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02 自伐型林業 04 敷地と家族 京都府の総土地面積に占める森林の割合は 74.3%と全国平均の 66.5% を上回っており、民有林の割合も全国平均に比べてかなり高い。 また、民有林の齢級別構成は人工林では 10 齢級以上の利用期に達した 面積は 68%で、10 年後には 84% に及ぶ。このような現状を踏まえて、 成熟した森林資源の伐採・利用が推進されている。一方で、今後は森林 間伐・保育の面における適正な実施・活用が課題となっている。 01 京都府と森林 自伐型林業とは、採算性と環境保全を両立する持続的森林経営である。 国土の 7 割を占める山林を活用する「地方創生の鍵」として期待され、 京都府では和束町において自治体規模でその取り組みがなされている。 □自伐型林業5つのメリット ・幅広い就労機会 環境保全型林業 ・択伐施業で長期的な森林経営を展開 ・自家伐採と小規模機械で低コスト 低い初期投資費用 05 断面計画 06 平面計画 南側立面図 S=1/100 A-A´ 断面図 S=1/100 1F 平面図 S=1/100 2F 平面図 S=1/100 □森林面積 □齢級別構成 林業住まいの循環 製材加工 間伐・主伐 活用 収穫 植林 育成 □敷地 敷地は、京都北山の麓の傾斜地である。周辺は使われていない民有林 と京都独特の木密住宅街に囲まれている。 父 (38):自伐型林業家に転身 母 (36):農作業に興味がある 兄 (11):木工が得意 妹 (5) 動植物好き □家族 敷地面積:約 60 坪 建築面積:約 32 坪 階数:2 階建て 階高:約 2.7m 最高高さ:8.1m 構造:木造 [ 面積 ] [ 蓄積 ] (齢級) 10 ~ 12 10 ~ 12 (齢級) 人工林 天然林 (万㎥) 0 0 (千 ha) 利用期 600 30 35 万 ha↓ 0 人工林 天然林 京都府総計 ( 森林率 74.3%) 由良川地域 ( 森林率 77.3%) 淀川上流地域 ( 森林率 71.1%) □ダイヤグラム 林業 住まい 民有林に住まいを添わす 住まいに林業を引き込む 以上を踏まえ本提案では、住まいに自伐型林業 ( 新たな木の文化 ) を引き 込むことで民有林を活かす新たな住まいを提案する。 03 林業と共にある住まい N 林業 住まい 林業 林業 林業 □新たな木の文化 世の中 林業 住まい [ 現状 ] [ 理想 ] 現状、以下のようなサイクルが作られているが、自伐型林業を新たな 木の文化として捉えた上で林業と生活が一体となった林住近接型の住 まいがあっても良いのではと考える。 世の中 森林割合 :74.3% りんじゅう 東側立面図 S=1/100 2,730 2,730 2,730 2,730 2,730 13,650 2,730 2,730 2,730 8,190 2,730 2,730 2,730 8,190 苗木畑 エディブルガーデン 木材置き場 セットバックにより 地域との緩衝帯に みんなのリビング 子供の家 両親の家 家族の家 木材切り出し場 木材乾燥 エリア みんなのキッチン 林業の小道 子供の遊び場 住まいの動線 住まいはスキップフロアで緩やかに繋がる 林道の小道に運ばれる木材は住まいに変化を生む みんなのリビングでは 1 階に住まいが溢れ出す 週末は、家族で林業を営む □住まいの動線 分棟形式の住まいは家族のプライバシーを確保しながらお互い の活動や林業の変化を日々の生活で感じることが出来る。 □林業の小道 敷地後ろの民有林から切り出したスギやヒノキは林業の小道を 通って乾燥・加工・焼却の流れで住まいや林業に利用される。 GL+2700 GL+3400 皆で育てる苗木はまるで 子供を育てるかのよう たけかけた木々は住まいを 少しだけ伸び縮みさせる 0 1 2 5 (m) 1 階のかまどの熱は住まいの 熱循環を効率良く行う 木材の作る隙間は昆虫たちの すみかにもなる GL+2200 地域の人と野菜作りを 通して同じ汗を流す 林業の小道と住まいの動線が 集まる中心部には、家の色々 な物が集まる溜まり場 民有林へ 世の中へ - 自伐型林業が作る新たな木の文化と住まい - A´ A´ 林とした住まいの提案 りん

01京都府と森林 02自伐型林業 04敷地と家族 03林業と共にある住 … · 2,730 2,730 2,730 2,730 2,730 13,650 2,730 2,730 2,730 8,190 2,730 2,730 2,730 8,190 苗木畑

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02 自伐型林業 04 敷地と家族京都府の総土地面積に占める森林の割合は 74.3%と全国平均の 66.5%を上回っており、民有林の割合も全国平均に比べてかなり高い。また、民有林の齢級別構成は人工林では 10 齢級以上の利用期に達した面積は 68%で、10 年後には 84%に及ぶ。このような現状を踏まえて、成熟した森林資源の伐採・利用が推進されている。一方で、今後は森林の間伐・保育の面における適正な実施・活用が課題となっている。

01 京都府と森林自伐型林業とは、採算性と環境保全を両立する持続的森林経営である。国土の 7割を占める山林を活用する「地方創生の鍵」として期待され、京都府では和束町において自治体規模でその取り組みがなされている。

□自伐型林業5つのメリット ・幅広い就労機会 ・環境保全型林業 ・択伐施業で長期的な森林経営を展開 ・自家伐採と小規模機械で低コスト ・低い初期投資費用

05 断面計画

06 平面計画

南側立面図 S=1/100

A-A´断面図 S=1/100

1F 平面図 S=1/100 2F 平面図 S=1/100

□森林面積 □齢級別構成

□林業と住まいの循環

製材加工 間伐・主伐

活用

収穫

植林

育成

□敷地 敷地は、京都北山の麓の傾斜地である。周辺は使われていない民有林 と京都独特の木密住宅街に囲まれている。

父 (38):自伐型林業家に転身母 (36):農作業に興味がある兄 (11):木工が得意妹 (5) 動植物好き

□家族

敷地面積:約 60 坪建築面積:約 32 坪階数:2階建て階高:約 2.7m最高高さ:8.1m構造:木造

[面積 ]

[ 蓄積 ] (齢級)10 ~ 12

10 ~ 12 (齢級)

■人工林■天然林

(万㎥)

0

0

(千 ha)利用期

600

30

35 万 ha↓0■人工林 ■天然林

京都府総計 ( 森林率 74.3%)

由良川地域 ( 森林率 77.3%)

淀川上流地域 ( 森林率 71.1%)

□ダイヤグラム

林業住まい 住 住

民有林に住まいを添わす 住まいに林業を引き込む

以上を踏まえ本提案では、住まいに自伐型林業 ( 新たな木の文化 ) を引き込むことで民有林を活かす新たな住まいを提案する。

03 林業と共にある住まい

N

林業

住まい

林業林業

林業

□新たな木の文化

世の中

林業

住まい

[ 現状 ]

[ 理想 ]

現状、以下のようなサイクルが作られているが、自伐型林業を新たな木の文化として捉えた上で林業と生活が一体となった林住近接型の住まいがあっても良いのではと考える。

世の中

森林割合 :74.3%

りんじゅう

東側立面図 S=1/1002,730

2,730

2,730

2,730

2,730

13,650

2,730 2,730 2,7308,190

2,730 2,730 2,7308,190

苗木畑

エディブルガーデン

木材置き場

セットバックにより地域との緩衝帯に

みんなのリビング

子供の家

両親の家

家族の家

木材切り出し場

木材乾燥エリア

みんなのキッチン

林業の小道

子供の遊び場

住まいの動線

住まいはスキップフロアで緩やかに繋がる

林道の小道に運ばれる木材は住まいに変化を生む みんなのリビングでは 1階に住まいが溢れ出す

週末は、家族で林業を営む

□住まいの動線 分棟形式の住まいは家族のプライバシーを確保しながらお互い の活動や林業の変化を日々の生活で感じることが出来る。

□林業の小道 敷地後ろの民有林から切り出したスギやヒノキは林業の小道を 通って乾燥・加工・焼却の流れで住まいや林業に利用される。

GL+2700

GL+3400

皆で育てる苗木はまるで子供を育てるかのよう

たけかけた木々は住まいを少しだけ伸び縮みさせる

0 1 2 5(m)

1 階のかまどの熱は住まいの熱循環を効率良く行う

木材の作る隙間は昆虫たちのすみかにもなる

GL+2200

地域の人と野菜作りを通して同じ汗を流す

林業の小道と住まいの動線が集まる中心部には、家の色々な物が集まる溜まり場

民有林へ

世の中へ

- 自伐型林業が作る新たな木の文化と住まい -

林とした住まいの提案りん