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事 務 ・ 一 コメディカル部門・事務部門

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臨 床 Ⅲ

事 務 ・ 一 般 演 題

コメディカル部門・事務部門

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臨床Ⅲ ●一般演題● コメディカル・事務部門 ①

緊急対応が可能な血液製剤の在庫最適化に対する取り組み

島原病院 検査科 1) 血液内科 2)

○前田 智尋 1) 久原 貴志 1) 入江 太 1) 林 德眞吉 1) 小川 大輔 2)

1.はじめに

長崎県島原病院は、病床数 254 床、診療科は、血液内科、消化器内科、呼吸器内科、循環器内科、

外科、整形外科、脳神経外科 、泌尿器科、放射線科、麻酔科、病理診断科等があり、H26年度の手術

患者数は 1516 名、赤血球製剤(RBC)の使用数は 1042 パック(P)である。当院の地理的特徴として

日本赤十字社血液センター(日赤)からの製剤の供給が 2時間以上を要する僻地の病院であり、緊急

輸血時の対応として O型 RBCを 2P院内保管し、緊急時の対応としていた。H26年度の RBCの廃棄率は

約 3%に上り、そのうち O 型の RBC の割合が 65.6%と高く、O 型 RBC の廃棄率を下げる事が課題であっ

た。廃棄の主な原因は、院内保管している O型 RBCの在庫期限切れに原因があると考え、日赤、血液

製薬事業会社(問屋)と当院で三者協議を行い、対策を検討した。

2.対象と方法

まず問屋の RBC在庫数を増やしての対応を依頼したが三者協議の結果、業務上困難とされ断念した。

代案として、車で 1時間の距離にある問屋の諫早支店にある予備的在庫を緊急時に融通して貰うよう

交渉。予備的に支店間で移動させた RBCは、使用しなかった場合、支店間で融通して構わない事を日

赤と確認できたため実現となった。これに伴い、院内保管 O型 RBCを 2Pから lPに削減した。この効

果を検証するため、緊急輸血時に不測の事態が起きないかの観察と、廃棄数・廃棄率を調査比較し検

討した。比較対象期間を H23年~H26年(4年間)の 5月~8月とし、変更後の H27年 5月~8月と比較

した。

3.結果

在庫 O 型 RBC 数の変更により、H26 年度(5~8 月)O 型の廃棄率 16.4%から H27 年度 3.4%に削減でき

た。

107

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臨床Ⅲ ●一般演題● コメディカル・事務部門 ①

O型廃棄率減少により全体の廃棄率も改善された。

日赤・問屋・当院での三者協議により、院内 RBCが不足した場合は、近距離にある問屋支店間にお

ける RBCの運搬によって今までより短時間で製剤が供給される体制が確立された。

16.4%

3.4%

0.0%

2.0%

4.0%

6.0%

8.0%

10.0%

12.0%

14.0%

16.0%

18.0%

H23 H24 H25 H26 H270

20

40

60

80

100

120

140

160

廃棄率(%

) P数

O型4年間(5~8月)

廃棄率推移

使用P数

廃棄率

(廃棄数;3)

(廃棄数;6)

(廃棄数;12)

(廃棄数;2)(廃棄数;4)

108

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臨床Ⅲ ●一般演題● コメディカル・事務部門 ①

在庫用 O型 RBCの在庫を削減して懸念された血液不足は、医師との連絡を緊密に取り、事前に利用

数を予測して発注をかけるなどの工夫で,現在までのところ問題なく運用されている。

5.考察

緊急輸血時は、院内在庫が不足しがちな為、最初の輸血 RBC数が重要である。そのため、輸血に携

わる技師の予備的な心構えが非常に重要と考えられる。今後も院内在庫が O型 1Pで対応できるか、輸

血までにかかる所要時間は適切か、また、緊急時における異型輸血の頻度も含めて検討していきたい。

【質疑応答】

○座長 :今回の発表は、対策で時間短縮を図って廃棄率が減らせたという効果が見られているよう

ですが、輸血は特殊な印象があるんですが、輸血の検査等でほかに何か病院として取り組

んでいることはないでしょうか。

○前田 :ほかに取り組んでいることは、輸血まで医師が依頼してパックを渡すまでにかかる所要時

間というところで、輸血にかかわる一連の作業の時間ということで、依頼から製剤が到着

する時間と検査の時間、そしてその製剤を看護師さんに渡して輸血する時間、それぞれの

時間を事細かに記入することによって、スムーズにできてるかを評価し、輸血療法委員会

という院内で行われている委員会で情報を提供しています。

○座長 :ありがとうございました。これからも頑張っていってください。

では、前田さん、ありがとうございました。

109

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臨床Ⅲ ●一般演題● コメディカル・事務部門 ②

透析患者のデータを介しての栄養指導を行って

上五島病院 栄養管理室

○湯川 徹也

1.はじめに

平成 21 年 11 月に有川病院から有川医療センターに変更になると同時に、栄養士が不在となり透析

患者の栄養管理を透析スタッフが中心となり行っていた。平成 25 年 5 月から月 4 回午前中のみ業務

派遣が始まり、透析患者の栄養管理及び指導を行うようになった。そこで、定期血液検査データ用い

て栄養指導を行い、見えてきた内容と今後の課題について報告する。

2.対象と方法

平成 25 年 6 月から平成 27 年 5 月の期間に有川医療センターに通院する透析患者 35 名中栄養指導

を実施した 22 名に対し、定期血液検査や体重増加率から、GNRI、1 日食塩推定量を計算した。

それを基にベッドサイドで聞き取り調査をし、栄養指導を実施した。

その後 1 ヵ月、半年、1 年と、どのように効果が現れるか調査した。

3.結果

栄養指導を行った患者の内、28%が体重増加、27%が高リン血症、17%が高カリウム血症であった。

体重増加は食塩の過剰による水分摂取の増加が1つの原因で

ある為、減塩指導を行い、平均で1ヶ月後に1g減少したが、

半年後、1年後には、1ヶ月後と比べ約 0.5g 増加し、維持透析

患者の食事摂取基準6g未満には至らなかった。

高リン血症に対しては、適正な蛋白質量の摂取やリンの少な

い食材選び、間食の調整などを指導した。その結果、介入開始

時の血清リン値の平均が 6.9mg/dl であったのに対し、1 年後に

は 5.1mg/dl まで低下し改善がみられた。しかし中には、過剰に

蛋白質を減らしすぎるあまり、低栄養状態に陥ってしまった患

者もいた。

栄養状態を表すGNRIについては介入開始時 90 で中等度

栄養障害であったのに対し、1 年後には 92 と軽度栄養障害にな

ったが、あまり変動はなかった。

110

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臨床Ⅲ ●一般演題● コメディカル・事務部門 ②

4.考察

今回ベッドサイドでの継続した栄養指導をする事で、栄養状態を保ちながらリンのコントロールを

する事が出来た。しかし、リンを下げるための蛋白質の減量は、栄養状態の悪化を招く恐れがある為、

具体的な献立の提示や調理法を示し、バランスを保って指導する事が重要であると感じた。

減塩指導で効果が表れなかった原因として、患者の実践が困難であった事と、聞き取り調査がうま

くいかず一方的な栄養指導になった事が考えられる。主な調理者が本人以外の場合は、本人のみの指

導では改善が困難な場合がある為、家族と一緒に指導を受ける事で効果が現れやすいのではないかと

考える。

今後は、聞き取り調査方法を再検討し患者が行動に移せる媒体の作成等をし、指導内容を充実させ

ていきたい。また、日々の業務の中で長年透析をうけている方の食変動は困難であると感じる。その

為、食事に対する意識が比較的高い透析導入時の栄養指導と定期的なフォローを行う事で、患者はよ

り良い食生活を送れるのではないかと考える。

参考文献 『日本腎臓学会誌』49 巻 8 号「慢性腎臓病に対する食事療法基準 2007 年版」P872

【質疑応答】

○座長 :では、私のほうから。皆さんも少し気になっていると思うんですけども、この中でカリウ

ムについてが入っていなかったんですけども、僕らも血清カリウム値についてはよく臨床

上も気にするところなので、一覧についてはどのような内容で指導等されているでしょう

か。

○湯川 :カリウムについては、透析スタッフの聞き取りなどで果物が多かったり、芋類が多かった

りというのがあったので、その件について指導したのと、あと一つは、全体的に摂取量が

多いなどというのも血液データなどから判断し、患者と話しながら行っていきました。

やっぱり上五島地区にかかわらず、田舎の地域とかでは物々交換などで、夏みかんがは

やったときには夏みかんが手元にあって、それをどうするのかというので、季節に応じた

食品があふれてきたりすると思うので、今後はその件に関しては言葉で注意したりとかが

割と多かったんですが、今後しっかり、自分が今まで言葉で行ってきた指導などを資料に

まとめて患者に渡し、継続してコントロールできるようにしていきたいと考えています。

○座長 :わかりました。

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臨床Ⅲ・事務 ●一般演題● コメディカル・事務部門 ④

手外傷患者の職業復帰への考察:シングルケースより

対馬病院 リハビリテーション科 作業療法士

○久野 孝

1.はじめに

手の外傷では、一過性のものから長期に渡る後遺症で生活に影響が残るものまで多岐にわたる。自分が

担当する橈骨遠位端骨折患者の中から、特徴的な50代後半の男性の症例を通して職業復帰までの患者

の「おもい」を半構成的なカテゴリー分類の手法により考察してみた。

2.対象と方法

本人へのインタビューを行い、録音、逐語化していく。その中から、カテゴリーを抽出し、それを小、

中、大カテゴリーに編成していく。その後、2 回目以降には、問題点の深化を図っていく。こうして得

られたカテゴリーから本人にとっての仕事とは何か?どのような手の機能があったら得られるのか?

などを横断的に探っていく。

3.結果

15分と10分の合計25分の録音からカテゴリーを抽出し

て、それらを中、大カテゴリーに整理した。Ⅰ期事故(入

院から退院まで)Ⅱ期退院~(外来)~一年後の抜釘術(再

手術)まで③それ以降~現在までという時間的な枠組みが

得られた。再手術までは生産活動も少なく、手の機能を生

かしきれず趣味のパチンコ中心の生活だったが、再手術以

降には本人の職業への意識的なかつ前向きな動きが見られ

ていた。

4.考察

本人は漁業に従事していたが不況になり工事現場に行き、そこで高所より転落して受傷する。高血圧

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臨床Ⅲ・事務 ●一般演題● コメディカル・事務部門 ④

の持病も抱えて段々と工事現場の仕事には無理があり今回の事故(左橈骨遠位端骨折)で工事現場の仕

事からは遠ざかる。(シャベルが持続的に使えない、握力、把持力が弱いなど)労災受給しながらも、

どう生活の基盤を立て直すかを模索するようになる。リハビリ的には握力の増加、関節可動域の改善な

どがここ一年半の活動の成果になるが、一般就労にはつながらなかった。しかし、心理的な変化は前向

きに見られており、就労へのステップアップを図ることが出来た。

5.まとめ

一般的にリハビリでは「良くなること:身体機能の回復」が前提に求められやすいが、その大半は後

遺症を抱えつつの生活になり就労出来ない場合も多い。自営業の場合に一般就労とは違い、自分で痛み

と休養を調整できる利点があると本人は言及するようになった。本人が現在の置かれた環境で仕事を前

向きに捉えられたことは大きな成果だったと思う。

【質疑応答】

○座長:僕は整形外科医をしていまして、こういうけが、外傷を僕らが頑張って手術したとしても、ど

うしても後遺症的なものが残って就労に復帰できないという方がどうしても出てしまうんです

けども、先ほども新しいスタイルの治療とか言われていましたが、仕事に向けてというので普

通の、例えば可動域を上げるだけのリハビリとか、筋力を上げるだけとはまた違う工夫があっ

たとは思うんですけど、具体的にどのようなことをされたか、教えていただければ。

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臨床Ⅲ・事務 ●一般演題● コメディカル・事務部門 ④

○久野:関節可動域訓練にかなり時間も割いたのは事実ですが、そこで改善できなかった部分を、もち

ろんその前に渦流浴とか行って温めてから動かすとかそういう基本的なことはしましたけれど

も、漁師さんというのはもともと引き上げる力が強いので、手がかなり肥厚化してるというか、

硬いわけですね、手指とかも。それで、こういうオーケーサインがうまくつくれないというこ

とがありました。それを毎回始めに自主的に練習してもらったり、ひもを引っ張ってもらった

り、そういった形で少しでも可動域を広げるようには工夫しました。

○座長:ありがとうございます。

114

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臨床Ⅲ ●一般演題● コメディカル・事務部門 ④

当院地域包括ケア病棟の現状と課題

島原病院 リハビリテーション科

○藤林 麻衣子 前田 和崇 平山 美貴 坂本 紘 田中 静子(看護部)

1.はじめに

平成 26年 10月から長崎県島原病院では 50床の地域包括ケア病棟(以下、当病棟)の運用を開始

した。その主な役割としては①急性期病床から患者を受け入れ、②在宅への復帰支援を行うことであ

る。現在、医師や看護師、リハビリテーション(以下、リハ)科療法士、MSW、栄養士が参加する

毎朝 30分程度のカンファレンスや患者・家族との面談を行い、今後の方向性決定や問題解決に取り

組んでいる。急性期病院の中で在宅復帰を支援する病棟として多職種の連携を大切にし、試行錯誤し

ながら病棟運営をしている状況であるが、入棟患者の現状を整理し今後の課題とともに報告する。

2.対象と方法

平成 27年 3月~5月に当病棟に入棟した患者を対象とし、診療科別の患者数、同期間に退院した患

者の転帰先について調査し検討した。また、リハの介入度別に個別リハが実施された患者を「リハ実

施群」、指導と自主練習を中心に実施した患者を「自主練群」、リハの介入が全くなかった患者を「未

介入群」とし、それぞれ患者数、在棟日数について調べ、リハ介入者(リハ実施群+自主練群)につ

いては入棟時と退院時の ADL(Barthel Index、以下 BI)について調査し、比較検討した。

3.結果

入棟患者は 154名であり、診療科別の患者数は整形外科 104名、内科 28名、脳外科 14名、外科 7

名、麻酔科 1名だった。退院した患者 161名の転帰先は自宅 126名、在宅系の施設 18名、老健 1名、

当院一般病棟への転棟 2名、転院 14名だった。リハの介入度別についてはリハ実施群 93名、自主練

群 24名、未介入群 37名であり、平均在棟日数はそれぞれ 27.0日、19.0日、13.0日だった。リハ介

入者における平均 BIは入棟時 53.3点(リハ実施群 48.4点、自主練群 70.9点)、退院時 80点(リハ

実施群 76.6点、自主練群 92.0点)であり退院時の方が有意に高値であった(p<0.01)。

4.考察

入棟者に整形外科や内科の患者が多いことから、一肢の骨折や内科的治療後に廃用症候群に陥って

しまった患者等、在宅復帰を目標とし中長期の入院リハが必要だが回復期適応外となっている患者が

入棟対象となっていることが考えられる。在宅復帰率は施設基準の 7割以上を達成しているがそれ以

外の転帰をたどる患者も一定数おり、転院や施設入所のための調整期間として利用されたり、方針が

未定のまま入棟したりする患者がいることも示唆され、急性期病院内にある病棟として在院日数調整

の役割も果たしていると考える。リハでは約 85%の患者を対象とし、そのうち 14%程度は自主練習

指導などで対応しているが、BIでは入棟期間中に平均 25点程度の向上がみられ、リハの成果がでて

いると考える。リハ介入度別に比較すると入棟時 BI、退院時 BIともにリハ実施群より自主練群の方

が高く、ADLが自立に近い患者が自主練習の対象となっていると思われる。これは急性期病床で個別

リハを実施し、ADLがある程度自立し自主練習や指導のみで問題ないと思われる患者について当病棟

への入棟を勧めているためと思われる。また、BIと平均在棟日数の結果からリハ介入度が高いほど入

棟時の ADL能力が低く、入棟期間が長くなる傾向が推察される。しかし、リハ実施群でも平均 27日

と入棟期限 60日を考慮すると短期間での退院となっている。在宅に向けてのリハが必要な軽度~中

等度の脳卒中患者や、地域との連携が密に必要となるような外科のターミナル期の患者など、家屋訪

問・改修を含む環境調整等の退院支援に対応できる体制の構築が必要であると考える。平均在棟日数

115

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臨床Ⅲ ●一般演題● コメディカル・事務部門 ④

を延ばすことは病棟利用率の面でも有用であり、今後の課題である。

【質疑応答】

○フロア:対馬病院の久保田と言います。

包括ケア病棟は 1日 2単位なんですけども、もう一つ、7日間で 14単位以上というくく

りもあるんですけれども、その中で島原病院さんは入棟患者の 9割程度リハを出されてい

たということなんですが、実際包括ケア病棟に従事されているセラピストは何名ぐらいい

らっしゃいますか。

○藤林 :専従は私 1人で、あとはチームで 3人組んでいるんですけど、主に私が持つ人は持ってい

るんですけども、それでは賄いきれないので、全員に割り振って担当しているという、当

病院に勤めているセラピスト全員で担当しているというような状況です。

○フロア:そしたら、病棟の張り付けというわけじゃなくて、全員に割り振るという形ということで

すか。

○藤林 :そうですね。専従は私がそこしかできないんですけれども、ほかの全スタッフがかかわっ

ているような感じです。

○フロア:土日とかはどうされてますか。

○藤林 :土日は基本、診療は行っておりませんので、平日に単位数を稼いでるような感じです。

○フロア:3単位以上ずつということで。

○藤林 :そうですね。

○フロア:それで 9割以上の方を 7日間 14単位というノルマはクリアできていってるということで

すか。

○藤林 :現状では 2単位以上ぎりぎりいけているという状態です。

○フロア:ありがとうございます。

116

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臨床Ⅲ ●一般演題● コメディカル・事務部門 ⑤

壱岐地域リハビリテーション活動

壱岐病院 リハビリテーション科

○小金丸 敬仁 牧山 晃

向原 茂明(院長)

1. はじめに

超高齢化と過疎化の進む壱岐市において、本年7月現在高齢化率は 34.4%となっており、あと

10 年後の平成 37 年には五島・上五島と並んで県下ではもつとも高い約 43%になると推計されて

いる。マンパワーの確保を含め社会資源の限られた厳しい条件の中で、ハンディをかかえながら

も活き活きと生活できる熟成した地域づくり、つまり地域リハビリテーション(以下地域リハ)の

推進を目的に壱岐では 1986 年から医療・保健・福祉分野の人々が集まり、障害者や高齢者のノー

マライゼーションの実現に向けた研修会や講演会そして実践活動を展開してきたのでここに報告

する。

2. 方法

壱岐市における当院を中心とした壱岐地域リハ広域支援センター、さらにボランティア組織で

ある壱岐郡地域リハ研究会・壱岐島リハ研究会を通じて活動してきた。

1986 年に壱岐公立病院の整形外科医が代表となり壱岐郡地域リハ研究会が設立され、障害者・高

齢者に関わる有志による事例検討会を通じて、生活の再建

のための様々な課題が浮き彫りになり、医療(病院)だけで

の解決は困難であり、島内の職種間の連携の必要性を痛感

するに至った。よって専門職のスキルアップのための研修

会の開催、さらに専門職だけでなく住民に対する地域リハ

の啓蒙・啓発のための講演会を開催するに至った。1988 年

に障害児・者など当事者の支援などの実践活動を取り組む

組織、壱岐島リハ研究

会を立ち上げた。壱岐

市においては 2002 年

に県の地域リハ支援体制整備推進事業が開始され、壱岐地

域リハ広域支援センターが指定され、本格的に地域ケアの

基盤整備が進行している。現在は地域リハから介護予防活

動をはじめとした地域包括ケアの推進へと展開している。

3. 結果

在宅重度身体障害者の会「ひとあゆみの会」の設立支援

を行い、島外旅行を開催している。障害児のサマーキャンプ「このゆびとまれ」を開催して、そ

のイベントから障害児を守る親の会「たんぽぽの会」が誕

生し、障害者の通所・雇用促進する「結の会」が誕生した。

住民に対する壱岐島リハ懇話会も継続・開催が出来ている。

また壱岐医師会を中心とする壱岐島健康会議が行う健康大

学の講師や壱岐栄養士会とが主催で行う地域での糖尿病教

室の支援。地域の自治会単位で取り組む介護予防自主グル

ープの育成。地域ケアにともなう社会資源の情報収集と公

開をしている。口腔ケア栄養部会を設置して、多職種研修

会にはじまり先進地病院の視察や報告会そしてボトムアッ

117

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臨床Ⅲ ●一般演題● コメディカル・事務部門 ⑤

プの実技研修を当院がリーダーシップを取りながら行っている。

4. 考察

社会資源の乏しい離島では、地域リハの実戦力が必要である。すなわち地域レベルでの関係機

関の連携の促進と支援体制の構築、住民・当事者の参画である。関係機関の連携促進や支援体制

には医師に期待するところが大きい。住民などの参画は単なるマンパワー不足を補うものではな

く、当事者・家族の QOL を高めるとともに地域づくりにつながる重要な活動である。このよう

な地域リハ活動は今後の地域包括ケアシステム構築という広範な概念をもつもので医療と福祉、

介護さらに予防にあたる保健領域も統合した形での活動形態へと進化させていく必要がある。

壱岐は地形や規模そして行政区として県と市が一カ所にまとまっていること、限られた人材で流

動性が低いというメリットとデメリットをもっている。外部からの刺激が少ないものの、まとま

りやすいとも分析される。これから始まる地域医療ネットワーク連携システムの「あじさいネッ

トワーク」との融合によって、少ない人材を有効に活用し、住民(患者)をとりまく有機的な連携

になることが効率的で安全・安心な在宅生活をサポートの実現へと向かっていくことと考える。

【質疑応答】

○フロア:島原病院リハビリテーション科の浦川と申します。

30 年にわたる長期な非常に貴重な取り組みの報告、ありがとうございます。

2 点ほど質問させていただきたいんですけれども、やはり本土地区におりますと、ご家

族とかご本人当事者とか含めて、例えば、現在インターネット等で情報がよく入ってく

るとか、自立支援法の整備で支援体制がほぼ構築されているという現実で、なかなか価

値観の違いとかで、家族会であるとか当事者会が結成しづらくなっているような状況が

あるんですが、壱岐のほうではその辺につきまして、何か工夫されているとか、現状と

かがあればお知らせいただきたいのが 1 点です。

もう 1 つ、障害児への取り組みもかなり厚くされておりますが、いずれ大きくなって大

人になり、そのまま高齢者になっていくというふうに思っています。壱岐で住みたいと

いうふうに本人なりご家族一緒に暮らしていきたいと希望されたときに、地域の中で活

動していくとか、その方の一生涯にわたるような活躍の場とか、地域とのネットワーク

づくりとかというのも必要になってくると思うんですけれども、そこら辺につきまして

現在取り組まれていること、もしくは今後の構想等があられたらお聞かせ願えればと思

います。

○小金丸:ありがとうございます。

まず 1 点目ですけども、確かに、インターネット等、または情報がかなり連携がとりや

すくなってきてはいるんですけれども、やはり顔の見える関係づくりというのをしてい

くべきだと。特に、当事者グループ同士で直接顔を見て話し合うということは、いろん

なニーズがそこから掘り起こされてきますので、ただし、今プライバシーの問題等あり

まして、なかなか声をかけても集まりにくいようなこともあるようです。しかし、一人

一人に声をかけて呼びかけることで、また当事者の中で中心的な方がおられて、活動は

続けられてはいます。2点目ですが、就学の問題がクリアできても、今度は就労の問題、

そして就労してから高齢者になっていくということで、スライドの中でお話ししました

けども、たんぽぽの会というのは障害児を守る親の会で、それから結の会という就学後

の人たちを雇用する、または活動できる場を提供していくというふうに考えています。

抜けているのはグレーゾーンといいましょうか、障害でもない、でも普通の生活もでき

ないとう方々の部分が大変今からの課題になって行くんじゃないかなと思っています。

経済が低迷すれば、余計そのあたりがクローズアップされてくるんじゃないかなと思っ

118

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臨床Ⅲ ●一般演題● コメディカル・事務部門 ⑤

ています。

○フロア:地域包括ケアシステムと盛んに言われていますけれども、30 年前からそこのビジョンを

持って取り組まれているんじゃないかなと思いますので、ぜひ今後の情報発信をよろし

くお願いいたします。

ありがとうございました。

119

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臨床Ⅲ ●一般演題● コメディカル・事務部門 ⑥

長崎県島原病院医療機器中央管理

島原病院

○高森 良知

1.はじめに

病院には様々な医療機器が存在するが、その中でも生命維持管理装置の点検及び一部修理において

は中央機器管理システムを構築する事で効率及び不具合の早期発見につながる。今回、長崎県島原病院

内で初の試みである中央管理システムを導入(構築)したことでメリットが大きい一方、今まで前面に

出てこなかった問題点が浮き上がった事等を含め今回発表をしたい。

2.対象と方法

医療機器の点検場所(臨床工学機器室)を設

け場所を確保しその際、医療ガスアウトレットの設置、電源コンセントの適正な数、点検終了

を示す物(当院ではテープ)、医療機器管理ソフトを作成するなどが必要である。医療ガスアウトレッ

トは呼吸器や high flow、体外循環装置などの点検に欠かせないものとなっている。電源コンセントは

各機器の電源OFF状態での電流値を調べテーブルタップにどれだけ差し込んでも大丈夫かを臨床工

学技士が調べ、点検終了を示す物に当院では医療機器点検テープを貼り点検前と点検後を区別している。

一番難関は医療機器ソフトを購入するか作成するかであるが当院では作成して運用している

点検済テープ

ME機器番号(同じ番号は存在しない

1 中央管理システム

●医療機器データーベースソフト(アクセス)のマクロと

プログラムを用いてソフト開発。

●医療機器カルテを作成

●医療機器には必ず一台につき固定番号がついている

●医療機器約420台データーベース化

●病棟からME室へ返却⇔ME室から代わりに持っていく

●中央管理機器は輸液ポンプ、流量制御型輸液ポンプ、シリン

ジポンプ、カンガルーポンプ、低圧持続吸引器、人工呼吸器

である

120

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臨床Ⅲ ●一般演題● コメディカル・事務部門 ⑥

3.結果

現在、看護師のバックアップがあり現状の中央管理は成功している。医療機器ソフトに機器番号を登

録しているので、定期点検結果や故障履歴、現存している台数等がPCから呼び出し可能となっている。

使用後点検もスムーズに行えるので事故等に対しての機器としての証拠を残しやすくなった。しかしな

がら、移動できない機器(DCや送信機付モニターなど)は中央管理できないので今後の課題である。

4.考察

中央管理システムは医療機器(主として生命維持管理装置)の点検が容易となったが、医療機器中央

管理すべき医療機器は全部は網羅していない。当病院の医療機器機種別講習終了免許をほぼ取得してい

るので、今後さらに機種を増やすことができるのではないかと思われる。

【質疑応答】

○座長 :僕のほうから 1点だけ。

デジタル化はソフトを使って頑張っていらっしゃる感じですけども、一つだけアナログの部

分、ノートのところ、番号だけ書くという簡単な方法にされてて、工夫されていると思うん

ですけども、実際そこにヒューマンエラーというか、そこは発生し得るんですか。

テーブルタップがたこ足では?

7 他の職種との接点

● 看護師との接点を多く持つので、依頼時にはなるべく応え

ている。

● リハビリ科においては、医療機器点検や特殊機器を貸出を

行い、何か不都合があれば呼び出しに応じるようにしてい

● 事務との接点は設備関連及び医療機器関連での接点が多い

5 機器操作及びトラブル時における個々のマニュアル

●機器個別のトラブルや定期点検に必要なマニュアルを保有している

●機器個別メーカーの特別研修を受講及び公的免許等を含め

約40の受講免許を取得していることで点検やトラブル時に

適切な対応が可能となっている。

6 機器と病院設備

●病院設備のなんらかの不具合により機器が動作不能とならな

いように病院設備においての特殊電源における免許を取得し

ているので、電撃等での患者もしくは機器の故障を未然に防

ぐ事ができる。

●医療ガスの免許を2種類取得していることで、高圧ガス(液体

酸素)や末端のアウトレットの立ち合い及び点検が可能であ

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臨床Ⅲ ●一般演題● コメディカル・事務部門 ⑥

○髙森 :あります。ヒューマンエラーはないんですけども、すべてにおいて、自分が悪いんですけど、

伝えてなくて、番号を書き忘れて持っていくとか、結構そういうところがあるので、そこは

改善していきたいと思います。

○座長 :ありがとうございました。

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臨床Ⅲ ●一般演題● コメディカル・事務部門 ⑦

上五島地区3施設における検体検査業務の効率化への取り組み

上五島病院 検査科

○原 拓朗 平瀬 和廣 近藤 喜代志1) 松枝 治八2)

1) 附属診療所有川医療センター検査室

2) 附属診療所奈良尾医療センター検査室

1.はじめに

現在、長崎県上五島病院(以下、当院)と附属の診療所である有川医療センター(以下有川)と奈良

尾医療センター(以下奈良尾)の 3 施設は同一の電子カルテを導入している。電子カルテ導入により診

察券は 3施設共通となり、患者 ID は 1 患者 1ID となっている。また他の医療機関と大きく異なる点は、

当院に電子カルテサーバーを設置し光ファイバーを介して 3 施設が LAN で結ばれている点にある。そ

の為、どの施設からもオーダー入力及びデータの参照が可能となっている。そして電子カルテとは別に

院内 LAN があり、こちらも 3 施設どの端末からもアクセスが可能となっている。

今回この電子カルテ及び院内 LAN を活用し検体検査業務の効率化を検討したので報告する。

2.対象と方法

現在上五島地区では医療再編成により入院施設は

当院のみとなり、有川、奈良尾においては外来部門の

みと規模が縮小された。そのため有川、奈良尾におけ

る検体検査数も減少したため、検査業務の見直しが必

要となる。そこで、

①電子カルテを活用しての検体検査の効率化

②院内 LAN を活用しての検体検査の効率化

③有川、奈良尾での少数検体を当院で検査

④当院にて分配可能な試薬や資材を有川、奈良尾へ配

布する

取組みを行った。

電子カルテの導入

・有川医療センター平成21年6月~

・奈良尾医療センター平成23年4月~

・上五島病院平成16年3月~

はじめに

3施設共通の診察券

奈良尾医療センター

上五島病院

有川医療センター

方法と取組み

①電子カルテを活用しての検体検査の効率化

②院内LANを活用しての検体検査の効率化(微生物検査、輸血検査など)

③有川、奈良尾での少数検体を当院で検査(免疫血清検査、微生物検査、輸血検査など)

④当院にて分配可能な試薬や資材を有川、奈良尾へ配布

123

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臨床Ⅲ ●一般演題● コメディカル・事務部門 ⑦

3.結果

①電子カルテを活用しての検体検査の効率化について

当院内に電子カルテサーバーを設置し、光ファイバーを介して 3 施設が結ばれている。

まず各施設の検査システムに検査のオーダーが依頼される。各施設で検査された検査データは電子カル

テサーバーへ送信され、それぞれの施設での診察に反映される。1つの電子カルテサーバーへデータは

蓄積されるため他の施設で検査されたデータも参照可能となった。またどの施設からもオーダー入力も

可能となっている。そして右下図が、実際の電子カルテにおける検査結果サマリーである。

有川外来、当院外来、当院入院中に検査したことを示している。黒丸をクリックすると、検査結果を参

照できる。また 3 施設時系列での結果参照も可能となった。

②院内 LAN を活用しての検体検査の効率化

について

微生物検査や輸血検査は電子カルテとは別に

院内 LAN があり、こちらも 3 施設どの端末から

もアクセスが可能となっている。

右図は実際の輸血検査の画面である。

輸血履歴の管理が可能となり、施設ごとや患者

ごとの検索が出来るようになった。

また、血液型、抗体スクリーニングの結果検索

が容易となり、重複検査の削減に貢献出来るよ

うにもなった。

③有川、奈良尾での少数検体を当院で検査について

通常、検体数が少ない場合の対処として、数日に 1 回の定期測定や検体数が集まるのを待って測定や

外注委託などがある。ただし検査結果報告の遅延という問題点がある。

迅速に結果報告するためにはその都度、測定が必要になってくるがこれにも問題があり、コントロール

や試薬、消耗品代がかさむ為、採算がとれなくなる。

そこで当地区がとった行動は有川、奈良尾において少数検体である免疫血清、微生物、輸血検査などを

当院で測定する事である。

このように検体を一か所に集約して検体数を増加させることにより、一検体当たりの試薬単価の削減

電子カルテサーバ

上五島電子カルテ

検査システム

(SysmexCNA)

有川電子カルテ

検査システム(日立ハイテク)

奈良尾電子カルテ

検査システム

(SysmexCNA)

構成図

オーダー オーダーオーダー

(上五島病院内に設置)

検査結果参照 検査結果参照検査結果参照

電子カルテ検査結果サマリー

有川医療センター外来データ

上五島病院外来データ

上五島病院入院中データ

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臨床Ⅲ ●一般演題● コメディカル・事務部門 ⑦

を可能にした。また、検査結果を当日中の報告体制にすることにより患者サービスの質の低減を最小限

に抑えることが出来た。そして有川、奈良尾において少数検体における検査機器の保有が不要となった。

下図が現在、当院にて受託している有川、奈良尾の年度別の主な検査項目と件数になる。

年々増加傾向になっている。

④当院にて分配可能な試薬や資材を有川、奈良尾

へ配布について

右スライドが現在当院から配布している、主な試

薬や資材になる。分配可能な製品を配布する事によ

り、残余試薬の期限切れ廃棄処分の抑制を図った。

また 3 施設同一の試薬を使用する事で検査結果のば

らつきの防止も可能となった。

検体数が少ない場合の対処

数日に1回の定期測定

検体数が集まるのを待って測定

外注委託検査

問題点

検査結果報告の遅延

迅速に結果報告するためにはその都度測定が必要

問題点

コントロールや試薬、消耗品代がかさみ採算がとれない

上五島病院

血液一般検査

一般検査

生化学検査

生理検査

有川医療センター

血液一般検査

一般検査

生化学検査

生理検査

奈良尾医療センター

血液一般検査

一般検査

生化学検査

生理検査

免疫血清検査

微生物検査

輸血検査

免疫血清検査

微生物検査

輸血検査

免疫血清検査

微生物検査

輸血検査

一部のみ自施設にて検査

当地区でとった行動は

年度別受託件数

0

100

200

300

400

500

600

700

800

2011 2012 2013 2014

有川医療センター

BNP

HBsAg

TSH

FT3

FT4

PSA

AFP

HBsAb

HCVAb

尿素呼気試験

HTLV-Ⅰ

CEA

年度

件数

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

2011 2012 2013 2014

奈良尾医療センター

尿素呼気試験

HBsAg

AFP

HBsAb

ATLA

HCVAb

CEA

ジゴキシン

尿蛋白

HBeAg

年度

当院から配布している検査試薬等

尿中肺炎球菌抗原検出キット

尿中レジオネラ抗原検出キット

RSウイルス抗原検出キット

マイコプラズマ抗原検出キット

溶連菌抗原検出キット

APTT測定試薬

血液培養ボトル

採血容器、検体採取容器など

• 分配可能な製品(簡易キット等)を配布することにより残余試薬の期限切れ廃棄処分の抑制を図る。

• 同一試薬を使用することで検査結果のばらつきの防止が可能

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臨床Ⅲ ●一般演題● コメディカル・事務部門 ⑦

4.考察

上五島地区3施設において、検査業務改革を実施し免疫血清、微生物、輸血検査部門の検体の一ヶ所

集約化により検査データの一元管理化を可能とした。また少数検体の集約化および簡易試薬等の分配可

能試薬の配布により採算面で多少ではあるが、コストパフォーマンスの向上に貢献出来た。

5.まとめ

今回 3 施設が連携することにより、検査業務の効率化が可能となった。今後も 3 施設が協力し離島だ

からこそ出来る事を探求しながら検査業務に取組んでいきたいと考える。

【質疑応答】

○座長 :僕のほうから 1 点だけ。

どうしても遠くから運ぶと、少数の検体というのが発生すると思うんですけど、その都度運

んでると逆にコストがかかる気もするんですが、そういう少数検体の運搬というのはどのよ

うにしているんでしょうか。

○原 :検体の運搬に関しては、現在は各施設の職員さんや当院派遣医師の帰路の際や、町内の運送

業者の方にお願いしています。運搬時間が有川から当院までが車で約 15 分、奈良尾から当

院までが車で約 30 分ほどかかります。

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臨床Ⅲ ●一般演題● コメディカル・事務部門 ⑧

島原病院におけるDPC導入の現状と課題

島原病院 医事係 診療情報管理士

○藤田 縁 中村 聖奈

1.はじめに

長崎県病院企業団で唯一のDPC病院として、今後DPC病院に参加予定の離島医療圏病院の参考と

していただければと発表の機会をいただきました。

2.DPC導入の現状と課題

診療情報管理士がDPC導入時よりコーディング業務に関わっておらず、また委託業者と診療情報管

理士の業務フローを作成しないままコーディングを始めてしまったため多くの問題を抱えながらの

スタートでした。まずDPC病院に必要である下記 3点への取り組みを開始しました。

3.対策

医療資源病名は、入院時・レセプト時期・退院時に最低 3回は確認を行います。診療行為に疑義が生

じた場合は、『コーディングテキスト』を基に主治医へ提案・検討・確認後病名の変更を行います。

また病院全体で検討すべき症例は『DPC委員会』で提案・検討後、島原病院のルールとして運用して

いきます。

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臨床Ⅲ ●一般演題● コメディカル・事務部門 ⑧

様式 1(患者情報・状況)は、入力項目が多いため多職種の協力が必要です。入力担当者が解るよう

に青は医師、緑は看護師・事務と決めています。提出データと様式 1の間に 1%以上の矛盾があった場

合 1年間医療係数がマイナス 0.05となるためとても重要な業務となります。

当院の医療機関係数は機能評価係数Ⅰが施設基準の届出の点数を係数に置き換えたもの、機能評価係

数Ⅱは提出したデータの医療機関が担うべき役割や機能に対する評価となります。

4.まとめ

DPC病院には、ICD-10の基礎・臨床医学基礎・診療情報管理論等を勉強している診療情報管理

士が必要です。なぜなら研修会・勉強会へ参加しDPC委員会などにて情報をフィードバックできます。

また入院日数・収益を左右する医療資源病名の提案・決定のサポートも行います。そのデータより診療

の質が評価されます。『地域医療構想』、『2025年問題』などに対応できるように、自院の強み・弱みを

把握するためにもデータ分析は重要な業務になると思います。今後DPC病名コーディング、『病院指

標』のデータ作成など診療情報管理士として関わっていきたいと考えています。

【質疑応答】

○座長 :最後に僕から 1つだけ聞かせてほしいのが、医師としては最初に病名を決定できない場合が

様式1画面

様式1を作成する担当者が

必要となる。多職種の協力が不可欠です。

様式1画面

緑・・・看護師・事務青・・・医師

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臨床Ⅲ ●一般演題● コメディカル・事務部門 ⑧

あるとは思うんですけど、医療資源病名でもかなり重要だということが今理解できたんです

が、それが途中で変更されるということは、どれぐらいの頻度であるものなんでしょうか。

○藤田 :当院は予定入院がまずほとんどですので、その時点でまず入院診療計画書を渡していますの

で、その病名でほとんどのドクターが決定されています。しかし、診療行為の中で合併症が

出てきますので、変更する場合は、先ほど言いました月末時、退院時にもう一度確認して正

しいコーティング、その収入の調整はレセプトでしていただいていますので、やはり確認業

務というのは重要な業務になってくると思います。

○座長 :わかりました。ありがとうございます。

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