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Meiji University
Title 2016年度 Meiji Book Avenue 活動報告
Author(s) 久松,薫子
Citation 図書の譜:明治大学図書館紀要, 21: 95-102
URL http://hdl.handle.net/10291/18668
Rights
Issue Date 2017-03-10
Text version publisher
Type Departmental Bulletin Paper
DOI
https://m-repo.lib.meiji.ac.jp/
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だから、今でも本棚の隅に大事に置かれている。今年も、箱根駅伝の季節がやってくる。一つの襷を繋ぐために、チームの仲間と共に自分の限界にむかって必死に戦う姿は素晴らしい。是非手に取って読んでいただきたい、ストレートな青春小説である。
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2016年度Meiji Book Avenue活動報告
久松 薫子 *
1.Meiji Book Avenueとは
「Meiji Book Avenue」(以下、MBA)は、読書を推進する活動を行う明治大学の学生ボランティアグループで、明治大学図書館と協力して活動を行っている。MBAの発足やその活動について報告する。
2.発足と運用体制
2.1. 発足の経緯2015年に学生のグループから、和泉図書館でビブリオバトルなどを通じた読書推進活動をおこないたい、との相談があり、和泉図書館に限らず明治大学の 4図書館を対象とすることとして、2016年 4月に明治大学図書館が公認する学生ボランティアグループが結成された。これがMBAで、その名前には「人と本が交差する場」という意味が込められている。活動は、ビブリオバトルに限らず読書会などの他の活動にも取り組むこ
ととした。その詳細は 3.で報告する。
2.2. 運用自主的に活動する学生ボランティアグループであるので、活動内容や運* ひさまつ・くにこ/明治大学 学術・社会連携部 中央図書館事務室
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営方法も基本的に学生自身が決定し、職員はその活動のサポートを行っている。その分担は次のようなものである。学生のみが集まって活動について相談する会議のほか、月 1回職員と学生メンバーが集まる報告会を開催し、それまでの活動報告を行うとともに、今後の計画を検討・確認する。そこで実施が決まったものは、学生が企画の内容を細部まで決定し、必要な備品をリストアップして職員へ伝える。広報ポスターや広報内容も職員が事前に確認をするものの学生が考え、印刷や配信は職員が行う。また備品の用意や会場の確保も職員の担当である。イベントの場合、当日の運営は学生のみで行い、職員は記録のための写真撮影程度で企画の内容進行は学生にゆだねている。定期的に行う読書会やビブリオバトルは年間予定として把握されている
が、学生から随時提案されるアイデアも検討し、報告会で開催を決定すると準備段階に入る。学生は学生同士でも所属キャンパスが異なっており、また「部室」のよ
うな場を持っていない。職員と顔を合わせるのは基本的に報告会の場のみである。このため随時の情報共有の場や連絡体制が必要になるのだが、これは今のところメールによる連絡を主とし、急ぎの時は図書館にいる職員を学生が訪ねて伝達や相談をするという手段をとっている。
3.活動
2016年度は次のような活動を行った。
3.1. ビブリオバトル明治大学内で企画して行うほか、10月に全国大学ビブリオバトル予選会としても開催した。1回目は 4月 21日に和泉図書館ホールで開催し、6名のバトラーと 19名の聴衆を集め、小野不由美著『魔性の子』がチャンプ本として選ばれた。続く 5月 20日に第 2回を開催(参加者は 4名)した。全国大学ビブリオバトル予選会は明大祭の2日目の10月30日に開催した。この時は学外者を含めて約 40名の聴衆が集まり、バトラー 4名(うち 1名学外者)がプレゼンを行った。その結果、垣谷美雨著『七十歳死亡法案、
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可決』(幻冬舎 ,2012)がチャンプ本として選ばれ、11月 26日開催の関東地区決戦に進んだ。
3.2. 読書会2016年度の読書会の実施記録は、2016年11月現在、表1の通りである。
表 1
日時 テーマ図書 会場 参加人数
4月15日 『大学4年間で絶対やっておくべきこと』森川友義著 . -- KADOKAWA, 2014.
和泉図書館グループ閲覧室4
22
5月25日 『こころ』夏目漱石著 4
6月29日 『星の王子さま』サン・テグジュペリ著 1
7月30日 『罪と罰』ドストエフスキー著
158月 8日 『罪と罰』ドストエフスキー著
8月17日 『罪と罰』ドストエフスキー著
4月の読書会では新入生を多く集め、本を読むことだけでなく大学生活についても上級生と下級生が意見交換をしあう場となった。5月読書会の『こころ』では、各参加者が好きな場面を挙げ、それを POPとして作成したものを紙に貼ってポスターを作成した。また、読書会で出た意見を付箋に書きとめ、それを『こころ』の該当箇所に貼り付けて「読書会オリジナル『こころ』本」を作成し、終了後に和泉図書館内でこの本を展示した。6月の参加者は一人と少なく、時期による参加者数の変動とその予測の難しさが課題となった。7月 30日から 8月 17日の『罪と罰』の読書会は「長編小説読書会」と
し、長編小説を読破することを目的として企画した。参加者 15名のうち完全に読破できたのは 5名だったが、古典的名作に関心があるものの量の多さから読むのを躊躇している、という学生がいることがうかがえ、この企画の続編を計画している。また、この企画をポスターで知った教員にも好評であった。
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営方法も基本的に学生自身が決定し、職員はその活動のサポートを行っている。その分担は次のようなものである。学生のみが集まって活動について相談する会議のほか、月 1回職員と学生メンバーが集まる報告会を開催し、それまでの活動報告を行うとともに、今後の計画を検討・確認する。そこで実施が決まったものは、学生が企画の内容を細部まで決定し、必要な備品をリストアップして職員へ伝える。広報ポスターや広報内容も職員が事前に確認をするものの学生が考え、印刷や配信は職員が行う。また備品の用意や会場の確保も職員の担当である。イベントの場合、当日の運営は学生のみで行い、職員は記録のための写真撮影程度で企画の内容進行は学生にゆだねている。定期的に行う読書会やビブリオバトルは年間予定として把握されているが、学生から随時提案されるアイデアも検討し、報告会で開催を決定すると準備段階に入る。学生は学生同士でも所属キャンパスが異なっており、また「部室」のような場を持っていない。職員と顔を合わせるのは基本的に報告会の場のみである。このため随時の情報共有の場や連絡体制が必要になるのだが、これは今のところメールによる連絡を主とし、急ぎの時は図書館にいる職員を学生が訪ねて伝達や相談をするという手段をとっている。
3.活動
2016年度は次のような活動を行った。
3.1. ビブリオバトル明治大学内で企画して行うほか、10月に全国大学ビブリオバトル予選会としても開催した。1回目は 4月 21日に和泉図書館ホールで開催し、6名のバトラーと 19名の聴衆を集め、小野不由美著『魔性の子』がチャンプ本として選ばれた。続く 5月 20日に第 2回を開催(参加者は 4名)した。全国大学ビブリオバトル予選会は明大祭の2日目の10月30日に開催した。この時は学外者を含めて約 40名の聴衆が集まり、バトラー 4名(うち 1名学外者)がプレゼンを行った。その結果、垣谷美雨著『七十歳死亡法案、
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可決』(幻冬舎 ,2012)がチャンプ本として選ばれ、11月 26日開催の関東地区決戦に進んだ。
3.2. 読書会2016年度の読書会の実施記録は、2016年11月現在、表1の通りである。
表 1
日時 テーマ図書 会場 参加人数
4月15日 『大学4年間で絶対やっておくべきこと』森川友義著 . -- KADOKAWA, 2014.
和泉図書館グループ閲覧室4
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5月25日 『こころ』夏目漱石著 4
6月29日 『星の王子さま』サン・テグジュペリ著 1
7月30日 『罪と罰』ドストエフスキー著
158月 8日 『罪と罰』ドストエフスキー著
8月17日 『罪と罰』ドストエフスキー著
4月の読書会では新入生を多く集め、本を読むことだけでなく大学生活についても上級生と下級生が意見交換をしあう場となった。5月読書会の『こころ』では、各参加者が好きな場面を挙げ、それを POPとして作成したものを紙に貼ってポスターを作成した。また、読書会で出た意見を付箋に書きとめ、それを『こころ』の該当箇所に貼り付けて「読書会オリジナル『こころ』本」を作成し、終了後に和泉図書館内でこの本を展示した。6月の参加者は一人と少なく、時期による参加者数の変動とその予測の難しさが課題となった。7月 30日から 8月 17日の『罪と罰』の読書会は「長編小説読書会」と
し、長編小説を読破することを目的として企画した。参加者 15名のうち完全に読破できたのは 5名だったが、古典的名作に関心があるものの量の多さから読むのを躊躇している、という学生がいることがうかがえ、この企画の続編を計画している。また、この企画をポスターで知った教員にも好評であった。
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図 1 読書会の様子
図 2 長編小説読書会ポスター
3.3. 本棚作成MBAメンバーが交代で学生へのおすすめ本を、その紹介文と共に和泉図
5
書館 1階の展示棚で展示している。読書会で出た意見を添えた図書や、読書会関連の図書を展示するほか、メンバーおすすめテーマでの展示を行っている。これまで取り組んだテーマは「日本の名作」「恋しているときに読みたい本」「あんた、ちょっとゲームばっかりやってるんじゃないわよ、と言われたときに読みたい本」「世界文学の名作」「夏に読みたいホラー」「今知っておきたいトピック」「文豪シリーズ」「この夏に読みたい本」である。展示図書は貸し出されることが多く好評だが、それゆえすぐに棚が空いた状態になる。担当を決めてつど補充しているものの、維持が難しいため、今後は少しハードルを下げ、テーマを決めずに担当者のおすすめ本を並べ、補充することとした。
図 3 MBA本棚
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図1 読書会の様子
図 2 長編小説読書会ポスター
3.3. 本棚作成MBAメンバーが交代で学生へのおすすめ本を、その紹介文と共に和泉図
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書館 1階の展示棚で展示している。読書会で出た意見を添えた図書や、読書会関連の図書を展示するほか、メンバーおすすめテーマでの展示を行っている。これまで取り組んだテーマは「日本の名作」「恋しているときに読みたい本」「あんた、ちょっとゲームばっかりやってるんじゃないわよ、と言われたときに読みたい本」「世界文学の名作」「夏に読みたいホラー」「今知っておきたいトピック」「文豪シリーズ」「この夏に読みたい本」である。展示図書は貸し出されることが多く好評だが、それゆえすぐに棚が空い
た状態になる。担当を決めてつど補充しているものの、維持が難しいため、今後は少しハードルを下げ、テーマを決めずに担当者のおすすめ本を並べ、補充することとした。
図 3 MBA本棚
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3.4. 熊本支援熊本県益城町立木山中学校へ、図書を学内で寄贈によって集め、送る活
動を行ったものである。2016年 4月 14日に起きた熊本地震により、熊本県益城町立木山中学校は水漏れの影響で図書室の書籍の 1/3を失った。熊本の地震後の様子をメディアで知り何か支援ができないか考えていた九州出身MBAメンバーによる発案で、明治大学ボランティアセンターでこの木山中学の窮状を知り、提案したものである。これまでの震災後の経験から図書、特に古書を支援として送る際の難し
さが指摘されておりi、この企画には議論があったものの、連絡を取った木山中学から具体的に必要な図書の分野を示されて、必要なもの・必要としている人がある程度明確になったため、それを中心に集めることとして着手した。木山中学の希望の中に、9月の新学期に図書室に図書がそろっている状態にしたい、ということがあったため、明治大学図書館 4館で 7月18日から 8月 5日までを募集期間として学内で寄贈を募り、316冊が集まった。うち 236冊に寄贈者が書いたメッセージカードも添えて、8月中旬に木山中学に送付した。10月に木山中学よりお礼状をいただいたが、その文面から復興に向けた
厳しさも感じられた。この企画はMBAメンバー・職員双方にとって良い経験となったが、支援と言いながら自己満足になっていないか注意深く自己点検を行う必要性があることを痛感した。また学生メンバーで今後もこのようなことに活動の幅を広げるか議論した結果、今後も読書普及の活動を基本とすることを確認した。図 3は図書の寄贈を呼び掛けるポスターで、「熊本支援は本でもできる。」をキャッチコピーとした。
図 4 熊本支援ポスター
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4.今後の課題
学生からの企画提案が多く出され、非常に活発に活動するMBAだが、今後については以下のような課題がある。
4.1. 連絡体制部室のような作業したり集まったりする固定スペースを持たず、メンバーには学部 1年生から 4年生までいるため、学生間での連絡にも、学生と職員間の連絡にも、タイムラグが生じることがある。現在は職員からはMBA
のメールに連絡し、それをメンバーの何人かがチェックしているが、学生は忙しい。これまでトラブルに発展したことはないが、即時連絡を取りたい時、特に職員から学生に向ける場合の不安定さが課題である。
4.2. 人的体制学生は進学し卒業していくので、常に次の代の中心メンバーを育てていく必要がある。MBAは学生ボランティアグループであるので、職員によらず学生自身で育成することとしているが、中心メンバーが不足してしまった場合は職員もかかわる必要があるかもしれない。また、職員は別の目的で発足したWGのメンバーが担当としているが、現在ではMBA業務はこのWGの担当業務の大きな部分を占めている。WGのメンバーの交代は年度内でもありうるので、きめ細かに学生のサポートをするにはこの体制で十分か時々検証が必要である。
4.3. 活動の場MBAは活動の場を特に和泉に限らない方針だが、現在は別キャンパスに
出向く際も学生に交通費の支給は行っていない。また、明治大学図書館外で活動をする場合は、交通費だけでなく、傷害保険に加入するなど安心して出向ける環境を整える必要があるが、それも未整備である。学生に多様な経験を積みそれを図書館の活性化に生かしてもらいたいので、それが十分にできる素地を職員が用意する必要がある。
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3.4. 熊本支援熊本県益城町立木山中学校へ、図書を学内で寄贈によって集め、送る活動を行ったものである。2016年 4月 14日に起きた熊本地震により、熊本県益城町立木山中学校は水漏れの影響で図書室の書籍の 1/3を失った。熊本の地震後の様子をメディアで知り何か支援ができないか考えていた九州出身MBAメンバーによる発案で、明治大学ボランティアセンターでこの木山中学の窮状を知り、提案したものである。これまでの震災後の経験から図書、特に古書を支援として送る際の難しさが指摘されておりi、この企画には議論があったものの、連絡を取った木山中学から具体的に必要な図書の分野を示されて、必要なもの・必要としている人がある程度明確になったため、それを中心に集めることとして着手した。木山中学の希望の中に、9月の新学期に図書室に図書がそろっている状態にしたい、ということがあったため、明治大学図書館 4館で 7月18日から 8月 5日までを募集期間として学内で寄贈を募り、316冊が集まった。うち 236冊に寄贈者が書いたメッセージカードも添えて、8月中旬に木山中学に送付した。10月に木山中学よりお礼状をいただいたが、その文面から復興に向けた
厳しさも感じられた。この企画はMBAメンバー・職員双方にとって良い経験となったが、支援と言いながら自己満足になっていないか注意深く自己点検を行う必要性があることを痛感した。また学生メンバーで今後もこのようなことに活動の幅を広げるか議論した結果、今後も読書普及の活動を基本とすることを確認した。図 3は図書の寄贈を呼び掛けるポスターで、「熊本支援は本でもできる。」をキャッチコピーとした。
図 4 熊本支援ポスター
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4.今後の課題
学生からの企画提案が多く出され、非常に活発に活動するMBAだが、今後については以下のような課題がある。
4.1. 連絡体制部室のような作業したり集まったりする固定スペースを持たず、メンバー
には学部 1年生から 4年生までいるため、学生間での連絡にも、学生と職員間の連絡にも、タイムラグが生じることがある。現在は職員からはMBA
のメールに連絡し、それをメンバーの何人かがチェックしているが、学生は忙しい。これまでトラブルに発展したことはないが、即時連絡を取りたい時、特に職員から学生に向ける場合の不安定さが課題である。
4.2. 人的体制学生は進学し卒業していくので、常に次の代の中心メンバーを育ててい
く必要がある。MBAは学生ボランティアグループであるので、職員によらず学生自身で育成することとしているが、中心メンバーが不足してしまった場合は職員もかかわる必要があるかもしれない。また、職員は別の目的で発足したWGのメンバーが担当としているが、現在ではMBA業務はこのWGの担当業務の大きな部分を占めている。WGのメンバーの交代は年度内でもありうるので、きめ細かに学生のサポートをするにはこの体制で十分か時々検証が必要である。
4.3. 活動の場MBAは活動の場を特に和泉に限らない方針だが、現在は別キャンパスに
出向く際も学生に交通費の支給は行っていない。また、明治大学図書館外で活動をする場合は、交通費だけでなく、傷害保険に加入するなど安心して出向ける環境を整える必要があるが、それも未整備である。学生に多様な経験を積みそれを図書館の活性化に生かしてもらいたいので、それが十分にできる素地を職員が用意する必要がある。
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4.4. SNS
学生の活動に限らずゼミ等の授業でも SNSを活用する事例は多い。自らの活動を伝えるのに SNSのアカウントを作成して発信していきたいとの希望が学生から出されたが、その運用やチェック体制が万全でないため、職員が承認しなかった。しかし、学生のコミュニケーションに SNSは欠かせないものとなっている現状ではその選択は活動にマイナスになっているかもしれない。他の事例などを調査してトラブル時の対処方法などの情報を収集し、警戒せず学生を信じて運用することが必要だろう。
5.おわりに
私がこのMBAを担当して驚いたのは学生メンバーの積極性と行動力である。次々と新しい企画を提案し、また企画を形にして私たちの前に提示する。予算の計画で動く職員では持ちにくいしなやかな発想・提案は、間違いなく図書館に新しい風をもたらしている。今後もそのような活動が継続することを切に望んでいる。
i たとえば「saveMLAK」により詳細な解説がされ具体的な取り組みが紹介されている。 http://savemlak.jp/wiki/被災地に本を送る活動(2016/12/21アクセス )
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中野図書館の現状と課題~開館から 3年半余りが経過して~
久保木 和義 *
1.はじめに
『図書の譜』18号(2014年 3月)で,中野図書館の計画立案,設計,施工,機器・備品,開館準備などについて,また 2013年 4月の開館から 2014年1月までの状況を中野図書館検討WGのメンバーであった杉谷美和氏と共に報告した。本稿では,2013年 4月の開館から 3年半余りが経過した中野図書館の現状の報告と今後の課題およびその対応について考えることを述べる。
2.中野図書館の現状
2.1 蔵書中野図書館の図書収容可能冊数は,当初 46,000冊とされた。その後,棚
板を増設し,現在棚板総延長から算出した収容冊数は 51,900冊である。中野図書館の蔵書は,2013年 4月 1日開館時,20,467冊(簿外図書も含む)
でスタートした。内訳は,学部,研究科・専攻設置に伴って購入した図書(国際日本学部約 6,000冊,理工学研究科新領域創造専攻約 3,000冊,先端数理
*くぼき・かずよし/明治大学 中野キャンパス事務部 中野教育研究支援事務室
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