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Vol.24 No.131 Decemb r1978 865 2. B S 主局主要設備i 2.l アンテナ系B S 実験用アンテナ(第 2.1-1 図)は,CS-K バン ドアンテブと対になって,実験庁舎の屋上l ζ設置されて おり ,アンテナの機械的梢造及び駆動系は,ほぼ同じよ うな椛成l となっている。そのためアンテナ系,駆動系で は説明が第 2 昔日 2.1 と重複しないように留意した。 Bs CS のアン テナシステム の最も大きな追いは偏波( B S は直線, CS は円偏波)である 。 したがって,BS は偏波角度の制御という機能が必要であり ,給m 系, ill 尾系 IC も直線偏波l ζ対応 した設計がなされている。 2. l.l シス テム構成 B S ア ンテナシステムは,第 2. 1-3 I f ζ示すように, 直径 13 m カセグレンアンテナを中心としたアンテナ 系,給電系 ,駆動系及び追尾系によって椛成される。辺 信信号は,給電系で=衛星の{雨波角度 fC 一致するように似 波変換された後,アンテナ系へ送り込まれる 。受信信号 も同様IC 侃波変換(送受平行)され,テレビ( TV〕信 号は TV受信系へ送り出される。テレメトリ TLM) 信号と ,方向誤差,偏波誤差信号は,低雑音周波数変換 器( LNC )を通って追尾受信装置に入る。 乙の出力が 誤差m 圧 として自動追尾K 用いられる 。 アンテナ及び偏 波角度の駆動制御と監視並びに追尾受信装置の遠隔制御 は,主局 1 階にまとめられた制御卓(第 2.1-2 図)から 集中的K行われる。 *尼品武之(街Ill. 研究部術展rr11 研究室), (鹿 μ 支所第二字1li 通信研究室),川旧 Jllj キ(同第三千: iii 通信研究室) 2. 1-1 B S 実験月1 アンテ ナ 2.l. 2 アン テナ系 (1 )構成 アンテナの形式は,直径 13m鋭面修整カセグレン形 で,7 ウン卜方式はアジ 7 ス,エレベーション(Az El )型である。受信された信号は,第 2.1-4 IC 示すよ うに主反射鋭,副反射鋭, 4 枚の集束反射鋭及びコノレゲ ートホーンを通って給電系に入る。送信の場合,信号の 流れは受信の場合と全く逆になる。集束反射鏡は,上の

2. B S主局主要設備 - NICT - トップページ | NICT-情報通 …. 24 No. 131 Decemb巴r1978 865 2. B S主局主要設備 i 2. lアンテナ系ド B S実験用アンテナ(第2.1-1図)は,CS-Kバン

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Vol. 24 No. 131 Decemb巴r 1978 865

2. B S主局主要設備i

2. l アンテナ系ド

B S実験用アンテナ(第 2.1-1図)は,CS-Kバン

ドアンテブと対になって,実験庁舎の屋上lζ設置されて

おり,アンテナの機械的梢造及び駆動系は,ほぼ同じよ

うな椛成lとなっている。そのためアンテナ系,駆動系で

は説明が第2昔日 2.1と重複しないように留意した。 Bs とCSのアンテナシステムの最も大きな追いは偏波(B

Sは直線, CSは円偏波)である。したがって,BSで

は偏波角度の制御という機能が必要であり,給m系, ill

尾系ICも直線偏波lζ対応した設計がなされている。

2. l. l システム構成

B Sアンテナシステムは,第 2.1-3際Ifζ示すように,

直径 13m カセグレンアンテナを中心としたアンテナ

系,給電系,駆動系及び追尾系によって椛成される。辺

信信号は,給電系で=衛星の{雨波角度fC一致するように似

波変換された後,アンテナ系へ送り込まれる。受信信号

も同様IC侃波変換(送受平行)され,テレビ(TV〕信

号はTV受信系へ送り出される。テレメ トリ (TLM)

信号と,方向誤差,偏波誤差信号は,低雑音周波数変換

器(LNC)を通って追尾受信装置に入る。乙の出力が

誤差m圧として自動追尾K用いられる。アンテナ及び偏

波角度の駆動制御と監視並びに追尾受信装置の遠隔制御

は,主局1階にまとめられた制御卓(第 2.1-2図)から

集中的K行われる。

*尼品武之(街Ill.研究部術展rr11111研究室),l11tl~ 年,.;·;: (鹿μ支所第二字'1li通信研究室),川旧 Jlljキ(同第三千:'iii

通信研究室)

第2.1-1図 B S実験月1アンテナ

2. l. 2 アンテナ系

(1) 構 成

アンテナの形式は,直径 13m鋭面修整カセグレン形

で,7 ウン卜方式はアジ7 ス,エレベーション(Az

El)型である。受信された信号は,第 2.1-4図IC示すよ

うに主反射鋭,副反射鋭,4枚の集束反射鋭及びコノレゲ

ートホーンを通って給電系に入る。送信の場合,信号の

流れは受信の場合と全く逆になる。集束反射鏡は,上の

;i"』 2. ト2 図アンテナ r1111御ょ;z及ひ’追尾11~1御1;£

8飴

アンテナ系 l動

一装

一l「

一置

駆動制御装置

ー→lll」ー「

島区

動告I] 御 l卓

給電系

引二割問」」

口巧一l-4吉田一一

L N G

sd一-

U一ー一T」」

(受信系)・

電波研究所季報

送信系より

TV受信系へ

追尾受信装置

テレメトリ装置レンジング へ

一一+ R F信号

===C> 制御信号

一一一ー系の境界

第2.1-3図 B Sアンテナシステムの構成

副反射 鏡 ¥ιてケープl主反射鏡

/ 丁

#2

#1~# 4集束反射鏡

第2.1-4図 アンテナ系における受信信号の流れ

第2.1-1表 B Sアンテナの機械的特性(唱は測定値)

アンテナ形式 鏡面修整カセグレン形

7 ウント形式 Az/El 7 ウント

給 電 方 式 コルゲートホーン

4 回集束ビームJ~

主及び副反射鏡直径 13m, 1.3 m

主反射鏡鏡面精度 0.26 mm PMS*

Az軸鉛直皮 o. 0022°ホ

Az/El 紬直交皮 o. 0006。*

電気軸と鏡輸の一致皮 o. 0051。(El45つ*

角度検出精度 Az o. 0031。, ElO. 0060°*

運用可能風速 平均20m/sec

アンテナ総重量 約50トン(可動部のみ)

1枚(桝)がAz-El軸とともに,残りの3枚(帯1~拘)

が Az軸と共に回転する。コルゲートホーンは固定され

ているので,送受信機等も Az-El軸回転に対・し固定で

き,信頼性及び保守性に優れたものとなっている。とれ

らを,下から基礎構造部, Az回転構造部, El回転構造

部が支えている。

Vol. 24 No. 131 December 1978

相対利得(dB)。

-5

-10

-15

-20

-25

867

相対利得(dB)ol

- 51

-10

-0.4 -0.2 0 0.2 0.4 Az角度一O.4 -0. 2 0 0. 2 0. 4 El角度

アンテナ中心角 Az225. 3 DO El 37. 330 偏波垂直 周波数 11.7125GHz (BSビーコン使用)グラフ横軸角度はアンテナ中心角との差

第2.1-5閃 B Sアンテナの近柄"ノ守ターン

(2)機械的特性

良好な電気的特性と追尾特性を得る基礎として,機械

的強度,精度は非常に重要である。 BSアンテナ系は,

乙れらの点、に十分注意を払って製作されているo主な特

性を,第2.1-1表lζ示す。鏡商精度による効率析を,

第E部,式(2.1-1)によって計算すると, 97.6%とな

る。また, Az鉛直度等の機械的精度はアンテナの電力

半値幅0.12度より 1桁以上小さな値に抑えられ,実際

の運用にほとんど影響を与えない。

(3)電気的特性

B Sの下り回線は,直径1.6 m のアンテナを備えた

簡易受信装置Hによって,晴天時C/N20dB程度(帯

域幅25MHz)が得られるよう設計されている。しかし,

B S主局のアンテナはTV信号だけでなく,運用管制に

も使用され,また,実験システムの中枢としての機能を

果たすため,十分余裕を持たせ,直径 13mのアンテナ

が採用された。乙れによってTV信号の C/Nは晴天時

36 dBとなり,簡易受信装置より 16dBの余裕を得てい

る。

また,指向特性が鋭く,他局との干渉を避けるのに有

効である。主な特性を第2.1-2表le,近軸パターンを第

2.1-5図に示す。広域指向特性は,第2.1-6図に示す

が, CCI R規格(Rep.391-2),

G(8)G-10dBのとき,

G(O) =32-25 logio 8 (dB)。……(2.1-1)

ただし,。:主ビームからの偏角(deg)

を十分満足している。

第2.1-2表 B Sアンテナの電気的特性(測定値)

事IJ f早**|送 信 63.1 dB (14. 25 GHz)

アンテナ雑音i,¥¥l度柿

(晴天時 El 40°)

屯力半値幅

テレビ受信 61. 9 dB (11. 95 GHz)

テレメトリ 61. 2 dB (11. 7125 GHz) 受信テレビ系 52K (11. 95 GHz)

テレメトリ 84K (11. 7125 GHz) 系

A凶

を一

系イ

電サ

飢竺紳

O. 12° (11. 7125 GHz)

-16dB以下(11.7125 GHz)

2. ]. 3 給電系

(1)構成

給電系は,主な機能として,

1. 送受信波に偏波変換を施し,送受信系と衛星の偏

波角度を一致させる。

2. 受信波を送信波から分離して取り出す。

3. 追尾用の方向誤差,偏波誤差信号を取り出す。

の3点があけ・られる。第2.1-7図IL,その構成と信号の

流れを示す。給電系の損失は,アンテナ雑音温度に影響

を及ぼすので導波管内面には銀メッキが施され,また,

乾燥空気を充填し,経年変化による損失の増加を防いで

いる。次iと,各部について説明する。

(乱)方向誤差検出器及び位相補償器

アンテナからの信号は給電系入口の円形導波管le,基

木モードTE H を励起するが,方向誤差があって,電界

又は磁界の導波管の軸方向成分が存在すると,他の高次

868

-30dB

-40dB

-50dB

*

州制判。l

一210・-180・ -150' -60' -30'

電波研究所季報

G{0)=61. 2dB

判は建物の影響

,tv1州11判明

+30・ +60・+$0・十i20・

Az角度

(アンテナ中心角からの偏差)

Az 126. 220。El2. 515° 偏波霊直周波数11.7125 GHz (B S実験系コリメーション施設使用)

第 2.16図 B Sアンテナの広域指向性(Az平面)

fl詰i皮fljα+.e+r 偏ii主誤差IP'

ア‘ーナ系/『寸iI

Jアナ糸へ

fAz a・\

I Elβ。|

|偏波 γ・|l方向誤差|

¥ e, r/> J

α, 制御卓

ed, TLM

LNCを緩て、追尾受信装置へ

BRF :帯域阻止フィルタ==令制御系信号

Att. :減衰器

Phas.:移相器一→ RF信号

第2.1-7図給電系の構成

モードが励起される。 BS主局の方向誤差検出は, T

Moi. TE01の二つの高次モード結合器を用いて, 方向

誤差の Az,El両成分を取り出している。方向誤差を第

2. 1-8図に示す座標系で考えると, TMoi. TE01モー

ド結合器の出力電界ei.e2 (第2.1-7図参照)は0が小

さい時,それぞれ Oer, Oe~ IC比例し,次式で表せる。

e, ~k,Oer sin wt=k10e cos(r一世)sinwt

……(2. 1-2)

e2~k28e? sin wt=k20e sin(r-¥b)sin wt

式中のん, k2は定数, ωは受信角周波数, tは時間,

eは受信電界, o,r,。は第2.1-8図に示した座標系で

の角度である。移相器と減衰器を用いて, ei.e2の位相

を直交させ,振幅をそろえて (k1=k2=k), マジック T

で合成すると,出力電界e,+e2=ed1は,

ed1 =kOe cos(r-¥b)sin wt+kOe sin Cr一件)coswt

=kOe sin(wt+rーゆ)……(2.1-3)

となる。乙れが方向誤差検出器の出力となる。

位相補償器はea1から偏波角度Tの影響を取り除くた

めのもので,後述の偏波変換器と 1対1の回転比で回転

するようになっている。位相補償器の出力には,送信波

Vol. 24 No. 131 December 1978

y

(a) e

869

の回り込みを防止する帯域阻止フィルタ(BRF)が掃

入されている。交差偏波結合器出力のBR Fも同じ目的

で挿入されている。

位相補償器の出力 ea2は,

ea2=kOe sin(wt-q}) … … (2.1-4)

となり,振幅項,位相項iζ方向誤差 0,q)を含んでい

る。乙れを追尾装置で処理して, Az,El方向の誤差電

x 圧を得ている。

z ‘er

(b) PAi e~

z -Q 0

注: O=0のときPは原点Ole一致する。電界eは砂平面から 0だけ傾いている。図(b)は平而Op Qを繍から見たものである。e:受信電界 r:偏波角e,: eの7方向成分 。:誤差の大きさを表す角度e9: eの世方向 世:誤差の方向を表す角度

第2.1-8図 方向誤差を表す座標系

v v

e,

H

(a)入力電界 (b)出力電界

第2.1-9図 偏波変換穏による偏波角度の回転

en, ec

第2.ト10図 交差偏波結合器

H

(防偏波変換器

偏波変換器は,半波長移相器を用いて,直線偏波角度

を任意I!'.:回転させる機能を持つ。回転の原理を,第 2.1

4図に示す。

同図(吋で, aは入射電界(偏波角 r),e,どはeiの移相

器方向成分, et”はそれに垂直な方向成分である。移相

器と eiの聞の角度はr/2である。{b)は移相器の出力で

の電界を表している。移相器iζ霊直な電界成分eo”は,

位相が相対的に半周期遅れるととになり, 出力電界eo

は, etからr回転してV軸方向を向く。今,送受信系導

波管回路固有の偏波角度を基準にとり,。。とする。衛

星の偏波角度をrとすると,給電部入力では, α+/Hr

(α:Az角度, fl:El角度)となる。乙れは, 4枚の集

束反射鏡の性質による。移相器を(α+fl+r)/2の角度

に置くと,偏波角はα+fl+r回転し,。。に一致させる

乙とができる。

(c)交差偏波結合器

偏波角度誤差信号及び交差偏波成分を検出するための

もので,その構造を,第2.1-10図に示す。入力信号e

の偏波角度(V方向とする)に, lJfだけの誤差があっ

たとすると, eの垂直成分evk対して,偏波誤差成分

eHが発生する。 V《 1とすると, ev=e, eH=e・Vであ

り, eHはlJfI!'.:比例する。また, ell'.'.交差偏波成分eeが

存在する場合(細長い楕円偏波となる。), eHと同様ζ

の結合器から検出される。位相を考慮して, e=sinwtと

表すと,

eH=lfT sin aJt

ea=Xcos aJt

Xはell'.'.対する eeの振幅比

……(2.1-5)

//送信系より

\受信系へ

第2.1-11図送受分波器の構造

870

TLM受信'LNCへ

マジックE

第2.1-12図 テレメトリ分波探の構造

となる。交差偏波結合器と送受分波器の聞で,導波管は

円形から方形iζ変換される。

但)送受分波器及びテレメトリ分波器

送受分波器は,第2.1-11図に示すような方形導波管

部品であって,受信波(12GHz帯)を送信波(14GHz帯)

と分離して受信系に送る働きをする。図のHPF (高域

通過フィルタ)は,受信波を限止し,送信波のみ通過さ

せる。また, BR Fは送信波だけを減衰させるようにな

っている。

テレメトリ信号とテレビ信号を分難するテレメトリ分

波器は,定抵抗形(入力側に反射波を生じない性質を持

つため)と呼ばれるもので, 2個のBR Fとハイブリッ

ド回路で構成される。第2.1-12図に示すように TE10

モードで入った信号は,導波管中央の金属板によって上

下に分割され,テレメトリ信号のみ BR Fで反射され

る。 BR Fの位置はテレメトリ波の 1/4波長ずれている

ので,反射波は互いに逆位相となり,入力側ハイプリッ

ド(マジック Eを用いている)で合成すると入力端子③

VSWR

交差偏波成分発生畳

電波研究所季報

第 2.1-3表給電系の特性(測定値)

テレメトリ系 1.30以下(11.71~ll.72GHz)

その他 1.25以下

テレメトリ波 -34 dB (11. 7125 GHz)

パイロット波 -33 dB (12.126 GHz)

楕円偏波率|送 信 25.5 dB (14. 25 GHz)

送受分波器回り込み

テレビ受信 32 dB (12. 126 GHz)

テレピ系一132dB(14. 25 GHz)

テレメトリ系一130dB

方向へは伝送されず, TEMモードとなって端子⑧へ送

り出される。テレビ信号はBR Fをほとんど無損失で通

過し,端子。からテレビ受信系へ送られる。

(2)特性

給電系の主な特性を,第2.1-3表に示す。とれらのう

ちVSWR,楕円偏波率及び交差偏波成分発生量はアン

テナ系を含めた特性であるが,給電系の特性の影響が大

きいのでととに掲げた。楕円偏波率は,直線偏波を受信

し偏波変換器を1回転させたときの最大,最小出力の比

である。また, 交差偏波成分発生量は, 交差偏波成分

(楕円偏波率測定時の最小出力IZ::相当)を交差偏波結合

器誤差信号端子出力で測定した点が楕円偏波率と異って

おり,交差偏波結合器の特性を含んでいる。

2. I. 4 駆動系

(1)構成

駆動系は,実際にアンテナや偏波変換器を駆動する直

流電動機と,それを制御する装置の総称であり,その構

成は,第2.1-13闘に示される。駆動装置,駆動制御装

置,駆動制御卓は, cS-Kバンドアンテナ駆動系と,

まったく同じ内容を持っているので,第E部2.I. 4を参

照されたい。

偏波駆動制御系の系統図を,第2.1-14図に示す。偏

波制御卓からは,自動追尾(AUTO),定位(POSITI-

ON),手動(SLEW)の各駆動モードを選択し,定位,

Az軸

El軸

第2.1-13図駆動系の構成

Vol. 24 No. 131 December 1978

SA :サーボアンプ

SM :サーボモータ

ex :シンクロ発信機

cox:シンクロ差動発信機

CT :シンクロ変圧器

POT:ポテンショメータ

TC :タコジェネレータ

ー一ーーー一一一ーー一一ーー一一ーーー「

追尾受信架より

POSITION 。

871

第2.H4関{周波耳目動系系統図

第2.143',l( 駆動系の特性(*印は測定値)

アンテナ叡動系

駅動方式|電気駆動アンチパックラッシユ

(サイリスタレオナード)方式

駆動モード IAUTO(自動追尾), POSN(位問令〉

SLEW(速度指今), STOW(天頂格納)

PROGRAM (追加可能)

駆動範問IAz 9叩 85°

最大/最小角速度*

最大角加速度*

El -1°~+91°

(Az角度は真北0。,時計方向360°表示)El角度は水平oo,天頂90°

O. 5/sec以上, o.002。/sec以下

1. 1。/sec2以上

過渡応答*|オーバーシュート附以下

57百整定時間 2sec以内

(AUT Oモードo.05。相当入力,サーボ帯域幅Wide)

サーボ帯域版 I3段階切換え可能

偏波駆動系

Wide (クロスオーバ角周波数3rad/sec)

Medium (

Narrow (

1 rad/sec)

o. 3 rad/sec)

駆動 モードIAUTO POSN, SLEW, OFF

(OF Fでは制御卓から制御不可.給m部での手動のみ可。)

{扇J皮1月同転範囲 360。endless

(偏波角は衛星~地球中心~アンテナを結ぶ而を0。とし,反時計四りを正とする。)

回転角速度* I i. 6。/sec以上

回転角加速度叶 12.3。/sec2以上

角度検出分解能 I0.1。

手動両モードの場合ICは,ハンドルにより指令値を与え

る。与えられた指令信号はサーボ増幅器で増幅され,偏

波変換器のサーボモータを駆動する。偏波変換器のシン

クロ発信機からは偏波角 a+f3+rの情報を取り出し,

アンテナ駆動制御卓内のフォローアップサーボ軸K取り

付けられたシンクロ差動発信機(CDX)で Az,El角

度 a,f3を差し引いて,偏波制御卓のディジタル角度検

出回路IC加えている。との信号は同時に位相補償器駆動

用の指令信号となる。また,偏波制御卓には, BS実験

系コリメーション施設を遠隔制御し,連絡をとるための

コリメーションコントロール装置が収納されている。

(2)特性

第 2.1-4表K,駆動系の特性をアンテナ系,偏波系iと

分けて示す。

2. 1. 5 追尾系

(1)構成

追尾系は,まとまった機能として考えた場合,第 2.1

15図に示すように, 誤差検出器から駆動制御装置まで

の広範囲のものを含んでいるが, ζ乙では,追尾受信装

872

追一一和信号尾 299MHz

'Jι '

装信号

交差偏j皮結合器

L N C

襲警i割程号

偏 j皮制御卓

偏j皮変換器位相補償器

駆動制御卓

駆動制御装置

アンテナ駆動装置

第 2.H5図追尾系の信号の流れ

追尾誤差受信機

~-:著誤斗 偏波誤差受信機

5MHz'

局発信号分配器

第2.1-16図 追 尾 受 信装置の構成

電波研究所季報

置及び追尾受信制御卓It::限定して説明する。 て,方向誤差,偏波誤差電圧を検出し,駆動,偏波制御

卓へ送るとともに,測距(レンジング),テレメトリ装

置に IF信号を送り出す機能を持っている。

B Sでは,自動追尾 It::テレメトリ信号の搬送波

(11. 7125 GHz)あるいはパイロット信号 (12.126 GHz)

を用いる。そのいずれか一方の信号と,それに対応する

誤差信号が,追尾受信切換装置で選択され,追尾受信装

置に送られる。追尾受信装置は入力信号 lζ 位相周期し

第2.1-16図に示すように,追尾受信装置は主受信機,

追尾誤差受信機,備波誤差受信機及び局発分配器で構成

される。主受信機は和信号(テレメトリあるいはバイロ

Vol. 24 No. 131 December 1978

第 2.1-5表 検波器lζおける各信号の位相関係

1検蹴入力叶基準信号| 検波出力

sin wt AGC';ll:圧主受信機 sin wt

cos wt RL L誤;:;≪l!TE

sin wt JAz 追尾誤ズー受m機 。sin(wt一世)

cos wt JEl

vr sin仙t sin倒t JPOL 偏波誤耳.受{三機

X COS wt COS <of XPOL

ット信号)を入力とする。それを 110MlセIL変換し, A

G C増幅器を通した後, lOMHzのIF信号IC変換する。

そしてBp Fで帯域制限し, C/Nを改善してから,基

準信号(後述)で位相検波,同期検波を行う。前者は位

相同期ノレープ(PLL)の誤差電圧,後者はAG C電圧

及び受信電界強度監視用として用いられる。乙のAGC

のダイナミックレンジは約40dBであり,大きな入力変

動にも対処できる。また,乙の両者の検波IL¥力は位相同

期状況の判定のため,オシロスコープとスピーカでモニ

タできるようになっている。主受信機からは,レンジン

グ用 IF (110順弘),テレメトリ用 IF (10班叫が各

装置へ送り出される。

追尾誤差,備波誤差両受信機は,主受信機とほとんど

同じ構成である。追尾誤差受信機の検波回路では,式

(2. 1-4)の形の入力IC対し,基準信号 sinM及び cos

d で同期検波を行い, Az,El誤差電圧(.dAz,.dEI)

を,次の形で得ている。

.dAz=O cos中……(2. 1-6)

.dEI = 0 sin <P

偏波誤差受信機では,式(2.1 5)の形の入力を追尾誤

差受信機と同様に同期検波して,偏波誤差電圧(.dPOL)

1Jf,交差偏波成分(XPOL)Xを得ている。実際の検

波回路においては,第 2.116図IL示すように,入力信号

を土π/4移相し,基準信号と同相及び直交の位相関係を

得ている。これらの信号の位相関係、を,第2.1-5表にま

とめておく。表では,わかりやすくするため基準信号の

位相をπ/2ずらせたとしているが,相対的な位相関係は

実際の受信機と同じである。誤差受信機にも主受信機同

期検波出力電圧でAG Cがかけられているため,誤差電

圧,交差偏波成分は和信号で規格化された大きさで得ら

れ,アンテナ入力が変化しでも,一定の誤差感度を保つ乙

とができる。 AG C電圧及びXPO L又は .dP0 Lは,

対数増幅器を通してdB目盛でメータ表示させるととも

に,記録音j・IL接続され,自動記録が可能になっている。

873

第2;1-6表 迫尼受信;·1~1術l卓の主な制御,監視機能

監視項目

受信信号強度

交差偏波成分/偏波誤1t屯圧

方向誤差泡圧

vc O制御\'Jii圧

位相同期状況モニタ

11111 御項目

メータによる

オシロスコープ及びスピーカ

テレメトリ/パイロット切換え

位相周期モード(PLLのOPEN/CLOSE,手動/自動抑ヨ|)選択

手動掃引による 11~1街I

PL L等価雑音帯域幅切換え(200,600, 2 kHz)

第2.17表 追尾受信袋路及び追尾系の特性(*印は測定値)

受信可能周波数組問 |テレメトリ 11. 7125 GHz士l.5MHz

(LNC入力) |パイロット 12. 126 GHz±!. 5 MHz

入力レベル範囲 |テレメトリ ー100~ー130dBm

(LNC入力) lパイロット 80~ーllOdBm

位相同期ループス |ー!34dBm以下(2BL=200Hz)レヴシ司JレドレJてJレ |

J:>.L L尋価雑音諸;域 I200, 600, 2 kHz t!l 被え脳 (2BL) I レンジング用 IF出 I 110 MHz±O. 5 MHz :)J

-63dBm土2dB

テレメトリ用IF出 I lOMHz土0.5MHz力

-33dBm±2dB

方向誤差感度* I lOOV/deg以上

偏波誤差感度* I lV/deg 追尾精度* I 2. ox 10-3° (RMS値)以下

(テレメトリ波 LN C入力-llOdBm B S実験系コリメージョン施設使用)

局発信号分配器は,外部の時計装置(第W部 2参照)

から得られる 5班也信号を基準信号として,局発信号を

合成し,分配するとともに, PLL (位相同期ループ)

を;構成して入力信号と局発信号の位相を同期させる役目

を持っている。 SM也信号は,第 2.1-16図 IC示すよう

に, 2逓倍されて検波器へ,更に 12逓倍されて第3ミ

キサへ局発信号として供給される。一方,主受信機の位

相検波出力は河期信号処理器に加えられ,アクティプ低

域通過フィ Jレタ(フィルタの定数を切り換えて, PLL

の等価雑音帯域幅を変化させている。)を通した後,手

動又は自動掃引信号と合成され,電圧制御発振器 eveO)を制御して, PL Lを構成する。 Vc Oはまた,別

の制御系統で発振周波数を微調整できる。 120阻b信号

とVc O出力は混合されて, 189阻也となり,第2ミキ

サへ供給される。

874 電波研究所季報

+sv I +sv

/EI誤差電圧,,.

+4V lOOV/deg・ lOOV/deg

DOWN -・ l..仇.._ .1J UP主0.1・ ccw

-4 v

-sv -sv

B S実験系コリメーション施設使用 Az 241.166。 El o. 050° 偏波垂直周波数ll.7125GHz LN C入力一llOdBm

第2.117図方向誤差感度及びクロスカップリング特性

(a) Wide

DOWN. ーャー-0.05・

AAz

(b) Narrow

ccw

AAz

cw

-o.w ccw

AEI UP

B S実験系コリメーション施設使用 Az 241. 166° El o. 056° 偏波垂直周波数11.7125 GHz L NC入力一llOdBm 駆動系サーボ帯域幅 Wide,Narrow

第2.1-18図方向追尾引き込み特性

追尾受信制御卓は,第2.1-2図I<::示されるように,駆

動,偏波制御卓の隣I<::配置され,追尾受信装置の遠隔制

御及び状態監視を行うことができる。第2.1-6表I<::,追

尾受信制御卓の主な制御監視機能を示す。

(2)特性

追尾系の特性として,追尾受信系,給電系,駆動系を

含めた追尾系総合の特性を,第2.1-7表に示す。第2.1

-17図には,方向誤差感度とともに,クロスカップリン

グの特性( 1例)を示した。クロスカップリングとは,

Az (又はEl)のみの誤差電圧を与えても, El(又は

Az)の誤差電圧が発生するととである。図I<::示すよう

にEl誤差I<::対しては,クロスカップリングが非常に小

さい。第2.1-18図K,引き込み特性の1例を示すが,

同図(乱)でEl方向の誤差に対して,ほとんど一直線に中

心へ引き込まれているのはとのため;である。同図の(品)

Wide, (b) Narrowは,駆動系のサーボ帯域幅(第2.1

4表参照)を示している。(b)は(a)に比べて帯域幅が狭

く,応答速度が遅い場合で,オーバーシュートは小さい

Vol. 24 No. 131 December 1978

が,引き込み時間が長くなっている。

参考文献

1) 小西良弘;“衛星放送用受信機ヘ NHK技研月報,

16 No. 11, 1973.

略語表

LN C:低雑音周波数変換器

Az:アジマス

El :エレベーション

BR F:帯域阻止フィルタ

HP F:高域通過フィルタ

TEMモード:機電磁界モード

LlAz, LlEI : Az, El方向の方向誤差電圧

LlPOL:偏波誤差電圧

XPOL:交差偏波成分

lflfllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll

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