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12 第 1章 操作をしやすくするスイッチとランプの使い方
1つのモメンタリスイッチでランプの点灯と消灯をするプログラムは、スイッチ入力をパルスにして図3のようにつくることができます。しかしながら、モメンタリスイッチがときどきチャタリングを起こして入力信号が安定しないとうまく切り替わらなくなることがあります。 この場合は図 4のように入力に短い時間のタイマを入れてタイマの出力をパルスにしてランプを切り替えるようにします。
図 1 システム図
スイッチランプ
X00Y10
図 2 PLC配線図
PLC
入力 出力
X00 Y10
COM COM
図 3 スイッチを押すたびにランプがON/OFF する
モメンタリスイッチ
M00
Y10
X00
M00 Y10
ランプ
Y10 M00
図 4 タイマとパルス使ったプログラム
M00
Y10
T00
X00
M00 Y10
ランプ
T00 0.01秒
Y10 M00
1つのモメンタリスイッチで確実にON/OFFを切り替えるにはタイマとパルスを使う
1つのスイッチで出力のON/OFF を制御をする場合、入力のパルス信号を使うことがあります。このときにスイッチがチャタリングを起こしたりノイズが入ったりすると、切ったはずの信号が切れていなかったり、思わぬトラブルの原因になることがあります。このようなケースでは、スイッチ入力信号をタイマで延長して短いノイズを消してからタイマの接点を使ってパルス出力をつくるようにするとトラブルが解消されます。
この例では0.01 秒よりも短いノイズやチャタリングには反応しなくなるので動作が安定します。タイマ T00 の設定値を長くしすぎると、操作したときにスイッチが故障したような違和感が出るので注意が必要です。
ここがポイントここがポイント
定石1
スイッチ 1
13
図 1 システム図
後端LSX05
R10
スタート
X00
ストップ
操作パネル
X01
Y13
スイッチ
ランプ Y14
リセットリセットランプ
シリンダ後退Y12
シリンダ前進Y11
ワークカウントセンサX03
X02 Y13
コンベアモータ
前端LSX04
図 2 PLC配線図
コンベアモータ
シリンダ前進
シリンダ後退
スタートランプ
ストップランプ
リセットランプ
スタート
ストップ
リセット
ワークカウントセンサ
前端LS
後端LS
PLC
入力 出力
X00 Y10
R10
X01 Y11
X02 Y12
X03 Y13
X04 Y14
X05 Y15
COM COM
順序回路やデータをオールリセットするときには警告するリセットボタンを長押しして、PLCのメモリや自己保持回路を解除することは時どき行われます。リセットをするためには作業者が十分に長い時間リセットボタンを押していなくてはなりません。リセットランプを点滅するなどして、作業者がいつまでリセットボタンを押していればよいのかを知らせて確実にリセットできるようにします。また、リセットを実行する直前になったら点滅を早くするなどすれば、本当にリセットしてもよいのかを作業者が再確認する警告の効果ももたせることができます。
定石2
スイッチ 2
14 第 1章 操作をしやすくするスイッチとランプの使い方
定石 2 順序回路やデータをオールリセットするときには警告する
図 1の装置はコンベア先端でワークを 4個ずつ並べてシュートに落とす作業を行っています。並んだワークの数はワークカウントセンサの立下りパルスを使ってカウンタで数えています。 PLCの配線図は図 2のようになっているものとします。 カウンタの値が 4になると、コンベアを停止してシリンダを前進して 4つのワークをシュートに排出します。 図 3が制御プログラムですが、時どきワークがコンベアとシュートの間にはさまって動けなくなったり、ワークが到れたりするので、そのときには、途中で止まっている順序回路とカウンタの値をすべてリセットして最初からやり直します。 このオールリセットは、リセットボタンを 8秒以上長押しすると実行するようになっていますが、誤操作をさけるため、リセットボタンを押しはじめて 5秒するとリセットランプが点滅して、さらに 3秒経つとリセットランプが点灯したままになって、順序回路とカウンタのデータがオールリセットされたことがわかるようになっています。
M0
スタートX00
M0
ストップX01
オールリセットT11
M1
M0後端LSX05
M3
C2 M1
M1
M3
M6オールリセット
T11
C2
4回
M1
コンベアON
T100
T101
0.5秒フリッカ
M5
前端LSX04 T4
M5
M1
シリンダ後退
M3
オールリセットT11
〔RST C2〕
M6
後端LSX05 M5 M1
カウンタ
T4
1秒
0.5秒
T10
リセットX02
リセットランプ点滅開始
5秒
T11
T10リセットランプ点灯
3秒
T101
T100
0.5秒
シリンダ前進
コンベア停止
ワークカウントセンサX03
Y10
M1
オールリセット完了T11
M3
コンベアON
Y11
T4 M5
シリンダ前進
Y12
M5 M6
シリンダ後退
Y13
M0
スタートランプ
Y14
M0 M1
ストップランプ
Y15
警告T10
フリッカT100
リセットランプ
〔END〕
ここがポイントここがポイント
立下りパルスを使うとワークがセンサを通過した数をかぞえられます。
ここがポイントここがポイント
オールリセットでカウンタの値を0に戻します。このあと作業者は整列しているワークを取り除いてから再スタートします。
ここがポイントここがポイント
リセットボタンを長押しして5秒経つとランプがフリッカして警告します。
ここがポイントここがポイント
警告から3秒経つと回路をリセットしてランプを点灯します。
ここがポイントここがポイント
オールリセットですべての自己保持を解除します。
つづく
15
図 3 制御プログラム
M0
スタートX00
M0
ストップX01
オールリセットT11
M1
M0後端LSX05
M3
C2 M1
M1
M3
M6オールリセット
T11
C2
4回
M1
コンベアON
T100
T101
0.5秒フリッカ
M5
前端LSX04 T4
M5
M1
シリンダ後退
M3
オールリセットT11
〔RST C2〕
M6
後端LSX05 M5 M1
カウンタ
T4
1秒
0.5秒
T10
リセットX02
リセットランプ点滅開始
5秒
T11
T10リセットランプ点灯
3秒
T101
T100
0.5秒
シリンダ前進
コンベア停止
ワークカウントセンサX03
Y10
M1
オールリセット完了T11
M3
コンベアON
Y11
T4 M5
シリンダ前進
Y12
M5 M6
シリンダ後退
Y13
M0
スタートランプ
Y14
M0 M1
ストップランプ
Y15
警告T10
フリッカT100
リセットランプ
〔END〕
ここがポイントここがポイント
立下りパルスを使うとワークがセンサを通過した数をかぞえられます。
ここがポイントここがポイント
オールリセットでカウンタの値を0に戻します。このあと作業者は整列しているワークを取り除いてから再スタートします。
ここがポイントここがポイント
リセットボタンを長押しして5秒経つとランプがフリッカして警告します。
ここがポイントここがポイント
警告から3秒経つと回路をリセットしてランプを点灯します。
ここがポイントここがポイント
オールリセットですべての自己保持を解除します。
つづき
作業者が操作しているスイッチの状態を、ランプを点滅して作業者にわかりやすく知らせます。
ここがポイントここがポイント
16 第 1章 操作をしやすくするスイッチとランプの使い方
角度分割機構は駆動部の終端信号で制御する角度分割機構のような終端で減速するメカニズムを使った機構では、減速した部分の終端の信号を使って停止すると動きが小さいので精度よく停止できません。この機構を動かしている駆動部は減速した時にも大きい動作をするので、駆動部にリミットスイッチを付けて停止位置を検出するようにします。ここでは、パルス制御型、自己保持による制御、イベント制御型、状態遷移型による制御プログラムを紹介します。
図 1 システム図
シリンダ(ロータリエアアクチュエータ)
リミットスイッチ
後退端前進端
240°
(1)レバースライダメカニズムによって末端減速特性になっている(終端で減速してスムーズに止まる)。
X02 X03
(2)終端で衝撃が大きい前進端リードスイッチ
X02後退端リードスイッチ
X03
図 2 PLC配線図
PLC
入力 出力
X00 Y10
X01
X02
X03
COM COM
シリンダ前進スタート
後退スタート
前進端
後退端
定石3
スイッチ 3
17
図 1(1)の装置はロータリエアアクチュエータとスライダ付レバーを使った往復運動機構です。ロータリエアアクチュエータは 240 °往復回転します。ロータリエアアクチュエータの回転出力軸が 0°のときと 240 °のときの信号をリード SWで検出します。 図 1(2)の装置と制御上のプログラムはまったく同じになりますが、停止時に減速してスムーズに停止するのは(1)の方です。シリンダの取付けや運動特性を考えて、往復運動の駆動系を選択します。 この往復運転をいくつかの方法で制御してみましょう。
(1)パルス制御型プログラム スタートパルスで前進して前進端 LSのパルスで後退します。
X00 X03
〔SET Y10〕
〔RST Y10〕X02X01
スタート
後退スタート
図 3 パルスとセット・リセットを使ったプログラム
(2)自己保持による制御プログラム
図 4 自己保持回路を使ったプログラム
Y10
X00 X03 X01
X02Y10 スタートスイッチ X00と後退スタートスイッチ X01の両方を押したままにすると、往復を繰り返します。
ここがポイントここがポイント
(3)イベント制御型プログラム M1→M2→M3→M4 の順に 1 つずつ ONしてゆきます。M1 から M2 に状態が移ると、M1 は OFF
になります。動作中には M1~M4 のいずれかしか ONしません。
図 5 イベント制御型のプログラム
M1
X00 X03 M2
M1スタート
M2
X02 M1 M3
M2前進端
M3
X01 M2 M4
M3後退スタート
M4
X03 M3
後退端
Y10
M1
M2シリンダ前進
スタートと後退スタート SW を押しておくと連続往復します。
ここがポイントここがポイント
18 第 1章 操作をしやすくするスイッチとランプの使い方
定石 3 角度分割機構は駆動部の終端信号で制御する
(4)状態遷移型プログラム(a)状態遷移型(ノーマルタイプ=図 6) M1→M2→M3→M4 の順に ONしたままになり、1 サイクルが終わるとき、M1~M4 の全リレーが ONになります。
(b)状態遷移型(リセットタイプ=図 7) M1→M2→M3 の順に自己保持になり、サイクル終了のリレーM4 が ONすると、M1~M3 の自己保持が解除されて初期状態に戻ります。
(c)状態遷移型(マスタータイプ=図 8) M1→M2→M3→M4 の順に自己保持になります。M1 がマスターコントロールリレーになっていて M1 の自己保持を解除することで初期状態に戻ります。M4 は終了信号として使うこともあります。
図 6 状態遷移型(ノーマルタイプ)
M1
X00 X03 M4
M3
M1スタート
M2
X02 M1
M2前進端
M3
X01 M2
M3
後退スタート
M4
X03 M3
後退端
Y10
M1シリンダ前進
1つ前の状態を記憶しているリレーを次のリレーの成立条件にします。
ここがポイントここがポイント
図 7 状態遷移型(リセットタイプ)
M1
X00 X3 M4
M3
M1スタート
M2
X02 M1 M4
M2前進端
M3
X01 M2 M4
M3
後退スタート
M4
X03 M3
後退端
Y10
M1シリンダ前進
1 サイクルが終了したリレーM4の接点で記憶している状態をすべてリセットします。
ここがポイントここがポイント
図 8 状態遷移型(マスタータイプ)
M1
X00 M4
M3
M1スタート
M2
X02 M1
M2前進端
M3
X01 M2 M1
M3
M4
後退スタート
M4
X03 M3 M1
後退端
Y10
M1シリンダ前進
最初のスタートを記憶したリレーがONしている間、その後の状態を記憶するリレーを保持します。
ここがポイントここがポイント
19
図 3のプログラムの場合、スタート SWを長押しすると、前進端でキツツキのように ON/OFFをくり返します。 図 4のように、原点にいるときにしかスタートしないようにすると改善できます。スタートSWを押し続けると何度も往復を繰り返します。 図 5のようにすると、スタート SWを押したままにしても、スタート SWを 1回押すごとに1往復で停止します。
図 1 システム図
X02後退端LS
X01前進端LS
スタートSWX00
図 2 PLC配線図
入力 出力
PLC
X00 Y10
X01
X02
COM COM
スタートSW
前進端LS
後退端LS
長押しすると誤動作の原因となる接点は接点が有効になる条件を付けるスタートスイッチを長押ししたり、動作タイミングが変わったりしたときに、誤動作をする場合があります。この時には、スイッチが有効になる条件を付け加えたり、スイッチの信号をパルスにすることで、誤動作を修正することができます。
図 3 誤動作をするプログラム
Y10
Y10
スタートSWX00
前進端X01
図 4 スタートSWの入力条件を付けたプログラム
Y10
スタートSWX00
原点X02
前進端X01
Y10
図 5 長押しが影響しないプログラム
Y10
スタートSWX00 X02 X01
Y10
人が操作するスイッチは、いつどのように押されても誤動作しないようにスイッチが有効になる条件を付けます。
ここがポイントここがポイント
定石4
スイッチ 4
20 第 1章 操作をしやすくするスイッチとランプの使い方
図 1はワークを一定寸法に切断する装置です。PLC配線図は図 2のようになっています。スタート SWを押すと、ワーク送りモータが回転してワークをカッタの方向に送り出します。送り量検出センサが 1回転を検出したところでモータを停止します。 これでワークが定位置にセットされたので、クレビスシリンダを前進してトグル機構で増力されているカッタを下降します。下降端で 2秒経過したら上昇して 1回の作業を完了します。 この動作プログラムは、状態遷移型を使って図 3のようになっているものとします。
自動運転を停止しても機械が停止するまではスタートランプを点滅しておく自動機のランプ表示は機械の動作状態を作業者に知らせるために使われます。ストップスイッチを押したからといって機械はすぐには停止せずにサイクル停止を行います。完全に停止していない機械に、作業者が手を出すと事故になりかねません。そこで、ストップスイッチが押されても、機械が完全に停止するまではスタートランプを点滅するなどして、機械の動作が完了していないことを作業者に知らせるようにしておきます。
図 1 切断装置
スタート ストップ
リセット
非常停止
カッタ
ワーク送りモータY15
送り量検出センサ X06
クレビスシリンダ
上昇端 X05
下降端 X04
R15
R14ワーク
X00Y10
X02Y12
X03Y13
X01Y11
トグル機構
定石5
ランプ 1
21
図 3 状態遷移型の動作プログラム
M0
スタートSWX00
M0
ストップSWX01
非常停止M20
M1
M0
M2
X06 M1
M1
M2
M4非常停止M20
2秒
ワーク送りモータON
送り量検出センサ
下降端
上昇端
スタートランプON
T3
X04
T3
M2
カッタ上昇
カッタ下降
ワーク送りモータ
1サイクル作業終了
M20
M4
X05 T3
Y14
M2 T3
Y15
M1 M2非常停止M20
非常停止M20
非常停止SWX02
リセットSWX03
ワーク送りモータOFFカッタ下降
ここがポイントここがポイント
ワークをカットする作業が完了したら、動作回路をリセットします。
図 2 PLC配線図
入力
PLC
出力
X00 Y10
X01 Y11
X02 Y12
X03 Y13
X04 Y14
X05 Y15
COM COM
スタートランプ
ストップランプ
非常停止ランプ
リセットランプ
カッタ下降
ワーク送りモータ
スタートSW
リセットSW
非常停止
リセット
下降端
上昇端
X06送り量検出センサ
R15
R14
22 第 1章 操作をしやすくするスイッチとランプの使い方
定石 5 自動運転を停止しても機械が停止するまではスタートランプを点滅しておく
ランプは、操作者に機械の状態をわかりやすく表示する役割をもっているので、単に点灯するだけでなく、中途半端な状態で停止しているときなどには点滅するなどして知らせるようにします。ランプ表示部のプログラムはたとえば図 4のように書くことができます。 図 4の①の部分では自動スタート M0 が OFFになっても、ユニットが動作中のときはスタートランプを点滅するようにしてあります。切断ユニットの開始リレーは M1 ですから、M1 が ONしているときは切断作業をしているときになります。自動スタートM0 が OFFになったときにスタートランプを消してしまうと、操作者は機械が停止していると思って、カッタに手を入れてしまうかもしれません。スタートランプを点滅させて、ユニットが動作中であることを知らせます。 図 4 の②の部分はストップランプですが、自動スタート M0 が切れたことを知らせるために、M0 の b接点で点灯するようにしています。①と②とは逆に図 5のようにすると、自動スタートが切れた時にスタートランプが消灯して、ユニットの動作中はストップランプが点滅するようになります。
図 4 ランプ表示部
〔END〕
T10
T11フリッカ
0.4秒消灯時間
T11
T10
0.6秒点灯時間
Y10
自動スタートM0
スタートランプ…①
ユニット動作中M1
フリッカT10
Y11
M0ストップランプ…②
Y12
X02非常停止ランプ…③
Y13
X02非常停止M20
フリッカT10
リセットランプ…④
ここがポイントここがポイント
自動スタートが入っていないときM1がONしていたら点滅します。
ここがポイントここがポイント
自動スタートが切れたらストップランプを点灯します。
ここがポイントここがポイント
非常停止SWが解除されてもリセットが必要なときはリセットランプを点滅します。
23
図 4の③と④の非常停止部は、非常停止スイッチのロックを解除しても M20 が自己保持になっていて、リセットスイッチ X03 を押さないと非常停止信号を消すことができません。 非常停止スイッチのロックが解除されて X02 が OFFになっても、非常停止リレーM20 が ONのときには、リセットランプ Y13 をフリッカして、リセットスイッチを操作する必要があることを知らせています。 写真 1には、この切断装置のシステムを『メカトロニクス実習システム MM3000 シリーズ』を使って構成した例を示します。また、画面 1は技術五輪にも採用されているメカトロシミュレータMSV2 によるシステム構成例です。本書ではこれらのシミュレーション機能を使ってプログラムの検証を行っています。
図 5 ストップランプを点滅する
Y10
M0
Y11
M1ストップランプ…②′
スタートランプ…①′
フリッカT10
M0
②M0とM1の両方がOFFのときにストップランプが点灯する。
③M1がONのときはフリッカが働いて点滅する。
①M0がOFFのときは消灯している。
機械が動いていなくても、次の動作待ちで停止しているのか、非常停止状態なのか、作業が完了した状態で停止しているのかを区別して表示することで、作業者が安全に機械装置を扱えるようになります。
ここがポイントここがポイント
写真 1 MM3000による構成例
棒状ワークワークカット用トグル
クレビスシリンダ
ワーク送りモータダブルピンゼネバ
画面 1 メカトロシミュレータによる構成例
ワーク
モータ ワーク送り装置
ワークカッタ
24 第 1章 操作をしやすくするスイッチとランプの使い方
機械装置は自動運転で連続的に動かすだけでなく、調整やメンテナンスのときには、1つひとつのアクチェータを単独で操作することがあります。手動で装置の各部を動かすには、各部分の出力一点一点について、スイッチを配置します。1つの出力を操作したら、機械の姿勢が変化します。その変化をスイッチに割付けたランプに表示すると、手動スイッチを操作したことで機械がどのような姿勢に変化したかを操作する人がわかるようになります。 さらに、機械の原点となる側を操作パネルの右側の列に揃えておくと、手動ランプを一目見ただけで機械原点が出ていることがわかるようになります。 図 1のシステムは真空チャックをシリンダで上下して、さらにチャックをモータで回転できるようになっています。PLC配線図は図 2のとおりです。 上昇下降のシリンダはダブルソレノイドバルブで動作しています。シリンダのピストンは中空の
手動操作スイッチで出力を操作したときは出力結果をランプ表示する出力を 1点ずつ操作する手動スイッチで、機械の特定部分を操作する場合、操作した状態をランプで表示するようにします。作業者がランプ表示を見ることで、機械をどのように操作したのかがわかるようにしておきます。
図 1 システム図
(スイッチ)X00
(ランプ)Y10
下降 上昇
チャック吸引 チャック吸切
回転
操作パネル
回転停止
(スイッチ)X01
(ランプ)Y11
X02 Y12 X03 Y13
X04 Y14 X05 Y15
R19
真空チャック
チャック吸Y18
チャック回転モータ
上昇Y17
上限X06
下限X07
スプラインナット
スプラインシャフト
下降Y16
真空発生器
定石6
ランプ 2
25
両ロッドになっていて、真空発生器の負圧がチャック先端まで届くようになっています。 シリンダの先端にはスプラインが付いていて、スプラインシャフトとナットは滑るので、チャックを上下しながらモータ出力で回転することができます。 手動スイッチの操作によって機械の各部を動かしたときのランプ表示の仕方は図 3のようにします。ダブルソレノイドバルブによる下降と上昇スイッチはいずれかを押すと、ソレノイドバルブが切り替わるようにします。ダブルソレノイドバルブはいったん切り替わるとその状態のままになり、シリンダが動作します。シリンダが動作した結果、上限と下限のスイッチが変化します。その状態をランプに表示するようにします。
図 3 上昇・下降操作部のランプ表示
Y16 下降出力
下降SWX00
Y17 上昇出力
上昇SWX01
Y10 下降ランプ
下限LSX07
Y11 下降ランプ
上限LSX06
機械の状態をランプに表示しておくと、一目でどのような状態になっているかがわかるようになります。
ここがポイントここがポイント
図 2 PLC配線図
PLC
入力 出力
X00 Y10
X01 Y11
X02 Y12
X03 Y13
X04 Y14
X05 Y15
X06 Y16
X07 Y17
Y18
Y19
COM COM
下降ランプ
上昇ランプ
チャック吸引ランプ
チャック吸切ランプ
回転ランプ
回転停止ランプ
下降
上昇
チャック吸引
チャッック吸切
回転
回転停止
下降出力
上昇出力
チャック吸出力
チャック回転モータ駆動
上限LS
下限LS
R19
26 第 1章 操作をしやすくするスイッチとランプの使い方
定石 6 手動操作スイッチで出力を操作したときは出力結果をランプ表示する
図 4のチャック吸出力 Y18 はチャック吸引スイッチ X02 で ONして、チャック吸切スイッチ X03で OFFにします。自己保持回路を使って、スイッチを押したときにランプが ONしたままになるようにしておきます。
図 4 チャック操作部のランプ表示
Y12
チャック閉X02
Y12
チャック開X03
チャック吸引ランプ
チャック吸出力
チャック吸切ランプY13
Y12
Y18
Y12
ここがポイントここがポイント
シングルソレノイドバルブの手動操作ではランプ出力を自己保持しておきます。
図 5のモータ回転は、手動回転 SW X04 を押している間だけ回るようにしておきます。モータはスイッチを離したときにすぐに止まるようにしておいた方が安全でよいでしょう。ただし、回転停止スイッチ X05 を押したときも停止するようにしておきます。
図 5 モータ回転操作部のランプ表示
Y19
回転SWX04
回転停止X05
モータ回転出力
Y14
回転出力Y19
回転ランプ
Y15
Y14
回転停止ランプ
モータの連続回転のような入力信号が変化しない出力を操作したときは、出力リレーの ON/OFF を表示して、ランプ見れば出力が動作していることがわかるようにします。
ここがポイントここがポイント
モータ
上下シリンダ
スプラインシャフト
タイミングベルト
写真 1 スプラインで回転しながら上下するユニット(FAM3000シリーズ)