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2009/8/18 第44回地盤工学研究発表会 2008911日十勝沖の地震(M7.1)による 地震動のフ リエ位相特性 地震動のフリエ位相特性 行政法港湾港技術研究所 野津 謝辞:本研究では防災科学技術研究所の強震記録を使用 しました して謝意します しましたして謝意します

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2009/8/18第44回地盤工学研究発表会

2008年9月11日十勝沖の地震(M7.1)による地震動のフ リエ位相特性地震動のフーリエ位相特性

独立行政法人港湾空港技術研究所独 行政法 港湾 港技術研究所野津 厚

謝辞:本研究では防災科学技術研究所の強震記録を使用しました 記して謝意を表しますしました.記して謝意を表します.

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(背景)

★海溝型 大地震 る地震動は パ 状 波 長く尾を く う★海溝型巨大地震による地震動は,パルス状の波形,長く尾を引くような波形など,極めて多様である.図は2003年十勝沖地震(M8.0)の際に実際に観測された速度波形を示す.

明瞭なパルス無し

帯広

パルス有り

豊頃

中間的

大樹大樹

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明瞭なパルス無し

(背景)

帯広

パルス有り

豊頃

中間的

豊頃

中間的

大樹

これら多様な波形が生まれてくる背景としては,震源特性よりも,伝播経路特性及びサイト特性が大きく影響していると考えられる.これは次のようにして確かめることができる.

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★地震動はフーリエ振幅とフーリエ位相からなる

(背景)

★地震動はフ リエ振幅とフ リエ位相からなるが,ここでは本震のフーリエ振幅はそのまま,フーリエ位相だけを余震1(9/26 7:20, MJ5.2)のものに置き換えてみる すると 本震とそっくのものに置き換えてみる.すると,本震とそっくりの波形が出来上がる.

↑余震1帯広

黒:本震の速度波形 赤:フーリエ振幅はそのまま,フーリエ位相だけを余震のものに変更余震のものに変更

★フーリエ位相を余震のものに変更してもほぼ同じ波形が再構成されしまうと う とは 帯広 長く尾を引く波形が 本震断層面上てしまうということは,帯広の長く尾を引く波形が,本震断層面上で

の複雑な破壊過程の影響によるものでないことを意味する.なぜなら,本震の複雑な破壊過程の情報は余震のフーリエ位相には含まれていないはずだからである.

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(背景)

帯広

豊頃豊頃

大樹

黒 本震の速度波形 赤 フ リ 振幅はそのまま フ リ 位相

★十勝地方の他の地点でも同様の結果

黒:本震の速度波形 赤:フーリエ振幅はそのまま,フーリエ位相だけを余震のものに変更

★十勝地方の他の地点でも同様の結果

★余震のフーリエ位相に含まれるのは伝播経路特性・サイト特性である よって パルスが出る・出ない等の波形の特徴は伝播経路である.よって,パルスが出る 出ない等の波形の特徴は伝播経路特性・サイト特性の影響であると考えられる.

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(背景)

さて,伝播経路特性・サイト特性が重要であるとすると,余震

が な 実際の位置が問題になる.実際,本震時にasperity 1の影響が大きい図のAの領域ではasperity1に近い余震1のフーリエ位相が本震記録の

フーリエ位相に類似しており,本震時にasperity 2の影響が大きい図 B時にaspe ty の影響が大きい図のBの領域ではasperity2に近い余震2のフーリエ位相が本震記録の

フーリエ位相に類似していることが

A

B

フ リエ位相に類似していることが確認できる.

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以上のような背景の下,2003年以上のような背景の下,2003年十勝沖地震が発生した襟裳岬の南東沖で,2008年9月11日にM7 1の地震が発生した 今回のM7.1の地震が発生した.今回の地震は2003年十勝沖地震のアスペリティ1よりもやや沖合側で発生している このような発生発生している.このような発生位置の違いによるフーリエ位相の違いがどの程度であるかを把握するため 十勝支庁 観測点握するため,十勝支庁の観測点を対象に,先ほどと同様の解析を行った.

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(結果と結論)

豊頃大樹 豊頃大樹

浦幌 芽室

黒:2003年十勝沖地震の速度波形 赤:フーリエ振幅はそのまま,フーリエ位相だけを2008年の地震のものに変更震

TKCH07(豊頃)のNS成分のパルス状の波形,TKCH06(芽室)の継続時間の長い波形など 2003年の観測波形の特徴は良く再現されており 両地震のの長い波形など,2003年の観測波形の特徴は良く再現されており,両地震のフーリエ位相はよく類似していると言える.2008年の地震は,2003年の主要な

アスペリティよりも少し沖側で発生しているが,この違いは位相特性に対して大きくは影響しなか た (これがこの研究の主要な結論です)大きくは影響しなかった.(これがこの研究の主要な結論です)

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合わないところ(1)HKD091(浦幌)のEW成分の44秒付近の位相(a)

合わない原因:浦幌はアスペリティ1とアスペリティ2の両方から影響を受ける位置にあり,このようなマルチプルショックの影響は2008年の地震のフーリエ位相には含まれないため 再現されないの地震のフ リエ位相には含まれないため,再現されない.

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合わないところ(2) TKCH06(芽室)のEW成分の初動部分(b)

合わない原因 TKCH06付近はEW成分に対してラデ シ ンの節に合わない原因:TKCH06付近はEW成分に対してラディエーションの節に近いことがわかる.このため,EW成分のS波初動の振幅が不安定になっている.言い方を変えると,各々の地震のわずかな位置やメカニズム

が がの違いにより,EW成分が出たり出なかったり,符号が反転したりする.

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合わないところ(2) TKCH06(芽室)のEW成分の初動部分(b)

図は2003年十勝沖地震(M8.0)と2008/9/11の地震(M7.1)に対するEW成分とNS成分のラディエーション係数を計算したもの.TKCH06はちょうどEW成分のデ シ 係数 符号が 転する位置 あたるラディエーション係数の符号が反転する位置にあたる.

2003年の地震に対しては主要なアスペリティの位置にHonda et al.(2004)の研究を参考に走向246度,傾斜18度,すべり角135度の点震源を置き,2008年の地震に対しては,気象庁の震源位置に,F netを参照して走向269度 傾斜36度 すべり角159度の点震源を置いた 震源から観測点までF-netを参照して走向269度,傾斜36度,すべり角159度の点震源を置いた.震源から観測点までの波線は直線で近似し,各サイトにおいてSV波は地表のradial成分に,SH波は地表のtransverse成分にそれぞれ対応するものとした.

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(今後について)

★強震動予測の対象となる地点で地震観測記録を得ることは,強震動予測を進める上で大きなアドバンテージを与える.

★特に,将来想定される地震と同じような方位で発生している既往の地震の★特 ,将来想定される地震 同 ような方位 発 る既往 地震観測記録が得られている場合には,我々は,将来の地震による地震動の「フーリエ位相」をほぼ(注)知っていると言っても過言ではない.このことは強震動の予測を進めていく上でたいへんなアドバンテージとなる 何故なら強震動の予測を進めていく上でたいへんなアドバンテ ジとなる.何故なら,「フーリエ位相」の片割れである「フーリエ振幅」の予測に努力を傾注できることになるからである.

★今後 重要な社会基盤施設の立地する場所 防災拠点などで積極的に★今後,重要な社会基盤施設の立地する場所,防災拠点などで積極的に地震観測を行い,そこで得られたフーリエ位相の情報をライブラリのように活用して,強震動予測を行っていくことが考えられる.その際,既往地震のフ リエ位相の情報をフルに活用できる強震動評価手法(その 例として古フーリエ位相の情報をフルに活用できる強震動評価手法(その一例として古和田他(1998)の手法)を活用することが考えられる.

★地震の発生位置に応じてフーリエ位相特性がどのように異なるかを体系が的に調べることが必要.

(注)ほぼというところがミソであって完全に知っているわけではない.浦幌のように複数のアスペリティの影響を受ける場合があるから,将来想定される地震の震源を適切にモデル化して,そのリティの影響を受ける場合があるから,将来想定される地震の震源を適切に デル化して,その結果を予測波の位相に反映させることはやはり必要である.