5
1.3.3 図図 図図図図 図図図図 図図図図図図 ・・ 図図図図図図図図図 3 1.3.4 図図 図図図図 図図図図 図 図図図図図図 ・・ 図図図図図図図図図図 3 1.3 図図図 図 図 1.3.1 図図図図図図図図図図図 a. 図図図図図 図図 ,(2001図図 1.3.1 図 図図図図図図 M8.1 図 図 M8.4 図図図図図図図図図図 1) 図図図図図図図図図図図図図図図図図図図図図図 86.4 図 図 30 図図図図図図図図図図図 2012 図図 70 図図図図図図図図図 %., 90.1 図 図 30 図図図図図図図図図図図 2012 図図 60 図図 図図図図図図図図 2 図図 図 図図図図図図図図図図図図図図図図図図図図図 図 図図図図図 図 図図図図図図図図 図 図図図図図 図 図図図図 図 図図図図図図図図図図図 . ,,(2), 図 図図図図図 ,,, 2図図図 図 ., 8.5 図 図 2図図 .,. 図図図図 図図図図図図図図図図図図図図20033図図図 ,.(Mw8.7 図 1.3.2 図 図 図 1.3.3 図図図図図図図図 1.3.4 図 図図図図 ~~, 6図 図 図図図図図図図図 .,~ 5m 図 図図 図図図 (5 図図図図図 図図図図図図図図図図図図 図図図 図図図図図図図 図図図 図図図図図図図図図図図図図図図図図図図図図図図図図図図 図図図図図図図 ),,,,, 図 49 図図 55 図図図図図 1図9図図 2 図 5 図 図 図図図図図図図図図図図図図図図図図図図図図図図図図図 図図図図図図図図図図図図図図 図図図図図 .,, 図図図図図 ,,,, 3図図図図図図 .,(,,) 40 図 図 60図 図 図 図 図 図 図 ,(,西,) 13 図 図 21 図 図 53 図 図 81 図図図図図図図図図図 3図 1.3.1 図図図図図図図図図図図図図図図図図 3図 1.3.2 図図 図図図図図図図図図図図図図 31

1 · Web view図1.3.6 「南海トラフの巨大地震モデル検討会」による想定震源域により予測された震度分布5) ※基本ケース図1.3.5 「南海トラフの巨大地震モデル検討会」による想定震源域と津波波源域4)※太線で囲まれた範囲が想定

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1.3 南海・東南海地震津波に対する想定規模を超える場合の対策の考え方(構造物対

策・ソフト対策)

1.3.1 現状の想定と今後の想定

a. 現状の想定

南海トラフで発生する海溝型地震について,地震調査委員会(2001)は図 1.3.1 に示すような震源域

を想定した.

東南海地震は M8.1前後,南海地震は M8.4前後と想定されている1).東南海地震の発生間隔は時間予

測モデルにより 86.4年と推定し,この推定値より今後 30年以内の地震発生確率は 2012年で 70%程度

と評価されている.同じく,南海地震の発生間隔は 90.1年と推定されており,今後 30年以内の地震発

生確率は 2012年で 60%程度と評価されている 2).また,次の南海地震と東南海地震の発生時期の関係

は,過去の事例(発生時期のずれは2年程度以内)を踏まえ,同時又は相互に近接して発生するかのど

ちらかである可能性が高く,後者の場合には,東南海地震,南海地震の順番で発生する可能性が高いと

考えられている 2).地震の規模は,東南海・南海地震が同時に発生した場合ではM 8.5 前後となる可能

性が高いと考えられており,津波地震となる可能性もあると考えられている 2).地震規模が大きくなる

と,単独で発生する場合に比べて強震動や津波が大きくなり被害が拡大することが懸念される.

 東南海・南海地震等に関する専門調査会(2003)3)では,想定地震が単独あるいは連動で発生した場

合の強震動と津波の予測と被害想定を行っている.東海・東南海・南海地震が連動した場合(Mw8.7)

の想定震源域を図 1.3.2 に,予測される震度分布を図 1.3.3 に津波高分布を図 1.3.4 に示す.駿河湾周辺

~伊勢湾周辺から紀伊半島~四国の沿岸部にかけて,震度 6弱以上の推定域が広く分布している.また,

伊豆半島~四国にかけての太平洋のほとんどの沿岸で 5mを超す津波が予想されている.東南海・南海地

震の同時発生(朝5時発生のケース)を想定した被害想定では,揺れ,地盤の液状化,津波,火災等に

より東海地震を大きく上回る甚大な被害が発生し,建物全壊棟数は約 49万棟~55万棟となり,約 1万

9 千人~2万 5 千人に及ぶ多数の人命が失われる恐れがあると想定されている.これらの建物被害,人

的被害,生活支障等の被害は,東海地方や和歌山県・高知県など太平洋に面した地域を中心とし,内陸

部や瀬戸内海,九州地方等も含め,非常に広域にわたって発生すると想定されている 3).この場合の経

済的被害は,直接被害(個人住宅の被害,企業施設の被害,ライフライン被害等)が約 40兆~約 60兆円,

間接被害(生産停止による被害,東西間幹線交通寸断による被害,地域外等への波及)が約 13兆~約 21

兆円で,合計では約 53兆~約 81兆円と推計されている 3).

1

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図 1.3.3  東海・東南海・南海地震 3連動の場合に予測される震度分布 3 )

図 1.3.4  東海・東南海・南海地震 3連動の場合に予測される津波高分布 3 )

b. 今後の想定

前節で述べたように,平成23 年3 月11 日に発生した東北地方太平洋沖地震は,これま

での想定をはるかに超える巨大な地震・津波により,一度の災害で戦後最大の人命が失われ

甚大な被害をもたらした.東北地方太平洋沖地震を契機として中央防災会議の下に設置され

た「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会」の中間とりま

とめに伴う提言(平成23 年6 月26 日)では,「今後,地震・津波の想定を行うにあたっ

ては,これまでの考え方を改め,津波堆積物調査などの科学的知見をベースに,あらゆる可

能性を考慮した最大クラスの巨大な地震・津波を検討していくべきである」とされており,

今後,この考え方に基づき,南海トラフの巨大地震対策を検討する際に,想定すべき最大ク

ラスの地震・津波について検討を進めることが必要となった.こうした背景により,南海ト

ラフの巨大地震を対象として,これまでの科学的知見に基づき想定すべき最大クラスの対象

地震の設定方針を検討することを目的として,平成23 年8 月, 内閣府に「南海トラフの巨

大地震モデル検討会」が設置された.

 「南海トラフの巨大地震モデル検討会」において見直された震源域と波源域を図1.3.5に示す.想定震源域・想定津波波源域の主な変更点は以下のとおりであり,想定震源域の

規模 はMw9.0 ,津波波源域はMw9.1 と推 定されている 4 ) .

(1) 浅い側(トラフ軸側)は,東北地方太平洋沖地震では海溝軸付近での浅い領域でのすべ

り量が大きく,短周期で高い津波はこの領域で発生したとの研究成果を踏まえて,「津波

地震」が発生する可能性がある領域として,想定震源域はプレート境界の深さ約10km ,

想定津波波源域はプレート境界面の深さ10km からトラフ軸までの領域に拡大した.

図 1.3.1 東海・東南海・南海地震の想定震源域

3)

図 1.3.2 東海・東南海・南海地震 3連動の想定震源域及び波減域 3)

2

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(2) 深い側(内陸側)の想定震源域・想定津波波源域は,深部低周波地震が発生している領

域についても強震動を発生する可能性がある領域として検討することが適切と考えられる

ため,プレート境界面の約30km からそれよりもやや深い内陸側のほうに拡大した.

(3) 東側(駿河湾側)の想定震源域・想定津波波源域は,駿河湾における南海トラフのトラ

フ軸から富士川河口断層帯の北端までの領域とした.

(4) 南西側(日向灘側)の想定震源域・想定津波波源域は,東北地方太平洋沖地震ではこれ

まで想定していなかった福島県沖も連動して断層が破壊されていることから,従来考えら

れていた宮崎県北部の日向灘の領域よりも更に南西方向に広がり,九州・パラオ海嶺の北

側付近でフィリピン海プレートが厚くなる領域にまで拡大した.

  被害想定のための強震断層モデルは,想定波源域を基本に,強震動生成域を中央防災会

議の東南海・南海地震等に関する専門調査会 (2003 年) と概ね同じ位置に配置した「基本

ケース」と,強震動生成域をトラフ軸に概ね平行に東西に移動したケース及び陸側の深いと

ころに移動したケースの計4ケースを設定している 5 ) .震度分布はこの4ケースに経験的

手法を加えた5ケースで行い,結果の最大値を取って震度分布を推定している.このうちの

「基本ケース」による震度分布を図1.3.6 に示す. 中央防災会議(2003 年) の予測結果で

ある図1.3.3 と比べて,震度6弱以上と予測される地域が太平洋岸から内陸に大きく広がっ

ており,九州地方でも宮崎県を中心にかなり広い範囲に広がっている 5 ) .

 津波断層モデルは,想定津波波源域を基本に,1~2箇所の大すべり域と分岐断層を組み

合わせた11 ケースを設定している.また,大すべり域のトラフ側には超大すべり域を設定

している.津波高予測はこの11 ケースについて行い,結果の最大値を取って最終的な予測

値としている 6 ) .「紀伊半島沖~四国沖」に「大すべり域+超大すべり域」を配置した

ケース③を図1.3.7 に,予測した津波高分布(満潮時)を図1.3.8 に示す. 予測される津波

高は,中央防災会議(2003 年) の予測結果である図1.3.4 と比べて10m以上の範囲が紀伊

半島~四国沿岸にかけて広がっており,太平洋沿岸のほとんどの範囲で1~2ランク大きく

なっている 6 ) .

図 1.3.5 「南海トラフの巨大地震モデル検討会」による想定震源域と津波波源域4)

※太線で囲まれた範囲が想定震源域

図 1.3.6 「南海トラフの巨大地震モデル検討会」による想定震源域により予測された震度分布5)

     ※基本ケース

3

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 公表された被害想定 7 ) では,地震動は,震度7が想定されるところは静岡県や愛知県,

高知県など10 県の151 市町村にのぼり,震度6強は大阪府や京都府など21 府県239 市町

村という結果であった.津波の高さは市町村毎の平均の高さで公表されており,駿河湾から

紀伊半島沖で大きな津波が発生した場合,10 m以上の津波が襲う恐れがあるのは5 都県の

21 市町村,5 m以上は13 都県の124 市町村という結果であった. 中でも,最も人的な犠

牲者が多くなったのは,深夜に東海地方が大きく被災する地震が起きたケースで,建物の倒

壊で約8 万2000 人,津波で約23 万人が亡くなるなど,合せて約32 万3000 人もの死者

がでるとされており,中央防災会議(2003 年)の予測結果の約13 倍の犠牲者が想定され

ている.被害規模は甚大であるが,同時に対策の効果も提示されており,地震の揺れに対し

ては,基本的なケースの場合,住宅など建物の全壊は約62 万7000 棟にのぼると予測して

いるが,図1.3.9 に示すように,強い揺れでも建物が壊れないように,全国の住宅の耐震化

率を現在の約79 %から約90 %に引き上げると全壊の戸数は約40 %減少し,約95 %に

することができれば約60 %減少すると予測されている.津波の被害については,約22 万

4000 人の死者がでるのは,多くの人々が津波が身近に迫るまで避難しなかったり,後片付

けなどをしてから避難する場合であり,図1.3.10に示すように,全員が迅速に避難すること

ができれば,死者は約8 万5000 人になると試算されている7 ) .これまで多くの自治体が

進めてきた住宅の耐震化や家具の固定,津波避難体制の強化と施設整備が,被害を減らすた

めのキーワードであると言えよう.

図 1.3.8 「南海トラフの巨大地震モデル検討会」による想定津波波源域により予測された津波高(満潮時)6) ※ケース③

図 1.3.7 「南海トラフの巨大地震モデル検討会」による想定津波波源域の検討ケース 6)

  ※ケース③

4

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参考文献

1)地震調査委員会(2001年):南海トラフの地震の長期評価について,

http://www.jishin.go.jp/main/chousa/01sep_nankai/index.htm,2001年 9月 27日

2)地震調査委員会(2012年):【最新版】活断層及び海溝型地震の長期評価結果一覧(2012年

1月 1日での算定),http://www.jishin.go.jp/main/choukihyoka/kaikou.htm,2012年

2月 9日

   3)内閣府中央防災会議 東南海・南海地震等に関する専門調査会(2003年):東南海・南海地震

等に関する専門調査会(第 16回)資料,http://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/

nankai/16/index.html,

2003年 12月 16日

   4)内閣府中央防災会議 南海トラフの巨大地震モデル検討会(2011年):南海トラフの巨大地震

モデル検討会中間とりまとめ,http://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/nankai_trough/

chukan_matome.pdf,

2011年 12月 17日

5)内閣府中央防災会議  南海トラフの巨大地震モデル検討会( 2012 年):南海トラフ

の巨大地震モデル検討会(第二次報告)強震断層モデル編-強震断層モデルと震度

分布について-,http://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/nankai_trough/pdf/

20120829_2nd_report05.pdf,

図 1.3.9 建物が耐震化された場合の被害の軽減効果 7) 

図 1.3.10 避難開始の迅速化を図った場合の被害の軽減効果 7)

5

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2012年 8月 29日

6)内閣府中央防災会議  南海トラフの巨大地震モデル検討会( 2012 年):南海トラフ

の巨大地震モデル検討会(第二次報告)津波断層モデル編-津波断層モデルと津波

高・津波浸水域等について-津波計算結果(津波高等),http://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/nankai_trough/pdf/

20120829_2nd_report07.pdf,2012年 8月 29日

7)内閣府中央防災会議  南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ(2012

年):南海トラフ巨大地震の被害想定について(第一次報告),http://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/taisaku_nankaitrough/pdf/

20120829_higai.pdf,2012年 8月 29日

最後に,本項において津波減災のための提言は,以下のとおりである.

 南海トラフで想定される最大クラスの地震・津波に対しても,これまで多くの自治体が進めてきた

住宅の耐震化や家具の固定,津波避難のための体制強化と施設整備が,被害を減らすためのキー

ワードであると言える.

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