35
2. 杭工法 2.1 杭工法の分類 ここでは、当委員会において対象とする杭工法およびその分類を示す。 2.1.1 大分類(第 1 レベル~第 2 レベル) 当委員会においては、構造物基礎を直接基礎、杭基礎、ケーソン基礎および特殊 基礎に大別し ( 1 レベル ) 、そのうちの杭基礎を調査・設計の対象とした。 さらに、杭基礎を製造方法により既製杭および場所打ち杭に分類した ( 2 レベ ) 構造物基礎 直接基礎 ケーソン基礎 杭基礎 鋼管矢板基礎 地中連続壁基礎 特殊基礎 複合基礎 水中基礎 既製杭 場所打ち杭 以下、次項へ 以下、次項へ *当委員会の対象基礎 1レベル 2レベル 3レベル 図-2.1.1 構造物基礎の大分類(第 1 レベル~第 2 レベル) 2.1.2 中、小分類(第 3 レベル~) 2.1.2.1 既製杭 既製杭は杭の設置方法により打込み杭と埋込み杭に分類し ( 3 レベル ) 、さらに、 施工方法により細分化した ( 4 レベル )

2. 杭工法...BH工法 翼ビット方式 ローラービット方式 その他 図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第3レベル~第4レベル) 2.2 杭工法の選定

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Page 1: 2. 杭工法...BH工法 翼ビット方式 ローラービット方式 その他 図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第3レベル~第4レベル) 2.2 杭工法の選定

2. 杭工法

2.1 杭工法の分類

ここでは、当委員会において対象とする杭工法およびその分類を示す。

2.1.1 大分類(第 1 レベル~第 2 レベル)

当委員会においては、構造物基礎を直接基礎、杭基礎、ケーソン基礎および特殊

基礎に大別し (第 1 レベル )、そのうちの杭基礎を調査・設計の対象とした。

さらに、杭基礎を製造方法により既製杭および場所打ち杭に分類した (第 2 レベ

ル )。

構造物基礎

直接基礎

ケーソン基礎

杭基礎

鋼管矢板基礎

地中連続壁基礎

特殊基礎

複合基礎

水中基礎

既製杭

場所打ち杭

以下、次項へ

以下、次項へ

*当委員会の対象基礎

第1レベル 第2レベル 第3レベル

図-2.1.1 構造物基礎の大分類(第 1 レベル~第 2 レベル)

2.1.2 中、小分類(第 3 レベル~)

2.1.2.1 既製杭

既製杭は杭の設置方法により打込み杭と埋込み杭に分類し (第 3 レベル )、さらに、

施工方法により細分化した (第 4 レベル )。

Page 2: 2. 杭工法...BH工法 翼ビット方式 ローラービット方式 その他 図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第3レベル~第4レベル) 2.2 杭工法の選定

(施工方法)(設置方法)

既製杭

打込み工法

埋込み工法

回転杭工法

打撃工法

プレボーリング併用打撃工法

振動工法

その他

打撃工法

根固め工法

拡大根固め工法

その他

プレボーリング工法

中掘り工法

その他

打撃工法

根固め工法

拡大根固め工法

その他

その他

第2レベル 第3レベル 第4レベル

図-2.1.2 既製杭における杭工法分類(第 3 レベル~第 4 レベル)

2.1.2.2 場所打ち杭

場所打ち杭は施工方法によりリバースサーキュレーション工法、オールケーシン

グ工法、アースドリル工法、BH 工法に大別し (第 3 レベル )、さらに、掘削方式によ

り細分した (第 4 レベル )。

Page 3: 2. 杭工法...BH工法 翼ビット方式 ローラービット方式 その他 図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第3レベル~第4レベル) 2.2 杭工法の選定

(掘削方式)(施工方法)

場所打ち杭

リバースサーキュレーション工法

オールケーシング工法

アースドリル工法

翼ビット方式

ローラービット方式

その他

揺動式

全旋回式

リングカット+ロックオーガー

その他

第2レベル 第3レベル 第4レベル

BH工法

翼ビット方式

ローラービット方式

その他

図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第 3 レベル~第 4 レベル)

2.2 杭工法の選定

基礎形式は大別して直接基礎、ケーソン基礎、杭基礎、鋼管矢板基礎、地中連続

壁基礎、特殊基礎 (複合基礎、水中基礎 )に分けられる。しかし、ここでは、杭基礎

に限定して工法の選定について述べる。

杭の工法を決定する際の条件としては、施工条件、地質および地形条件、環境条

件、荷重条件が考えられる。

杭の工法はこれらの条件を満足するものを対象として、工費・工期等を考慮した

比較設計により決定されることになる。しかしながら、これらの選定条件の抽出や

各施工法の適合性の判断には高度の技術的判断が必要となり、設計者の設計・施工

の経験が重要となってくる。しかし、実際には工法全般に豊富な経験を持つ設計担

当者は限られており、これらの判断を補助する意味で各機関の設計基準等に、その

選定の方針が示されているのが現状である。

しかし、適合性に対する評価も各現場によって微妙に異なっており、また、工費

や工期などの条件に対する判断も複雑であるため、工法選定の手法を画一化するこ

とは困難である。したがって、ここでは、適当と思われる 2、3 種の工法の絞り込み

Page 4: 2. 杭工法...BH工法 翼ビット方式 ローラービット方式 その他 図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第3レベル~第4レベル) 2.2 杭工法の選定

が可能な情報を、アンケート調査結果を基本として整理・修正し提供するものとし

た。

2.2.1 アンケート調査

杭工法選定に際し、杭工法の現状および最新の工法・知見の把握を目的とし、ア

ンケート調査を実施した。

アンケートは、既製杭および場所打ち杭に分けてそれぞれ実施した。

2.2.1.1 アンケート内容

アンケートの内容は、杭選定図表の選定項目に基づき決定した。

施工費については、施工条件および土質条件 (既製杭: 1 ケース、場所打ち杭: 2

ケース )を提示し、その条件で回答して頂く方式とした。また、自由提案として、荷

重条件のみ提示し、その荷重条件を満足する杭径・杭本数を回答していただく方式

も併せて実施した。

表-2.2.1~表-2.2.4 にアンケート調査票 (既製杭、場所打ち杭 )を示す。

Page 5: 2. 杭工法...BH工法 翼ビット方式 ローラービット方式 その他 図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第3レベル~第4レベル) 2.2 杭工法の選定

表-2.2.1 アンケート調査票(既製杭)[1/2]

1.基本内容 4.環境条件 6.特許等の有無

2.杭工法および杭の種類

5.地形および地質条件

7.使用構造物種別

8.施工対応地区

3.施工条件

東北地区

全国

北海道地区

関東地区

北陸地区

CO2排出量の抑制対策

0~2m 2m以上

N値30~50 N値>50

15cm以上

拡大根固め工法

その他(           )

中間層の

状態

粘性土

支持層の

状態

拡大根固め工法

その他(           )

打撃工法

打撃工法

プレボーリング併用打撃工法

振動工法

その他(           )

プレボーリング工法

中掘り工法

根固め工法

打撃工法

根固め工法

有(特許番号:        )

無 

NETIS 産業廃棄物の発生

打込み工法

30m地点 50m地点 有(登録番号:        )

住所

商品名または工法名 10m地点 30m地点 50m地点 特許

会社名 騒音(db(a))

振動(db) 部署 10m地点

申請中

回答者 申請予定無 

電話番号

水質汚染

申請予定無 

有(登録番号:        )

申請予定

N値<4 4~10 10~20

技術審査証明

有(特許番号:        )

無 

申請予定

申請中

橋梁基礎

5cm以下 5~10cm

擁壁基礎

実用新案

5cm以下 5~10cm 10~15cm ボックスカルバート基礎

年度

礫(玉石)

施工実績

開発年度N値<15砂質土

15~30 >30

10~15cm

建築基礎

その他 (        )

幅 B (m)

その他(           )

回転杭工法

埋込み工法

傾斜30°以下 30°~45°

15cm以上

qu<1.0 1.0<qu

被圧地下水

流動地下水

3m/min以上

上限

下限

上限

施工対応可能

その他(                )

施工対応可能

砂質土

礫玉石

土丹

(N/mm2)

杭長 (m)

地下水の

状態

地下水位が

地表面に近い

湧水量が

極めて多い施工実績

上限

施工実績

上限

下限

杭径 (mm)

下限

最小作業空間 (※1)

斜杭の施工最大角度 (°)

長さ L (m)

高さ H (m)

最近接距離 (m)

接地圧

(kN/m2)

施工可能な最大地表面傾斜角 (°)

【 次頁に続く 】 水上施工の実績水深 (m)

下限

施工機械 (※1)

本体全装備重量

(tf)

中部地区

九州地区

沖縄地区

関西地区

中国地区

四国地区

該当工法に○を記入

○:施工可能 △:対応可能 ×:施工不可能

該当箇所に○を記入

該当構造物種別に○を記入

※1:最小値~最大値を記入

該当施工対応地区にに○を記入

Page 6: 2. 杭工法...BH工法 翼ビット方式 ローラービット方式 その他 図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第3レベル~第4レベル) 2.2 杭工法の選定

表-2.2.2 アンケート調査票(既製杭)[2/2]

8.施工に関する事項

※ 荷重条件(フーチング下面中心位置)

※ 自由提案における杭諸元

杭径

(mm)

杭本数

(本/基)

杭構成

上杭 中杭

地震時 17000 3400 34000

下杭

17000 0 0

(特有な条件があれば記入) (特有な条件があれば記入)

鉛直力

V (kN)

区分 標準案 自由提案

同左

見積要領 発注者向け提出見積 同左

(下記荷重条件を満足する杭径、本数)×2基分 (ただし、施工機械は1セットとする)

同左

作業時間 8時間(昼間)

杭長 30m

【 以上、ご協力ありがとうございました 】

施工能力 (m/日)

施工費

機械組立解体費

機械損料

備考

付帯工事 杭工事、各種試験などの付帯工事は含まない

施工条件

その他

施工場所 貴社より50km圏内

概要図

杭径・施工本数 φ600mm、25本×2基=50本 (ただし、施工機械は1セットとする)

その他

経費

使用用途 橋梁基礎

材料費

施工費

同左

水平力

H (kN)

モーメント

M (kN・m)

常時

同左

同左

3100 3200 3100

9400

L=30mφ600

50403020100

25

20

15

10

5

0 Bs

Ac

As1

As2

Ac

As3

Dg

9400

3100 3200 3100500

1100

1400

10500

300

1700

2000

13000

2500

12501250

10500 10500

施工基面 0 10 20 30 40 50

Bs

Ac

As1

As2

Ac

As3

Dg

0

5

10

15

20

25

3100 3200 3100

94009400

3100 3200 3100

500

1100

1400

10500

300

1700

2000

13000

2500

12501250

10500 10500

施工基面

Page 7: 2. 杭工法...BH工法 翼ビット方式 ローラービット方式 その他 図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第3レベル~第4レベル) 2.2 杭工法の選定

表-2.2.3 アンケート調査票(場所打ち杭)[1/2]

1.基本内容 4.環境条件 6.特許等の有無

5.地形および地質条件

2.杭工法および杭の種類

7.使用構造物種別

3.施工条件

8.施工対応地区

四国地区

関西地区

中国地区

九州地区

沖縄地区

北陸地区

中部地区

東北地区

関東地区

全国

北海道地区

騒音(db(a)) 商品名または工法名 10m地点 30m地点 50m地点

特許 有(特許番号:        )

無 

部署 10m地点 30m地点 50m地点

NETIS

会社名

有(登録番号:        )

住所 申請中 振動(db)

申請予定

回答者 申請予定無 

CO2排出量の抑制対策 電話番号

申請中

申請予定無 

N値<4 4~10 技術審査証明

有(登録番号:        )

リバースサーキュレーション工法砂質土

10~20 申請予定

15~30N値<15

無 

>30 実用新案

有(特許番号:        )

礫(玉石)

中間層の

状態

粘性土

5~10cm 開発年度50cm以上

年度

施工実績

N値30~50 N値>50

10~15cm 15~50cm

5~10cm 10~15cm 15~50cm 50cm以上

橋梁基礎

qu<1.0

支持層の

状態

砂質土

礫玉石

土丹

(N/mm2)

傾斜施工対応可能

1.0~5.0 5.0<qu ボックスカルバート基礎

擁壁基礎

その他(           )

(N/mm2)

qu<5.0

30~60

5.0~15 15~30

その他 (        )

建築基礎

杭長 (m)

下限

60~80 80<qu

施工実績

上限

地下水の

状態

地下水位が

地表面に近い

幅 B (m)

長さ L (m)

上限

下限

30°以下 30°~45°

施工実績

上限

下限

杭径 (mm) 湧水量が

極めて多い

被圧地下水

施工対応可能

2m以上

拡底の比率

施工機械 (※1)

本体全装備重量

(tf)

高さ H (m)

最近接距離 (m)

流動地下水

3m/min以上

斜杭の施工最大角度 (°)

最小作業空間 (※1)

0~2m

接地圧

(kN/m2)

【 次頁に続く 】

施工可能な最大地表面傾斜角 (°)

拡底 (※1)施工の可否

翼ビット方式

ローラービット方式

その他(専用ビット(拡底))

揺動式

アースドリル工法

BH工法

翼ビット方式

ローラービット方式

その他(           )

リングカット+ロックオーガー

その他(           )

オールケーシング工法 全旋回式

上限

下限

該当工法に○を記入

○:施工可能 △:対応可能 ×:施工不可能

該当箇所に○を記入

該当構造物種別に○を記入

※1:最小値~最大値を記入

該当施工対応地区にに○を記入該当施工対応地区にに○を記入

Page 8: 2. 杭工法...BH工法 翼ビット方式 ローラービット方式 その他 図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第3レベル~第4レベル) 2.2 杭工法の選定

表-2.2.4 アンケート調査票(場所打ち杭)[2/2]

8.施工に関する事項

※ 荷重条件(フーチング下面中心位置)

※ 自由提案における杭諸元

施工条件

使用用途 橋梁基礎 同左

見積要領

区分 標準案 自由提案

発注者向け提出見積 同左

杭径・施工本数 φ1500mm、9本×2基=18本 (ただし、施工機械は1セットとする) (下記荷重条件を満足する杭径、本数)×2基分 (ただし、施工機械は1セットとする)

施工場所 貴社より50km圏内 同左

杭長 実長22m 同左

主要材料 鉄筋:SD295A コンクリート:単位セメント量350kg/m 3 同左

作業時間 8時間(昼間) 同左

その他 (特有な条件があれば記入) (特有な条件があれば記入)

付帯工事 杭工事、各種試験などの付帯工事は含まない 同左

鉛直力

V (kN)

水平力

H (kN)

概要図

地震時

杭径 (mm)

モーメント

M (kN・m)

3400

見積条件(2) 見積条件(1)

34000

常時 0

杭本数 (本/基)

17000

17000

0

見積条件(2)

施工能力 (m/日)

見積条件 見積条件(1)

【 以上、ご協力ありがとうございました 】

備考

施工費

機械組立解体費

機械損料

材料費

施工費

その他

経費

9400

3100 3200 3100

500

1100

1400

10500

300

1700

2000

13000

2500

12501250

砂中に転石(φ500mm qu=100N/mm 花こう岩)を2

5%程度含む空掘り部分(3.0m)

施工基面

L=22mn=9本

φ1500

見積土質条件(2)見積土質条件(1)

As1

Ac

As2

Dg25

20

15

10

5

050403020100

BsAc

Dg

As3

Ac

As2

As1

AcBs

50403020100

25

20

15

10

5

0

10500 10500

9400

施工基面 0 10 20 30 40 50

BsAc

As1

As2

Ac

As3

Dg

0 10 20 30 40 50

BsAc

As1

Ac

As2

Dg

0

5

10

15

20

25

0

5

10

15

20

25

砂中に転石(φ500mm qu=100N/mm 花こう岩)を2

5%程度含む

見積土質条件(1) 見積土質条件(2)

3100 3200 3100

500

1100

1400

10500

300

1700

2000

13000

2500

12501250

10500 10500

3000

Page 9: 2. 杭工法...BH工法 翼ビット方式 ローラービット方式 その他 図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第3レベル~第4レベル) 2.2 杭工法の選定

2.2.1.2 アンケート結果

(1) 回答比率

1) 全体

全回答件数は 55 件であり、既製杭は 42 件、場所打ち杭は 12 件であった。

2) 既製杭

回答に占める既製杭の各工法の割合を図-2.2.1 に示す。

既製杭の内訳は、打込み工法 1 件、埋込み工法 30 件 (プレボーリング工法 26 件、

中掘り工法 2 件、その他 2 件 )、回転杭工法 10 件であり、その他工法が 1 件であっ

た。

打込み工法(鋼管杭)

1件(2%)

プレボーリング工法

(既製コンクリート杭)

6件(14%)

プレボーリング工法(鋼管杭)

20件(48%)中掘り工法(鋼管杭)

2件(5%)

回転工法(既製コンクリート杭)

1件(2%)

回転工法(鋼管杭)

9件(22%)

その他(ソイルセメント鋼管杭)

2件(5%)

その他

1件(2%)

図-2.2.1 既製杭の回答内訳

Page 10: 2. 杭工法...BH工法 翼ビット方式 ローラービット方式 その他 図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第3レベル~第4レベル) 2.2 杭工法の選定

3) 場所打ち杭

回答に占める場所打ち杭の各工法の割合を図-2.2.2 に示す。

場所打ち杭の内訳は、リバース工法 2 件、オールケーシング工法 5 件、アースド

リル工法 8 件、BH 工法 1 件 (重複回答含む )であった。

リバース工法

2件(13%)

オールケーシング工法

5件(31%)アースドリル工法

8件(50%)

BH工法

1件(6%)

図-2.2.2 場所打ち杭の回答内訳

2.2.2 既製杭工法

2.2.2.1 選定項目

表-2.2.5~表-2.2.6 既製杭選定表の選定項目参照。

2.2.2.2 選定手法

当初、当委員会では、アンケート結果に基づいた選定手法を提案する予定であっ

たが、杭選定の実情を勘案すると、ツリー型選定手法等の方法による選定は、各選

定者の各選定項目の重み付けに差異があり、一義的に選定フローを提案することは

困難であると判断し、選定項目の分析に重きをおき、選定の判断は各選定者に任せ

ることとし、アンケート結果を重視した杭選定図表を提案するにとどめた。表-2.2.

5~表-2.2.6 に既製杭選定図表を示す。

なお、選定表の各工法にはアンケート回答件数も記載してある。データの適合性

判断等における参考として頂ければ幸いである。

Page 11: 2. 杭工法...BH工法 翼ビット方式 ローラービット方式 その他 図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第3レベル~第4レベル) 2.2 杭工法の選定

表-2.2.5 既製杭選定表(1)

選 定 項 目

58

50

24

鋼管杭

3

220

100

40

60

77

70

30

60

20

150

11

150

50

80

130

30

120

77

3 1

35

80

9

750

30

100

45

施工可能な最大地表面傾斜角(°)

水上施工の実績水深 (m)

掘削深さ(杭長)※1

:実績

(cm)

:可能

施工

機械

本体全装備重量(tf)

斜杭の施工最大角度 (°)

既製

コンクリー

ト杭

 注)地形および地質条件は、アンケート結果 ○:施工可能,△:対応可能,×:施工不可能 の内、回答比率の多いものを示す。   ※1:下限値の最小値~上限値の最大値を示す。※2:最小値~最大値を示す。

施工断面(杭径)※1

:実績

:可能

60

180

120

130

1

120

既     製     杭

既製

コン

クリー

鋼管杭

鋼管杭

打込み工法

鋼管杭

中掘り工法

埋込み工法 回転工法

1 29

接 地 圧 (kN/m2)

20

4.0~6.7 7~20 10~25 15~20

10~23

15~30

  >30

5cm以下

最近接距離   (m)

最小作業空間

長  さ  L (m)

幅   B (m)

高  さ  H (m)

10~40

15

5~10cm

10~15cm

N値<4 ○

○○ ○ ○ ○ ○

20 0 15 7

20

50~160 16~120

4.3~8.0 8.8~35

礫(玉石)

砂質土

4~10

10~20

N値<15

15cm以上

粘性土

○○ ○ ○ ○

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

○ △

○ △

○ ○ ○ ○ ○

○○

○○ ○

○ ○

○ ○ ○

△○ ○ △ ○ △

△△△ △

0

△△

○ △ △

○ ○ ○

40 30 50 53~30

20 1.5~20

3~2510~30 15~31 31

68~122

6~1357~105

80~400

2 0.9~1.2

60~150 50~105

0.4~4.1

55

9~20 0.8~1.2 0.8~2.0

20~400 20~400

5 5

25 0

23~145

2

50~90

杭工法および杭の種類

アンケート   回答件数

プレボーリング工法

90

4

1 6

80

2

60

施      工      条       件

30

40

50

60

20

140

150

70

100

40

30

4

20

30

40

50

10 (m)

95

80

100

110

130

120

70

90

5

60~40050~122

10

1530

0 4

805

200

30

45

10

0.5~1.5

2.4

30

120

その他

ソイルセメント鋼管杭

その他

1.2

3

1

8

61

0

○ ○

※2

※1

Page 12: 2. 杭工法...BH工法 翼ビット方式 ローラービット方式 その他 図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第3レベル~第4レベル) 2.2 杭工法の選定

表-2.2.6 既製杭選定表(2)

選 定 項 目

○ ○○ ○

× ○ ×

○ ○ ○ ×

○ × × ○

40

40

4545~62 52~

38~53 ―

35

― 60

― 45

24~50

55~60 36~60

50環

80 70~79

産業廃棄物の発生

CO2排出量の抑制対策

76

63 45

46~

67~82

騒音※3

(dB(A))

振動※3

(dB)

10m地点

30m地点

50m地点

45 45~46 42

66~80

73

53~60

42

69~

10m地点

30m地点

60~66 61

65~72 64~72

65

52

57

70~75 57~103 75~ 63

○×

○ ×

50m地点

70~82

45~75

42~50 38~53

65~70 65~68

△×

○ ○ ○ ○ △

×

×

○○

○ ○

× ○

×

30°以下

5~10cm礫玉石

5cm以下

○ ×

0~2m

2m以上

30°~45°

10~15cm

傾斜

被圧地下水

qu<1.0

○○ ○

△○ △

△ ○

地下水位が地表面に近い ○

△ ○

○× ×

×

△ ○

××

○ △ △

△ △ △

○× ○ ○

○ ○

○○

○ ○

○ ○ △

△△

△○

○ △

○ ○

○ ○

○ ○

○ ○

○ ○

○ ○

○ ○

2 11 6 20 2 1 9

杭工法および杭の種類

アンケート   回答件数

N値>50

湧水量が極めて多い

砂質土N値30~50

15cm以上

地下水の状態

3m/min以上

土丹

(N/mm2)

既     製     杭

打込み工法

鋼管杭

その他

ソイルセメント鋼管杭

その他

鋼管杭

プレボーリング工法 中掘り工法

鋼管杭

コン

クリー

ト杭

○ ○

流動地下水

1.0<qu

○ ○

○ △

○ ○

 注)地形および地質条件は、アンケート結果 ○:施工可能,△:対応可能,×:施工不可能 の内、回答比率の多いものを示す。   環境条件は、アンケート結果 ○:無し,△:不明,×:有り の内、回答比率の多いものを示す。   ※3:最小値~最大値を示す。

水  質  汚  染 × ○ ○ ○ ○ ○

埋込み工法

○ ○

回転工法

既製

コンクリー

ト杭

鋼管杭

2.2.2.3 選定項目の分析

(1) 杭長

1) 実績

図-2.2.3 に各杭工法の杭長実績を示す。杭径とも関係するが、中掘り工法 (鋼管

杭 )の 100m が最大で、プレボーリング工法 (鋼管杭 )が 90m で続いている。回転工法

は最大で 50m と他の工法に比較して短くなっている。

2) 対応可能杭長

対応可能杭長を図-2.2.4 に示すが、各工法とも実績に対して、大きな増減はない。

Page 13: 2. 杭工法...BH工法 翼ビット方式 ローラービット方式 その他 図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第3レベル~第4レベル) 2.2 杭工法の選定

45.0

80.0

95.0100.0

50.0

70.0

57.554.8

86.090.0

30.6

41.0

57.5

77.0

13.0 12.0

57.5

6.0

3.5 2.56.0

6.0

35.0

12.0

80.0

3.03.210.0 4.0 4.0

2.43.54.92.0

2.01.03.04.0

3.00

20

40

60

80

100

120

打込

み工

法(鋼

管杭

)

プレ

ボー

リン

グ工

(既製

コン

クリ

ート

杭)

プレ

ボー

リン

グ工

(鋼管

杭)

中掘

工法

(鋼管

杭)

回転

工法

(既製

コン

クリ

ート

杭)

回転

工法

(鋼管

杭)

その

他ソ

イル

セメ

ント

(鋼管

杭)

その

杭長

(m

上限最大

上限平均

上限最小

下限最大

下限平均

下限最小

図-2.2.3 各杭工法の杭長施工実績

80.077.0 77.0

70.0

60.058.7

73.5

38.241.0

60.0

12.0

70.0

13.0 12.0

60.0

0.0

6.0

2.06.0

6.0

35

60.0

80.0

3.04.05.05.0

1.34.5

4.54.4

0.0

2.7

4.0 4.0 1.0 1.00

20

40

60

80

100

120

打込

み工

法(鋼

管杭

)

プレ

ボー

リン

グ工

(既製

コン

クリ

ート

杭)

プレ

ボー

リン

グ工

(鋼管

杭)

中掘

工法

(鋼管

杭)

回転

工法

(既製

コン

クリ

ート

杭)

回転

工法

(鋼管

杭)

その

他ソ

イル

セメ

ント

(鋼管

杭)

その

杭長

(m

上限最大

上限平均

上限最小

下限最大

下限平均

下限最小

図-2.2.4 各杭工法の対応可能杭長

Page 14: 2. 杭工法...BH工法 翼ビット方式 ローラービット方式 その他 図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第3レベル~第4レベル) 2.2 杭工法の選定

(2) 杭径

図-2.2.5 に杭径施工実績を示す。実績杭径はその他 (ソイルセメント鋼管杭 )の 1.5

m が最大で、打込み工法 (鋼管杭 )およびプレボーリング工法 (鋼管杭 )の 1.3m、中掘

り工法 (鋼管杭 )の 1.2m の順になっている。最小杭径は、各工法で概ね 0.2m~0.4m

である。

1300

1200

1300

1200

600

1200

1500 1500

1300

758

12501200

600545

1100

1000

1300

1200

600

165.2

700

500

1500

350

233287.5

1000

500

400

1200

375400

1000 1000

402

300

400400

300 300

89.1 200

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

打込

み工

法(鋼

管杭

)

プレ

ボー

リン

グ工

(既製

コン

クリ

ート

杭)

プレ

ボー

リン

グ工

(鋼管

杭)

中掘

工法

(鋼管

杭)

回転

工法

(既製

コン

クリ

ート

杭)

回転

工法

(鋼管

杭)

その

他ソ

イル

セメ

ント

(鋼管

杭)

その

杭径

(m

m)

上限最大

上限平均

上限最小

下限最大

下限平均

下限最小

図-2.2.5 各杭工法の杭径施工実績

(3) 斜杭の施工最大角度

打込み工法は 20°、回転杭工法は 30°以内で施工が可能である。

(4) 最小作業空間

1) 最小空間長さ

杭径の大きさによって値は変化するが、平均的な値としては、各工法ともいずれ

も 10m~20m の範囲となっている。

2) 最小空間幅

平均的な値としては、各工法ともいずれも 3m~9m の範囲となっている。

Page 15: 2. 杭工法...BH工法 翼ビット方式 ローラービット方式 その他 図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第3レベル~第4レベル) 2.2 杭工法の選定

3) 最小空間高さ

回転工法を除いてその平均値は 10m~30m の範囲となっている。

(5) 施工機械(本体全装備重量)

それぞれの工法で最大約 100tf~160tf となっている。

(6) 地表面傾斜角度

地表面の傾斜角は 0°もしくは 5°程度が大半を占めるが、一部 10°を超えても

施工可能な工法がある。 (最大 30°)

(7) 水上施工実績

水上施工の実績がない工法が大半を占めるが、2~ 10m の施工実績を有する工法

も見受けられる。

(8) 土質条件への対応

1) 中間層の状態

a) 粘性土

N 値 10 以下であれば、全ての工法で施工可能であるが、N 値 10~20 においては、

打込み工法 (鋼管杭 )以外の工法は、一部対応可能となる。

b) 砂質土

N 値 15 以下であれば、全ての工法で施工可能であるが、N 値 15~30 においては、

回転工法 (鋼管杭 )は、一部対応可能となる。N 値 30 以上となると、施工可能な工法

は、打込み工法 (鋼管杭 )、プレボーリング工法 (鋼管杭 )、中掘工法 (鋼管杭 )以外にお

いては、一部対応可能となり、回転工法 (鋼管杭 )においては、一部施工不可能とな

る。

c) 礫、玉石

礫径 5cm 以下の礫地盤は、プレボーリング工法 (既製コンクリート杭 )の一部を除

き施工可能である。礫径 5~10cm においては、プレボーリング工法 (既製コンクリ

ート杭 )の一部が施工不可能となり、回転工法が一部対応可能となる。礫径 10~15c

m においては、施工可能である工法が回転工法を除く鋼管杭に限られ、回転工法 (鋼

Page 16: 2. 杭工法...BH工法 翼ビット方式 ローラービット方式 その他 図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第3レベル~第4レベル) 2.2 杭工法の選定

管杭 )が施工不可能となる。礫径 15cm 以上においては、施工可能である工法が打込

み工法 (鋼管杭 )のみとなる。 (図-2.2.6~図-2.2.8 参照 )

0%

20%

40%

60%

80%

100%

打込

み工

(鋼管

杭)

プレ

ボー

リン

グ工

(既

製コン

クリ

ート

杭)

プレボ

ーリ

ング

工法

(鋼

管杭

)

中掘

り工

(鋼管

杭)

回転

工法

(既

製コン

クリ

ート

杭)

回転

工法

(鋼

管杭)

その

他ソ

イル

セメ

ント鋼

管杭

その他

×施工不可能

△対応可能

○施工可能

図-2.2.6 中間層の状態(礫径 5~10cm)と各杭工法の施工性の関係

0%

20%

40%

60%

80%

100%

打込

み工

(鋼

管杭

)

プレ

ボー

リン

グ工

(既

製コ

ンク

リー

ト杭

)

プレ

ボー

リン

グ工

(鋼

管杭

)

中掘

り工

(鋼

管杭

)

回転

工法

(既

製コ

ンク

リー

ト杭

)

回転

工法

(鋼

管杭

)

その

他ソ

イル

セメ

ント

鋼管

その

×施工不可能

△対応可能

○施工可能

図-2.2.7 中間層の状態(礫径 10~15cm)と各杭工法の施工性の関係

0%

20%

40%

60%

80%

100%

打込

み工

(鋼

管杭

)

プレ

ボー

リン

グ工

(既

製コ

ンク

リー

ト杭

)

プレ

ボー

リン

グ工

(鋼

管杭

)

中掘

り工

(鋼

管杭

)

回転

工法

(既

製コ

ンク

リー

ト杭

)

回転

工法

(鋼

管杭

)

その

他ソ

イル

セメ

ント

鋼管

その

×施工不可能

△対応可能

○施工可能

図-2.2.8 中間層の状態(礫径 15cm 以上)と各杭工法の施工性の関係

Page 17: 2. 杭工法...BH工法 翼ビット方式 ローラービット方式 その他 図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第3レベル~第4レベル) 2.2 杭工法の選定

2) 支持層の状態

a) 砂質土

図-2.2.9 に砂質土の N 値と各杭工法の施工性の関係を示す。N 値 50 以下の砂質

土に対しては、全ての工法が施工可能か対応可能であるが、N 値が 50 以上となると、

同図に示すようにプレボーリング工法 (既製コンクリート杭 )と回転工法 (鋼管杭 )の一

部の工法は施工不可能となっている。

0%

20%

40%

60%

80%

100%

打込

み工

(鋼管

杭)

プレ

ボー

リン

グ工

(既

製コン

クリ

ート

杭)

プレボ

ーリ

ング

工法

(鋼

管杭

)

中掘

り工

(鋼管

杭)

回転

工法

(既

製コン

クリ

ート

杭)

回転

工法

(鋼

管杭)

その

他ソ

イル

セメ

ント鋼

管杭

その他

×施工不可能

△対応可能

○施工可能

図-2.2.9 支持層の状態(砂質土 N 値 50 以上)と各杭工法の施工性の関係

b) 礫、玉石

図-2.2.10~図-2.2.11 に礫径と各杭工法の施工性の関係を示す。礫径 10cm 以下

の地盤に対しては、ほとんどの工法が施工可能か対応可能となっているが,礫径が

10cm 以上の地盤になると、同図に示すようにプレボーリング工法 (既製コンクリー

ト杭 )と回転工法 (鋼管杭 )で施工不可能となる工法が出てくる。

0%

20%

40%

60%

80%

100%

打込

み工

(鋼

管杭

)

プレ

ボー

リン

グ工

(既

製コ

ンク

リー

ト杭

)

プレ

ボー

リン

グ工

(鋼

管杭

)

中掘

り工

(鋼

管杭

)

回転

工法

(既

製コ

ンク

リー

ト杭

)

回転

工法

(鋼

管杭

)

その

他ソ

イル

セメ

ント

鋼管

その

×施工不可能

△対応可能

○施工可能

図-2.2.10 支持層の状態(礫径 10~15cm)と各杭工法の施工性の関係

Page 18: 2. 杭工法...BH工法 翼ビット方式 ローラービット方式 その他 図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第3レベル~第4レベル) 2.2 杭工法の選定

0%

20%

40%

60%

80%

100%

打込

み工

(鋼

管杭

)

プレ

ボー

リン

グ工

(既

製コ

ンク

リー

ト杭

)

プレ

ボー

リン

グ工

(鋼

管杭

)

中掘

り工

(鋼

管杭

)

回転

工法

(既

製コ

ンク

リー

ト杭

)

回転

工法

(鋼

管杭

)

その

他ソ

イル

セメ

ント

鋼管

その

×施工不可能

△対応可能

○施工可能

図-2.2.11 支持層の状態(礫径 15cm 以上)と各杭工法の施工性の関係

c) 土丹

図-2.2.12~図-2.2.13 に土丹の一軸圧縮強度 (qu)と各杭工法の施工性の関係を示

す。

プレボーリング工法 (既製コンクリート杭 )の約半数と中掘り工法 (鋼管杭 )および回

転工法 (既製コンクリート杭 )は、土丹の qu によらず施工不可能となっている。また、

回転工法 (鋼管杭 )の一部の工法は qu が 1.0N/mm2 以上の地盤となると施工不可能と

なる。それ以外の工法については、qu の大きさにより施工可能か対応可能となって

いる。

0%

20%

40%

60%

80%

100%

打込み

工法

(鋼

管杭)

プレ

ボー

リング

工法

(既

製コン

クリー

ト杭)

プレボ

ーリン

グ工法

(鋼

管杭

)

中掘り

工法

(鋼

管杭)

回転

工法

(既

製コン

クリー

ト杭)

回転

工法

(鋼

管杭

)

その

他ソ

イル

セメ

ント鋼

管杭

その

×施工不可能

△対応可能

○施工可能

図-2.2.12 支持層の状態(土丹 qu=1.0N/mm

2 以下)と各杭工法の施工性の関係

Page 19: 2. 杭工法...BH工法 翼ビット方式 ローラービット方式 その他 図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第3レベル~第4レベル) 2.2 杭工法の選定

0%

20%

40%

60%

80%

100%

打込み

工法

(鋼

管杭)

プレ

ボー

リング

工法

(既

製コン

クリー

ト杭)

プレボ

ーリン

グ工法

(鋼

管杭

)

中掘り

工法

(鋼

管杭)

回転

工法

(既

製コン

クリー

ト杭)

回転

工法

(鋼

管杭

)

その

他ソ

イル

セメ

ント鋼

管杭

その

×施工不可能

△対応可能

○施工可能

図-2.2.13 支持層の状態(土丹 qu=1.0N/mm

2 以上)と各杭工法の施工性の関係

3) 支持層の傾斜

図-2.2.14~図-2.2.15 に支持層の傾斜角と各杭工法の施工性の関係を示す。

支持層の傾斜角が 30°以下の場合、ほぼ全ての工法が施工可能か対応可能となっ

ている。しかし、傾斜角が 30°以上の地盤では、回転工法 (既製コンクリート杭 )は

施工不可能となる。また、プレボーリング工法 (既製コンクリート杭 )と回転工法 (鋼

管杭 )についても、施工可能または対応可能な工法は半数程度に減少する。

0%

20%

40%

60%

80%

100%

打込み

工法

(鋼

管杭)

プレ

ボー

リング

工法

(既

製コン

クリー

ト杭)

プレボ

ーリン

グ工法

(鋼

管杭

)

中掘り

工法

(鋼

管杭)

回転

工法

(既

製コン

クリー

ト杭)

回転

工法

(鋼

管杭

)

その

他ソ

イル

セメ

ント鋼

管杭

その

×施工不可能

△対応可能

○施工可能

図-2.2.14 支持層の傾斜角(30°以下)と各杭工法の施工性の関係

Page 20: 2. 杭工法...BH工法 翼ビット方式 ローラービット方式 その他 図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第3レベル~第4レベル) 2.2 杭工法の選定

0%

20%

40%

60%

80%

100%

打込み

工法

(鋼

管杭)

プレ

ボー

リング

工法

(既

製コン

クリー

ト杭)

プレボ

ーリン

グ工法

(鋼

管杭

)

中掘り

工法

(鋼

管杭)

回転

工法

(既

製コン

クリー

ト杭)

回転

工法

(鋼

管杭

)

その

他ソ

イル

セメ

ント鋼

管杭

その

×施工不可能

△対応可能

○施工可能

図-2.2.15 支持層の傾斜角(30°~45°)と各杭工法の施工性の関係

(9) 地下水の状態

1) 地下水が地表面に近い

すべての工法が施工可能か対応可能という結果になっている。

2) 湧水量が極めて多い

打込み工法 (鋼管杭 )、中掘り工法 (鋼管杭 )および回転工法 (鋼管杭 )はほぼ施工可能

である。しかし、プレボーリング工法は施工不可能比率が約 20%あり、全体的にみ

ても施工困難なケースが多い。

3) 被圧地下水

被圧地下水が 0~2m の場合、すべての工法で施工可能であるが、2m 以上の場合

プレボーリング工法 (鋼管杭 )では、地下水位低下工法等の補助工法が必要となる。

4) 流動地下水

地下水流速が 3m/min の場合、打込み工法 (鋼管杭 )、回転工法 (鋼管杭 )は施工可

能か対応可能であるが、プレボーリング工法、中掘り工法 (鋼管杭 )では大半が施工

不可能となっている。

(10) 環境条件

1) 騒音

打込み工法 (鋼管杭 )とプレボーリング工法、中掘り工法 (鋼管杭 )の最大値は大差な

Page 21: 2. 杭工法...BH工法 翼ビット方式 ローラービット方式 その他 図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第3レベル~第4レベル) 2.2 杭工法の選定

いが、これは最終打撃工法による。その他の工法は、一部の例外を除けば、全体的

に打込み工法に比較して小さな値である (図-2.2.16 参照 )。

80

7673

70 6665

70

6560

6764

61

70 65

57

65

60

75

69

63 63

50

45

79 80 82

72

66

82

7275

70

103

68

0

20

40

60

80

100

10m

30m

50m

10m

30m

50m

10m

30m

50m

10m

30m

50m

10m

30m

50m

10m

30m

50m

10m

30m

50m

10m

30m

50m

騒音

(dB

A)

施工箇所からの距離

プレ

ボー

リン

グ工法

(既

製コ

ンク

リート杭

プレ

ボー

リン

グ工法(

鋼管杭

その

回転

工法

(鋼

管杭)

回転

工法

(既

製コンクリート

杭)

中掘

り工

法(

鋼管杭)

打込

み工

法(

鋼管杭)

その

他ソ

イル

セメント

鋼管杭

図-2.2.16 各杭工法の騒音実測値

2) 振動

工法により大差はないが、プレボーリング工法 (鋼管杭 )や中掘り工法 (鋼管杭 )は、

若干ではあるが最大値が大きくなっている (図-2.2.17 参照 )。

57

52

42

53

42

4545

38

4545

38

42

55

36

24

45

52

46

40

45

40

35

60

50

75

53

46

62

53

60 60

50

0

20

40

60

80

10m

30m

50m

10m

30m

50m

10m

30m

50m

10m

30m

50m

10m

30m

50m

10m

30m

50m

10m

30m

50m

10m

30m

50m

振動

(dB)

施工箇所からの距離

プレ

ボーリン

グ工法

(既

製コンク

リート

杭)

プレ

ボーリン

グ工法

(鋼管杭)

その

回転

工法

(鋼

管杭)

回転

工法(既

製コン

クリート杭)

中掘

り工法(

鋼管杭

打込

み工法(

鋼管杭

その

他ソイル

セメン

ト鋼管杭

図-2.2.17 各杭工法の振動実測値

Page 22: 2. 杭工法...BH工法 翼ビット方式 ローラービット方式 その他 図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第3レベル~第4レベル) 2.2 杭工法の選定

3) 産業廃棄物の発生

プレボーリング工法の場合、産業廃棄物の発生が生じると回答した比率は約 80%

である。

4) 水質汚染

打込み工法 (鋼管杭 )とプレボーリング工法の一部で水質汚濁の発生を回答してい

る。

5) CO2 排出量の抑制対策

ほぼ全ての工法において、主に排出ガス対策型建設機械を用いることで対応可能

となっている。ただし、同一工法内でも対策がない場合もあるので、事前に確認が

必要である。

(11) 施工費および施工能率

当委員会において杭工事の施工費に関わるアンケート調査を行った。この調査は、

ある施工条件および土質条件を提示し、その条件での施工費を記入してもらう方法

であり、以下の 3 点を主な目的として行ったものである。

① 設定した施工場所における既製杭および場所打ち杭の工事費の目安を把握す

ることによって、施工法毎の特徴を考察する。

② 杭工法の選定要因のうち、施工費が占める重要度を考察する。

③ 施工費の面から既製杭の特徴を比較する。

ただし、この項目については未回答が多く、アンケートとして有用と思えるほど

のサンプル数を得ることができなかったため、この項目は記載を省略する。

2.2.3 場所打ち杭工法

2.2.3.1 選定項目

表-2.2.7~表-2.2.8 場所打ち杭選定表の選定項目参照。

2.2.3.2 選定手法

既製杭と同様とする。

Page 23: 2. 杭工法...BH工法 翼ビット方式 ローラービット方式 その他 図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第3レベル~第4レベル) 2.2 杭工法の選定

表-2.2.7 場所打ち杭選定表(1)

選 定 項 目

※1:下限値の最小値~上限値の最大値を示す。

※2:最小値~最大値を示す。    

※3:杭径600mm以上の場合

3.5

×

1

90

4

10

140

10~35 15~50

300 400

360

○○

90

150

80

250

200

100

110

120

130

施工断面(杭径)※1

5060

40

50

60

30

:実績70

:可能80

20 (cm)20

100

:実績

10

5060

:可能

80

50

70

掘削深さ(杭長)※1 20

90

30

4042

1

(m)10

1 50

3 6

アー

スドリル

工法

場  所  打  ち  杭

杭工法および杭の種類

アンケート   回答件数

BH工法

リバー

ス工法

オー

ルケー

シング

工法

拡底

施工の可否

拡底の比率※2

4~10

最小作業空間

施工

機械

長  さ  L(m)

高  さ  H(m)

本体全装備重量(tf)

幅   B(m)

○地

粘性土

N値<4

15~30

10~20

砂質土

N値<15

  >30

最近接距離  (m)

○ ○

接 地 圧 (kN/m2) ― 9.5~16.2 ―

10~15cm

50cm以上

礫(玉石)

5~10cm

15~50cm

7

8

81

66

1.08~3.06 1.06~4.00

77

5

80

×

施      工      条       件

2 5

1.5

38

15.8~127

0.3~7

×

5

○ ○

○ ○

14~162

0.3~2

42~127

7~20

3~30 19~30

50

20

4 10~30 2.5

150

80

×

× ○、※3△

○ ○

○ ○、※3△

× ○、※3△

Page 24: 2. 杭工法...BH工法 翼ビット方式 ローラービット方式 その他 図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第3レベル~第4レベル) 2.2 杭工法の選定

表-2.2.8 場所打ち杭選定表(2)

選 定 項 目

※4:杭径600mm以上の場合

※5:最小値~最大値を示す。

39~55

50m地点

30m地点

42~6035~55

CO2排出量の抑制対策

48~60

― ○ ○

71~78

×

場  所  打  ち  杭

×

×

○、※3△

○、※3△

○、※3△

30m地点

qu<5.0

5.0~15

30°~45°

30<60

60<80

80<qu

10m地点

2m以上

振動※4

(dB)

10m地点

騒音※4

(dB(A))

地下水の状態

地下水位が地表面に近い

被圧地下水(水頭)

50m地点

3m/min以上

0~2m

湧水量が極めて多い

流動地下水 ○

△傾斜

30°以下

○、※3×

岩(一軸圧縮

   強度)

(N/mm2)× ○、※3×

15<30

○、※3×

○○

○、※3△

○、※3△

○ ×

×○

環 境 条 件

N値>50

地 形 お よ び 地 質 条 件

×

×

1.0~5.0

×

5.0<qu ×

支 持 層 の 状 態

砂質土

礫玉石

5~10cm

10~15cm

×

×

N値30~50

BH工法

アンケート   回答件数

アー

スドリル

工法

杭工法および杭の種類

リバー

ス工法

オー

ルケー

シング

工法

2

15~50cm

土丹

(N/mm2)

qu<1.0

50cm以上

○ ○ ○ ○

5 8 1

○、※3△

×

53~70

57~65

×

×

75~78

70~76

67~70

55~64

46~60

×

×

×

×

2.2.3.3 選定項目の分析

(1) 杭長

1) 実績

図-2.2.18 に各杭工法における杭長の施工実績を示す。実績杭長は、アースドリ

ル工法の 76.5m が最大で、オールケーシング工法が 66m で続いている。

Page 25: 2. 杭工法...BH工法 翼ビット方式 ローラービット方式 その他 図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第3レベル~第4レベル) 2.2 杭工法の選定

38.2

66

76.5

42.25

62.488

30

53

5.5

42

65

1.754.89.5

03

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

リバース工法 オールケーシング工法 アースドリル工法 BH工法

杭長

(m

上限最大

上限平均

上限最小

下限最大

下限平均

下限最小

図-2.2.18 各杭工法の杭長施工実績

2) 対応可能杭長

対応可能杭長を図-2.2.19 に示す。各工法ともに実績とほぼ同等である。

44

81

39.5

69.5

35

60

5

50

50

52

3.915

0 0.50

10

20

30

40

50

60

70

80

90

リバース工法 オールケーシング工法 アースドリル工法 BH工法

杭長

(m

上限最大

上限平均

上限最小

下限最大

下限平均

下限最小

図-2.2.19 各杭工法の対応可能杭長

Page 26: 2. 杭工法...BH工法 翼ビット方式 ローラービット方式 その他 図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第3レベル~第4レベル) 2.2 杭工法の選定

(2) 杭径

図-2.2.20 に各杭工法における杭径施工実績を示す。 実績杭径はアースドリル

工法の 3.6m が最大で、ついでオールケーシング工法の 3.0m、リバース工法の 2.0

m の順になっている。最小杭径は、各工法ともに 0.8m~1.0m となっている。

3

3.6

0.9

2.5

2.88

0.9

2

2.5

2

0.9

1 1.2

0.8 0.90.88

0.50.80.8

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

リバース工法 オールケーシング工法 アースドリル工法 BH工法

杭径

(m

上限最大

上限平均

上限最小

下限最大

下限平均

下限最小

図-2.2.20 各杭工法の杭径施工実績

(3) 最小作業空間

1) 最小空間長さ

杭径の大きさによって値は変化するが、平均的な値としては、各工法ともいずれ

も 20m~27m の範囲となっている。

2) 最小空間幅

平均的な値としては、リバース工法が 4m、その他が 13m~17.4m の範囲である。

3) 最小空間高さ

平均的な値としては、アースドリル工法が 22.5m、ついでオールケーシング工法

が 15m となっている。

Page 27: 2. 杭工法...BH工法 翼ビット方式 ローラービット方式 その他 図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第3レベル~第4レベル) 2.2 杭工法の選定

(4) 施工機械(本体全装備重量)

機械重量の平均値では、アースドリル工法が最も重く約 90tf、オールケーシング

工法が約 68tf となっている。

(5) 地表面傾斜角度

地表面の傾斜角は 0°もしくは 5°程度が大半を占めるが、一部 30°にて施工可

能な工法がある。

(6) 土質条件への対応

1) 中間層の状態

a) 粘性土

N 値 10 以下であれば、全ての工法で施工可能であるが、N 値 10~20 においては、

アースドリル工法は、一部対応可能となる。

b) 砂質土

N 値 15 以下においては、アースドリル工法は一部対応可能となるが、N 値 15 以

上であれば、全ての工法で施工可能である。

c) 礫、玉石

礫径 5cm 以下の礫地盤は、全ての工法で施工可能である。礫径 5~10cm におい

ては、リバース工法の全ておよびアースドリル工法の半数が対応可能となる。礫径

10~15cm においては、リバース工法の全ておよびアースドリル工法の半数が施工

不可能となる。礫径 15cm 以上においては、アースドリル工法の全てが施工不可能

となり、オールケーシング工法は一部対応可能となる。 (図-2.2.21~図-2.2.23 参

照 )

Page 28: 2. 杭工法...BH工法 翼ビット方式 ローラービット方式 その他 図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第3レベル~第4レベル) 2.2 杭工法の選定

0%

20%

40%

60%

80%

100%

リバ

ース

工法

オー

ルケー

シン

工法

アー

スドリ

ル工

BH工

×施工不可能

△対応可能

○施工可能

図-2.2.21 中間層の状態(礫径 5~10cm)と各杭工法の施工性の関係

0%

20%

40%

60%

80%

100%

リバー

ス工法

オールケー

シング

工法

アースドリ

ル工法

BH工法

×施工不可能

△対応可能

○施工可能

図-2.2.22 中間層の状態(礫径 10~15cm)と各杭工法の施工性の関係

0%

20%

40%

60%

80%

100%

リバ

ース

工法

オー

ルケ

ーシ

ング

工法

アー

スド

リル

工法

BH工

×施工不可能

△対応可能

○施工可能

図-2.2.23 中間層の状態(礫径 15cm 以上)と各杭工法の施工性の関係

Page 29: 2. 杭工法...BH工法 翼ビット方式 ローラービット方式 その他 図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第3レベル~第4レベル) 2.2 杭工法の選定

2) 支持層の状態

a) 砂質土

砂質土の支持層に対しては、全ての工法が施工可能か対応可能となっている。

b) 礫、玉石

図-2.2.24~図-2.2.26 に礫径と各杭工法の施工性の関係を示す。

礫径 5~10cm の地盤に対しては、全ての工法が施工可能か対応可能となっている。

しかし、リバース工法は礫径が 10cm 以上となると施工不可能となる。また、アー

スドリル工法も礫径が大きくなるにつれて、施工不可能な割合が増加する。

0%

20%

40%

60%

80%

100%

リバ

ース

工法

オー

ルケ

ーシ

ング

工法

アー

スド

リル

工法

BH工

×施工不可能

△対応可能

○施工可能

図-2.2.24 支持層の状態(礫径 5~10cm)と各杭工法の施工性の関係

0%

20%

40%

60%

80%

100%

リバ

ース

工法

オー

ルケ

ーシ

ング

工法

アー

スド

リル

工法

BH工

×施工不可能

△対応可能

○施工可能

図-2.2.25 支持層の状態(礫径 10~15cm)と各杭工法の施工性の関係

Page 30: 2. 杭工法...BH工法 翼ビット方式 ローラービット方式 その他 図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第3レベル~第4レベル) 2.2 杭工法の選定

0%

20%

40%

60%

80%

100%

リバ

ース

工法

オー

ルケ

ーシ

ング

工法

アー

スド

リル

工法

BH工

×施工不可能

△対応可能

○施工可能

図-2.2.26 支持層の状態(礫径 15cm 以上)と各杭工法の施工性の関係

c) 土丹

図-2.2.27~図-2.2.28 に土丹の一軸圧縮強度 (qu)と各杭工法の施工性の関係を示

す。

qu=1.0N/mm2 以下の地盤に対しては、全ての工法が施工可能となっている。qu=1.

0~5.0N/mm2 の地盤となると、アースドリル工法での施工は難しい。qu=5.0N/mm2

以上の地盤となると、オールケーシング工法と BH 工法のみが施工可能または対応

可能な工法となるようである。

0%

20%

40%

60%

80%

100%

リバ

ース

工法

オー

ルケ

ーシ

ング

工法

アー

スド

リル

工法

BH工

×施工不可能

△対応可能

○施工可能

図-2.2.27 支持層の状態(土丹 qu=1.0~5.0N/mm2)と各杭工法の施工性の関係

Page 31: 2. 杭工法...BH工法 翼ビット方式 ローラービット方式 その他 図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第3レベル~第4レベル) 2.2 杭工法の選定

0%

20%

40%

60%

80%

100%

リバ

ース

工法

オー

ルケ

ーシ

ング

工法

アー

スド

リル

工法

BH工

×施工不可能

△対応可能

○施工可能

図-2.2.28 支持層の状態(土丹 qu=5.0N/mm

2 以上)と各杭工法の施工性の関係

d) 岩

図-2.2.29~図-2.2.32 に岩の一軸圧縮強度 (qu)と各杭工法の施工性の関係を示す。

qu=30N/mm2 以下の岩に対しては、図-2.2.29 および図-2.2.30 に示すようにリバ

ース工法、オールケーシング工法、BH 工法が施工可能か対応可能となっている。q

u=30~80N/mm2 の岩に対しては、図-2.2.31 に示すようにオールケーシング工法と

BH 工法が施工可能か対応可能となっている。qu=80N/mm2 以上の岩に対しては、

図-2.2.32 に示すようにオールケーシング工法の 75%と BH 工法が施工可能か対応

可能となっている。

0%

20%

40%

60%

80%

100%

リバ

ース

工法

オー

ルケ

ーシ

ング

工法

アー

スド

リル

工法

BH工

×施工不可能

△対応可能

○施工可能

図-2.2.29 支持層の状態(岩 qu=15.0N/mm

2 以下)と各杭工法の施工性の関係

Page 32: 2. 杭工法...BH工法 翼ビット方式 ローラービット方式 その他 図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第3レベル~第4レベル) 2.2 杭工法の選定

0%

20%

40%

60%

80%

100%

リバ

ース

工法

オー

ルケ

ーシ

ング

工法

アー

スド

リル

工法

BH工

×施工不可能

△対応可能

○施工可能

図-2.2.30 支持層の状態(岩 qu=15.0~30.0N/mm2)と各杭工法の施工性の関係

0%

20%

40%

60%

80%

100%

リバ

ース

工法

オー

ルケ

ーシ

ング

工法

アー

スド

リル

工法

BH工法

×施工不可能

△対応可能

○施工可能

図-2.2.31 支持層の状態(岩 qu=30.0~80.0N/mm2)と各杭工法の施工性の関係

0%

20%

40%

60%

80%

100%

リバ

ース

工法

オー

ルケ

ーシ

ング

工法

アー

スド

リル

工法

BH工

×施工不可能

△対応可能

○施工可能

図-2.2.32 支持層の状態(岩 qu=80.0N/mm

2 以上)と各杭工法の施工性の関係

Page 33: 2. 杭工法...BH工法 翼ビット方式 ローラービット方式 その他 図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第3レベル~第4レベル) 2.2 杭工法の選定

3) 支持層の傾斜

図-2.2.33~図-2.2.34 に支持層の傾斜角と各杭工法の施工性の関係を示す。

支持層の傾斜角が 30°以下の場合は、オールケーシング工法の一部を除く全ての

工法が施工可能か対応可能である。支持層の傾斜角が 30°以上となると、アースド

リル工法の一部の工法も施工不可能となる。

0%

20%

40%

60%

80%

100%

リバ

ース

工法

オー

ルケ

ーシ

ング

工法

アー

スド

リル

工法

BH工

×施工不可能

△対応可能

○施工可能

図-2.2.33 支持層の傾斜角(30°以下)と各杭工法の施工性の関係

0%

20%

40%

60%

80%

100%

リバ

ース

工法

オー

ルケ

ーシ

ング

工法

アー

スド

リル

工法

BH工

×施工不可能

△対応可能

○施工可能

図-2.2.34 支持層の傾斜角(30°~45°)と各杭工法の施工性の関係

(7) 地下水の状態

1) 地下水が地表面に近い

すべての工法が施工可能か対応可能という結果になっている。

Page 34: 2. 杭工法...BH工法 翼ビット方式 ローラービット方式 その他 図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第3レベル~第4レベル) 2.2 杭工法の選定

2) 湧水量が極めて多い

ほぼ全ての工法で対応可能だが、アースドリル工法の一部で施工不可能となって

いる。

3) 被圧地下水

被圧地下水が 2m 以下では、全ての工法で施工可能もしくは対応可能となってい

るが、2m を越えると施工不可能となる工法が出てくる。特にアースドリル工法では、

施工不可能の比率が 50%を越える。

4) 流動地下水

流動地下水の流速が 3m/min を越える場合は各杭工法とも施工不可能の比率が

高い。施工可能と回答があったのはオールケーシング工法だけであった。

(8) 環境条件

1) 騒音

図-2.2.35 に各杭工法における騒音実測値を示す。

回答があったのはオールケーシング工法とアースドリル工法のみで、いずれも騒

音規制法における規制値の 85dBA 以内に収まっている。

場所打ち杭工法は一般に騒音に対して余り問題にならない工法であるが、工事に

当たっては発電機や油圧モータ一などの関連機械の騒音も含めて敷地境界での騒音

が規制値内に収まっていることを確認して施工するのが望ましい。

71

67

55

75

70

53

78

70

64

78

76

70

0

20

40

60

80

10m

30m

50m

10m

30m

50m

10m

30m

50m

10m

30m

50m

騒音

(dBA)

施工箇所からの距離

オー

ルケ

ーシ

ング工

アー

スド

リル

工法

BH

工法

リバ

ース

工法

(有効回答無し)

(有効回答無し)

図-2.2.35 各杭工法の騒音実測値

Page 35: 2. 杭工法...BH工法 翼ビット方式 ローラービット方式 その他 図-2.1.3 場所打ち杭における杭工法分類(第3レベル~第4レベル) 2.2 杭工法の選定

2) 振動

図-2.2.36 に各杭工法における振動実測値を示す。

場所打ち杭工法は一般に振動に対しても余り問題にならない工法である。実測値

も回答のあった限り、振動規制法の規制値 75dB 以下に収まっている。

工事に当たっては振動規制値も騒音規制値同様敷地境界における値であることを

注意されたい。

4639

35

57

48

42

60

5555

65

60 60

0

20

40

60

80

10m

30m

50m

10m

30m

50m

10m

30m

50m

10m

30m

50m

振動

(dB

施工箇所からの距離

オー

ルケ

ーシ

ング

工法

アー

スド

リル

工法

BH

工法

リバ

ース

工法

(有効回答無し)

(有効回答無し)

図-2.2.36 各杭工法の振動実測値

3) CO2 排出量の抑制対策

ほぼ全ての工法において、主に排出ガス対策型建設機械を用いることで対応可能

となっている。ただし、同一工法内でも対策がない場合もあるので、事前に確認が

必要である。

(9) 施工費および施工能率

当委員会において杭工事の施工費に関わるアンケート調査を行った。この調査は、

ある施工条件および土質条件を提示し、その条件での施工費を記入してもらう方法

であり、以下の 3 点を主な目的として行ったものである。

① 設定した施工場所における既製杭および場所打ち杭の工事費の目安を把握す

ることによって、施工法毎の特徴を考察する。

② 杭工法の選定要因のうち、施工費が占める重要度を考察する。

③ 施工費の面から場所打ち杭の特徴を比較する。

ただ、この項目については未回答が多く、アンケートとして有用と思えるほどの

サンプル数を得ることができなかったため、この項目は記載を省略する。