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001 型技術 34 巻第 10 2019 10 月号 舟橋 今回は、今年設立 30 周年を迎えた㈱データ・ デザイン(名古屋市)の岡村隆)社長にお話をうかが います。同社は、製造業向け情報化支援ツール(CAD /CAM/CAE など)の開発と販売、3 次元デジタル要 素技術の研究と開発、3 次元デジタル技術を基幹とし たシステムの企画・提案を事業としています。岡村社 長にはこれまでの変遷を振り返っていただくとともに、 現在手がけるソリューションの中でも、スキャニング、 マシニング、プリンティングの技術動向、そしてこれ からの技術開発についてお聞きしていきます。 製造業のデジタルプロセスを コーディネート 舟橋 まずは、岡村社長が御社を設立されるまでの経 緯をお聞かせください。 岡村 私は大学の機械工学科を卒業後、工作機械メー カー、機械商社を経て、平成元年(1989 年)5 月に 当社を設立しました。工作機械メーカーでは、加工機 の品質保証や検査、開発などを経験し、機械商社では、 3 次元 CAD/CAM のソフトウェアエンジニアとして、 ㈱データ・デザイン 代表取締役 村隆)Takanori Okamura トヨタ自動車㈱ 素形材技術部 第 3 ダイキャスト技術室 グループ長 舟橋 Toru Funahashi 顧客の課題とニーズをつかみ、 デジタルワークフローにつなげる さまざまなソリューションを提案

19年10月号 E/34 P1 新インタビュー ビブロス・ - Nikkan...の「WorkNC」や部品加工向けの「Surfcam」の販 売および導入・運用支援サービスをメインの事業に据

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  • 001型技術 第34巻 第10号 2019年10月号

    舟橋 今回は、今年設立 30周年を迎えた㈱データ・デザイン(名古屋市)の岡村隆�社長にお話をうかがいます。同社は、製造業向け情報化支援ツール(CAD/CAM/CAEなど)の開発と販売、3次元デジタル要素技術の研究と開発、3次元デジタル技術を基幹としたシステムの企画・提案を事業としています。岡村社長にはこれまでの変遷を振り返っていただくとともに、現在手がけるソリューションの中でも、スキャニング、マシニング、プリンティングの技術動向、そしてこれからの技術開発についてお聞きしていきます。

    製造業のデジタルプロセスをコーディネート

    舟橋 まずは、岡村社長が御社を設立されるまでの経緯をお聞かせください。岡村 私は大学の機械工学科を卒業後、工作機械メーカー、機械商社を経て、平成元年(1989年)5月に当社を設立しました。工作機械メーカーでは、加工機の品質保証や検査、開発などを経験し、機械商社では、3次元 CAD/CAMのソフトウェアエンジニアとして、

    ㈱データ・デザイン 代表取締役

    岡村隆�氏Takanori Okamura

    トヨタ自動車㈱ 素形材技術部 第3ダイキャスト技術室 グループ長

    舟橋 徹氏Toru Funahashi

    顧客の課題とニーズをつかみ、デジタルワークフローにつなげるさまざまなソリューションを提案

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    まだ第 1世代の「Unigraphics」にかかわる開発などを担当しました。当社を設立した頃、金型の設計・製作プロセスにも 3次元 CAD/CAMが活用されるようになり、当社の業務も金型メーカーのお客様への 3次元 CAD/CAMの導入・運用支援を行いながら、自動プログラミング装置や CAM、DNCシステム、生産管理システムなどのソフト開発をメインとしていました。当社の社名には、「これからはさまざまなデータを先進の技術を使っていかにデザインするかが重要な時代になる」という思いを込めています。現在、製造業はもとより、社会的にもデータの重要性がより高まっていますので、設立から 30年経った今でも通用する社名をつけられたと思います。舟橋 私は 1991年に当社に新卒入社しましたが、金型の製造環境が 2次元から 3次元へと移り変わり始めた時期でした。金型の設計・製作において、コスト削減やリードタイム短縮を図るためにはデジタルデータの活用が欠かせませんし、今後もより高度な活用の仕方が課題になっていくと思います。この 30年間で製造業のデジタル化は急速に進みましたが、御社の業務内容もソフトの動作環境の向上やさまざまなデジタルツールの登場、顧客ニーズなどに合わせて変化してきたのではないでしょうか。岡村 はい。最初の変化はWindowsOSが誕生した後の 1993年頃です。当時、日本で主流だった PC-9801では動かせなかった、PC/AT対応の海外製 3次元CAD/CAMシステムのWindowsOS版の製品化が始まり、日本でも海外製品を導入しやすくなったのです。当社は、曲面処理などに優れていた金型加工向けの「WorkNC」や部品加工向けの「Surfcam」の販

    売および導入・運用支援サービスをメインの事業に据えました。各種メニューの日本語化のほか、日本の金型メーカーのお客様のニーズに機能をマッチさせるのも重要な業務で、開発元に要望を伝えると戦略的な機能がどんどん追加されていきました。この頃は、どこの CAMベンダーも日本から多くのことを学んだと思います。ただし、パッケージソフトではお客様のニーズに柔軟に応えるには限界がありますので、2000年以降はカスタマイズやオリジナルソフトの開発に力を入れ、2000年のインドを皮切りに、2002年にタイ、2005年にベトナムに開発拠点を設けました。舟橋 海外の各拠点ではどのような開発業務をされていますか。岡村 インドの拠点は IT産業が盛んなプネという都市にあり、CAD/CAM/CAEソフトのカスタマイズ、点群処理や画像処理のプログラミングなどを得意としています。近年では、点群やポリゴン、ボクセルなどのデータを取り扱うようになる中で、市販パッケージの開発用ツールキットでは対応できない、CAD/CAM/CAEの根本をなす数学的処理も含めたプログラミングやシステム設計ができる技術者が非常に少なくなっています。現在の 10人の体制から増員したいのですが、優秀な技術者の取り合いになっていて採用はなかなか難しい状況です。タイの拠点は、タイに進出した日系製造業のお客様向けに、CAD/CAMシステムなどのテクニカルサポートや開発、システム提案などを行っています。ベトナムの拠点はホーチミン工科大学との技術提携により設立しました。当社は 2005年にマイクロソフト社のパートナーになっていて、同社が提供するクラウドプ

    PROFILE

    岡村 隆�(おかむら たかのり)1960 年 1月 愛知県生まれ1982 年 工作機械メーカー入社1987 年 機械商社入社1989 年 ㈱データ・デザイン設立