付けを持つ

• 積極的に情報を収集して、覚える

• 教えあったり、議論したりする仲間がいる

• さまざまなレベルの先輩がいる

• 試行錯誤を繰り返して自分の知識を作る

• 学んだ成果が次の学びに結びつく

• 対象は限定されている

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学習の目的

• Portability– 学校の外に持ち出せる

• Dependability– 必要なとき、必要な場所で使える

• Sustainability– 一生学び続けるための基礎力をつける

– 科学を日常化する(Dinner table science)

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学習の方法

• Portability– 複数解を多視点からみて一般化、抽象化

• Dependability– 十分使いこなせるところまで時間をかける

• Sustainability– 学習の仕方、メタ認知、自己学習管理能力

– 「学習し続けるもの」のコミュニティを形成する

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学習の方法

• Portability– 複数解を多視点からみて一般化、抽象化

• Dependability– 十分使いこなせるところまで時間をかける

• Sustainability– 学習の仕方、メタ認知、自己学習管理能力

– 「学習し続けるもの」のコミュニティを形成する

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学習方略の基本形

• 繰返し時間をかけて自分で知識を作る

• 他人と協調的に学ぶ

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大学での実践

• 協調過程を利用して、学生が自身で知識を作り上げる

• 「他の人に自分の意見を言うことが、自分の得になるだけでなく、他の人のリソースにもなる」ことを理解し、協調的に学習するスキルを身につける

• 対象は「認知科学」

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認知科学を教える

• 学習目標:認知科学理論を学び、応用力を身につける– 問題解決、記憶、学習、熟達化、相互作用…

「一般教養」としての認知科学

• 対象:認知科学科生 約80人

• スタッフ:教員2名+TA2, 3名/1授業

• 授業:2年間で計7授業(9コマ)を学ぶ– [認知科学入門][初級][中級][上級][研究法1, 2][応用統計]…

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2年間トータルで1セットそのセットを5年超

00入学

01入学

02入学 03入学 04入学 05入学

01春 研究法II 入門

01秋 認知科学2

応用統計研究法I

02春 研究法II 入門

02秋 認知科学2

応用統計研究法1

03春 中級

研究法I入門AB

03秋 上級・研究法II

応用統計初級AB

04春 中級

研究法I入門AB

04秋 上級・研究法II

応用統計初級AB

05春 中級

研究法I入門AB

05秋 上級・研究法II

応用統計初級AB

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支援ツール

一年春自分たちの認知過程を振り返り経験則を見つける

学習の形

教材

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一年秋経験則を入門用の専門資料と関連付ける

支援ツール

協調学習の形

教材

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2年春資料から概念地図を作り他人と相互吟味して理解を深める

教材支援ツール

協調学習の形

テーマ:熟達化

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資料例

2年秋専門資料を分担し、相互に教え合って理解の幅を広げる

科学的発見と確証バイアス

知識が豊富にあることの功罪

状況・課題理解と問題解決

推移率理解と文化差

感情システムの進化論的説明

ハトの日常適応知識の脳内分散

社会的認知:認知的不協和

社会的認知:同調とステレオタイプ

言語・概念獲得、生得性

認知プロセス、知識処理

認知的バイアス、社会的相互作用、日常的認知

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今日お話してみたいこと

• 専門用語の獲得支援

– 具体的にどういう学習活動を用意して

– 何ができるようになることを支援しているのか

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専門用語「スキーマ」の獲得支援

• スキーマ:人の知識が以下のような特性を持つことを表現しようとして使われる認知研究用語

– 経験を抽象化、一般化したもの• 経験則、公式、概念などと呼ばれるものを支える知識

– 「似たもの」に適用可能な柔軟性を持つ

• さまざまな学習領域で、その領域の専門用語を「スキーマとして捉える」ことが学習目標になり得る → 獲得した用語を機能させたい

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大学での学習の目的

• Portability– 学んだ場所から別の場所に「持ち出せる」

• Dependability– 必要な時にきちんと使える

• Sustainability– 長持ちする+補修や作り変えが可能

• これらはいずれも、領域知識を「良質な」スキーマとして獲得することによって成立する

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「スキーマ」という用語の学習

• 定義がない!(あってもわけがわからない)

• 体験は可能

– 自分の知識がスキーマであること

– 経験からスキーマが作られること

• 体験を振り返って納得するのは容易ではない– 人は自分の認知過程について「語ったり」「考えたり」することに

慣れていない

• 体験から「こんなものか?」と考えるベースができれば、構成を助ける研究資料はある(←利用できるか?)

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スキーマの辞書的定義

カテゴリ、概念、一般的な知識のように構造を持つ知識を指す。またこれらの知識の表現方法をさすこともある。・・・スキーマは、変数をもつことによりさまざまな対象の表象に利用できる。また、利用可能ではない情報については、典型的な値であるデフォルト値を割り当てることにより、表象を豊かにすることができる。また、スキーマに表象された情報は各種の関係によって相互に関連付けられる。したがって、スキーマは単純な属性リスト表現に比べてはるかに豊かな表現力を持っている・・・(まだ続く)。

認知科学会編 『認知科学辞典』 p.438-9.

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辞書的定義を自力構成するまで

• スキーマが働いていることを体験する

• 体験を自覚する

• スキーマを目に見える形にする

• スキーマが世の中に既に存在することを確認する

• 自覚をことばにする

– 体験の語り合いや道具化を通して

– 研究資料の読み込みと相互交換を通して

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授業への導入 WN1

• これは、まぁ、儀礼的に・・・

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スキーマを体験する WN3-10

• 曜日計算を体験する

月曜日+木曜日=金曜日 のとき

火曜日+水曜日 の答えは何か?

振り返り → 大量経験 → 言語化

m + b = ?

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形成経験の言語化 WN12-20

• 自分たちが今認知的にしたことへのメタ認知過程の言語化

– やり方についてのjigsaw

– スピード競争

• 今やったことを専門家はどう語るのか

– 共通資料を読んで用語を整理

– 自分たちが今経験した認知過程について専門資料の記述をjigsawによって言語化+統合

– 自分のことばに置き換えて表現

– 専門家の「表現」に触れる

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スキーマの外化 WN22-31

• 経験して得た知識の外化

– スマートツールを作る

• 知識の外化物が世の中に既に存在することの確認

– 専門資料

• 資料から、体験できない経験を吸収する

• まとめて「もらう」

• 自分のことばで「スキーマ」を語る

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スキーマの外化 WN22-31

• 経験して得た知識の外化

– スマートツールを作る

• 知識の外化物が世の中に既に存在することの確認

– 専門資料

• 資料から、体験できない経験を吸収する

• まとめて「もらう」

• 自分のことばで「スキーマ」を語る

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別の課題へ WN34-53

• ハノイの塔

– 手順を決めると解ける(手続き的なアルゴリズムを体験的に発見する)

• 奇数枚か偶数枚かでことなるアルゴリズムが必要

– 一般的な解法を約束する概念的なアルゴリズムを見つける

• これは、実は大変! 毎年失敗する・・・

• 転移課題の導入:概念的なアルゴリズムで解けることの確認(獲得していないとデモもできない…)

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3枚ディスクのハノイの塔問題

● 動かせるのは

一回に一枚だけ

各ペグ上で最小ディスクだけ

● より大きいものを置いてはいけない

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更に別の課題を導入… WN71-72

• 認知研究でよく知られた「課題(パズル)」を解く– 正解があることの確認;アルゴリズムを見つける

– 解く時に解き方を導く考え方;ヒューリスティクスを確認する

• これらの課題は、認知科学研究や人工知能研究でよく言及される課題への新密度を上げること、アルゴリズム、ヒューリスティクス、状態遷移など他の専門用語を導入すること、など、スキーマ概念の獲得以外の学習も目的としてこの時期に挿入されている

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一旦まとめて WN81-86

• 何が「(学習目標として)求められていること」かの確認

– 擬似「中間試験」問題を(作ってみて)解いて

– 解法を埋めて

– Jigsaw法で交換、相互吟味して

– こちらの用意した解等(案)を読む

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別課題への適用 WN91-98

• 先に導入された別課題や、他の授業で起きていることに対して、「スキーマ」を作って適応的に対処する」ことができる、あるいはやっている(はず)

• e.g.プログラミングの授業で、これまでに習ったことを元に、一般化して、まだ習っていないことが「自然にできる」ことを自覚する

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他・多定義へ WN100-110

• この時期になって、学生からは、「結局、スキーマって何?」という質問が出てくることがある

• 伝統的な認知研究から、「正統派」スキーマ理論の解説を3種類抜粋し、jigsawによって読解+統合へ

– Jigsawとしてはじめてほぼ本格的な導入

今年の成果? 一部の、この形式に合う学生から「スキーマってこういうことかよ!」

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2年生になる前に…

• 1年生の秋には

– 知覚、言語使用などが外界からの入力のボトムアップな処理と、知っている知識を使った期待などによるトップダウンな処理との相互作用であることの理解

– 記憶が、既に知っていることへの関連付けによる構成的な過程であることの理解

– 知識表現 cf. 後半WN2’

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2年生 春 WN1

• 熟達化をテーマに

– 1年で拾ってきた概念を統合して

– 「熟達化」というテーマについて多方面からの研究を理解、統合して

– 自分なりの「熟達化理論」を形成し

– 自分のこれからの熟達化プランに適用する

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1年後期を拡張 WN3-19

• 1年秋期で読んできたのと似た専門資料を使って、jigsaw法で「熟達した状態」とはどんなものか、を理解– 資料が長くなる

– 詳しく「読む」ことへのscaffoldをかなり丁寧に入れる (Expert活動を強化)

• まとめの代わりに、ここでは早めに「自分自身の熟達化」への目配りを要請・・・

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熟達化情報処理モデル (連携授業)

• 個人が熟達化する過程の分析から熟達の過程に3つ(+1)の段階があることを紹介 jigsawによる理解+統合

– 知識の集積

– 手元にある問題解決のための知識構成

– 構成した知識が柔軟に使えるようになるための調整、自動化

– 柔軟に使えるようになった知識の再構成

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新しいタイプの研究 WN20-26

• 連携している授業で、文化人類学的な研究や日常的認知についての「講義」を、ビデオで振り返り、状況論的な考え方を導入

• 状況論的学習研究から、熟達化について、長期にわたる観察を対象とした3研究の資料を導入

• Jigsawによって理解+統合

– この時期に、Expert group活動の形、Jigsawの組み方などに慣れてくる

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熟達化8資料jigsaw WN31-33

• Structured jigsaw

• 今年は

– TAによる解説デモ

– 今やっと自分の担当資料を2つまでまとめて説明準備に調子が出てきたところ

個人 社会

集積 101 105

構成 102 106

調整 103 107

再構成 104 108

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形成的な評価方法

• WNへの書き込みの一部を書き起こし

• 粗いカテゴリわけによる全体の方向の把握

• 次の授業展開の構成(蓄積の再調整)

• クラス内での学習活動のその場での解釈を記録、共有するシステム開発

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WN 書き起こし

WN12

4/17

m+bが「次の次の文字」と解けたのはなぜ?

WN31

4/24

ここまででわかったことを、キーワード9個を入れてまとめる

WN110

6/19

スキーマとは何か、あなたのことばで

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WN12 m+b=?

42

「m+b= 」の問題の前に、曜日計算をたくさん解いたことで、記号と数字に置き換えて計算するという解き方を覚えたから、それを適用して、アルファベットを数字に置き換え、解いたのだと思う。

44曜日計算、火曜日+月曜日は、火曜の次は水曜という考え方があるので同様に、m+bはmの次の次はoとなる。

45

曜日計算をした後に「m+b= 」という問題が出された時、前のパターンと比べて共通である「+」「=」から判断し「m」と「b」を数字に変換しようとする。

次に、m,b をどのような規則で数字に変えるか、ここから人によるが、アルファベット順に読むという場合や +bで次の次という場合などが挙げられる。

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WN31 9つのキーワード

42

曜日計算を通して、どおしたら、より速く正確に計算できるようになるか、また、そこで、考えた結果を元に、便利な道具を作った。曜日計算、m+bの問題をどうやって、答えを出すか、頭の中でどんなことを考え、計算したかを考えてみた。曜日、アルファベットを数字に置き換え、計算して、また、曜日、アルファベットに戻す変換方略。考えられる全ての組み合わせを書き出し、表にする早見方略。足す火曜日なら、次の次というように、規則に目を付めて計算する規則方略。計算できるものは記憶して表から抜いたり、情報を入力→処理→出力して答えを出したりする、規則で3分ルールがあり、時速で求められるということをしった。

44

曜日計算には処理の割合の多い変換方略と、記憶の割合の多い早見表方略がある。それ以外にも、規則方略というものがある。例えば、3分ルールは時速海マイルの計算ヤード×三分の一×60÷2000=ヤード×百分の一よりヤード数の下二桁の0を2つ取って答えがでるなどである。知能には抽象度をあげた知識を作るため、曜日計算の応用でm+b=Oとなる。

45

最初にやった曜日計算は解き方を見つけて、少しずつ改善していき三度目ではだいたいの早さが一定してきた。その中で、三つの方略である変換方略、早見表方略、規則方略について利点、欠点を考えた。場合によって使い分けることを必要である。規則方略については、メカが複数必要になるので道具化しにくい、また処理する点でも、文と表を使うので手間がかかると思われる。規則が道具となる時は29,30を参照し、3分ルールについて調べること。

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WN110 スキーマとは?

42いろいろなものを記憶するときに、すでに知っているものに置き換えたり、記憶できるように簡単にしたりする、応用・順応できる知識。

44 簡略化し、一般化する。

45外的な情報と概念的な情報の交互作用でなりたっている。意味あるものに組織化して、できあがっているスキーマと一致させるように情報を出す。

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何ができるようになっているか

• 専門用語を「使う」文化はできる

• 学習スキルの自覚的な獲得が一部の学生に見られる

• 半年から一年後の学習内容の振り返りが、自分の担当した資料を中心にできるようになる

• 授業で利用した資料の構成への気付き?

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総括的評価

• 「自分の経験と結びつけて他人の話を理解する」方略の獲得?

• 協調的な学習スキル

• 質問、話し合いのスキル