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地震 地球の活動と日本の地形の特色 ② 地震を知る ③ 地震による被害 ④ 防災・減災の取り組み ⑤ 大都市における地震災害と対策 災害と防災 わかる! 取り組む! ※執筆順に掲載。 豪雨・台風 土砂災害・ 竜巻・豪雪 帝国書院 地理シリーズ 日本のすがた セット本体 本体35,000円+税 978-4-8071-6087-7 帝国書院 地理シリーズ 世界の国々 セット本体 本体38,000円+税 978-4-8071-6018-1 ① 津波を知る ② 津波による被害 ③ 防災・減災の取り組み 津波 ① 火山を知る ② 火山噴火による被害 ③ 防災・減災の取り組みと 火山との共生 ① 土砂災害 ② 竜巻による被害 ③ 豪雪による被害 ① 日本の気候の特色と 大気の動き ② 豪雨・台風を知る ③ 豪雨・台風による被害 ④ 防災・減災の取り組み ⑤ 大都市における水害と対策 鈴木 康弘 (名古屋大学教授) 杉戸 信彦 (法政大学准教授) 中林 一樹 (明治大学特任教授) 阪本 真由美 (名古屋大学特任准教授) 今村 文彦 (東北大学教授) 佐藤 翔輔 (東北大学助教) サッパシー アナワット (東北大学准教授) 日野 亮太 (東北大学教授) 山岡 耕春 (名古屋大学教授) 鈴木 毅彦 (首都大学東京教授) 松本 (首都大学東京教授) 坪木 和久 (名古屋大学教授) 久保 純子 (早稲田大学教授) 海津 正倫 (名古屋大学名誉教授) 関根 正人 (早稲田大学教授) 久保 純子 (早稲田大学教授) 宇根 (国土交通省国土地理院地理地殻 活動研究センター センター長) 坪木 和久 (名古屋大学教授) 西村 浩一 (名古屋大学教授) 各巻のもくじ 主要な執筆陣 【注文書】 【       】 わかる!取り組む!災害と防災 全 5 巻 セット ISBN 978-4-8071-6326-7 セット定価 15,000 円 + 税 セット 取扱書店 1 地震 978-4-8071-6327-4 2 津波 978-4-8071-6328-1 3 火山 978-4-8071-6329-8 4 豪雨・台風 978-4-8071-6330-4 5 土砂災害・竜巻・豪雪 978-4-8071-6331-1 東京都千代田区神田神保町3-29  TEL 03-3262-0830  FAX 03-3234-7965 http://www.teikokushoin.co.jp/ 【関連書籍のご案内】 帝国書院 地理シリーズ 別巻 日本と世界の領土 本体3,000円+税 978-4-8071-6260-4 災害と防災 各分野の専門家が 大集結 !! 48 56 48 64 56 (分売可) (分売可) 特色 1 災害の しくみ から 被害 取り組み まで 体系的 わかる ①    ②    ③    のわかりやすい構成 特色2 熊本地震など 最新の事例 が満載! 特色3 災害を 自分ごと としてとらえ, 防災 取り組む セット ISBN978-4-8071-6326-7  セット本体 15,000 円 + 税 全 5巻(分売可)   AB 判    平均 56 頁 基礎 事例 対策 1 4 5 火山 3 全10巻 2 全9巻

【 】 地震 1 頁 津波...ここも見てみよう兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災) p.28-33,熊本地震 p.24-27,断層 p.59-60用語解説,津波

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Page 1: 【 】 地震 1 頁 津波...ここも見てみよう兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災) p.28-33,熊本地震 p.24-27,断層 p.59-60用語解説,津波

  地震① 地球の活動と日本の地形の特色② 地震を知る③ 地震による被害④ 防災・減災の取り組み⑤ 大都市における地震災害と対策 災害と防災

わかる! 取り組む!※執筆順に掲載。

  豪雨・台風   土砂災害・  竜巻・豪雪

帝国書院 地理シリーズ日本のすがたセット本体 本体35,000円+税978-4-8071-6087-7

帝国書院 地理シリーズ世界の国々セット本体 本体38,000円+税978-4-8071-6018-1

① 津波を知る② 津波による被害③ 防災・減災の取り組み

  津波

① 火山を知る② 火山噴火による被害③ 防災・減災の取り組みと  火山との共生

① 土砂災害② 竜巻による被害③ 豪雪による被害

① 日本の気候の特色と  大気の動き② 豪雨・台風を知る③ 豪雨・台風による被害④ 防災・減災の取り組み⑤ 大都市における水害と対策

鈴木 康弘 (名古屋大学教授)杉戸 信彦 (法政大学准教授)中林 一樹 (明治大学特任教授)阪本 真由美

(名古屋大学特任准教授)

今村 文彦 (東北大学教授)佐藤 翔輔 (東北大学助教)サッパシー アナワット

(東北大学准教授)日野 亮太 (東北大学教授)

山岡 耕春 (名古屋大学教授)鈴木 毅彦 (首都大学東京教授)

松本 淳 (首都大学東京教授)坪木 和久 (名古屋大学教授)久保 純子 (早稲田大学教授)海津 正倫 (名古屋大学名誉教授)関根 正人 (早稲田大学教授)

久保 純子 (早稲田大学教授)宇根 寛 (国土交通省国土地理院地理地殻

活動研究センター センター長)坪木 和久 (名古屋大学教授)西村 浩一 (名古屋大学教授)

各巻のもくじと

主要な執筆陣

【注文書】

【       】

わかる!取り組む!災害と防災 全 5巻セット ISBN 978-4-8071-6326-7 セット定価 15,000 円 +税 セット

取扱書店

1 地震 978-4-8071-6327-4 各巻3000円+税

2 津波 978-4-8071-6328-1 冊

3 火山 978-4-8071-6329-8 冊

4 豪雨・台風 978-4-8071-6330-4 冊

5 土砂災害・竜巻・豪雪 978-4-8071-6331-1 冊

東京都千代田区神田神保町3-29  TEL 03-3262-0830  FAX 03-3234-7965http://www.teikokushoin.co.jp/

【関連書籍のご案内】帝国書院 地理シリーズ 別巻日本と世界の領土本体3,000円+税978-4-8071-6260-4

災害と防災災害と防災災害と防災各分野の専門家が大集結 !!

48頁56頁

48頁

64頁 56頁

(分売可)

(分売可)

特色 1 災害のしくみから被害,取り組みまで体系的にわかる!    ●①    ➡ ●②    ➡ ●③    のわかりやすい構成特色2 熊本地震など最新の事例が満載!特色3 災害を自分ごととしてとらえ,防災に取り組む!

● セット ISBN978-4-8071-6326-7  ● セット本体 15,000 円 +税● 全 5巻(分売可)   ● AB判   ● 平均 56頁

基礎 事例 対策

1

4 5  火山3

全10巻

2

全9巻

Page 2: 【 】 地震 1 頁 津波...ここも見てみよう兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災) p.28-33,熊本地震 p.24-27,断層 p.59-60用語解説,津波

兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)➡p.28-33,熊本地震➡p.24-27,断層➡p.59-60用語解説,津波➡2巻兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)➡p.28ここも見てみようここも見てみようここも見てみようここも見てみようここも見てみよう

 地震は,発生する場所や特徴の違いからおもに直下型地震と海

かい

溝こう

型地震に分けられますが,2004年新潟県中ちゅう

越えつ

地震や2016年熊本地震は,典型的な直下型地震でした。とくに震

しん

源げん

の近くでは,強いゆれが町を襲おそ

い,多くの建物が倒

とう

壊かい

したり,道路が崩ほう

壊かい

して通行不能となったりする被害が生じました。これは,地下で断層がずれ動いた結果です。 断層とは,岩

がん

盤ばん

や地層のなかにあるずれた面のことをさします。日本列島はプレート境界の近くに位置するため,

プレート運動の影響を受けてふだんから大きな圧力がかかっています。その結果,岩盤に徐

じょ

々じょ

にひずみがたまっていき,耐

えきれなくなったときにかたい岩盤がこわれて,たがいにくい違うように動きます。これが断層です。断層の大部分は,ふだんはかみ合ってじっとしていますが,ずれるときには短時間で一気にずれます。その結果が直下型地震ということです。 日本列島には複数のプレートが近づいて複雑に力がかかっているため,断層の両側から圧

あっ

縮しゅく

する力で縦たて

にずれたり(逆断層),両側に引っぱられる力でずれたり(正断層),横にすれ違うようにずれたり(横ずれ断層)します。

 断層がずれることによって発生する直下型地震の規き

模ぼ

は,最大でもマグニチュード7~8クラスであり,同じく8~9クラスに達することがある海溝型地震と比べ,ひとまわり小さいことが知られています。しかし,直下の浅いところで発生するため,真上にあたる地域は激しいゆれに襲われます。マグニチュード7.3を記録した1995年兵庫県南部地震では,震源域の真上にあたる淡

あわ

路じ

島しま

から兵庫県神

こう

戸べ

市付近にかけて,震度7を記録する激しいゆれとなりました。同じくマグニチュード7.3を記録した2016年熊本地震の際にも,やはり震源域の真上にあたる熊本県益

まし

城き

町まち

や西にし

原はら

村むら

において震度7が観測されています。断層沿いで地面がずれたところでは,建物が破

壊かい

され,田畑や道路がずれる被害が生じました。 このように,直下型地震の場合,激しいゆれが襲い,断層沿いでは地面がずれて大きな被害が発生します。直前予知も現状では難しく,震源に近い地域では緊

きん

急きゅう

地震速報もまにあいません。私たちはいつ地震にあっても身を守れるようにしておかなければならないのです。 なお,直下型地震の場合でも,海底下の断層が動いて海底面がずれた場合には海面が変動し,津

波なみ

が発生します。例えば,1945年三

河かわ

地震の震源域の南部は三河湾わん

内にあり,小規模ながら津波が観測されました。

正断層(熊本県 西原村 2016年4月)〈東北大学災害科学国際研究所災害理学研究部門 遠田晋次教授 撮影〉

 大きな地震が発生すると,そのあとに地震が続発する。それぞれ本ほん

震しん

,余よ

震しん

とよばれる。余震は,本震によって地下の断層がずれ動いた結果,本震時にずれ残った部分で,あるいは本震でずれた断層の周囲に力が加わって,地震が起こりやすい状態になるために発生する。余震活動は徐々に低下するが,本震で地

盤ばん

がゆるんだ状況下では大きな脅きょう

威い

となり,救助活動や避難生活にも大きく影響する。断層のずれ方や地下の岩盤の状況によっては,2004年新潟県中越地震や2016年熊本地震のように,余震が長引くこともある。また,熊本地震のように,前

ぜん

震しん

とよばれる大きめの地震が本震の前に起こることもある。気象庁は熊本地震を受けて,大地震の直後には余震という言葉を使わない方針を決めた。前震となった初めの大きな地震のあと,余震という言葉で注意を呼びかけていたが,このことが住民の油断を招き,その後発生した本震による被害の拡大につながったためである。

余震のしくみと危険性

直下型地震はどうして起こるのか

直下型地震の特徴

直下型地震のメカニズム

新潟県中越地震によって崩落した国道117号線(新潟県 小お

千ぢ

谷や

市 2004年10月)

横ずれ断層 (熊本県 益城町 2016年4月)

積算回数

活動開始からの経過日数

1995 年兵庫県南部地震(M7.3)

2004 年新潟県中越地震(M6.8)

2016 年熊本地震(M7.3)

00

100

200

300

(回)

30 60 90 120 150 180(日)

(両側から圧力がかかって断層がずれる逆断層の場合)

直下型地震が発生するしくみ

断層に圧力がかかり,ひずみがたまっていく。 ひずみが限界に達し,断層がずれ動くと地震が発生する。 ひずみがなくなるまでずれて静止する。断層が地表に姿を現すところもある。

活断層

過去のおもな直下型地震の余震活動〈気象庁資料より〉

横ずれ断層

16 17地 震 地震を知る

あて板などで強度を補強

ポール式器具

連結金具

タンス

ストッパーを差し込む

L字金具

ガラス飛散防止フィルム

すべり止めシート

とめ金

食器棚

ひさん

がね

自助

共助

自力で脱出35%

家族32%

友人・隣人28%

通行人 2%救助隊 2%

その他 1%

阪神・淡路大震災➡p.28-31,共助➡p.32-33,44-45,地震本部➡p.31,ハザードマップ➡p.59-60用語解説

 さまざまな科学技術を駆く

使し

しても,現在の私たちには地震の発生を予知することは難しく,ましてや地震の発生をとめることはできません。しかし,地震が私たちの社会にもたらす被害,すなわち「災害」を減らすこと(減

げん

災さい

)は可能なはずです。地震災害を減らすにはどうすればよいのでしょうか。 1995年の阪

はん

神しん

・淡あわ

路じ

大だい

震しん

災さい

では,強いゆれにより鉄筋コンクリート造のビルや木造住宅が倒

とう

壊かい

し,多くの人がた

「自助」の習慣を身につけておく必要があります。 学校の防災訓練で,机の下に入って身を守るという行動をとったことのある人は多いでしょう。昼休みで教室の外にいるときや登下校時など,すぐ近くにじょうぶな机がない場合は,その場で周囲にガラス,蛍

けい

光こう

灯とう

,本棚,ブロック塀

べい

などのような割れたりたおれたりするものがないかを確認し,姿勢を低くして小さくなり身を守ります。どんな場所にいても地震のときに身を守るための安全行動に「シェイクアウト」という行動があります。「シェイクアウト」とは,本来は「地震をふりはらえ」という意味をこめた言葉です。地震のゆれを感じたら,「①その場で姿勢を低くして」「②頭を守り」「③じっとする」という3ステップの行動です。これならば1秒でできます。 一方,夜寝ているときには,瞬時に行動することが難しくなります。阪神・淡路大震災が起こったのは早朝だっ

おれた家具の下や,倒壊した住宅に閉じこめられました。その状況からどのように脱

だっ

出しゅつ

したのかをみると,自

力りき

で脱出した人が35%,家族に救助された人が32%,友人・隣人に

たので,寝ている人もたくさんいました。強いゆれによって,本棚,タンス,食器棚など背の高い家具が転倒しました。また,ピアノ,冷蔵庫,大型金庫など重くて動くとは考えられないものが,飛ぶように移動したりたおれたりしました。寝ているときに地震にあっても大丈夫なように,寝室には背の高い家具を置かない,あるいは背の高い家具は固定しておくことが大切です。自分の部屋に背が高い家具があれば,家具を固定する道具を買って設置するようにしましょう。 地震では,突然地面が強くゆれます。私たちは,地面がゆれるということに慣れていないのでとっさに恐

きょう

怖ふ

を感じます。しかし,私たち一人ひとりが事前に家具をきちんと固定したり,さらに,地震が起こったときに「シェイクアウト」などの的確な行動を取ったりすれば,確実に命を守り,被害を防ぐことができるのです。

対策3防 災

救助された人が28%で,救助隊によって救出された人は2%でした。地震が起こると,建物の倒壊や火災,交通の寸断などさまざまな被害が同時にあちこちで多発するため,政府や自治体の救援の手(公

こう

助じょ

)がすぐに一人ひとりに届くとは限りません。阪神・淡路大震災で,自力で脱出した人や周囲の人から助けられた人が多いことからわかるように,犠

牲せい

者を減らすためには,自分で自分の命を守る「自

助じょ

」,周囲の人とたがいに助け合う「共きょう

助じょ

」が何より大切なのです。

 阪神・淡路大震災,新潟県中ちゅう

越えつ

地震,熊本地震など,地震は日本全国で起こっています。地震を経験した人に共通しているのは「まさか自分のところで地震が起こるとは思っていなかった」と語る点です。しかし地震は,いつ,どこで起こるかわからないものです。自宅,学校,登下校中,外出先で,自分1人だけのときに地震にあう可能性もあります。いつでも,どこにいても,ゆれを感じたらその場ですぐに自分のまわりの安全を確認して身を守るという

地震による被害を減らすために

�小学校での地震の防災訓練(東京都2016年)(左),家具の固定(下)

 一人ひとりが地震に備えるには,自分の住むまちで「どの程度強い地震が起こりそうか」を知ることが重要で,それを教えてくれるのがハザードマップである。日本中どこでも震度6弱以上のゆれは起こりうるので,それを心得たうえで,とくに地震が起こりそうな地域はどこか,とくにゆれやすい場所はどこか,それはなぜかをハザードマップを見ながら理解することが重要である。 全国的な地震のハザードマップとしては,政府の地震本部が公開している「確率論的地震動予測地図」(「全国地震動予測地図」の一つ)や,内閣府などが公表している「揺れやすさマップ」などがある。地震動とは地点ごとのゆれのことで,確率論的地震動予測地図はその発生予測を「今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」などとして示している。一方,揺れやすさマップは,万が一大きな地震が起こった際,地

盤ばん

条件の違いによってどの程度ゆれやすさが異なるかを示している。 最近は自治体ごとでも地震ハザードマップがつくられ,住民に配布されるようになっている。この地図は,全国版よりも詳細な地図上に,地点ごとに予想されるゆれの大きさを示すとともに,避難所の位置や崖崩れの危険箇所なども示して,地震対策に役立つように工夫されている。地震のハザードマップには,このほかにもいろいろ

な種類がある。次に起こる地震がどのようなものであるかがわからないため,さまざまなケースを予測しないといけないということでもある。ハザードマップを見比べ,つくられた意図をよく考えて,地震が起こった際に「想定外だった」ということのないようにしたい。

地震のハザードマップといわれる「全国地震動予測地図」(2016年版) (今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率)〈地震本部資料〉

地震に関するハザードマップ

地震被害を減らすために一人ひとりができること

命を守るのは自分自身の行動「自助」

阪神・淡路大震災における救助の主体〈内閣府資料〉

42 43地 震 防災・減災の取り組み

阪神・淡路大震災の共助➡p.42阪神・淡路大震災の共助➡p.42阪神・淡路大震災の共助➡p.42阪神・淡路大震災の共助➡p.42阪神・淡路大震災の共助➡p.42阪神・淡路大震災の共助➡p.42阪神・淡路大震災の共助➡p.42阪神・淡路大震災の共助➡p.42阪神・淡路大震災の共助➡p.42阪神・淡路大震災の共助➡p.42阪神・淡路大震災の共助➡p.42 〈体験者の声:人と防災未来センター提供〉〈体験者の声:人と防災未来センター提供〉〈体験者の声:人と防災未来センター提供〉〈体験者の声:人と防災未来センター提供〉〈体験者の声:人と防災未来センター提供〉〈体験者の声:人と防災未来センター提供〉〈体験者の声:人と防災未来センター提供〉〈体験者の声:人と防災未来センター提供〉〈体験者の声:人と防災未来センター提供〉阪神・淡路大震災の共助➡p.42阪神・淡路大震災の共助➡p.42阪神・淡路大震災の共助➡p.42ここも見てみようここも見てみようここも見てみようここも見てみようここも見てみよう

 2階で眠っていたところ,突然猛もう

烈れつ

な ゆれ にあう。「地震だ!」長く感じた10秒であった。家族もみな,すんでの所で命拾いをした。壁

かべ

がひび割れ家具はひっくり返り,足の踏み場もない。肩を寄せ合って明るくなるのを待つ間,余よ

震しん

がくるたびにぞっとした。 ろうそくを灯

とも

したとき,「もう死んだと思った」と,はなれて住む兄弟たちから,電話で安否確認が入る。こちらでは停電で情報がつかめないなか,遠方の者が状況を正確に捉とら

えていたとは。 朝,スクーターで職場の役所へ。あちこちで家が潰

つぶ

れて道が割け,美しかった町なみはどこにもない。指示で小学校へかけつけると,体育館や教室・廊下や階段の踊り場まで,またたく間に避難者であふれかえった。夕方になって,やっとわずかな飲料水と食べ物が届き,みなで分け合う姿が涙が出るほど嬉しく,感謝されて勇気を与えられた。 災害本部から徹夜で飲食物が運

うん

搬ぱん

され,翌日は,近隣市からの救援物資搬

はん

送そう

が始まり,徐じょ

々じょ

に充じゅう

足そく

。避難所では,本部や運営組織が立ち上がり,生活ルールもつくられた。労力の提供を呼びかけ,各種当番の班ができ,助け合いの村が誕生。全国からかけつけたボランティアの方々も,救

 いきなり「ドドン」と,一瞬のうちに我が家は2階が下を押しつぶして全壊。1階で布団を敷いて休んでいた私たち夫婦は,生き埋めになってしまった。コタツと畳

たたみ

の間にわずかな空洞ができて,顔の上に押入れのふすまが覆

おお

い被かぶ

さったおかげで,窒ちっ

息そく

せずに済んだが動けない。管が外れたのかガスの臭いが漂ただよ

い,爆発で吹っ飛ぶのではと震

ふる

えが止まらない。 「体力を消

しょう

耗もう

するので,声を出すな」と言われたが,仕事柄,声に自信があるので一生懸命叫んだ。しかし,パトカーや救急車・消防車にヘリコプター・人の声まで,何でもよく聞こえるのに,なぜかこちらの声はまったく外へ届かない。それからは,「命さえあればいい」と,長く苦しい時間をひたすら耐えた。 極限状態ながらも,「子どもたちだけは助かってほしい」と話し合っていた時,自力で脱

だっ

出しゅつ

できた息子の声が外から聞こえた。主人がイチかバチかでコタツを蹴

ってみると,息子がその音に気づき,近所の方々も飛び出してきてくれた。声よりも物音の方が,よく響

ひび

いて外に伝わるらしい。大地震から7時間後,奇跡的に助けていただけた。       (神

こう

戸べ

市東ひがし

灘なだ

区 女性)

 逃げ遅れた息子たちと,暗くら

闇やみ

で声をかけ合いながら公園へ避難すると,すでに人であふれ返っていた。気がつけば,私は裸

は だ し

足のまま。真冬の地面の冷たさに,足踏みをしてもたえられなくなってきたとき,隣にいた人が,ありがたいことに毛布にのせてくれた。 親族の安否確認から戻る途中,埋

もれた人々が救助を求める声を聞き,がれきをはがしたり声をかけたりした。消防や警察も見当たらず,ラジオのニュースでは「近畿地方に強い地震があり,京都では棚から落ちてきたものでお年寄りが傷を負った」程度の内容しか伝えられていない。「あぁ,自分たちで生き延びるしかないんだな」と感じた。 幸運にも無事だったのは,「タンスの上に梁

はり

が落ち,生存可能な空間ができたこと」「家具すべてを鴨

かも

居い

に金属で固定していたため,転倒しなかったこと」が大きい。        (神

こう

戸べ

市 男性)

協力して崩ほう

壊かい

家屋からの救出が行われた(兵庫県 神こう

戸べ

市灘なだ

区)

 市職員として,落ちかけの橋を渡り渋じゅう

滞たい

で回り道をしながら,物資を運んだ。約500人が身を寄せていた避難所に届けられたのは,わずか120食ほどのおにぎり。3人でひ届けられたのは,わずか120食ほどのおにぎり。3人でひとつを分けるくらいしかない。「まだか!」と怒

鳴な

られながら配り続けた。自分も空腹の極みだったけれど,それらを口にはできない苦しみがあった。 ほとんど飲まず・食わず・眠らずに3日間対応を続け, ほとんど飲まず・食わず・眠らずに3日間対応を続け,ようやく自宅に戻ることができたが,なかには途中でようやく自宅に戻ることができたが,なかには途中で倒

たお

れてしまった職員も。3か月間,朝の9時から翌日の夕方5てしまった職員も。3か月間,朝の9時から翌日の夕方5時まで,32時間勤務体制で対応にあたり,2日に1回,家時まで,32時間勤務体制で対応にあたり,2日に1回,家に帰るといった具合だった。に帰るといった具合だった。 大変なのはみな同じ。家族は,水の配給を求めて4時間 大変なのはみな同じ。家族は,水の配給を求めて4時間ほど並び,大行列のコンビニでカップラーメンと飲み物をほど並び,大行列のコンビニでカップラーメンと飲み物をやっとの思いで買ったとのこと。やっとの思いで買ったとのこと。 いつもあるものがないことを実感した時,コップ1杯の いつもあるものがないことを実感した時,コップ1杯の水がものすごく大切に感じられた。水がものすごく大切に感じられた。

(西にしの

宮みや

市 男性)高こう

架か

が崩れ電車は脱線,建物もつぶされた(兵庫県 神

こう

戸べ

市灘なだ

区)

 就寝中,突然,ドドドーッという音とともに,体を投げ上げられるような強い ゆれ と,家全体がきしむ音がして,ドスンと重たいものが体の上に落ち,私はつぶれた家の下敷きになっと重たいものが体の上に落ち,私はつぶれた家の下敷きになってしまった。家族を先に公園へ避難させ,どうにか両手を広げてしまった。家族を先に公園へ避難させ,どうにか両手を広げて少しずつ がれき を崩し,やっとの思いで抜け出した。布団て少しずつ がれき を崩し,やっとの思いで抜け出した。布団に守られて奇跡的にけがはなく,パジャマに裸足のまま公園へ。に守られて奇跡的にけがはなく,パジャマに裸足のまま公園へ。 ご近所の誰がいないのかをすぐに ご近所の誰がいないのかをすぐに把

握あく

して,グループに分かれ,道具もない状態で救出活動に向かった。家具や がれきかれ,道具もない状態で救出活動に向かった。家具や がれきを素手で取り除きながら,腹ばいになって中へと入っては「どを素手で取り除きながら,腹ばいになって中へと入っては「どこにいますか?」と声をかけた。こにいますか?」と声をかけた。下

した

敷じ

きになって動けない人が多く,わずかに見えていた足をつかんでは引っぱり出し,首に多く,わずかに見えていた足をつかんでは引っぱり出し,首に抱きついてもらい,一緒に抱きついてもらい,一緒に後

あと

ずさりをするようにして助けたことも。みなの協力で9人を救出できた。とも。みなの協力で9人を救出できた。 わずらわしさをともなうこともあるが,苦労して積み上げた わずらわしさをともなうこともあるが,苦労して積み上げた近所づきあいは,いざという時に大きな力となる。近所づきあいは,いざという時に大きな力となる。

(神こう

戸べ

市須す

磨ま

区 男性)

広がる火か

煙えん

を見上げながら不安な表情の住民

 (兵庫県 神こう

戸べ

市長なが

田た

区)

生き埋めの恐怖 あたたかな毛布

近所づきあいの大切さ

心のつながりで乗り切れた

激動の日々

援物資の配布や食材の調達・炊すいすい

事じじ

当番や小さな子ども達の相手などに大活躍した。 不便極まりない共同生活だった一方,心温まるつながりのおかげで,どれほど勇気づけられたことだろう。

(西にしの

宮みや

市 男性)

阪神・淡路大震災を語る

阪神・淡路大震災を語る

阪神・淡路大震災を語る

阪神・淡路大震災を語る

阪神・淡路大震災を語る

阪神・淡路大震災を語る

阪神・淡路大震災を語る

大地震の瞬間とその後の体験

32 33地 震 地震による被害地震による被害地震による被害地震による被害地震による被害地震による被害

ここも見てみようゆれやすい場所➡p.15,22-23,地震から身を守る方法➡p.42-43,ゆれやすい場所➡p.15,22-23,地震から身を守る方法➡p.42-43,ゆれやすい場所➡p.15,22-23,地震から身を守る方法➡p.42-43,避難所での生活➡p.26(熊本地震),p.30(阪神・淡路大震災),2巻p.18-19(東日本大震災)避難所での生活➡p.26(熊本地震),p.30(阪神・淡路大震災),2巻p.18-19(東日本大震災)避難所での生活➡p.26(熊本地震),p.30(阪神・淡路大震災),2巻p.18-19(東日本大震災)ゆれやすい場所➡p.15,22-23,地震から身を守る方法➡p.42-43,ゆれやすい場所➡p.15,22-23,地震から身を守る方法➡p.42-43,避難所での生活➡p.26(熊本地震),p.30(阪神・淡路大震災),2巻p.18-19(東日本大震災)避難所での生活➡p.26(熊本地震),p.30(阪神・淡路大震災),2巻p.18-19(東日本大震災)避難所での生活➡p.26(熊本地震),p.30(阪神・淡路大震災),2巻p.18-19(東日本大震災)

ここも見てみようここも見てみようここも見てみようここも見てみようここも見てみよう「クロスロード」については,本巻奥付を参照

「一日前プロジェクト」(内閣府)より「一日前プロジェクト」(内閣府)より「一日前プロジェクト」(内閣府)より

「クロスロード」とは… クロスロードとは,「重大な分かれ道」のこと。災害が起こったときには,どちらが正解か決められないよ

うな難しい選択をしなければならない場面が多々発生します。過去の教訓が次の災害のときに必ずしも生か

せるとも限りません。「クロスロード」は,そのようなさまざまな場面でどのような判断をするか,2択で考

えていくシミュレーションです。あなたならYESかNOのどちらを選ぶか,なぜその選択をするのかを考えて

みましょう。また,あなたのまわりの家族や友だちはどのように考えたか,話を聞いてみましょう。

 あなたが両親と一緒に暮らしている一軒家は,まわりに水田が広がる住宅地にある。都会ほどの便利さはないけれど,自然が豊かで友だちも近くにいて,住みやすい町だ。

発生前に戻れるとしたら…地震の体験談から,発生前に何ができるか考えてみましょう。

「部屋に行ってみると,私のベッドの上には,扉「部屋に行ってみると,私のベッドの上には,扉「部屋に行ってみると,私のベッドの上には,扉が開いたままのタンスが,両側から倒れていまが開いたままのタンスが,両側から倒れていまが開いたままのタンスが,両側から倒れていました。もし寝ていたらと思うとゾッとします。」した。もし寝ていたらと思うとゾッとします。」した。もし寝ていたらと思うとゾッとします。」

(2003年宮城県北部地震,一部抜粋)(2003年宮城県北部地震,一部抜粋)

中学校の体育館で避難生活を送ることになったあなた。日ごろの備えが幸いして,家族3人3日分の水と食料が入った非常持ち出し袋をもって避難してきた。一方,まわりには水も食料もない家族がたくさんいるようだ。あなたはその前で非常持ち出し袋を開ける?

異なる立場から考えてみよう

そのときあなたならどうする「クロスロード」に挑戦! ~地震編~

あなたは地震のあった地域から遠くはなれた地域に住んでいて被害にはあわなかった。あなたの親

しん

戚せきのおじさんの家が火災にまきこまれ,避難所で

生活しているようだ。先日の電話でおじさんは「被災地ではいろいろな物資が極

きょく端たんに不足している」と

話していたが,被災地に物資を送る?

YES開ける

NONONONO開けない

YES物資を送る物資を送る

NONONONO物資を送らない物資を送らない

あなたの家は先ほどのゆれ で倒とう壊かいや火災はな

かったが,ガラスや壁かべにはところどころひび が

入った。家の電気はあいかわらず復旧しない。避難所は足の踏

ふみ場がないほど混雑しているらしい

が,あなたは家族と一緒にすぐに避難する?

YES避難する

NONONO避難せず家にとどまる避難せず家にとどまる

 夕食後に家族でテレビを見ていたとき,下からつき上げられるような地震に襲

おそわれたあなた。立ちあがれないほどのゆれのなか,急いで近

くのテーブルの下に身を隠かくした。食器棚などの家具がガチャンガチャン

と音を立ててたおれてきた。停電で部屋のなかは真っ暗になった。

「地震が起きたのは,10月半ばを過ぎた午後6時ちょっと前。わた「地震が起きたのは,10月半ばを過ぎた午後6時ちょっと前。わた「地震が起きたのは,10月半ばを過ぎた午後6時ちょっと前。わた「地震が起きたのは,10月半ばを過ぎた午後6時ちょっと前。わたしらの地域は,そのころにはとっぷり日が暮れていました。で,電しらの地域は,そのころにはとっぷり日が暮れていました。で,電しらの地域は,そのころにはとっぷり日が暮れていました。で,電しらの地域は,そのころにはとっぷり日が暮れていました。で,電しらの地域は,そのころにはとっぷり日が暮れていました。で,電しらの地域は,そのころにはとっぷり日が暮れていました。で,電気はもう一発で消えちゃって,真っ暗気はもう一発で消えちゃって,真っ暗気はもう一発で消えちゃって,真っ暗気はもう一発で消えちゃって,真っ暗気はもう一発で消えちゃって,真っ暗闇闇

やみやみになりました。家の中は上

から落ちてきたものや倒れてきたもので足の踏み場もない。そんなから落ちてきたものや倒れてきたもので足の踏み場もない。そんなから落ちてきたものや倒れてきたもので足の踏み場もない。そんなから落ちてきたものや倒れてきたもので足の踏み場もない。そんな中をいろんなものにぶつかりながら必死の思いで外に出ました。灯中をいろんなものにぶつかりながら必死の思いで外に出ました。灯中をいろんなものにぶつかりながら必死の思いで外に出ました。灯りがなければ,自分の家からも簡単には逃げられないんですね。」りがなければ,自分の家からも簡単には逃げられないんですね。」りがなければ,自分の家からも簡単には逃げられないんですね。」りがなければ,自分の家からも簡単には逃げられないんですね。」                      (2004年新潟県中越地震,一部抜粋)                      (2004年新潟県中越地震,一部抜粋)                      (2004年新潟県中越地震,一部抜粋)                      (2004年新潟県中越地震,一部抜粋)

「クロスロード」とは…

アクアクアテクテク

ィティテ ビビィビィテビテビ ィティテ

Q2

Q3

①�あなたが非常袋を開けて自分だけ飲食するなら,まわりの人から自分勝手だと思われるかもしれない。体力のないお年寄りや,お腹をすかせた子どもにも分けてあげれば,人助けができる。しかし,そうしたことで明日には自分がお腹をすかせるかもしれない。②�あなたが非常袋を開けないならば,日ごろから備えてきた意味がないと感じるかもしれない。どのタイミングで袋を開けるべきか,判断に迷うことになりそうだ。③�避難所では,さまざまな人が共同で生活することになる。それぞれが気持ちに余裕のないなか,まわりの人たちにも気を配らなければならない。では,みなが非常袋を開けられるようにするには?例えば,地域で備

蓄ちく

のルールを話し合い,各家庭が備えておくのも一つの手だ。

①�あなたが物資を送るならば,人助けにつながる。役場や避難所あてに送る場合は,仕分けの手間のない「少品目多数のパッケージ」が喜ばれる。また,知り合い個人あての場合は,要望に応じて「多品目少数のつめ合わせ」がよい。必要な物が必要なところに届くよう工夫が必要である。②�あなたが物資を送らないならば,できる範囲で募

金きん

をすることでも被災地に貢

こう

献けん

できる。ただし,募金は用よう

途と

が目に見えないため,詐

欺ぎ

やトラブルには注意が必要である。③�非常時には助け合う気持ちと行動がとても大切である。被災地では時々刻々と物資のニーズが変わることを理解し,被災者側と支援者側の双方の立場で何をすべきかを考えてみよう。

Q1 ①�あなたが避難するならば,避難所へ向かうときに倒壊しかかった建物や壁などに注意が必要である。暗やみのなかの避難は危険をともなう。避難所では食料や寝具が支給されるが,多くの人で混雑している場合は十分な支援や生活スペースが得られない可能性もある。②��あなたが避難せずに家にとどまるならば,プライバシーは保たれ,セキュリティーの弱い家をはなれる防犯上の不安もない。一方で支援に関わる情報や支援そのものを得にくく,ふたたび強いゆれに見舞われたときの危険性にも注意する必要がある。③��緊急時に何を重視するかが問われるが,第一に身の安全を確保することを忘れてはならない。

発生前に戻れるとしたら…

大切な家族がけがをしないためには,簡単なことですが,事前に家具を固定しておく,寝室には背の高い家具を置かないようにするなどの工夫がとても重要です。

手近なところに電池式のライトを常備しておけば,停電中の避難時にも役立ちます。地震後の室内は,ガラスなどが散乱している可能性もあるので,暗やみでの避難は想像以上に危険です。

異なる立場から考えてみよう

!①あなたが避難するならば,避難所へ向かうときに倒壊しかかっ

考察 ポイント

!①あなたが非常袋を開けて自分だけ飲食するなら,まわりの人

考察 ポイント

!考察 ポイント

!大切な家族がけがをしないためには,簡単なことです

考察 ポイント !手近なところに電池式のライトを常備しておけば,停電中の避難時に

考察 ポイント

48 49地 震 防災・減災の取り組み

ふ た

ここも見てみよう

 2016年4月14日午後9時26分,熊本県でマグニチュー

ド6.5の地震が発生しました。益まし

城き

町まち

で震度7を観測する

など,経験したことのない強いゆれに襲おそ

われ,住民は一

瞬にして恐怖につつまれました。夜に発生したため救助

活動は暗やみのなかで行われ,難なん

航こう

しました。

 この地震は当初,本ほん

震しん

と受け止められました。しかし,

この地震が引き金がね

となって,その約28時間後の4月16日

午前1時25分,マグニチュード7.3の本震が発生し,益城

町や西にし

原はら

村むら

で震度7を記録しました。やはり夜の発生で

した。その後も活発な余よ

震しん

活動が長期間続いています。

「2016年熊本地震」はこれらの地震の総称で,14日の地震

を前ぜん

震しん

とみなす考えもあります。死者は50人を数え,災害

関連死をふくめると170人をこえています。

 熊本地震は,布ふ

田た

川がわ

-日ひ

奈な

久ぐ

断層帯の中部~北東部が

活動して発生した典型的な直下型地震です。この断層帯

は日本列島でも有数の活かつ

断だん

層そう

の一つで,地震前から調査

が行われ,将来の地震発生が心配されていました。14日

の地震では,この断層帯の中部に沿って地表面がわずか

て回送中の車両が脱線しました。九州新幹線のほか在来

線も一部区間が不通となり,九州自動車道や主要な道路

が通行止めとなったため,救助活動や救援活動にも影響

が出ました。熊本空港もターミナルビルの天井が落下す

るなどの被害を受け,一時閉へい

鎖さ

となっています。そのほか,

低地では液状化も多数発生しました。

 建物の倒壊は,活断層の近くや地じ

盤ばん

の軟なん

弱じゃく

な地域に集

中しています。築年代が古く,十分な耐たい

震しん

性を備えてい

ない建物も多くありました。益城町などでは,重いかわら

地震による被害

も及んでいます。その真上の建物はすべて破は

壊かい

され,耕

作地も大きな被害を受けています。西原村では,農業用

ため池の堤てい

防ぼう

が断層のずれによってこわれました。南みなみ

阿あ

蘇そ

村むら

では,断層のすぐ近くで大規模な斜しゃ

面めん

崩ほう

壊かい

が起こり,

阿あ

蘇そ

大おお

橋はし

が崩ほう

落らく

しました。それにより貴重な人命がうば

われ,また一時は1000人近くの人が孤こ

立りつ

しました。

 地震活動は,阿あ

蘇そ

山さん

の北東の,活断層が多数発達する

大分県でも活発化しています。また,今回の地震ではず

事例1熊本地震

大規模な斜面崩壊により崩落した阿蘇大橋(熊本県 南阿蘇村 2016年4月) 被災した熊本城(熊本県 熊本市 2016年4月)

2度の大きな地震

強いゆれによる被害

3

活断層による地震

熊本地震の本震の震源と活断層

震度7のゆれで倒壊したかわら屋根の家(熊本県 益城町 2016年4月)

24 地 震 地震による被害

の地震では,この断層帯の中部に沿って地表面がわずか

ない建物も多くありました。益城町などでは,重いかわら大分県でも活発化しています。また,今回の地

震ではず

れなかった布田川-日奈久断層帯の南西部は,この地震

熊本地震の本震の震源と活断層熊本地震の本震の震源と活断層

〔産総研「活断層データベース」,地震本部資料, 気象庁資料より作成〕 2016年10月現在

ここも見てみようここも見てみようここも見てみようここも見てみようここも見てみよう エコノミークラス症候群➡p.59エコノミークラス症候群➡p.59-60用語解説

いるようすもみられました。耐震性よりも,伝統的な様式の家に住むことを重んじる地域性もあったようです。一方で,比較的新しい建物も一部が倒壊しており,強いゆれが2度くり返した場合でも耐えられるかなど,建築基準のあり方に課題を投げかけています。

 熊本県においては,マグニチュード6.3を記録した1889年熊本地震以降,めだった地震は起こっていませんでした。しかし,活断層が多く分布する,決して油

断だん

できない地域でした。今回のような地震が起こりうることを知らなかった住民や,知っていても対策をとらなかった住民も多くいたようです。今回の経験を後世に引き継ぐべく,断層のずれを保存する取り組みも地震後まもなく始まりました。 この地震にともなっては,宇

土と

市など震しん

源げん

域いき

にあるいく

つかの市町村で役場の建物が損壊して使用できなくなりました。災害対応の拠点となる役場や,学校,病院などの建物が十分な耐震性を有するか,あらためて見直す必要があります。住宅などほかの建物についても,耐震性の向上が求められます。 地震後の救援活動や避難生活,生活再建についても,多くの課題が浮きぼりになりました。全国各地から集まった支援物資は,道路や鉄道の混乱や人手不足のため,地震直後には効果的に配布されませんでした。自宅が被害を受けたこと,またプライバシーや防犯の観点から,自家用車で避難生活を送る住民や,家の車庫や庭に設置したテントで生活する軒

のき

先さき

避難者も多くみられました。しかし,2004年新潟県中

ちゅう

越えつ

地震の際にも指摘されたように,十分な水分をとれず,せまい空間で長時間同じ姿勢を取り続けることによってエコノミークラス症

しょう

候こう

群ぐん

を発症するおそれがあるなど,多くの課題が残されています。インターネットなどで情報を得られる人とそうでない人との間に格差が生まれるなどの災害弱者の問題も解決されていません。 熊本地震では,活断層沿いできわめて強くゆれ,またそれが1度でなく2度襲う可能性があることがあらためて認識されました。日本列島には約2000の活断層があるといわれています。活断層の存在をいま一度見直し,今回の地震を教訓として,正しく知り正しく備える必要があります。また,夜に地震が発生した場合の救助活動や避難生活のあり方など,熊本地震はさまざまな教訓と課題を私たちに残しています。

熊本地震の教訓

校庭にいすで書かれた物資不足をうったえるメッセージ(熊本県 熊本市 熊本国府高等学校 2016年4月17日)

崩壊寸前となった市役所(熊本県 宇土市 2016年4月)

自家用車での避難生活(熊本県 益城町 2016年4月20日)

断層沿いに続いた

地震の連鎖26 27地 震 地震による被害

▲ 1 地震 p.16-17

▲ 1 地震 p.42-43

▲▶ 1 地震  p.24-27

▼ 1 地震 p.32-33

▲ 1 地震 p.48-49▶ 1 地震   p.25

[各巻の掲載事例一覧]

合計20の「声」を紹介

地震や津波,火山噴火,風水害,土砂災害などがなぜ日本で多く発生するのか?日本の自然環境の特徴と関連させて,自然災害が起こるしくみ・メカニズムを詳しく解説。模式図や写真などを豊富に用いてわかりやすく構成。

[土砂] ○広島県広島市 災害  ○長野県地附山[竜巻] ○山形県酒田市 ○宮崎県延岡市 ○北海道佐呂間町 ○つくば市 など[雪害] ○平成 26年豪雪 ○平成 18年豪雪 ○世界の事例

災害に対してどのような取り組みが行われているのか? 私たち一人ひとりが取り組むべきこととは? 防災・減災の取り組みについて各巻3~4テーマで詳しく解説。さらに,これからの防災に生かせるような先人の知恵や工夫も紹介。

ハード面の対策

ソフト面の対策

先人の知恵や工夫

災害シミュレーション「クロスロード」 災害時のさまざまな場面であなたならどう 行動する? 実践的な防災意識を育む教材。

さらに深める!

災害を “ 自分ごと ”として考える 特設ページ「アクティビティ」

監修  矢守 克也 (京都大学教授 )

災害を体験した方々の「声」を多数紹介体験者の目を通して見えてくる災害の実態,助け合いの大切さ,防災・減災への想い…

基礎①

対策③

事例②災害の背景や状況だけでなく,体験者の声やその後の対策に生かされた教訓・課題まで取り上げた充実の内容。

体験者の体験者の

     14日の夜,塾にいた娘を車で迎むか

えに行ったときだった。今まで経験したこともないような強いゆれに襲われ,乗っていた車は宙

ちゅう

に浮き上がった。まわりの建物からは人がどっと飛び出してきた。 益城町の自宅は,1度目の地震で壁

かべ

じゅうにひびが入り,2度目の地震でかたむいた。家族を妻の実家にあずけ,1人自宅前での車中泊が続いた。電気がとまって静まりかえった町では,地震が来るたびに「ゴゴゴ…」と地

鳴な

りの音が鮮明に聞こえ,とにかくおそろしかった。熊本では,「もし地震が起こったらこわい(大きい)」と言われてはいたが,まさか自分が体験するなど考えもしなかった。       (益城町 男性)

地震の「音」の恐怖

阪神・淡路大震災を語る

わかる!

取り組む!

  津波○東日本大震災○南海トラフ地震○世界の事例 ・インド洋津波 ・チリ地震の津波

2○雲仙普賢岳○伊豆大島○桜島○有珠山○富士山○世界の事例 ・アイスランド など

  火山3○鬼怒川○伊勢湾台風○世界の事例 ・ ハリケーンやサイクロンなど (アメリカ合衆国,タイ,バングラデシュ )

○ 都市型水害 (東京都,神戸市都賀川  など )

  豪雨・台風4   土砂災害・竜巻・豪雪5  地震○熊本地震 ○阪神・淡路大震災 ○関東大震災○世界の事例  ・四川大地震  ・ネパール地震○首都直下地震

1

災害のしくみが

防災・減災に一人ひとりが

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あなたの家は先ほどのゆれ で倒とう壊かいや火災はな

かったが,ガラスや壁かべにはところどころひび が

入った。家の電気はあいかわらず復旧しない。避難所は足の踏

ふみ場がないほど混雑しているらしい

が,あなたは家族と一緒にすぐに避難する?

YES避難する

NO避難せず家にとどまる

Q1

より実感を持つために!