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豚の家畜法定伝染病
1. 豚コレラ (Classical swine fever, Hog cholera)
2. アフリカ豚コレラ (African swine fever)
3. 豚水胞病 (Swine vesicular disease)
豚コレラ (Classical swine fever, Hog cholera)
強い伝染力と高い致死率、多様な病態撲滅計画の実施END現象
対象家畜 豚🐖、猪🐗
原因
豚コレラウイルス Classical swine fever virusFlaviviridae, Pestivirusプラス一本鎖RNAウイルス高病原性株、低病原性株、生ワクチン株
豚コレラ (Classical swine fever, Hog cholera)
疫学
アジア、アフリカ、南米、欧州の各地で発生我が国は1993年以降発生がなかったが......昨年（2018年）岐阜県で発生以後、岐阜～愛知～長野～大阪～滋賀～埼玉～山梨と感染拡大
感染様式：罹患動物との直接接触鼻汁や排泄物の飛沫・付着物との間接接触により感染患畜の排泄物の経口、経鼻感染*侵入すると瞬く間に畜舎内に拡がる。
豚コレラ (Classical swine fever, Hog cholera)
臨床症状
潜伏期：急性は2~6日、慢性は21日ぐらいまで。
症状：発熱、食欲減退廃絶、後躯麻痺、嘔吐、特に白血球数の極度の減少急性結膜炎、鼻漏発病初期は便秘、後に下痢に移行発病中期より後躯麻痺を来し起立不能経過の長い場合の末期に体表に紫斑妊娠豚では死産・流産*低病原性株では症状軽度～回復する場合も
予後(死亡率・致命率)：急性型、亜急性型では死亡率100％
（急性は1日以内に死亡）病原性の弱い株では1~3ヶ月の経過で死亡回復してひね豚となることもある。
豚コレラ (Classical swine fever, Hog cholera)
病理学的変化
リンパ節の髄様出血、腎皮質および膀胱粘膜の点状出血脾の出血性梗塞、大小腸の充出血経過の長いものでは回盲部の潰瘍と皮膚の紫斑組織学的には脾、リンパ節の実質変性・網内系の活性化、囲管性細胞浸潤を特徴とする脳炎
病原学的検査
扁桃の凍結切片の蛍光抗体法による抗原検出ウイルス分離（扁桃、脾臓乳剤を豚培養細胞に接種）*CPE示さず、蛍光抗体法で確認END法（豚精巣培養細胞で豚コレラウイルスがニューカッスル病ウイルス（NDV）の増殖を増強する現象を利用した豚コレラウイルスの検出法で、豚精巣細胞に豚コレラウイルスを接種し、4～6日後にNDVを接種すると著明な細胞変性を生じる）
豚コレラ (Classical swine fever, Hog cholera)
抗体検査市販ELISA、中和試験（牛ウイルス性下痢ウイルスBVDVと交差することに注意）
予防・治療
予防的使用のワクチン接種は平成2006年3月31日をもって事実上禁止された
2007年に清浄国として認められていたが…..
種名 遺伝子型 宿主 感受性培養細胞
豚コレラウイルス CSFV 豚🐖、猪🐗 PK-15, CPK
牛ウイルス性下痢ウイルス-1 BVDV-1牛🐄、山羊🐐鹿🦌、水牛🐃
MDBK, BFM, BT
牛ウイルス性下痢ウイルス-2 BVDV-2 牛🐄 MDBK, BFM, BT
ボーダー病ウイルスBDV-1BDV-2BDV-3
緬羊🐑、豚🐖、牛🐄緬羊🐑、トナカイ🦌緬羊🐑
MDBK, SFT-RMDBK, SFT-RMDBK, SFT-R
キリンペスチウイルス Giraffe PV キリン🦒 MDBK
http://www.naro.affrc.go.jp/laboratory/niah/swine_fever/explanation/classical_swine_fever/019952.htmlから改変
ウイルスの分類と宿主域
豚コレラ (Classical swine fever, Hog cholera)
豚コレラ (Classical swine fever, Hog cholera)
遺伝子によるペスチウイルス属(フラビウイルス科)の分類
http://www.naro.affrc.go.jp/laboratory/niah/swine_fever/explanation/classical_swine_fever/019952.html
豚コレラ (Classical swine fever, Hog cholera)
http://www.naro.affrc.go.jp/laboratory/niah/swine_fever/explanation/classical_swine_fever/019952.html
豚コレラウイルスのゲノム構造と蛋白質合成
豚コレラ (Classical swine fever, Hog cholera)
https://viralzone.expasy.org/39?outline=all_by_species
VIRION
GENOME
豚コレラ (Classical swine fever, Hog cholera)
http://www.naro.affrc.go.jp/laboratory/niah/swine_fever/explanation/classical_swine_fever/019952.html
豚コレラウイルスの生物学的特徴(非細胞病原性)
豚コレラ (Classical swine fever, Hog cholera)
豚コレラ (Classical swine fever, Hog cholera)
豚コレラウイルス感染4日目の扁桃凍結材料の蛍光抗体像
豚コレラ (Classical swine fever, Hog cholera)
腎臓の点状出血
豚コレラ (Classical swine fever, Hog cholera)
脾臓の出血性梗塞
豚コレラ (Classical swine fever, Hog cholera)
豚コレラ撲滅対策の進め方
１．豚コレラ撲滅体制確立対策事業第１段階：一層のワクチン接種徹底と清浄度確認第２段階：都道府県単位でのワクチン接種中止第３段階：全国的なワクチン接種中止*2006年：全面中止～2007年：中止から１年間未発生のため清浄国宣言
２．豚コレラ互助基金事業発生に備え、国(1/2)と生産者(1/2)で互助基金を造成発生時の淘汰、処分による損失等に対して互助金を交付
豚コレラ (Classical swine fever, Hog cholera)
豚コレラ撲滅対策の現状
2006年3月末で全国的にワクチン接種を中止….2007年4月にOIEの規程に従い豚コレラ清浄国となり….その後は本疾病の清浄性確認のためのサーベイランスを実施
豚コレラ清浄国認定の条件（ＯＩＥ）
ワクチンを接種していない。残飯給与の禁止（ウイルスの不活化処理したものは除く）報告義務（届け出）追跡調査野生豚（イノシシも含む）に豚コレラ感染がないその他
豚コレラ (Classical swine fever, Hog cholera)
豚コレラ (Classical swine fever, Hog cholera)
http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/csf/attach/pdf/index-368.pdf
アフリカ豚コレラ (African swine fever)
海外悪性伝染病豚コレラとの類症鑑別
対象家畜 豚🐖、猪🐗
１．原因
アフリカ豚コレラウイルスAfrican swine fever virus、ASFV
Asfarviridae, Asfivirus
2本鎖DNAウイルス豚の単球・マクロファージなどで増殖する
アフリカ豚コレラ (African swine fever)
疫学
本来、サハラ以南のアフリカ大陸*イボイノシシなどの野猪とダニに不顕性感染していたか？*家畜として豚が導入され致死率100%の発生か…
イタリアのサルジニア島、コーカサス地域我が国での発生なし
ダニの吸血による媒介、経口、接触感染
アフリカ豚コレラ (African swine fever)
疫学
1950年代後半 ヨーロッパ、中南米で多大な被害
2007年以降 グルジアに侵入～
アゼルバイジャン、ロシア、ウクライナに拡大（ロシアの被害総額は2007～2012年で約250億円）
2018年8月3日、中国の農場で発生
2019年1月9日、モンゴルの農場
2019年2月1日、ベトナムの農場
2019年3月22日、カンボジアの農場
2019年5月2日、香港のと殺場
2019年5月23日、北朝鮮の村
2019年6月2日、ラオスの村
2019年8月1日、ミャンマーの村
アフリカ豚コレラ (African swine fever)
臨床症状
潜伏期：急性型：2~6日亜急性型：7~9日
症状：急性・亜急性型：豚コレラに類似
40～42℃の発熱、呼吸困難、皮膚のチアノーゼ、便秘または血便、流産
慢性型：軽い発熱、食欲不振、肺炎症状、関節炎、皮膚の潰瘍、高γグロブリン血症
予後(死亡率・致命率)：急性型： 死亡率 = 100%
亜急性型：死亡率= 30～70%
慢性型： 死亡率低い*イボイノシシ、ヤブイノシシ、カワイノシシでは不顕性感染（リザーバー）
アフリカ豚コレラ (African swine fever)
病理学的変化
急性・亜急性：豚コレラに類似するが程度が激しい全身の出血性病変、小血管上皮細胞の充血、血栓、リンパ節の腫大と出血、時に脾腫、心嚢水増量、非化膿性脳炎
慢性型：気管、肺、リンパ節、脾臓に病変繊維素を伴う心膜炎、胸膜炎、胸膜の胸壁への癒着、間質性肺炎腎臓の出血や脾臓の腫大・出血、消化管、循環器系の出血病変も….
アフリカ豚コレラ (African swine fever)
病原学的検査
蛍光抗体法（脾、肝、リンパ節の凍結切片）赤血球吸着反応（血液、脾リンパ節、肝乳剤を初代豚白血球培養細胞や骨髄培養細胞に接種）
豚コレラ免疫豚への感染実験PCR
抗体検査 ELISA、間接蛍光抗体法、イムノブロッティング
予防・治療
有効な治療法なし有効なワクチンなし（感染豚にも中和抗体が産生されず）
*スペインやポルトガルなどは大規模な殺処分で撲滅
アフリカ豚コレラ (African swine fever)
アフリカ豚コレラ (African swine fever)
感染死亡豚に認められた下痢
アフリカ豚コレラ (African swine fever)
脾臓の主題と出血性梗塞
アフリカ豚コレラ (African swine fever)
リンパ節の腫大
アフリカ豚コレラ (African swine fever)
繊維素を伴う心膜炎
1900年代後半のアフリカ豚コレラの拡がり
（）内の数字は発生年ならびに撲滅年
アフリカ豚コレラ (African swine fever)
中央ヨーロッパ地域でのアフリカ豚コレラの発生
アフリカ豚コレラ (African swine fever)
アフリカ豚コレラ (African swine fever)
アフリカ豚コレラ (African swine fever)
アフリカ豚コレラ (African swine fever)
豚水胞病 (Swine vesicular disease)
口蹄疫類似疾患で水疱形成と跛行を主徴とする
対象家畜 豚🐖、猪🐗
原因
豚水胞病ウイルス Swine vesicular disease virus
(Picornaviridae, Enterovirus)プラス一本鎖RNAウイルス血清型は単一自然環境下で強い抵抗性を持つ（熱・pH変化）人👥のコクサッキーウイルスB5と遺伝子構造が酷似（抗原性が交差する）
疫学
常在国はイタリアおよび台湾我が国も過去に発生…現在はなし病変部に大量のウイルスを含み、経口、経鼻、創傷感染で伝播不顕性感染し、キャリアー動物は糞便中にウイルスを排出
豚水胞病 (Swine vesicular disease)
臨床症状
潜伏期：2~7日
症状：沈鬱感、跛行、蹄部、鼻口唇部の皮膚に水疱、口蹄疫、水胞性口炎、豚水疱疹と臨床的に鑑別困難予後 (死亡率・致命率)：2~3週 で回復、予後良好
病理学的変化
鼻口唇部、蹄冠部の水疱と糜爛、内部臓器に著変なし*口蹄疫と区別が付かない
豚水胞病 (Swine vesicular disease)
病原学的検査
ウイルス分離：水疱液または水疱上皮乳剤をIBRS-2細胞（豚腎由来培養細胞）に接種
動物接種試験、CF反応ELISA、RT-PCRにより口蹄疫との類症鑑別
抗体検査中和試験、ELISA*清浄群でもまれに単独の抗体陽性個体（シングルトンリアクター）が認められる
予防・治療
感染群の検疫、残飯給餌の禁止
豚水胞病 (Swine vesicular disease)
鼻鏡、口腔粘膜の水疱破裂
豚水胞病 (Swine vesicular disease)
蹄部皮膚の水疱
豚水胞病 (Swine vesicular disease)
蹄の潰瘍
豚コレラ (Classical swine fever, Hog cholera)
強い伝染力と高い致死率、多様な病態END現象 (ニューカッスル病ウイルス（NDV）の増殖を増強する現象)
原因豚コレラウイルス Classical swine fever virusFlaviviridae, Pestivirus
アフリカ豚コレラ (African swine fever)
海外悪性伝染病 豚コレラとの類症鑑別
１．原因アフリカ豚コレラウイルスAfrican swine fever virus、ASFV
Asfarviridae, Asfivirus
豚水胞病 (Swine vesicular disease)
口蹄疫類似疾患で水疱形成と跛行を主徴とする
原因豚水胞病ウイルス Swine vesicular disease virus
(Picornaviridae, Enterovirus)
口蹄疫 水胞性口炎 豚水疱病
病原体ピコルナウイルス
Picornavirusラブドウイルス
Rhabdovirusピコルナウイルス
Picornavirus
宿主牛🐄
緬山羊🐐🐑豚🐖
牛🐄緬山羊🐐🐑
豚🐖馬🐎
豚🐖
水疱発生部位
口（舌）蹄乳頭
口（舌）蹄乳頭
口周辺粘膜蹄
分布 世界各地 アメリカ大陸 台湾 イタリア
その他 空気伝搬 節足動物で媒介 経口感染
口蹄疫類似疾病の比較
