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- SAPSAP BusinessObjects ソリューション がSAP にもたらす エンタープライズ レベル のデータ 統合機能 は、 SAP カスタマー にとって 大きな

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ホワイト ペーパー - SAP® ソフトウェア ランドスケープにおける強力なビジネス インテリジェンス ビジネス ケースの構築:SAP および SAP BusinessObjects ソリューションを活用するシナリオ

目 次1.0 要旨 ..............................................................................................................................................1

2.0 SAP と SAP BUSINESSOBJECTS ソリューションのケース .............................................................2

2.1 ビジネス ユーザーにとっての価値創造 .................................................................................3

2.1.1 BI をインタラクティブにする ...............................................................................................3

2.1.2 BI のリーチ範囲を広げる .....................................................................................................5

2.2 エンタープライズ IT にとっての価値創造 ..............................................................................7

2.2.1 データの連結とフェデレーション .........................................................................................8

2.2.2 情報を戦略資産として管理する ..........................................................................................10

2.2.3 構造化データと非構造化データの統合 ................................................................................12

2.3 ビジネス ユーザーとエンタープライズ IT による共同価値生成 .............................................14

2.3.1 ビジネス ユーザーへのエンタープライズ ツールとサービスの配信 .......................................15

2.3.2 配信時間の短縮.................................................................................................................18

3.0 まとめ.........................................................................................................................................19

4.0 ホワイト ペーパーで取り上げられた製品一覧 ................................................................................20

1.0 要旨世界の CIO を対象にした最近の調査で、2008 年における CIO の最優先事項としてビジネス インテリジェンス(BI)が挙げられました。同調査では、3年連続のことです。1 その意味で、SAP® のソフトウェアを使用している企業には、SAP ならびに SAP BusinessObjects ソリューションの適正評価が求められているといえます。 このような状況のもと、ビジネス ユーザーやエンタープライズ IT の観点から、ユーザー エクスペリエンスやデータ統 合などの領域における新しい展開は無視できません。

ビジネス ユーザーの観点から見ると、これは、より対話的でより浸透した BI を意味します。つまり、より豊かなユーザーエクスペリエンスを生み出し、どのような業務の場でも利用できる BI です。企業の生産性がますます知的作業に 依存しつつある昨今、ビジネス ユーザーをより有効に活用することは、成功を収めるための重要事項です。ビジネス ユーザーの大半は情報コンシューマとして、より緻密な分析を行うパワフルなツールを使用して問題解決に積極的に取り組んでいます。このようなセルフサービス機能の実現により、ビジネス ユーザーは IT に依存することなく必要な 情報を入手できます。また、IT のバックログ解消にもつながります。

さらに、これまでの SAP ワールドにはなかった、リッチで多様な新しい BI 活用シナリオも可能になりました。 SAPBusinessObjects Xcelsius Enterprise は、インタラクティブ ビジュアライゼーションと呼ばれるまったく新しい製品カテゴリの標準となっています。同様に、SAP BusinessObjects Polestar は、革新的な新しいガイド分析製品群の1つで、レポート、クエリー作成の手間を省きます。一方、SAP BusinessObjects Mobile、SAP BusinessObjects LiveOffice、BI ウィジットに より、モバイル デバイス、Microsoft Office、デスクトップなどの一般の作業環境から簡単に情報を取得できます。

エンタープライズ IT の視点から見ると、連結またはフェデレーションという手法により、構造化データや非構造化データを統合する新しい方法を利用できます。M&A、カスタマー フォーカス、パートナー ネットワーク、法規制、破壊的イノベーション、グローバル化などの流れの中、異種データ リポジトリ管理の課題を打開するため、BI 標準化やデータ統合への投資ニーズが高まっています。多様なアプリケーションとデータ環境が広がっている今日、これを単なるレガシーの問題ととらえるのではなく、情報戦略の一部として考えるべきでしょう。

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SAP BusinessObjectsソリューション が SAP にもたらすエンタープライズ レベルのデータ統合機能は、SAP カスタマーにとって大きなメリットです。 SAP NetWeaver Data Integrator は、ETL(抽出、変換、ロード)シナリオを非 SAP データに拡張するのみならず、データ クレンジングや企業情報統合(EII)を行う SAP BusinessObjects Data Quality Management や SAP BusinessObjects Data Federator といった、SAP にはなかった新しい機能も提供します。これらの機能は、データ ウェアハウスを促進し、SAP NetWeaver® Master Data Management(SAP BusinessObjects MDM)などのソリューションと組み合わせることにより、堅牢でデータ品質の高い企業情報バックボーンを通して、service-oriented architecture(SOA)�に新しい価値を生み出します。さらに、SAP BusinessObjects Intelligent Search と SAPBusinessObjects Text Analysis という新しい画期的な 製品により、非構造化データの管理におけるエンタープライズ IT の活用も実現されました。

最後に、SAP と SAP BusinessObjects の製品ラインが持つそれぞれの長所により、新しい相乗的チャンスが生まれます。同じエンタープライズ ツールとプラットフォームを使ってソリューションを構築することにより、ビジネス ユーザーと IT は、それぞれが孤立したり一方的な依 存関係になることなく、相互依存的に共同して問題の解決にあたることができるようになります。また、BI ツールの使い勝手の良さと高 度な機能により、上級パワー ユーザーしか対応できなかった作業が、ビジネス ユーザーでもこなせるようになりました。その結果、「プロシューマ」(プロデューサーとコンシューマを合成した造語)と呼ばれる、高度な機能を駆使する新しいタイプの情報コンシューマが台頭しつつあります。2 プロシューマとは、IT のサポートや、パワー ユーザーの高度な訓練や技術を必要とすることなく、欲しい情報を生成 できるビジネス ユーザーを指します。

たとえば、SAP Business Explorer(BEx)Analyzer は、SAP NetWeaver Business Warehouse(SAP NetWeaver BW)コンポーネントのデータを分析するための馴染み深い Excel ベースのインターフェイスを提供するツールで、上級パワー ユーザーの領域以外の分析シナリオにも 幅広く適用されます。また、SAP NetWeaver BW のように、複数の OLAP(Online Analytical Processing)データベースに対して、よく似た補完的な Web ベースの分析が、SAP BusinessObjects Voyager でも可能です。Crystal Reports も、エンタープライズ レポーティングツールとして SAP ショップではデファクト スタンダードのツールであり、OEM ソリューションとして SAP ソリューションに直接組み込まれている補完的 BI ツールです。3 顧客と直接応対する従業員からビジネス パートナーやフィールド担当者まで、日々決定を行うために情報を必要とする幅広いユーザーに BI をもたらす可能性を持っています。最後に、SAP BusinessObjects Web Intelligence の使いやすいセルフサービス式レポーティング環境により、わかりやすいビジネス用語で品質管理されたデータへの自由なアクセスを、エンド ユーザーに提供することができます。これらのツールは、より強力なセルフサービス機能を提供するだけでなく、プロシューマとプログラマが、関連するエンタープライズ アプリケーション上でより密接に作業し合える環境を提供します。

インターネットの成功により、新しいスタンダードが生まれました。この新しい世界では、膨大な情報にリアルタイムでアクセスできることが必須となっています。「大衆のための BI」または「インテリジェント エンタープライズ」という目標は、パフォーマンスの問題から情報へのアクセスが遅れるような状況下では実現しません。SAP NetWeaver Business Warehouse Accelerator(SAP NetWeaver BWAccelerator)は、アクセス速度においてユーザー エクスペリエンスの満足度を向上させるだけでなく、バックエンドのアクティビティの高速化および簡素化により、両側面における迅速な価値提供を実現します。

現在、SAP ソフトウェアを使用する CIO には、BI の実現という最優先事項に取り組むための製品オプションが十分に用意されています。ただし、彼ら CIO は、成功を収めるために、ビジネス ケース、アーキテクチャ、組織構造、および実装戦略を正しく選択する必要があります。このホワイト ペーパーでは、高価値を実現する今ある可能性をさまざまなシナリオで紹介し、SAP BusinessObjectsソリューションがもたらす新 しいビジネス チャンスについて詳しく説明します。

2.0 SAP と SAP BUSINESSOBJECTS ソリューションのケースSAP と SAP BusinessObjects ソリューションが提供する機能に慣れているユーザーは、これらのソフトウェアが相乗作用的なものではなくとも、それぞれが強く補完し合っていることに気が付かれるでしょう。SAP BusinessObjects ソリューションは、使いやすくオープンな、最高クラスのエンタープライズ BI を提供しています。SAP BusinessObjectsソリューションのツールは、直感的なビジュアル コントロールを可能とし、実質どんなデータ ソースにも接続でき、これを関連情報に変換できます。一方、SAP ソフトウェアは、最高クラスのエンタープライズスケーラビリティ、信頼性、変化管理、およびセキュリティを提供します。SAP NetWeaver BW は、現在 60 TB 以上まで拡張できます。4

このホワイト ペーパーでは、SAP BusinessObjectsソリューションが、BI ユーザーが直面する問題とその実装に関わる多く の問題をどのように解決できるかについて説明します。そのために、SAP 製品と SAP BusinessObjects 製品がそれぞれに持つ強みをいかにして活用できるかを示すさまざまなシナリオを紹介します。ここでは、ビジネス ユーザーにとっての価値創造、エンタープライズ IT にとっての価値創造、およびビジネス ユーザーと IT との深いパートナーシップに根ざした共同価値生成に関するシナリオを紹介します。SAP カスタマーは、自身にとって最も関係のあるシナリオを評価してください。そのためには、各組織とその情報アーキテクチャが制約的かつ有効的に機能するにはどのようにすべきかについて検討することが必要です。

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2.1 ビジネス ユーザーにとっての価値創造今日のビジネス ユーザーの大部分は情報コンシューマであり、組織の内勤者、外勤者を含め、全体の 80 ~ 90% を占めています。このようなビジネス ユーザーは、他人が事前に処理し、パッケージ化した情報を使用する受動的ユーザーです。最大の投資利益率(ROI)を生み出すには、生産性を上げることにより、受動的ユーザーをよりアクティブなユーザーに変え、情報を消費可能な形にするために IT スタッフが行う必要がある作業を削減することが必要です。BI アクセス ユーザー数および BI アクセス頻度の両方について、増加させる余地は大いにあります。このような増加を図るには、ユーザーが長く居続け、もっと頻繁に戻ってくる「スティッキー」な BI コンテンツである必要があります。5

ユーザーの生産性を上げるためには、BI ツールが、静的なレポートという範疇を超えた豊かな内容を配信してユーザーの心をつかみ、使い勝手の良さと利便性をさらに改善できるようなものである必要があります。リッチなユーザー エクスペリエンスには、高いビジュアライゼーション、対話性、 即時満足感が含まれ、一方、より広いリーチ範囲を確保するためには、BI を遍在的なものにする関連情報配信チャネルが必要です。

ここでは、ビジネス ユーザーにとっての価値創造に関する 2 つのシナリオを紹介します。

• 「BI をインタラクティブにする」では、リッチなユーザー エクスペリエンス関連のシナリオを紹介します。インタラクティブ データ ビジュアライゼーションおよび検索結果のガイド分析についての事例が含まれます。

• 「BI のリーチ範囲を広げる」では、BI のリーチ範囲を業務が行われる現場まで拡大する方法について説明します。この手段としては、モバイル デバイス、デスクトップ、電子メール、プリンタ、またはインターネットが使用されます。このシナリオには、モバイル デバイス、PowerPoint、およびデスクトップ ウィジェットを使用する事例が含まれています。

2.1.1 BI をインタラクティブにする多くの会社が、どれほど多くの知的財産がスプレッドシートに散在されていたり、会社の棚の奥にしまいこまれているか、認識していません。スプレッドシート モデルのベスト プラクティスが開発され、共有されている場合でも、その結果を本当に理解できるのは、その所有者と作成者のみです。一方、IT が必要なモデルを構築してくれるのをただ待つという方法も魅力的な選択肢ではありません。このようなモデルは、さまざまな状況で、かつさまざまな方法で常に適用されるためです。さらに、このようなモデルの多くがラーニング&フィードバック ループの一部として開発されるため、IT がコーディングを完了する頃には、そのモデルはもう時代遅れになっている可能性もあるのです。その上、Excel モデルの方が、ビジネス ユーザーにとってコード ベースのモデルより理解しやすいものです。

インタラクティブなデータ ビジュアライゼーションは、スプレッドシート所有者が、そのモデルをビジュアル化して共有させることにより、迅速な通信と採用を可能にするソリューションを提供します。シンプルな「what-if」形式のビジュアル モデルを使用することにより、ユーザーは、関係を視覚的に表示でき、データ パターンをすばやく確認できます。さらに、魅力的なビジュアライゼーションは美的に優れているだけでなく、ユーザーにとって使いやすく、採用しやすいものです。SAP BusinessObjects Xcelsius Enterprise では、Excel で構築されたモデルに 基づいたシミュレーションを行うことができるので、ユーザーは一歩先を見据えながら、基盤となるモデルを調整できます。4ページにインタラクティブな例が示されています。Xcelsius 画像をクリックして、ボタン、ダイヤル、またはスライダを動かしてみてください。Xcelsius ファイルは、 Crystal Reports、Microsoft Office、および Adobe ドキュメントに簡単に展開できます。

Xcelsius で現在利用可能な SAP データとのリアルタイム統合機能により、シミュレーション対実際の結果についてのフィードバック ループを即時に実行できます。以下、Xcelsius を SAP NetWeaver BWデータに適用する別のシナリオを紹介します。Xcelsius は、SAP Business Suite アプリケーションや非 SAP ソースに対しても使用できます。

ビジュアル モデル経由でのデータとのやり取りに加え、ユーザーは、SAP BusinessObjects Polestar という名前の製品を使用して情報を即時取得できます。SAP BusinessObjects Polestar は、BI アナリティクス機能により検索の簡素化と高速化を行います。レポート開発要求を待ったり、パラメータ化されているレポートの制限にてこずったりすることなく、ユーザーは Google のように簡単に検索バーを使って調査を開始することができます。SAP BusinessObjects Polestar は、キーワード検索で最も関連のある結果を取り上げ、これを自動的に BI 分析アプリケーションに変換するので、クエリーやレポートを事前に開発しておく必要がありません。SAP BusinessObjects Polestar は、ガイドラインにそって、パーセントを示す円チャートや量を示す棒チャートなど、関連する BI 表示を選択します。ユーザーは、事前定義されたナビゲーション パスではなく、Web ブラウザのような使い勝手で、分析を進めることができます。インデックス化技術と高速デプロイメント(データが存在すれば数日でデプロイメント可能)によるコスト削減と共に、SAP BusinessObjects Polestar は、ユーザーがふと思い付いた質問に瞬時に答えてくれるというようなツールをユーザーに提供します。

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事例:SAP BusinessObjectsXcelsius Enterprise を使って収益性を理解するアカウント マネージャは、アカウント プランニング セッションの準備中、顧客計画と、販売計画チームが設定した目標値を最終チェックし、どういった想定の基、これらの計画が練られているのか確認しようとしました。マネージャは、販売プランナーによって構築された SAPライブ データ に 接 続 す る 、 標 準 化 さ れ たExcel ベースの財務モデルに基づいた Xcelsius モデルを使用しました。これにより、視覚的な機密情報分析を実行し、想定内容がアカウントの計画収益性にどのような影響を与えるかを確認しました。画面上のダイヤルやスライダを調整するだけで、成長率や販売費用割合の変数を変えて、さまざまなシミュレーションを簡単に行うことができるのです。Excel スプレッドシートを直接操作するのではなく、この視覚的なアプローチを用いることによって、マネージャは、Excel スプレッド シートの数式や依存性に精通していなくても、数秒で収益目標値を確認することができました。また、マネージャは、ミー

ティングでは参加者全員が同じ社内財務モデルを用いて話し合い、販売目標についての各人のフィード バックを聞けるものと期待することができました。目標設定の基になっている想定を 理解するためにミーティングの半分を費やすことなく、想定そのものに取り組むことができるようになったのです。結果、販売 計画とアカウント プランニング間のコラボレー ションが非常 に建設的なものになりました。

事例2:SAP BusinessObjects Polestarを使った迅速な回答衣服メーカーに新しく配属されたマーケティング ディレクターは、予算削減が行われた後、広告プロモーション予定の計画練り直しのためにチームを収集しました。ディレクターの最初の戦略は、トップ収益市場と考えられているニューヨークとカリフォルニアにキャンペーン資金を集中的に配分するというものでした。しかし、経験が長い別のマーケティング マネージャが

それに異を唱え、今まで、地域ごとにキャンペーン資金を分散させることが全体としていい結果を生んでいると主張しました。そして、話し合いの決着がつかないまま時間が流れ、とうとうそれに業を煮やした別のチーム メンバーが、この 5 年間の売上収益を出せばいいと考え付きました。簡単な検索を行い、最初の検索結果から棒チャートを表示してみたところ、2003 年の売上では、テキサスがニューヨークとカリフォルニアを抜いてトップであったことがわかりました。これで話し合いに結論が出て、ミーティングが次の段階に進むことができたのです。より地域分散的なキャンペーン計画が練られることとなり、IT に頼ることなく、さらなる調査が開始されることになりました。

2.1.2 BI のリーチ範囲を広げる

BI の効果を上げるには、BI がインフォメーション ワーカーが作業する現場に届くことが必要です。

世界中のモバイル ワーカーは 2006 年には 7 億 5860 万人でしたが、この数は 2011 年には 10 億人を超えるだろうと言われています。これは、世界中の労働力の 30% 以上を占めることになります。6 出張者、外勤者、肉体労働者、現場エージェントなど、コンピュータの前に座っていられない労働者たちにとっては、BI が現場に届く、ということは明確なニーズになります。デスクトップの前にいるインフォメーション ワーカーたちに対しても、スプレッドシート、ドキュメント、電子メール、インスタント メッセージ、Web サイト、ポータル、ブログ、ソーシャル ネットワーク、SAP トランザクション、またはデスクトップそのものなど、過剰な数のチャネルが提供されます。

さらに、業務内容が非ルーチン的になり、ますます例外ベースなものになりつつある昨今、正しい人に正しいときに正しいチャネルを通してアラートを発信することが必要になっています。

SAP BusinessObjects Mobile のデプロイメントは直球的な方法です。既存のレポートやメトリックスを再利用し、追加のサーバーも必要ありません。SAP BusinessObjects Mobile は、既存の SAP BusinessObjects XI サーバーの Web サービスとしてインストールされるので、SAPBusinessObjects XI サーバーのセキュリティ サービスとインフラストラクチャ サービスを利用できます。SAP BusinessObjects WebIntelligenceレポートと Dashboard Builder メトリックスをモバイル向けに最適化する機能もあります。たとえば、デバイス用レポート テンプレートを使用して、モバイル画面にレポートがどのように表示されるかを確認できたり、狭い画面での表示に適した傾向変動アイコンやステータス アイコンを使用したりできます。 以下の事例を基に、ビジネス シナリオを紹介しましょう。

SAP BusinessObjects Mobile は、BlackBerry、Windows Mobile、Symbian、その他 J2ME 2.0 対応機種など、幅広いモバイル デバイスをサポートします。

デスクトップのユビキタス性を示す事例として、2つ目の事例では、SAP BusinessObjects Live Office を使用するシナリオを紹介します。これは、SAP BusinessObjects レポートまたは一時的なデータをスプレッドシート、ドキュメント、プレゼンテーションに埋め込むための Microsoft Officeのアドオンです。加えて、3つ目の事例では、SAP Labs の最新イノベーションである BI Widgets を使ったシナリオを紹介します。

事例 1:SAP BusinessObjects Mobileを使って現場で作業するある小売店のマネージャは、店舗ではなく、奥の事務所で過ごす時間が多いことにフラストレーションをつのらせていました。顧客対応 にもっと時間を注ぎたいと考えているのですが、電子メールのチェック、社内報告書の作成、在庫切れを起こ さないための注文作業、プロモーションの 検証、スタッフのスケジュール確認、売上の監視などに時間がかかるのです。

店舗スタッフにもマネージャにも必要な情報はすべてそろっているのですが、問題はその情報が一番必要となる場所、つまり店舗内からその情報にアクセスできな

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いことだったのです。SAP BusinessObjects Mobile の導入後、事態は大きく進展しました。モバイル デバイスから SAP ERP アプリケーション データをタイムリーかつ インタラクティブに BI 分析できるようになり、スタッフは、顧客からの質問に即座に答えられるようになりました。また、マネージャは事務所に閉じこもることなく、店舗に出て、顧客の動向を肌で感じ、店舗内で発生するニーズに迅速に対応できるようになりました。店舗にいながらにして、レポートからレポートへと、ドリル可能なインタラクティブ チャート、テーブル、メトリックスを用いて、売上情報を確認できるようにもなり、在庫状況など、店舗内の状況を監視し、必要に応じて基のデータを直接調整できるようにもなりました。加えて、在庫補充が必要になった場合にも、その場で直接補充オーダーをかけられるようになりました。さらに、マネージャは、作業上のリスクだけでなく、競合製品の更新情報を取得して、外部的なリスクも把握できるようになりました。おかげで、店舗マネージャは、奥の事務所から解放され、店舗とその売上を今までの何倍も明確かつ視覚的に管理できるようになったと感じることができました。

事例 2:SAP BusinessObjects Live Office を使って BI を Microsoft PowerPoint に埋め込むパフォーマンス レビュー サイクルのたびに、財務マネージャは、取扱品目ごとにデータを収集し、適切なグラフィカル表現を選択し、出力を書式化するという時間のかかる手作業を繰り返し行う必要がありました。その上、レポートから自分でデータを見つけることができない場合には、必要なデータの種類が何なのか(たいていはレビュー サイクルごとに異なる)IT スタッフに問い合わせることが必要でした。必要なレポートを見つけても、そのデータを Excel シートに落とし、PowerPoint で作成したグラフを切り取って貼り付ける作業が必要でした。また、財務情報の更新が発生すれば、同じ作業を繰り返すことにもなりました。よ う や く 完 成 し て も 、 入 念 なチェックが必要で、たいてい、何らかの間違いが見つかりました。

ところが、SAP BusinessObjectsLive Office が導入されると、マネージャは、プレゼンテーションを作成するために、 PowerPointセッションとは関係ない作業に追われ、IT スタッフに頼ることもなくなった のです。PowerPoint からSAP BusinessObjects にログインして、ウィザードに従って作業をこなすだけで作業が完結するのです。ウィザードでは、既存のレポートとグラフが使用されますが、独自のレポートとグラフを選択することもできます。データがプレゼンテーションに埋め込まれることにより、PowerPoint の使い慣れた機能を使用して書式化したり再構成することができ、また、作業を中断することなく、セキュリティで保護され、コンプライアンスに準拠した最新データで自動的に更新を行うこともできます。SAP BusinessObjects Live Office のおかげで、所要時間は今までの 3 分の 1 になりました。

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事例 3:BI Widgets を使った新しい“マッシュボード”デプロイメントSAP Customer Relationship Management(SAP CRM)アプリケーションをベースにしたグローバルなダッシュボードの開発を担当しているプロジェクト マネージャが、平行ゴー ライブを行うことになりました。「ビック バン」としてユニバーサルなダッシュボードを配信するのではなく、このプロジェクト マ ネージャは、多様なユーザー コミ ュニティに満足してもらえるように 革新的かつ迅速なアプローチを採用することに決定しました。コンセプトは、ユーザーに独自の“マッシュボード”を作ってもらうということでした。ウィジェットを少しずつ配信し、ポータルも必要なく、セキュリティにも違反することなく、デスクトップ上で各自がそのウィジェットを組み合わせることができるようにしたのです。この場合、“マッシュボード”は本質的にダッシュボードと同じですが、ユーザーが選択し、アレンジし、パーソナライズ化 できる“ウィジェット”と呼ばれるインタラクティブなミニアプリケーションで構成されるという違いがあります。さらに、ウィジェットは、ドラッグ アンド ドロップにより、ほかの Windows アプリケーションに埋め込むことができ

ます。このようなウィジェットは、SAP BusinessObjects WebIntellignce レポートや Xcelsius ファイルから生 成することができます。

ウィジェットの配信は簡単なので、プロジェクト マネージャは、各ウィジェットの本稼動準備が整ったところで、連続的にゴーライブを行 うという迅速で反復的なアプローチを行うことにしました。さらに、マネージャは、ユーザー コミュニティ用のコンテンツを作成してもら うようにビジネス パワー ユーザーに依頼したり、お気に入りのウィジェットをコミュニティ間で共有してもらうように促すなど、コラボレー ション能力を活用しようと計画しています。また、プロジェクトとウィジェットのROI は、ソーシャルレーティング、採用率、および使用 率に基づいて計測されることになりました。

2.2 エンタープライズ IT にとっての価値創造企業は高尚な理想を掲げて活動しています。情報とプロセスの統合は、人、構造、活動、テクノロジーを共通のゴールならびに共通の実践に向かわせたいという目標と同じく、普遍的な願いです。しかし、現在の状況はそれとは程遠いものです。

M&A などの予測不可能な出来事により、これまでは統一されていたランドスケープやアーキテクチャに、異質なものが加わります。ここで、レガシー アプリケーションを破棄したり、取り替えることなく、これまでと同じようにレガシー アプリケーションを稼動させるために、「シャドー IT」イニシアティブが始動することになります。

同質性が必ずしも正しい目標であるとは限りません。特定の異質シナリオについては適切に管理されていれば高価値を生み出すものになります。アウトソーシング、アウトタスク、または顧客サプライ チェーンとの緊密な統合といったビジネス ケースを考えてみてください。このような IT によるオプションは、通常、熟慮された合法的で構成的なオプションになります。

最後に、企業内には、しっかりと定義され、適切に管理されたビジネス プロセスのコンテキスト外で発生する活動が多くあります。たとえば、顧客からの苦情が通常のカスタマー サポートを通らないで上がってくる場合や、新しいプラクティスを、完成まで形式化せず臨時的な方法として採用する場合などです。これらの活動は、個人またはワークグループのファイル システム、メール サーバー、イントラネット、個人ユーザー間での一時的なデータ交換など、断片化されたシステムで確認されます。 したがって、異種性というものはなくなるものではないということをまず認識することが、エンタープライズ IT が向き合っている状況を 理解するための基本となります。新たな成熟段階に

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達したら、異種性を解決するために投資する以外にも選択肢が広がります。異質システムの調和を図ることは、レガシー対策ではなく、戦略の 1 つなのです。

異種性を適切に管理するためのアプローチには、ビジネス プロセスの統合と情報の統合という 2 つの基本アプローチがあります。最初のアプローチにはビジネス プロセス マネジメント(BPM)が対応し、2 つ目のアプローチにはエンタープライズ インフォメーション マネジメント(EIM)が対応します。EIM は、あるアナリストが定義した用語ですが、「データベース、トランザクション システム、データ ウェアハウス、ドキュメント、リッチ メディア内のコンテンツを含む会社の全情報資産を、その価値、利便性、アクセス可用性、セキュリティが最大になるように設計、カタログ化、保護する組織化されたプログラム」のことです。7

BPM と EIM の両方において最高クラスの機能を実装することにより、すべてのシナリオにおいて、価値創造に要する時間を短縮化できます。特に、ばらばらだった販売・請求活動を、共通の顧客リポジトリに頼ることなく、統合された受注後プロセスに融合させるというような、1 つの活動が別の活動の必須条件になるような場合においてはこのことが顕著になります。

SAPとBusiness Objectsが統合したことにより、異種情報を抱える企業の統合ニーズに対応した機能セットが提供されるようになりました。 SAPカスタマーには、混合した自社状況を再確認し、取るべき選択肢を再検討していただくことをお勧めいたします。そして、適切なビジネ スケースに当てはめ、かつ適切に管理されたアプローチを実装し、価値創造のための時間を最適化できるように、業務上の視点と技術上の 視点の両方からこれらの分析を行っていただくことをお勧めします。

ここでは、次の 3 つの可能性の高い情報統合プロセスについて説明します。

• 「データの連結とフェデレーション」。既存の情報リポジトリを統合させることにより情報サイロを解体します。これは ETL(抽出、変換、ロード)といった成熟した技術や、EII(企業情報統合)という最近の技術を使って行うことができます。

• 「情報を戦略資産として管理する」。EIM を純粋な IT イニシアティブではなく全体的なビジネス プラクティスにまで昇格させることにより、最初のシナリオ以上のプロセスを提供しますす。このシナリオでは、情報をビジネス リソースとして扱います。このシナリオは、それまでのシナリオよりも意欲的で、緻密に定義されたプロセス、方法論、組織、および役割の形式化が必要となります。

• 「構造化データと非構造化データとの統合」。これは究極のシナリオになります。非構造化情報からのセマンティクスの抽出は、歴史的に、実際的な適用を図るよりも、学術的な理論として扱われています。現在では、共通のセマンティック レイヤを通して構造化データと非構造化データの統合が実現する可能性があります。これは、顧客やプロセスについての新しいレベルでの洞察力をもたらすイノベーションにより、競争力の差別化がもたらされるという、ベスト プラクティスというよりもネクスト プラクティスといえるレベルのものです。

2.2.1 データの連結とフェデレーションEIM ロードマップの最初のステップとしては、異種システム間で情報統合を開始するというのが簡単なステップです。取り掛かる領域はいくらでもあります。いまだ、多くの SAP ショップでもこの領域は未発達といえます。8 多くのショップで、データ ウェアハウスを2つの領 域、SAP 領域と非 SAP 領域に分割するという方法が取られています。

これには多くの理由がありますが、一番の理由は文化的な違いによるものです。多くの顧客は、元々プロセス統合に焦点を当ててた SAP CompetencyCenter にしたがって ERP 戦略を立てています。しかし、プロセス統合のメリットを享受した後、ユーザーは次に、プロセスの最適 化を求め始め、SAP NetWeaver BW または前身の SAP BW コンポーネントが取り入れられるようになりました。同じ時期に、ほかの部門では、別の BI イニシアティブに着手し始めました。その結果、専門性の高い複数の BI センターが、それぞれの政治的関心に傾倒する結果になりました。

2 つ目の理由は、SAP データと非 SAP データ間でデータ取得方法に違いがあるということです。SAP、より一般的に言えば、パッケージ化されたアプリケーションからデータを取得するということは、ファイルやデータベースからデータを取得することとは異なります。パッケージ化されたアプリケーションはアプリケーション レイヤから、ドキュメント化されたビジネス オブジェクト リポジトリを介してアクセスするのが理想的です。9 さらに、そのシステムからデータを抽出するためにパッケージ化された抽出シナリオを提供することはアプリケーションベンダーの責任とも言えます。最悪の場合のみ、自分でパッケージ化されたアプリケーションのデータ スキーマをリバース エンジニアリングして、パッケージからデータを取得することが必要になります。一方、自社製のアプリケーションや非標準のアプリケーションからデータを取得するには、多くの場合、物理データ モデルへの介入が必要になります。しかし、会社によってさまざまですが、通常は、データ抽出に必要な方法とスキルは最初の構築時と似たものになるので、このことはそれほど問題ではありません。ベンダーが完全なエンド ツー エンドの EIM 用のソリューションを提供していない場合に、SAP データ ウェアハウスと非 SAP データ ウェア ハウスが別々に構築される傾向が

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あります。このような EIM を実装するには、強力なメカニズムと、SAP および非 SAP(カスタム アプリ ケーションやニッチなパッケージ化アプリケーションなど)の両方からデータを供給するための事前定義されたビジネス シナリオが必要です。

SAP NetWeaver テクノロジー プラットフォームと SAP BusinessObjects ソリューション製品ラインの組み合わせは EIM への強力なステップに なります。以下を含む多くのオプションが提供されます。

• SAP データを非 SAP データ ウェアハウスまたはデータ マートに統合することが目的である場合、SAP BusinessObjects Data Integrator、SAP BusinessObjects Rapid Marts、または SAP NetWeaver BW などのソリューションにより、「設計」フェーズから、「ビルド」フェーズそし て「実行」フェーズまでのライフサイクル全体における情報統合プロセスを簡単に行うことができます。

• SAP NetWeaver BW が BI イニシアティブのターゲットである場合には、SAP BusinessObjects Data Integrator が、完全自動管理メカニズムを介し て、非 SAP データを SAP データに統合するためのサポートを行います。

上記ソリューションと共に、統合化ソリューションの製品ラインから、より洗練された製品を使用することもできます。たとえば、データ品質管理が非常に重要である場合、SAP BusinessObjects Data Insight と SAP BusinessObjects Data Quality Management を使用できます。非構造化データを構造化デー タと統合する必要がある場合には、SAP BusinessObjects Text Analysis を使用できます。

顧客のビジネス ケース上の問題を解決するために SAP と SAP BusinessObjects のテクノロジーをどのように組み合わせるとよいかについて詳しく 説明するため、2 つの事例を紹介します。最初の事例では、SAP NetWeaver BW に多大な投資をしてきた顧客が、SAP BusinessObjectsData Integrator を使って非SAP データを統合することにより、環境の対応範囲を広げるケースを紹介します。2つ目の事例では、SAPBusinessObjects Data Federator を使って、2 つのデータ マートを統合してその対象範囲を広げることにより、BI 環境をエンタープライズ レベルに近づける ケースを紹介します。

事例 1:SAP BusinessObjects Data Integrator により SAP NetWeaver BW の対応範囲を拡張する自社の調達プロセスが安定しているあるハイテク企業は、買収によって獲得される収益を減少させるような仕組みへの対応に直面していました。標準プロセスの連結は、繰り返し実行可能で、十分な管理の下で行うことのできるアプローチでしたが、時間がかかりました。 この時間をさらに圧縮することは、大幅な変更管理が伴い、非常に難しいことでした。

次の買収時、この会社は別の統合戦略 を取ることにしました。プロセス統合 を最初に行うのではなく、まず情報統 合に焦点を当てることにしました。こうすることにより、会社は、グローバルな調達機会と即時的なコスト削減の機会を見出すことができ、傘下に入った会社は親会社のグローバルな契約合意書を利用できるようになりました。さらに、早期段階でレポーティングと分析を行うことにより、最初に最適化すべきプロセスを確認することもできました。

加えて、情報統合により、次の段階であるプロセス統合が促進され、その実装を最初の段階から明確で検証済みの状態にすることができました。さらに、既存の情報システムへの影響を抑

えることができました。調達戦略をサポートするために、支出分析データ マートがすでに構築されていたからです。したがって、 既存のレポーティング分析インフラストラクチャに対して、データ変換と移行に必ず必要になるデータ クレンジングと ETL に関する付加的な活動に焦点が当てられました。

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SAP NetWeaver BW を備えた SAP BusinessObjects Data Integrator は、情報統合とプロセス統合の両方を、再利用可能な投資として実現します。買収が定期的に発生する場合、外部データの支出分析データマートへの統合は定期的に発生する反復プロセスです。SAPBusinessObjects Data Integrator は、メタデータをすばやく発見し、データ品質を評価することにより価値創造までの時間を短縮し、迅速なデータ統合を実現します。加えて、非SAP データを処理するための適切に管理された手法も提供します。SAP 意思決定支援システムを非 SAPデータにまで拡張す るために、データ ウェアハウス チームは、ソース データの品質の悪さという新しい問題と、データを変換し統合しなければならないという 強いニーズに対処することとなります。このような問題を妥当なコストで解決するためには、エンタープライズ クラスの ETL ツールセットの 利用が必須になります。

インテリジェンス イニシアティブの対応範囲を広げ、情報統合サイクルを促進することにより、企業は、より早い段階で買収によりもたらされる利益を享受できるようになります。

事例 2:SAP BusinessObjects Data Federator により BI イニシアティブを連結する中間市場専門サービス会社の販売部長は、売上レベルと純益レベルの両方について顧客と販売実績の分析を行いたいと考えました。顧客分析データ マートから販売データと収益データを取得することはできましたが、プロジェクト費用データ マート内にあるコスト データは取得できませんでした。理論上、2 つのデータ マートは連携している必要があります。しかし、この 2 つの BI プロジェクトは、エンタープライズ データ ウェアハウス アプローチではなく、別々の BI テクノロジーを用いた別々のイニシアティブとして管理されていました。この 2 つのデータ マートの性質はかなり異なるものであったので、この 2 つを連結することは、インフラストラクチャおよび実装面において非常にコストがかかるものでした。コスト関連データを販売データ マートに複製するという手段もありましたが、予測されるメリットを考慮しても、コストがかかりすぎるものでした。加えて、この場合、IT ランドスケープに複雑な新しいレイヤを導入することにもなります。

そして、別の可能性として、2 つの既存のデータ マートを仮想データ ウェアハウスにフェデレートするという方法も考えられました。収益関連の情報は現在顧客レベルで管理され、プロジェクトは単一の顧客に関連付けられているので、共通項に基づいて 2 つのデータ マートを統合することができます。しかし、顧客マスタは 2 つのテーブル間で統一されていません。そのため、データ フェデレーションは 2つのデータ セットの統一以上のものになります。データ フェデレーションは、顧客マスタ データに対して仮想的な「データの一元性」を構成するという方法でもあります。

SAP BusinessObjects Data Federator は、データ マートをまたいだ即時アクセスを実現するために必要な柔軟性と実装スピードを提供します。ほか の方法と比べて、データ フェデレーションは増分的なアドオン作業であり、アプリケーションの再構築やプラットフォームの変更は必要ありません。同時に、長期的に対応可能な、緻密に設計されたアプローチでもあります。2つの基のデータ マートに変更が発生したときには、フェデレートされたデータ モデルにより同期され、クエリーやダッシュボードなど BI 環境全体で透過性が維持されます。

この方法であれば、BI を簡単にエンタープライズ レベルまで昇格することができます。これ以外にはコストのかかる方法しかありませんでした。同様の統合機能が Crystal Reports などのフロントエンド ツールにありますが、フェデレーション アプローチでは、より高いレベルのエンタープライズ コントロールとアクセスが提供されます。加えて、全体的な機能性、デプロイメント、パフォーマンス、およびメンテナンスが向上するという利点もありました。

2.2.2 情報を戦略資産として管理する大きな進歩であるとは言え、EIM とデータ品質管理は、依然、CIO にとって最も頭を悩ます問題です。この問題は、BI と IT を超え、事業の核に触れる課題になっています。情報統合の遅れと劣化したデータ品質は、販売チャンスを逃したり、サプライチェーンの効率化が遅れたり、コンプライアンスの問題が発生するなど、さまざまな問題の原因となります。

企業は、情報統合が、CIO にのみ課せられた問題でなく、会社全体で共有すべき問題であることに気付きつつあります。情報は、重要な企業資産であり、企業資産として管理される必要があります。情報資産にも物理資産と同様の厳しい管理がなされるべきです。新しい製造ソフトウェアは、新しい工場を建てるのと同じぐらい生産量を増やします。TQM、Zero-Defect、Six Sigma などのエンタープライズ レベルのプログラムでは、情報サプライ チェーンではなく物理サプライ チェーンにのみ焦点を当てているため、このことが無視されています。

結果、ソースの欠陥は、事前に見つけることができず、アプリケーション システムがロール アウトされた後に発見されることが多くなります。さらに、形式化されたイニシアティブなしでは、問題解決のための役割と責任があいまいになり、組織間での衝突が繰り返し起こる原因になります。また、ビジネスでは間違いがつきものです。その中で、データの欠陥は、高いコストをかけたクレンジングが不可避になるところまでほったらかしになるという結果に陥ります。

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組織が、情報の持つ影響の大きさと、情報に対するプロセス ベースの管理の必要性を認識するようになった結果、次のようなエンタープライズ レベルのベスト プラクティス戦略が誕生しました。

• データ ガバナンスと管理。情報資産の管理に対する権利の行使と、アカウンタビリティの形式化です。10

• データ品質管理。反応的にエラーを発見して修正するのではなく、また、欠陥ゼロを目指して事前に環境を整備していくのでもなく、早期段階で品質問題を予測し、管理するというものです。

• マスタ データ管理。組織が、さまざまなプロセスから各エンティティの一意のインスタンスを取り出したり、これをプロセスに提供したりするために、非トランザクション エンティティを一元的に定義するためのプロセスおよびツールのセットとして定義されます。11

技術的に言えば、これらのプラクティスは、さまざまなソリューションを利用します。情報を抽出して連結し、分散するためのデータ連結とデータ フェデレーション、非トランザクション エンティティの管理を行うためのマスタ データ管理、データ品質を評価、検出、修正、および監視するためのデータ品質管理などのソリューションです。最近まで、これらのテクノロジーには次のような制限がありました。

• 郵便番号の検証や、業界規格に従った製品カテゴリなどの狭い領域においては、非常に有用でしたが、EIM という、より広い領域でこれを相乗効果的に使用することは非常に難しいことでした。

• ビジネス ユーザーではなく、IT プロフェッショナル向けに設計されていました。情報管理がビジネス ユーザーと IT との共有責任になりつつある今、ポイント ソリューションは、職務間のビジネス プロセスをサポートするように設計されたビジネス アプリケーションに進化する必要があります。

この視点から考えると、組織は、SAP および SAP BusinessObjects のソリューションを使って EIM に対応することが推奨されます。構造化データと非構造化データのメタデータ管理、データ品質管理、および統合における SAP BusinessObjectsソリューションの強みは、SAPNetWeaver テクノロジー プラッ トフォームが提供するビジネス指向のマスタ データ管理機能と実証済みのエンタープライズ データ ウェアハウス機能を大きくサポートして くれるものです。

加えて、統合された情報は SOA の成功には必須です。 SOA に集中するということは、つまりは、組織化されていない職務活動からビジネス プロセスを構成するということになりますが、サービス間で情報をフローさせるためには、なんらかの合意事項が必要であることは明白です。両方のサービスで、受け渡されるビジネス ドキュメントの構造と、ドキュメント構造内の エンティティを理解している必要があります。Web サービスの場合であれば、標準化されている XML や関連付けられているスキーマなど になります。請求書が上流の販売注文と同じ顧客を参照していても、異なるテクニカル キーを使用すれば、受注後プロセスは壊れます。 つまり、企業情報統合は、エンタープライズ BI だけでなく、 SOA も有効にするということになります。

2つ目の理由は、SOA そのものが情報統合を有効にするということです。受注後プロセスを再検討してみてください。 データ品質サービスが請求書作成時に呼び出され、テクニカル キーのエラーを自動修正する場合には、そのプロセスで人為的エラーを防ぐことができます。SOA は、プラグ可能な「品質チェックイン」サービスを展開する場合には正しいアプローチです。

事例 1:SAP NetWeaver Master Data Management(SAP NetWeaver MDM)による SOA の有効化ある小売投資銀行の指導者は、分散方式による経営に非常に成功していましたが、ここへきて、IT の集中化と標準化の必要性を感じ始めました。SOA 戦略の一部として、IT 部門が集中化 MDM チームを立ち上げました。このチームは、改善ポイントを探るため、それぞれの事業体と緊密に作業しました。MDM チームが驚いたことに、顧客と製品のマスタ データは優先事項として考慮されていませんでした。事業体は、既にそれぞれのリポジトリについてイニシアティブを取っていて、企業レベルでこれらの資産を共有するという必要性を考えていなかったのです。銀行の顧客および製品のポートフォリオに重複はほとんど発生していませんでしたが、 不動産マスタ データには重複が発生していました。

そこで、まず、重複を解決するため、不動産マスタ データ チームが既に発足していました。しかし、このチームは、独自のイニシアティブの一部ではなく、SAP ソフトウェアを使った柔軟な不動産管理を実現するためのプログラムの一部として機能していました。

別途形成された不動産マスタ データ チームと共に、MDM チームは、不動産マスタ データの範囲を現在の SAP ERP 実装を超えて拡大することに決定しました。銀行は、不動産ポートフォリオ自身と、それらが現在どのように使用されているかについて全体的な理解が不足していたため、収益分析に重要な要素である、チャネル別不動産コストという要素を分析に組み込めていませんでした。不動産マスタ データを拡張することにより、使用しているオフィスに関するより詳しい情報と関連コストを把握することができます。

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マスタ データ イニシアティブのメリットは数多くあります。まず、しっかりと定義された透過的かつ一貫したプロセスによる企業情報資産の管理と法令遵守が可能になります。次に、情報品質管理は、SOA イニシアティブをサポートします。プロジェクト からマスタデータに関連した問題を取り除き、プロセス統合問題に集中できます。3つ目に、不動産マスタ データの例に見られるように、地方投資のビジネス チャンスを生み出します。結果、MDM チームは、銀行全体の戦略に沿った、銀行内で重要な共有サービスの1つになりました。

2.2.3 構造化データと非構造化データの統合事前定義されたコンテキストでそのデータを作成したアプリケーションからデータにアクセスすることが唯一のアクセス方法であった時代もありました。Structured Query Language(SQL)の出現により、そのコンテキスト外からデータを引き出すことが可能になりましたが、SQL に熟練することが必要でした。オープン スタンダードや API により、違う目的のために基のアプリケーションからデータにアクセスするプログラミング手法が登場しましたが、その需要がプログラマのキャパシティを上回っていたため、バックログは積み上がる一方でした。

BI により、ビジネス ユーザーが必要に応じて情報にアクセスできるようになったことは、大きな変革です。ユーザーは、リレーショナルデータベースや多次元データベースにアクセスするために SQL などの言語を勉強する必要がなくなりました。これらの言語は、実際には使用されているのですが、ビジネス セマンティクスにより抽象化されています。テーブルやフィールド名ではなく、ユーザーには、収益、顧客、製品、費用といったわかりやすい名前のビジネス オブジェクトが提示されました。より多くの人々が、必要に応じて必要となる情報を指定できるようになりました。

セマンティクス モデルは、現在次の形で存在しています。

• BI 環境全体(SAP NetWeaver BW などの完全データ ウェアハウスを含む)における最上位のエンド ユーザー レイヤ。

• データベース上の独立抽象レイヤ(意思決定支援を行うかどうかにはかかわらず)。SAP BusinessObjects BW Universe Builder は、元来クエリーでア クセスされるように設計されているかどうかに関係なく、スタンドアロンのリレーショナル データベースまたは多次元データベース へのアクセスを可能とする機能を提供します。

構造化データをビジネス セマンティクスを介して公開することは、BI においてはまるで魔法のランプから魔人を呼び出すことと同じことでした。現在、非構造化データも構造化データと似た道のりをたどっています。

XML などの完全支援オープン スタンダードや、Adobe PDF および Microsoft Office などのデファクト スタンダードが出現し、結果、非構造化データも、これを作成したアプリケーションからでないとアクセスできないというものではなくなり、新しいコンテキストに引き出すことができるようになりました。テキスト検索やエンタープライズ コンテンツ管理などのソリューションにより、グループ内でドキュメントや抜粋を共有することはできます。しかし、非構造化データは、標準リポジトリに格納し参照するというエンタープライズ レベルの処理が行われる場合でも、企業データ ウェアハウスとは別のコンテキストになります。つまり、構造化データを参照する社内リポジトリとは別のコンテキストになります。さらに、非構造化データがインデック化される場合でも(これはどのユーザーでも望むサービスですが)、改善の余地が大いにあるセマンティクスで記述されます。構造化データと同様、非構造化データに、より適切なセマンティクスを適用し、この情報をビジネス ユーザーに公開できれば、多くのメリットが生まれます。

まずは、ドキュメントの検索が簡単になります。たとえば、非構造化テキストからエンティティを抽出できれば、収益、場所、製品といったさまざまなキー ファクトの発見が簡単になります。今までは、ユーザーは、クラシカルな検索エンジンを使って何千というリンクをくぐっていく必要がありました。非構造化データが構造化データと同じセマンティクスを共有していれば、ドリルダウンといった BI で馴染みのナビゲーションテクニックを非構造化データにも適用できます。大量の非構造化データを理解するために、さらに洗練されたビジュアライゼーション テクニックも活用できます。

次に、データ ウェアハウスの範囲を拡大できます。ほとんどのデータ ウェアハウスには、収益や費用といった量的データが格納されています。質的データは、しばしば企業情報システムではなくドキュメント内に存在しています。質的データと量的データを1つのフェデレートされた環境に統合することは明確な価値を生み出します。

ただし、非構造化データと構造化データとの企業レベルでの統合は依然非常に難しいことです。このため、この偉業に着手している会社はほとんどありません。最初の課題は、その量です。ドキュメント数およびそこに含まれるデータ量は膨大です。2つ目の課題は、多くの非構造化データが電子化されているとは言え、関連付けられているメタデータが貧弱ということです。つまり、非構造化データが基のデータ構造を

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全く有していなかったり、またはあったとしても、機械的に解釈できない形式であったり、データ構造が空だったりします。結果、BI にトランザクション データを再度組み込む際に使用したセマンティクスと同じセマンティクスを非構造化データに適用することは不可能に近いということになります。

現在は、検索ソリューションとテキスト分析ソリューションが、これらの問題を解決する新しいアプローチとして市場で注目を集めています。具体的には、SAP BusinessObjects Text Analysis ソフトウェアは、テキストを解析し、キー エンティティ(顧客、製品、アカウント)についてのファクト(住所、部品、クレーム)を抽出します。エンティティとそのファクトの認識には、自然言語処理(NLP)が関わっています。これは、 人間の言葉のサンプルを、コンピュータ プログラムが操作しやすい、より形式的な表現に変換する人工知能の下位分野です。12

この自動アプローチは、人員不足を解消します。分類が多少不正確になる場合もありますが、この自動抽出機能により、ドキュメントを BIに組み込むためにかかるコストが大幅に削減されます。顧客の電子メールや手紙から重要なポイントを抽出して顧客分析に組み込むことができれば、非常に有用です。Web ベースのディスカッション フォーラム、ブログ、チャット ルーム、ソーシャル ネットワークに埋もれている重要なポイントを、妥当な価格とタイムフレームで抽出できれば、マーケティング担当者にとって大きな価値になります。このような方法で顧客の声を聞けるようになることはそれほど遠い未来のことではありません。

非構造化データの処理には次の 2 つの方法があります。

• 1 つ目の方法は、SAP BusinessObjects Intelligent Search を使用する方法です。これは、非構造化データに対する検索結果を集計する以上の ことを行うフェデレートされた検索エンジンで、重複が除外された結果に対する自動カテゴリ化など、統合化された検索結果に有用なセマンティクスを適用することができます。また、顧客のファクト シート、オーダー、請求書、事前定義されたレポートなどの企業情報システムに通常格納されている構造化ドキュメントと検索結果を連結することもできます。インターネットドキュメントを検索するGoogle や、全 SAP データを検索する SAP NetWeaver Enterprise Search アプリケーションといった種々の検索エンジンによる検索結果を集計する目的で SAP BusinessObjects Intelligent Search を使用した場合、この検索エンジンは、すべての結果を集計できる強力にフェデレートされた検索エンジンになります。SAP BusinessObjects Text Analysis と組み合わせて使用すると、SAP BusinessObjects IntelligentSearch は、非構造化 データと構造化データの検索結果をマージできるより強力な検索エンジンとなります。

• 2 つ目の方法は SAP BusinessObjects Text Analysis を使用する方法です。これにより、テキスト情報の処理、分類、要約を行い、必要なメタデータを抽出して従来のデータアクセス ツールや企業情報リポジトリに再統合することができます。基本原則は、非構造化データを、BI や CRM システムなどの既存 IT 環境で解釈可能にするということです。BI コンテンツにおいて、この統合はユーザー レベルで行 われます。データをレポートに統合したり、SAP BusinessObjects BW Universe Builder などのセマンティクスレイヤにエクスポートしたりできます。 SAP BusinessObjects Text Analysis サービスは、構造化データとの統合時に SAP BusinessObjects Data Integrator からデータ ソースとして呼び出すこともできます。これにより、非構造化データを企業資産として管理するための新しいアプローチが提供されます。このホワイト ペー パーのほかの部分で説明している、データ変換やデータ品質管理などと同じプロセスで、データを変換し、その品質を管理することが可能になります。

事例 1:SAP BusinessObjects Text Analysis による顧客データの分析急成長中の顧客サービス ビジネスを 提供しているあるハイテク会社は、 構造化データからでは取得できないような顧客データも必要であることに気が付きました。そして、膨らみ続けるリポジトリには、顧客からの電子メール、サーベイ調査や研究結果、ウィン/ロス分析の非構造化データやコールセンターシステムの非構造化データがたまっており、これを活用できないものかと考えました。

欠落しているものは、顧客、コンテキスト、ペインポイント、クレーム、意見に関するデータを収集し、分類する能力でした。これらのデータをフェデレートし、分類できれば、既にSAP CRM アプリケーションに存在している情報と併せて分析できるようになります。

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SAP BusinessObjects Text Analysis がソリューション候補として認識され、実証プロジェクトが始動します。ここで知りたいことは、特定の 品目に関連付けられているサービスにおいて、突然の客離れが起こっている理由です。原因はすぐにわかりました。失った顧客の大部分は主要な競合会社に奪われていました。マーケットシェアの拡大に力を入れているこの会社は、この市場に入り込むためのトロイの木馬のようにこの特定の品目をターゲットにしていたのです。

SAP BusinessObjects Text Analysis は、顧客インテリジェンスに関する年間サーベイ調査や役員会議以上の成果をもたらします。顧客エクス ペリエンスについての非構造化データを解放し、これを利用可能な企業情報に変換できます。アーカイブされたメールボックス内のメッセージ、SAP CRM のオプションテキストフィールドに記入されたコメント、および個人のディスク ドライブまたはイントラネット上のドキュメントすべてが、現在、企業のデータ ウェアハウスと統合し、分析に使用できるようになったのです。

2.3 ビジネス ユーザーとエンタープライズ IT による共同価値生成ワールドクラスの EIM 機能は BI 方程式の半分にしか対応しません。残りの半分は、ユーザー自身の能力によって達成される必要があります。ユーザーには、企業が考えているよりも高い自主性と自己管理性があります。ユーザーは、電子メール、インスタント メッセージ、コラボレーション、および知識管理ツールによりファイアウォールの外に出ることができます。また、低コストのオープン ソフトウェアの登場により、「シャドー IT」が暗躍する場が増えています。ユーザーは、エンタープライズ IT により厳しく管理されていなければ、Microsoft Excel や Microsoft Access で自由にスプレッドシートを作成することができます。このため、エンタープライズ IT はビジネス ユーザーと協力し合うことが必要です。

TDWI 研究によると、ユーザー管理について強い姿勢をとっている(スプレッドマートの禁止など)会社(ビジネスユーザーまたは IT)のうち、その管理は 94% でが失敗しており 、スプレッドシートの使用に関して少し弱い姿勢をとっている会社でも 88% が失敗したという結果が出ました。13 この結果は、米国企業改革法など法令遵守に気を使っている役員たちにとってはショックであった考えられます。必要なものは、ユーザーに対して価値を創造するエンタープライズ ツールとスタンダードなのです。

エンタープライズ IT については、情報を受け取って使用するユーザーに、テクノロジー ベースのソリューションを作成する職務としてではなく、ソリューションのライフサイクル全体において問題を積極的かつ共同的に解決する職務として見るべきです。つまり、これが、ビジネス ユーザーとエンタープライズ IT による「共同価値生成」という概念になります。

この用語は、C.K. Prahalad と Venkat Ramaswamy の共著である『The Future of Competition』からの借用です。14この概念は主に顧客と会社に対して適用されていましたが、現在では、より一般的にユーザーと企業に適用されています。会社にとっての顧客、企業にとってのユーザー、いずれの場合であっても、両方のグループがその自主性により、影響力を増しています。彼らは、社内管理下にある受身的なリソースではなく、積極的な興味の共有者です。

ビジネス ユーザーにとっての価値創造で紹介したシナリオは、共同価値生成シナリオでもあります。リッチ エクスペリエンスを情報コンシューマに与え、問題を解決するためのサポートを提供するのに、SAP BusinessObjectsのツールが使用されています。静的なレポートから インタラクティブな分析に移行することにより、情報コンシューマは、IT に頼ることなく情報ニーズを積極的に解決できるようになり ます。これにより企業リソースが解放され、「データの一元化」の定義、データ範囲の拡大、データ品質の確認が行われ、情報コンシューマは、きめ細かい分析を行うための深い洞察力とデータへの高い信頼を持つことができます。

パワー ユーザーといったアクティブなユーザーについては、よりきめ細かい分析とオーサリングが行われることにより、より豊富な共同価値生成シナリオが存在します。以前、パワー ユーザーは、全ユーザーの約10~20%だと言われていました。現在では、セルフ サービス機能の進歩により、パワー ユーザーと情報コンシューマとの違いはあいまいになっています。BI ツールが使いやすく、強力に なるにつれ、熟練したアナリストと情報作成者のランクは上がり続けています。これは、仕事がより情報主導型になるにつれますます主流な流れになっています。手動反復作業の自動化というビジネスと IT の流れが、仕事内容を、分析と例外処理という方向にシフトさ せています。

このシフトにより、ユーザーは、パワー ユーザーのようなトレーニングやスキルを持たずとも、受身的な情報コンシューマより多くのことをこなすことが求められています。さらに、情報は、共有されることにより、より協同的で幅広いプロセスの一部として独自のバリュー チェーンを築いています。

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インフォメーション ワーカーは、ビジネス意思決定者である場合でも、より専門分野における開発者である場合でも、自身と下流の顧客のために情報を作り直す方法を学習しつつあり、少数の人間が大勢に情報を提供しているという古い一方的な考えは、すたれつつあります。そのため、より積極的かつ協同的であり、高い影響力を持つビジネス ユーザーを表す新しい用語として「プロシューマ」という呼び名が生まれました(「要旨」参照)。

ここでは、積極的なプロシューマ(上級パワー ユーザーと受身的な情報コンシューマを足したユーザー)に焦点を当てて説明します。プロシューマには、アナリストとデザイナという 2 つのタイプがいます。アナリストは、通常 Online Analytical Processing(OLAP)テクニックに、デザイナは、レポートやダッシュボードの構築に深く精通しています。アナリストによる企業価値に対する貢献は、提供されるデータに基づいて発揮する深い洞察力にあります。デザイナの企業価値に対する貢献は、提供されるツールを活用して作り上げるコンテンツにあります。

エンタープライズ IT とビジネス ユーザーによる共同価値生成が成功するためには、次の3つの重要な要素があります。

1. ユーザーにとって使いやすく強力なツール

2. 有用かつ信頼に値する、標準化されたデータ

3. 高いパフォーマンスとエンタープライズ スケーラビリティ

ここでは、次の2つの共同価値生成シナリオを紹介します。

• 「ビジネス ユーザーへのエンタープライズ ツールとサービスの配信」では、プロシューマを有効に活用する方法を示します。ビジネス アナリストに関する 2つの事例を紹介します。1つでは SAP BEx Anaylzer を使用し、もう一方では SAP BusinessObjectsVoyager を使用します。次に、デザイナに関する 2つの事例を紹介します。1 つでは SAP BusinessObjects Web Intelligence を使用して、もう一方では Crystal Reports を使用します。

• 「配信時間の短縮」では、SAP BusinessObjects ソリューション と SAP NetWeaver プラットフォームでの共同価値生成における仕上げ要素となる SAP NetWeaver BW Accelerator が、膨大なデータな対して即時アクセスを提供することにより、どのようにユーザー エクスペリエンスを高めることができるかについて説明します。また SAP NetWeaver BW Accelerator は、フロントエンド開発の設計と配信にかかる時間も短縮することができます。

2.3.1 ビジネス ユーザーへのエンタープライズ ツールとサービスの配信ビジネス アナリストは、効果的に分析作業を進めるために、多次元データへの高速アクセスと、複雑な計算を高速で実行できる能力を必要としています。多次元分析にはリレーショナル レポーティングにはない利点がいくつかあります。まずは、リレーショナル データを多次元キューブに組み換えることで、データの「スライス & ダイス」をより高速に行うことができるようになります。これは、データ セットが大きな場合には特に効果的になります。次に、多次元分析は、小計や、階層ごとの割合計算、またはランキングや例外リストなどの論理関数といった複雑な計算に適しています。最後に、履歴比較や傾向分析、および人員数、在庫レベル、1 日の平均残高などの付加的二次メジャーを処理するために必要な時間インテリジェンスが分析に埋め込まれています。これらの分析機能は、OLAP とも呼ばれていますが、パターン、関係、異形を見つけ出すために非常に頻繁にデータにアクセスすることが必要となるユーザー向けに設計されています。このように緻密なインタラクティブな分析は、レポートで同様の作業しようとしてもなかなかできない作業です。OLAP構造でレポーティングを行うように、リレーショナル構造で分析を行うこともできますが、微妙な差異が存在します。

SAP BEx Anaylzer と SAP BusinessObjects Voyager は、OLAP データベース用のクエリー分析ツールです。前者は Excel のアドインであり、 後者は Web ベースです。SAP BEx Anaylzer は SAP NetWeaver BW しかサポートしていませんが、SAP BusinessObjects Voyagerは、SAP、 Microsoft、IBM、Oracle、Hyperion Essbase などを含むさまざまな OLAP データベースをまたがった統合分析をサポートします。その 他さまざまな機能の違いがありますが、それは事例を使って説明します。

Crystal Reports は、OLAP データベースとリレーショナル データベースの両方に対応するレポーティング ツールです。ただし、内蔵データ セットに、より適しているという特徴はあります。Crystal Reports は、エンタープライズ レポーティング ツールとしてのデファクト スタンダードであり、SAP NetWeaver BW と直接統合できる唯一の補完フロント エンドです。SAP との共同開発事業の一環として、OEM 契約により、Crystal Reports は、SAP NetWeaver BW に直接埋め込まれていました。その前から、Crystal Reports は、ほかの人 気のあるパッケージ アプリケーションと共に、長年の間 SAP ERP ソースへのネイティブ ドライバを有していました。Crystal Reports

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にはデスクトップ バージョンと Web ベース バージョンがあります。Crystal Reports には、ページ指向リストまたはス テートメントなど、テーブルベースまたはフォームベースの構造をレンダリングするためのピクセル レベルの書式化コントロールが含まれています。これは、ビジネス ユーザーにとって有効なツールであるだけでなく、.NET や Java プログラマにとっても非常に有効なツールであり、プロシューマとプログラマの共同価値生成を可能にするツールです。

SAP BusinessObjects Web Intelligence は、クエリー、分析、レポーティングを行うことができるハイブリット ツールであり、OLAPデータベース構造にもリレーショナル データベース構造にも対応し、完全 Web ベースのツールです。レポート作成者や IT プロフェッショナル向けである Crystal Reports と比較すると、SAP BusinessObjects Web Intelligence は、エンド ユーザー向けの自由形式のデザイナであり、セルフサービス的レポーティング分析ツールです。SAP BusinessObjects Web Intteligence は、そのインタラクティブな表示フレームワークにもかかわらず、実行時に使用できる高いデザイナ機能も提供します。情報デザイナ プロシューマは、基のレポートを変更することなく、デザイン時環境で使用できる作成者コントロールの多くをそのまま使用することができます。また同様に、プログラマには、ソフトウェア開発キットという形で共同価値生成の可能性が提供されます。

事例 1:SAP Business Explorer(SAP BEx)Analyzer を使った売上分析あるグローバル セールス プランナーは、予測とターゲットを再点検するため、現時点での世界中の販売実績を確認したいと考えました。彼女は、まず各国の売上実績の概要を表示し、次に、流通チャネル別にドリルダウンしていきました。その分析の中で、処理済オーダー、処理済オーダーの金額、および未処理オーダーのしきい値について一時的な例外ルールを設けました。また、処理済オーダーと未処理オーダーがしきい値からどれだけ離れているかを表すように信号機の色をオレンジと赤に設定しました。次に、必要な情報を得られるまで、例外リストに対してスライス & ダイスを実行していきました。

必要な情報が得られると、今度は、同じ SAP BEx Anaylzer ワークブックを利用して、書式化された要約を作成し、これを文書化しました。そして、表形式の結果を式形式に変換し、ライブ SAP データを失うことなく、書式化されたレポーティングのために用意されたフォーム ベースのレイアウトに対してセルをカット アンド ペーストできるようにしました。式形式にすれば、情報をコミュニケーション パッケージとして配信できます。Excel が持つすべての書式化機能を活用すると同時に、これらのスプレッドシートを最新 SAP データで 更新することが可能になります。SAP NetWeaver BW を利用しながら、馴染みのある Excel の機能を使用して、彼女は、例外状況を調査し、これを高度に書式化された方法で伝えることができました。

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事例 2:SAP BusinessObjects Voyager を使った視覚的な販売傾向分析別の販売アナリストは、Excel を必要とせず、またそのデータを通信用に書式変更する必要もありませんでした。このアナリストが行う分析は、傾向変動を視覚的に確認するためのものであり、より多くのデータ履歴が必要でした。 SAPBusinessObjects Voyager を使用することにより、彼は時間スライダを利用して、分析する時間枠を伸ばしたり、縮めたり、移動したりしました。使用するスライダには、傾向変動を示す小さなグラフィカル表現があったので、詳しく分析する傾向変動をプレビューすることができました。時間枠を視覚的にスクロールすることにより、パラメータを再設定したりクエリーを再実行することなく、傾向パターンを即座に把握することができ

ました。さらに、彼は、付属品およびコンポーネントの販売量を把握するために、SAP 環境外から OLAP データベースにアクセスする必要がありました。このセールス プランナー は、Excel でのデータ処理を行わない大きな組織に属していたので、ほかのアナリストに配信するには、 Web ベースのインターフェイスを使用する方が合理的でした。この方法では、可用性に影響を与えることなく、デプロイメントとサポートにかかるコストを抑えることができました。

事例 3:Crystal Reports と Adobe Flex の共同デプロイメントある財務アナリストは、会社の年次報告書内で使用される、高度に書式化されたグラフィカルなレイアウトを Crystal Reports を使って作成していました。このプロセスでは複数回の承認とフィードバックが行われるため、彼の仕事がしばしばボトルネックとなりました。このため、彼は、プロセスを合理化するため、より構造化されたワークフローを設計することにしました。彼は、IT 開発者と共に Adobe Flex Builder で

ワークフロー アプリケーションを作成しました。開発者によりアプリケーションを開発してもらった後、財務アナリストは、このアプリケーションを Adobe Flex .swf ファイルとして Crystal Report にインポートすることができました。

IT 開発チームが、 Crystal Reports の Eclipse アドインを使用して、 Java ベースのプログラミング速度で開発を行ってくれたので、ワークフローアプリケーションの成功により、ビジネスと IT が共同して作成できるほかのアプリケーションについて話し合うこともできました。共同開発プロセスは、 Crystal Report ファイルを Java 開発者

( Eclipse 使 用 )と パ ワ ー ユ ー ザ ー( CrystalEnterprise 使用)間でインタラクティブに共有できる場所で行われました。結果、豊富なビジネスユーザーの体験に基づいて、本当に役立つアプリケーションが共同作成され、実際に編集して直接フィードバックを渡すことができることにより、ユーザーは開発者チームと親密な関係を築くことができ、 互いに問題を解決しているという思いを抱くことができたのです。

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事例 4:SAP BusinessObjects WebIntelligence による自由形式の設計ソフトウェア製品ライン マネージャは、アプリケーションとシステムソフトウェアという2つの製品カテゴリの実績を分析するためにレポートの1つを完全に見直すことに決めました。彼女は、部下のパワー ユーザーが必要なレポートを持ってくるのを待ったり、IT部門に頼ることもしたくなかったので、SAP BusinessObjects Web Intelligenceを使って、分析を実行しながら、レポートのビュー上で変更を行うことにしました。まずは、 信頼性の高いレポートの1つを確認して、 その基となっているデータを理解しました。 次に、 アプリケーションソフトウェアとシステムソフトウェアの正味売上高と原価比較を作成しました。 詳細データを確認しながら、 傾向変動も視覚化したいので、 ポイントアンド クリックとドラッグアンドドロップにより、 製品別に分類される 2 つ のグラフを作成しました。彼女が自分で分析を行った後、 パワーユーザーが彼女の仕事を確認し、 いくつかのアイディアを提供しました。 その後、 パワー ユーザーは彼女との共同作業のために話し合いを積極的に行いました。 両者共が、 問題を解決するための基盤となるツールについて理解していたことから、 このことが可能になったのです。

2.3.2 配信時間の短縮検索機能は、その速度と単純さにより、SQL やその他クエリー言語においてデータ アクセス方法のデファクト スタンダードになると考えられています。既に、検索機能は、非構造化データ アクセスにおいてはスタンダードとなっています。これは、Google が Web 上の大量のデータをどれだけすばやく予測可能な形で検索しているかを想像していただくとわかるでしょう。さらに、情報にアクセスするときに、検索バーを使用する場合と、SQL プロンプトを使用する場合では必要なトレーニング量が大きく違います。現在では、検索は構造化データに対して適用されており、その結果は、その他どのパフォーマンス最適化テクニックよりも抜きん出ています。列ベースのインデックス化/圧縮アルゴリズムと共に、SAP では、検索エンジンとアプリケーション メモリ レイヤを利用して革新的なパフォーマンスを生み出しています。業界では、この新しい機能を「メモリ内分析」と呼んでいます。

メモリ内分析は、ビジネスと IT の両方に大きな影響を与えます。高速インデックス化/圧縮機能を使用してデータベースのデータをアプリケーション メモリに移動することにより、OLAP 分析、レポート作成、データ ロード、再調整、または基本的な管理作業の中で、データにアクセスするたびにアクセス速度が高速化していきます。フロント エンドとバック エンドのデータ ハンドラも同様に、データを高速で処理できるようになります。

クエリーの回答時間が長いと、最も強力なツールと信頼できるデータという組み合わせも無駄になってしまいます。さらに、クエリーの回答時間が長いと、ユーザーはツールが壊れているか、データが壊れていると思い込んでしまいます。ツール、データ、パフォーマンスの 3本柱がそろって初めて、ユーザーの生産性とセルフサービス性が実用的現実となるのです。アナリスト プロシューマは、無制限にスライス & ダイスを行い、大量のデータを使う計算をオンザフライで実行します。デザイナ プロシューマは、リアルタイムで WYSIWYG(what-you-see-is-what-you-get)開発を行う中で、編集内容がどのように設計に反映されるのかを即座に知ることができます。

管理者は、データ集計を構築して管理する際に、すべてのナビゲーション状態に対応するメモリ内集計を利用できるので、時間の制約という問題から解放されます。また、クエリー パフォーマンスの最適化という重荷もぐっと軽くなります。精度の向上と、秒単位での短縮化は永遠に続く課題です。

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SAP NetWeaver BW では、最先端の SAP NetWeaver BW Accelerator ソフトウェアを使ってメモリ内分析を実装することに成功しています。SAP NetWeaver BW Accelerator ソフトウェアがバンドルされたアプライアンスがあり、これを既存の SAP NetWeaver BW デプロイメントにプラグインして使用します。このとき、無効にする集計を選択するという動作以外に、設計上の影響はほとんどありません。SAP NetWeaverBW Accelerator は、現在、SAP NetWeaver BW 上の多次元キューブ データのインデックス化にのみ対応していますが、将来的には、すべてのデー タセットに対応できるようになる展望があります。たとえば、SAP BusinessObjects Polestar と SAP NetWeaver BW Accelerator を使って、SAP NetWeaver BW 外のデータにアクセスするというシナリオは、非常に可能性のあるシナリオです。SAP アプリケーション群に SAPNetWeaver BW Accelerator がより浸透すれば、かつてないスケールでリアルタイムでの高速分析が実現する日も近くなるでしょう。

事例 1:SAP NetWeaver BW Accelerator によるデータ アクセスの高速化BI ディレクターは、増え続けるユーザーからの苦情を聞くのにうんざりしていました。BI の導入は初めは成功しましたが、その成長と共に、パフォーマンスの問題が出てきました。ユーザーは、いくつかのクエリーを実行するのに1時間も待たされていたため、データの正確性への信頼も失われていました。加えて、BI ディレクターが抱える IT チームも、前日の ERP データを、翌営業日の開始時から使用できるようにするという業務(レコードの新規作成と調整)に日々追われていました。

そこで、SAP NetWeaver BW Accelerator に注目が集まりました。「Google のような速度」という宣伝が本当であればいいと願いをかけたのですが、実際に、1 つのベンチマークでは、3秒で10億のレコードを検出できたのです。ディレクターは、年度末決算までに SAP NetWeaverBW Accelerator を全財務クエリーに対する「ビックバン」として導入しました。その結果、SAP NetWeaver BW Accelerator はユーザーの期待を上回っただけでなく、その優れた調和性とレポーティング能力により、より速く決算処理を完了させることができたのです。さらに、決算前の数ヶ月間、可用性が向上し、いままで見たことがないようなレポートがどんどん提出され、IT リソース キャパシティの再配置が可能になりました。

ディレクターは、今、情報への即時アクセスが可能になったことで、ユーザー満足度が上がり、スプレッドマートの使用が減り、システムの可用性が向上していることを実感しています。ユーザーは、BI ツールが元々目指していたきめ細かい分析能力とその機能をようやく利用できるようになりました。パフォーマンスの制約により、ユーザーのフラストレーションはたまり、既に使い古されたクエリーや以前の集計結果など、事前定義されたアクセス パスに従うことを余儀なくされていたのですが、ユーザーは制限なく分析を行うことができるようになり、BI を、検証目的ではなく、発見のために使用するという次の段階にまで進めることができたのです。

3.0 まとめこれまでに紹介したシナリオと事例の中には、共通する流れがあります。事例では、それぞれの概念をより具体的に明確にさせることを目的として紹介されています。それぞれ説明されているペイン ポイントの多くは、SAP ワールドで共通して起こっている問題ですが、ソリューションは、その組織の政治的、構造的、および文化的要素に支配されることがしばしばあります。これまで紹介したシナリオと事例は、SAP BusinessObjects ソリューション によって SAP カスタマーに提供できる多くの可能性を示すことを意図しています。

ニーズが高まったときにこそ、新しい可能性が生まれます。IT への投資は成長を続け、それに支えられて数々のソリューションが生まれ続けています。これまで、その成長の大部分が簡素化ではなく複雑化に貢献する結果となっていました。SAP BusinessObjects ソリューションの標準化は、エンタープライズ IT とビジネス ユーザーの両方の視点から見て、この複雑さの管理を支援するものです。さらに、これらは、競争社会に打ち勝つために情報および知識への依存度がますます上がる昨今、その競争に優位に立つためのソリューションでもあります。

ビジネスの様式は変わり、この変化は、新しい SAP と BI の製品にも反映されています。そしてこのような変化により、ソリューションの旧式化や運営方式の老朽化が表面化してきています。SAP ソフトウェアを使用されている企業の皆様には、今一度社内環境を再確認し、その方針と実践を再検討していただくことをお勧めします。SAP BusinessObjects ソリューションにより新たに提供されるビジネス チャンスを検 討いただきながら、従来のソリューションや旧態依然のアプローチを再評価してください。先を見据えた顧客ロードマップや進行中のプロジェクトについても、現時点で可能な選択肢を念頭に再検討されることをお勧めします。

最後に、ビジネスが分析力に大きく依存する現在、IT には、BI が約束する世界を実現するというプレッシャーがますますかかることでしょう。アクションを起こすのは、今です。このホワイト ペーパーで紹介した事例は、現在市場に提供しているSAP BusinessObjects ソリューションにより解決できるシナリオを紹介したものです。SAP と Business Objects が統合した今、両社が提供するコンポーネントはより力強く統合され、より革新的なソリューションが今後リリースされるようになるであろうことは疑いの余地がありません。BI ランドスケープを計画する上で、製品ロードマップを注意深く研究することは重要ですが、SAP は、そのイノベーションを生み出す速度を緩めてはいけないのです。

4.0 ホワイト ペーパーで取り上げられた製品一覧

SAP BusinessObjects Xcelsius Enterprise ................................................................4

SAP BusinessObjects Polestar ...............................................................................4

SAP BusinessObjects Mobile ................................................................................5

SAP BusinessObjects Live Office ...........................................................................6

BI Widgets .........................................................................................................7

SAP BusinessObjects Data Integrator .....................................................................9

SAP BusinessObjects Data Federator ...................................................................10

SAP NetWeaver Master Data Management .........................................................11

SAP BusinessObjects Intelligent Search ................................................................13

SAP BusinessObjects Text Analysis ......................................................................13

SAP NetWeaver Business Warehouse with SAP Business Explorer Analyzer.............16

SAP BusinessObjects Voyager.............................................................................17

Crystal Reports .................................................................................................17

SAP BusinessObjects Web Intelligence.................................................................18

SAP NetWeaver BW Accelerator ........................................................................19

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1 Gartner Executive Program 「Gartner EXP Worldwide Survey of 1,500 CIOs Shows 85 Percent of CIOs Expect ‘Significant Change’ Over Next Three Years」 プレス リリース、2008 年 1 月 23 日発行 <http://www.gartner.com/it/page.jsp?id=587309>(2008 年 2 月 9 日)

2 Futurist Alvin Toffler が、自著『The Third Wave』(William Morrow & Co、1980 年 3 月発行)の中で、「プロデューサー」と「コンシューマ」の造語として「プロシ ューマ」という言葉を作った。

3 Crystal Reports は、相手先ブランド製造(OEM)パートナーシップの一環として SAP BM に埋め込まれていた。これは 2001 年 9 月から SAP BM バージョン 3.5 までの5 年間続いた。

4 Carol Davis など。「Extreme Business Warehousing」 IBM Case Study Document WP101012、ページ 3、2007 年 5 月 6 日発行 <http://www-03.ibm.com/support/techdocs/atsmastr.nsf/WebIndex/WP101012>(2008 年 2 月 9 日)

5 「スティッキー」という用語は、閲覧者が長く居続き、頻繁にアクセスされる Web サイトを表す言葉としてマーケティングではよく使用される。6 Stacy Sudan など。「Worldwide Mobile Worker Population 2007–2011 Forecast」 IDC Study Document 209813、2007 年 12 月発行

<http://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=209813>(2008 年 2 月 9 日)7 David Newman 著「Business Drivers and Issues in Enterprise Information Management」 Gartner Document G00129712、2005 年 7 月 25 日発行

<http://gartner.com/DisplayDocument?ref=g_search&id=483839>(2008 年 2 月 9 日)8 Phillip Russom 著「Business Intelligence Solutions for SAP」 The Data Warehouse Institute Best Practices Report、2007 年 10 月発行

<http://www.tdwi.org/research/display.aspx?ID=8769>(2008 年 2 月 9 日)9 ここで言う「ビジネス オブジェクト」は、1 つの概念を表している言葉で、会社名やブランドを示す「Business Objects / BusinessObjects」とは異なる。10 Robert S. Seiner 著「The Stewardship Approach to Data Governance」 The Data Administration Newsletter、2008 年 1 月 1 日発行 <http://www.tdan.com/view-

articles/6703>(2008 年 2 月 9 日)11 「Master Data Management」 Wikipedia <http://en.wikipedia.org/wiki/Master_Data_Management>(2008 年 1 月 10 日)12 Jason Kuo 著「Turn Unstructured Text into Insight」 Business Objects White Paper Document WP3113-A、2007 年発行

<http://www.businessobjects.com/forms/default.asp?id=7016000000097s9>(2008 年 2 月 9 日)13 Wayne Eckerson/Richard Sherman 共著、「Strategies for Managing Spreadmarts」、The Data Warehouse Institute Best Practices Report、2008 年 1 月発行

<http://www.tdwi.org/research/display.aspx?ID=8874>(2008 年 2 月 9 日)14 C.K. Prahalad/Venkat Ramaswamy 共著『The Future of Competition: Co-Creating Unique Value with Customers』 Harvard Business School Publishing(ボストン)、

2004 年発行

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著者についてDavid Dixon は、Business & Decision 社の子会社の 1 つである Inforte 社の副社長で、『Mastering the SAP Business InformationWarehouse』の共著者です。SAP BI コンサルティング会社である COMPENDIT の買収により 2004 年 3 月から Inforte 社に加わりました。David は COMPENDIT の設立メンバーで、それ以前は、SAP のプラチナ コンサルタントでした。David は、SAP の SEM 開発チームと共に、Business Consolidation および Business Planning and Simulation の支援を行い、アメリカの SAP NetWeaver RIG とのコラボレートも継続して行ってきました。David は、1995 年、SAP の財務会計/管理会計(FI/CO)のコンサルタントとしてキャリアを開始し、その専門は、SAP のレポーティング アプリケーションと分析アプリケーションおよびそのツールでした。David は、Fortune 100 企業への複雑なグローバル ソリューションの導入というプロジェクト経験を持ち、SAP TechEd、TDWI、ASUG などのさまざまな SAP および BI フォーラムに参加しています。

Jean-Michel Franco は、15 年以上もの間、革新的なテクノロジーの開発と導入にキャリアをささげています。Jean-Michel Franco は、新しい BI プラクティスを開発したことにより、EDS を設立し、その後、BI および ERP ソリューションの開発のために、フランスと北アフリカのマーケティング ソリューション ディレクターとして SAP EMEA に加わりました。現在は、Business & Decision のソリューション ディレクターとして、最先端のコンサルティング システム インテグレータの会社がグローバルに展開する製品の設計とマーケティングを行っています。

さらに、Jean-Michel Franco は、情報システムによるベスト プラクティスに関する 3 冊の書籍(フランス語)『Manage the enterprisethrough the data warehouse』(Eyrolles)、『Adaptation Dynamics』(Village Mondial)、『MySAP for dummies - French edition』(FirstInteractive)の著者であり寄稿者です。

INFORTE 社についてInforte 社は Business & Decision 社の子会社であり、戦略とビジネス インテリジェンス、CRM コンサルティング サービスというユニークな組み合わせで、クライアントの収益の確保と保持を支援する会社です。我々は、顧客動向を把握し、これを活かしながら顧客に対応しながら、クライアントの戦略を引き続き分析そして調整するというアプローチを取っています。1993 年に設立。本社をシカゴに置き、北米各所、ドイツ、インド、イギリスに支店があります。詳しくは、800-340-0200(米国)にお問い合わせいただくか、www.inforte.com をご覧ください。

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