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2 3 4 KJ - 新潟大学 · 口腔ケアに関するミニレクチャー・実技. 口腔ケアを通して考える超高齢社会の課題( kj. 法) フィールドワークの目標

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目次 開催概要と目標 2 タイムスケジュール 3 参加者名簿 4 1日目 ワークショップ 5

アイスブレーキング「心に残る学習」 口腔ケアに関するミニレクチャー・実技 口腔ケアを通して考える超高齢社会の課題(KJ 法) フィールドワークの目標 1日目のまとめ

2日目 フィールドワーク 9 1班報告書 津川病院・東蒲の里 2班報告書 デンタルクリニックツチヤ・エバーグリーン 3班報告書 豊浦病院 4班報告書 中条愛広苑・グループホームどっこん 5班報告書 よねやまの里・柿崎第 2 デイサービスセンター 3日目 ワークショップ 19 フィールドワーク体験共有 参加者の感想

アンケート 33

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平成27年度

第1回「トータルヘルスケアワークショップとフィールドワーク」

開催概要

主 催:新潟大学医歯学総合病院次世代医療人育成センター

協力者:新潟大学大学院医歯学総合研究科総合地域医療学講座

新潟大学医歯学総合病院医師キャリア支援センター・総合臨床研修センター

新潟医療福祉大学

新潟薬科大学

日 時:平成 27 年 8 月 26 日(水)9:00〜16:00

平成 27 年 8 月 28 日(金)9:00〜12:00

会 場:新潟大学 臨床技能教育センター (旭町総合研究棟 4階)

ワークショップとフィールドワークの目標

●一般目標 GIO:

「口腔ケア」を一つの切り口として、超高齢社会を支える保健・医療・福祉への理解を深め、

「チーム医療」と「多職種連携」の意義を学習する。

●行動目標(SBOs):

1. 口腔ケアにおけるチーム医療・多職種連携の意義を説明できる。

2. KJ法や二次元展開法を用い、発想できる。

3. 超高齢社会の問題点を説明できる。

4. カリキュラムとは何か、説明できる。

5. GIO と SBOs とは何か、説明できる。

6. フィールドワーク・口腔ケアなど体験実習の目標を説明できる。

7. 超高齢社会の優先課題を説明できる。

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タイムスケジュール

平成 27年 8月 26 日(水)

8:45-9:00 受付

9:00-9:05 はじめに

9:05-9:10 集合写真撮影

9:10-9:15 オリエンテーション「ワークショップとは」

9:15-9:20 「心に残る学習(絵)」について

9:20-10:00 グループ討議 1「心に残る学習(絵)」

10:00-10:20 発表 1「心に残る学習(絵)」

(休憩)

10:25-10:45 ミニレクチャー1

10:45-11:10 実技講習

11:10-11:15 「口腔ケアを通して考える超高齢社会の課題」について

11:15-12:00 グループ討議 2「口腔ケアを通して考える超高齢社会の課題」

‐‐‐‐‐‐ (昼食) ‐‐‐‐‐‐‐‐

13:00-13:20 ミニレクチャー2

13:20-13:45 発表 2「口腔ケアを通して考える超高齢社会の課題」

13:45-14:15 ミニレクチャー3

(休憩)

14:25-14:35 「カリキュラムと目標」について

14:35-15:15 グループ討議 3「フィールドワークの目標」

15:15-15:40 発表 3「フィールドワークの目標」

15:40-16:05 1 日目のまとめ・連絡

平成 27年 8月 27 日(木)

8:30-17:00 各班ごとにフィールドワークへ

平成 27年 8月 28 日(金)

8:45-9:00 受付

9:00-9:05 「フィールドワーク体験共有」について

9:05-9:45 グループ討議 4「フィールドワーク体験共有」

9:45-10:15 発表 4「フィールドワーク体験共有」

(休憩)

10:25-10:30 「WS/FWで学んだこと・感じたこと」について

10:30-11:10 個人ワーク「WS/FWで学んだこと・感じたこと」

11:10-11:50 ワークショップのまとめ・全員で一言感想

修了式

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1日目 ワークショップ

参加者名簿

学校・学部・学科 氏名 WS班 FW班

新潟大学 医学部保健学科 3年 安孫子陽一 B 4

新潟薬科大学 薬学部薬学科 5年 五十嵐李奈 B 3

新潟医療福祉大学 医療技術学部言語聴覚学科 2年 大井菜未 C 1

新潟大学 歯学部口腔生命福祉学科 2年 大野田美祈 A 4

新潟大学 医学部保健学科 2年 笹川由香 A 1

新潟薬科大学 薬学部薬学科 5年 佐々木有菜 C 4

新潟大学 歯学部口腔生命福祉学科 3年 渋木瞳 C 3

新潟薬科大学 薬学部薬学科 5年 清水茉耶 A 5

新潟薬科大学 薬学部薬学科 5年 白井柚乃 A 1

新潟医療福祉大学 医療技術学部言語聴覚学科 2年 鷹橋鈴香 B 5

新潟大学 医学部保健学科 1年 高橋尚子 C 5

川崎医科大学 医学部医学科 5年 玉川大朗 A 3

新潟大学 医学部保健学科 2年 土屋若菜 B 2

新潟大学 医学部保健学科 1年 長濱愛香 C 3

新潟薬科大学 薬学部薬学科 5年 野崎佑子 C 2

新潟医療福祉大学 医療技術学部言語聴覚学科 2年 早川絵莉香 A 2

新潟大学 歯学部口腔生命福祉学科 3年 村山未帆 B 1

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1日目 ワークショップ

心に残る学習

ワークショップの初めは、「初めまして」の緊張をときほぐすためのアイスブレーキン

グを行いました。3 つのグループに分かれ「これまでで一番心に残る学習」をテーマにし

て各自が模造紙に絵を描き、グループ内で自分の絵について説明をします。全体の発表で

は、代表者が全員の絵を 1 枚ずつ説明し、その後質問も受け付けます。個性的な絵の紹介

で笑いも起こり、十分にアイスブレーキングになったと思われます。

口腔ケアに関するミニレクチャー

歯科医師から口腔内の構造(仕組・働き)について説明を聞いた後、歯科衛生士による口

腔ケアの実演を見学しました。その後、口腔ケアグッズを用い学生同士で相互実習を行い、

実際の口腔ケアを体験しました。

他に、「誤嚥性肺炎の予防」、「ソーシャルキャピタル」についてのレクチャーを受け、知

識を深めることができました。

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口腔ケアを通して考える超高齢社会の課題(KJ 法) 「口腔ケアを通して考える超高齢社会の課題」について、KJ 法を用いて問題点の討議を

行いました。各自が思いついたことや意見をカードに書き込み、関連するもの同士を集めて

グループ化します。グループにタイトルをつけ、相互関係を考慮しながら配置し組み立てて

図解していきます。この作業の中からテーマの解決に役立つヒントやひらめきを生み出す

ことが出来ます。「超高齢社会」の単語一つをとっても、そこから想起される事態は個々の

学生によって異なり、その思いつきの中には大きな幅があるように思われます。また一方で、

共通してみられる項目もあり、それらはより重要なものと考えられました。

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フィールドワークの目標 2 日目のフィールドワークで学びたいこと、聞きたいこと、体験したいことなどを話し合

い、一般目標(GIO)と行動目標(SBOs)としてまとめました。将来の医師・看護師・薬

剤師・歯科衛生士・社会福祉士・言語聴覚士・理学療法士という多職種の立場からいろいろ

な意見がでました。各自がこの目標をもって明日のフィールドワークに臨みます。 A 班 GIO:高齢社会における口腔ケアの意義を理解し、その重要性を修得する SBOs: 1.実際の現場における口腔ケアの方法を説明できる 2.自己ケアが困難な患者における補助器具を説明できる 3.高齢者が誤嚥を起こさないようにする取り組みを説明できる 4.他職種との関わり合いを具体的に述べられる 5.高齢者に口腔ケアの重要性を説明できる 6.患者の問題点を理解し改善策を討議する B 班 GIO:超高齢社会に対応できる人材になるために、正しい口腔ケアの方法を修得する SBOs: 1.口腔ケアを行うために必要な観察点が説明できる 2.口腔ケアで使われる道具の正しい使用法を実施できる 3.口腔ケアの様々な方法を自ら実践できる 4.口腔の形態・機能について説明できる 5.摂食時のケアの様子を見学し、そのケアの必要性を説明できる 6.口腔ケアを通して多職種間での連携を行う意義について討議できる 7.嚥下機能低下を防止するためにどのようなケアをおこなっているか見

学・聴取できる 8.施設独自で行われている口腔ケアの工夫について情報収集ができる

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9.施設の利用者が困っていること、今問題だと思っていることをについて情報収集する ことができる

10.その施設での医療従事者と施設の利用者の関わり方を学び将来に応用できる 11.その施設が地域包括ケアシステムの中でどのような役割を担っているか説明できる C 班 GIO:高齢者の口腔ケアの現状を知り、その問題点をみつけ、多職種連携より自分の学ぶ分野で

活かせることをみつける SBOs: 1.患者さんがどの程度口腔ケアについて認識しているか把握する 2.口腔ケアの治療にかかわる他職種との連携を説明できる 3.患者さんのモチベーションをあげる工夫を聞く 4.現状の人材不足について不足しているか調べる 5.口腔ケアに伴う患者さんの負担を把握する 6.地域医療についてどのような取り組みをしているか説明できる 7.誤嚥性肺炎の予防と対策を述べる 8.患者さんへの意識づけ、認識のさせ方を説明できる 9.高齢者の実際の状態を把握して口腔ケアの重要性を見つける

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1日目のまとめ

「心に残る学習」で描いた絵の中から、スタッフが選んだ優秀作品の表彰が

ありました。

2日目 フィールドワーク

フィールドワークの報告 1班 新潟県立津川病院・東蒲の里

2015 年の夏はお盆が過ぎたら急に涼しくなりました。早くも初秋を感じる 8 月 27 日、

フィールドワークを行うため津川へ向かいました。私たち 1 班は、学生 4 名(新潟薬科大

学薬学部薬学科 5 年白井柚乃さん、新潟大学歯学部口腔生命福祉学科 3 年村山未帆さん、

新潟大学医学部保健学科 2 年笹川由香さん、新潟医療福祉大学医療技術学部言語聴覚学科

2 年大井菜未さん)という、幾つかの大学・学部が揃うにぎやかな構成でした。 新潟県立津川病院に到着、玄関で若狭副看護師長にお出迎えいただきました。以降のプロ

よくできました

たいへん

朝日がステキ♡で賞

土屋若菜さん

それはライダーショー?で賞

大野田美祈さん

結構な山火事!で賞

高橋尚子さん

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グラムは若狭副看護師長の司会・進行により進められました。 病院 2 階の機能訓練室で高野事務長にご挨拶をいただいた後、草野看護部長から阿賀町

の地勢および津川病院の概要を紹介していただきました。「狐の嫁入り」で有名な阿賀町は、 面積は広く、人口は年々減少傾向を示し(現在約 1 万 2 千人)、更には高齢化率 40 %以上

(県内 1 位)、などの特徴を有する地域です。この地域で医療・福祉・介護を円滑に行うた

めの津川病院の役割について、お話しいただきました。 最初のプログラムは吉村副看護師長(嚥下・口腔ケアワーキンググループ)から、誤嚥性

肺炎予防のための口腔ケアと摂食嚥下に関して、ご講義いただきました。具体的な内容は、

摂食・嚥下のメカニズム、食事や服薬時の誤嚥の予防法、口腔ケアの方法について、実際的

なお話をして頂きました。医学的知識や臨床経験のない学生に対してもわかり易く、これか

ら始まる実習のための基礎知識の確認ができました。 その後、「東蒲(とうかん)の里」にお伺いしました。この施設はショートステイとデ

イサービスも行っている特別養護老人ホームです。津川病院の隣に位置し、病院から渡り

廊下で移動できます。この施設の機能訓練指導員の五十嵐さんから「東蒲の里」での取り

組みをご紹介いただいた後、利用者が昼食前に行う嚥下体操(「瀬戸の花嫁」にあわせて

行います)、その後の食事の様子を見学しました。嚥下機能の程度に合わせた食事内容の

確認もさせて頂きました。スタッフの方の介助により、皆さんスムーズに食事を摂られて

おりました。 これにて午前のプログラムを終了し、一旦津川病院に戻り昼食のお弁当を頂きました。 午後からは、再び「東蒲の里」に移動し、午前中もお世話になった五十嵐さんに同行し、

経管・経腸栄養をされている方の口腔ケアの実際を見学いたしました。ほぼ脳梗塞により寝

たきりで意思疎通が困難な方でした。緑茶を浸したガーゼや舌ブラシ、其々の方用に加工し

た歯ブラシを使用します。それほど汚れていない印象でしたが、これは日々の口腔ケアが行

き届いているためです。五十嵐さんは、大きな声で声がけをしながらケアを行っていきます。

口腔ケアは、対象者との大切なコミュニケーションの手段となっていることも実感しまし

た。

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その後津川病院に移動し、主任理学療法士の吉岡さんから、「正しい食事のポジショニン

グ」について、ミニレクチャーをして頂きました。講義の後は、吉岡さんに加えて金澤看護

師長、吉村副看護師長、込山看護師さんの指導の下、実際にギャッチアップ 30 度の椅子に

座り、学生同士がゼリーをお互いに食べさせ合い、飲み込みを体験させてもらいました。座

学で学んだことを実際に自身で体験できたことは、学生にとって大変刺激的だったようで

す。 最後に原院長から、地域医療と津川病院の取り組みについての講義を拝聴いたしました。

高齢化の進む阿賀町が抱える医療・福祉問題と対策、その上で津川病院の目指すところを熱

く語っていただきました。この講話は、職種は違えど共に医療人を目指す学生にとって、そ

れぞれの立場から自身の将来の役割について考えるきっかけとなったと思います。 以上が私たち 1 班のプログラムでした。このように知識の習得・実習体験ともに大変充

実したものでした。プログラムの企画、そして 1 日を通して引率していただきました若狭

さんには大変感謝しております。 最後に、ご多忙のところ私たちのために時間をつくっていただきました、原先生をはじめ

とする津川病院関係者の方々、東蒲の里の皆様、そしてご協力いただきました患者さん、利

用者さんとご家族の方々に御礼を申し上げます。ありがとうございました。

2班 デンタルクリニックツチヤ・エバーグリーン 午前 9 時 40 分過ぎにデンタルクリニックツチヤに到着し、診療所内の一角にて土屋信人

院長のレクチャーを受けました。主に健診等で用いるユニットが存在する白とピンクの基

調の可愛いお部屋に、パソコンをモニターに接続し、紙資料も用いながらお話を聞きました。 平成14年に開業する前は鹿瀬診療所(現在の阿賀町)

において勤務されており、福島県境のお宅まで訪問歯科診 療に赴いておられたとのこと。 そういう幅広いご経験が今の先生のパフォーマンスに繋 がっている気がしました。

医科との連携、介護との連携、行政との連携、議員さん との連携そして歯科同士の連携を図りながら、組織的対応 と顔の見える関係構築造りを実践されてきており、今年の

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3月から新潟県歯科医師会が推進している在宅歯科医療連携室を燕地区で立ち上げられま

した。 訪問歯科診療導入には、内部体制の確立、外部との関係作り、メディカルインタビュー能

力の向上が大切であり、院長一人だけの気持ちでは長続きしないので、歯科衛生士、歯科助

手などスタッフとのチーム連携だけでなく、患者さんや家族の視点に立って、細かいところ

まで気配りする姿勢には感銘しました。 13:30~ 介護老人保健施設エバーグリーンで土屋先生と待ち合わせ、訪問歯科診療で使用する機

材、材料等を車から降ろし施設まで運びました。機材は20㌔ほどの重さがあり、運搬の大

変さを体験しました。その後、事務課長さんより施設の見学・説明をしていただきました。

介護食は館内で手作りして提供しているとのことでした。これは珍しいそうです。 そして、訪問歯科診療が始まりました。3 名の患者さんの歯科診療見学とアシストの体験を

しました。 ポータブルのレントゲン撮影器で歯のレントゲン撮影をし、麻酔の注射をして歯の根の

治療を行いました。道具さえあればどこでも歯科治療ができることがわかりました。 治療中はペンライトを持って先生が治療を行いやすいように術視野を明るくするお手伝い

もさせていただきました。義歯洗浄の方法のお話もあり、実際に口腔ケアも体験させていた

だいて患者さんと触れ合うことができました。 診療中は先生の優しい言葉がけや、歯科衛生士・助手の手際の良い準備を拝見し、熟練さ

れた方でないとスピーディーな診療は行えないなと思いました。患者さんの治療内容をわ

かりやすいようにカルテに記入し 職員へ行ったことの申し送りをしておられ、ここでも

連携の大切さを感じました。診療の後片付けをし、荷物を車に積んで施設を後にしました。

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16:00~ とても素敵なクリニックに到着後、総括を行い、それぞれ感じたことや質問をしました。 通常の診療や訪問歯科診療でお休みがない中で、大変貴重なお話をしていただき、先生のそ

の優しいお人柄に感銘いたしました。 ありがとうございました。 3班 豊浦病院 引率者 黒川 允、斎藤 真紀 参加学生 新潟大学医学部保健学科 1 年 長濱愛香 新潟大学歯学部口腔生命福祉学科 3 年 渋木瞳

新潟薬科大学薬学部薬学科 5 年 五十嵐李奈 川崎医科大学医学部医学科 5 年 玉川大朗 実習内容

8:30 新潟医療人育成センター前集合 8:45 ジャンボタクシーにて出発 9:20 豊浦病院着 9:30 金子事務長、野田看護部長、塩谷病院長代理の講義 講義は、現在の豊浦病院の規模の説明から始まった。具体的には 6 階建ての建物で 2/3/4F

は医療保険適用病床の 60 床、介護保険適応病床 120 床となっており、5/6F は介護老人保

健施設療養棟 100 床で構成されているとのことであった。基本は療養病棟で、死因の大き

な問題に誤嚥性肺炎を挙げられた。

引き続き、愛広会ネットワークとしての新潟県での施設等の説明があり、質疑応答に入

った。この地区での在宅療法のお話を聞くと、ある程度過去に遡ると看取りを含めて開業医

が対応していたケースが多かったものの、昨今、訪問診療は行うケースはあるが、看取りを

対応していないケースが大半であり、この地区の大きな問題として「どこで亡くなるか?」

「どのように亡くなるか?ケースによっては点滴や経管栄養の必要性はないのではない

か?」という話になり、実際には隣の特養での看取りの対応をこの病院で行っているとのお

話もあった。 10:00 木戸寿明先生(木戸歯科医院院長)より口腔ケアの講義を行って頂いた後に、豊

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浦病院の病棟見学を行った。病棟では実際にリハビリ(首や肩の運動など)を行っている患

者さんの見学などを行った。 12:00 昼食 13:00 口腔ケア等の実習を行うため、再度病棟へ。最初は歯科衛生士の口腔ケアの実際

を見学し、その内容を記載した処置表などを拝見させて頂いた。続いて、動揺歯がある患者

のコンサルテーションがあり、抜歯を選択され、その介助をさせて頂いた。学生は木戸先生

の思い切りの良さと実際に抜かれた歯をみて感嘆した様子であった。 引き続き、上歯の洗浄を行う患者さんがいたため、この介助も行った。口臭も強く明らか

に口腔ケアを行ったほうが良いと考えられる方であったが、一方で認知も強いため抵抗も

強く、洗浄を行うのに労力を要し、超高齢社会における治療の難しさを体験できたものと思

われた。 15:00 質疑応答 16:00 豊浦病院発

17:00 新潟医療人育成センター到着し、解散 4 班 中条愛広苑 朝から薄曇ではあったが暑くもなく、寒くもない実習日和の天候であった。午前 8 時半

に医療人育成センター前に集合した 4 班は時間ちょうどに出発した。行き先は、胎内市の

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中条愛広苑であった。約 1 時間のドライブの後に午前 9 時 40 分少し前に愛広苑に到着する

と既に事務長の佐藤さんと苑を担当しておられる歯科医師の有松先生が玄関先で待ち構え

ていて下さった。 まず施設概要についての説明を伺った。愛広苑は特養ではなく老健であるために介護保

険の適用を受ける、また特養と違って常勤の医師もいるために簡単な医療処置をすること

は可能とのことだった。入所している方の多くは長くいる方が多いのだが、老健の本来の役

割は慢性期の療養から在宅へと向かう途中に位置しているはずなのだが結局、なかなか在

宅へ向かえない方が溜まっていってしまっていることが問題である、ということだった。認

知機能が保たれている入所者の方は夫婦で入所していたり、身の回りの持ち物がたくさん

あるような環境に居られるのだが、認知症が進んでいくと誤食や誤飲などの問題もあり、だ

んだんとその持ち物が減って行くという話も伺い複雑な気持ちになった。結局、人間が生き

ていくために必要なものはそれほど多くはないのかも知れない、と思った。 施設を一通り見せてもらった後に、施設長の渡邉先生からもお話しをいただいた。渡邉

先生は現在 87 歳とのことであったが、とてもその年齢に見えず、実にテキパキと仕事をさ

れていた。 その後、管理栄養士の方から様々な形態の食事を実際に見せてもらった。刻み食、ミキサ

ー食などいろいろとあり実際に口にしてみることもできた。利用者の状況を見ながら食形

態を変えているということできめの細やかな対応をしている様子が窺えた。また有松先生

からも、この地域や施設における診療の実際について伺った。その後、歯科医師会から派遣

されているという歯科衛生士の方が口腔ケアを行っているところも見学した。歯科衛生士

の方が入り、定期的に口腔ケアを行うようになってから、高齢者施設特有の「臭い」が無く

なっていたとのことだった。そう言えば、高齢者施設にありがちな「臭い」をこの愛広苑で

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は感じることができなかった。この様な、行き届いたケアを行うことで施設の「臭い」が無

くなり、また誤嚥性肺炎などの疾病が激減していく現状を見るときに、口腔ケアの重要性を

改めて実感した実習であった。お世話になりました愛広苑の皆様、渡邉先生、有松先生にこ

の場を借りて御礼申し上げます。 5 班 よねやまの里・柿崎第 2 デイサービスセンター 参加学生 新潟薬科大学薬学部薬学科 5 年生 清水茉耶 新潟医療福祉大学医療技術学部言語聴覚学科 2 年生 鷹橋鈴香 新潟大学医学部保健学科 1 年生 高橋尚子 帯同者 黒川 (亮)、玉木 8:30 新潟医療人育成センター前に集合、点呼、全体写真を撮影 8:45 ジャンボタクシーにて上越市柿崎区よねやまの里へ出発 10:30 よねやまの里に到着 【特別養護老人ホーム よねやまの里にてオリエンテーション】 到着後、石田浩二施設長と薄波歯科衛生士にご挨拶。 施設内で、よねやまの里が属する、「社会福祉法人松波福祉会」について、法人概要とそ

れに沿う形で、介護保険法についてのレクチャーを受けた。松波福祉会には、「よねやまの

里」の他に「柿崎第 1 デイサービスセンター」、「柿崎第 2 デイサービスセンター」、「柿崎

地区包括支援センター」と合わせて 4 つの施設を有しており、それぞれの施設で、長期療

養、ショートステイ、デイサービス、訪問介護、ケアマネージメントといった事業を展開し

ているとのことである。「24 時間 365 日の支援」が松波福祉会のポリシーとのことであり、

国も同様の方針に移行しようとしているとのことであった。 個人的には、柿崎地域包括支援センターの事業内容が興味深かった。同センターは、介護

認定上「要支援」以上となる方以外も含んだ地域の高齢者全体を支援していく福祉の総合窓

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口であり、介護や健康だけではなく、財産管理やいわゆる「オレオレ詐欺」、さらには、虐

待についての相談も受けているとのことであった。これらの相談は、高齢者ご本人のみでな

く、ご家族や近隣住民も対象としており、福祉施設と地域とが相互に関わりあうことで利用

者との信頼関係が得られるのだと感じた(この報告書を書く際、某老人ホームでの虐待が報

道された。介護の現場は密室になりやすいことで問題が放置されやすい環境にあるが、事業

内容を利用者だけでなく地域全体にオープンにすることで、密室化は防げるのだと思われ

る)。

また、隣接する県立柿崎病院とは経営母体は異なるものの、渡り廊下で一続きになっている

ため、密な連携がとれており、入所者の急変時や入院が必要になった時などの対応をスムー

ズに行ってもらえるとのことであった。 一方、終の棲家となる特養の入所待ちが多いことは、この地域でも例外でなく、本来、一

時的な保護や家族のリフレッシュを目的としたショートステイが、特養待ちの場となって

しまっているという問題点についてもお話いただいた。 11:00 柿崎第 2 デイサービスセンターへ移動 【柿崎第 2 デイサービスセンターにて口腔ケアの現場見学】 薄波歯科衛生士の運転する車をジャンボタクシーで追い、柿崎第 2 デイサービスセンタ

ーに到着。昼食前であり、30 名程の利用者がフロアに勢ぞろいされていた。口腔衛生管理

体制加算、口腔機能向上加算が算定可能になったことに伴い、利用者へ月 1 回の口腔機能

評価を行うようになったとのことであった。具体的な内容は、反復唾液嚥下テスト(RSST)と「健口くん」を用いたオーラル・ディアドコキネシスで、これらをあえて利用者間にシー

ムレスに行うことで、利用者自身の口腔機能評価に対しての参加意識が高まるとのことで

あった。 その後、食事がフロアに運ばれてきた。それぞれの嚥下機能にあわせた主食が個々に配膳

され、大皿に盛られた肉料理と魚料理の希望するものを取り分ける形式で大変おいしそう

だった。魚料理は、切り身の物とフレーク状にしたものに分けられており、これも嚥下機能

別の食形態となっていた。 食前の「ごっくん体操」を行ってから、昼食を開始。魚料理より肉料理に人気があったこ

とが印象的だった。 食後は、衛生的口腔ケアを行う。薄波衛生士と、看護師の 2 か所にわかれて行われるが、

30 名の口腔ケアを 1 時間前後ですべて行えることに驚いた。

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これは、一人の口腔ケアに 5 分かからない計算とな るが、ケアの間もしっかり声掛けを行い、利用者も 笑顔でケアを受けておられた。更に、口腔ケアだけ ではなく食後の排泄、下肢等の運動を一連に行った うえで、各利用者の個室へ誘導(その後は昼寝をされ るとのこと)するところまでが一本の動線上でシステ ム化されており、一切の無駄な動きが無いことに感動 した。後に薄波歯科衛生士からお話しを伺ったが、口 腔ケアを待たせては、利用者の口腔ケアに対してのモチベーションが落ちてしまうため、ス

ピードには大変気を使っているとのことであった。 13:30 「中野茶屋」にて昼食 14:30 よねやまの里へ移動 【特別養護老人ホーム よねやまの里にて総括と質疑応答】 最後に薄波衛生士、渡辺次長から、口腔ケアの取り組みについて、ご説明をいただいた。

薄波衛生士は、元々、歯科衛生士の資格を有していたが、ケアマネージャーとして松波福

祉会で働かれていたとのこと。ケアマネージャーの仕事にも慣れてきたところで、再度、歯

科衛生士としての活躍の場がほしいと、理事長に直訴までされたとのことである。当時は、

上記のような保険算定や、口腔ケア自体も一般的なものではなく、口腔ケアの価値をグルー

プ内に浸透させることに大変苦労されたことを渡辺次長からもご説明いただいた。 また、今後、団塊の世代が利用者となる時代が来るが、現在の利用者とは価値観や健康に

対する意識、残存歯の数等、状況が大きく変化することが予測される。それぞれの世代にあ

った対応も課題となるとのお話しもあった。 質疑応答では、清水さん、鷹橋さん、高橋さんいずれも積極的な質問と多くの感想が述べ

られた(詳細については、感想文の頁をご参照ください)。多職種連携における口腔ケアの位

置づけをよく理解してくれたようである。 16:00 よねやまの里非公認キャラクター「よねっしー」に見送られながら新潟市へ出発 17:00 新潟医療人育成センター前に到着・解散

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3日目 ワークショップ

きのう何を見て聞いて感じたか

2日目のフィールドワークで訪問した施設で見て、聞いて、体験したことをもとに、それ

ぞれの班で前日に設定した目標を達成できたか、どんなことが印象的だったかを報告し合

い、スライドにまとめて発表しました。

参加者の感想

新潟大学医学部保健学科3年 安孫子 陽一 今回「口腔ケア」について学ぶことができるということで、自分の専攻ではほとんど触れ

る機会がない知識を深めることができる、貴重な機会になると思い参加することにしまし

た。 口腔ケアについては、以前ボランティアで健康教育を行ったときに、「パタカラ体操」を

行っていたことがあり、だいたいの概要はぼんやりと知っていましたが、深くまでは掘り下

げず、表面的なことしか理解していなかったので、今回のこのワークショップとフィールド

ワークで学んだことは非常に多くありました。 今回、自分は介護保健施設に伺い、口腔ケアは勿論のこと、介護の実際の現場を見学した

りもできました。施設には、高さの低いベッド、ブザーのなるマット、リハビリ器具など高

齢の方、障害のある方がより快適、かつ安全に過ごせる設備が充実していてとても驚きまし

た。 口腔ケアについては、衛生士さんが一人ひとり、汚れがあるか、虫歯があるかなどのチェ

ックをスピーディーに、かつ正確に行っている姿が非常に印象的でした。話を聞くと、自分

で歯を磨くより衛生士さんにケアを行ってもらった方が、磨き残しもなく汚れが付きにく

いそうなので、入所者の健康がしっかり維持が出来ると言っていて、介護現場における口腔

ケアの必要性を改めて認識することができました。 また、自分の見学した施設では、高齢者のお口の健康を保つ、すなわち食べたり、話した

りする楽しみをきちんと感じることが続けられるように、歯科領域職種(歯科医師、歯科衛

生士)だけでなく、それ以外の職種の方々も連携して工夫していることが、この実習の中で

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一番心に残りました。看護師、介護職の方がケアにあたっているのは勿論ですが、言語聴覚

士や管理栄養士なども、そういった「楽しみ」を守る重要な役割を果たしていることを初め

て知りました。言語聴覚士はお口のケア、そして嚥下機能の評価などを行い、歯科衛生士さ

んに報告などを行ったり、管理栄養士に評価を報告してその人が摂取する食事形態の参考

にしたりしているという話を聞き、今まであまり関心が向けられなかった職種の人が、実は

とても大切な働きをしていたのだと改めて感心しました。栄養士の方は百人以上いる入所

者の献立、栄養、食事形態について事前に情報収集をし、施設の高齢者の方が少しでも食べ

る楽しみを感じてもらえる工夫を懸命に凝らしていたことが非常に強い印象を受けました。

さらに、歯科医師の方からもレクチャーを受け、命を守る、そしてリハビリの役割を担う「口

腔ケア」の必要性をしっかり認識することを学び、お口のことについてはあまり関わらない

他職種(検査技師など)の人にも必要になる知識だなと感じました。 今回のワークショップとフィールドワークを通して感じたのは、「口腔ケア」という一つ

のケアだけでも様々な職種の人が関わりあい、お互いに知識を共有する「多職種連携」が現

場できちんとなされているな、ということです。超高齢社会に向けて、今後自分が医療人と

して現場に出たとき、何ができるかについて考えることができた、非常に貴重な経験になり

ました。気になる人にはお口のことについてお声掛けしたりできるなど、いつか患者さんの

ことをより気遣うことができるような人になりたいなと思いました。 新潟薬科大学薬学部薬学科5年 五十嵐 李奈 最初、「口腔ケア」と言われてもピンとこないような状態でこのワークショップに参加し

ました。薬学部では「超高齢社会」や「多職種連携」と言う言葉はよく耳にしますし実際に

授業でも学びますが、口腔ケアに関しては全くと言っていいほど触れていませんでした。薬

を飲み込むうえで必要な嚥下機能や剤形の選択ばかりに目を向けていましたが、今回のワ

ークショップやフィールドワークを通して、もっと口腔ケアについての知識を身に付ける

べきだと思いました。 フィールドワークでの豊浦病院の見学は、歯科医師の方に付き添い患者さんのケアを間

近で見ることができました。高齢者の方は、普段なにげなく私達ができている歯磨きや食事

も誰かの助けを借りなければ満足に行えない人が沢山います。その方たちへのケアの仕方

にも様々あり、一人ひとりに合った方法で行うことはとても大変だと思いました。豊浦病院

では、外部から来る訪問歯科医師が患者の口腔内の状態を把握し、カルテを作って看護師や

介護士、歯科衛生士がケアする際に困らないよう工夫していました。やはり常勤医師ではな

いため、日々のケアは看護師さん達に任せるしかなく、情報共有の大切さを感じました。今

後の情報はどんどん電子化され、誰がどこにいても瞬時にやり取りできるシステムの開発

も進んでいくと思います。ただ先輩の医療従事者の中にはそういった変化に対応できない

人も少なからずいるようで、これから新しい時代を担っていく私達の役割はそんなところ

にもあるのかなと感じました。 ただ、どれだけ医療が発達し情報が電子化したとしても、人と人の繋がりは無くしてはい

けないものです。「多職種連携」とあるように、様々な専門知識を持った人が一つのチーム

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を組んで一人の患者を支えることこそ、よりよい医療を築く第一歩だと思います。豊浦病院

ではミールラウンドというものを行っており、3ヶ月に1回程いろんな職種の人が患者の

食事の様子を観察し、それぞれの観点から口腔ケアや嚥下について話し合う場を設けてい

るそうです。私も薬剤師としてそこに加わり、薬の飲み込みやそれに伴う剤形の選択などの

点で他の職種の方と関わっていけるようになりたいと思いました。今回、話しを聞いたとこ

ろによると、薬剤師も患者の歯磨きの手助けを行っても問題ないとのことなので、正しい知

識を身に付け少しでも手助けになれれば良いと思いました。 今回のワークショップ全体を通して、口腔ケアに薬剤師が関われる事は何だろう?と考

えて、薬の飲み込みにも影響してくる嚥下についてより深く学べたと思います。唾液の分泌

を促す体操や正しい歯磨きのやり方など、薬学部にいただけでは学べない、より現場で必要

となってくる知識を沢山身に付けることができました。貴重な体験をさせて頂けたことに

深く感謝致します。これからの学習に繋げたいと思います。 新潟医療福祉大学医療技術学部言語聴覚学科2年 大井 菜未 今回の WS/FW では、初めてする活動が多く、自分なりの課題や反省もみつかり、とて

も収穫の多い3日間でした。 まず、初日の WS について。私はこれまで他大学で年齢や学部も異なる人達と意見を交

わす機会がなかったため、1つのことについてそれぞれの異なる視点から意見が飛び交う

のが新鮮でした。初日は講習と討議が交互に行われ、決められたスケジュールに従って次か

ら次へと課題をこなしていきました。私たち C 班は WS において、活発な意見交換が行わ

れたものの、時間配分に苦しめられる部分が多く、決められた時間通りにスムーズに活動が

できるよう、先読みした行動と無駄のない行動が行えるようにすることが課題だと感じま

した。 次に2日目の FW について。私は、阿賀町にある津川病院と、それに隣接する特別養護

老人ホーム東蒲の里に実習に行きました。私は、来月に臨床実習を控えているため、まだ実

習の経験がないのでこれが初めての臨床実習となりました。津川病院では職員の方の温か

い歓迎があり、限られた時間の中、様々なプログラムを私達の為に用意してくださいました。

まず津川病院の説明で、阿賀町では県内で1番の高齢化が進んでいるため、急性期医療、地

域医療、高齢者ケアという3つの特徴を持っていると伺いました。その中でも、地域医療の

ことが印象に残っていて訪問診療・看護のために電子カルテを導入していたり、ナイトスク

ールという地域と医師の意見交換の場が設けられていたり、24時間365日連絡を取れ

る体制で地域の在宅医療を支えていたり、様々な取組みをしているようでした。実際、昼食

休憩の際でも、看護師さんからの阿賀町の紹介、お勧めのスポットやお祭りについて教えて

もらい、地元愛を感じました。東蒲の里では、言語聴覚士の資格を持つ機能訓練指導員の方

が、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士など幅広い職を担う形式で働いていました。その

方の案内で、施設で行っている嚥下体操や経管栄養前の口腔ケアを見学させていただきま

した。その後また津川病院に戻り、口腔ケアやポジショニングの体験、嚥下食の食べさせ合

いをしました。ポジショニングではギャッチアップ 30 度と 90 度を体験させてもらい違い

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を体感することができました。嚥下食はお茶をゼリー状にしたものをいただきました。食感

が面白く印象的でした。 3日間全体を通じてすごく得るものが多く忘れられない経験になりました。 新潟大学歯学部口腔生命福祉学科2年 大野田 美祈 今回のワークショップとフィールドワークの行動目標の中に、「口腔ケアにおけるチーム

医療・多職種連携の意義を説明できる」というものがある。これについてワークショップと

フィールドワークを通して理解が深まった。 ワークショップでは、それぞれ違う分野を学んでいる学生が集まって話し合うことで、自

分が持っている視点とは異なる視点に触れることができた。例えば、薬学部の学生からは、

薬の作用で口腔や顎骨に与える影響を、看護を学ぶ学生からは、老々介護や認認介護などの

状況と口腔ケアの関わりについて聞くことができた。以前から、自分が学ぶ分野にかたまら

ず、様々な視点を持って物事を考えられるようにしたいと思っていた。実際にその様々な分

野を学んでいる人と話をしてみることが重要になってくるということを強く感じた。 フィールドワークでは、多職種連携について現場を見て理解を深めることができた。口腔

ケアというと、歯科医師や歯科衛生士など歯科分野に特化したことのように考えていた。し

かし、実際見学させていただいた施設では、言語聴覚士も積極的に関わっていた。言語聴覚

士は痰などを吸引する資格があり、その資格は口腔ケアを行ううえで有利だとうかがった。

私は、今歯科の分野を学んでいるのだが、他の職でも歯科分野に関わりがあるものが存在す

ると分かり、将来働くうえでは他の職種についても理解をし、そのうえで協力していくこと

が必要だと感じた。それぞれの職で専門的にできることがあり、患者さんに対しては良くし

ようという同じ気持ちを持っていると思うので、お互いに理解し、協力関係を築けるように

していきたいと思った。 今回のワークショップとフィールドワークを通して、今までより考え方の視点を増やせ

たように思うので、今後の学習へ活かしていきたい。 新潟大学医学部保健学科2年 笹川 由香 この度のトータルヘルスケアワークショップとフィールドワークでは様々な学習ができ、

大変貴重な経験となりました。1日目は屋内にて、他大学、他学部の様々な分野で学ぶ、日

頃大学では出会うことのできない多くの学生の皆さんと交流しながら、一緒に講義を受け

たり、グループワークをしたりして基礎的な知識や理解を深めました。初対面であったため

とても緊張していましたが、話し合っていくうちに考え方や視点がそれぞれ異なっている

と感じ、多くの発見をすることができたと思います。 2日目は、5つの班に分かれ、県内の病院や施設を見学させていただきました。私は阿賀

町にある県立津川病院と併設されている東蒲の里を見学させていただきました。津川病院

は急性期医療と同時に、在宅療養支援病院として在宅療養生活のケアも担っており、入院時

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から退院調整看護師やケアマネージャー、家族などを含め在宅への移行支援を行っている

とのことでした。在宅への移行後は「出向く医療」としての訪問看護や訪問診療、巡回診療

を行ったり、24 時間 365 日看護師が常駐しサポートを行ったりすることで、地域での生活

をより安心したものにできるよう尽力されています。また「ナイトスクール」を開き高齢者

を中心とした地域住民への健康教育を行い、健康への意識づけをしたり予防知識をつけた

りと、町全体で、高齢者同士で、自分自身で、健康を支えられるよう支援も行っています。

私は「ナイトスクール」のような活動は保健師など行政が行うものというイメージを持って

おり、病院がこういった活動をしていることに驚きました。今回のテーマである「口腔ケア」

については、津川病院でも東蒲の里でも、重点を置いてケアを行っていることがわかりまし

た。院内では看護師が毎食後スポンジブラシを用いて口腔ケアを行っているそうです。また

患者さん向けや家族向け、職員向けのパンフレットを作成し、口腔ケアの重要性の理解を広

めるよう取り組まれています。院内で嚥下・口腔ケアワーキンググループを結成し、研修を

行い、院内での嚥下・口腔ケアの中心となって活動されているそうです。東蒲の里では入所

者や利用者の方々の自主性を尊重しつつ、歯ブラシで口腔ケアを行っていました。ほとんど

の方が自分自身で食事を摂取し、口腔ケアをされていて、職員がアドバイスやサポートをす

る形をとっているようでした。食事前には誤嚥予防体操を行っており、職員と一緒に利用者

の方々が楽しそうに体操をしている姿がとても印象的でした。 3 日目は参加者全員が集合し最終報告を行いました。初日よりもスムーズで活発なグルー

プワークや発表となり、他班の体験や情報を共有できたと思います。今回見学させていただ

いた病院や施設では、それぞれが持つ限られた資源や環境の中で嚥下・口腔ケアを積極的に

多職種と連携して行っていることがわかり、現在の臨床の現場での取り組みから口腔ケア

と多職種連携の重要性を考えることができました。 私はこのワークショップ・フィールドワークから貴重なものを沢山得ることができたよ

うに思います。関わってくださった皆様に感謝しています。本当にありがとうございました。

この経験と感謝の気持ちを忘れることなく今後に活かしていきたいと思います。 新潟薬科大学薬学部薬学科5年 佐々木 有菜 単科大学だとあまり他職種との連携がなく、初めての他職種とのワークショップでした。

口腔ケアというテーマで、異なる職種の学生の意見を聞けて、とても良い経験になりました。

また、今までシラバスはもっていても GIO、SBOs に着目したことがなく、具体的な目標を

立てて行動する大切さを知りました。 私が訪問した中条愛広苑という胎内の介護老人保健施設は特別養護老人ホームに入る順

番待ちや、重度の認知症の人などが暮らしていました。転倒防止やベッドを低くしたり、夜

に一人でトイレに行かないようにベッドを離れたらブザーが鳴る、ドアを開けたら風鈴が

鳴るなどの工夫がされていました。歯科衛生士さんが口腔ケアを行う様子も見学でき、その

時はスムーズにケアが行われていると感じたのですが、後程ここまで手早くできるように

なるまで大変な努力があったことを知り驚きました。最初は歯科衛生士さんが入っても口

腔ケアを希望する患者さん、家族が少なく赤字になってしまったそうです。今でもたとえ数

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千円でも断る患者さんの家族がいて、患者さん本人からクレームが入ることがあるそうで

す。また、家族の了承を得られとしても、患者さんがケアを嫌がり殴られることもあると聞

きました。口腔ケアを行う前に顔を覚えてもらい、コミュニケーションをとることが重要だ

そうです。患者さん、家族とコミュケ―ションから始まるところは医療従事者全般が必要だ

と思いました。訪問した施設では、薬剤師は不在で、薬剤はすべて外注とのことでした。薬

はディケアの方を見ると、名前が書いてあるポーチに小分けして入っていて、ファイルで服

薬確認・家族の人と連絡しているとのことでした。薬剤師が何故不在なのか尋ねたところ、

介護施設におく法律がないこと、人件費がかかる、就職を希望する人がいないという3点が

あがりました。薬剤師のコストパフォーマンスや意義については厳しい意見をよく耳にす

るので、薬剤師が必要とされるにはどうしたらよいか考えるきっかけになりました。施設の

昼食時に栄養士さんの意見を聞いたり、歯科の先生から口腔ケアの説明を受けることがで

きました。他に ST、PT さんのお話しも聞くことができ、今回の施設で様々な職種の方の

意見を聞くことができました。また、学内でのグループワークでも他職種の学生と関わるこ

とができ、良い体験となりました。 新潟大学歯学部口腔生命学科3年 渋木 瞳 私は、多職種連携について学びたい、そして今回のテーマに「口腔ケア」と「超高齢社会」

という歯科と福祉に関連することがあったので参加してみようと思いました。 1日目のワークショップでは KJ 法で「口腔ケアを通して考える超高齢社会の課題」につ

いて討議し、口腔ケアや福祉に関してはなじみがあると思っていたのですが、他の学部の方

たちの意見を聞くと、全く違う視点からの意見がありとても参考になりました。多職種連携

が重要であるというのはすごく言われていますが、今回のワークショップを通して、お互い

の知識を合体させてより良いものができるといった点で、とても重要であるということを

学ばせていただきました。 2日目のフィールドワークでは、口腔ケアの重要性について再認識することができまし

た。とても印象に残っているのは訪問診療で先生が作成途中の義歯を調整する時に立ち合

わせて頂いた時のことです。患者さんはだんだん痩せてきていて、早く新しい義歯で食事を

し、元気を出してほしいとおっしゃっていました。その患者さんは一見、元気がない様子で

したが、先生が「次、新しい入れ歯を持って来るよ」と言うと、喜んでいました。このこと

から、食べることというのはQOLの向上に大きく関わっていると感じました。そして、食

べる機能を維持するためには、ただ噛めるということだけでなく、嚥下機能や栄養状態、全

身の健康状態など様々な面でのサポートが必要になってくるのだと思いました。今まで口

腔ケアというと、歯科医師や歯科衛生士が率先してやっていかなければいけないというイ

メージでしたが、様々な医療従事者のサポートが同じくらい重要でチームとなって一人ひ

とりの高齢者を支えてくことが大事であると学ぶことができました。 フィールドワークでお会いした木戸先生は患者さんに対しての思いがとても強く、地域

での独居老人をみんなで支えていかなければならないとおっしゃっていました。超高齢社

会ではこのような姿勢がとても大切であると感じました。

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今回の経験を活かして、歯科領域だけでなく様々な場面で活躍できる歯科衛生士になり

たいです。 新潟薬科大学薬学部薬学科5年 清水 茉耶 今回、薬学部の学習ではあまり触れられることのない分野においてのワークショップで

したが、実際に薬剤師としてトータルヘルスケアにどの様に関わることが出来るか、また多

職種との連携を学ぶ点として他学生がどの様な考えを持ち、何に着眼しているかを知る良

い機会となりました。口腔ケアの不良が引き起こす全身的影響や社会的影響というものも

深く考えたことがありませんでしたが、フィールドワークで現場を見ることで口腔ケアが

生活に及ぼす影響を感じることが出来ました。例として、食事の摂れなかった施設利用者が、

口腔ケアで痛みや出血を抑えたことで食事が出来るまでに回復したことや、10年間口腔

ケアに取り組んだことで施設内の発熱者数が格段に減り、近年ではインフルエンザの感染

も減少傾向である、という実績が挙げられますが、これらのことからも食生活の向上や感染

予防と口腔ケアの深い関わりを感じられました。また、口腔ケアを行っている際に、医薬品

が入れ歯に挟まっている事例があったことも知ることがで、服薬上の問題としても嚥下や

口腔状態が関わってくることを知りました。今回の事例では、歯茎に化学やけどを負ったと

言う話でしたが、ビスホスホネート製剤による顎骨壊死の患者さんの口腔も実際に見せて

いただくことができ、薬の及ぼす作用の危険性や実際の状態も知ったことで、どの様に患者

さんへの指導として活かすことが出来るか考え直す機会となりました。指導中、口腔を見る

機会はあまり無いものと考えていましたが、副作用の出易い薬剤を利用している患者さん

などには積極的に口腔状態を見せていただくなど、その様な行動を起こしやすいよう口腔

ケアの知識を伝える活動が必要だと感じています。 今まで、言語聴覚士の仕事について深く考えてはいませんでしたが、口腔に関するリハビ

リや指導と言うものが生活の中で思いのほか高い比重であることなど、参加学生との討論

でも感じることができました。また、今回よねやまの里で介護職としてではなく歯科衛生士

という職で働く方からお話しを聞けたことで口腔ケアの実際を見ることが出来たことは勿

論ですが、社会で未だ認められていない分野の中でも職能を活かし、自分のやるべきことを

進めれば結果が出せることを痛感しました。 未だ勉強不足な分野が多いため、現存する仕事でしか薬剤師の職を活かす場が思いつき

ませんが、様々な場での知識を深め、職能を活かした活動を行えればと強く感じました。今

回この様な場に薬学生として参加させていただいた経験を大切にして、今後学んでいきた

いと思います。 新潟薬科大学薬学部薬学科5年 白井 柚乃 今までは、口腔ケアや嚥下について、話に聞いていたことはあったが、どのように行って

いるのかは分からないことが多かった。また、先日まで行っていた臨床実務実習で、がん治

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療に触れる機会が多くあったのだが、副作用の口内炎の対策に口腔ケアを勧めていた。患者

さんからもケアの方法について尋ねられることも少なくなかったので、今回のフィールド

ワークで、どのようにして口腔ケアが行われているかを実際に見学や体験することで学べ

た。歯磨きの方法に関しても、力の加減や歯ブラシの持ち方等を指導して正しくケアをして

もらうことが大切だと知ることができた。また、自分でケアが出来ない患者さんに対しては

看護師さん等の医療スタッフがケアを行っている。その際には、患者さんに声を掛けてから

ケアを始めること、患者さんが疲れないように配慮して行うことを学べた。そして、口腔ケ

アの重要性について医療従事者に対しては浸透しているが、患者さんやその家族に対して

はあまり浸透していないことを知った。誤嚥性肺炎防止目的であること等、なぜ行っている

のかを指導して把握してもらうことで、口腔ケアの重要性を理解して、実行してもらうのが

大切なのではと感じた。 嚥下に関しては、嚥下困難な患者さんに対しての服用の方法を考える上で学べたことが

多くあった。今までは粉砕や簡易懸濁をすれば服用できると思っていたが、嚥下が困難な方

はそれでも誤嚥を起こしてしまうことを知った。粉砕や簡易懸濁に加えて、ゼリーにしたり、

とろみをつけること、また錠剤をゼリーに埋め込んだりする等の工夫も必要なのだと感じ

た。食事から応用して考えることもできるのだと学べた。 今回、このワークショップに参加することで、口腔ケアについて抱いていた茫然としたイ

メージをより詳しい知識に変えることができた。そして、実際にフィールドワークで口腔ケ

アを体験できたことで、患者さんの感覚や気持ちを知るための助けになった。この経験を今

後の学習や将来の業務に活かしていきたい。 新潟医療福祉大学医療技術学部言語聴覚学科2年 鷹橋 鈴香 今回の3日間の活動で一番学んだことは自分から学びに行く積極性です。言語聴覚士が

支援していく分野の中に摂食・嚥下・ヘルスケアがあります。ですが、”言語聴覚士”という

職名の中には、口腔機能の改善に関連した言葉は出てこず、まだ詳しく講義でもふれていな

いこともあり、どんな支援をするのかよく分かっていませんでした。口腔ケアが近年重要視

されていることは知っていましたが、具体的なものが見たい、利用者の方の様子がみたい、

また多職種の方々との連携を通しての言語聴覚士の役割は何なのか興味を持ち参加しまし

た。 1日目から5人1グループでの活動がはじまり、他大学の学生との医療に関する取組み

を初めて体験しました。学年も学科も違う中からそれぞれが今ある知識を活用して話し合

い、まとめていく作業はとても新鮮で自分の考えを共有し、伸ばしていくことの大切さを学

びました。また、お互いの口腔の観察をし、自然と自分から話しかけられるようになりまし

た。1日目の最後には2日目にあるフィールドワークに向けて GIO や SBOs を設定しまし

た。1日目のグループメンバーとはまた違うメンバーで体験するということだったので、目

標について少しでも自分が得た知識を持ち帰り、グループで共有することができるか、また

現場での様子をみることで、将来にどれだけ活かすことができるか考えながら一日目の活

動を終えました。

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2日目は、よねやまの里という老人福祉施設を見学させていただきました。よねやまの里

はいくつかの施設に分かれており、私たちのグループはその中のデイケアサービスセンタ

ーで歯科衛生士の方の口腔検査、食事前の体操、食後のブラッシングを見せていただきまし

た。特に印象に残ったのは食後のブラッシングで、私は実際に利用者の方へブラッシングさ

せていただきました。見ているだけと違い、歯の根元の掃除はとても大変で力加減にも気を

使いながら行いました。今回のフィールドワークで言語聴覚士の仕事はわかりませんでし

たが、口腔ケアの大切さ、利用者の方や他職種の医療従事者との関わりの大切さを学ぶこと

ができました。 3日目には、また1日目と同じグループで体験してきたことを共有しました。それぞれが

違う観点から様々な職のヘルスケアを見て話し合えたことはとても貴重で想い出に残る3

日間になりました。そして自分の意見を持ち、積極的に発言する良い機会になりました。 新潟大学医学部保健学科1年 高橋 尚子 今回の WS と FW に参加させていただき、自分にとって大きな学びの機会になり、今後

何ができるのか考えることができた。 まず、第一に多職種連携という視点について、深く考える場になった。1日目の WS で、

学んでいる分野の異なる学生同士で話合いを行った。各自が用いる用語に、それぞれの専門

用語が含まれたり、自分が知らない専門的なトピックスがでたりした。それぞれの意味を確

かめ、教えてもらうことで知識を増やし、見方をひろげることに繫がった。 また、学んでいる分野が異なることで、問題について注目する観点が違うというのを知るこ

とができた。 第二に、医療現場において多職種が協力することが必要不可欠であるということを、改め

て学ぶことができた。各専門職が自分の分野の職務に専念し、利用者様に最適なサービスを

提供するために、皆が力を合わせることが非常に大変でもあることを、現場を見学させて頂

く中で感じた。私が見学させて頂いた場では、高齢者の昼食後の口腔ケアが、とてもスムー

ズに行われてシステム化されている印象を受けた。このレベルまで持ってくる為に、中心と

なって取り組んでいる方の努力や、周囲の方を取り込んで共に協力し合うという意識づけ、

利用者様やご家族の理解など複合的に考え行動することの大切さを教わることができた。 第三に、実際に体験させて頂くことの重要性を感じることができた。ディケアセンタ―の

利用者様の口腔ケアを、学生一人ひとりにさせて頂く機会を用意してもらえた。スタッフの

方と利用者様との間に、日々の中で深い信頼関係があったからこそ、利用者様が笑顔で学生

に歯を磨かせてくださったのだと感じた。そして、自分の目で見て、実際に歯や舌のケアを

行うことで、高齢者の方に接する時の注意点や、口腔ケアの大切さを考えることに繫がった。 今回の WS と FW で学んだり感じたりしたことを、今後の学びの場や、卒業後に医療の

現場で働く時に活かしていきたいと思う。これからの超高齢社会において、「チーム医療」

や「多職種連携」はとても重要であることを、大学1年生の今の時期に現場を実際に見て体

験することができた。自分には何ができるのか、何が必要なのかを考え、実際に行動に移し

て取り組めるようになれるように生活していこうと思う。

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川崎医科大学医学部医学科5年 玉川 大朗 いつもとは異なる夏季実習を経験でき新鮮な3日間でした。毎回医学科の学生だけだと

考えていることがだいたい似てくる傾向にあり、面白みがなかったです。 今回、歯学科や薬科、言語聴覚学科、保健学科といったチーム医療に欠かせないメンバー

が口腔ケアというテーマを通して自分の専門性を発揮しながら、お互いに共通認識として

実習に取り組めたことが大きな収穫であった。超高齢社会において口腔ケアが患者さん、入

居者のQOLの改善や予防に繋がり、地域社会の活性化を導く方法の一つだと感じた。いつ

も大学病院にいると、急性期の患者が多く、なかなか口腔ケアの現場に立ち会えることは難

しく、また、慢性期の患者に会えていないという事もある。 実際に、ベッドで抜歯や入れ歯の噛み合わせといった歯科治療を見学できたことは、今後

の臨床実習では経験できないと感じた。地域の歯科医は在宅で介護を行っている方や、いつ

も来ていた患者さんが急に来なくなったら、お家まで行って診療してみたいと感じ、必ず行

ってしまうとおっしゃられ、歯科医としての地域医療が少しであったが理解することがで

きた。 口腔ケアの重要性については、誤嚥性肺炎の合併を防ぐものとしてしか考えていなかっ

たが、歯科衛生士の方は、患者さんの感染症(発熱、咽頭炎、インフルエンザ)の発症リス

クの軽減、口臭や出血が改善したなど口腔ケアを行って1ヶ月ですぐ症状に反映すること

が分かると、嬉しそうにおっしゃっていました。口腔ケアが、患者と医療従事者にとってよ

り良いものであるとは思っていなかった。 わずか3日間であったが、自分の経験をお互いに共有し、口腔ケアとは何かを考えさせら

れた良い実習であった。 新潟大学医学部保健学科2年 土屋 若菜 私がこのワークショップに参加した理由は、3年間看護について学んだことを生かして、

もっと色んなことを、色んな人と学んでみたいと思ったからである。そのため、今回のワー

クショップのテーマである口腔ケアを一つの切り口として、超高齢社会を支える保健・医

療・福祉への理解を深め、「チーム医療」と「多職種連携の意義を学習する」は私にぴった

りであると感じた。普段大学では関わることのない薬科大・医療福祉大の人達や、先生方と

こうして一つのテーマについて講義・学習を深めることができ、とても新鮮だった。お互い

に学んでいる分野が異なるため、グループワークでは、私が看護で学んだことに基づいた意

見を述べると、違う専門分野の視点に基づいた意見が返ってきたり、私が知らないような知

識を得ることができたし、学生の段階から異なる職種を目指す者で会話・意見交換すること

の楽しさを感じることができた。また、一日目では KJ 法やカリキュラム、GIO と SBOs な

どこれからの学習にも役立つことを知ることができた。目標を立てることは学習の中で必

要不可欠なことであり、今までに何度も行ってきたが、GIO や SBOs といった、きちんと

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した記述方法に則って目標を考えたことはなかったので、これからに生かせると感じた。 二日目のフィールドワークでは、デンタルクリニックツチヤ、エバークリーンといった施

設を見学し、実際に訪問歯科診療を行っている様子を見たり、院長さんが行っている取組み

や燕市・弥彦の高齢化に伴う歯科の課題についての話を聞いたのだが、歯科と医科の連携、

口腔の健康を保つことによる全身への影響、訪問歯科診療の困難さ・意義などとても興味深

い内容だった。口腔ケアについては、演習で学習したことがあったり、公衆衛生看護の授業

の一環で歯科健診を行う模擬計画を立てたりなど、今までにも学習してきていたが、実際に

歯科医師で地域の課題の解決に取り組んでいる方のお話を聞くことで、具体的な内容や様

子を知ることができた。エバーグリーンでの訪問歯科診療の見学では、持ち運びできるバキ

ュームや半導体レーザーを用いて、施設内で治療を行っている様子を見ることができた。 SpO₂や顔色をこまめに観察し、治療を続けても大丈夫か確認するなど、安全に配慮した治

療を行っていた。口腔ケアを行うことで誤嚥性肺炎の頻度が実際に低下していると職員の

方から聞き、重要性をあらためて実感できた。これから 2025 年問題など、高齢化に伴う課

題が多く残るなかで、私たちは医療職として働いていくことになるのだが、そのなかでも、

常に「自分には何ができるか」「どのような人達と協力すれば問題が解決できるか」「より多

くの人がより健康に暮らせるためにはどうしたらよいか」を自分なりに考え、実行していき

たいと思った。 新潟大学医学部保健学科1年 長濵 愛香 今回、はじめて参加させていただいたのですが、先輩方の知識や経験の豊富さに圧倒され

っぱなしの3日間でした。それと同時に自分の知識の無さも痛感しました。3日間の中で聞

かせていただいた話や、体験の中で思い浮かんだのは、私のひいおばあちゃんのことです。

胃ろうをしていたのですが、歯磨きってしていたかな?と思い出してみるのですが、歯磨き

の場面を思い出せませんでした。そこで、昨日、家族に確認してみたのですが、口を使って

食べている訳ではないからあんまり歯磨きって意識していなったかも…。と言う答えが返

ってきました。当時、ひいおばあちゃんはよく熱を出していたので、もしかしたら、歯磨き

をしていたらもっと体調が良くなったのではないかと3日間で口腔ケアのことを学んだ今

の私なら思うのですが、残念ながら、ひいおばあちゃんは亡くなってしまっているので、“た

ら、れば”話になってしまい、もう何もしてあげることは出来ません。2日目の豊浦病院で

歯の治療の際に何となくひいおばあちゃんのことが頭に浮かんで、腕を押さえたりするの

が少し辛かったです。しかし、口腔ケアがどれほど大切なのか分かったので、重要な仕事な

のだと思うことが出来るようになりました。 私は、看護師として将来働きたいと思っているのですが、患者の口腔ケアが看護師の重要

な仕事でもあるということを知って、もっともっと勉強したいという思いが大きくなりま

した。病気を治すということだけではなく、患者さんに寄り添うというのも看護師の大切な

仕事だということを大学で学んだのですが、それが今回聞いた入れ歯の話と関連するなと

思いました。女性の方は歯がないのを気にされるという話、妻に入れ歯をあの世へ持たせて

あげたいから早く作って欲しいという話、写真を撮りたいから入れ歯を早く作って欲しい

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という話。これらは、直接的に健康に影響を与える要因ではないけれど、患者さんに寄り添

ってケアをするときにとても大切だという風に感じました。機能的な役割の歯ではなく、モ

チベーションを挙げる役割の歯の存在を知ったような気がします。1人の患者さんに対し

て様々な職種から、様々なアプローチができるのを改めて感じましたし、だからこそ、それ

ぞれの職種の人々が連携していくことが大切だと実感しました。班で発表した際に“他職種

連携”と“多職種連携”の2種類の漢字を使いましたが、今は、多職種連携の方がピッタリ

だと思っています。将来、看護師として働く際には、ひいおばあちゃんにしてあげられなか

った口腔ケアをしっかりと患者さんに出来る看護師になりたいと思います。 最後に、何も分からない私をメンバーとして受け入れてくれた参加者のみなさん、そして

このような貴重な機会をつくってくださったスタッフのみなさん、すべての方々に感謝の

気持ちを伝えたいと思います。 本当にありがとうございました。 新潟薬科大学薬学部薬学科5年 野崎 佑子 初日の全体の意見交換・発表を通じて、自分が今まで口腔ケアの問題に対して関心度が低

かったことを感じました。しかし、グループで考えを出していくうちに問題点等が見えてき

ました。2日目の FW では、デンタルクリニックツチヤさんの所でお世話になりました。

クリニックの設備には、車椅子に座ったまま撮れるレントゲン装置や、車椅子から診察台に

移す際に肘置きが邪魔にならないように折り畳み式になっていたり、体の自由がきかない

患者さんのためのうがいをする場所が取外せ、自分で持てるようになっていたりと、工夫が

多くて驚きました。そういった工夫がなされているのは、メーカーさんと歯科医師さんとの

連携というものが大きいと知り、医療スタッフに限らず、メーカーさん等との幅広い連携と

いうものが実感できました。また、老健施設での歯科治療の見学もさせていただきました。

私は、今回の FW で訪問歯科治療を行っていることを初めて知り、とても勉強になりまし

た。訪問治療をするにあたってのシステム構築や道具を取り揃える為の費用の負担等は容

易でない事がよく分かりました。実際、訪問治療のニーズは多くあり、地域によって体制の

充実に差があると土屋先生は問題視されていました。地域差があることの要因の一つには、

地域との繋がりが弱いことが挙げられ、そこでも連携の重要性を実感することができまし

た。 先生がおっしゃっていたことで、「顔と顔との連携」という言葉が印象に残りました。顔

と顔との連携とは、実際に会ってコミュニケーションをとり、話しをする中で医療人同士、

または医療人と患者さん(またはご家族)との繋がりが持て、現状の把握から問題点の抽出

までできる関係が様々な場面で役に立つということでした。自分が将来薬剤師になった時

に、薬に直結しなくても様々な分野に興味をもっていこうと思えた3日間でした。また、口

腔の分野にこんなに踏み込んで学ぶことができたのは初めての経験だったので、大変勉強

になり、まだ知らない領域が多いことを感じました。口腔ケアだけでなく、介護領域にも触

れることができ、介護の現状を見たり聞いたりすることで、今後自分が薬剤師として患者さ

んと接する場面ではその患者さんに合わせた対応を心掛けようと思いました。そして土屋

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先生もおっしゃっていましたが、自分が働く地域の現状や特性を知っておくことも重要と

いうのは、自分が関わる地域の問題や患者さんの問題を掘り起こし、改善に向けて尽力でき

ることに繫がるので、連携のポイントになると思いました。患者さんや一般の人、医療に関

わるスタッフ等、困っている人、相談したい人の窓口役になれればいいと思いました。多く

のことを学べた今回の WS と FW はたいへん為になり、今後この経験を活かしていきたい

です。 新潟医療福祉大学医療技術学部言語聴覚学科2年 早川 絵莉香 トータルヘルスケアワークショップとフィールドワークに参加してとても有意義な3日

間を過ごすことができました。他学校や他学科の方々と関わる経験は今まで全然なく、初め

は緊張していて大丈夫なのかとても不安に感じていましたが、グループ討議や発表を何回

も重ねていくことで、それぞれの課題について深く考えていくことができました。 1日目は、まず”心に残る学習”で一人ひとり今まで感銘を受けた出来事を絵にし、説明す

るということをしました。ユニークな絵や経験を聞くことができてとても楽しい学習でし

た。次に実技講習をしました。二人一組になって口の中を見あいました。舌ブラシはくすぐ

ったいものだから強くやった方が良いと聞きましたが、人の口の中なので、加減が分からず

難しいものでした。しかし、その後自分がされる立場になって、初めてそのくすぐったさを

経験し、もっとこうすれば良いなと気付くことができたので良い講習になったと思います。 2日目は1日目とは違うグループを作って、実際の現場へ行き学習しました。私はデンタ

ルクリニックツチヤに行きました。そこでは医療費の問題、人手不足の問題など様々な話し

を聞かせていただきました。歯医者にいって治療する事はあっても歯科医師の方の考えな

どを聞くという経験は今までなかったので良い経験になったと思います。難しい内容で、今

まで考えた事もないようなこともありましたが、医療職に将来携わるのを目指している身

としては、知らないことを知っていく事はとても大切だと気付かされました。クリニックで

話を聞いた後はエバーグリーンという施設に行き、訪問診療の見学をさせていただきまし

た。診療所での診療と訪問診療では、治療内容に大きな差があるのかなと思っていましたが、

そんな事はなく訪問の場合は移動や準備に時間があって大変ではあるけれども、道具さえ

あれば出来るし、大きな違いはないと聞いて驚きました。また、訪問先での思いがけない事

態に色々考えて治療しなくてはならないこともあり、技量も上がると知って、訪問診療は大

切なものなのだなということを学びました。 今回、参加してみて連携の大切さを学び、他職種を目指している人々と関わる事は大切だ

と思い、自分からもっと外へ外へ意欲を持って学んでいかなければならないことに気付か

されました。とても良い経験になりました。 新潟大学歯学部口腔生命福祉学科3年 村山 未帆 私は、今回のフィールドワークで津川病院と東蒲の里で見学実習をさせて頂きました。

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津川病院は阿賀町唯一の病院であり、急性期医療・地域医療・高齢者ケア等、阿賀町の人々

の健康や医療のすべてを担っているという病院でした。通院可能な患者さんに対して、津川

病院内で行われる集める医療と、バスの本数が少なく、高齢世帯で外出が難しい人などに対

して、在宅で行われる訪問診療、訪問介護、集会場を回って診察を行う巡回診療などの出向

く医療の両方が行われていました。高齢化が進んでいく中で、この集める医療と出向く医療

のバランスが重要になってくると教えて頂きました。また、1人の高齢者の方が様々な疾患

や問題を抱えており、それが相互にからみあって口腔内の問題や摂食・嚥下の問題、病気

等々が引き起こされているため、様々な職種が連携して1人の高齢者の方をチームで支え

るということが必要不可欠になってくると思います。そのような中で津川病院では連携フ

ァイルを用いて、多職種の人が切れ目なく介入し、また、行った処置内容や患者さんの様々

を記録することで、多職種間で情報が共有でき、1人の患者さんを多面的にサポートするこ

とができるのだと感じました。また、電子カルテシステムも導入され、訪問先でも病院と同

じカルテを見ることができ、同じように医療が提供できるのだと思いました。口腔ケアはお

口の中をきれいにするというのが最大の目的ではありますが、それだけではなくお口の中

の状態を見ることで全身の体調や健康状態を知ることができたり、コミュニケーションの

場になったりと様々な役割や効果があるのだということを感じました。 普段同じ学科の人としかほぼ交わりがなく、医療について話すときも自分の専門分野に

対する話や視点が主になってしまうのですが、今回 WS と FW に参加して同じ医療系の他

学科の方々とお話しをして、それぞれの専門分野からの視点で医療の話をすることができ

てとてもよい刺激になったし、今後多職種連携をしていく上で、自分の専門領域に対する知

識や高い専門性を身に付けることが必要不可欠であるということと同時に、自分の専門分

野だけに留まらない幅広い知識や他職種に対する理解がとても重要なのだと思いました。 最後に阿賀町は緑が豊かでとても多くの自然に囲まれた良い地域で、津川病院の看護師

さんも優しくてとても良い雰囲気で様々なプログラムを用意して下さって、とても楽しく

多くの事を学び経験し、吸収してくることができました。本当にありがとうございました。

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アンケート 今回のワークショップ・フィールドワークを通して、参加した学生の口腔ケア・多職種連

携に対する意識に変化がみられるかどうかを調査することを目的に、ワークショップ・フィ

ールドワークの開始時と終了時に、参加者全員にアンケートを施行しました。 アンケートは、口腔ケア・多職種連携について特化したオリジナルで、口腔ケア・多職種

連携に対するイメージ、コミュニケーション、将来の進路などについて、計 19 の質問項目

からなります。それぞれ、visual analogue scale(VAS)を用いて回答する形式としました。

各項目について、それぞれプレアンケートとポストアンケート間で比較検討しました。統計

学的検討には Wilcoxon の符号付順位検定を用い、統計ソフトとしてヒューリンクス社の

「SYSTAT 11 Windows 日本語版」を用いました。その他に、プレアンケートでは口腔ケ

ア・多職種連携についての自由意見を記入式で設問し、ポストアンケートでは今回のワーク

ショップ・フィールドワークについての自由意見を記入式で設問しました。 アンケート結果を見ると、

・ 口腔ケアについて知っている ・ 口腔ケアは重要である ・ 口腔ケアにはやりがいがある ・ 誤嚥性肺炎を説明できる ・ 超高齢社会において誤嚥性肺炎の対策は必要である ・ 医療に関わる上で他職種との連携は重要である ・ 医療に関わる際、他職種との連携には自信がある ・ 「ソーシャルキャピタル」という言葉について説明することができる ・ 健康状態には、その人個人の要因だけでなく住んでいる地域の要因が影響する ・ 健康状態には、その人の社会的・経済的要因が影響する 以上の項目でワークショップ・フィールドワーク終了後は有意に VAS が高値となっていま

した。ワークショップ、フィールドワークの経験から、口腔ケア・誤嚥性肺炎・多職種連携・

ソーシャルキャピタルについて、その基本的認識・重要性についての理解を深めることがで

きたのではないかと思われます。アンケートの結果からも、今回のワークショップ・フィー

ルドワークは、学生が医療職へのモチベーションを上げるよい機会となったのではと考え

ています。

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質問項目 プレ ポスト p 値

1 口腔ケアについて知っている 37.1 75.1 p<0.001

2 口腔ケアは重要である 87.1 94.6 p<0.01

3 口腔ケアは歯科医、歯科衛生士の仕事である 58.8 46.5 n.p.

4 口腔ケアは看護師の仕事である 58.8 48.4 n.p.

5 口腔ケアは言語聴覚士の仕事である 54.8 48.3 n.p.

6 口腔ケアにはやりがいがある 67.9 91.6 p<0.001

7 誤嚥性肺炎を説明できる 48.6 80.7 p<0.01

8 超高齢社会において誤嚥性肺炎の対策は必要である 84.9 93.1 p<0.01

9 医療に関わる上で多職種との連携は重要である 90.1 95.6 p<0.01

10 医療に関わる際、他職種との連携には自信がある 35.6 70.0 p<0.001

11 地域住民と話すことが苦にならない(相手を想定した場合に) 46.8 52.1 n.p.

12 「ソーシャルキャピタル」という言葉について説明することは 16.2 66.4 p<0.001

13 健康状態には、その人個人の要因だけでなく住んでいる地域の要因が影響する 69.9 81.2 p<0.05

14 健康状態には、その人の社会的・経済的要因が影響する 70.8 82.5 p<0.05

15 患者(患者家族を含む) と話すことが苦にならない(相手を想定した場合に) 42.6 45.4 n.p.

16 行政職(福祉課長や保健師など) と話すことが苦にならない(相手を想定した場合に) 41.2 45.4 n.p.

17 病院外での勤務によって、医療人の能力は低下すると思う 21.7 24.2 n.p.

18 将来働きたい場所は : へき地 44.9 55.5 p<0.01

都市部 52.9 60.1 n.p.

19 将来働きたい医療機関は : 診療所 49.8 54.0 n.p.

小規模 54.1 55.6 n.p.

中規模 59.2 62.9 n.p.

大規模 58.1 61.2 n.p.

大学病院 55.6 61.2 p<0.05

【アンケート結果】

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ご協力いただいた施設

有松歯科医院

医療法人愛広会 豊浦病院

介護老人保健施設エバーグリーン

介護老人保健施設中条愛広苑

柿崎第2デイサービスセンター

グループホームどっこん

デンタルクリニックツチヤ

特別養護老人ホーム東蒲の里

特別養護老人ホームよねやまの里

新潟県歯科医師会

新潟県立津川病院

(五十音順)

実習を受け入れていただき誠にありがとうございました。

心より感謝申し上げます。

新潟大学医歯学総合病院 次世代医療人育成センター

〒951-8520 新潟市中央区旭町通 1-754 TEL:025-227-0885 URL:http://www.nuh.niigata-u.ac.jp/jisedai/