20
ものづくり労働組

1.ものづくり労働組合 とは - APC · 3.企業別労働組合や産業別労働組合の取り組み 労働組合は、働く人の、働く人による、働く人のための組織。一人では弱いけれど、

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ものづくり労働組合

副書記長 川野英樹

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【JAMの組織と特徴】

ものづくりと機械金属産業を担い中小労働運動を推進する。サプライヤー(部品供給会社)が多い。100人以下の組合が6割、30人以下が4分の1の構成。

推進体制

17地方 105地協 専従者178人(地方配属120名)15業種別部会(建材アルミ・住宅設備・鋼構造・ロープ製線・金属製品・鋳鍛造・バルブ・自動車・軸受・工作機械・農建機・機械・交通関連・電機・精密時計)

大手労組会議、男女共同参画・女性活動、シニアクラブ4専門委員会(組織強化・労働政策・政策政治・総務企画)個別チーム(法改正・教育研修・中小企業問題ほか)課題対策本部(雇用法制改悪阻止・ブラック企業問題)

組織数

1,910組合 382,378名

特徴

組合員

1.ものづくり労働組合 とは

1

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2

【年間総実労働時間の実態】

2.労働者を取り巻く状況

一般労働者の総実労働時間(日本)

資料:OECD Employment Outlook 2017

韓国

日本

オランダ

アメリカ

ドイツ

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【各種労働時間の実態】

3

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4

【時間外労働の実態】

資料:2016.4.1 厚生労働省プレスリリース

監督指導事業場の半数以上が違法な時間外労働を実施!

(2015年4月~12月監督指導結果)⑴監督指導の実施事業場

8,530 事業場このうち、6,501 事業場(全体の76.2%)で労働基準法などの法令違反あり。

⑵主な違反内容①違法な時間外労働があったもの

4,790 事業場(56.2%)1か月当たり 100 時間を超えるもの: 2,860 事業場(59.7%)

〃 150 時間を超えるもの: 595 事業場(12.4%)〃 200 時間を超えるもの: 120 事業場( 2.5%)〃 250 時間を超えるもの: 27 事業場( 0.6%)

②賃金不払残業があったもの813 事業場( 9.5%)

1か月当たり 100 時間を超えるもの: 362 事業場(44.5%)③健康障害防止措置が未実施のもの

1,272 事業場(14.9%)厚生労働省は、長時間労働削減に向けた取り組みとして「労働基準関係法令違反に関わる公表事案」を公表。2017年5月~2018年4月末までに送検された全国の458件が掲載されている。 資料:2018.5.31 厚生労働省プレスリリース

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2017年度労働災害実態調査によると脳・心疾患および自殺による死亡は、50代が41

件、40代が21件と続く結果となっている。亡くなった方の所定外労働時間が月60時間以上は5名であった。 5

【脳・心臓疾患の労災補償の実態】

資料:厚生労働省「労働災害請求・認定集計」

(件)

資料:JAM「2017年度労働災害実態調査」

【JAMおける死亡災害の実態】

617

690

819

742

816869

938 931889

767802

898842

784 763795

825

85

143

317 314 294330

355392 377

293 285310

338306

277251 260

45 58

160 158 150 157 147 142 158106 113 121 123 133 121

96 107

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1000

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016

請求件数 認定件数 認定件数のうち死亡件数

2 0 1 7年 2016年 2015年

59 48 45

43 23 42

4 1 6

106 72 93

 脳・心疾患による死亡

 自殺による死亡

 上記以外の死亡

合  計

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【規模別初任給の実態】

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3.企業別労働組合や産業別労働組合の取り組み

労働組合は、働く人の、働く人による、働く人のための組織。一人では弱いけれど、団結し手を取り合えば強力な力になれる。

【労働組合とは】

7

【労働組合の仕事】

労 働 組 合雇用と生活を守り向上させる

【企 業】企業との交渉で決まること労働条件など

【国・地方】法律や制度で決まること

税・社会保障など

交渉・

労使協議

政策・

制度要求

 基本給 職能給 家族手当 時間外手当 賃金計

110,100 94,800 7,560 10,200 2 2 2 ,6 6 0

健康保険 厚生年金 雇用保険 社会保険料計

9,020 15,327 1,558 2 5 ,9 0 5

所得税 住民税 税金等計

6,860 3,800 1 0 ,6 6 0

組合費 財形貯蓄 共済会費 一般控除計

3,500 5,000 1,000 9 ,5 0 0

総支給額 1 7 6 ,5 9 5

支給

控除

給与明細表と労働組合の関係労使交渉

政策・制度

要求

【労働組合と給与明細表】

「団結権」を知ってますか?

憲法第28条で「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する」と規定され、労働基本権(労働三権)と呼ばれる。

憲法第28条団結権 行使

労働組合

結成・加入

権 利

義 務

活動への参加する権利、利益を享受出来る権利役員になる権利と選ぶ権利、会計を知る権利…

組合規約や決定事項を守る義務、組合行事に参加し協力する義務、組合費を納める義務…

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➢組織率低下の要因と課題産業構造の変化:第三次産業での雇用労働者の増加就業形態の変化:非正規労働者の増加組織拡大への意識低下⇒危機感の不足労働組合の存在意義の低下⇒雇用を守る取り組みと企業競争力の向上

資料出所:厚生労働省「労働組合基礎調査」

569

668

666

577

569

572

593

608

629

646

676

698

721

766

836

897

936

980

1,01

51,04

01,05

71,08

61,12

51,16

01,18

01,18

91,21

01,24

61,25

91,25

11,24

41,23

81,23

11,23

71,24

71,25

31,25

21,24

61,24

21,23

41,22

71,22

31,22

31,22

61,24

01,25

41,26

61,27

01,26

11,24

51,22

81,20

91,18

21,15

41,12

11,08

01,05

31,03

11,01

41,00

41,00

81,00

61,00

81,00

599

698

998

898

598

899

499

8

45.3

53.2

55.8

46.2

42.6

40.3

36.3

35.5

35.5

33.5

33.6

32.7

32.1

32.2

34.5

34.7

34.7

35.0

34.8

34.2

34.1

34.4

35.2

35.4

34.8

34.3

33.1

33.9

34.4

33.7

33.2

32.6

31.6

30.8

30.8

30.5

29.7

29.1

28.9

28.2

27.6

26.8

25.9

25.2

24.5

24.4

24.2

24.1

23.8

23.2

22.6

22.4

22.2

21.5

20.7

20.2

19.6

19.2

18.7

18.2

18.1

18.1

18.5

18.5

18.1

17.9

17.7

17.5

17.4

17.3

17.1

0

10

20

30

40

50

60

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,0001947

1949

1951

1953

1955

1957

1959

1961

1963

1965

1967

1969

1971

1973

1975

1977

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1981

1983

1985

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1991

1993

1995

1997

1999

2001

2003

2005

2007

2009

2011

2013

2015

2017

雇用者数

組合員数

推定組織率

【雇用者数、労働組合員数及び推定組織率の推移】

万人

雇用者数

推定組織率

労働組合員数

労働組合組織率

17.1%

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雇用動向調査景況調査

JAM加盟全単組の経営、労務状況を把握し、方針や政策要求の策定ならびに日常活動の重要な資料とする。

【雇用動向調査】 調査時期:毎月 【景況調査】 調査時期:4月・10月

0

5

10

15

20

25

13/11

14/1

14/3

14/5

14/7

14/9

14/11

15/1

15/3

15/5

15/7

15/9

15/11

16/1

16/3

16/5

16/7

16/9

16/11

17/1

17/3

17/5

17/7

17/9

雇用に関わる新規提案件数の推移

総計

法的手続

 私的整理

希望退職

早期退職

その他

1月~3月 1,898 25 1.3 3 6 6 8 9 32

4月~6月 1,898 24 1.3 3 4 4 10 3 24

7月~9月 1,898 20 1.1 1 7 4 2 6 2 22

10月~12月 1,898 31 0.8 1 21 3 2 16 43

1月~3月 1,894 21 1.1 5 2 4 14 25

4月~6月 1,894 19 1.0 4 3 3 6 5 21

7月~9月 1,894 24 1.3 1 12 2 4 8 2 29

10月~12月 1,894 31 1.6 16 1 6 8 5 36

1月~3月 1,862 28 1.5 11 8 2 6 4 31

4月~6月 1,862 16 0.9 6 5 2 4 17

1,862 5 0.3 1 2 2 5

1,862 5 0.3 2 1 2 5

1,563

【地方JAM別】※事業所単位で集計

9

45

89

200 1 0.5 1 1

167

102 2 2.0 1 1 2

79

113

83

95

196 1 0.5 1 1

103

302

139

39

35

66 1 1.5 1 1

【規模別】※事業所単位で集計

1,064 4 0.4 2 2 4

501 1 0.2 1 1

144

100

48

5

【業種別】※事業所単位で集計140

64

296 1 0.3 1 1

644 1 0.2 1 1

217 1 0.5 1 1

206

93 1 1.1 1 1

202 1 0.5 1 1

500~999人

四 国

非鉄金属

鉄鋼業

その他

精密機器

輸送機器

電気機器

一般機械

3,000人以上

2017年9月21日

企業組織再編

2017年8月  雇用動向調査結果 総提案件数

労働条件の

 切り下げ

 B/A

倒産手続

8月

甲 信

雇用調整

 報告単組数

北 陸

新 潟

京 滋

企業単位別

金属製品

事業所・工場

の閉鎖・移転

九州・山口

2016年

東京千葉

1,000~2,999人

提 案 項 目

300~499人

北海道

北東北

静 岡

山 陽

大 阪

2017年

8月

100~299人

1~99人

7月

 組織数

東 海

北関東

南東北

神奈川

山 陰

2015年

経常利益DIの推移

労働力の過不足感の推移

【具体的な取り組み】 “調査なくして運動なし”

9

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単組活動実態ヒアリング調

全加盟単組の活動点検・把握のため聞き取り調査を4年に一回の頻度で実施。①直接訪問・ヒアリングを通じた単組活動・組織実態の把握するオルグを行う。②JAMの組織強化活動の構築と単組活動レベルの高位平準化をめざす。③地協担当オルガナイザーと単組執行部の連携とスキルアップをめざす。

➢2017年度の集約単組は、1,744単組になり、地方JAM構成組織数(支部・分会を含む)1,845組織とオブ加盟14組織の合計1,859組織(直轄組合と共済ユニオンは除く)の93.8%(前回93.3%)の集約となった。

【調査項目】 65項目 ※前回調査に5項目追加

1.機関運営…定期大会・執行委員会の開催状況、役員任期、組合費・徴収基準

2.組合活動…機関紙・宣伝物の発行・配布、署名・カンパの職場展開、共済加入活動、政策実現活動、組合員の住所録、相談活動、青年組織、OB会組織

3.活動権利…時間内活動、専従役員、組合事務所、組合事務所の使用頻度、組合掲示板、時間内の面会・電話

4.労使関係…労使協議会や経営協議会の開催、労働協約、労働協約・組合規約の配布、三六協定、安全衛生委員会、年休取得、賃金データ、経営資料、労働条件調査の提出

5.教育活動…学習会、講演会の開催、代議員・職場委員教育、執行委員研修、新入組合員研修

6.女性参画…大会の女性代議員、女性執行委員、女性組織

10

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熟練技能継承事業

機械金属産業に関わる熟練技能と指導力を有する高度な熟練技能者を、技能を身に着けようとする若者のいる工業高校や中小企業等に派遣し、実技指導により熟練技能の継承を行なう事業。①熟練技能を若年層に継承させ、日本経済を支える機械金属産業の「ものづくり」の強さを維持・発展させる。

②熟練技能を有する人財を守り、新興国への技能流出を防ぎ、国内における活躍の場を提供する。

JAM熟練技能継承事業の運営イメージ

技能指導者(高度熟練技能者)

ユーザー高等学校中小企業

技能指導

熟練技能継承推進室(コーディネーター) 活用案内

資材支援事業案内指導費用

(謝金・交通費) (材料費補助)

【具体的な取り組み②】 “ものづくりは人づくり”

派遣先 受講人数(人)

高等学校 109校 17,731

教員教育 37校 126

中小企業 22社 467

合 計 1 6 8ヶ所 1 8 ,3 2 4

申請件数 金額(円)

合 計 1 7 8件 6 ,4 1 0 ,2 0 4

受験者(人) 合格者(人)

1級 8 3

2級 396 126

3級 1,652 1,310

合 計 2 ,0 5 6 1 ,4 3 9

熟練技能継承事業の活動実績平成23-26年延べ

材料・消耗品等の購入費補助実績平成23-26年延べ

技能検定試験の結果平成23-26年延べ

11

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➢オルガナイザー育成塾の開講中堅・幹部活動家の育成を目的とした「オルガナイザー育成講座」を開講し、1年で課題別に6回

をセット講座とした研修を行う。この講座とは別に「春闘フォローアップ研修」、「初級向け研修」も必要に応じて開講する。

【第1回・賃金問題】個別賃金(年功給、職能資格給制度、役割等級制度等への対応)春季生活闘争組織化、最低賃金

【第2回・組織結成】 未組織の組織化争議指導(団体交渉、ストライキ等争議行為、地労委等の活用)

【第3回・「合理化」問題・企業経営問題・企業再建問題】労働条件切り下げ、出向・配転・転籍、事業所移転・閉鎖、整理解雇、企業危機の高度化

【第4回・倒産問題(企業再生、労働債権確保)】破産(特別清算)、民事再生(会社更生)、内整理企業再編問題(合併、営業譲渡、会社分割、企業買収、持株会社)

【第5回・組織問題】企業連による産別脱退、組織的衰退による産別脱退、組織攻撃

➢海外実践研修への派遣JAMのオルガナイザーも広い視野で労働運動を捉える必要あり、欧米の労働運動を参考に「労働

協約、賃金制度、労働組合の教育システム」などを滞在研修する海外実践研修に取り組む。

➢JAM教育体系中期方針にもとづく研修会・セミナー本部は地方JAMを、地方JAMは単組を対象に役割分担を明確にし、各段階での教育活動の

質的強化を図る。本部は「産別方針の遂行能力と組織運営能力、地方での人材育成能力、環境変化への対応能力」を高めるための研修を実施する。

オルガナイザー

育成推進室

オルガナイザーには、豊富な知識と経験に裏付けられた判断と行動力、適格な指導・助言が求められる。

ベテランの大量定年による後継者の育成と、そのための系統的な教育体系の確立が急務であり、オルガナイザー育成推進室を設置し研修制度の強化と充実を図る。

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【具体的な取り組み③】

価値を認めあう社会へ

JAMが実現しなければならない課題は、製品の価値(公正取引)と労働の価値(賃金水準)を正しく評価させ、互いに認めあう社会の実現にある。JAMは、機械・金属産業の中小・ものづくり産業別労働組合として「価値を認めあう社会の実現」をめざして、イニシアティブを発揮した運動を展開する。

13

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中小企業問題研究会

学識有識者・中小企業経営者団体・労働組合等との相互間の情報共有と研究を通じ、連携の強化による中小企業政策や中小企業対策の強化・発展に寄与することをめざす。

「中小企業問題研究会」 設立趣旨

わが国の経済は、長期デフレからの脱却に向けた政府の金融・経済対策により、円高の是正や株高により輸出関連分野を中心とした大企業の収益は改善しているものの、道半ばであり不安定的な状況下にあります。かつての欧米先進国に追いつけ・追い越せの貿易立国や大量生産・大量消費の高度成長時代を担った大企業を中心としている限り、現下の困難を克服できないのが実態です。「中小企業憲章」(2010年6月18日閣議決定)には

「中小企業は、経済を牽引する力であり、社会の主役である」と書かれています。優れた技術や技能で日本のものづくりを下支えしているのは中小企業であり、地域雇用の重要な受け皿となっています。

また、優れた技術や技能でつくられた製品が、その付加価値に相応しい価格で売買できる取引慣行の確立は、中小企業労働者の雇用と生活の安定・向上には欠かせません。賃金・労働時間など労働諸条件の不条理な格差の是正や、企業基盤の安定・強化のための政策の確立と実現は、労使共通の課題として取り組まなければなりません。

今日の危機脱出には、苦境に立たされている中小企業の活性化や強い中小企業づくりが不可欠であり「中小企業の元気が日本の未来を拓く」と確信しています。

ここに「新時代に向けた中小企業問題研究会」を設立し、学識有識者・中小企業経営者団体・労働組合等との相互間の情報の共有と親睦を深めるとともに、連携の強化による中小企業政策や中小企業対策の強化・発展に寄与することをめざします。

開催日 内 容 人数

2016年

3月10日2016春季生活闘争「中小共闘意見交換会」

・春闘情報の共有に関する取り組み

・社会的波及力に関する取り組み(付加価値の適正分配)

14名

9月12日 第12回研究会

「2016中小企業白書の概要とポイントについて」中企庁 酒井賢一

18名

10月28日 第13回研究会

「下請等中小企業の取引条件に関する調査」中企庁 田邊国治氏20名

2017年

3月28日第14回研究会

「中小企業の活性化に向けた取り組みについて」全中 及川勝氏

中小企業の活性化に向けた各団体の取り組みについて

20名

3月28日 2017春季生活闘争「中小共闘意見交換会」

・春闘情報の共有に関する取り組み

・社会的波及力に関する取り組み

14名

5月11日 第15回研究会

「下請法運用基準の見直し後の状況等について」

公正取引委員会 塩友樹氏・小俣栄一郎氏

17名

10月10日 第16回研究会

「インダストリー4.0労働組合と産業政策に与える影響」

UAゼンセン 柏田達範氏

16名

2018年

3月7日第17回研究会

「IoT・ビッグデータ・AI等が雇用・労働に与える影響を検証」

厚労省雇用政策企画官 笹正光氏

19名

3月7日 2018春季生活闘争「中小共闘意見交換会」

・春闘情報の共有に関する取り組み

・社会的波及力に関する取り組み

15名14

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「長時間労働と不払い残業対策」 (機械部品製造業・287名)

2010年1月~2012年10月の技術・開発・設計部門において、メンタル不調者や退職者が増加。労働組合から会社へ実態調査を要請し、組合もアンケート調査を開始する。

パワハラと不払い残業の存在

S課長とU係長 ⇒ 風呂敷残業やサービス(不払い)残業の奨励高負荷の業務指示、パワハラなど

【具体的な取り組み④】

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対策内容

①不払い残業の精算対象期間:2011年1月~2012年12月対象者:73名支払総額:4,230万円

②ハラスメント対策委員会の設置2013年2月に労使10名で構成するハラスメント対策委員会を設置。啓発・研修・教育に関する協議や相談窓口の開設を実施。

③労働時間対策指針の策定不払い残業撲滅と年間総実労働時間1800時間に向けた残業削減と年休取得推進を柱に「労働時間対策指針」を2013年5月に労使確認。

④所属長の処分S課長:10%の減給1カ月と九州工場へ転勤U係長:7%の減給1か月と生産管理グループ長へ降格

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「企業再編と雇用・生活を守る取り組み」(輸送用機械部品製造業・2,658名)自動車部品製造メーカー●●●㈱は、グローバルな事業展開でグループ全体では一万人を超える従業員を抱える企業。●●事業の出荷高は海外への生産移管により国内空洞化が進行、長期的な売上げ・利益の減少見込みとなっていた。2013年は赤字へ転落し▲4.8億円を計上、再建合理化案が労働組合へ提案された。

会社分割と希望退職●●事業を取引メーカーとの合弁会社へ事業分割。協

業による業界トップの開発・製造体制を構築し、徹底した原価低減で売価還元を図る目的。希望退職の募集200名、新会社へ出向・転籍450名が

必要。

対 応①希望退職の定数と条件の徹底した協議募集対象の事業部の範囲拡大退職加算金:最大36ヶ月再就職支援:希望者には紹介

②出向者への丁寧な対応職場説明会と労使協議会への反映転籍に伴う労働条件の整備新会社の労働組合設立とグループユニオン加盟

③雇用の安定に向けた労使協定雇用や労働条件に関わる一切の事項を労働組合事前協議

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ILO(国際労働機関)1944年 フィラデルフィア宣言「三者構成原則」の再確認1976年 第144号条約「国際労働基準の実施のための三者協議」1978年 第150号条約「労働行政」三者協議機構の設置

厚生労働省・労働政策審議会厚生労働省設置法第9条に基づいて労働政策の審議、調査などを行う審議会。中央職業

安定審議会や中央労働基準審議会を始めとした13審議会に分かれていたが、 2001年に各審議会を統合して、労働政策審議会が設置され、2017年に7分科会・15部会に再編された。

4.労働政策決定プロセスと課題について

雇用対策基本問題部会・雇用保険部会労働力需給制度部会・高年齢者有期雇用特別部会

地方連携部会・同一労働同一賃金部会

中小企業退職金共済部会

家内労働部会・同一労働同一賃金部会

労災保険部会・最低賃金部会・有期雇用特別部会

じん肺部会

労働条件分科会

安全衛生分科会

勤労者生活分科会

職業安定分科会

障害者雇用分科会

人材開発分科会

雇用環境・均等分科会

労働政策審議会

労働政策基本部会

管理団体審査部会

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報告書の概要①新たに基本部会を設置し、「有識者」によって基本的課題について議論をする。②一部の法律については労政審の議論自体を省略する。

【働き方に関する政策決定プロセス有識者会議報告書】厚生労働省は、2016年7月から「働き方に関する政策決定プロセス有識者会議」

を開催し、計5回の検討の後、同年12月14日に報告書を公表。

(1) 三者構成は国際的な常識労政審は、厚生労働大臣の諮問に応じて労働政策に関する重要事項を調査審議し(厚労省設置

法9条1項)、委員は公労使三者構成・労使同数により任命する(労働政策審議会令)とされている。労政審は、2001年の厚生労働省発足に伴い設置され、労使代表の参加による議論を踏まえ

て労働立法を行うことは、戦後直後から行われており、日本における慣行である。

このような三者構成・労使同数制度は、日本独自のものではなく、国際常識となっている。ILO憲章の付属文書とされているフィラデルフィア宣言(1944年)等において、労使を含む三者構成の重要性が示されており、ILOの機関も労使同数の政労使三者構成となっている。また、「最低賃金決定制度の創設に関する条約」(26号条約)、「職業安定組織の構成に関する条約」(88号条約)など、労使の参加が定められているILO条約も多数存在する。

(2) 労働現場の実態を反映させるための重要な原則労使の代表が労働政策の決定プロセスに参加し、公労使で議論を行い、労働現場の実態を

労働立法に反映させることが重要である。労働立法は、労働現場の実態を知る労使の納得のもとで導入されなければ、現場に定着することはあり得ない。

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【三者構成原則・労使同数原則の重要性】