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関東シンビオ・黄檗会共同開催講演会 もうこりた魅せるMMIから響き合うMMI20131127京都大学東京オフィス (独)原子力安全基盤機構(JNES技術参与 牧野 眞臣

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関東シンビオ・黄檗会共同開催講演会

「もうこりた」、

魅せるMMIから響き合うMMIへ

2013年11月27日

於 京都大学東京オフィス

(独)原子力安全基盤機構(JNES) 技術参与 牧野 眞臣

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牧野眞臣 2

略歴 昭和46年 京都大学大学院修士課程(電気工学)修了 同年 日本原子力事業株式会社入社 BWR制御システム、動特性解析に従事 /制御性能改善・信頼性向上 昭和53年 GE社San Jose AETチーム、ABWR概念設計、動特性解析に従事 滞米中TMI事故/米国内情報収集と日本への連絡で昼夜忙殺 帰国後 TMI対応HSI改良(起動1年前の2F1で計算機システム追設に忙殺 ), 3重化原子炉制御システムの開発・設計・導入, 改良型中央制御盤(PODIA) の開発・設計・導入, ABWR総合ディジタルシステム開発・設計・導入に従事 平成 4年 東芝原子力電気計装技術部主幹、柏崎刈羽6号機電気計装制御システム技 術取纏め 平成 6年 府中工場発電計算機システム部主幹、K-6総合ディジタルシステム設計・製造 設計の技術支援に従事 平成 8年 原子力電気計装技術部主幹、K-6現地試験技術支援、営業運転開始 平成 9年 日本原子力学会技術賞・特賞受賞(ABWR型中央制御盤の開発と完成) 平成11年 本社輸出管理部次長、現地法人含む全社の輸出管理に従事 平成13年 (財)原子力発電技術機構ヒューマンファクターセンター所長就任 平成15年 (独)原子力安全基盤機構設立に伴い異動、ソフト面の安全規制調査研 究を主導、技術基準改訂(デジタル安全保護系、誤操作防止)、ガイド ライン策定(直接原因分析、根本原因分析、安全文化)に従事 平成22年 原子力安全功労者表彰受賞 平成22年 (独)原子力安全基盤機構技術参与就任,現在に至る。

2013/12/9関東シンビオ・黄檗会共同開催講演会 平成25年12月14日

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牧野眞臣 3

1971 1999

東芝で計測制御に 携わった期間

動特性解析 計測制御信頼性・性能改善(トラブル対応、3重化システム)

TMI対応MMI開発(2F-1、PODIA) 総合デジタルシステム開発(ABWR、APODIA)

ABWR; 概念設計(GE社)⇒MMI開発(研究所)⇒システム設計(技術部)

⇒製造設計・試験(工場)⇒現地試験(サイト) 審査支援(JNES)

作る人から 規制する人へ

出典 実務テキストシリーズNo.1(改訂第3版) “軽水炉発電所のあらまし”(財団法人原子力安全研究協会実務テキスト編集委員会)頁418に基づき作成

2013/12/9関東シンビオ・黄檗会共同開催講演会 平成25年12月14日

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江戸中期 繁栄の黄檗宗、衰退の臨済宗

中興の祖、白隠慧鶴禅師の「槐安国語」(寛延二年 1749)

大燈国師(京都大徳寺開山)の語録に短評

重九上堂(嘉暦二年 1327)1)

【一句新たに、一句新たなり】 旧を捨てて新を好むこと莫れ/新旧の沙汰はない。

【汾陽の一句、又重ねて新たなり】 旧は是新の終/新と言っても終に旧となる。無

常迅速。時の移ること速やかなり。

【靖節相逢うて相識らず】 若きを愛し、老を嫌うこと莫れ/この香りに老少は無い。

老いを捨て、若きを愛するなかれ。

【重陽九日、菊花新たなり】 若きは是れ老の始/少いといってもそれは老いの始り。

老いも少いもない。

● 軽水炉技術導入期、国産化、改良標準化、高度化を経験した我々定年老働者

が、その知識と知見を若い人へ伝承すること。

● 若い人はこれをしっかりと学び吸収すること。

● 寺子屋 観音堂を開き技術伝承実施中。本日はその一端をお話したい。

一句新たに、一句新たなり

2013/12/9関東シンビオ・黄檗会共同開催講演会 平成25年12月14日 牧野眞臣 4

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寺子屋「観音堂」での教え 目的: ヒューマンファクターと計装制御に関するこれまでの経験から得られ た知識・知見を技術伝承するMMI(Man Man Interactive)な饗育 頻度: 週1回 2時間程度 内容: (1)安全規制 安全規制体系(安全規制の流れ、段階規制、電気事業法との関係) 旧安全設計審査指針と規制委員会設置許可規則 その他の指針(重要度分類、耐震、技術的能力等) 旧技術基準と規制委員会技術基準規則、保安規定 NRC SRP、MDEP共通見解書

(2)基礎技術 電気、プロセス計装、核計装、制御・安全保護、ヒューマン・システム・イ ンターフェイス、ヒューマンファクター、安全文化 失敗談成功例含む技術伝承

(3)ABWRとPWRの指針適合性の確認

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寺子屋 観音堂 教育のモットー • お互いに響き合い通じ合う 「饗育」。

MMIにひっかけMan Man Interaction と名付けた。

• 「賢バカ」にしない。

・ 時宗 遊行74代他阿真円法主に藤沢の遊行寺でお会いし教わったこと;

「教育」は、「饗育」であり「共育」でなければいけない。教育はお互いに響き合い

通じ合うものでなければいけない。教える側、教わる側、育てる側、育てられる

側が、お互いに響き合ってはじめて伝わるものがある。2)

・ 千日回峯行2度満行された酒井雄哉大阿闍梨(この9月崩御)を比叡山飯室谷

にたずねて教わったこと;

「賢バカ」になっちゃいけない。今の人は、いろんなことを良く知っている。知って

いるけれども、実践がついていかずに、うまくいかない。

なんでも批判したりするだけじゃダメだ。それじゃ、「賢バカ」になる。やっぱり自

分で体験し、実践できることが大事だ。3)

牧野眞臣 6

現場がない組織では実践がついていかない。 ⇒ 特に現場での失敗・成功談を交えて伝授

2013/12/9関東シンビオ・黄檗会共同開催講演会 平成25年12月14日

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導入当初は制御器具を電流ループで繋ぐシステム構成

不具合→給水流量増→原子炉水位8→タービントリップ

不具合→給水流量減→原子炉水位3→原子炉スクラム

起動時必須操作の単/三要素切替えスイッチ操作時、制御信号瞬断で発電所を止めてしまった

用紙交換で記録計を引出し時、ネジの緩みで制御信号断で発電所を止めてしまった

1個の半導体orトランジスター故障で発電所を止めてしまった

・事業者の声;1万円以下の半導体で発電所を止めるな!

・当時、計画外停止の約40%が、主要制御系(再循環流量、原

子炉水位、タービン制御)のトラブルが原因

・担当者の声;徹夜・徹夜の原因究明と復旧作業はもう勘弁して!

3重化装置の開発・導入

導入以降30年近く、計画外停止ゼロ

ディジタル3重化装置開発のエピソード

2013/12/9関東シンビオ・黄檗会共同開催講演会 平成25年12月14日 牧野眞臣 7

技術導入時の 原子炉水位制御システム

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原子力発電プラントのMMIとデジタル化の流れ

▲ 1980年

▲ 1990年

▲ 2000年

▲ 2010年

TMI事故 ▼1979

チェルノブイリ事故 ▼1986

K-6/7運転 ▼1996/7

▼1979 TMI教訓52項目

第一世代 第二世代 第三世代

マン・マシン・インターフェースの高度化

機器信頼性向上 ヒューマンエラーの防止

1990▼ 安全設計審査指針8(誤操作防止)

デジタル制御

中央制御盤

泊-3運転 ▼2009/12

一部補機ループ制御 専用制御

廃棄物処理系 常用系

安全系

単独系統制御

システム化 総合デジタル

システム

1984▼ 技術基準改正(原子炉制御室)

中越沖地震 2007/7▼

▼2006 技術基準改訂

誤操作防止 デジタル安全保護系

▲ 1971年入社

1F1 O1 O2 1F2 1F3 1F5

1F6 2F1 2F3、K1

K2 K3 K6

H1 H2 H3

H4 NUPEC・JNES

福島事故

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ディジタル化に伴う課題と対応

ソフトウェアによるロジック作成 ブラックボックス化 単純で分り易い言語による可視化 POL言語の採用 とCAD化 信頼性 独立チームによる 検証及び妥当性確認(V&V)の実施 JEAG4609-2008による

その他、発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令(省令62号) の解釈、別記7(現 原子力安全委員会規則第6号 解釈)を参照

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A B X 出力

A1 A2 B1 B2

B

A

ECWD リレーシーケンスによる記述

One out of two twice 1/2X2

ロジックの可視化 の比較

IBD インターロック・ブロック線図

による記述

C言語による記述

POL言語による記述

IBDと比較して 分かり易い記述は

どれ?

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MDEP(Multinational Design Evaluation Program)

○米、日、仏、フィンランド、英、カナダ、ロシア、韓国、中国、南アフリカの計10カ国

○ディジタルI&Cワーキンググループ(DICWG)

MDEP参加10カ国から南アを除く9カ国が参加。

ディジタル計装制御に係る共通的な課題に関して、参加国間の規制に関する共

通見解をまとめる作業を実施。

IAEA/IEC/IEEEのメンバーなども参加し情報を共有。

○民間意見を反映するためJNESの中にDIC情報連絡会を設置。

○特定課題

①ソフトウェア共通原因故障(SCCF)の取り扱い:米国(リーダー)

②ソフトウェアツールの規制:英国(リーダー)

③ネットワークシステム(データコミュニケーション含む) :韓国(リーダー)

④複雑な電子部品(最新のIC技術であるFPGAの取り扱いなど) :仏国(リー

ダー)

⑤ライフサイクルにおけるソフトウェアV&Vチームの役割:日本(リーダー)

⑥安全系への汎用/既存ソフトの適用:米国(リーダー) など

MDEPディジタルI&Cワーキング(DICWG)の動向

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TMI事故(1979年)以前の1975年にIEEEで 牧野ら発表のBWRにおけるHSI革新の展望

第2世代(1985年以降)

第1世代

第3世代 (1996年一号機運転)

TMI事故

HSI革新の実際

開発加速

このコンセプトエンジニアリングに基

づき、その後の開発は進んだ

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TMI対応の実施例 誤操作の防止

操作スイッチハンドルの色別化と 形状分類

系統区割線及び 系統ラインミミック表示

出典 原子力安全委員会原子力事故・故障分析評価専門部会事故・故障情報活用ワーキンググループ(第7回会合)資料 事WG第7-3号 事業者におけるヒューマンエラー低減へ向けた取り組み 頁5

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TMI対応の実施例 異常の早期対応

警報の重要度分類 重要計器の色別化

出典 原子力安全委員会原子力事故・故障分析評価専門部会事故・故障情報活用ワーキンググループ(第7回会合)資料 事WG第7-3号 事業者におけるヒューマンエラー低減へ向けた取り組み 頁6

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中央制御盤の監視機能強化(例) -旧型ランプ表示の液晶表示化-

15

出典 伊藤 睦、他 H21年度東北大学原子力保全セミナー講義資料 “軽水炉原子力発電プラントの計測制御システムとその保全” (日本原子力学会シニアネットワーク連絡会) 頁80

BWR制御盤の象徴

フルコアディスプレイが消える!

2013/12/9関東シンビオ・黄檗会共同開催講演会 平成25年12月14日 牧野眞臣 15

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第1世代 中央制御盤(ベンチ型)

フルコアディスプレイ (原子力の象徴だった)

警報窓

スイッチと表示ランプ

コントローラ

記録計

指示計

出典 伊藤 睦、他 H21年度東北大学原子力保全セミナー講義資料 “軽水炉原子力発電プラントの計測制御システムとその保全” (日本原子力学会シニアネットワーク連絡会)頁78を基に作成

第2世代 中央制御盤 (PODIA)

主盤 (CRT7台)

主任、オペレータ机

副長机

当直長机

タービン・電気系副盤 (間歇操作)

・第1世代での対応に加え、

TMI対応本格化

・CRT7台

・計算機自動化導入

・フルコアディスプレイ削除

・主盤/副盤(間歇操作盤)

・集約ANN

原子炉系副盤 (間歇操作)

出典 実務テキストシリーズNo.1 “軽水炉発電所のあらまし” (財団法人 原子力安全研究協会実務テキスト編集委員会) 頁67に基づき作成

主盤/副盤(間歇操作盤)分割へ

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視差による読み取り誤差をなくそうと 良かれと思ってやったことが、当直長から怒鳴られる破目に

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A-PODIAの開発を振り返って

-原子力では、10年以上先の的確な技術予測が求められる-

特にディジタル技術の進歩は、日進月歩

TMI事故の後、米国での新たな建設なく、日本がリード

2013/12/9関東シンビオ・黄檗会共同開催講演会 平成25年12月14日 牧野眞臣 18

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いつもこの絵をポケットに入れ、導入への説得を続けた

若い人に、このような原発ならぜひ運転してみたいと思わせるMMIを実現しよう! その夢を絵にしたもの

夢を絵に! 30年前当時の魅せる化

中操に窓 情報の共有

グリーンボード思想

集約警報・ファーストヒット表示

音声入力 ワンマンオペレーション

将来の計算機機能向上・強化に備え、現場情報(音、画像含む)をケーブル追加無く、中操まで上げる手段 ⇒ 光伝送

2013/12/9関東シンビオ・黄檗会共同開催講演会 平成25年12月14日 牧野眞臣 19

(株)東芝カタログ PODIA 東芝集中監視制御システムを基に作成

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これぞ、デモ機のコンセプト

最初のコンセプトでは、警報表示盤は、右端、その左の中央に計算機出力の大型スクリーンを配置

原子力発電所運転当直長は、これを見るなり “違う” と言った

東芝レビュー44巻4号(1989)頁315図2を基に作成

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当直長の意見を取り入れた デモ 決定版

大型スクリーン 警報表示盤

当直長曰く

警報表示盤は左端に、大型スクリーンは右端に

東芝レビュー47巻11号(1992)頁843図1を基に作成

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デモ 決定版

パターンの識別能力; 左眼(右脳支配)は、右眼(左脳支配)より2倍正確に識別 軍の敵機識別法に古くから利用。戦闘機パイロットは、やや右側に視線を向ける よう訓練されている。左目すなわちパターン認識に優れた右脳で機影を識別。 (参考)大前研一編訳、T.R.ブレークスリー、「右脳革命 -創造力活性化の決め手-」新潮文庫

当直長曰く 警報表示盤は左端に、大型スクリーンは右端に

これぞヒューマンファクター 当直長は、右脳、左脳の思考法を無意識のうちに指摘 右脳⇒パターン認識に優れる⇒左目⇒警報パターン認識⇒左端 左脳⇒系統的論理思考に優れる⇒右目⇒計算機メッセージ出力解釈⇒右端

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モックアップによる 盤面アレンジメントの妥当性検証(東電提供)

原子炉シミュレータを用いたHSI機能確認(東芝、日立提供)

原子力工学試験センターにおける 電算機システム耐震信頼性実証試験

BWR運転訓練シミュレーターによるHSI機能検証

第3世代中央制御室

東京電力柏崎刈羽6号機(ABWR)

通産省補助事業 インストラクションシステムの開

通産省補助事業 プラントマンマシンシステムの開発

シーズの蓄積

信頼性・機能の検証/実証

2013/12/9関東シンビオ・黄檗会共同開催講演会 平成25年12月14日 牧野眞臣 23

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誤判断・誤操作の防止 タッチパネルからの操作

出典 東芝原子力発電設備 頁24 FD画面例

出典 原子力安全委員会原子力事故・故障分析評価専門部会事故・故障情報活用ワーキンググループ(第7回会合)資料 事WG第7-3号 事業者におけるヒューマンエラー低減へ向けた取り組み 頁10

押し誤り 時間遅れ

何もしない

指差だけする

呼称だけする

指差呼称する Performa

nce

%

3.0

2.0

1.0

押し誤り発生率

1/3 以下

出典 清宮栄一他:「複雑選択反応における作業方法とPerformance との関係について-「指差・喚呼」の効果についての予備的検討-」1965,鉄道労働科学,17号 に基づき作成

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第3世代 中央制御盤 (APODIA)

出典 原子力安全委員会原子力事故・故障分析評価専門部会事故・故障情報活用ワーキンググループ(第7回会合)資料 事WG第7-3号事業者におけるヒューマンエラー低減へ向けた取り組み 頁10

・人間中心設計 ・情報一元化 (コミュニケーション性向上) 大型表示盤 ・ワークロードの軽減 コンパクト運転コンソール FDによるタッチ操作 ・ヒューマンエラーの低減 自動化範囲拡大 ・アメニティ- 窓、照明、圧迫感のない居室イメージ

柏崎刈羽6・7号機 1996年11月7日、1997年7月2日 営業運転開始

浜岡5号機 2005年1月18日 営業運転開始

志賀2号機 2006年3月15 営業運転開始

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0

20

40

60

80

100

120

81-'85 86-'90 91-'95 96-'00 01-'05

年度

人的

過誤

件数

比較

▲ 1985

▲ 1996

MMIを要因とする法令対象人的過誤件数比較 (81-85年度件数を100とした比較)

中央制御室の変遷

第二世代

第一世代 第三世代

HISの革新

原子力システム安全部

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1979 TMI事故

80-84 85-89 90-94 95-99 00-04 05-09

1992

通産省補助事業 原子力プラントマン マシンシステム の開発

1987 1990

原子力工学試験センター ディジタル安全保護装置実証試験

第3世代設計・制作 建設・試運転

1983 1985

自動化研究 (事業者/メーカー)

1986 1991

マンマシン技術による 運転効率化研究 (事業者/メーカー)

第1世代 第3世代 第2世代

1996

1981 1984

通産省補助事業 インストラクション システムの開発

’91 92

MITI I&C検討会 品質保証

1984

原安委 「課題とし て52項目」の摘出 ・制御室 ・運転員の誤操作 防止対策

技術基準改定 第24条の2 原子炉制御室「適切に運転操作することができる」を追加要求

安全審査指針改定

指針8運転員操作に対する設計上の考慮

指針41制御室

1990

1989

JEAG-4609制定 安全保護系へのディジタ ル計算機の適用に関す る指針

ニーズの発掘・把握

シーズの蓄積

’91 92

原子力工学試験センター 電算機システム耐震信頼性実証 試験

検証・実証

技術基準改定第24条の2原子炉制御室 「誤操作することなく 適切に運転操作でき るように施設しなけ ればならない」別記8

運転経験からの フィードバック

第3世代中央制御室 の実現

JNES(NUPEC) 原子力発電所中央制御 室の人間工学的設計に 関する評価基準策定 (JNES-Report SS-0515)

IEC、NRCの 知見を反映

2005

2009

JEAC 4624-2009

原子力発電所の中央制御室における誤操作防止の設備設計に関する規定

JEAG 4617-2005

中央制御室の計算機化されたヒューマンマシンインターフェースの開発及び設計に関する指針

今後エンドース

1982

2F-1:TMI対応 CRT監視強化 T-7000/25*2 T-7/70*4

1985

2F-3: PODIA PODIA原型

規制基準20年の空白期間 技術進歩に取り残される

2005 性能規定

2013/12/9関東シンビオ・黄檗会共同開催講演会 平成25年12月14日 牧野眞臣 27

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分析フロー図(いきさつダイヤグラム)、教訓集

データベースへの入力、 傾向分析、審査・検査へのインプット

国内事例 法律に基づく報告事象のうち、HFに関連するもの全件及びHP等からの重要事例

海外事例 IRS報告事例等からHFに関連した重要事象を選定

時系列的に事象を整理

関連するHF要因の抽出

汲み取るべき教訓事項の抽出

再発防止対策の検討

規制への反映事項抽出

事故・ トラブル

国内外の トラブル事例等

IRS:Incident Reporting System (IAEAの国際事象通報システム)

事例の収集 ②分析・評価・教訓抽出 ③成果の活用 ①人的過誤事例 の選別

人的過誤事例分析システムによる分析の流れ

2013/12/9関東シンビオ・黄檗会共同開催講演会 平成25年12月14日 牧野眞臣 28

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●困難な作業特性 ●作業負荷要因 ●作業時間要因 ●並行・突発作業 他

作業の特性

●チーム構成・組織 ●指示・監督等 ●職場モラル 他

職場の環境

●教育・訓練 ●規定・手順書 ●作業計画 他

管理の特性 ●ヒューマンマシンインターフェイス ●作業場所要因 ●作業環境要因 ●特殊な装備 他

作業の環境

●心理的ストレス ●生理的ストレス ●主観的要因 ●作業遂行能力 他

個人の特性

組織的要因

ヒューマン ファクター(狭義)

人的要因

安全文化の要素

JNES分析の人的過誤要因

(ヒューマンファクター)

2013/12/9関東シンビオ・黄檗会共同開催講演会 平成25年12月14日 牧野眞臣 29

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色 外界要素

内面 要素

釈迦の分析 人はこの世をどう認識しているか

ひとりの人間は5つの基本要素、五蘊の集合体4)5)

「色」;外界要素 「受」;外界から刺激を感じ取る感 受の働き、感覚感情 「識」;対象を分析したり分類して 認識する作用、知識 「想」;いろいろな考えをあれや これやと組み上げたり 壊したりする構想の働き、概念 「行」;何かを行おうと考える意思の 働き、意思活動

2013/12/9関東シンビオ・黄檗会共同開催講演会 平成25年12月14日 牧野眞臣 30

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ラスムッセン 人間の認知行動モデル と 釈迦の五蘊

入力情報 出力行動 色 (外界要素)

目標決定 手順・計画

予測・評価 達成基準判断

解釈 意識的同定

判断・結合 状態/タスク

想 認識

パターン認識

特徴検知 観察

自動的感覚・行動パターン

受 (内面要素) 行

手順規則の 想起・選択

2013/12/9関東シンビオ・黄檗会共同開催講演会 平成25年12月14日 牧野眞臣 31

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作業内容別人的過誤発生件数 (法令・通達対象事象)

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管理特性要因の構成比率の増加 (法令・通達対象の報告書に基づく人的過誤事例分析結果)

2013/12/9関東シンビオ・黄檗会共同開催講演会 平成25年12月14日 牧野眞臣 33

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稼動基数当たりの法律・通達対象事象の報告件数と、報告件数に占める人的過誤事象の割合の経年変化

0.00

0.50

1.00

1.50

2.00

2.50

3.00

3.50

4.00

1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006

年度

稼動

基数

当た

りの

報告

件数

0.0%

10.0%

20.0%

30.0%

40.0%

50.0%

60.0%

70.0%

80.0%

90.0%

報告

件数

に占

める

人的

過誤

事象

の割

稼動基数当たりの報告件数

人的過誤割合(%)

線形 (人的過誤割合(%))

組織要因顕在

国に報告されたトラブル事象と 人的過誤発生の推移(1プラント当たり)

▲原電敦賀1号機放射性廃液漏えい事故 ▲チェルノブイリ事故 ▲動燃もんじゅナトリウム漏えい事故

▲動燃アスファルト固化処理火災 ▲原電工事使用済み燃料輸送容器データ改ざん

▲JCOウラン加工工場臨界事故 中電浜岡1号機余熱除去系配管破断事故▲

東電自主点検記録不正問題発覚▲ 関電美浜3号機二次系配管破損事故▲

北陸電志賀1号機CR引き抜け臨界発覚▲

他産業における 人的過誤発生割合 概ね 70%~80%

委員会等で人的過誤等の不適合是正 徹底を指摘 ⇒ 透明性増

人的過誤割合が増加傾向

2013/12/9関東シンビオ・黄檗会共同開催講演会 平成25年12月14日 牧野眞臣 34

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近年発生の組織関連の事例 1995年 動燃もんじゅナトリウム漏洩事故 1997年 動燃アスファルト固化処理施設の火災爆発事故 1998年 原燃輸送(株)及び原電工事(株)使用済み燃料輸送容器データ改竄 1999年 JCOウラン加工工場臨界事故 2001年 中部電力浜岡1号余熱除去系配管破断 2002年 東京電力自主点検記録不正問題発覚 2004年 関西電力美浜3号機二次系配管破損事故 2006年 電力各社データ改ざん問題発覚 2007年 北陸電力志賀1号機臨界事故隠蔽発覚

これらの事故報告書等で指摘の組織の問題点

■ 組織の閉鎖性 ■ 情報伝達の不足 ■ 経験・知見の形骸化、技術伝承の問題 ■ 基本的認識の風化 ■ 法令遵守や記録の保全の問題 ■ 外部への情報提供に対する認識不足 ■ 全社的な品質保証機能の麻痺 ■ 安全文化の綻び

2013/12/9関東シンビオ・黄檗会共同開催講演会 平成25年12月14日 牧野眞臣 35

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トラブル・事故防止の基本

問いかけ

間 気配り

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安全文化に関する法令等

核原料物質、核燃料物質および原子炉の規制に関する法律

(運転・保守段階での安全文化醸成活動)

実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則

保安規定条項 ; 安全文化を醸成するための体制(経営責任者の関与を含む) を義 務付けた。 (設計・工事段階での安全文化醸成活動)

実用発電用原子炉に係る発電用原子炉設置者の設計及び工事に係る 品質管理の方法及びその検査のための組織の技術基準に関する規則 【原子力規制員会規則第8号(公布2013.6.28、施行2015.07.08)】 (補遺1参照)

品質管理監督システム条項; 安全文化を醸成するための活動を行う仕組みを義務付けた。 2013/12/9関東シンビオ・黄檗会共同開催講演会 平成25年12月14日

牧野眞臣 37

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事業者の保安活動 C

P D

文化

文化

風土

風土

規範

規範

保安検査 総合評価/年

定期安全レビュー 10年毎

PDCA サイクル

RCA 結果

劣化 兆候

気づき 指摘

事業者協議・取組要請 取組の奨揚 保安検査官の保安検査による総合評価

事業者による安全文化・組織風土醸成の取組を監視

評価の視点となる安全文化14要素 規制当局が事業者の安全文化・組織風土の劣化防止に 係る取り組みを評価するガイドライン

この風土・文化・規範の概念図は原子力安全委員会主催安全文化国際シンポジウム(2006年3月)吉田道雄(熊本大学)講演資料に基づき作成

集団

評価指標 設定

●活動結果 ●劣化兆候

核原料物質、核燃料物質および原子炉の規制に関する法律 ◆保安規定を定め認可を受ける ◆原子炉設置者およびその従業員は保安規定を遵守。等 実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則 ◆保安規定:安全文化醸成の体制(経営責任者の関与を含む。 等

保安規定の例 ◆社長は安全文化醸成基本方針を定む ◆安全文化醸成活動計画の年度毎策定 ◆PDCAサイクル

2013/12/9関東シンビオ・黄檗会共同開催講演会 平成25年12月14日 牧野眞臣 38

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原子力を巡る安全文化の崩壊

2013/12/9関東シンビオ・黄檗会共同開催講演会 平成25年12月14日 牧野眞臣 39

2011年3月11日福島事故発生

90年代

良好な運転実績

90年代後半以降 継続して組織事象発生 安全文化の劣化兆候

06年審議会 安全文化醸成に向け 在り方・評価の検討

07年運転規則改定 安全文化劣化防止、 不適合是正 徹底に規制対応

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原子炉水位

LT

HS HR

基準器 (凝縮器)

原子炉水位計(差圧式液面計)の計測原理 燃料域水位計の場合

原子炉 圧力容器

△P

Hs : 基準器水面高さ HR :原子炉水面高さ γs : 基準器水比重 γR : 原子炉水比重

基準器側 水頭圧

炉水位側 水頭圧

△P= γs ・HS-γR・HR

2013/12/9関東シンビオ・黄檗会共同開催講演会 平成25年12月14日 牧野眞臣 40

プラント 日付 雰囲気温度

福島第一原発1号機 3月22日 400 ℃

福島第一原発2号機 3月30日 173.5℃

福島第一原発3号機 3月22日 403.4℃

HS ⇒ 0 原子炉水位指示形 ⇒ 高め指示

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原子炉水位計(燃料域)の校正

出典; 東京電力提示資料による

2013/12/9関東シンビオ・黄檗会共同開催講演会 平成25年12月14日 牧野眞臣 41

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出典: 福島第一原子力発電所第2号機原子炉圧力容器底部における温度上昇を踏まえた対応に係る報告について 平成24年2月15日 東京電力株式会社 頁30

原子炉圧力容器温度計設置位置 (2号機の例) (炭塗りは未使用計器または使用不可計器)

2013/12/9関東シンビオ・黄檗会共同開催講演会 平成25年12月14日 牧野眞臣 42

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各種熱電対の組成と使用温度

銅ーコンスタンタン CC 常用限度200~300℃ 加熱使用限度250~350℃

出典 川口千代二・荒克之 “原子炉の計測 ” (幸書房)頁63

熱電対の過熱使用限度

福島事故時

加熱使用限度

を超えている。

2013/12/9関東シンビオ・黄檗会共同開催講演会 平成25年12月14日 牧野眞臣 43

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1/2号機 (一部温度計除く)で実施 全体的な温度計の指示値と評価値の乖離 概ね 20℃以内 温度計誤差 最大20度程度 冷温停止状態の定義 100度以下 保安規定 運転上の制限 80度以下 出典; 東京電力株式会社福島第一原子力発電所第1~4号機に対する「中期的安全確保の考え方」に関する東京電力からの報告書(そ

の1)(改定)の受理及び第2回意見聴取会の開催について 原子力安全・保安院 平成23年11月9日 別添 頁1-48

原子炉圧力容器設置温度計の温度評価

2013/12/9関東シンビオ・黄檗会共同開催講演会 平成25年12月14日 牧野眞臣 44

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福島事故の教訓 原子力安全に関するIAEA閣僚会議に対する日本国政府の報告書 -東京電力福島原子力発電所の事故について- 平成23年6月原子力災害対策本部 より

(28)安全文化の徹底

今後は、原子力安全の確保には深層防護の追及が不可欠であるとの原点に常に立ち戻り、原子力安全に携わる者が絶えず安全に係る専門的知識の学習を怠らず、原子力安全確保上の弱点はないか、安全性向上の余地はないかの吟味を重ねる姿勢を持つことにより、安全文化の徹底に取り組む。

写真 東京電力HP 東日本大震災の福島第一・第二原子力発電所の状況 報道配布写真・動画 2011年3月16日福島第一原子力発電所4号機(2011年3月15日撮影) 2011年3月16日福島第一原子力発電所1~4号機(2011年3月15日撮影) http://www.tepco.co.jp/tepconews/pressroom/110311/indexold-j.htmlより

2013/12/9関東シンビオ・黄檗会共同開催講演会 平成25年12月14日 牧野眞臣 45

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安全文化14要素 事業者(注1)非常時

指摘件数(%) 事業者(注2)定常時

指摘件数(%)

トップマネジメントのコミットメント 16 1

態度・意欲 14 4

上級管理者の明確な方針と実行 13 3

誤った意思決定を避ける方策 10 4

事故・故障等の未然防止に取り組 む組織

10 14

コンプライアンス 9 9

学習する組織 8 8

常に問いかける姿勢 7 20

作業管理 1 19

良好なコミュニケーション 1 7

総指摘件数 総指摘件数 161件 562件

(注1) 東京電力、(注2) 原子力発電所を運転するすべての事業所、 (注3) 東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会報告(政府)、東京電力福島原子力発電所事故調査委員会国会事故調報告書

事業者の安全文化に関する問題点 福島事故調(注3)と安全文化総合評価(保安検査)の指摘事項の比較

●赤グループ 通常時は、潜在しているが、 事故時に顕在化した経営層 のリーダーシップやマネジメ ント力に関する要素 ●黄色グループ 通常時、事故時に共通して みられる要素 ●緑グループ 通常時には、多く指摘され るが、事故時にはあまり指 摘されなかった要素

⇒ 普段潜在している赤グループ(経営層のリーダーシップやマネジメント力 に関する要素)を表出する仕組みが重要。

● 安全文化の劣化に気づかず、改善に向けた活動が不足していた状況は、旧原子力経営層がリーダーシッ プを発揮しきれなかったことに端を発している。 ● 緊急時に組織の権限と責任の不明瞭さが顕在化したが、平常時においても同様にマネジメントの権限と 責任は曖昧さが目立っている。(福島原子力事故の総括および原子力安全改革プラン 2013年3月29日東京電力株式会社)

2013/12/9関東シンビオ・黄檗会共同開催講演会 平成25年12月14日 牧野眞臣 46

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無明がもたらした組織事故 釈迦の教え: 強欲、傲慢等などの煩悩のおおもとは「無明」。6)

「無明」: 智慧がないこと。ものごとを正しく、合理的に考える力が欠如している こと。すなわち現実をありのままに正しく認識できないこと。 「諸行無常」: この世で起こっているすべてのものごとは、因果の法則に従って、時 々刻々変化するものであり、永遠不滅なものなど、どこにもない。 前出原子力安全に関するIAEA閣僚会議に対する日本国政府の報告書野内容 福島原子力事故の総括および原子力安全改革プラン (2013年3月29日東京電力株式会社)

・ 原子力の安全は既に十分に達成されていると認識し、原子力不祥事を安全文化劣 化の兆候とは捉えず、コミュニケーションスキルや課題解決手法の不足と捉えたた め、組織的に安全意識を向上させる対策が不十分であった。

・ 劣化の兆候を示す現象は以前から顕在化しており、当社の安全文化は決して良い 状態ではなかったにも関わらず、これまでの自己評価では「安全文化の劣化の傾向 はない」とし、そのため安全文化の取り組みを改善し向上させる機会を逸してきたも のと考える。安全文化の劣化に気づかず、改善に向けた活動が不足していた状況 は、旧原子力経営層がリーダーシップを発揮しきれなかったことに端を発していると 考えられる。 福島事故は無明が生んだ組織事故である。

2013/12/9関東シンビオ・黄檗会共同開催講演会 平成25年12月14日 牧野眞臣 47

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安全文化は行き着いた状態を示すのではなく 前進しているプロセスである。

活動へのトップのリーダーシップ発揮と援助が止まった途端に安全文化は、退化をはじめる。

安全文化の醸成活動 ・ 安全最優先の安全文化意識を組織全体に浸透させること。

・ 経営層レベルのコミットメントが言葉だけに終わることなく、 日常的に実際にフォローアップされ実行されていくように適 切な措置を取ること。 最前線からのボトムアップも必須。

2013/12/9関東シンビオ・黄檗会共同開催講演会 平成25年12月14日 牧野眞臣 48

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原子力安全委員会規則第5号(設置許可基準) 原子力安全委員会規則第6号(技術基準)

第二章 設計基準対象施設(第3条~36条) 第二章 設計基準対象施設(第4条~48条)

(誤操作の防止)第10条:設計基準対象施設の誤操作防

止、安全施設の容易な操作性 (解釈に具体的要件)

(原子炉制御室等)第38条2:原子炉制御室に原子炉を安

全に運転するための主要な装置を集中、かつ、誤操作なく

適切に運転操作可能 (解釈に具体的要件)

(安全施設)第12条:環境条件での機能発揮 (安全施設)第14条:環境条件での機能発揮

(安全施設)第12条:運転中又は停止中の試験又は検査 (非常用炉心冷却設備)第32条:運転中の試験。 (安全保護装置)第35条:運転中の試験。

(原子炉格納施設)第44条:運転中の試験。

(安全施設)第12条:重要安全施設の共用又は相互接続の禁

止等

(運転時の異常な過度変化及び設計基準事故の拡大の防止)

第13条:設計基準対象施設の要件、設計基準事故時の要件

(設計基準対象施設の機能)第15条:通常運転時、運転時の異

常な過渡変化時の制御能力の要件、その健全性及び能力の

確認、安全保護装置・非常用炉心冷却設備その他非常時に

原子炉の安全性確保に必要な設備及びそれらの付属設備の

共用又は相互接続の禁止等

(安全保護回路)第24条:1異常な過渡時の機能、2設計

基準事故時の機能、3多重性の確保、4独立性の確保、

5故障時の機能、6不正アクセス行為等による被害の防止、

7計測制御系統施設からの機能的分離。

試験可能性は、第12条に統合。

(安全保護装置)第35条: 1異常な過渡時又は地震発生 時の機能、2多重性の確保、3独立性の確保、4故障時の 機能、5不正アクセス行為等による被害の防止、6計測制

御系からの機能的分離、7運転中の試験可能性、8運転条

件に応じて作動設定値の変更。(解釈にデジタル安全保護系適用に当たっての要件;JEAG4620-2008の技術評価結果)

(原子炉制御室等)第26条:1原子炉制御室の設置、①設

計基準対象施設の健全性確保に必要なパラメータの監視、

②発電用原子炉施設外の状況把握、③安全性確保に必要な

手動操作、2制御室外からの原子炉停止機能、3制御室の 居住性に関する設計上の考慮

(原子炉制御室等)第38条:原子炉制御室の設置、2原子

炉の安全運転のための装置を集中、かつ、誤操作なく適切

に運転操作可能(解釈(別記7)に具体的要件)、3発電用原子炉施設外の状況把握、4制御室外からの原子炉停止機能、5制御室の居住性に関する設計上の考慮、6酸素濃度計の設置

2013/12/9関東シンビオ・黄檗会共同開催講演会 平成25年12月14日 牧野眞臣 49

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原子力安全委員会規則第5号(設置許可基準) 原子力安全委員会規則第6号(技術基準)

(緊急時対策所)第34条:緊急時対策所を原子炉制御室以

外の場所に設置

(緊急時対策所)第46条:緊急時対策所を原子炉制御室以

外の場所に設置

(計測制御系統施設)第23条:計測制御系統施設の設置、

1、2炉心、原子炉冷却材圧力バウンダリ、原子炉格納容

器バウンダリ、関連系統の健全性確保の監視に必要なパラ

メータは、通常運転時及び運転時の異常な過渡変化時に想

定範囲内に制御、監視可能、3設計基準事故発生時の状況 把握、対策のため必要なパラメータは、設計基準事故時の 想定環境下で、十分な測定範囲及び期間にわたり監視可能 4原子炉の停止、炉心の冷却に係るパラメータは、設計基 準事故時にも二種類以上監視、又は推定可能。5原子炉停 止、炉心冷却、放射性物質閉じ込め機能の状況監視に必要 パラメータは、設計基準事故時に確実に記録、保存。

(計測装置) 第34条:1中性子束密度、炉周期、制御棒

位置等①~⑮(下記ノート参照)に掲げる事項の計測装置 の設置。直接計測困難な場合は、間接的に測定する装置の 施設。2⑥の線量当量率計測装置の多重性及び独立性確保 3⑫~⑭(⑭使用済燃料その他高放射性の燃料体を貯蔵する水槽の水温及び水位)は、外部電源喪失時にも計測可能4①、③~⑮は、計測結果の表示、記録、保存。ただし、設計基準事故時計測の主要装置以外で、断続的に試料分析を行う装置は運転員その他従事者が測定結果を記録、保存し、その記録確認で代替可能。

(燃料体等の取扱施設及び貯蔵施設)第16条 3使用済

燃料貯蔵槽の水位及び水温並びに燃料取扱場所の放射線量

を測定できる設備の設置。

①使用済燃料貯蔵槽の水位及び水温並びに燃料取扱場所の

放射線量の異常検知し、原子炉制御室に伝え、又は異常が

生じた水位及び水温を自動的に制御し、並びに放射線量を

自動的に抑制。

②外部電源が利用できない場合においても温度、水位その

他の発電用原子炉施設の状態を示すパラメータを監視。

(警報装置等)第47条 1発電用原子炉施設の機械又は器 具の機能喪失、誤操作その他異常で原子炉運転に著しい支 障のおそれ発生の場合、第34条第1項⑨の放射性物質の 濃度又は⑫及び⑬の線量当量率が著しく上昇の場合又は流 体状の放射性廃棄物の処理、貯蔵設備から流体状の放射性 廃棄物の著しい漏えいのおそれ発生の場合、確実に検出、 自動的に警報する装置の施設。2発電用原子炉施設には、 使用済燃料貯蔵槽の水温の著しい上昇又は使用済燃料貯蔵 槽の水位の著しい低下を確実に検知、自動的に警報する装 置の施設。ただし、水温の著しい上昇又は水位の著しい低 下に自動的対処機能を有する場合、この限りでない。3原 子炉、一次冷却系統、放射性廃棄物の処理、貯蔵設備に係 る主要な機械又は器具の動作状態を表示する装置の施設。

2013/12/9関東シンビオ・黄檗会共同開催講演会 平成25年12月14日 牧野眞臣 50

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原子力安全委員会規則第5号(設置許可基準) 原子力安全委員会規則第6号(技術基準)

第三章 重大事故等対象施設(第37条~62条) 第三章 重大事故等対象施設(第49条~78条)

(特定重大事故等対処施設)第42条 工場等には、特定重

大事故等対処施設を設置。3原子炉建屋への故意による大

型航空機の衝突その他のテロリズムの発生後、発電用原子

炉施設の外からの支援が受けられるまでの間、使用可能。

(特定重大事故等対処施設)第53条 工場等には、特定重

大事故等対処施設を施設。3原子炉建屋への故意による大

型航空機の衝突その他のテロリズムの発生後、発電用原子

炉施設の外からの支援が受けられるまでの間、使用可能。

(重大事故等対処設備)第43条 重大事故等対処設備の要

件規定。 (重大事故等対処設備)第54条 重大事故等対処設備の要

件規定。

(計装設備)第58条 重大事故等発生し、計測機器(非常

用含む。)故障で当該重大事故等の対処に監視の必要なパ

ラメータの計測が困難となった場合において当該パラメー

タの推定のため有効な情報を把握できる設備を設置。

(計装設備)第73条 重大事故等発生し、計測機器(非常

用含む。)故障で当該重大事故等の対処に監視の必要なパ

ラメータ(設置許可基準規則第16条第3項第2号に規定

のパラメータ)の計測が困難となった場合において当該パ

ラメータの推定のため有効な情報を把握できる設備を施設。

(原子炉制御室)第59条 第26条第一項規定で設置の原

子炉制御室には、重大事故発生の場合も運転員がとどまる

ために必要な設備を設置。

(原子炉制御室)第74条 第38条第一項規定で設置の原

子炉制御室には、重大事故発生の場合も運転員がとどまる

ために必要な設備を施設。

(緊急時対策所)第61条 第34条規定で設置の緊急時対

策所は、重大事故等発生の場合も当該重大事故等に対処す

るための適切な措置が講じられる。①必要な指示を行う要 員がとどまることができる。②必要な指示ができるよう、 重大事故等に対処するために必要な情報を把握できる。③ 内外の必要場所と通信連絡ができる。2重大事故等に対処 するために必要な数の要員を収容することができる。

(緊急時対策所)第76条 第46条規定で設置の緊急時対

策所は、重大事故等発生の場合も当該重大事故等に対処す

るための適切な措置が講じられる。①必要な指示を行う要 員がとどまることができる。②必要な指示ができるよう、 重大事故等に対処するために必要な情報を把握できる。③ 内外の必要場所と通信連絡ができる。2重大事故等に対処 するために必要な数の要員を収容することができる。

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真円法主: ・ 「我利、我利」で自分のことばかりに気をとられていると失敗する。常に 「自利利他」の精神が大切だ。 ・ 「自利利他」とは、修行によって自己が悟りに至る努力をすること、また それによって他人の救済のために尽くすこと。また、自分の利益になる ことは、他人の利益にもなるようにすること。2)

酒井大亜砂利: ・ 「忘己利他」が今の世の中には、欠けている。 ・ 「忘己利他」とは、自分のことを忘れ、他の人々に尽くせ、己を忘れて他を 利すること。3)

釈迦の教え: ・ まず自利があって、それが結果的に利他につながるような行いが善行。 ・ 自分の修行の道を最優先する。そして、それを他者にも教えることで、人 の役に立とう。6)

我利我利では失敗。自利利他・忘己利他が大切

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諦めて、あきらめない • 時宗長楽寺の故體山大僧正は、私に問うた。

『最新鋭技術の粋を極めたロケットに、厳しい訓練を受けた宇宙飛行士が

乗り組むその寸前、タラップで十字をきっている。技術者としてどう見るか。』

『無意識に神秘の力にすがっている。あれが宗教だ』と。

• 時宗真円法主に教わったこと。

『諦めて、あきらめない』。

『諦める(明らめる)』とは、真実真理を明らかにすること。『諦めて、あきらめない」の境地に至ると、他力不思議の力でもって救われる。

さらに、『辛い』という字に一本足すと『幸せ』という字になる。その一本こそ

がまさに南無阿弥陀仏の大慈大悲のおめぐみである。』

法主はさらに言う 『九十四歳、今こそ青春!』2) と。

さて、この一本は皆さんにとって何でしょうか。

• 福島事故の原因究明、汚染水対応等は、どこまでも 「諦めて,あきらめない」ことが重要。最後に仏にすがることはできない。

• 私もまだまだあきらめないで、諦めていきたい。

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参考図書

1) 石田却石 「続 槐安国語講話」、巻二 住大徳語要、 宗教法人人間禅教団、1993

2) 時宗法主・遊行七四代 他阿真円 「捨ててこそ人生は開ける」、東洋経済新報社、2013

3) 酒井雄哉 「賢バカになっちゃいけないよ」、PHP研究所、2010

4) 佐々木閑 「般若心経」、NHK出版、2013

5) 松原泰道 「般若心経入門」、祥伝社、1976

6) 佐々木閑 「ブッダ 心理のことば」、 NHK出版、2012

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