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兵庫教育大学 研究紀要 第522018 2 pp. 1 8 学校規模研究の動向 と 課題 Trends and Issues of Research on School Size 須 田 康 * SUDA Yasuyuki 本稿の目的は、 学校規模と いう 組織的要因が、 学校での児童生徒の成果に どのよ う な影響を及ぼし ているのか、 こ れま での先行研究を整理し、 この分野における今後の研究の方向を展望するこ とにある。 そのために、 まず、 海外の研究動向 のレ ビューを行い、 日本における研究動向を概観すると と もに、 課題について整理した。 海外の先行研究から明らかにな るこ とは、 学力に対する学校規模の影響を学校規模単独で捉えるのではな く て、 学校規模が学力に及ぼす影響を学区の社 会経済的状況 と の関係で捉え、 学校規模と 学区の社会経済的状況と の交互作用が学力 に与え る影響 を明 ら かに し てい る点 である。 日本ではこ う した研究はまだなされておらず、 今後、 マルチレベル分析を駆使して、 日本社会の実態を捉えるこ とが必要と される。 加えて、 学力 と向学校性、 学校規模、 学区の SES の相互の影響関係を明らかにするためには、 パネ ルデータ を収集し、 こ れを分析する必要があるこ と も指摘した。 キ ーワ ー ド : 学力、 学校規模、 学区の社会経済的状況、 交互作用、 マルチレベル分析 Key words : academic achievement, school size, school district socio-economic status, interaction, multilevel analysis 1. 海外の研究動向 ( 1 ) 学校効果の研究と し ての学校規模研究 学校規模研究は、 広 く は、 学校効果の研究に位置づけ るこ と ができ る。 学校効果の研究と は、 時間の経過の中 で、 児童生徒が学校においてどれだけ成果を上げている のかを問う研究である。 児童生徒の成果の主要なものと し ては、 児童生徒の学業成績があり 、 出席や行動、 学習 意欲、 人間関係の構築や改善もこ れに含めるこ とができ る。 モーテイモア (M otimore, P., 1997) が、 「学校の最 大の影響は生徒が示す進歩の総量において確認さ れるこ と を示 し てい る」 (p 410) と述べるよ う に、 学校の効果 は、 児童生徒が示す変化の総量によ っ て明 ら かに さ れる ことになる。 学校効果の研究の端緒は、 コールマ ン (Coleman, J.S ) らによる調査報告にあった。 コールマンをはじめ とする調査チームは、 連邦政府の命を受け1965 年 に全米 4000校の公立学校に在籍する64 5000人以上から なる 児童生徒 を対象 と し た学力調査 を実施 し た。 こ の結果か ら、 「子どもの背景や社会の一般的状況とは独自に、 学 校が子 どもの学業成績に及ぼす影響はほと んど存在 し な い。 そ し て、 学校に独自の効果がないために、 家庭や近 隣の仲間によって子どもたちに背負わされる不平等が、 学校を卒業して大人になってからの不平等につながって い く 。 つまり 、 学校を通し て教育機会を均等化する考え 方は、 子どもの身近な社会環境の及ぼす影響から独立し た効果 を学校が有 し てい る と い う こ と を前提 と し てい る が、 アメ リ カの学校は、 そのよ う な強い効果を有し ては いないのである。」 (Coleman, J.S., et al 1966, p 325, 口訳, 2010, p.161) と し た。 こ の報告書の内容は、 教育 関係者に衝撃を与えるこ とになる。 なぜなら、 学校は、 人種間、 居住地域間にあった当初の学力差を縮小 させる ことができないだけではなく、 むしろ拡大させていたか らである。 コ ールマ ン報告書以後、 二つの研究の流れが展開す る こ と にな る。 一つは、 なぜ、 学校は学力格差 を解消 し き れなかったのかその背景要因を探る研究であり、 もう一 つは、 学力格差の解消に成功 している学校を見つけ出し その学校の特性を明らかにする研究である。 後者の研究 と し て学校効果研究がある。 川口 (2010) が述べ る よ う に、 例えば、 クリ ガ ー ド と ホール (Klitgaard, R. & Hau, G., 1974) は、 統計的手法によ り 、 学校の社会経 済的背景から推計 さ れる学校の成績の平均予測値 を求め、 それより も実際に高い成績を収めている学校を探し出し、 「効果的な学校」 と し た。 同 じ く 、 イ ギ リ ス の ラ ツ タ 一 (Rutter, M.J., et al l 979) は、 成績だけではな く 、 欠席 率、 態度や素行も含めて、 「学校の効果」 と し た。 さ ら に、 アメ リ カのエ ドモンズ (Edmonds, R., 1979) は、 コールマンレポートの再分析と して、 白人と同じく らい 成果をあげている黒人の子どもたちの成績をあげている 「効果的な学校」 を探り出し、 そう した学校の6つの特徴 をまとめている。 「校長のリーダーシップ」 「教師の子ど もへの期待」 「厳格すぎない秩序や威圧的でない静寂」 「学校での基本的スキル獲得の重視」 「学校へ支援」 「学 力測定とその活用」、 がそれである ( ' ) * 兵庫教育大学大学院人間発達教育専攻教育 コ ミ ユニケ ー シ ヨ ンコ ース 教授 平成 29 1025 日受理

1 須田 康之 - repository.hyogo-u.ac.jprepository.hyogo-u.ac.jp/dspace/bitstream/10132/17247/1/suda.pdf · 1 ) sesは、学区レベ ルでも学校レベルでも学力に対してプラスの影響を与え

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兵庫教育大学 研究紀要 第52巻 2018年 2 月 pp. 1 8

学校規模研究の動向と課題

Trends and Issues of Research on School Size

須 田 康 之* SUDA Yasuyuki

本稿の目的は、 学校規模と いう 組織的要因が、 学校での児童生徒の成果に どのよ う な影響 を及ぼし てい るのか、 こ れま

での先行研究を整理し、 こ の分野におけ る今後の研究の方向 を展望す るこ と にあ る。 そのために、 まず、 海外の研究動向

のレ ビュ ーを行い、 日本におけ る研究動向 を概観す る と と も に、 課題について整理 し た。 海外の先行研究から明 らかにな

るこ とは、 学力に対す る学校規模の影響 を学校規模単独で捉え るのではな く て、 学校規模が学力に及ぼす影響 を学区の社

会経済的状況と の関係で捉え、 学校規模と学区の社会経済的状況と の交互作用が学力に与える影響を明らかにし ている点

であ る。 日本ではこ う し た研究はま だな さ れておらず、 今後、 マルチ レベル分析 を駆使 し て、 日本社会の実態 を捉え るこ

と が必要と さ れる。 加え て、 学力 と向学校性、 学校規模、 学区の SES の相互の影響関係 を明ら かにす るためには、 パネ

ルデータ を収集 し、 こ れを分析す る必要があ るこ と も指摘 し た。

キーワー ド : 学力、 学校規模、 学区の社会経済的状況、 交互作用、 マルチ レベル分析

Key words : academic achievement, school size, school district socio-economic status, interaction, multilevel analysis

1 . 海外の研究動向

( 1 ) 学校効果の研究と し ての学校規模研究

学校規模研究は、 広 く は、 学校効果の研究に位置づけ

るこ と ができ る。 学校効果の研究と は、 時間の経過の中

で、 児童生徒が学校において どれだけ成果を上げてい る

のかを問う 研究である。 児童生徒の成果の主要なも のと

し ては、 児童生徒の学業成績があり 、 出席や行動、 学習

意欲、 人間関係の構築や改善 も こ れに含めるこ と ができ

る。 モーテイモア (Motimore, P., 1997) が、 「学校の最

大の影響は生徒が示す進歩の総量において確認 さ れるこ

と を示 し ている」 (p 410) と 述べるよ う に、 学校の効果

は、 児童生徒が示す変化の総量によ っ て明 ら かに さ れる

こ と になる。

学校効果の研 究 の端緒は、 コ ールマ ン (Coleman, J.S ) ら によ る調査報告にあ っ た。 コ ールマ ン をは じ め

とする調査チームは、 連邦政府の命を受け1965年に全米

の4000校の公立学校に在籍する64万5000人以上からなる

児童生徒を対象と し た学力調査を実施し た。 この結果か

ら、 「子 ども の背景や社会の一般的状況 と は独自に、 学

校が子 どもの学業成績に及ぼす影響はほと んど存在 し な

い。 そ し て、 学校に独自の効果がないために、 家庭や近

隣の仲間によ っ て子 ども たち に背負 わさ れる不平等が、

学校 を卒業 し て大人にな っ てから の不平等につながっ て

い く 。 つまり 、 学校を通し て教育機会を均等化する考え

方は、 子どもの身近な社会環境の及ぼす影響から独立 し

た効果を学校が有 し てい る と いう こ と を前提と し てい る

が、 ア メ リ カ の学校は、 そのよ う な強い効果 を有 し ては

いないのである。」 (Coleman, J.S., et al 1966, p 325, 川

口訳, 2010, p.161) と し た。 この報告書の内容は、 教育

関係者に衝撃 を与え るこ と にな る。 なぜな ら、 学校は、

人種間、 居住地域間にあっ た当初の学力差 を縮小 させる

こ と がで き ない だけ ではな く 、 む し ろ拡大 させていたか

ら であ る。

コ ールマ ン報告書以後、 二つの研究の流れが展開す る

こ と になる。 一つは、 なぜ、 学校は学力格差を解消 し き

れなかっ たのかその背景要因 を探る研究であり 、 も う 一

つは、 学力格差の解消に成功 し ている学校を見つけ出 し

その学校の特性を明らかにする研究である。 後者の研究

と し て学校効果研究がある。 川口 (2010) が述べるよ う

に、 例え ば、 ク リ ト ガー ド と ホ ール (Klitgaard, R. & Hau, G., 1974) は、 統計的手法によ り 、 学校の社会経

済的背景から推計 さ れる学校の成績の平均予測値を求め、

それよ り も実際に高い成績を収めてい る学校を探 し出 し、

「効果的な学校」 と し た。 同 じ く 、 イ ギリ スのラ ツタ 一

(Rutter, M.J., et al l979) は、 成績だけではな く 、 欠席

率、 態度や素行も含めて、 「学校の効果」 と し た。 さ ら

に、 ア メ リ カ のエ ド モ ンズ (Edmonds, R., 1979) は、

コ ールマ ンレ ポー ト の再分析と し て、 白人と同 じ く らい

成果をあげてい る黒人の子 ども たちの成績をあげてい る

「効果的な学校」 を探り 出し、 そう した学校の6つの特徴

をま と めてい る。 「校長のリ ー ダー シ ッ プ」 「教師の子 ど

もへの期待」 「厳格す ぎない秩序や威圧的でない静寂」

「学校での基本的スキル獲得の重視」 「学校へ支援」 「学

力測定と その活用」、 がそれである (' )。

* 兵庫教育大学大学院人間発達教育専攻教育 コ ミ ユニケー シ ヨ ンコ ー ス 教授 平成29年10月25 日受理

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須 田 康 之

1980年代 に入 り 、 ラ ウ ン デ ン ブ ツ シ ユ と ブ レ イ ク

(Raundenbush, S. & Bryk, A.S., 1986) は、 階層的線型

モデルを用い、 学校の効果を捉え よ う と し た。 彼 らは、

異な る二つの学校群、 すなわち、 公立学校と カ ト リ ッ ク

系学校 を対象に し て、 生徒の学校と の関係がマルチ レベ

ルの関係にあるこ と を踏まえ、 学校の効果 を吟味 し てい

る。 彼らの研究によ る と 、 公立学校と カ ト リ ッ ク系学校

と の間で学力差はないが、 カ ト リ ッ ク系学校においては、

公立学校に比べて、 SES (Socio-Economic Status) と 学

力の関係が弱 く 、 し か し同時にセ ク タ ーと SES と の間

には交互作用があり 、 SES が低い生徒はカ ト リ ッ ク系学

校の方がよ く 、 SES が高い生徒は公立学校の方が適し て

い る と い う こ と であ っ た。 彼 ら は、 学校の効果は、 そこ

に通う 生徒の特性によ っ て異なるこ と を指摘 し た。

学校規模研究について言えば、 冒頭に述べたよ う に、

学校効果の研究に位置づけ るこ と ができ る。 アメ リ カに

おいて学校規模研究が登場 し てき た背景には、 高等学校

の大規模化があげら れ、 いかにすれば生徒の成績を向上

させるこ と ができ るのかと いう 問題意識がそこ にはあ っ

た。 ハウリ ー (Howely, c ., 1996, 1999) らが高等学校

を中心に収集 し たデータ で も っ て大規模校 と小規模校に

在籍する生徒の成績を比較 し てその差異を明ら かに し て

い るよ う に、 当初は、 学校規模と 都市の規模によ る成績

の違い を実証的に示すこ と が研究の主流であ っ た。

( 2 ) 学校規模と学力の関係

学校規模と 成績と の関係につい ては、 当初、 必ず し も

一様な結果は見いだせてい なかっ た。 まず、 サマ ー ズと

ヴオルフ (Summers, A. & Wolf B., 1976, 1977) によ

る1976年の調査では、 学校の規模に も よ るが、 学校規模

の影響力は特定の生徒に対 し てよ り 大きいこ と を示唆 し

てい る。 彼 らは、 フ イ ラ デル フ イ アの小学校のア フ リ カ

系 ア メ リ カ人の生徒に と っ て、 そ し てまた、 都市の高等

学校の成績が低い生徒にと っ て、 学校規模と 学力 と の間

には強い負の相関があ る こ と を示 し てい る (2)。

一方で、 ケニー (Kenny, L.W., 1982) は、 1960年の

プロ ジ ェ ク ト ・ タ レ ン ト のデー タ ベ ース を用い、 第12学

年の男子の成績 を調べ て、 学校規模は成績に プラ スの影

響を及ぼし てい る と結論づけ た。 こ れは、 生徒要因 と し

ての、 生徒の健康、 欠席、 学校の種類の数、 両親の仕事、

児童の親権分割、 両親の教育と、 学校要因 と し ての、 学

校に通う 時間と日数、 ク ラ スの大き さ、 教師の教育水準

を統制 し たう え での結果であ っ た。 さ ら に、 ケ ニ ー は、

1970年にカ リ フ ォルニア州でな さ れた第 9 学年から第12 学年の調査のデータ ベース を用い て、 学区の規模が学力

に与え る肯定的な影響を報告し ている。

こ れと は対照的に、 フ ァ ウラ ー (Fowler, W.J., 1995) は、 1980年代に都市化が進んだニ ユー ジ ヤー ジー 州では、

小規模の小中学校と小規模の学区の方が高い成績を示 し、

州が実施する試験での合格率が高いこ と を見出している。

フ ァ ウ ラ ーが標本 と し た学校規模は、 100人以上か ら

4000人を超え る範囲であっ た。 いずれの研究も、 学力が

規模の関数であ るこ と を示す も のであ っ た。

学力 を学校規模の関数とす るだけではな く 、 学校のあ

る地域の社会経済的状況も考慮に入れたのが、 フ レ ドキ

ンと ニ コ シエア (Friedkin, N.E. & Necochea, J., 1988) である。 彼らは、 学校 システムの規模と児童生徒の SES が成績に与え る影響 を、 カ リ フ ォルニア州の 3 学年、 6 学年、 8 学年、 12学年の児童生徒を対象にして分析し、

次のよ う な結果を見出 し ている。 1 ) SES は、 学区レベ

ルで も学校レベルで も学力に対 し て プラ スの影響 を与え

ており 、 学年が低いほ ど SES の学力 に対する影響は大

きい。 規模は、 学区 レベルで も学校レベルで も学力に対

し てマイ ナスに作用す る。 2 ) 規模と SES の交互作用

項を加えた場合、 SES は学区 レベルでは 3 学年、 6 学年、

8 学年で有意な プラ スの影響を学力に与えており 、 学校

レベルでは 6 学年 と 8 学年で有意な プラ スの影響を与え

ていた。 規模は、 学区 レベルで も学校レベルで も学力に

対 し てマイ ナスの有意な影響 を与え ていた。 規模と SES の交互作用項は、 学区 レベルで も学校レベルと も にプラ

スの有意な影響を与え てい るが、 学年が上昇す るに従っ

てその影響力は小 さ く な る。 3 ) 学校 シス テ ムの規模が

学力に与え る影響は、 SES が低い と こ ろではマイ ナスに

作用す るが、 SES が高いと こ ろではプラ スに作用す る。

こ れは、 学区 レベルで も学校レベルで も同 じであっ た。

ハウリ ー (Howley, C., 1996) は、 フ レ ドキ ンと ニ コ

シ ェ アの研究結果 を、 ウ エス ト ・ ヴ アー ジニ ア州 におい

て追試 し てい る。 ウエス ト ・ ヴ アージニ ア州は、 カ リ フ ォ

ルニア州に比べて、 小規模校が多 く 、 学校数が減少 し て

い る地域である。 3 学年、 6 学年、 9 学年、 11学年 を分

析対象 と し た結果、 ハウリ ー の研究におい て も、 フ レ ド

キ ンと ニ コ シェ アと同様な結果が見出 さ れてい る。 さ ら

に、 ハウリ ー と ビ ツケル (Howley, C.B. & Bicke1, R., 1999) は、 オハイ オ州、 ジ ョ ー ジ ア州、 テ キサス州、 モ

ン タ ナ州の4つの州でこ の調査 を実施 し、 オハイ オ州、

ジ ョ ー ジア州、 テ キサ ス州 におい て、 学力 に対 す る学校

規模 と SES の交互作用が見 ら れ、 貧 しい地域の小規模

校と豊かな地域の大規模校で、 学力に対す る恩恵が得 ら

れてい る と し た。

い く つかの研究では、 学校規模と学力 と の関係は単純

ではな く 、 学校の構成、 デザイ ン、 組織の他の側面に影

響 を受け るこ と が示唆 さ れてい る。 例えば、 リ ー と ス ミ

ス (Lee, V. & Smith, J., 1997) は、 学校規模と成績の

関係が曲線的 な関係である と し てい る。 こ の研究では、

NELS : 88 (the National Education Longitudinal Study of 1988) からの 3 つのデータ をレ ビュ ーし、 公立校、 カ ト

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学校規模研究の動向と課題

リ ッ ク系学校、 エ リ ー ト の私立高校の計789校について、

8 学年、 10学年、 12学年の9812人を吟味 している。 彼ら

の分析では、 規模が600~ 900人の時には、 こ れよ り 規模

が小 さい学校と こ れよ り 規模が大きい学校に比べて、 国

語と算数で高い得点を示すと し た。 学校規模が学習に及

ぼす影響は、 有色人種である学生と SES が低い学生が

入学 し て く る割合が増え るに従っ て大き く なると いう 。

リ ー は、 生徒の特性 を入念に コ ン ト ロ ールし、 かつ成

績や他の結果に対す る学校規模の関係がマルチレベルで

ある と いう こ と を表明す るために階層的線型モデルを用

いた。 学校規模は学校レベルの変数で、 成績は生徒レベ

ルの変数である。 多 く の研究はこ のこ と を無視 し、 学校

レベルで成績を集約 し たり 、 学校レベルの回帰分析 を実

行 し たり 、 あるいは、 階層的線形モデルを使用 し て、 生

徒レベルの情報に学校サイ ズを追加 し たり し てい る と指

摘する。 どち らの場合 も、 従属変数に対 し て、 学校間お

よ び学校内の変動要因 を結びつけ て し まう ために、 関心

の対象であ る学校規模の影響 を誤っ て予測す るこ と にな

る、 と いう 。

ハ ウ リ ー と ハ ウ リ ー (Howley, C and Howley, A., 2004) は、 リ ー と ス ミ スのデータ を再分析す るこ と によ っ

て、 最適規模は生徒の社会経済的地位によ っ て異な り 、

10分位階層の中で規模が最も小 さい学校は、 最低収入の

生徒の成績を最大限にす るよ う に見え る と し てい る。 彼

らは、 数学の学力が300人未満の高校で最大限になり 、

国語においては300人~ 600人規模で最大なるという こ と、

1500人を超え る高等学校では学力の不均衡が最大になる

こ と を明 ら かに し た。

ハウリ ーらに対 し て、 リ ー (Lee, V.E., 2004) は、 学

校規模と生徒の学力の間に直接的な関係を見いだそう と

する研究は誤っ た方向へ導かれる可能性があるこ と を指

摘す る。 む し ろ、 学校規模は、 学校 と い う アカ デミ ッ ク

で社会的な組織を通 じ て、 間接的にのみ生徒の成果に影

響 を与え てい るのではないかと いう のがリ ー の見解であ

る o

同 じ く 、 リ ーと ロ ブ (Lee, V.E. & Loeb, S., 2000) は、 大都市 シカ ゴの公立小学校において、 学校規模が教

師の態度と児童生徒の学力 に影響を与え る メ カニズムに

ついて検討 し ている。 シカ ゴ市内の教員と 6 学年と 8 学年の児童生徒 を対象と し たマルチ レベル分析の結果、 学

校規模は教師の共同責任についての態度と 関連があり 、

教師の共同責任への態度の多寡が児童生徒の学力 と 関係

し ており 、 学校規模が子 どもの学力 と 関連するのは教師

の態度 を通 し て で あ る と す る。 レ デ ィ と リ ー (Ready, D.D. & Lee, E.V., 2007) は、 マルチレベル分析を用い、

幼稚園と小学校段階での学級規模と学校規模の影響関係

を国語と算数で捉えよ う と し た。 効果は控えめではある

が、 幼稚園で も小学校で も小 さい規模の方が効果を上げ

てい るよ う であ ると、 結論づけ てい る。

( 3 ) 学校の内部特性への着目

多 く の研究者たちは、 小 さ な学校においてよ り 肯定的

な感情が生まれると いう こ と を見出 し てき た。 それは、

所属感、 つながり 、 大人に知 つても ら っ てい ると いう 感

情であり 、 こ れが、 高い出席率と低い中退率につながる

と い う も の で あ る 。 ハ モ ン ド 、 ロ ス 、 ミ リ ケ ン

(Darling-Hammond, L., Ross, P and Milliken, M., 2007) は、 学校規模が生徒の参加、 出席、 退学率に与え る影響

についての先行研究 をと り あげ検討 し てい る。

ハ モ ン ド ら に よ る と 、 例 え ば、 ロ イ グ と フ ェ リ ス

(Leug, A. & Ferris, J.S., 2002) では、 暴力行為に影響

を与え るであ ろ う 他の要因 を統制 し て も なお、 学校規模

が暴力行為に影響を与えており 、 2000人以上の大規模の

学校では1000人未満の学校よ り も暴力行為の可能性が20 %以上高ま ると し てい る。 ただ し、 こ の研究は、 社会経

済的地位 (SES) が低い都市部の若者に限ら れてい る と

した。

ホラ ン ド と ア ン ド レ (Holland, A. & Andre, T., 1987) では、 課外活動と青年期の発達 に関する調査研究がレビュー

さ れてお り 、 成績が低 く SES が低い生徒は、 大規模校

よ り も小規模校において学校生活に積極的に関与す る可

能性が高いと し てい る。 小規模校の生徒は、 直接参加す

るこ と で満足 を得、 必要と さ れるこ と を感 じ、 挑戦し、

自信を持つこ と ができ るよ う になる。 活動に参加するこ

と によ り 学校 と のアイ デ ンテ イ テ イ が強化 さ れ、 中退率

が減ると指摘 し てい る。

ピ ッ ト マ ン と フ オ グ ア ウ ト (Pittman, R.B. & Haughwout, P., 1987) は、 学校規模が、 教師と の相互作

用、 生徒参加、 結束感な どの学校の雰囲気を構成する尺

度と逆相関す るこ と を見出 し てい る こ れら の変数は中

退率が低い こ と と関連 し てい るが、 学校規模と 中退率と

の関係は間接的な ものだと す る。 彼 らは、 「大きい生徒

集団は好ま し く ない社会環境や社会統合の低さや学校と

の一体感の低 さ を生 み出 し て い る よ う に見 え る。」

(p 343) と し、 小規模校が統合 さ れ大規模校にな るこ と

によ っ て、 学校の社会的環境が悪化す るこ と を懸念 し て

い る o

こ の他ハモ ン ド ら が扱 っ ていない研究 と し て、 ゴ ツ ト

フ レ ツ ド ソ ン と デ イ ピ エ ト ロ (Gottfredson, D.C., & Dipietro, SM., 2011) があ る。 彼 らは、 マルチ レベル分

析 を用い、 学校におい て生徒が受け る被害が何によ るか

を明 ら かに し てい る。 彼 ら の研究によ る と 、 PT 比は生

徒個人が受け る被害 を増大 させるこ と になるが、 規範的

信念は個人が受け る被害 を抑制するこ と になる と いう 。

こ のよ う に、 小規模校のメ リ ッ ト と し て、 生徒の参加、

出席率の高さ、 中退率の低さ と暴力行為の低さ を指摘す

る研究が多い。 こ れは、 既に示 さ れてい るよ う に、 教師

Page 4: 1 須田 康之 - repository.hyogo-u.ac.jprepository.hyogo-u.ac.jp/dspace/bitstream/10132/17247/1/suda.pdf · 1 ) sesは、学区レベ ルでも学校レベルでも学力に対してプラスの影響を与え

須 田 康 之

と生徒と の感情的な結びつき、 生徒同士の相互承認によ

る と こ ろが大きい と 思われる。

( 4 ) パネルデータ を用いた研究

マ ク ミ ラ ン (Mcmi11en, B.J., 2004) は、 学校規模と学

力の関係 を調べ る ために、 ノ ース カ ロ ライ ナ州の第 3 ~

第 5 学年、 第 6 ~ 第 8 学年、 第 8 ~ 第10学年の公立校そ

れぞれ 1 校ずつ を対象 と し た 3 つの コ ー ホー ト から な る

パネルデータ を用いて、 学校規模と生徒の特性と の交互

作用 を明 ら かに し てい る。

まず、 小学校の国語と算数の成績についてである。 学

校規模と小 3 の国語の成績には交互作用があり 、 第 3 学年で国語の成績が悪かっ た児童が第 5 学年で小規模校に

在籍 し てい る場合には成績が改善するこ と が明 ら かに さ

れた。 同様に、 学校規模と第 3 学年の算数の成績には交

互作用があり 、 第 3 学年で算数の成績の悪かっ た児童が

第 5 学年で小規模校に在籍 し てい る場合には成績が改善

さ れていた。

次に、 中学校の国語と 数学の成績についてである。 学

校規模と第 6 学年の国語の成績と の間で交互作用あり 、

第 6 学年で国語の成績が悪かっ た児童が第 8 学年で小規

模中学校に在籍 し てい る場合には国語の成績が改善 さ れ

ていた。 同様に、 学校規模と第 6 学年の算数の成績と の

間には交互作用があり 、 第 6 学年で算数の成績が悪かっ

た児童が第 8 学年で小規模中学校に在籍し ている場合に

は数学の成績が改善 さ れてい た。

最後に、 高等学校の国語と算数の成績についてである。

学校規模と 人種の間には交互作用があり 、 学校規模が

1700人を超え る学校では、 白人の学力が高い。 学校規模

と 親学歴の間に も交互作用があり 、 学校規模が1700人 を

超え る学校では、 親学歴が高い子 どもの学力が高い と い

う 結果が得 ら れた。 学校規模と 第 8 学年の数学成績と の

間には交互作用があり 、 学校規模が増加するに従い、 第

8 学年の成績が平均未満と平均以上と では差が開 く こ と

になり 、 学校規模は以前の成績差 を拡大する作用 を有 し

ていた。 同様な交互作用は、 学校規模と人種、 学校規模

と 親学歴の間にも見ら れ、 学校規模が増え るに従い白人

と非白人の成績差が拡大するこ と、 学校校規模が増え る

に従い親が高卒までか高卒より上の学歴を有するかによ っ

て成績差が拡大す るこ と が明 ら かにな っ た。

マ ク ミ ラ ンの結果 をま と める と 、 特定の下位集団間に

存在す る成績の違いは、 規模が大きい学校において大き

く 、 成績 を規定す る要因は、 学年 レベルの コ ーホー ト と

教科によ っ て異な っ ていた。 学校規模と教科の交互作用

は国語よ り も数学におい てみら れ、 学校規模と以前の成

績と の交互作用は、 高校レベルにおいて顕著であ っ た。

学校規模と成績の関係について解釈する時、 学校規模は、

児童生徒の学業や行動の結果と関連する多 く の要因 と絡

み合 っ てい るこ と がわかる。 こ のこ と は、 学校規模と以

前の成績の交互作用が、 学校規模と 親学歴の交互作用や

学校規模と エ スニ シテ イの交互作用よ り も大き く て有力

であ る と い う こ と から わかる。

マ ク ミ ラ ンは、 学校規模が、 さ ま ざま な生徒のサブ グ

ループの間で成績の不均衡を も た らす主要な要因であ る

と い う こ と ではないよ う だと し ながら も、 成績の違いが

生ま れる際に、 学校規模は他の要因に媒介 さ れるこ と に

よ っ て、 その違い を促進 し たり 妨げたり し てい るこ と に

注目す る。 マ ク ミ ラ ンは、 「学校規模が生徒の成果に与

え る メ カ ニズムや、 その影響が異な る生徒の下位集団や、

あるいは異な る教科のなかで特別に経験 さ れる様 を描き

出すこ と は、 全ての生徒を高い水準に到達 させるこ と が

で き るよ う 学校がどのよ う に構造化 さ れる必要があるの

かを理解するう えで、 大いに役立つこ と になる。」 (p 24) と 述べてい る。

ガースヘ ン ソ ン と ラ ン グベイ ン (Gershenson, S., & Langbein, L., 2015) も、 同 じ く 、 ノ ース カロ ラ イ ナ州

の14学年と15学年の生徒のパネルデータ を用いて、 学校

規模が生徒の成績に与え る影響を推計 し てい る。 こ の研

究によ れば、 学校規模と 生徒の成績と の間には直接的な

因果関係はないが、 学習障害を抱え る生徒や経済的に困

難な生徒にと っ ては、 学校規模は学力に負に作用するこ

と を明 ら かに し てい る。

2 . 日本の場合

( 1 ) 学校統廃合と の関連での研究 (3)日本では、 1990年代から児童生徒数の長期的減少の実

態等を背景と し て、 学校統廃合が行政上の課題と なり 、

その際の論点 と し て、 学級の適正規模に加え、 学校の適

正規模と は何かと いう 問いに注目が集ま るよ う にな る。

例えば、 総務庁行政監察局編 (1992) 『小 ・ 中学校を

巡る教育行政の現状 と 課題』 では、 あ る市のデータ を用

いて 「学校規模に応 じた特徴」 (p 73) と 題する一覧表

を示 し た。 そ れは、 ① 「活気にみち た雰囲気があ る」、

② 「活動への参加意識と参加度が高い」、 ③ 「児童生徒

間の切磋琢磨がある」、 ④ 「集団の相互作用によ る思考

力 の育成が図れる」、 ⑤ 「学習や運動において競争心が

培え る」、 ⑥ 「個別的な生活指導ができ る」、 ⑦ 「一定規

模以上の集団の中での情緒安定性が高い」、 ⑧ 「集団活

動を通じ て社会性が育成でき る」、 ⑨ 「自立性が育つ」、

⑩ 「進学後、 学校生活への適応度が高い」、 ⑪ 「調整力

(敏捷性、 巧緻性、 柔軟性) に優れてい る」、 ⑫ 「児童生

徒が全教員 を知る こ と ができ る」、 ⑬ 「校長、 教員が全

児童生徒 を知 るこ と ができ る」、 ⑭ 「児童生徒の男女比

のバラ ンスがよい」 等、 教育効果、 社会性、 健康体力、

学校運営に関わる諸側面 を取り 出 し、 それぞれの側面に

ついて 「小規模」 (11学級以下)、 「中規模」 (12~ 24学級)、

Page 5: 1 須田 康之 - repository.hyogo-u.ac.jprepository.hyogo-u.ac.jp/dspace/bitstream/10132/17247/1/suda.pdf · 1 ) sesは、学区レベ ルでも学校レベルでも学力に対してプラスの影響を与え

学校規模研究の動向と課題

「大規模」 (25学級以上) のどの学校規模が最も適正な範

囲かを評価 し てい る。 例えば、 ②⑥⑫⑬については小規

模 ・ 中規模校が適正と さ れ、mは中規模以上、

①⑤⑨(1]) については大規模校が適正な範囲と さ れている。

こ う した学校統廃合にと もなう 学校の適正規模をめぐっ

て、 教育学界から は次のよ う な指摘がな さ れてい る。 一

つは、 教育行政 ・ 制度の立場から で、 学校現場の適正範

囲の確定は困難な課題であるとする見解である。 学校の

適正規模とは教育目的 を最も有効に達成でき る規模であ

ると考えても、 教育目的自体が多面的包括的であるため、

具体的に規模の適正水準を一義的に決めるこ とは難しい

と いう のである。 二つは教育政策の立場からのもので、

教育条件を考察する際に、 学校施設 ・ 設備の完備や教員

数が大事であるこ と は言う まで も ないが、 子ども と教師、

学校と 地域の間の親密性と信頼感の在り よ う から小規模

校の教育効果の高さ を指摘する声がある。

こ う した教育行政 ・ 制度や教育政策の立場からの提言

に対 し て、 教育社会学の立場から、 若林 (1999) は、 学

校統廃合にかかわるわる議論について 3 つの課題 を指摘

し てい る。 それは、 1 ) 学校の適正規模と いう 把握の仕

方が どのよ う な教育理念に基づ く ものであるのか、 2 ) 教室の授業展開からのみ捉え ら れた学校規模の問題 を、

地域住民の学習要求、 教師 ・ 児童生徒関係、 学校文化と

いう 側面から捉え直すこ と、 3 ) 学校統廃合は、 生活圈

と密着 し た学区の解体 ・ 再編であるため、 学校統廃合が

地域社会の生活 ・ 文化 ・ 教育に何 を も たら し たのかを解

明するこ と 、 である。 若林は、 『学校統廃合の社会学的

研究』 (1999) のなかで、 実証編と し て、 学区変更を伴

う 統廃合の 6 事例、 学校統合紛争の 5 事例を、 考察の対

象と し ている。 こ こ では、 学校統廃合の事案が持ち上が

る市町村の地理的歴史的状況、 学校の所在地、 人口動態、

国家の政策と 地域の権力構造と いう 視点から、 学校統廃

合に孕む問題 を複眼的に捉え、 かつ、 解決に至 ら し めよ

う と する住民の努力の過程が描き ださ れてい る。 その多

く は、 昭和30年代から50年代にかけての事案である。 そ

のため、 『増補版学校等後の社会学的研究』 (2012) にお

いては、 「学校統廃合と 人口問題」 と し て補章が入り 、

21世紀の就学人口の減少 と それによ っ て生 じ る新たな学

校統廃合の問題に言及さ れている。

1999年には、 日本教育学会に 「学校 ・ 学級の編制に関

す る研究委員会」 が組織 さ れ、 「学校 ・ 学級の適正編制

に関す る総合的研究」 が進めら れ、 桑原ら によ っ て 『学

級編制に関す る総合的研究』 (2002) がま と めら れた。

こ のなかで、 学校規模と児童生徒の学校生活と の関係に

つい ての考察がな さ れてい る。 すなわち、 「小学生調査

によ る学校規模と 学校生活の関係につい てみる と 、 規模

の小 さい学校の児童のほう がク ラ ブ活動 を楽 し んでおり 、

管理職と の コ ミ ュ ニケ ー シ ョ ンが緊密であ る。 そ れ以外

は概 し て規模の大きい学校の児童の方が充実 した学校生

活を過ごし てい る。 中学生の場合、 最適学校規模を確定

す るこ と は困難であ る。 しかし、 あえ て概括的に規模別

の傾向性を推測すれば、 学級集団内 と教師 ・ 管理職と の

コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンの関係が良好 で あ るのは規模の小 さ

い学校であり 、 学習への取り 組み、 学習意欲、 友人関係

で良好なのが規模の大き な学校であると見なすこ と はで

き る。」 (p 423) と結論している。

国立教育政策研究所では、 文部科学省の委託研究 「新

教育システム開発プロ グラ ム 採択番号19 : 小中学校配

置研究」 (2006~ 2007年度) が採択され、 2008年度から

葉養正明を中心に、 「教育条件整備に関する総合的研究」

(平成20~ 22年度) に関する プロ ジェ ク ト を立ち上げ 3 年間の研究が展開 し てい る。 こ の研究の目的は、 「小中

学校の学校規模、 学校配置や地方教育行財政の在り 方に

ついて調査研究を行い、 教育機会の均等と教育の質的保

証の方策を探る」 (葉養, 2009, p.1) こ と にあ っ た。 そ

のために、 学校配置研究分野と 学校規模研究分野を設け

て研究 を展開 し てい る。 学校配置研究分野では、 教育条

件整備のため各地域が行っ た個別具体的事例を取り 上げ、

その検証がな さ れている (葉養, 2009, 2010a) 。 一方の

学校規模研究分野では、 学校規模についての研究がレヴユー

さ れると と も に、 学校規模が学年経営、 教科の指導方法、

生徒の学習行動な どに与え る影響が実証的に検討 さ れて

いる (葉養, 2010b)。これを受け、 『国立教育政策研究所』 第141集 (2012)

では、 「特集 : 人口減少下の学校の規模 と 配置」 が組ま

れてい る。 各章のタ イ ト ルは、 次のと おり である。 序章

人口減少下の学校の規模問題と教育システム、 第 1 章小 ・

中学校統廃合の進行と学校規模、 第 2 章自治体財政管理

と学校規模 ・ 学校配置、 第 3 章1950年代後半の小規模学

校区におけ る学校統廃合過程の一考察一地域におけ る施

策の形成と評価に着目して一、 第 4 章学校間連携と スクー

ルリ ーダーの役割、 他に、 資料 1 と し て、 学校統廃合関

係文献リ ス ト、 資料 2 と し て、 学校統廃合関係新聞見出

し (1946~ 2008年 6 月) が掲載されている。

こ う し てみると、 日本におけ る学校規模研究は、 学校

統廃合、 学校規模適正化要求、 教育条件の整備と いう 文

脈のなかでな さ れてき たこ と がわかる。 し かし ながら、

実際に児童生徒の側から みた研究は案外少ないこ と がわ

かる。

( 2 ) 児童生徒の学力や向学校性に関連する研究

葉養 (2010b) は、 国立教育政策研究所によ る報告書

の中で、 こ れまでの国内の学校規模研究の特徴 を次のよ

う に述べる。 「学力等の教育成果に対 し て影響 を与え る

諸要因は多種多様であり 、 それぞれの条件は独立な要因

と し て作用す るのでな く 、 相互に関連 しつつ影響 を及ぼ

Page 6: 1 須田 康之 - repository.hyogo-u.ac.jprepository.hyogo-u.ac.jp/dspace/bitstream/10132/17247/1/suda.pdf · 1 ) sesは、学区レベ ルでも学校レベルでも学力に対してプラスの影響を与え

須 田 康 之

すこ と を考慮すると、 単に学校規模を独立変数と し、 学

力等を従属変数と するだけでは、 適切に学校規模が学力

等の教育成果に与え る影響 を論 じ るこ と はでき ないだろ

う o」 (p 6) oそこ で、 葉養らは x 県の中学校のう ち、 第 2 学年の

学級数が 2 学級以上かつ学級あたり の生徒数が34人以上

と なる中学校48校を対象に調査を実施し た。 調査対象者

は、 校長、 第 2 学年の学年主任、 第 2 学年の国語、 社会、

数学、 理科、 英語の授業 を担当 し ている教師、 学級担任

である。 こ の調査は、 学校規模と し て学年規模を用い、

児童生徒調査はおこ なわず、 学級担任によ る生徒の観察

評価結果を用いてい る と こ ろに特徴がある。

この調査から、 次の 5 点が指摘 さ れている。 1 ) 全校

学級数と校長によ る授業観察実施状況と の間には明確な

関係が見ら れないこ と。 2 ) 学年経営の状況に対 し て、

学年の学級数や学級規模が与え る影響は限定的であ る と

言わざる を得ないこ と。 3 ) 指導の準備や指導方法の実

施状況に、 学年の学級数や学級規模が与え る影響は部分

的ではある もののない とはいえ ないこ と。 すなわち、 国

語や社会では、 学年の学級数が多いほ ど教師同士での話

し合いが盛んであるこ と。 4 ) 生徒の学習行動のう ち、

教室内の学習行動においては、 学年の学級数と学級規模

が影響を与え ていると はいえ ないこ と。 5 ) 学年の学級

数およ び学級規模がク ラ ス替え によ る生徒指導上 ・ 人間

関係的問題の解決に与え る影響については、 学年の学級

数が多 く かつ学級規模が小 さい方が、 生徒指導上の問題

や生徒同士の人間関係にかかわる問題が解決し やすいこ

と 、 であ る。

学校規模と学力、 学校規模と向学校性と の関連でいれ

ば、 研究結果の 4 ) と 5 ) が関係がある。 こ の研究から、

学校規模と 生徒の人間関係の作 ら れ方と の間には某かの

関係があり そう であるこ と がう かがえ る。 学力 と の関係

については、 調査計画の段階から学校規模と 学力の関係

は扱わない と し てい るが、 やはり 、 学校規模と学力の関

係については無視でき ない問題であ ろう 。 従っ て、 報告

書の中で紹介 さ れてい るマルチ レベル分析 を適用でき る

よ う データ を整え れば、 学校の組織風土が児童生徒の学

力 と向学校性に及ぼす影響を捉え るこ と ができ る可能性

は充分にあ る。

3 . 課題さ て、 こ れま で にみて き たよ う に、 日本におい ては、

児童数の減少、 学校規模適正化の議論、 自治体の財政状

況と相ま っ て、 今後、 全国各地で学校統廃合が起こ る状

況が生ま れてき てい る。 学校統廃合がな さ れる際に、 行

政、 地域住民間相互のやり と り やそこ に働 く 力関係、 合

意に至 る プロ セス、 あ るいは逆に決裂に至 る プロ セス を

丹念に追う 実証的研究はこ れまでに も な さ れてき た。 し

かし、 その一方で、 学校規模が学校で学ぶ児童生徒に対

し て どのよ う な影響 を及ぼすのかと いう 実証的研究は意

外と少ない。 しかも、 学校規模単独の影響を見よ う と す

るあまり 、 十分な成果を上げるこ と ができ ていないよ う

に思 われる。

こ れに対 し て、 アメ リ カ では、 学校規模が児童生徒の

学習活動に及ぼす影響 を捉え る際に、 学校の SES や学

区の SES と いう 視点 を導入 し、 学校規模と学校 ・ 学区

の SES の交互作用が学習の成果に どのよ う な影響 を与

え るのかを明 ら かにす る実証的研究がな さ れてい る。 フ

レ ドキ ンが指摘するよ う に、 学区 レベルで も学校レベル

で も学校規模 と SES の交互作用は学力 に対 し て プ ラ ス

に作用 し ており 、 学年が上昇にするに従っ てその影響力

は小 さ く なると いう 指摘は重要であろう 。 学校規模と 学

校の SES の交互作用がプラ スに作用す る と は、 SES が

低い と こ ろでは学校規模は学力に対 し てマイ ナスに作用

す るが、 SES が高い と こ ろでは学校規模は学力に対 し て

プラ スに作用すると いう こ と である。 こ れに対 し て、 リ ー

は、 学校規模は間接的には学力に作用 し てい るかも し れ

ないが、 む し ろ、 学校規模は人々が どのよ う な関係 を築

く かに影響を与え ており 、 規模は殊に児童と教師と の関

係の築き方や児童生徒に対する教師の共同責任の態度と

関連があ るのではないかと す る。 こ の両者の見解は明 ら

かに異な っ てお り 、 今後、 日本社会におい てその詳細 を

明 らかにす るこ と が必要と な る。

その際に、 学区や学校の社会経済的状況の指標を どの

よ う に設け るのか、 どのよ う な デー タ を収集す る必要が

あるのかが問題にな る。

まず、 学校の社会経済的状況についての尺度について

で あ る。 フ レ ド キ ン ら は、 学校 シス テ ムの SES と し て、

学年によ っ て異な る尺度 を用いた。 一つは、 親の職業で

ある。 第 3 学年 と第 6 学年の児童については、 教師から

児童の親の職業 を直接聞き取り 、 こ れを、 1 ) 非熟練、

2 ) 半熟練あるいは熟練、 3 ) 半専門職あるいは専門職、

の 3 つのカ テ ゴリ ーに分け た。 も う 一つは、 親の学歴で

ある。 第 8 学年と第12学年の生徒については、 生徒自身

に親の学歴を回答 しても らい、 1 ) 高卒未満、 2 ) 高卒、

3 ) 短期大学卒、 4 ) 4 年制大学卒、 5 ) それ以上の学

歴、 の 5 つにカ テ ゴリ ー化 し てい る。 調査対象者によ っ

て用い る尺度 を変え たのは、 児童生徒への配慮 と 、 よ り

正確な情報を収集 し よ う と し たためであろう 。

学校の社会経済的状況の尺度化は厳密に区別すれば、

学校の SES と学区の SES の二つに分けて考え るこ と が

で き る。 学校の SES につい ては、 フ レ ド キ ンが行 っ た

よ う に学校に通っ てい る児童生徒の親の職業や学歴 を用

い る こ と も可能である。 ただ し かし、 現状では、 親の職

業や学歴を聞 く こ と自体が難しい。 従っ て、 調査票のな

かで当該学校に通う 児童に家庭生活について問う 項目に

Page 7: 1 須田 康之 - repository.hyogo-u.ac.jprepository.hyogo-u.ac.jp/dspace/bitstream/10132/17247/1/suda.pdf · 1 ) sesは、学区レベ ルでも学校レベルでも学力に対してプラスの影響を与え

学校規模研究の動向と課題

回答 し て も ら い、 そ れを も と に学校の SES を指標化す

ると いう 方法がある。 当該学校の就学援助率を用いるこ

と も考え ら れるが、 こ れについても、 学校のプライ バシー

にかかわる情報であるので慎重に扱 う 必要があ ろう 。

学区の SES につい ては、 教職員が保護者や地域住民

を どのよ う に認識 し てい るのかを問う 質問項目を設け、

こ れへの回答 を指標化す る方法がある。 学校長は地域社

会と かかわり のある立場であるので、 学校長の回答は信

頼性が高い と考え る。 こ の他、 総務省統計局から出てい

る 「 地図 に よ る小 地域分析」 の デー タ は、 学区 の SES

をつ く るのに有効であ るかも し れない。 なぜ な ら ば、 こ

こ には、 国勢調査 を も と に通学区 ごと の平均世帯収入や

学歴のデー タ が掲載 さ れてい るから であ る (4 )。次に、 使用す る データ につい てであ る。 マルチ レベル

分析は、 学力や向学校性という 個人属性レベルの変数と、

学校規模や学区の社会経済的状況と いう 学校組織レベル

の変数を区別 し、 個人属性レベルの変数が学校組織レベ

ルの変数の影響 を どれぐ ら い受け るのかを明 ら かにす る

分析手法である。 し たがっ て、 データ を収集する段階で、

学校数を確保 し、 同 じ学校に通う 児童生徒数も確保し、

学校 レベルのデータ と児童生徒の個人 レベルのデータ を

区別する必要がある。

こ れに対 し て、 パネ ルデータ分析は、 個人属性である

学力や向学校性の変化を複数時点間で捉え、 この変化に

何が影響 を与え てい るのか探る分析手法である。 すなわ

ち、 変化量に対する変数間の因果関係を明らかにす る手

法 と いえ よ う 。 パネルデータ分析に用い るデータは、 同

一人物に複数回回答を求め、 それぞれの回答が同一 人物

の回答であるこ と を照合でき るよ う に し てお く こ と が必

要になる。 学力や向学校性に対する変数間の因果関係を

捉え るためには、 パネルデータ分析は有効であ る。 し か

し、 社会調査 を行う こ と が難し く な っ てい る現状からす

れば、 個人データ を複数時点において収集するには公的

機関と の協力体制をつ く るこ と が不可欠であ ろう 。 加え

て、 統計 ソ フ ト Statal5は、 現段階では、 パネ ルデー タ

分析と マルチ レベル分析 をあわせた分析は出来ないよ う

である。 し たがっ て、 パネルデータ分析はあ く まで個人

レベルの変数を使用するこ と になり 、 組織レベルの変数

を扱わない範囲での分析になるこ と を明記し ておき たい。

(1) 学校効果の研究についてのレ ビューは、 川口 (2010)に詳 しい。 本稿 も、 川口の議論に負 う てい る と こ ろが

大きい。

(2) Darling-Hammond, L., Ross, P. and Mi11iken, M.(2007) によ る高等学校を中心に し た学校規模の研究

レ ビュ ーが存在する。 本稿において も、 必要に応 じ て、

彼らの研究レ ビュ ーを参照し た。

(3)須田 (2007) の住岡敏弘 「 (4) 学校統廃合との関連か

ら見た研究」 (pp 4-7) を執筆者の了解を得 て、 研究

代表者の責任において大幅に改稿 し た。

(4) 例えば、 世帯数人員、 職業分類のデータ を用い た、

Tomoki, N ら (2014) の研究がある。 こ こでは、 国勢

調査のデータ を も と に、 近隣社会の困窮度な ら びに人

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