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地球温暖化対策について 平成26年6月 環境省 資料1-2 10回東北地域エネルギー・温暖化対策推進会議

地球温暖化対策について( PDF形式:4421KB)

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地球温暖化対策について

平成26年6月

環境省

資料1-2

第10回東北地域エネルギー・温暖化対策推進会議

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1 地球温暖化の科学的知見

1

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第5次評価報告書作成スケジュール

IPCC総会

第1作業部会(WG1):科学的根拠 気候システム及び気候変動について評価

第3作業部会(WG3):緩和策 気候変動に対する対策(緩和策)について評価

IPCCの組織

第2作業部会(WG2):影響・適応・脆弱性 生態系、社会・経済等の各分野における影響 及び適応策について評価

インベントリー・タスクフォース 各国における温室効果ガス排出量・吸収量の 目録に関する計画の運営委員会

国連環境計画(UNEP)・世界気象機関(WMO) により1988年設置された政府機関

世界の政策決定者に対し、世界の政策決定者に対し、正確でバランスの取れた科学的知見を提供し、気候変動枠組条約の活動を支援

IPCCの概要

2013年9月27日 第36回総会(スウェーデン)で承認済

2014年3月31日 第38回総会(横浜開催)で承認済

2014年4月13日 第39回総会(ドイツ)で承認済

【統合報告書】 2014年10月 第40回総会(デンマーク)で承認予定

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)

2

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国際交渉(UNFCCC)

1990年 第1次評価報告書(FAR)

2001年 第3次評価報告書(TAR)

科学的な知見(IPCC)

1995年 第2次評価報告書(SAR)

2007年 第4次評価報告書(AR4)

1992年 国連環境開発会議(地球サミット)

1997年 COP3(京都)、京都議定書採択

2001年 COP7(マラケシュ)、マラケシュ合意

2013~2014年 第5次評価報告書(AR5)

気候変動に関する科学的な知見と国際交渉との関係

3

2015年 COP21(パリ)、2020年以降の枠組み

1994年 気候変動枠組条約発効

2010年 COP16(カンクン合意)

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• 気候システムの温暖化については疑う余地がない。

• 1880~2012年において、世界平均地上気温は0.85℃上昇。

• 最近30年の各10年間の世界平均地上気温は、1850年以降のどの10年間よりも高温。

• 海洋は人為起源の二酸化炭素の約30%を吸収して、海洋酸性化を引き起こしている。

• 1992~2005年において、3000m以深の海洋深層においても水温が上昇している可能性が高い。(新知見)

• 将来予測では4つのシナリオがあり、可能な限りの

温暖化対策を前提としたシナリオでは、気温上昇は0.3~1.7℃、 海面上昇は0.26~0.55m、非常に高い排出が続くシナリオでは、気温上昇は2.6~4.8℃、海面上昇は 0.45~0.82mの範囲に入る可能性が高い(右図参照)。

• CO2の累積総排出量と地表面の平均気温の変化は

おおむね線形関係にある。最終的に気温が何度上昇するかは累積排出量によって決定づけられる。これからの数十年でより多くの排出を行えば、その後は、より多くの排出削減が必要となる。(新知見)

2

観測事実

• 人間活動が20世紀半ば以降に観測された温暖化の支配的な原因であった可能性が極めて高い。

温暖化の要因

将来予測

世界平均海面水位上昇

1986~2005年を基準とした 2081~2100年における

世界平均地上気温の変化(上) 世界平均海面水位の上昇(下)

2081~2100年 平均

RCP2.6 RCP8.5

過去の期間のモデル結果

世界平均地上気温変化

RC

P8

.5

RC

P6

.0

RC

P4

.5

RC

P2

.6

4

IPCC第5次評価報告書第1作業部会報告書の主要な結論

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図SPM.10

1870年からの人為起源CO2の総累積排出量(10億CO2換算トン)

1870年からの人為起源CO2の総累積排出量(10億炭素換算トン)

18

61

-18

80年に対する気温の平年差

(℃)

• CO2の累積総排出

量と世界平均地上気温にはほぼ線形の関係がある。

• より低い昇温目標のため、またはある特定の昇温目標でそれ以下に止まる可能性を高めるためには、累積排出量をより少なくすることが求められる。

累積の排出量と昇温はほぼ線形関係にある。

5

● CO2排出による温暖化を、産業革命以前と比べ、平均2℃未満に抑えるためには、CO2累積排出量を約800GtCに制限する必要がある。 ● 現時点でのCO2累積排出量は約500GtC。毎年世界で約10GtCが排出されている。 ● このままの排出が続けば約30年で、 CO2累積排出量が約800GtCに達する見込み。

(参考)IPCC第5次評価報告書第1作業部会報告書の主要な結論 ~CO2の累積総排出量と世界平均地上気温の関係~

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IPCC第5次評価報告書第2作業部会報告書の主要な結論(1)

(1) ここ数十年、すべての大陸と海洋において、気候変動による自然及び人間システムへの影響が現れている。

(2) 懸念の理由の説明(8ページの図参照)

気候変動のリスクのレベルに関する判断の根拠として、5つの包括的な懸念の理由(Reasons For Concern)が示された。

1986-2005年平均気温からの気温上昇と影響の関係は以下のように予測されている。

➢1℃の上昇:熱波、極端な降水、及び沿岸洪水のような極端現象によるリスクが高くなる

また、生態系や文化など、独特で脅威に曝されているシステムで、リスクに直面

するものが増加する

➢ 2℃の上昇:北極海氷やサンゴ礁のシステムは非常に高いリスクにさらされる

➢ 3℃の上昇:大規模かつ不可逆的な氷床の消失により海面が上昇するリスクが高くなる

6

※第4次評価報告書(AR4)では、「すべての大陸及びほとんどの海洋で観測によっ

て得られた証拠は、多くの自然システムが、地域的な気候変動、とりわけ気温上昇の影響を受けつつあることを示している」とされており、第5次評価報告書(AR5)ではより断定的な書き方に変わった。

※AR4では分野毎の影響を並べた図はあったが、AR5では分野横断リスクの総合的評価が出来る図が追加された。

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(3) 8つの主要なリスク

確信度の高い複数の分野や地域に及ぶ主要なリスクとして、以下の8つが挙げられている。

i)海面上昇、沿岸での高潮被害などによるリスク

ii)大都市部への洪水による被害のリスク

iii)極端な気象現象によるインフラ等の機能停止のリスク

iv)熱波による、特に都市部の脆弱な層における死亡や疾病のリスク

v)気温上昇、干ばつ等による食料安全保障が脅かされるリスク

vi)水資源不足と農業生産減少による農村部の生計及び所得損失のリスク

vii)沿岸海域における生計に重要な海洋生態系の損失リスク

viii)陸域及び内水生態系がもたらすサービスの損失リスク

7

(参考)IPCC第5次評価報告書第2作業部会報告書最終案(概要) 複数の分野や地域に及ぶ主要なリスク

IPCC第5次評価報告書第2作業部会報告書の主要な結論(2)

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(参考) IPCC第5次評価報告書第2作業部会報告書の主要な結論 ~将来のリスクと適応の機会~気候システムに対する危険な人為的干渉~

8

図:世界年平均気温の変動(観測値と予測値)と、分野横断的な主要なリスクのレベル

5つの包括的な懸念の理由に関連するリスク。

•気候システムに関する人間の干渉は明らかである。 •本報告書では、リスクを評価し、リスクが危険になる気候変動のレベルに関する判断の根拠を提供する。

観測値 RCP8.5(高排出シナリオ) 重複部 RCP2.6(低排出緩和シナリオ)

独特で脅威に曝されている

システム

極端な

気象現象

影響の分布

世界総合的な影響

大規模な特異現象

気候変動による追加邸リスクのレベル

工業化以前からの

世界平均気温変化

:℃

(18

50

-19

00との比較

)

工業化以前からの世界平均気温変化

:℃

(18

50

-19

00との比較

)

世界平均気温変化

:℃

(19

85

-20

05との比較

)

世界平均気温変化

:℃

(19

85

-20

05との比較

)

2003-2012

検出できない 中程度 高い 非常に高い

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(1)この40年間に排出された人為起源CO2は、1750年~2010年の累積排出量(約2000GtCO2)の約半分を占めている。

(2)今後の温室効果ガス(GHGs)の緩和経路と持続可能な開発

1)長期の緩和計画

2100年までにGHGs濃度が約450ppmCO2eqに達し、産業革命前に比べて気温上昇を2℃未満に抑えられる可能性が高いシナリオ(以下、「2℃シナリオ」)では、 GHGs排出量を2010年と比べて2050年に40~70%低く、2100年にほぼゼロ又はマイナスになる。

その場合、世界全体で、エネルギー効率をより急速に改善し、二酸化炭素をほとんど排出しない、再生可能エネルギー、原発、CCS付き火力やバイオマスエネルギ—などの割合を2050年までに現状の3倍から4倍近くになる。

第3作業部会報告書(AR5 WGⅢ)全体の概要

9

※AR4との比較 • AR4では、累積排出量に関する記載はない。工業化以降GHG排出量が増加しており、1970年から2004年の間に70%増加したと報告。

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「2℃シナリオ」は、GHGs濃度が約500~550ppmCO2eqに達する多くのシナリオと同様に、典型的にGHGs濃度が2100年時点の濃度を一時的にこえる。その場合、今世紀後半において、バイオマス燃焼時に排出されるCO2を回収・貯留する「バイオマスCCS(CCS付バイオマス発電所)」及び植林の大規模な普及に依存する。

ただし、CCSはいまだ大規模な商業用火力発電所に適用されておらず、運転上の安全性や長期の安定性に関する懸念もある。またバイオマスCCSについては、原料の大規模生産への課題もある。

2030年までに、現状以上の緩和努力の実施が遅れた場合、産業革命前に比べて気温上昇を2℃未満に抑え続けるための選択肢の幅が狭まる。

⇒CCS等の技術開発を進めると同時に、早期の緩和対策が不可欠

第3作業部会報告書(AR5 WGⅢ)全体の概要

10

※AR4との比較 • AR4では、濃度安定化レベルを基準に緩和シナリオを分類していたのに対し、AR5では2100年時点の濃度を基準に分類。そのため両者のシナリオとその排出削減量を単純に比較することが困難となっている。

• AR5では、今世紀中のピーク濃度が2100年時点の濃度を超過するシナリオ(オーバーシュートシナリオ)に関する記述が拡充された。対策の遅れ等による影響に関する記述など幅広く含む。

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「2℃シナリオ」では、追加的な緩和策を講じない場合と比べて、2100年に消費が3~11%(中央値4.8%)減少する(今世紀中に300~900%以上消費が拡大することを前提)。ただし、気候変動の抑制による便益や緩和策による副次的な損益は考慮していない。

※この数値は、追加的な対策を講じない場合は今世紀中の消費が年率1.6~3% 増加する前提に対し、0.04~0.14%ポイントの減少に相当。

追加的な緩和策の遅れは、中長期的な緩和コストを増大させる。

「2℃シナリオ」において2015~2100年の期間にCCS、原子力、太陽光・風力、バイオマスエネルギーが使用できないとした場合、緩和コストがそれぞれ138%、7%、6%、64%増加するとしている。

11

第3作業部会報告書(AR5 WGⅢ)全体の概要

※AR4では、 • “445~535ppmで安定化する場合、 2050年のマクロ経済コストは、最大でGDPの5.5%減に相当”(AR4

WG3 SPM P18, 20. (「D. 長期的な緩和」の一部))この数値は平均した年間GDP成長率に換算すると最大0.12%減に相当。

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2) セクター別またはセクター横断の緩和経路と対策

i)エネルギー供給(低炭素エネルギーについて)

2100年で産業革命前に比べて気温上昇を2℃未満に抑えることが可能なシナリオでは、低炭素エネルギー(再生可能エネルギー、原子力、CCS)による電力供給の割合が、2010年の約30%から2050年までに80%以上に増加。2100年までにCCSなしの火力発電がほぼ完全に廃止される。

原子力エネルギーは成熟した低GHG排出のベースロード電源だが、世界における発電シェアは1993年以降低下している。低炭素エネルギー供給への原子力の貢献は増しうるが、各種の障壁とリスクが存在する。

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第3作業部会報告書(AR5 WGⅢ)全体の概要

※AR4では、 • 「現在商業的に利用可能な主要な緩和技術および実施方法」に原子力発電が、「今後2030年までに商業化が予測される主要な緩和技術および実施方法」に先進的原子力技術が記載。(AR4 WG3 SPM P10(「表 SPM.3:部門別の主要な緩和技術および実施方法」の一部))

• “原子力は、2005年の電力供給量の16%を占めるが、炭素価格50米ドル/tCO2nのもとで、2030年には、18%を占めることができる。しかし、安全性、核兵器拡散、核廃棄物の問題が制約条件として残る”(AR4 WG3 SPM P13(「C.短中期の緩和(2030年まで)」の一部))

• “安定化レベルが低い場合、シナリオは再生可能エネルギーや原子力などの低炭素エネルギー源の活用、そしてCO2回収貯留(CCS)の利用に重点を置く。これらのシナリオの場合、エネルギー供給および経済全体の炭素原単位の急速な改善が必要” (AR4 WG3 SPM P16(「D.長期的な緩和(2030年より後)」の一部))

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(参考)IPCC第5次評価報告書第3作業部会報告書の主要な結論 ~エネルギーシステムの大規模な変革が必要~

13

図. 2050年における低炭素エネルギーの割合

一次エネルギーに占める

低炭素エネルギーの割合(2

05

0年)(

%)

最大値

75%

中央値

25%

最小値

約3~4倍 に増加

電力に占める

低炭素エネルギーの割合(

20

50年)(

%)

一次エネルギー 電力

80%以

上に増加

出典:AR5 WGIII Technical Summary 図TS.18

2100年における温室効果ガス濃度 2100年における温室効果ガス濃度

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2 我が国の温室効果ガス排出量

14

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○ 2012年度の我が国の総排出量(確定値)は、13億4,300万トン(基準年比+6.5%、前年度比+2.8%)

○ 総排出量に森林等吸収源※1及び京都メカニズムクレジット※2 を加味すると、5カ年平均で基準年比 -8.4%※3 となり、京都議定書の目標(基準年比 -6%)を達成

13

10

9

排出量 (億トンCO2換算)

11

12

12億6,100万トン

13億4,300万トン (基準年比 +6.5%)

<前年比 +2.8%>

基準年 2005 2008 2009 2010 2011 2012 (原則1990)

※1 森林等吸収源: 目標達成に向けて算入可能な森林等吸収源(森林吸収源対策及び都市緑化等)による吸収量。森林吸収源対策による吸収量については、5カ年の森林吸収量が我が国に設定されている算入上限値(5カ年で2億3,830万トン)を上回ったため、算入上限値の年平均値。

※2 京都メカニズムクレジット: 政府取得 平成25年度末時点での京都メカニズムクレジット取得事業によるクレジットの総取得量(9,749.3万トン) 民間取得 電気事業連合会のクレジット量(「電気事業における環境行動計画(2013年度版)」より) ※3 最終的な排出量・吸収量は、2014年度に実施される国連気候変動枠組条約及び京都議定書下での審査の結果を踏まえ確定する。 また、京都メカニズムクレジットも、第一約束期間の調整期間終了後に確定する(2015年後半以降の見通し)。

12億5,600万トン (基準年比 -0.4%)

13億700万トン (基準年比 +3.6%)

①-② -③ 5カ年平均

基準年比-8.4%

2008~2012

5カ年平均

5カ年平均

12億7,800万トン

(基準年比+1.4%) 12億8,100万トン

(基準年比 +1.6%)

京都議定書 第一約束期間

目標:基準年比-6%

(11億8,600万トン)

12億600万トン (基準年比 -4.4%)

13億5,000万トン

③京都メカニズム クレジット※2 (基準年比

5.9%) ①実際の総排出量

②森林等吸収源※1

(基準年比

3.9%)

我が国の温室効果ガス排出量と京都議定書の達成状況

15

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<出典> 温室効果ガス排出・吸収目録

(基準年比)[前年度比]

エネルギー起源CO2の部門別排出量(電気・熱配分後)の推移

16

○ 産業部門(工場等)は、製造業の生産量の減少等に伴い減少傾向。 ○ 運輸部門(自動車等)は、輸送効率の改善等により減少傾向。 ○ 業務その他部門(商業・サービス・事業所等)は、延床面積の増加等に伴い1990年度に比べエネ ルギー消費量が増加したことに加え、震災を契機とした火力発電の増加による電力排出原単位の 悪化等により増加傾向。 ○ 家庭部門は、世帯数の増加等に伴い基準年に比べエネルギー消費量が増加したことに加え、 震災を契機とした火力発電の増加による電力排出原単位の悪化等により増加傾向。 ○ エネルギー転換部門(発電所等)は、電力等のエネルギー需要が増加したこと等により増加傾向。

エネ起CO2 12億800万トン (+14.0%)[+2.9%]

産業部門: 4億1,800万トン

(▲13.4%) [+0.1%]

業務その他部門: 2億7,200万トン

(+65.8%) [+8.9%]

運輸部門: 2億2,600万トン

(+4.1%) [▲1.4%]

家庭部門: 2億0,300万トン

(+59.7%) [+7.8%]

エネルギー転換部門: 8,800万トン

(+29.4%) [+0.2%]

0

100

200

300

400

500

基準年

1990

1991

1992

1993

1994

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

(単位

百万t-

CO

2)

(年度)

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3 我が国の地球温暖化対策

17

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18

1.環境・生命文明社会の創造に向けた施策のグランド・デザイン

ライフスタイルデザインの発信・共有・実践

未来のあるべき社会・ライフスタイルを実現する技術の導入

日本発で世界をリード

地域の活性化で日本を再生

・「低炭素社会・循環型社会・自然共生社会」の3つの社会コンセプトを同時に実現する環境・生命文明 社会の創造に向け、平成26年度におけるエネ特予算を全体で1,116億円計上。

アジア太平洋地域における日本のリーダーシップの発揮 環境・生命文明創出支援ファンドを通じた日本技術の展開

途上国の環境汚染と低炭素化を同時解決するコベネフィットアプローチの展開

民間資本の動員を促す 環境ファイナンス・スキームの構築

低炭素・循環・自然共生

の実現を通じた活力と魅

力あふれる地域づくり

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〇 低炭素社会の実現に向けた未来への投資を促進するツールとして、

・ 民間活力を最大限に引き出す金融メカニズムを使う側の視点に立って展開

・ 未来のあるべき社会をつくる技術を開発・実証し、技術イノベーションを実現

低炭素社会創出には、再エネ・省エネなど巨額の追加投資が必要。

政府資金を呼び水として、民間投資を呼び込むための各種施策に取り組む。

・家庭・事業者向けエコリースの促進

低炭素・循環・自然共生を同時達成する社会の創造

① 低炭素社会の実現に向けた未来への投資

地域低炭素投資促進ファンド

サブファンド

プロジェクトの組成促進

地域金融機関等

民間資金

低炭素化 プロジェクト (SPC等)

民間活力を引き出す環境ファイナンス

未来のあるべき社会システム・ライフスタイルを描き、その実現のためのツールとなる技術を開発・実証し、社会にビルトイン。

未来のあるべき社会・ライフスタイル を実現する技術イノベーション

・規制等地球温暖化対策の強化の実現のための技術開発・実証

超高効

率デバ

イス

照明

空調

サーバー

動力モーター

燃料電池

パワ

コン

・地域低炭素投資促進 ファンドの全面展開 <地域低炭素投資促進ファンド 創設事業 4,600百万円 (1,400百万円)>

・環境金融を支援する利子補給

<環境金融の拡大に向けた

利子補給事業

1,200百万円(700百万円)>

<家庭・事業者向けエコリース 促進事業 1,800百万円(1,800百万円)>

・技術イノべーションを支えるプロジェクトのチェック&レビュー体制の充実・強化

<CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業 4,800百万円(3,300百万円)>

・未来のあるべき社会・ライフスタイルを創造する技術イノベーション

<(新)未来のあるべき社会・ライフスタイルを創造する技術イノベーション事業 600百万円(0百万円)>

<エネルギー起源CO2排出削減技術評価・検証事業 4,000百万円(2,580百万円)> 19

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低炭素化とともに防災性や経済性向上などの相乗効果を見える化し、尖った取組を行う先進地域の地域づくりを中心に支援。

・地域の防災拠点への再エネ導入等支援

小水力発電

温泉エネルギーの活用

高温温泉 (70~120℃)

浴用利用 (50℃以下)

温度差エネルギーで発電

温泉熱を利用

地域主導の魅力あふれる地域づくり

低炭素・循環・自然共生を同時達成する社会の創造

② 地域から世界まで低炭素社会を展開

日本には優れた環境技術があるが、高コストがネックとなり中国等に後れを取っている状況

アジア太平洋地域の途上国を中心に、我が国の優れた低炭

素技術・公害対策技術を活用した低炭素事業・環境汚染対

策を強力に推進し、「成長戦略」の柱とする。

アジア太平洋地域における日本の リーダーシップの発揮

〇 身近な地域から世界まで、面的な低炭素社会づくりを展開するため、

・ 地域主導での低炭素な地域づくりを支援し、地域の活性化につなげる

・ アジア太平洋を中心に、我が国の優れた環境技術で世界に貢献していく

・再エネ・再エネ熱(地中熱等)・省エネ等の低炭素化事業等の支援

・社会システムの整備に当たってのCO2排出抑制技術等の導入支援

<低炭素価値向上に向けた社会システム 構築支援基金 9,400百万円(7,600百万円)>

<再生可能エネルギー等導入推進基金事業

22,000百万円(24,500百万円)>

・コベネフィット・アプローチの推進

<“一足飛び”型発展の実現に向けた資金支援 7,200百万円(1,200百万円)>

<二国間クレジット制度 (JCM)基盤整備事業) 3,761百万円(3,405百万円)>

<アジア地域におけるコベネフィット型

環境汚染対策推進事業 630百万円(215百万円)>

<(新)地熱・地中熱等の利用による低炭素 社会推進事業 1,600百万円(0百万円)>

<(新) 先導的「低炭素・循環・自然共生」地域創出事業 5,300百万円(0百万円)>

JICAやADB等と連携し、日本の優れた環境技術をアジア太平洋地域に大幅導入

環境省

連 携

・案件発掘の支援

・導入コスト支援で普及促進

20

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〇 低炭素社会に必要不可欠な技術的要素となる、

・ 単体での再エネ導入を超えて、エネルギーシステム全体を再エネで自立・分散型化

・ 従来の省エネより一段進め、豊かな暮らしの実現に向け大幅な省エネルギーを実現

地域の活力を引き出し、防災性の強化をもたらす再生可能エネルギーを中核とした「自立・分散型低炭素エネルギー社会」を構築。

・再エネ関連技術の開発等を通じた基盤整備

低炭素・循環・自然共生を同時達成する社会の創造

③ 再エネ・省エネの加速化による低炭素社会の実現

再エネによる自立・分散型低炭素 エネルギー社会の創出

少ない資源で豊かな暮らしを実現する低炭素な社会システム及びライフスタイルを推進・展開し、大幅な省エネを実現。

・対策重点化のためのCO2排出実態把握の精緻化

豊かな暮らしの実現に向けた大幅な省エネの推進

BRT

低炭素な住まい方

・自立・分散型エネルギーシステムの技術実証、離島モデルの実証

<(新)離島の低炭素地域づくり推進事業

2,800百万円(0百万円)>

<(新)自立・分散型低炭素エネルギー社会構

築推進事業 700百万円(0百万円)>

・浮体式洋上風力・海洋エネ発電等の先進的再生可能エネルギーの技術実証及び導入拡大

<洋上風力発電実証事業 1,369百万円(1,600百万円)>

<(新)潮流発電技術実用化推進事業 550百万円(0百万円)> ・国民運動等を通じた低炭素ライフスタイルの発信・展開

<グリーンビルディング普及促進に向けたCO2削減評価基盤整備事業 780百万円(850百万円)>

・低炭素交通システム等の低炭素社会システムの推進・普及

・最先端技術(BAT)等大幅な省エネのための実効的対策・ライフスタイル転換の実証

<先進対策の効率的実施によるCO2排出量大幅削

減事業 2,815百万円(1,240百万円)>

<(新)低炭素交通システム構築事業

1,150百万円(0百万円)>

<低炭素社会の構築に向けた国民運動事業

1,500百万円(1,700百万円)> <CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業(再掲) 4,800百万円(3,300百万円)>

地産地消の再エネ資源を最大限活用

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再生可能エネルギー導入加速化プログラム (自立・分散型の低炭素エネルギー社会の創出を実現)

平成26年度予算額

475億(418億)

低炭素社会の創出に向け「自立・分散型エネルギー社会の構築」を戦略目標として掲げ、地球温暖化対策のみならず、高い防災性や地域活性化を推進する。

この戦略目標の実現の手段として、再生可能エネルギーの加速的導入が必要不可欠。このため、本プログラムの下、体系的な施策を戦略的に展開。

コンセプト

グリーンニューディール基金〔220億〕

先導的「低炭素・循環・自然共生」地域創出事業〔53億〕

CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業〔48億〕

地域低炭素投資促進ファンド創設事業〔46億〕

自立・分散型低炭素エネルギー社会構築推進事業〔7億〕

離島における低炭素地域づくり推進事業〔28億〕

技術から支える

地域から支える

・・・ 戦略目標

・・・ 目標を実現するための手段

自立・分散型エネルギー社会・再エネ導入促進を支える分野横断的施策

浮体式洋上風力発電実証事業〔14億〕

風力発電等に係る環境アセスメント基礎情報整備モデル事業〔14億〕 地熱

バイオマス

風力

地熱・地中熱等の利用による低炭素社会推進事業〔16億〕

木質バイオマスエネルギーを活用したモデル地域づくり推進事業〔18億〕

地域循環型バイオガスシステム構築モデル事業〔8億〕

廃棄物エネルギー導入・低炭素化促進事業〔11億〕

海洋エネ 潮流発電技術実用化推進事業〔6億〕 地域の再エネ資源を最大限活用

自立・分散型エネルギー社会の構築

再生可能エネルギー源ごとの導入加速化施策

資金から支える 22

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低炭素社会実行計画の政府フォローアップ

環境影響評価 を通じたチェック

L2-Tech 導入支援 (エネ特)

エ ル テ ッ ク ジ ャ パ ン L2-Tech・JAPAN イニシアティブ

技術開発・実証支援 (エネ特)

策定・発信

※ L2-Tech・・・低炭素社会を支える先導技術

高効率 ガスタービン

高効率ターボ冷凍機

実用化された技術を リストに反映

活用

1.情 報 発 信 2.実 効 性 確 保 3.支 援 強 化

普及を促進

など

Leading & Low-Carbon

L2-Techの開発・導入・普及を 国内外で強力に推進するための フィードバック・メカニズムの創設

イメージ

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L2-Tech(先導的低炭素技術)展開の有効性と重要性

産業界は「BAT最大限導入」を宣言 (昨年1月の経団連低炭素社会実行計画) L2-Techの考え方に基づく温対法の「排出抑制等指針」が産業部門でも策定(昨年4月) 産業界のPDCA(自己評価スキーム)への環境省による関与が可能 (厳格なレビューによる実効性の確保) L2-Techによる日本型低炭素戦略の世界への発信が国際社会のリードと日本の成長戦略の双方を実現

2020年東京オリンピックでの環境技術の発信

Leading × Low-carbon Technology L2-Techとは... 先導的低炭素技術

「 基準(数値型)規制を超えた、次世代型規制アプローチの展開 」

規制行政を原点とする 環境省ならではの施策強化を狙う

広範・多分野にわたる温暖化対策技術の進歩に応じた柔軟な見直しが必要 現時点で直ちに達成可能な技術水準を超える、より野心的な取組が求められる 規制される側が具体的に取り組むべき内容が明確にされることが効果的 野心的な取組が高く評価され、支援が得られる基盤づくりが重要

温暖化規制では...

L2-Tech・JAPANイニシアティブ ~大胆な省エネの実現に向けて ~

※環境影響評価には、BATの考え方が適用されている

BAT…Best Available Technologies (導入可能な最善・先進技術)

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温室効果ガス排出抑制等指針の拡充による制度基盤強化(エネ転部門(ex 発電所)等で新たに策定)

「L2-Techリスト」の策定による情報基盤整備(従来概念の省エネ技術のみならず、低炭素化につな

がる広範な技術を対象)

国際社会へのL2-Techリストの発信による市場展開に向けた基盤整備

低炭素社会実行計画

の政府フォローアップと同時に、環境省による厳格チェック

環境影響評価を通じたBATの確保

中小規模事業者に至るまで、自治体と連携して導入を確保

削減ポテンシャル調査でCO2削減余地をチェック

エネルギー特会を活用した、効果的なL2-Tech

導入支援(併せて支援事業による評価・検証に係る方法論の確立)

二国間クレジット制度(JCM)を通じたL2-Techの強力な推進

新たなL2-Techの発掘・

実用化に向けた技術開発・実証

先進的取組への表彰制度の導入

< 情 報 発 信 > < 実 効 性 確 保 > < 支 援 強 化 > 1 2 3

L2-Tech・JAPANイニシアティブ ~大胆な省エネの実現に向けて ~

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「気候変動キャンペーン Fun to Share」について

○横浜にて開催されるIPCC総会を契機にキャンペーンをキックオフ。 (3月26日にキックオフ・イベントを実施)

○今後、このロゴマークをすべての関連するキャンペーンで使う。

○産業界や自治体に大々的に活用してもらうことを想定。

気候変動問題をターゲットにした新キャンペーンの立ち上げ気運の高まり ○ IPCC第5次評価報告をきっかけに世界的な「危機感」の拡大(前回第4次は「北海道洞爺湖サミット」前)

○ 「低炭素技術」の進展(日本の技術力が注目)

○「地域が主役」といった気運(地球温暖化対策で地域を活性化)

これまでの国民運動を今一度見直し、

産業界や自治体を含む幅広い主体をも取り込んだキャンペーンの展開が必要

『Fun to Share』 みんなでシェアして、低炭素社会へ

【キャッチフレーズ】

【新たなロゴマーク】 ○数値目標型からアクション重視型のメッセージ

○青い地球をみんなでシェア (さらには、日本の技術を惜しむことなく世界にシェア・・・など)

【従来のロゴマーク】

「気候変動キャンペーン Fun to Share」について

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二酸化炭素回収・貯留(CCS) ~火力発電のゼロカーボン化に向けて~

○ 我が国が掲げる長期目標(2050年温室効果ガス80%排出削減)を実現するためには、 電力のゼロカーボン化が必要不可欠。 ○ とりわけ、CO2を大量に排出し、一度建設されると長期間にわたって稼働が見込まれる 石炭火力発電所等の大規模排出源には、CCSの導入が求められる。

(1)貯留適地調査事業(7億円) (経済産業省連携事業) ・CCS導入に向けて、沖合域を含めた我が国周辺水域におけるCO2貯留適地の調査・確保 (2)環境配慮型CCS導入促進事業(5.43億円)

・沖合域における貯留や複数の排出源からの輸送を実現可能なシャトルシップを活用した技術の開発 ・CO2分離回収液の環境負荷の評価等、環境に配慮したCCS技術の導入

CCSによるゼロカーボン電力導入促進事業(平成26年度予算案 12.43億円)

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優れた低炭素技術・製品・システム・サービス・インフラの普及や緩和活動の実施を加速

し、途上国の持続可能な開発に貢献。

日本からの温室効果ガス排出削減・吸収への貢献を、測定・報告・検証(MRV)方法論を

適用し、定量的に適切に評価し、日本の排出削減目標の達成に活用。

CDMを補完し、地球規模での温室効果ガス排出削減・吸収行動を促進することにより、

国連気候変動枠組条約の究極的な目的の達成に貢献。

日本

ホスト国

優れた低炭素技術等の普及や

緩和活動の実施

MRV

JCMプロジェクト

温室効果ガスの排出削減・吸収量

合同委員会で MRV方法論を開発

日本の削減目標 達成に活用 クレジット

署名国(11カ国) モンゴル、バングラデシュ、エチオピア、ケニア、モルディブ

ベトナム、ラオス、インドネシア、コスタリカ、パラオ、カンボジア

二国間クレジット制度(JCM)

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気候変動への適応の取組

○緩和とは:地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出を抑制

○適応とは:既に起こりつつある、あるいは起こりうる温暖化の影

響に対して、自然や社会のあり方を調整

※気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第4次評価報告書では、「適応策と緩和策のどちらも、その一方だけでは 全ての気候変動の影響を防ぐことができないが、両者は互いに補完しあい、気候変動のリスクを大きく低減すること が可能であることは、確信度が高い」とされている。

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適応計画策定に向けたステップ

第114回中央環境審議会地球環境部会にて気候変動影響評価等小委員会を設置(平成25年7月2日)

気候変動の影響及びリスク評価と今後の課題を整理し、意見具申として取りまとめ(平成27年2月頃)

政府全体の総合的、計画的な取組として、適応計画を策定(平成27年夏目途) ※定期的な見直し(5年程度を目処)

• 政府全体で、短期的(~10年)、中期的(10~30年)、長期的(30年~100年)に適応策を重点的に講ずべき分野・課題を抽出

• 各省における検討

• 極端現象を見るためのより詳細な日本の気候変動の予測 • 気候変動が日本にあたえる影響の評価 • それらの結果を踏まえたリスク情報の分析 等

※2℃目標(注)を達成したとしても、我が国において気温の上昇、降水量の変化、 極端な現象の変化など様々な気候の変化、海洋の酸性化などの影響が生ずる 恐れがあり、その影響への適応を計画的に進めることが必要とされている。

(注)2℃目標 温室効果ガスの濃度を安定させることを目的に掲げる国連気候変動枠組条約に基づき、産業革命以 前と比べ、世界平均気温上昇を2℃以内にとどめるため、各国が合意した目標

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