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平成17年度 特許出願技術動向調査報告書 液晶表示装置の画質向上技術 (要約版) 平成18年3月 <目次> 第1章 液晶表示装置の画質向上技術の概要 ..... 1 第2章 液晶表示装置の画質向上技術の 特許出願動向の分析 ................... 5 第3章 液晶表示装置の画質向上技術の 研究開発動向の分析 ................... 35 第4章 液晶表示装置の画質向上技術の 政策動向分析 ......................... 41 第5章 液晶表示装置の画質向上技術の 市場環境分析 ......................... 42 第6章 液晶表示装置の画質向上技術の総合分析 . 45 問い合わせ先 特許庁総務部技術調査課 技術動向班 電話:03-3581-1101(内線2155)

平成17年度 特許出願技術動向調査報告書 液晶表示装置の画質 ......月から2005年9月までのJOIS収録分とした。検索は2005年11月8日に実施し、解析対象

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平成17年度 特許出願技術動向調査報告書

液晶表示装置の画質向上技術 (要約版)

平成18年3月

特 許 庁

<目次>

第1章 液晶表示装置の画質向上技術の概要 ..... 1

第2章 液晶表示装置の画質向上技術の

特許出願動向の分析 ................... 5

第3章 液晶表示装置の画質向上技術の

研究開発動向の分析 ................... 35

第4章 液晶表示装置の画質向上技術の

政策動向分析 ......................... 41

第5章 液晶表示装置の画質向上技術の

市場環境分析 ......................... 42

第6章 液晶表示装置の画質向上技術の総合分析 . 45

問い合わせ先 特許庁総務部技術調査課 技術動向班 電話:03-3581-1101(内線2155)

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第1章 技術の概要

第1節 調査対象技術の概要

液晶ディスプレイは、薄型、軽量、低消費電力といった特徴を有しており、テレビ、PC モ

ニタ、モバイル機器(携帯電話、PDA、デジタルカメラ等)、車載パネル等の需要が拡大して

いる。ここでは、幅広い応用分野をもつ液晶において、特に重要な研究開発課題である「液

晶表示装置の画質向上技術」を調査対象とし、画質向上技術の中でも特に「広視野角化」に

関して、詳しい分析を行った。以下に調査対象技術の要素技術を示す。

1.液晶配向モード

液晶配向モードには多数の技術が存在するが、今回の調査では TN(Twisted Nematic)、STN

(Super Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、VA(Vertically Aligned)、OCB(Optical

Compensated Bend)を調査対象とする。これらの特徴を第 1-1 表に示す。

第 1-1 表 液晶配向モードの特徴

配向モード 概要

TN 約 90 度のねじれ構造を持つネマティック液晶を用いる

モード。

STN 約 180~270 度のねじれ構造を持つネマティック液晶を

用いるモード。

IPS 広視野角技術の一つで、液晶分子のスイッチングをガラ

ス基板と平行な平面で行うモード。

VA 電圧をオフにした時の液晶の配向がガラス基板に対し

て垂直、電圧をオンにしたときに平行になるモード。

OCB 液晶の広視野角化と高速応答を目的として開発された

モード。

2.位相差板

位相差板とは、液晶パネルと偏光板の間に設置される光学補償を行うためのフィルムであ

る。TN は安価に製造することが可能であるものの、IPS や VA と比較して視野角特性に非常に

難がある。この課題は位相差板(光学補償フィルム)を利用することによって解決可能であ

る。

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第 1-2 図 光学補償の原理

光透過軸

光軸方向

液晶分子(正の一軸)

位相差補償フィルム(負の一軸)

光軸一致のため位相差は生じない →黒表示

液晶で生じた位相差を補償フィルムの逆位相で打ち消し、黒を維持

光透過軸

位相差補償フィルム

位相差補償フィルム

液晶層

屈折率楕円体形状

出典:NEC 液晶テクノロジー(株)作成資料

3.配向分割

液晶分子は電圧を印加することにより、プレチルト角で制御された向きに起き上がる。仮

に全ての液晶分子の起き上がり方が揃っている場合、液晶分子を見る角度によってコントラ

ストや色あいが変化することになる。こういった課題を解決し、液晶表示装置の広視野角化

に寄与する技術として、配向分割技術が提案された。

4.その他の要素技術

液晶パネルの光学的な特徴は、ディスプレイの目的・用途に応じて、照明装置(光源)と

偏光板、反射板等の各種フィルムの組み合わせや各部材の配置を柔軟に設定できる点にある。

液晶自体は発光しないため、表示にはバックライト、フロントライト、あるいは周囲光など

の何らかの光源が必要である。光源の位置によって、液晶パネルの種類は「透過型」「反射型」

「半透過型」などのように分類される。

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第2節 調査方法

1.調査対象技術の範囲

液晶表示装置の画質向上を目的とした主な研究開発課題としては、以下が挙げられる。

・広視野角化

・写り込み改善

・コントラスト比向上

・動画表示改善

・色再現域向上

上記研究開発課題と構成部材別の要素技術との関係を技術俯瞰図(第 1-3 図)に示す。本

調査では、「広視野角化」に関連する要素技術を主たる調査対象とする。

第 1-3 図 技術俯瞰図

 偏光板

 表面

応用産業応用産業

 カラーフィルター

 液晶層

 光源・駆動

広視野角化

構成部材別の要素技術

構成部材別の要素技術

画質改善にむけた研究開発課題

画質改善にむけた研究開発課題

防幻処理

反射防止

位相差板(WVフィルム・補償フィルム)

吸光性BM

色材微細化

色純度向上

配向分割

配向モード

低粘度化

ダイナミックバックライト制御

インパルス駆動

LED光源

写り込み改善

コントラスト比向上

動画表示改善

色再現域向上

TV

PC用モニタ

携帯端末等(携帯電話、PDA、AV機器パネル)

車載パネル(車内パネル(計器類、カーナビ、車載AV機器パネル)

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2.調査方法

(1)特許出願動向分析の方法

時期的範囲は 1989年 1月から 2005年 7月までの公開分とした。調査対象とする出願先国、

利用データベース解析対象件数を第 1-4 表に示す。第 1-4 表に示したデータベースにて検索

を行い、解析対象とする特許文献情報を得た。国内特許の解析対象件数は約 46,000 件、外国

特許の解析対象件数はのべ約 14,000 件である。続いて、これらの特許文献を読み込み、広視

野角化に関連する技術が記載されているか判断し、技術区分・用途区分に従いコードを付与

した。コードが付与された、国内特許件数は約 16,500 件、外国特許件数は約 6,900 件である。

第 1-4 表 調査対象出願先国及び調査対象件数

出願先国・地域 利用

データベース 検索日 解析対象件数 うち広視野角化

関連特許件数

日本(注 1) Patolis 2005 年 10 月 21 日 45,973 件 16,439 件

米国 MICROPATENT 2005 年 11 月 11 日 5,468 件 2,616 件

欧州(注 2) MICROPATENT(注 3) 2005 年 11 月 11 日 2,625 件 939 件

韓国 WIPS 2005 年 11 月 11 日 3,305 件 1,963 件

台湾 TWPAT 2005 年 11 月 11 日 2,138 件 892 件

中国 CNIPR 2005 年 11 月 11 日 1,152 件 479 件

注 1:国内特許文献には実用新案に関する公報を含む

注 2:欧州への出願には、欧州特許庁の他、イギリス、フランス、ドイツ 3 国への出願も含む

注 3:フランス、ドイツへの出願については、別途現地語文献を取り寄せ解析を行った

(2)研究開発動向分析の方法

学会発表論文の分析には SID International Symposium の予稿集プログラムを用いた。1998

年から 2005 年までの 8 年間の SID シンポ予稿集プログラムのうち、液晶関連のセッションで

の発表について、書誌情報(発表者所属機関)を抽出し、解析を行った。

学術論文の分析においては、データベースとして JOIS を利用し、時期的範囲は 1987 年 1

月から 2005 年 9 月までの JOIS 収録分とした。検索は 2005 年 11 月 8 日に実施し、解析対象

とする論文 3,773 件を得た。以後、特許出願動向分析の場合と同様に、技術区分・用途区分

に従いコードを付与した。なお、JOIS には SID 関連学会における発表論文がほとんど収録さ

れていない1など、収録論文掲載誌が日本の学術論文中心であるため、日本の研究機関・研究

者の発表件数がかなり多めに集計されている点に留意する必要がある。

1 SID International symposium は調査対象とした 1987 年から 2005 年までの全期間で収録なし、IDRC

(International Display Research Conference)は 1989 年、1992 年のみ一部収録、IDW(International

Display Workshop)は 1996 年、1998 年のみ一部収録という状況である。

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第2章 特許動向分析

第1節 全体動向分析

1.出願先国別出願件数の推移

調査対象期間を通して日本国籍出願人が桁違いに多い出願を行っている。その一方で、1996

年には韓国籍出願人による出願が急増しているほか、2001 年以降、台湾籍出願人による出願

も目立ってきている。なお、米国・欧州国籍出願人による出願は 1990 年以前から行われてい

るが、件数は微増若しくは横ばいである。中国籍出願人は、2002 年に出願件数を増加させて

いる。

第 2-1 図 出願人国籍別の自国出願件数推移

340 399 474 536 709 898 894 972 940 1049 1073 1198 1210 1418 1421 1393

3 2 3 17 8 14 24 72 118 104 105 141 168 247 304

1 2 1 2 5 13 8 15 44 104

10 26 18 18 18 34 28 28 32 40 47 48 31 47 48 58

16 18 22 17 12 19 24 20 11 23 10 18 15 29 25 11

1 2 2 1 2 5 14 14

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 200出願年

日本国籍出願人

韓国籍出願人

台湾籍出願人

米国籍出願人

欧州国籍出願人

中国籍出願人

注:米国では、2000 年 11 月 29 日に出願公開制度が導入された(特許検索に利用したデータベースにおけ

る公開特許の収録開始日は 2001 年 3 月 21 日)。このため、米国籍出願人について 2000 年までの出願

件数を登録件数で代替しており、実際の出願件数よりも低い値となっている点に留意する必要がある。

注:台湾では、2002 年 10 月 26 日に出願公開制度が導入された(特許検索に利用したデータベースにおけ

る公開特許の収録開始日は 2003 年 5 月 1 日)。このため、台湾籍出願人について 2002 年までの出願件

数を登録件数で代替しており、実際の出願件数よりも低い値となっている点に留意する必要がある。

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(1)日本出願の出願人国籍別動向

日本出願では、日本国籍出願人による出願が圧倒的に多い。1988 年から 2002 年までは毎

年増加しており、2002 年の出願件数は 1988 年と比較して 4 倍以上である。また、韓国籍出

願人による出願は 1990 年代後半から、台湾籍出願人による出願は 2000 年頃から、それぞれ

増加しているが、いずれも日本国籍出願数と比較すると極めて少ない。

第 2-2 図 日本出願の出願人国籍別出願件数推移

340 399 474 536 709 898 894 972 940 1049 1073 1198 1210 1418 1421 1393

2 2 2 3 3 6 14 21 20 30 26 40 59 68 118

4 2 8 12 25 27 45

6 8 9 13 12 22 22 23 14 20 31 21 35 37 35 7

7 16 16 12 11 18 14 19 23 25 24 29 41 50 17 8

2

1 2 3 4 4 1 2 2 4 3

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004出願年

日本国籍出願人

韓国籍出願人

台湾籍出願人

米国籍出願人

欧州国籍出願人

中国籍出願人

その他国籍出願人

(2)韓国出願の出願人国籍別動向

韓国籍出願人による出願件数が最も多く、1996 年に急増した後も増加基調にある。また、

韓国籍出願人による出願件数ほどの数はないが、日本国籍出願人による出願も 1996 年から増

加基調にある。

第 2-3 図 韓国出願の出願人国籍別出願件数推移

1 1 2 4 5 11 20 18 24 44 45 44 48 65 72 76

3 2 3 17 8 14 24 72 118 104 105 141 168 247 304

2 3 4

2 1 5 4 1 3 3 3 6 8 5 8 2

2 1 1 1 7 5 2 3 3 7 3 11 16 1

1

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004出願年

日本国籍出願人

韓国籍出願人

台湾籍出願人

米国籍出願人

欧州国籍出願人

中国籍出願人

その他国籍出願人

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(3)台湾出願の出願人国籍別動向

2002 年までは日本国籍出願人による出願が圧倒的に多い。台湾籍出願人による出願は 2001

年から急増し、2003 年には日本国籍出願人による出願件数を上回っている。韓国籍出願人に

よる出願は 2002 年に増加しているものの、日本・台湾と比較して低い水準である。

第 2-4 図 台湾出願の出願人国籍別登録件数推移

3 5 4 6 10 13 27 48 52 45 40 46 61 77 79

1 1 2 5 7 4 7 11 25 18

1 2 1 2 5 13 8 15 44 104

5 3 4 1 1 5 3 3 4 7 6

1 2 1 1 1 1 2 2 5 2 3 4 3 9 1

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004出願年

日本国籍出願人

韓国籍出願人

台湾籍出願人

米国籍出願人

欧州国籍出願人

中国籍出願人

その他国籍出願人

注:台湾では、2002 年 10 月 26 日に出願公開制度が導入された(特許検索に利用したデータベースにおけ

る公開特許の収録開始日は 2003 年 5 月 1 日)が、台湾特許検索に利用したデータベースでは公開特許

と登録特許を区分することができない。このため、2003 年の登録件数には公開件数が含まれており、

実際の登録件数よりも大きくなっている点に留意する必要がある。

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(4)米国出願の出願人国籍別動向

各国籍出願人とも米国出願を積極的に行っており、米国市場を重視していることがうかが

える。出願人国籍別では、日本国籍出願人と米国籍出願人が頭ひとつ抜けている。また、1990

年代後半から、韓国籍・台湾籍出願人による登録件数が増加しており存在感を高めている。

第 2-5 図 米国出願の出願人国籍別登録件数推移

14 22 26 22 25 47 38 74 64 108 79 78 87 73 37 2

3 14 22 14 24 31 25 15 3

1 1 1 1 1 2 5 11 16 22 18 6

10 26 18 18 18 34 28 28 32 40 46 46 30 26 13 12

4 5 16 8 14 10 9 16 15 10 5 20 9 9 2 1

1 2 1 1 2 2 1 2

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004出願年

日本国籍出願人

韓国籍出願人

台湾籍出願人

米国籍出願人

欧州国籍出願人

中国籍出願人

その他国籍出願人

注:登録件数の推移において、直近年のデータが減少傾向にあるのは登録までの審査処理に要する期間等

のタイムラグに起因する。

(5)欧州出願の出願人国籍別動向

欧州においても日本国籍出願人による出願が盛んに行われている。欧州国籍出願人、米国

籍出願人がその後に続いている。3 極の出願人とも、出願件数は概ね横ばい基調である。

第 2-6 図 欧州出願の出願人国籍別出願件数推移

13 17 14 21 23 34 33 22 31 46 37 24 23 40 17 21

2 4 1 1 3 2 10 8

2 2

2 7 3 5 9 10 7 5 10 6 1 5 9 10 10 5

16 18 22 17 12 19 24 20 11 23 10 18 15 29 25 11

1 1 1 2 1

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004出願年

日本国籍出願人

韓国籍出願人

台湾籍出願人

米国籍出願人

欧州国籍出願人

中国籍出願人

その他国籍出願人

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(6)中国出願の出願人国籍別動向

日本国籍出願人による出願が最も多いが、2001 年以降やや減少している。総出願件数で日

本に次ぐのは台湾であり、2000 年以降出願件数を急速に増加させている。中国籍出願人によ

る出願は年間十数件だが、2000 年以降、件数を増加させている。

第 2-7 図 中国出願の出願人国籍別出願件数推移

6 8 11 5 19 7 12 17 52 45 42

1 1 1 1 5 6 3

1 2 12 28 52

2 3 3 1 1 3 5 1 3 2

1 1 1 1 4 2 2 4 2 6 4 5 1 1

1 2 2 1 2 5 14 14

1

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004出願年

日本国籍出願人

韓国籍出願人

台湾籍出願人

米国籍出願人

欧州国籍出願人

中国籍出願人

その他国籍出願人

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2.国・地域間の相互出願・登録状況

1988 年から 1995 年までの間に出願された特許の国・地域間相互出願件数を第 2-8 図に、

相互登録件数を第 2-9 図にそれぞれ示す2。この期間では、日米欧 3 極国籍出願人による出

願が盛んであり、韓国籍出願人による出願件数はまだ低い水準にある。日本国籍出願人は欧

米を重視した出願を行っている。

第 2-8 図 国・地域間相互出願状況(出願年 1988 年~1995 年)

第 2-9 図 国・地域間相互登録状況(出願年 1988 年~1995 年)

2 日本・韓国を軸に、左図は米国・欧州との相互出願・登録状況を、右図は中国・台湾との相互出願・登録

状況を示したものである(次ページも同じ)。

113 件

177 件

17 件

2 件

2件2件

148件

48件

177件

14件

32件113件

115件

5222件

日本出願

5496 件 276 件

115 件

13 件

3 件

62 件

32 件

韓国出願

163 件

62件

13件17件

71件

米国出願

553 件

276件

1 80件

85件

3件4件

5件

欧州出願

377 件

2 件

中国出願

47 件

25 件

68 件

2 件 韓国出願

163 件

62件

13件17件

71件

62 件

32 件

14件

32件113件

115件

5222件

日本出願

5496 件

5件2件

10件

5件

25件

日本国籍出願人

米国籍出願人

欧州国籍出願人

韓国籍出願人

台湾籍出願人

中国籍出願人

その他国籍出願人

68件12件

9件

2件 3件

中国登録

21 件

1件1件

5件

12件

12 件

6件

68 件

2件

13 件

日本登録

1692 件

39件 13件

38件

1601件

1件 35 件

1 件

韓国登録

111 件

9件

10件

57件35件

台湾登録

94 件

137件

33件

102件

268 件

38 件

39 件

137 件

1 件

9 件

3 件

35 件

13 件

日本登録

1692 件

39件 13件

38件

1601件

1件

米国登録

542 件

268件

180件

82件

3件 4件5件

韓国登録

111 件

9件

10件

57件35件

欧州登録

273 件

33件

1件

102件137件

2件

5件

1件

1件

12件

1 件

68 件

39 件

137 件

10 件

日本国籍出願人

米国籍出願人

欧州国籍出願人

韓国籍出願人

台湾籍出願人

中国籍出願人

その他国籍出願人

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1996 年から 2003 年までの間に出願された特許の国・地域間相互出願件数を第 2-10 図に、

相互登録件数を第 2-11 図にそれぞれ示す。1988 年から 1995 年までの相互出願・登録状況と

比較して、日本国籍出願人の韓国への出願が大きく増加したほか、韓国籍出願人による各国・

地域への出願件数も急増している。

第 2-10 図 国・地域間相互出願状況(出願年 1996 年~2003 年)

第 2-11 図 国・地域間相互登録状況(出願年 1996 年~2003 年)

注:米国では、2000 年 11 月 29 日に出願公開制度が導入された(特許検索に利用したデータベースにおけ

る公開特許の収録開始日は 2001 年 3 月 21 日)。このため、米国籍出願人について 2000 年までの出願

件数を登録件数で代替しており、実際の出願件数よりも低い値となっている点に留意する必要がある

(前ページも同じ)。

注:台湾では、2002 年 10 月 26 日に出願公開制度が導入された(特許検索に利用したデータベースにおけ

る公開特許の収録開始日は 2003 年 5 月 1 日)。このため、台湾籍出願人について 2002 年までの出願件

数を登録件数で代替しており、実際の出願件数よりも低い値となっている点に留意する必要がある。

また、台湾特許検索に利用したデータベースでは公開特許と登録特許を区分することができない。こ

のため、2003 年の登録件数には公開件数が含まれており、実際の登録件数よりも大きくなっている点

に留意する必要がある(前ページも同じ)。

4件4件

29件

142件

56件

239件

382 件 970 2件

200件

217件

382件 2件123件

12件

日本出願

10638 件 907 件

200 件

217 件

239 件

46 件

29 件

38 件

345 件

418 件

韓国出願

1771 件

1件9件

1259件

46件

38件418件

米国出願

1952 件

907件

353件

117件

345件

1件

219件10件

欧州出願

474 件

199 件

2 件

16 件韓国出願

1771 件

1件9件

1259件

46件

38件418件

418 件

382 件

中国出願

391 件

199件

19件25件

16件

36件

95件

1件

9702件

200件

217件

382件 2件123件

12件

日本出願

10638 件

日本国籍出願人

米国籍出願人

欧州国籍出願人

韓国籍出願人

台湾籍出願人

中国籍出願人

その他国籍出願人

57件

15件

37件

11件2件

日本登録

1109 件

1057件

14件

4件 28件6件

韓国登録

472 件

3件

308件

2件

12件

147件

米国登録

1080 件

528件

245件

71件

148件

81件 7件

528 件

14 件

4 件

57 件

2 件

12 件

148 件

147 件

28 件

11 件

448 件79 件

3 件

日本登録

1109 件

1057件

14件

4件 28件6件

6 件

韓国登録

472 件

3件

308件

2件

12件

147件

147 件

28 件

53件

4件

9件

12件

12件

中国登録

90 件

448件

30件

29件

79件

192件

53 件

欧州登録

122 件

台湾登録

778 件

日本国籍出願人

米国籍出願人

欧州国籍出願人

韓国籍出願人

台湾籍出願人

中国籍出願人

その他国籍出願人

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第2節 技術・用途区分別動向分析

日本国籍出願人と韓国籍出願人の自国出願が他の国籍の出願人よりも非常に多く、両国籍

の出願人の出願推移に着目することでおおよその区分別動向を掴むことが可能である。

1.出願人国籍別・技術区分別自国出願件数の推移

(1)大区分別

日本国籍出願人による自国出願件数の推移をみると、全ての技術区分において、出願件数

は増加基調にある。特に、液晶モード及び位相差板に関する出願が多い。

一方、韓国籍出願人による自国出願件数の推移をみると、1996 年以降、液晶モード、画素

分割に関する出願が急激に増えている。特に 2003 年には液晶モードに関する出願が急増して

いる。その一方で、全体出願件数に占める位相差板に関する出願件数の比率が日本国籍出願

人と比べて低いほか、多画面表示や視野角制御に関する出願がほとんど行われていない。

第 2-12 図 日本国籍出願人による技術区分別特許出願件数の推移(大区分)

234 232 247 262 349 470 384 432 499 577 574 662 568 580 588 512

144 202 234 190 239 268 272 289 285 384 423 482 478 526 611 598

19 12 20 56 74 154 161 172 140 145 152 154 167 124 148 211

16 11 10 13 22 27 23 32 24 30 41 22 23 22 22 22

5 11 4 15 8 20 25 32 40 122 191 177 217 444 442 357

26 33 51 48 80 123 188 206 138 110 110 139 142 144 206 223

28 38 59 109 113 110 103 112 125 143 141 127 99 108 88 103

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004

出願年

液晶モード

位相差板

画素分割

その他の広視野角化技術

透過・反射型

多画面表示

視野角制御

第 2-13 図 韓国籍出願人による技術区分別特許出願件数の推移(大区分)

2 1 1 7 3 8 11 37 80 44 45 63 64 112 184

2 2 2 10 6 4 5 7 19 26 18 16 21 40 70

3 1 8 10 35 45 60 42 50 85 133 72

8

1 2 2 4 32 50 47 80 105

1 1 1 5 8 3 2 5 9 9

2 1 3 3 10 4 7 12 14 4

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 200

出願年

液晶モード

位相差板

画素分割

その他の広視野角化技術

透過・反射型

多画面表示

視野角制御

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(2)液晶モード

日本国籍出願人の出願件数の推移をみると、1990 年以前は、水平配向に関する出願が中心

であった。1990 年代には、垂直配向、横電界、ベンド配向、ハイブリッド配向、及びコレス

テリック液晶に関する出願が増加しているが、特に垂直配向(VA)、横電界(IPS)の伸びが

大きく、出願の大きな柱に成長した。2000 年以降は、全体的に横ばい若しくは微減傾向にあ

るが、垂直配向に関する出願のみ増加傾向にある。

韓国籍出願人の出願件数の推移をみると、垂直配向(VA)に関する出願割合が多い日本国

籍出願人とは異なり、LG 電子の主力技術である横電界(IPS)に関する出願が多い。垂直配

向に関する出願は 1998 年以降減少傾向にあったが、2002 年から再び増加に転じている。同

様に水平配向に関する出願についても 2001 年以降、再び増加傾向にある。

第 2-14 図 日本国籍出願人による技術区分別特許出願件数の推移(液晶モード)

26 22 30 28 26 46 52 34 56 151 136 168 155 145 227 269

8 7 8 3 12 33 24 85 141 136 154 172 180 126 112 84

1 1 1 1 3 9 28 26 17 24 67 66 98 66 46

2 4 1 3 6 1 17 15 16 20 15 23 16 20 16 19

13 10 7 17 30 43 19 26 50 66 51 74 61 107 114 78

30 11 20 10 33 27 31 40 71 67 35 23 11 17 30 20

134 138 158 132 170 232 217 178 136 151 161 178 132 120 166 85

51 50 49 88 100 114 74 86 68 69 74 66 36 48 23 22

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004

出願年

垂直配向(VA)

横電界(IPS)

ベンド配向(OCB)

ハイブリッド配向(HAN)

コレステリック液晶

ゲストホスト

水平配向(TN、STN、ECB等)

その他

第 2-15 図 韓国籍出願人による技術区分別特許出願件数の推移(液晶モード)

1 1 1 4 13 17 11 8 6 17 40

11 35 12 8 28 28 58 123

1 2 7 2 10 11

1 2 6 4 2 1 4 1 1

1 2 1 9 13 6 9 8 14 13 9

1

2 5 3 7 7 6 15 5 7 5 10 19 30

2 5 3 2 9 7 4 4

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004

出願年

垂直配向(VA)

横電界(IPS)

ベンド配向(OCB)

ハイブリッド配向(HAN)

コレステリック液晶

ゲストホスト

水平配向(TN、STN、ECB等)

その他

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(3)位相差板

日本国籍出願人の出願件数の推移をみると、1990 年以前から各技術区分に関する出願がコ

ンスタントに行われている。1990 年代後半には、光学的特性、材料、及び波長板に関する出

願が増加している。特に、材料に関する出願が近年多くなっている。

韓国籍出願人の出願件数の推移をみると、各区分とも日本国籍出願人による出願と比較し

て非常に低調である。2003 年に、日本国籍出願人(200 件)と比較すると件数は少ないなが

らも光学的特性に関する出願を急増させている。

第 2-16 図 日本国籍出願人による技術区分別特許出願件数の推移(位相差板)

58 95 83 77 122 120 94 132 134 194 166 171 200 219 259 200

60 71 66 72 48 65 86 82 53 99 118 78 89 65 97 70

100 121 130 97 102 126 148 144 153 226 237 221 215 219 283 221

109 144 158 142 162 154 185 151 142 197 157 195 224 215 343 342

8 9 25 10 17 19 28 38 71 111 140 119 126 166 215 175

5 7 7 18 9 28 21 34 28 25 49 68 48 59 59 44

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004

出願年

光学的特性

光軸の方向

構成

材料

波長板

その他

第 2-17 図 韓国籍出願人による技術区分別特許出願件数の推移(位相差板)

2 2 1 2 3 4 5 11 9 10 6 10 3 44

1 1 3 2 3 1 2 3 3 9

2 3 2 5 35 14

2 5 1 1 1 4 4 3 1 5 6

5 10 4 6 7 19 20

1 1 1 1 2 1 1 1 3

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004

出願年

光学的特性

光軸の方向

構成

材料

波長板

その他

(4)画素分割

1992 年までの日本国籍出願人の出願件数は低い水準で推移していたが、配向分割に関する

出願が 1993 年に急増している。駆動分割、ディスクリネーションライン(配向分割境界)に

ついても 1990 年代前半で増加した。近年では各区分とも、出願件数は横ばい若しくは微減傾

向にある。

一方、韓国籍出願人の出願件数の推移をみると、日本国籍出願人の出願と同様、配向分割

に関する出願が 1996 年以降大きく増加している。2002 年については日本国籍出願人の自国

出願に匹敵する件数の出願があった。駆動分割、ディスクリネーションライン(配向分割境

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界)についても 1996 年以降若干ではあるが出願されている。

第 2-18 図 日本国籍出願人による技術区分別特許出願件数の推移(画素分割)

5 7 8 33 53 125 133 120 106 118 118 133 142 102 126 185

15 5 12 17 17 19 24 39 23 15 26 15 17 16 21 17

1 7 8 18 19 26 15 16 11 7 11 4 15 15

5 1 4 2 3 4 3 6 4 8 6

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004

出願年

配向分割

駆動分割

ディスクリネーションライン(配向分割境界)

その他

第 2-19 図 韓国籍出願人による技術区分別特許出願件数の推移(画素分割)

3 1 8 10 25 35 53 41 44 82 127 67

7 9 8 12 11 26 11 3

1 1 1 15 2

3 2 4 1 2 1 2

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004

出願年

配向分割

駆動分割

ディスクリネーションライン(配向分割境界)

その他

(5)透過・反射型

1996 年以前の日本国籍出願人の出願件数は非常に少なかったが、1997 年を境に大きく増加

している。2001 年以降、透過領域と反射領域に関する出願件数が大きく伸びている。

韓国籍出願人の出願件数の推移をみると、日本国籍出願人からの出願増から 2 年ほど遅れ

て 1999 年から出願件数を増やしている。日本国籍出願人に件数は及ばないものの、透過領域

と反射領域に関する出願件数が大きく伸びている。一方、半透過膜に関する出願は非常に少

ない。

第 2-20 図 日本国籍出願人による技術区分別特許出願件数の推移(透過・反射型)

4 5 1 5 2 2 12 7 19 60 80 73 81 110 117 45

1 1 5 1 10 6 11 10 40 53 48 62 210 240 225

1 5 2 6 5 8 9 14 14 33 71 70 87 156 104 95

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004

出願年

半透過膜

透過領域と反射領域

その他

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第 2-21 図 韓国籍出願人による技術区分別特許出願件数の推移(透過・反射型)

1 1 1 1 2 4 12

1 1 18 39 40 77 62

1 2 12 11 7 31

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004

出願年

半透過膜

透過領域と反射領域

その他

(6)多画面表示

日本国籍出願人の出願件数の推移をみると、立体表示型に関する出願は 1991 年以降コンス

タントに行われてきたが、百数十件のレベルで横ばい基調である。一方、両面表示型に関す

る出願は、2002 年以降増加した。

韓国籍出願人の出願においては、日本国籍出願人とは異なり出願件数は少ない。どの技術

区分においても年間数件程度である。

第 2-22 図 日本国籍出願人による技術区分別特許出願件数の推移(多画面表示)

1 7 2 1 2 1 5 2 7 5 10 5 9 23 59 40

1 2 1 3 1 2 3 3 2 3 1

25 26 47 45 76 119 182 203 129 104 96 131 132 119 144 183

1 1 2 1 2 1 1 1

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004

出願年

両面表示型

表面多画面表示型

立体表示型

その他

第 2-23 図 韓国籍出願人による技術区分別特許出願件数の推移(多画面表示)

1 2 4 7

1 1 1

1 1 4 7 2 1 3 5 2

1

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004

出願年

両面表示型

表面多画面表示型

立体表示型

その他

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(7)視野角制御

日本国籍出願人の出願件数の推移をみると、1991 年以降、光学部材に関する出願が中心と

なっているが、1990 年代後半をピークに微減傾向にある。

韓国籍出願人による出願は、各技術区分とも数件から十数件程度と日本国籍出願人と比較

して低い水準である。

第 2-24 図 日本国籍出願人による技術区分別特許出願件数の推移(視野角制御)

4 1 3 5 4 8 8 5 8 3 1 5 5 10 9

3 9 3 7 2 2 5 1 3 10 6 8 13 6 7 5

21 28 54 100 105 105 90 105 118 132 138 120 87 99 77 92

3 2 1 2 3 1 1 1 1

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004

出願年

視野角範囲

視野角方向

光学部材

その他

第 2-25 図 韓国籍出願人による技術区分別特許出願件数の推移(視野角制御)

1 1 1 1 1 1

2

1 2 3 9 3 7 11 12 3

1

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004

出願年

視野角範囲

視野角方向

光学部材

その他

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2.出願人国籍別・用途区分別自国出願件数の推移

(1)パネルサイズ別動向

日本国籍出願人の出願では、1998 年までは、大型パネルに関する出願が中小型パネルに関

する出願を若干上回る傾向で推移していたが、1999 年以降は中小型パネルに関する出願が大

きく伸びている。

韓国籍出願人の出願件数の推移をみると、大型パネルに関する出願が先行しており、その

後中小型パネルに関する出願が立ち上がっている。大型パネルに関する出願は 1997 年にピー

クを迎え、その後減少に転じた後、2003 年に急激に増加した。一方、中小型パネルに関する

出願は、大型パネルに関する出願が減少している時期に増えており、同じく 2003 年に急増し

ている。なお、日本国籍出願人の自国出願と比較して、中小型、大型ともに件数はかなり少

ない。

第 2-26 図 日本国籍出願人によるパネルサイズ別特許出願件数の推移

64 75 114 129 206 258 222 230 262 336 352 369 382 559 564 467

63 80 69 90 129 184 185 231 221 238 264 243 225 277 282 262

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 200出願年

中小型

大型

第 2-27 図 韓国籍出願人によるパネルサイズ別特許出願件数の推移

1 1 4 1 1 2 2 9 5 12 19 18 7 63

2 8 8 22 42 24 9 5 10 4 98

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 200出願年

中小型

大型

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(2)大型パネル

日本国籍出願人による大型パネルに関する出願は、1990 年代に大きく件数を伸ばしている。

調査対象期間を通して、PC モニタ用途の出願がテレビ用途の出願を上回っている。1995 年以

降、PC モニタ用途の出願件数は 100 件を超えている。

韓国籍出願人の出願件数の推移をみると、大型パネルに関連する出願では、テレビ、PC モ

ニタともに数件しか見られず、その他において出願が見られる。

第 2-28 図 日本国籍出願人による用途区分別特許出願件数の推移(大型パネル)

26 41 28 22 49 60 67 64 63 51 75 63 47 64 86 145

28 29 34 61 71 103 88 139 152 162 204 171 139 188 218 209

15 27 14 14 38 60 65 71 57 68 50 58 72 65 50 36

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 200出願年

TV

PCモニタ

その他

第 2-29 図 韓国籍出願人による用途区分別特許出願件数の推移(大型パネル)

1 1

2 2

2 8 8 22 42 24 9 5 10 2 96

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 200出願年

TV

PCモニタ

その他

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(3)中小型パネル

日本国籍出願人の出願件数の推移をみると、1990 年代前半までは、プロジェクタ用途の出

願が中小型パネル関連分野の中心であった。1995 年以降は携帯端末関連の出願が伸び始め、

中小型分野の中心は携帯端末用途に移っている。更に 2001 年には、携帯端末関連の出願件数

が対前年比約 1.8 倍以上と著しく増加している。

韓国籍出願人の出願件数では、携帯端末、プロジェクタ、その他において出願が見られる

ものの、非常に低調である。

第 2-30 図 日本国籍出願人による用途区分別特許出願件数の推移(中小型パネル)

19 11 20 16 30 56 64 74 118 196 206 179 216 398 385 324

11 7 2 6 7 15 8 19 27 25 38 29 18 26 55 77

2 2 3 17 29 14 22 31 35 31 29 33 28 20 64

20 45 56 86 106 91 75 78 79 80 67 116 74 73 100 82

14 17 37 21 56 89 72 73 41 63 73 77 84 102 77 37

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004出願年

携帯端末

車載機器

アミューズメント

プロジェクタ

その他

第 2-31 図 韓国籍出願人による用途区分別特許出願件数の推移(中小型パネル)

1 1 3 1 11

1 1 1 3 1 3 2 1

1 1 3 2 1 5 4 12 16 13 6 51

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004出願年

携帯端末

車載機器

アミューズメント

プロジェクタ

その他

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3.出願人国籍別・着目研究開発テーマ別自国出願件数の推移

(1)組み合わせ技術に関する特許出願動向

着目研究開発テーマとして、特に出願の多い組み合わせ技術に関する特許出願動向を分析

した。まず、日本国籍出願人の出願をみると、1990 年以前から一貫して水平配向と位相差板

を組み合わせた出願が非常に多く見られる。1997 年以降、垂直配向と位相差板、垂直配向と

画素分割の組み合わせの出願も増えている。一方、横電界と画素分割の組み合わせは 2000

年にピークを迎えた後は減少に転じている。

一方、韓国籍出願人の出願の場合は、位相差板との組み合わせ技術に関する出願が低調で

あるのに対して、画素分割との組み合わせ技術に関する出願が目立っている。2000 年以降、

横電界と画素分割を組み合わせた出願が増えている。

第 2-32 図 日本国籍出願人による組み合わせ技術の特許出願件数の推移

6 2 4 2 1 2 5 2 9 42 48 56 66 43 81 109

5 6 7 2 2 5 9 12 8 11 10 13 21 23

1 2 1 14 11 8 17 39 36 29 43 31

100 111 123 95 127 140 138 125 74 109 132 136 100 83 132 65

4 12 15 10 17 60 65 72 62 56 85 139

1 1 1 1 2 2 14 20 19 22 44 51 32 22 16

1 1 5 3 2 5 9 8 8 3 2

6 3 3 17 16 50 37 37 32 13 15 15 11 5 15 14

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 200出願年

垂直配向(VA)&位相差板

横電界(IPS)&位相差板

ベンド配向(OCB)&位相差板

水平配向(TN、STN、ECB等)&位相差板

垂直配向(VA)&画素分割

横電界(IPS)&画素分割

ベンド配向(OCB)&画素分割

水平配向(TN、STN、ECB等)&画素分割

第 2-33 図 韓国籍出願人による組み合わせ技術の特許出願件数の推移

1 1 2 5 1 4 8

1 2 1 1 2 11

3 1 6 4

2 5 2 1 2 4 2 3 3 1 6 12

1 6 15 7 5 6 12 20

3 7 7 5 16 21 25 26

2 1 1

5 3 3 11 4 2 1 5 9 8

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 200出願年

垂直配向(VA)&位相差板

横電界(IPS)&位相差板

ベンド配向(OCB)&位相差板

水平配向(TN、STN、ECB等)&位相差板

垂直配向(VA)&画素分割

横電界(IPS)&画素分割

ベンド配向(OCB)&画素分割

水平配向(TN、STN、ECB等)&画素分割

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(2)特定サイズ向け技術に関する特許出願動向

次に特定サイズ向け技術の観点で特許出願動向を分析した。

日本国籍出願人の出願件数の推移をみると、1995 年に大型用途の横電界に関する出願が、

1997 年には大型用途の垂直配向、中小型用途の透過・反射型に関する出願が増加している。

2001 年以降、中小型用途の透過・反射型に関する出願は更に増加している。

韓国籍出願人の出願件数の推移をみると、2003 年に特定サイズ向け技術に関する出願が急

増した。大型用途の横電界に関する出願が多く、日本国籍出願人の出願件数(13 件)を上回

っている。また、中小型用途の透過・反射型に関する出願も 2003 年に急増している。

第 2-34 図 日本国籍出願人による特定サイズ向け技術に関する特許出願件数の推移

2 3 3 5 2 13 16 8 18 76 62 56 57 40 71 98

2 1 2 11 5 22 39 43 57 52 52 27 22 13

1 6 8 6 10 18 17 21 21 9

4 1 5 2 8 9 13 26 76 94 101 115 304 279 226

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 200出願年

大型用途 垂直配向(VA)

大型用途 横電界(IPS)

大型用途 ベンド配向(OCB)

中小型用途 透過・反射型

第 2-35 図 韓国籍出願人による特定サイズ向け技術に関する特許出願件数の推移

1 2 7 8 4 1 20

10 25 11 3 5 6 73

1 1

1 1 1 9 11 11 3 50

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 200出願年

大型用途 垂直配向(VA)

大型用途 横電界(IPS)

大型用途 ベンド配向(OCB)

中小型用途 透過・反射型

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第3節 出願人別動向分析

1.出願人別出願件数ランキング

前述したとおり日本国籍出願人や韓国籍出願人による自国出願が多いため、ここでは日本

出願と韓国出願の出願人別の件数ランキングを示し、出願件数の多い出願人について分析す

る。 日本への出願では、セイコーエプソンの出願件数が最も多く累積で 1500 件以上である。シ

ャープは出願件数では 2 位であるが、登録件数は 400 件以上と 2 位以下を大きく引き離して

1 位である。

韓国への出願では、出願件数・登録件数とも LG フィリップスが最も多く、2 位以下を大き

く引き離している。サムスン電子は出願・登録件数両方において、自国でも 2 位にとどまっ

ており、日本企業が 4 位に入っている。

第 2-36 図 日本出願における出願人別出願・登録件数ランキング(全体)

0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600

セイコーエプソン株式会社(JP)【1547】【254】

シャープ株式会社(JP)【1243】【445】

松下電器産業株式会社(JP)【1069】【245】

株式会社日立製作所(JP)【781】【103】

富士写真フイルム株式会社(JP)【764】【65】

日東電工株式会社(JP)【652】【44】

株式会社東芝(JP)【650】【74】

カシオ計算機株式会社(JP)【588】【80】

キヤノン株式会社(JP)【482】【130】

三洋電機株式会社(JP)【437】【126】

ソニー株式会社(JP)【420】【42】

日本電気株式会社(JP)【387】【204】

富士通株式会社(JP)【344】【68】

大日本印刷株式会社(JP)【268】【20】

コニカミノルタホールディングス株式会社(JP)【252】【5】

住友化学株式会社(JP)【242】【40】

積水化学工業株式会社(JP)【208】【10】

オプトレックス株式会社(JP)【201】【8】

シチズン時計株式会社(JP)【192】【37】

凸版印刷株式会社(JP)【188】【27】

株式会社リコー(JP)【187】【68】

三星電子株式会社(KR)【187】【7】

新日本石油株式会社(JP)【174】【37】

大日本インキ化学工業株式会社(JP)【160】【31】

京セラ株式会社(JP)【145】【13】

スタンレー電気株式会社(JP)【143】【28】

旭硝子株式会社(JP)【142】【25】

東レ株式会社(JP)【141】【6】

株式会社半導体エネルギー研究所(JP)【136】【45】

三菱電機株式会社(JP)【127】【21】

出願件数

登録件数

(件)

出願件数

登録件数

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第 2-37 図 韓国出願における出願人別出願・登録件数ランキング(全体)

0 100 200 300 400 500 600 700

LG.PHILIPS LCD CO., LTD.(KR)【656】【141】

SAMSUNG ELECTRONICS CO., LTD.(KR)【311】【89】

SAMSUNG SDI CO., LTD.(KR)【65】【31】

シャープ株式会社(JP)【63】【20】

BOE HYDIS TECHNOLOGY CO., LTD(KR)【57】【17】

セイコーエプソン株式会社(JP)【54】【6】

日本電気株式会社(JP)【48】【24】

LG ELECTRONICS INC.(KR)【43】【22】

NEC液晶テクノロジー株式会社(JP)【40】【8】

HYNIX SEMICONDUCTOR INC.(KR)【38】【24】

HYUNDAI DISPLAY TECHNOLOGY INC.(KR)【28】【9】

株式会社日立製作所(JP)【27】【13】

富士通株式会社(JP)【26】【13】

ソニー株式会社(JP)【23】【8】

KONINKLIJKE PHILIPS ELECTRONICS N.V.(NL)【22】【4】

ORION ELECTRIC CO., LTD.(KR)【22】【11】

日東電工株式会社(JP)【21】【6】

アルプス電気株式会社(JP)【20】【8】

HYUNDAI ELECTRONICS IND. CO., LTD.(KR)【18】【12】

三洋電機株式会社(JP)【16】【6】

SEO, DAE SHIK(KR)【15】【5】

松下電器産業株式会社(JP)【15】【6】

FUJITSU DISPLAY TECHNOLOGIES CORPORATION(JP)【14】【2】

LG CABLE LTD.(KR)【14】【5】

株式会社東芝(JP)【14】【4】

出願件数

登録件数

 (件)

出願件数

登録件数

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2.注目出願人別の動向

「1.出願人別出願件数ランキング」において、上位にランクインする企業を注目出願人

として選定し、資本関係やアライアンスの状況を鑑み、必要に応じてグループ化して分析を

行った。

シャープは、1990 年代前半から幅広く特許出願を行っている。特に、1993 年以降は出願件

数を急増させている。また、日本だけでなく各国・地域における登録件数が多いことも同社

の特徴である。

富士通グループは、1990 年以前からまとまった件数の日本出願を行っているが、全体的に

横ばい基調である。外国出願では、米国、韓国、台湾に注力している。登録件数は、他の日

本の注目出願人と比較して少ない。

日立グループは、1991 年と 1995 年に日本への出願件数を急増させている。日本以外も各

国幅広く出願を行っているが、特に米国出願の登録件数が多く、米国にウェイトを置いてい

る様子がうかがえる。

東芝・松下グループは、1990 年以前から 50 件前後の出願を行っている。この時期では、

三洋・エプソングループに次ぐ出願件数である。また、1993 年から 2002 年までは毎年 100

件以上の出願を行っている。外国出願をみると、台湾への出願・登録件数が目立つ。登録は

日本・台湾が中心である。

日東電工は、1990 年半ばまでの出願は低調であったが、1990 年代後半から日本・外国とも

出願件数を急増させている。登録件数をみると、日本だけでなく米国での権利化にも注力し

ている様子がうかがえる。

富士写真グループは、1990 年代前半に 1 度出願のピークがあり、その後 1990 年代後半に

かけて再度出願件数を増加させている。登録件数をみると、日本が中心であり、米国、台湾

が続いている。

三洋・エプソングループは、1990 年以前よりかなりの出願を行っている。1990 年代半ばま

では、横ばいないしは微増基調であったが、1997 年に出願件数を急増させており、ここ数年

では、300 件近い出願を行っている。大量に出願した日本特許を中心に登録を進めており、

日本特許の登録件数はシャープに次ぐ規模である。日本以外では、米国、台湾での登録が進

んでいる。

サムスングループの出願件数は、1994 年までは低調であったが、1995 年に急増している。

暫くの間横ばい基調であったが、近年再び件数を急増させている。なお、2003 年における日

韓の出願件数が同規模と日本への出願にも注力している様子がうかがえる。登録件数をみる

と、自国以外にも、台湾・米国において権利化を積極的に進めている。

LG グループの出願件数は、1996 年までは低調であったものの、1997 年以降急増を続けて

いる。特に 2003 年の自国出願件数は 200 件を超えており、日本企業を凌ぐ勢いで出願件数を

増加させている。また、登録件数をみると自国登録件数と米国登録件数が同程度であり、米

国出願に注力している。

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第 2-38 図 シャープの出願先国別の特許出願・登録件数の推移

a.出願件数 b.登録件数

24 36 31 28 53 110 74 88 125 113 131 90 79 48 86 106

4 5 3 5 8 2 3 3 3 15 10

1 3 3 4 8 26 16 24 27 21 15 7 7 3 7 11

1 3 2 7 11 19 13 9 18 15 15 6 4 9 2 4

6 2 1 5 1 3 1 3 6

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 200

出願年

日本出願

韓国出願

台湾出願

米国出願

欧州出願

中国出願

9 7 9 13 35 70 41 35 58 52 61 27 20 4

4 2 2 4 5 1 1 1

3 1 1 7 6 8 11 9 2 4 2 2 6 7

1

3

3 4 8 26 16 24 27 21 12 7 5 2 4

1 2 1 7 10 19 7 3 9 5 3 2 1 3

5 1 1 5 1 2

987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 200

出願年

第 2-39 図 富士通グループの出願先国別の特許出願・登録件数の推移

a.出願件数 b.登録件数

22 19 30 23 43 17 30 27 36 33 22 30 23 30 42 36

1 1 2 4 7 2 7 4 5 5

1 2 1 4 5 10 11 11 16 8 17

1 2 1

2 1 1

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 200

出願年

日本出願

韓国出願

台湾出願

米国出願

欧州出願

中国出願

5 5 4 13 20 2 4 12 10 5 3 1 1

1 1 1 2 3 4 1 1

1 2 1 7 3 4 3 3 6

1 2 1 4 5 6 8 5 3 2

1 2

987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 200

出願年

第 2-40 図 日立グループの出願先国別の特許出願・登録件数の推移

a.出願件数 b.登録件数

11 16 25 68 46 61 77 112 75 85 82 85 69 81 53 27

1 1 3 5 1 7 2 5 6 3

1 1 2 2 22 3 4 9 20 18 22 3 3

1 2 1 3 1 2 2 1 2

1 9 1 2 8 2 2

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 200

出願年

日本出願

韓国出願

台湾出願

米国出願

欧州出願

中国出願

7 4 10 8 7 13 20 16 17 10 6 4

1 1 1 4 1 5 1 2

1 7 2 8 6 6 7 61

1 2 2 22 3 4 8 17 12 18 2

1 1 2 1

1 1 1 1 3

987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 200

出願年

第 2-41 図 東芝・松下グループの出願先国別の特許出願・登録件数の推移

a.出願件数 b.登録件数

51 40 58 62 92 152 134 130 126 131 125 160 154 187 131 58

1 1 1 1 1 2 7 5 5 3 2 4

5 2 2 1 1 1 2 4 11 8 3 4

4 2 1 2 1 1 2 3 1 1 2

1 3 7 3 1

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 200

出願年

日本出願

韓国出願

台湾出願

米国出願

欧州出願

中国出願

11 7 10 14 23 33 34 20 36 39 26 46 15 7

1 1 1 3 2 2

1 1 2 1 2 5 5 10 2 2 1 7 2

5

2

2 1 1 1 2 4 6 7 2 3

2 1 2 1 1

1 1 2

987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 200

出願年

第 2-42 図 日東電工の出願先国別の特許出願・登録件数の推移

a.出願件数 b.登録件数

2 10 10 12 11 10 1 14 29 35 43 71 61 116 120 105

1 2 6 3 5 2 1

1 3 4 9 14 23 5

1 2 2 3 4 5 1

2 9

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 200

出願年

日本出願

韓国出願

台湾出願

米国出願

欧州出願

中国出願

1 1 4 5 3 3 3 10 4 8 1 1

1 1 2 2

1 1 5 4 3 1 6

1 3 4 9 10 16 4

1 1 1

987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 200

出願年

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- 27 -

第 2-43 図 富士写真グループの出願先国別の特許出願・登録件数の推移

a.出願件数 b.登録件数

13 4 8 8 41 54 53 28 29 24 43 71 113 106 129 143

1 1 1 4 6

3 3 1 1 4 4 5 5 4 7

2 1 2 2 2

2

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 200

出願年

日本出願

韓国出願

台湾出願

米国出願

欧州出願

中国出願

3 1 3 5 11 19 20 8 9 7 2 1

1

2 3 3 5

3 3 1 1 4 4 5 3 3

2 1

987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 200

出願年

第 2-44 図 三洋・エプソングループの出願先国別の特許出願・登録件数の推移

a.出願件数 b.登録件数

55 91 68 68 61 93 91 90 91 139 163 160 145 252 295 278

1 1 6 1 3 17 16 25

2 5 1 2 2 18 2 9 10 18 21 27

1 1 2 2 5 1 1 5 3 6

1 3 5 16 24 23

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 200

出願年

日本出願

韓国出願

台湾出願

米国出願

欧州出願

中国出願

13 22 28 30 23 30 33 48 36 37 32 9 18 25 2

4 1 1 5 1

1 2 1 2 3 2 1 4 1 18 18 292

5 1 2 1 17 2 8 9 9 10

1 2 4

1 2 4 8 1

987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 200

出願年

第 2-45 図 サムスングループの出願先国別の特許出願・登録件数の推移

a.出願件数 b.登録件数

1 2 3 5 7 7 5 10 12 20 37 32 68

2 2 2 7 3 3 19 36 34 35 27 31 45 60 74

3 5 2 4 3 6 6 8

2 1 2 2

1 1 4 1 3

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 200

出願年

日本出願

韓国出願

台湾出願

米国出願

欧州出願

中国出願

1 2 3 3 3 1 2

2 2 1 5 3 3 13 12 21 15 11 12 14 7 7

1 2 1 2 2 4 5 11 14

3 5 2 4 3 5 5 3

2

987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 200

出願年

第 2-46 図 LG グループの出願先国別の特許出願・登録件数の推移

a.出願件数 b.登録件数

1 1 5 9 2 5 6 4 11 28 44

9 5 6 1 13 48 36 52 78 99 162 214

9 17 4 23 32 23 22 36

3 1 3 1 7 6

1 3

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 200

出願年

日本出願

韓国出願

台湾出願

米国出願

欧州出願

中国出願

1 1 2 2

6 4 5 1 9 35 14 22 21 23 23 9

2 1 2 8 2

9 17 4 23 28 19 8

2 1 1 1 3

987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 200

出願年

注:登録件数の推移において、直近年のデータが減少傾向にあるのは登録までの審査処理に要する期間等

のタイムラグに起因する。 注:台湾出願に関しては、登録件数の推移のみ示している。なお、台湾では、2002 年 10 月 26 日に出願公

開制度が導入された(特許検索に利用したデータベースにおける公開特許の収録開始日は 2003 年 5 月

1 日)が、台湾特許検索に利用したデータベースでは公開特許と登録特許を区分することができない。

このため、2003 年の登録件数には公開件数が含まれており、実際の登録件数よりも大きくなっている

点に留意する必要がある。

注:米国では、2000 年 11 月 29 日に出願公開制度が導入された(特許検索に利用したデータベースにおけ

る公開特許の収録開始日は 2001 年 3 月 21 日)。このため、米国籍出願人について 2000 年までの出願

件数を登録件数で代替しており、実際の出願件数よりも低い値となっている点に留意する必要がある。

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- 28 -

第4節 基本特許・重要特許

1.液晶モード

(1)垂直配向

垂直配向に関する基本特許・重要特許の変遷を第 2-47 図、第 2-48 図に示す3。

第 2-47 図 垂直配向に関する基本特許・重要特許の変遷(1984 年~1991 年) 84 85 86 87 88 89 90 91

特開平04-031827特願平02-138724

  アルプス電気  

特開平01-269921 特開平03-215830特願昭63-096709 特願平02-011524

東芝 リコ-

特許2856466特願平02-005260

リコー

特許2047880 特開平01-270024 特開平05-113561特願昭62-046621 特願昭63-099512 特願平03-272852

東芝 スタンレー電気

特許2047880 特開平02-015238 特開平05-113561特願昭62-046621 特願昭63-165072 特願平03-272852

スタンレー電気

特許2029146 特許2047880特願昭60-104104 特願昭62-046621

高輝度化

電極が印加したとき

に液晶がねじれ構造

をとるもの

円偏光に

 よるもの

画素分割

出願年

セル構造

垂直配向

プレチルト角

わずかに傾斜している

         もの

凹凸による分割

電素電極構造による分割

コミサリア・ア・レネルジ・アトミック

一軸

光軸がxy平面方向

光学補償

二軸

コミサリア・ア・レネルジ・アトミック

コミサリア・ア・レネルジ・アトミック

コミサリア・ア・レネルジ・アトミック

光軸がz軸方向

スタンレ-電気;内田 龍男;新技術事業団;

コミツサリア タ レネルジ- アトミ-ク

3 最先の特許はチャートに点線の枠で示している。異議申立または無効審判請求を受けたもの、早期審査を

行ったものはチャートの枠外に参考情報として記した(本節共通)。

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- 29 -

垂直配向技術は誘電率異方性が負の液晶材料を用いて、液晶分子を垂直に配向させる技術

である。同技術については、古くから ECB モードによるカラー表示の研究が行われてきたが、

特許文献ではフランスのコミサリア社のジャン・フレドリック・クレールが 1984 年に出願し

た欧州特許 EP0162775B1 が最先ある。この特許は、垂直配向型の液晶セルを用いた場合の光

学補償の技術を開示している。

1980 年代は、主として光学補償技術に注力されていたが、1992 年から 1997 年にかけて、

広視野角化を目的とした種々の画素分割技術が精力的に研究された。これらの技術に関わる

出願が IBM、三洋電機、シャープ、富士通からなされている。

第 2-48 図 垂直配向に関する基本特許・重要特許の変遷(1992 年~2002 年) 92 93 94 95 96 97 98-02

 

【閲覧請求】特開平06-337421 特開平10-153802特願平05-128800 特願平09-266889

東芝 富士通

【異議申立受】特許2872628

特願平08-019025スタンレー電気

特許3395877 特許2947350特願平08-341590 特願平10-185836

シャープ 富士通

特許3005418 特許3395878特願平06-104044 特願平08-341591三洋電機 シャープ

特許2565639 特許2975844 特許3005418 特許2947350特願平05-073935 特願平06-092283 特願平06-104044 特願平10-185836

IBM 三洋電機 三洋電機 富士通

特許2859093 【異議申立受】【閲覧請求】

特願平05-157120 特許2976948三洋電機 特願平09-272871

日本電気特開平06-301036特願平05-084696三洋電機

 

特開平06-337421特願平05-128800

東芝

【閲覧請求】 【異議申立受】【閲覧請求】

特開平10-153802 特許3470567特願平09-266889 特願平09-259780

富士通 住友化学工業

【閲覧請求】特許2947350

特願平10-185836富士通

【閲覧請求】 【異議申立受】【閲覧請求】

特開平10-153802 特許3470567特願平09-266889 特願平09-259780

富士通 住友化学工業

【閲覧請求】特許2947350

特願平10-185836富士通

【閲覧請求】 【異議申立受】【閲覧請求】

特開平10-153802 特許3470567特願平09-266889 特願平09-259780

富士通 住友化学工業

【閲覧請求】特許2947350

特願平10-185836富士通

画素分割

高輝度化

わずかに傾斜している

         もの

出願年

セル構造

垂直配向

一軸

二軸

電極が印加したとき

に液晶がねじれ構造

をとるもの

円偏光に

 よるもの

電素電極構造による分割

プレチルト角

光学補償

凹凸による分割

光軸がz軸方向

光軸がxy平面方向

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(2)横電界

横電界に関する基本特許・重要特許の変遷を第 2-49 図、第 2-50 図に示す。

横電界(IPS)は、基板面内でほぼ平行な方向に電圧を印加して液晶を回転させ表示を行う

技術である。同技術はその他の液晶モードと比較して、液晶を駆動する電極構造に特徴があ

り、一般的には櫛型の電極が用いられる。櫛型電極を用いた最先の公報としては 1979 年に出

願された特公昭 63-021907 や 1981 年に出願された特開昭 57-138682 がある。

第 2-49 図 横電界に関する基本特許・重要特許の変遷(1979 年~1993 年)

79 80 81 82~89 90 91 92 93

特許3294689特願平05-279243日立製作所

  特公昭63-021907 特開昭57-138682 特開平06-148596 特開平07-191336特願昭54-167542 特願昭56-024434 特願平04-293152 特願平05-348468シチズン時計 松下電器産業   日立製作所 東芝

【早期審査】特許2940354 特許2701698特願平05-225462 特願平05-178825日立製作所 日立製作所

特許3123273 特許3211581特願平04-347935 特願平06-222952日立製作所 日立製作所

特許3127640 特許3296913特願平04-347934 特願平06-004378日立製作所 日立製作所

特許3238230特願平05-061200

東芝

特許2952744特願平05-275616松下電器産業

特許3074101特願平05-276539松下電器産業

特許3294689特願平05-279243日立製作所

  【異議申立受】【早期審査】

特許2743293特願平03-502426メルク パテント

【異議申立受】【早期審査】特許2743293特願平03-502426メルク パテント

光学補償

配向

電極配置

画素分割

対向基板にも電極

出願年セル構造

横電界

一方の基板にのみ電極

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また、ドイツのメルク社のバウアから、1992 年に櫛型電極を用いた IPS モードが報告され

ている。この技術に関連する特許に、1990 年に出願された特許 2743293 がある。この特許で

は IPS モードにおける光学補償の技術を開示している。

IPS モードでは、液晶分子が基板面内において電界方向に回転するので広い視野角が得ら

れる。このため、1992 年から 1995 年にかけて電極配置に関する研究が鋭意行われ、関連す

る特許出願が日立製作所、松下電器産業などから行われた。また 1995 年以降、櫛型電極を「く」

の字に曲げ、液晶の回転する方向を異なるものを共存させる、画素分割技術も鋭意研究され

た。

第 2-50 図 横電界に関する基本特許・重要特許の変遷(1994 年~2002 年) 94 95 96 97 98-02

【異議申立受】特開平09-105908 特許3194127 特許3519573特願平07-261235 特願平08-158741 特願平09-186430日立製作所 大林精工 日立製作所

特許3204912 特許3486859特願平08-312336 特願平08-214896松下電器産業 大林精工

特許3567183特願平08-272792大林精工

特許3120751特願平09-111160日本電気

特許3427611特願平08-071787日立製作所

【異議申立受】  特開平07-261181 特開平08-286176 特許3170446 特許3481074

特願平06-046810 特願平07-092184 特願平08-040127 特願平09-107979日立製作所 日立製作所 シャープ 松下電器産業

特開平07-306417 特許3237484 特許3174497 特開平10-319436特願平07-033341 特願平07-235004 特願平08-063543 特願平09-132605日立製作所 日立製作所 シャープ フロンテック

特許3143925 特許3598583 特許3152193特願平07-523943 特願平07-131404 特願平09-348016日立製作所 日立製作所 日本電気

特許3543351 特許3204912 特開平09-236820特願平06-017098 特願平08-312336 特願平08-042557  日立製作所 松下電器産業 ホシデン

特許3566989 特許3465835特願平06-199247 特願平07-211742日立製作所 松下電器産業

特開平07-318959特願平06-108597松下電器産業

特開平08-062586特願平06-195033松下電器産業

 

特開平08-190104特願平07-001579アルプス電気

特開平08-271919特願平07-075039日立製作所

光学補償

配向

画素分割

一方の基板にのみ電極

対向基板にも電極

電極配置

横電界

セル構造

出願年

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2.位相差板

位相差板は、液晶分子の屈折率異方性による複屈折によって生じる光学的な歪を解消する

ために用いられる。特に TN モードの視角依存性や、STN モードの着色問題を解消する技術と

して早くから研究されている。

(1)TN モード

位相差板に関する基本特許・重要特許の変遷(TN モード)を第 2-51 図に示す。

TN モードはネマティック液晶分子のツイスト角を 90 度とし比較的低電圧で動作する液晶

モードであり、スイスのホフマン・ラ・ロッシュから 1971 年に発表された。関連する特許は

特公昭 51-013666 で優先権主張日は 1970 年 12 月 4 日である。その後イギリス国防省からプ

レチルト角による視野角を改善する技術が特公昭 58-010729 で開示されている。同特許の優

先権主張日は 1974 年 2 月 21 日である。

TN モードは低電圧で動作しコントラストが高いので、主要な液晶モードとして、種々の改

良がなされてきた。しかし、観察する方向によって液晶分子は異なる方向に配向しているた

め、コントラストが異なる視野角依存性という問題がある。この問題に対処する為に、液晶

に入射する光あるいは液晶から出射される光の位相の歪を補償する光学補償の技術、特に位

相差板の研究が鋭意なされている。

位相差板を用いた光学補償の技術では、位相差板の光学特性に関わる技術、位相差板の構

成技術、位相差板の材料などが主要な技術である。

トムソン マルチメディア ソシエテアノニムから1992年に出願された特許3268069では、

位相差板の光軸を TN モード液晶層の主要面の法線方向に対して傾斜して配置する技術が開

示されている。

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第 2-51 図 位相差板に関する基本特許・重要特許の変遷(TN モード 1990 年~2002 年) 90 91 92 93 94 95-02

【閲覧請求】【早期審査】

特許3268069特願平05-181988

特許2866540特願平04-276076

シャープ

【異議申立受】 【早期審査】特許2660601 特許2587398

特願平02-166833 特願平07-157028日本石油 富士写真フイルム

【閲覧請求】【早期審査】

特許3268069特願平05-181988

特許2866540特願平04-276076

シャープ

【早期審査】

特許2587398特願平07-157028富士写真フイルム

【異議申立受】特許2660601

特願平02-166833日本石油

高分子液晶

トムソン マルチメデイア ソシエテ アノニム

出願年

二軸

一軸

枚数

【異議申立受】【閲覧請求】【早期審査】

一軸

光軸が一様

2枚

光学的特性

【異議申立受】【閲覧請求】【早期審査】

材料

液晶材料

複合光軸

構成

トムソン マルチメデイアソシエテ アノニム

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- 34 -

(2)STN モード

位相差板に関する基本特許・重要特許の変遷(STN モード)を第 2-52 図に示す。

STN モードは液晶のツイスト角を 90 度以上とすることで、TN モードに比較して印加電圧に

対する光の透過率の変化をより急峻にする技術である。ツイスト角としては 200 度前後に設

定される場合が多い。しかし STN モードではこの大きくねじれた液晶の複屈折により黄色か

ら青、緑に着色する問題がある。これを解消する光学補償の方法として位相差板を用いるの

が一般的である。また2枚の STN パネルを用いた DSTN モードなども提案されている。

セイコーエプソンから1986年に出願された特開昭64-000519には高分子液晶フィルムを用

いて、STN モードの着色現象を解消する技術が開示されている。また 1987 年に住友化学工業

とセイコーエプソンが共同出願した特公平 07-013683 では、熱可塑性高分子フィルムを一軸

方向に延伸して形成される位相差板を、厚み精度が良好で且つ光学特性が均質に製造する技

術が開示されている。

第 2-52 図 位相差板に関する基本特許・重要特許の変遷(STN モード 1986 年~2002 年) 86 87 88 89 90 91 92-93 94 95-02

【異議申立受】 【閲覧請求】

特公平07-013683 特許3184975 特許2881214 特許3220478特願昭63-162114 特願平01-339329 特願平02-077393 特願平03-163902

住友化学工業 リコー

特開平02-111918特願昭63-265299 特許3273046

セイコ-エプソン 特願平03-178891日本ゼオン

特許2857889特願平01-236493

富士写真フイルム

【閲覧請求】特許3184975

特願平01-339329

住友化学工業

特許2857889特願平01-236493富士写真フイルム

【異議申立受】特許2660601

特願平02-166833

日本石油

特開平03-263013特願平02-061093

富士通

【異議申立受】 【閲覧請求】特公平07-013683 特許3184975特願昭63-162114 特願平01-339329

住友化学工業

【異議申立受】【早期審査】

特開昭64-000519 特開平02-111918 特開平03-263013

特願昭62-121701 特願昭63-265299 特願平02-061093

セイコ-エプソン セイコ-エプソン 富士通

特許2881214

特願平02-077393リコー

【異議申立受】【早期審査】 【異議申立受】

特開昭64-000519 特許2592694 特許2660601

特願昭62-121701 特願平02-013540 特願平02-166833

セイコ-エプソン 日本石油;リコー 日本石油

特許2883941特願平02-114622

リコー

【異議申立受】【早期審査】

特開昭64-000519特願昭62-121701セイコ-エプソン

【異議申立受】【早期審査】 【異議申立受】 【閲覧請求】

特開昭64-000519 特公平07-013683 特許3184975 特開平03-263013 特許3220478 特開平08-015681特願昭62-121701 特願昭63-162114 特願平01-339329 特願平02-061093 特願平03-163902 特願平07-153006 セイコ-エプソン 住友化学工業 富士通

特許2857889 特許3273046

特願平01-236493 特願平03-178891富士写真フイルム 日本ゼオン

特許2716628特願平04-198708

エフ.ホフマン-ラ ロシュアーゲー

日本ゼオン;藤森工業

光軸が一様

出願年

光学的特性

枚数

住友化学工業;セイコーエプソン

構成

波長分散

光軸の方向

偏光板の偏光軸

(吸

収軸

  との関係

二軸

一軸

複合光軸

光学的特性

非液晶材料

液晶型セル

高分子液晶

液晶材料

材料

エフ.ホフマン-ラ ロシュアーゲー

45度

一軸

高分子材料 日本ゼオン;

藤森工業

住友化学工業;セイコーエプソン

住友化学工業;セイコーエプソン

2枚

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第3章 研究開発動向分析

第1節 学会発表動向

液晶分野の国際会議である SID International Symposium(以下、SID シンポ)における論

文発表動向を分析する。なお、本章における分析対象技術は、「液晶関連技術全般」である。

学会論文発表件数には広視野角化以外の技術が含まれる点に留意する必要がある。

1998 年から 2005 年までに発表された SID シンポにおける研究者所属機関国籍別論文発表

件数の推移を第 3-1 図に示す。

最も多く学会発表を行っているのは米国籍研究機関であり、コンスタントに 100 件前後の

発表を行っている。米国に次ぐのが日本国籍研究機関と欧州国籍研究機関である。日本国籍

研究機関の発表件数は 70 件から 80 件程度で横ばいに推移している。

調査対象期間を通じて、発表件数を増加させているのが、韓国籍研究機関と台湾籍研究機

関である。韓国籍研究機関の発表件数は 1998 年時点で 19 件と日本国籍研究機関の 2 割程度

の水準であったが、その後増加を続け、2005 年の発表件数は日本国籍研究機関を上回る 118

件となっており、トップの米国籍研究機関に迫る勢いである。台湾籍研究機関の発表件数の

伸びも著しい。2000 年までは数件であったが 2005 年の発表件数は 45 件であり、近いうちに

欧州国籍研究機関による発表件数を上回る可能性がある。

第 3-1 図 SID シンポにおける研究者所属機関国籍別論文発表件数の推移

96 73 75 71 69 72 74 87

19 23 23 34 46 72 80 118

2 4 7 12 17 19 25 45

124 94 92 110 96 98 100 132

45 40 50 66 65 51 85 69

6 7 13 6 5 7 9 15

4 4 2 3 7 5 6 10

1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006

日本国籍研究機関

韓国籍研究機関

台湾籍研究機関

米国籍研究機関

欧州国籍研究機関

中国籍研究機関

その他国籍研究機関

発表年

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第2節 JOIS 収録の論文発表動向

主に学術論文を多く収録している科学技術振興機構のデータベース(JOIS)が収録する論

文について、技術区分別の発表動向を分析する。なお、JOIS については SID 関連学会におけ

る発表論文がほとんど収録されていないなど、収録論文掲載誌が日本の学術論文中心である

ため、日本の研究機関・研究者の発表件数がかなり多めに集計されている点に留意する必要

がある。

1.日本研究機関

1993 年から論文発表件数が急増している。2004 年ごろまでは液晶モードに関する論文発表

が最も多い。位相差板に関する論文発表も近年徐々に増えており、2005 年には液晶モードと

ほぼ同数となっている。

第 3-2 図 日本国籍研究機関による技術区分別論文発表件数の推移(大区分)

3 11 5 14 8 8 32 21 44 43 80 74 50 49 56 55 49 60 33

1 6 2 11 9 8 23 16 15 21 32 32 21 27 26 29 33 34 34

1 7 1 4 6 2 14 10 24 21 28 24 17 20 24 30 16 25 15

1 3 1 3 2 2 9 5 5 4 12 4 2 6 4 4 4 5

2 1 4 5 10 5 2 3

1 1 1 2 4 7 5 5 13 9 14 15 12 22 11 8 12

1 1 1 6 2 2 3 5 2

1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006発表年

液晶モード

位相差板

画素分割

その他の広視野角化技術

透過・反射型

多画面表示

視野角制御

2.韓国研究機関

日本国籍研究機関からは遅れて、2000 年から論文発表が増加している。これは特許出願の

立ち上がり時期である 1996 年から 4 年ほど遅れている。技術区分別にみると、日本国籍研究

機関と同様に、液晶モードに関する論文発表が最も多く、画素分割に関する論文発表が続く。

第 3-3 図 韓国籍研究機関による技術区分別論文発表件数の推移(大区分)

1 1 3 6 4 15 14 17 11 21 13

1 1 1 2 3 2 7 7 3 3 4 3

1 3 2 2 12 9 10 8 8 5

1 1

4 5 2

1 2 1 1

1

1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006発表年

液晶モード

位相差板

画素分割

その他の広視野角化技術

透過・反射型

多画面表示

視野角制御

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3.台湾研究機関

件数としては少ないが、液晶モードと位相差板に関する論文が 1995 年から発表されている。

画素分割に関しては 1997 年から論文が発表されている。一方で、透過・反射型、多画面表示、

視野角制御に関する論文はほとんど発表されていないことが分かる。

第 3-4 図 台湾籍研究機関による技術区分別論文発表件数の推移(大区分)

1 4 5 6 1 3 5 5 5

1 1 2 1 2 1 2 2 1 1

1 5 1 1 2 3 2

1 1

1

1 1

1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006発表年

液晶モード

位相差板

画素分割

その他の広視野角化技術

透過・反射型

多画面表示

視野角制御

第3節 重要論文分析

重要論文の分析においては、学術論文の被引用件数を指標とした。論文別被引用件数ラン

キングを第 3-5 表に示す。被引用件数の多い論文を精査すると、画素分割や液晶モード、位

相差板に関連する広視野角化技術に関する論文が偏り無く現れている。これは、様々な要素

技術を組み合わせて広視野角化を実現している現状とも対応している。

時系列でみると、1990 年半ばに発表された論文の被引用件数が多い。被引用件数は累積で

集計しているため、発表日が古い論文ほど値が多くなる傾向にあるが、トップ 10 論文をみる

と、調査対象最先時期の 1980 年代後半の論文がランクインしておらず、論文発表時期が 1993

年から 1999 年の間に集中している。この時期に液晶表示装置の広視野角化に関する要素技術

のブレークスルーがあったものと推察される。これは、基本特許・重要特許に関する分析結

果に符合する。

以下、第 3-5 表に掲載された論文を要素技術別に簡単に紹介する。

(1) 垂直配向(VA)

・Four-domain divided inclined vertical alignment by irradiation of unpolarized ultra

violet light(表中の順位:第 29 位)

・富士通による UV 照射によって形成された 4 ドメインの垂直配向液晶セルの製法・特性に

関する論文である。

(2) 横電界(IPS)

・Dependence of viewing angle characteristics on pretilt angle in the in-plane

switching mode(表中の順位:第 35 位)

・IPS による液晶ディスプレイの広視野角化に関する論文である。IPS において視野角がプ

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レチルト角に大きく依存することが示されている(プレチルト角が小さいほど視野角は

広くなる)。

(3) ベンド配向(OCB)

・Wide-Viewing-Angle Display Mode Using Bend-Alignment Liquid-Crystal Cell(表中

の順位:第 15 位)

・ベンド配向した液晶セル(OCB 液晶)に関する基礎的な原理及び光学補償体の設計の制

約条件を検討し、それによる理論的もしくは経験的な分析を通じてこれらの効果を示し

た論文である。

(4) 位相差板

・Photoinduced Alignment and Patterning of Hybrid Liquid-Crystalline Polymer-Films

on Single Substrates(表中の順位:第 17 位)

・線形に重合可能な LPP(linearly photopolymerizable)ポリマーによって、接触する液晶

層の配向を制御することにより、液晶基板に直接貼り付けることのできる偏向カラーフ

ィルタ・色補償フィルタの原理を示した論文である。

(5) 画素分割

・ 2-Domain 80-Degrees-Twisted Nematic Liquid-Crystal Display for Grayscale

Applications(表中の順位:第 14 位)

・UV 照射によってプレチルト角の制御を行い、2 ドメインの TN 液晶を作成している論文で

ある。ポリイミドフィルムに UV 照射を行うことにより、芳香族やラジカルを 2 週間以上

の長期にわたって発生させ、またいくつかの側鎖を取り除き、さらにポリイミドフィル

ムの表面の空隙を増加させる技術について述べられている。

第 3-5 表 論文別被引用件数ランキング(上位 35 位)

順位 被引用

件数 標題 著者 著者所属機関 雑誌名 発表年

1 223 Optical patterning of multidomain liquid-crystal

displays with wide viewing angles

Schadt, M, et

al.

Rolic Ltd NATURE 1996

2 161 Wide-Band Reflective Polarizers From Cholesteric

Polymer Networks With a Pitch Gradient

BROER, DJ, et

al.

Philips Res Labs NATURE 1995

3 116 Incorporation of photoluminescent polarizers into

liquid crystal displays

Weder, C, et al. ETH Zurich SCIENCE 1998

4 66

Performance of a novel optical compensation film

based on negative birefringence of discotic

compound for wide-viewing-angle twisted-nematic

liquid-crystal displays

Mori, H, et al. Fuji Photo Film Co

Ltd

JAPANESE JOURNAL OF APPLIED

PHYSICS PART 1-REGULAR PAPERS

SHORT NOTES & REVIEW PAPERS 1997

5 50

Amorphous Twisted Nematic Liquid-Crystal

Displays Fabricated By Nonrubbing Showing Wide

and Uniform Viewing-Angle Characteristics

Accompanying Excellent Voltage Holding Ratios

TOKO, Y, et al. Tokyo Univ Agr &

Technol

JOURNAL OF APPLIED PHYSICS

1993

5 50

Extended Jones Matrix-Method .2. GU, C, et al. Rockwell Int Sci

Ctr, Univ Calif

Santa Barbara

JOURNAL OF THE OPTICAL SOCIETY

OF AMERICA A-OPTICS IMAGE

SCIENCE AND VISION

1993

7 49

Dianhydride architectural effects on the relaxation

behaviors and thermal and optical properties of

organo-soluble aromatic polyimide films

Li, FM, et al. Univ Akron POLYMER

1999

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順位 被引用

件数 標題 著者 著者所属機関 雑誌名 発表年

8 46 Optical particle trapping with computer-generated

holograms written on a liquid-crystal display

Reicherter, M,

et al.

Univ Stuttgart OPTICS LETTERS 1999

9 45

Diamine architecture effects on glass transitions,

relaxation processes and other material properties

in organo-soluble aromatic polyimide films

Li, F, et al. Univ Akron POLYMER

1999

10 41 Voltage-dependent anchoring of a nematic liquid

crystal on a grating surface

Bryan-Brown,

GP, et al.

Def Evaluat & Res

Agcy

NATURE 1998

11 35 Liquid crystal materials and liquid crystal displays Schadt, M Rolic Ltd ANNUAL REVIEW OF MATERIALS

SCIENCE 1997

12 33

Control and modification of nematic liquid crystal

pretilt angles on polyimides

Lee, KW, et al. IBM Corp,

Columbia Univ

JAPANESE JOURNAL OF APPLIED

PHYSICS PART 1-REGULAR PAPERS

SHORT NOTES & REVIEW PAPERS

1997

12 33 Simple 4-Domain Twisted Nematic Liquid-Crystal

Display

CHEN, J, et al. Kent State Univ APPLIED PHYSICS LETTERS 1995

14 32 2-Domain 80-Degrees-Twisted Nematic

Liquid-Crystal Display for Grayscale Applications

YANG, KH IBM Corp JAPANESE JOURNAL OF APPLIED

PHYSICS PART 2-LETTERS 1992

15 30 Wide-Viewing-Angle Display Mode Using

Bend-Alignment Liquid-Crystal Cell

MIYASHITA, T,

et al.

Tohoku Univ JAPANESE JOURNAL OF APPLIED

PHYSICS PART 2-LETTERS 1995

16 29

Multidimensional director modeling using the Q

tensor representation in a liquid crystal cell and its

application to the pi cell with patterned electrodes

Mori, H, et al. Fuji Photo Film Co

Ltd, Kent State

Univ

JAPANESE JOURNAL OF APPLIED

PHYSICS PART 1-REGULAR PAPERS

SHORT NOTES & REVIEW PAPERS

1999

17 27

Photoinduced Alignment and Patterning of Hybrid

Liquid-Crystalline Polymer-Films on Single

Substrates

SCHADT, M, et

al.

Rolic Ltd JAPANESE JOURNAL OF APPLIED

PHYSICS PART 2-LETTERS 1995

17 27

Synthesis and properties of vinylic copolymers with

fluorescent moieties as optical brighteners for

liquid crystals

Grabchev, I, et

al.

Bulgarian Acad Sci JOURNAL OF APPLIED POLYMER

SCIENCE 1999

19 26 LCD components obtained by patterning of chiral

nematic polymer layers

van de Witte, P,

et al.

Philips Res Labs JOURNAL OF MATERIALS

CHEMISTRY 1999

20 23

Large Aperture Polarized-Light Source and Novel

Liquid-Crystal Display Operating Modes

BELAYEV, SV,

et al.

F Hoffmann La

Roche & Co Ltd,

NIOPIK

JAPANESE JOURNAL OF APPLIED

PHYSICS PART 2-LETTERS 1990

21 22 Orientation control and fixation of discotic liquid

crystal

Kawata, K Fuji Photo Film Co

Ltd

CHEMICAL RECORD 2002

22 19 Electro-optic characteristic of fringe-field

switching mode depending on rubbing direction

Hong, SH, et al. Hyundai Elect Ind JAPANESE JOURNAL OF APPLIED

PHYSICS PART 2-LETTERS 2000

22 19

Generation of pretilt angle in NLCs and EO

characteristics of a photo-aligned TN-LCD with

oblique non-polarized UV light irradiation on a

polyimide surface

Seo, DS, et al. Soongsil Univ LIQUID CRYSTALS

1999

22 19 Spectral Properties of Fluorescent Dyes in Nematic

Liquid-Crystals

MARTYNSKI,

T, et al.

Poznan Tech Univ JOURNAL OF MOLECULAR

STRUCTURE 1994

25 17

Analytical Simulation of Electrooptical Performance

of Multidomain Twisted Nematic Liquid-Crystal

Displays

SUGIYAMA, T,

et al.

Tokyo Univ Agr &

Technol

JAPANESE JOURNAL OF APPLIED

PHYSICS PART 1-REGULAR PAPERS

SHORT NOTES & REVIEW PAPERS

1995

25 17

UV MODIFICATION OF SURFACE PRETILT OF

ALIGNMENT LAYERS FOR MULTIDOMAIN

LIQUID-CRYSTAL DISPLAYS

LIEN, A, et al. IBM Japan Ltd APPLIED PHYSICS LETTERS

1995

25 17

Polymerizable discoticnematic triphenylene

derivatives and their application to an optically

anisotropic film

Okazaki, M, et

al.

Fuji Photo Film Co

Ltd

POLYMERS FOR ADVANCED

TECHNOLOGIES 2000

25 17

Polyimide films as negative birefringent

compensators for normally white twisted nematic

liquid crystal displays

Li, FM, et al. Univ Akron POLYMER

1996

29 15

Four-domain divided inclined vertical alignment by

irradiation of unpolarized ultra violet light

Yoshida, H, et

al.

Fujitsu Ltd JAPANESE JOURNAL OF APPLIED

PHYSICS PART 2-LETTERS 1997

29 15 Ultrahigh-resolution liquid crystal display with gray

scale

Wen, B, et al. Case Western

Reserve Univ

APPLIED PHYSICS LETTERS 2000

31 14 CHARACTERIZATION OF REFLECTIVE

CHOLESTERIC LIQUID-CRYSTAL DISPLAYS

STJOHN, WD,

et al.

Kent State Univ JOURNAL OF APPLIED PHYSICS 1995

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順位 被引用

件数 標題 著者 著者所属機関 雑誌名 発表年

31 14

Determination of director distributions in liquid

crystal polymer-films by means of generalized

anisotropic ellipsometry

Benecke, C, et

al.

ROLIC Res Ltd JAPANESE JOURNAL OF APPLIED

PHYSICS PART 1-REGULAR PAPERS

SHORT NOTES & REVIEW PAPERS

2000

31 14

New functional polymers for liquid crystal displays -

review of some recent developments

Broer, DJ, et

al.

Philips Res Labs,

Eindhoven Univ

Technol

MACROMOLECULAR SYMPOSIA

2000

34 13

Performance of conventional and novel deformed

helix ferroelectric liquid crystal display operating

modes

Funfschilling, J,

et al.

ROLIC LTD JAPANESE JOURNAL OF APPLIED

PHYSICS PART 1-REGULAR PAPERS

SHORT NOTES & REVIEW PAPERS

1996

35 12 Dependence of viewing angle characteristics on

pretilt angle in the in-plane switching mode

OhE, M, et al. HITACHI LTD LIQUID CRYSTALS 1997

出典:Thomson Scientific 社「Topical Citation Reports “liquid crystal display”」より作成

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第4章 政策動向分析

第1節 日本の動向

2004 年 12 月に「u-Japan 政策」が発表され、ユビキタス社会実現に向けての ICT 重点化政

策が盛り込まれた。2005 年に発表された「新産業創造戦略 2005」では、情報家電分野を含む

7 分野の市場拡大の目標と政策のアクションプランが明示された。液晶パネル・液晶製造装

置の技術開発は、情報家電分野の先進的新産業として取り組むべき課題として指定されてい

る。

ディスプレイの技術開発政策としては、2004 年に株式会社フューチャービジョンと独立行

政法人産業技術総合研究所が共同で「平面ディスプレイ超先端研究センター」を設立し、「30

型以上の HD テレビクラスの高精細液晶ディスプレイを 20 万円以下で実現できる製造技術の

確立」を目指した研究開発を実施中であり、経済産業省が 153 億円を助成している。

第2節 韓国の動向

2003 年には「次世代成長動力推進報告会」が開かれ、ディスプレイを含む 10 大新成長動

力産業が示された。ディスプレイには LCD、LED、PDP、有機 EL、電子ペーパーなどが含まれ

ている。限られた予算の中で効率よく効果を挙げるという観点から、ディスプレイの部品や

材料、製造装置の国内自給率を 2007 年までに 80%引き上げることが目標として設定された。

具体的な施策としては、人材育成センターの創設や産学連携のサポート、中小企業の工業支

援センターの創設などが盛り込まれている。

また、2004 年に、半導体及びディスプレイ分野の特許紛争に対応することを目的として「半

導体・ディスプレイ装備分野の特許コンソーシアム」が発足した。このコンソーシアムには、

サムスン電子、LG 電子、LG フィリップス、ハイニックス半導体、東部阿南半導体、マグナチ

ップ半導体の大企業 6 社と、ジュソンエンジニアリング、ケイシテク、KDNS、アット、ニュ

ーパワープラズマなど 23 中小設備メーカ、浦項・光州・全羅北道のナノ技術集積センターが

参加している。

第3節 台湾の動向

台湾経済部は二兆双星産業を推進しており、2005 年における生産額が 1 兆元(3.5 兆円)

に達することが見込まれる半導体産業、及びディスプレイ産業(二兆産業)と、有望産業と

期待されているデジタルコンテンツ産業及びバイオテクノロジー産業(双星産業)に重点投

資を行っている。このうちディスプレイ産業推進としては、①今後 5 年以内に LCD 供給の世

界シェア 40%を台湾が占める、②台湾をディスプレイ製品の世界最重要の研究開発・製造拠

点とする、③今後 5 年間で 3,500 億元(約 1 兆 2,400 億円)の民間投資を行う、という目標

を掲げている。

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第5章 市場環境分析

第1節 市場の動向

1.大型液晶関連市場の動向

大型液晶関連市場においては軽量化や低消費電力化・低コスト化が進行し、液晶テレビや

液晶モニタを中心に生産台数は飛躍的に増加している。液晶テレビは 30 インチ以上の大型テ

レビにも近年製品を投入しており、PDP やリアプロジェクションと激しく競争している。液

晶テレビのセットメーカとしてはシャープが大きな世界シェアを占めていたが、最近はソニ

ーやサムスン電子がシェアを大きく伸ばしている(第 5-1 図)。

また、韓国や台湾を中心に液晶テレビや液晶モニタなどに利用される大型の TFT 液晶パネ

ル(10.4 インチ以上)の生産量は拡大している。パネルメーカ各社は第 7 世代、第 8 世代と

工場生産能力を拡大しており、今後も生産量の増加が見込まれる。生産量のシェアをみると、

韓国の 2 社だけで全体の 4 割近くを占めており、そのあとに台湾のパネルメーカが続いてい

る。最終製品のセットメーカとしては日本企業が高いシェアを有するが、液晶関連製品の主

要部品である液晶パネルのシェアは、韓国・台湾の企業に握られている。日本企業は最終製

品としてのブランド力を維持しつつも、水平分業が可能な部材ではコスト競争が激しく、苦

戦を強いられていることがうかがえる(第 5-2 図)。

第 5-1 図 世界の液晶テレビのメーカ別年間生産台数シェア

60.1

36.1

23.1

13.1

11.7

14.0

5.2

8.9

8.3

9.8

9.5

7.0

6.8

9.0

6.3

5.4

5.6

4.7

4.8

4.9

4.6

16.1

17.0

28.1

39.0

5.1

13.1

5.8

2.2

3.1

8.8 2.9

0% 20% 40% 60% 80% 100%

2002年

2003年

2004年

2005年

(予測)

シャープ ソニーオランダRoyal Philips Electronics 松下電器産業韓国サムスン電子 東芝韓国LG電子 その他

(出典)「デジタル家電市場総覧 2006」P459(日経マーケット・アクセス:2005.11)

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第 5-2 図 世界の大型液晶パネルのメーカ別年間生産量シェア

19.1

22.5

19.7

19.1

20.7

8.6

9.9

7.5

8.6

9.9

6.9

7.7

8.0

4.2

6.3

6.3

5.6

4.5

4.9

4.4

7.4

18.9

13.0

11.6

20.3 7.5 6.4

0% 20% 40% 60% 80% 100%

2003年

2004年

2005年

(予測)

韓国サムスン電子 韓国LG. Philips LCD 台湾AUO

台湾CMO 台湾CPT 台湾Quanta

シャープ 台湾HannStar その他

(出典)テクノ・システム・リサーチ「デジタル家電市場総覧 2006」P453

(日経マーケット・アクセス:2005.11)

2.中小型液晶関連市場の動向

中小型液晶関連市場の中心は携帯電話向けである。世界の携帯電話市場は一定の普及率に

到達したことにより、2000 年をピークに減少していくと思われたが、カラー液晶の登場によ

りまた盛り返しを見せている。携帯電話の生産は、1990 年代後半を上回る勢いで今後も増加

していくことが予想される。世界で普及しつつあるカラー液晶は、日本から普及し始めた技

術であるため、当初は日本のメーカが非常に大きなシェアを持っていた。しかし、現在は韓

国のメーカがシェアを拡大してきており、日本のメーカのシェアは減少傾向にある。今後は

大型パネル同様に中小型パネルにおいても激しいコスト競争が繰り広げられるものと予想さ

れる。

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第2節 主要企業動向

第 5-3 図に主要メーカの業界関係図を示す。サムスン電子を中心とする韓国勢や台湾企業

の勢力拡大に伴い、国内企業ではシャープ以外は企業間の連携や子会社化等により液晶事業

に取り組んでいる様子がうかがえる。

第 5-3 図 世界業界関係図

NEC

LGフィリップス

LG電子

フィリップス

オランダ

サムスン電子

シャープ

東芝松下ディスプレイテクノロジー

(2002年4月設立)

松下電器産業

ソニー

日立製作所

東芝

セイコーエプソン

三洋電機

富士通

IPSアルファテクノロジー(2005年1月設立)

三洋エプソンイメージングデバイス

(2004年10月設立)

富士通ディスプレイテクノロジーズ S-LCD

(2004年設立)

上海光電

上海光電NEC(2003年)

廣輝電子(クオンタ)

奇美電子(チーメイ)

友達光電(AUO)

日立ディスプレイズ

日本中国

台湾

韓国

STLCD(1997年10月設立)

豊田自動織機NEC液晶テクノロジー

分社化(2002年10月)

出資出資

出資 出資

出資

出資

出資 出資

分社化

売却

(2005年2月)

出資

出資

出資

出資

OEM調達

出資

出資

分社化(2003年4月)

OEM調達

OEM調達

出資

ハンスター

カシオ計算機

提携(2005年8月)

シャープと韓国サムスン電子が液晶業界におけるビジネスリーダと成りえたのは、シャー

プは液晶技術の向上等により「液晶=シャープ」といわれるまでのブランド力をつけたこと、

サムスン電子は大規模生産によるコスト優位性を獲得したことによる。

シャープは、1973 年に液晶表示電卓を発表し、世界で初めて液晶を実用化した後も、1994

年には当時世界最大規模の液晶工場を国内に建設するなど、液晶生産のための設備投資も継

続している。サムスン電子は先行する日本企業を後追いし、その後大規模生産により一気に

抜き去る形でシェアを伸ばしている。大規模開発によるコストの低下だけでなく、投資タイ

ミングのよさも目立つ。

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第6章 総合分析

第1節 日本の技術競争力

特許出願件数からみると、日本は高い技術競争力を有している。

日本企業は、1990 年以前から自国を含め多くの国々において多数の特許を出願・登録して

おり、保有技術の権利化を積極的に進めている。韓国・台湾企業は 1990 年代後半から 2000

年代前半に特許出願を急増させているものの、2003 年時点では日本企業による特許出願が群

を抜いている。

技術区分別にみると、日本企業は幅広く特許出願を行っており、1990 年代半ばの各種要素

技術の実用化を期に出願件数を急増させている。特に、これら 1990 年代半ばに出願された特

許の中には多くの重要特許が含まれている。

一方、韓国・台湾企業の出願技術区分には偏りがある。日本企業と比較して、垂直配向・

横電界以外の液晶モード、位相差板、多画面表示、視野角制御といった技術区分の出願が低

調である。なお、韓国企業は 2003 年に液晶モード(垂直配向・横電界)、画素分割(配向分

割)、透過・反射型(透過領域と反射領域)といった技術区分において出願を急増させている。

VA 液晶パネルのサムスン電子や、IPS 液晶パネルの LG フィリップスのパネル市場シェアが急

増していることを鑑みると、2005 年現在、液晶モード(垂直配向・横電界)及びこれらの液

晶モードと組み合わせて用いられる画素分割(配向分割)においては、日本と韓国の技術競

争力の格差は縮小しているものと推察される。

個々の研究機関別にみると、出願人別ランキングには多くの日本大手電機メーカやフィル

ムメーカが名を連ねている。これらの上位企業は重要特許も保有している。一方、韓国企業

は自国出願・登録件数ランキングでは上位にランクインしているものの、自国以外では日本

企業と比較して存在感が薄い。

論文発表動向においても、国単位では特許出願同様の傾向がみられる。なお、韓国研究機

関による論文発表は 2000 年に急増しているが、これは、特許出願が立ち上がった 1996 年よ

り 4 年遅れている。このことから、1990 年代の韓国の研究開発力は低く、研究内容が日本か

らの導入技術の改良に留まっていたが、2000 年以降徐々に研究開発力を高め、日本の模倣で

はない独自の基礎・応用研究を推進しつつあるものと推察される。

これまでの分析結果を踏まえると、日本が技術競争力を有するポイントとして以下が挙げ

られる。

○幅広い分野の技術シーズの蓄積

技術区分別の出願動向をみると、韓国企業は VA モードや IPS モードの大型液晶パネル、透

過・反射型の小型液晶パネルの出願件数を 2003 年に急増させており、市場がある程度の規模

に成長している分野に研究開発資源を集中投下している様子がうかがえる。

一方、日本企業の特許出願動向をみると、VA、IPS、透過・反射型液晶といった韓国企業が

注力する技術区分で質・量とも優位に立っているほか、VA・IPS 以外の液晶モード、多画面

表示、視野角制御といった韓国企業が手薄な技術区分についても、一定規模の出願を継続し

て行っている。特に、多画面表示技術や視野角制御技術については、日本企業が中小型サイ

ズの製品開発に取り組んでいる。

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日本企業は幅広い分野の技術においてシーズを有しており、それを新製品の開発に活用し

ていることがうかがえる。

○光学部材に関する優位性

光学部材である位相差板に関する特許出願動向をみると、日本企業が韓国企業を圧倒して

いる。

日本企業は、1990 年以前から水平配向(TN、STN モード)と位相差板の組み合わせ技術に

関する特許を年間 100 件程度(自国出願のみ)出願している。1990 年代前半に主に STN 液晶

を対象とした光学補償に関する研究が進み、各企業に特許・ノウハウが蓄積されたものと推

察される。1990 年代半ば以降、垂直配向、横電界、ベンド配向といった液晶モードの実用化

に伴い、これらのモードと位相差板の組み合わせ技術に関する出願も増加している。

韓国企業も、垂直配向、横電界といった液晶モードのパネルを製造しているが、これらの

モードと位相差板の組み合わせ技術に関する出願は、2003 年時点でも数件程度にとどまって

いる。

○多数の研究開発リーダーの存在

出願人別ランキングをみると、韓国企業と比較して多数の日本企業がランクインしている。

特に日本の場合、パネルメーカだけでなくフィルムメーカも複数ランクインしていることが

特徴である。主要出願人別の特許出願動向及び重要特許の系統図をみても、液晶モード・画

素分割については日本のパネルメーカが、位相差板についてはフィルムメーカが、それぞれ

実用化の段階で多数の特許を出願している。

韓国・台湾と比較して、日本には多数の研究開発リーダーが存在し、要素技術の実用化や

新製品の開発において重要な役割を果たしていることが推察される。

第2節 日本の産業競争力

「日本の技術競争力」にあるように、1990 年代半ばに多くの広視野角化技術を実用化し、

それらの新技術を搭載した製品を開発してきた日本企業であったが、大型液晶パネルでは

2000 年以降、パネル生産ラインへの設備投資が後手に回ったために、韓国・台湾企業に比べ

て価格競争力が低下し、苦戦を強いられている。

2004 年の世界における大型液晶パネルの生産量シェアでは、日本の最大手であるシャープ

が韓国・台湾企業に次々と追い抜かれ、シェア 7 位となっている。広視野角化のニーズが高

いテレビ向けパネルや最終製品のテレビについては、シャープがトップシェアを維持するな

ど日本企業は善戦しているものの、韓国企業が着実にシェアを拡大している。

中小型液晶パネル市場では日本企業が優位性を維持している。韓国企業のシェアが伸びつ

つある携帯電話向けパネル市場においても、2004 年時点での世界シェアは韓国企業 2 割強に

対して、日本企業は 5 割弱である。デジタル・スチール・カメラ及び車載パネル向けの液晶

パネル市場では、更に日本企業の強さが際立っている。2004 年時点での日本企業のシェアは

約 8 割であり、日本企業以外でシェア上位に食い込んでいるのは台湾友達光電のみである。

これまでの分析結果を踏まえると、日本が産業競争力を有するポイントとして以下が挙げ

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られる。

○技術面でのユーザニーズへの対応力

大型液晶パネル市場では韓国・台湾企業に比べて日本企業は劣勢に立たされているが、テ

レビ向けパネルに限ってみると、シャープが韓国企業と世界シェアトップを争うなど、日本

企業は善戦している。

テレビ向け液晶パネルの特徴として、広視野角化に対するニーズが強い点が挙げられる。

製品開発においてはユーザニーズを満足させなければならないが、ユーザニーズである「よ

り広い視野角」を実現するためには、液晶モードだけではなく位相差板や画素分割に関する

技術を適切に組み合わせることが求められる。

組み合わせ技術に関する特許出願動向をみると、日本企業は液晶モードと位相差板、ある

いは液晶モードと画素分割を組み合わせた技術に関する出願を多く行っている。一方、韓国・

台湾企業の場合、韓国企業が液晶モードと画素分割の組み合わせ技術について、ややまとま

った件数の出願を行っていることを除いて、総じて低調である。このことから、日本企業が

「技術の擦り合わせ」を得意としており、技術面でのユーザニーズへの対応力が高いことが

うかがえる。

なお、日本企業は技術面でのユーザニーズへの対応力は高いものの、コスト面での対応力

という点では、韓国・台湾企業が強みを有する。PC モニタ同様、液晶テレビのコモディティ

化が進んだ場合には、技術面よりもコスト面での対応力が強く求められよう。

○技術シーズを活かした高付加価値化

中小型液晶パネル市場のシェアをみると、大型液晶パネルとは様相が異なり日本企業が過

半数のシェアを占めている。中小型液晶パネルの特徴としては、パネルのモジュール化が大

型パネルと比較して進んでおらず、パネルのカスタマイズや高付加価値化の余地が大きい点

が挙げられる。

具体的な用途別にみると、携帯電話では、テレビ機能やセキュリティ機能といった付加価

値が求められている。液晶の画質という観点では、テレビ機能には広視野角化が求められ、

セキュリティ機能としては狭視野角化が求められる。こういった相反する特性を両立させる

技術として、視野角制御技術が注目されている。シャープはボタン 1 つで視野角を制御する

ことが可能な「ベールビュー液晶」を開発し、自社の携帯電話製品に搭載している。技術区

分別の特許出願動向をみると、日本企業からの視野角制御技術に関する特許出願は増加して

おり、シャープにみられる製品化が技術シーズの蓄積のもとで実現したことがうかがえる。

デジタル・スチール・カメラでは、カスタマイズがキーワードである。各セットメーカは

モデルチェンジごとに仕様を変更することが多い。デジタル・スチール・カメラ向けパネル

市場の世界シェアをみると、日本企業の占める割合が非常に高くなっており、このようなユ

ーザからのカスタマイズ要求に短納期・高品質で応えることができるのは、日本企業だけで

あるものと推察される。

車載パネルについては、従来のカーナビゲーションシステムのモニタだけではなく、小型

テレビとしての役割も求められつつある。これら 2 つの用途を 1 つの液晶モニタで両立させ

るための技術として、シャープは左右から見た時の画像が異なる「デュアルビュー液晶」を

開発し、製品化に至っている。

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このように、日本企業は技術シーズを上手く高付加価値製品の開発に結び付けていること

がわかる。

第3節 日本が目指すべき研究開発・技術開発の方向性

日本が有する技術競争力と産業競争力を踏まえると、今後目指すべき研究開発・技術開発

の方向性として以下が挙げられる。

○「擦り合わせ」を活かした技術開発の展開

日本の技術競争力で述べたように、日本企業は光学部材について高い技術競争力を有して

いる。付加価値化の余地が減りモジュール化が進んだ部材については、世界市場を席巻する

韓国・台湾企業であるが、位相差板の材料をはじめとする光学部材についての技術競争力は

低い。当面、光学部材市場は韓国・台湾企業にとって参入障壁が高い状況が続くものと推察

される。

光学部材は液晶モードごとにカスタマイズが必要であり、十分な擦り合わせが求められる。

組み合わせ技術に関する特許出願動向にあるように、日本企業は VA 液晶や IPS 液晶の実用化

とほぼ同じタイミングで、位相差板との組み合わせに関する特許出願を増加させている。日

本企業は、得意とする擦り合わせによって新規の液晶モードに対応した位相差板を早期に開

発し、ユーザニーズに応えうる液晶モードの開発に成功した。

今後は、日本の強みである光学部材の優位性を維持することはもちろん、光学部材のよう

に擦り合わせを要求される分野の技術開発を推進し、参入障壁の高い市場を形成していくこ

とが求められる。

○高付加価値化による優位性の維持・強化

大型液晶パネルでは、日本企業はモジュール化の進んだ PC モニタ向けからテレビ向けパネ

ルに軸足を移している。大型液晶パネルの中でもテレビ向けパネルには、「広視野角化へのニ

ーズが高い」、「個人向けでありニーズが多様」といった特徴があり、高付加価値化の余地が

ある。2004 年時点では、シャープが韓国企業と世界シェアトップを争うなど、日本企業は得

意とする技術の擦り合わせによって、多様なユーザニーズに的確に対応している様子がうか

がえる。

テレビ向け液晶表示装置の画質向上という観点では、「広視野角化」についてはユーザニー

ズを満足する製品が既に市場に投入されており、高付加価値化の余地は少なくなっている。

今後は、地上波デジタル放送の普及等に伴い、「高精細化」へのニーズが高まることが予想さ

れる。日本企業はフル HD 対応等の「高精細化」を中心に高付加価値化を進めることが求めら

れよう。

カスタマイズや高付加価値化のニーズが高い中小型液晶パネルでは、日本企業は幅広い分

野で蓄積された技術シーズを実用化し、ユーザニーズに応える形で上手く付加価値として提

供している。その結果、中小型液晶パネルでは高いシェアを有している。「第 2 節 日本の産

業競争力」では触れなかったが、コレステリック液晶や多画面表示技術、立体表示技術も有

望な要素技術であり、電子ペーパーや携帯電話などの用途では、既にこれらの技術を搭載し

た製品の開発が進められている。

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今後も、幅広い分野の研究開発を継続することによって、技術シーズの蓄積を図るととも

に、それらを上手く高付加価値製品の開発に活かすことによって、中小型液晶における優位

性を維持・強化することが望まれる。