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- 53 - 平成19年度ボランティア担当者・コーディネーター合 同研修会 平成19年度学校支援ボランティア・コーディネーター 研修会 木更津市教育委員会学校教育課 〒292-8501 千葉県木更津市潮見1-1 TEL 0438-23-5264 FAX 0438-25-3991 URL http://www.kisarazu.ed.jp/ 木更津まなび支援センターHP内に学校支援ボランティアのスペース有 推薦支援 センター等名 1 学校と地域の連携を内容とする研修プログラム 研修分類 2 その他( 1 基礎コース 2 スキルアップコース 研修コース 3 その他( ボランティア・コーディネーター等の資質向上の為 研修の実施に至る背景 今日、子どもを取り巻く環境が大きく変化するとともに、家庭や地域の教育力の低下が 指摘されている。また、一方で、学校に過剰な役割が求められるようになっている。この ような中、これからの教育は学校だけが役割と責任を負うのではなく、学校、家庭、地域 の連携協力が不可欠となっている。 本市における学校支援ボランティア活動推進事業は、平成10年度に開始し、平成20年度 で11年目を迎えており、木更津市の教育指針である「家庭、地域社会、学校・行政による トライアングル子育て運動」を推進するための根幹の事業として、実施されている。 学校支援ボランティア活動には、「環境整備支援」「教育活動支援」「安全支援」の三つ の領域があり、専門性がなくても「学校を支援したい」という思いだけあれば、誰でも活 動できるという点で、いわゆる「社会人活用」とは趣を異にしている。 学校支援ボランティア活動の具体的なねらいは、次の三つである。 (1)学校と家庭・地域の連携の強化 ・地域の教育力を学校へ導入することにより、「多様な特色ある教育活動の展開」 と「開かれた学校づくり」を推進する。 (2)地域内での連携の強化 ・学校支援ボランティア活動を共に行うことで、保護者・住民の連携を強化し、地 域全体で「子どもたちの健全育成を推進する」という意識を啓発する。

平成19年度ボランティア担当者・コーディネーター合 同研修会 · 2 グループ・ディスカッション 「ボランティアコーディネートの課題とその解決方法」・・・・・・参加型討論

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研 修 名

平成19年度ボランティア担当者・コーディネーター合

同研修会

平成19年度学校支援ボランティア・コーディネーター

研修会

主 催 者 木更津市教育委員会学校教育課

所 在 地 〒292-8501 千葉県木更津市潮見1-1

連 絡 先

TEL 0438-23-5264 FAX 0438-25-3991

URL http://www.kisarazu.ed.jp/

(木 更 津 ま な び 支 援 セ ン タ ー HP内 に 学 校 支 援 ボ ラ ン テ ィ ア の ス ペ ー ス 有)

推 薦 支 援

センター等名

1 学校と地域の連携を内容とする研修プログラム ○ 研 修 分 類

2 その他( )

1 基礎コース 2 スキルアップコース 研修コース

3 その他(ボランティア・コーディネーター等の資質向上の為) ○

研修の実施に至る背景

今日、子どもを取り巻く環境が大きく変化するとともに、家庭や地域の教育力の低下が

指摘されている。また、一方で、学校に過剰な役割が求められるようになっている。この

ような中、これからの教育は学校だけが役割と責任を負うのではなく、学校、家庭、地域

の連携協力が不可欠となっている。

本市における学校支援ボランティア活動推進事業は、平成10年度に開始し、平成20年度

で11年目を迎えており、木更津市の教育指針である「家庭、地域社会、学校・行政による

トライアングル子育て運動」を推進するための根幹の事業として、実施されている。

学校支援ボランティア活動には、「環境整備支援」「教育活動支援」「安全支援」の三つ

の領域があり、専門性がなくても「学校を支援したい」という思いだけあれば、誰でも活

動できるという点で、いわゆる「社会人活用」とは趣を異にしている。

学校支援ボランティア活動の具体的なねらいは、次の三つである。

(1)学校と家庭・地域の連携の強化

・地域の教育力を学校へ導入することにより、「多様な特色ある教育活動の展開」

と「開かれた学校づくり」を推進する。

(2)地域内での連携の強化

・学校支援ボランティア活動を共に行うことで、保護者・住民の連携を強化し、地

域全体で「子どもたちの健全育成を推進する」という意識を啓発する。

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(3)子どもたちの規範意識の向上

・ボランティア活動に取り組む大人たちに触れ、自らもボランティア活動に取り組

むことにより、子どもたちの規範意識を向上させる。

このねらいを達成する為に、学校と地域との連絡調整を担うボランテイア・コーディネ

ーターの資質向上及び各学校のボランティア担当の意識高揚及び様々な情報の交換が課題

となったため、上記研修会の実施に至った。

研修の企画・立案

木更津市では、ボランティア担当者(教職員)・コーディネーター合同研修会、学校支

援ボランティア研修会を企画するに当たり、以下の事項をねらいとしている。

○「学校支援ボランティア活動推進事業」を進めるに当たって、基本的事項(事業の趣旨

やねらいや推進方法など)を理解していただく。

○各学校におけるボランティア活動の情報交換の場とする。

○ボランティア・コーディネーター同士の交流の場とする。

このようなことから、対象、開催日数を決めた上で、プログラムを次のような内容及び

方法にすることとした。

<第1回 学校支援ボランティア担当者及びコーディネーター合同研修会>

1 平成19年度学校支援ボランティア活動推進事業について 等・・・・講義

2 グループ・ディスカッション

「ボランティアコーディネートの課題とその解決方法」・・・・・・参加型討論

<第2回 学校支援ボランティア・コーディネーター研修会>

3 鼎談「学校支援ボランティア活動の成果と課題、今後の方向性」・・講義

4 グループ・ディスカッション 鼎談で出た話題をもとに・・・・・・参加型討論

<第3回 学校支援ボランティア担当者及びコーディネーター合同研修会>

5 平成19年度学校支援ボランティア活動実施報告・・・・・・・・・・講義

第3回会議における分科会の様子

6 平成20年度学校支援ボランティア活動に

むけて・・・・・・・・・ 講義

7 グループ・ディスカッション「これから

の学校支援ボランティア活動について」

・・・・・・・・ 参加型討論

2、4、7については、参加者に実際に参

加してもらう方法が効果的と考え、参加型の

情報交換の場とした。話しやすい雰囲気を作

り出すために中学校区を基本にした10校前後

の小グループをつくり、その中で話し合いを

してもらうようにした。

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また、3の鼎談については、実際のボランティアコーディネーター1名・学校現場でボ

ランティア活動を推進している教職員1名、主管課として学校教育課職員1名の3名によ

り行った。立場を異にしている3名であったが、それぞれの立場で、どのような意識で・

どのような方法でボランティア活動を行っているかを話してもらうことにより、よりよい

ボランティア活動を推進する為の一助とした。

1、5、6については、主管する学校教育課からのお願いや連絡事項が主たる内容であ

った。

研修の内容

①主催及び共催

主 催 木更津市教育委員会 学校教育課

②対象者及び定員

対象者 学校支援ボランティアコーディネーター、各学校担当者(第1回、第3

回)

学校支援ボランティアコーディネーター、ボランティア(第2回)

学校教育課職員、まなび支援センター職員

定 員 無(各学校1~3名程度参加が一般的。31校あるので、50~100名程度)

実際の参加者については、下記③に参加者種類別に記載

③研修プログラムの展開内容

<第1回 学校支援ボランティア担当及びコーディネーター合同研修会>

平成19年4月24日(火) 15:30~17:00 会場:桜井公民館

参加者:地域住民16名 保護者16名 教職員31名 教育関係者7名 合計70名

15:30(10分)15:40 (15分) 15:55 16:10 (90分) 16:55

4/24

開会の言葉 〈進行〉 教育委員会 挨拶 〈初谷教育長〉

<講義> 平成19年度学校支援ボランテイア推進事業について 〈担当〉

<参加型討論> グループディスカッション 「各学校の活動について」 「ボランティアコーディネー ト の 課 題 と そ の 解 決 方法」 ※3分科会に分かれて (進行及び記録は学校教育課及びセンター職員)

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<第2回 学校支援ボランティア・コーディネーター研修会>

平成19年7月14日(土) 9:30~11:30 会場:桜井公民館

参加者:地域住民33名 保護者21名 教育関係者7名 合計61名

9:30(10分) 9:40 (50分) 10:30 10:45 (45分) 11:30

7/14

開会の言葉 〈進行〉 教育委員会 挨拶 〈初谷教育長〉

<鼎談> 「学校支援ボランティア活動の成果と課題、今後の方向性について」 木村知子(祇園小ボランティア・コーディネーター) 大胡利一 (木更津第二小学校教頭)廣部昌弘(学校教育課主幹)

<参加型討論> グループディスカッション 「学校支援ボランティア活動の成果と課題、今後の方向性について」 ※3分科会に分かれて (進行及び記録は学校教育課及びセンター職員)

<第3回 学校支援ボランティア担当及びコーディネーター合同研修会>

平成20年1月25日(金) 15:30~17:00 会場:桜井公民館

15:30(10分) 15:40 (20分) 16:00 16:10 (45分) 16:55

1/25

開会の言葉 〈進行〉 教育委員会 挨拶 〈高澤課長〉

<講義> 平成19年度学校支援ボランテイア活動状況報告について 〈担当〉 平成20年度学校支援ボランテイア活動にむけて 〈担当〉

<参加型討論> グループディスカッション 「これからの学校支援ボランティア活動について」 ※3分科会に分かれて (進行及び記録は学校教育課及びセンター職員)

④研修の実施に当たってのポイント・留意点

昨年度の研修は、「学校支援ボランティア活動推進事業」を進めるに当たって、基

本的事項(事業の趣旨やねらいや推進方法など)を理解していただくとともに、各学

校におけるボランティア活動の情報交換をしたり、ボランティア・コーディネーター

同士の交流の場とすることを目的に、実際に参加してもらう学習方法を多く取り入れ

たのが、特徴である。

グループ・ディスカッションでは、話しやすい雰囲気を作り出すため、中学校区を

基本に三つのグループをつくった。そして、3回の研修会では、なるべくそのグルー

プを崩さないことで、だんだんと顔なじみになり、情報交換がしやすいような場を作

ることを心掛けた。

また、第2回の研修会で鼎談を行うにあたり、依頼した講師に、その後のグループ

ディスカッションが、より充実したものとなるよう、綿密な打ち合わせを行い、鼎談

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内容のすりあわせを行った。

第2回研修会 鼎談の様子

その他、学校教育課の担当は、普段から、資

料作成を行うための資料収集や情報収集を行う

ように心掛けた。特に、19年度からは広報活動

に力を入れ、「ぼらん太のかわらばん」という広

報紙を発行するとともに、市の広報紙「広報き

さらづ」に毎月、学校支援ボランティアのコー

ナーを設け、各学校のボランティア活動につい

て、ボランティアに携わる方ばかりでなく、一

般の方々にも知らせることで、より多くの方に

学校支援ボランティアの理解を求めるようにし

た。

研修の成果と今後の取組

19年度から新たにコーディネーターになった方には、コーディネーターの役割について

理解することができたこと、そして様々な学校のボランティアの様子を知ることができた

ことが大きな収穫であったとおおむね好評であった。

また、数年間コーディネーターをやって下さっている方も、情報交換とともに、多くの

コーディネーターの知り合いができ、活動のやりがいや楽しみを発見することができたと

いう研修会の新たなメリットが生まれつつある。

それと同時に、学校側・ボランティア側の意識の差、次のコーディネーターのなり手が

いない、新たなボランティア人材の発掘、ボランティアメニューのマンネリ化など、各学

校・地域の問題点を、主管側として把握することに役立っている。このことを基に、次年

度以降の活動や提案を考えていく材料としている。

夏のボランティア交流集会の様子

一方で、研修会自体のマンネリ化も指摘され

つつある。上記の問題点解決のための様々な形

式の研修会を企画するとともに、毎年、夏に行

っている「学校支援ボランティア交流集会」(学

校支援ボランテイア、学校のボランティア担当、

学校管理職、学校評議員などが参加する各学校

のボランティア発表やボランティアについての

パネルディスカッションを行う集会)とのリン

クも考え、コーディネーターの資質向上を図る

ための研修会を実施したいと考えている。

執筆者職・氏名:木更津市教育委員会 学校教育課主査 石渡 勇斗

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コーディネーターからの一言コメント

木更津市は全国に先駆けて平成10年度から「学校支援ボランティア活動推進事業」をス

タートさせ、ボランティアやコーディネーターの研修会を毎年実施している。この事例は、

これまでの研修の延長として企画され、ボランティア、コーディネーター、教員、行政職

員を対象とし、学校支援ボランティアの意義や効果を確認し、更に充実を図るための諸課

題についてグループで討議を行うなど、資質向上を図るプログラムとして参考にしたい。

(木村 清一)