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2 回早稲田大学心理学コース研究発表会 2014 2 15 於早稲田大学戸山キャンパス 1 2 回早稲田大学心理学コース研究発表会 戸山キャンパス 33 号館 3 第一会議室 2014 2 15 スケジュール 10:00 ポスター掲示 10:30 ポスター発表① 12:00 お昼休み 13:00 特別招待講演 (司会:板口典弘 助手) 1300-1340 早稲田大学高等研究所 助教 木田哲夫 先生 「多感覚性注意効果の脳内時空間動態」 1350-1430 帝京平成大学 健康メディカル学部 教授 永井知代子 先生 「失語症研究における進行性失語の役割」 14:40 スモール・トーク 1440-1500 早稲田大学文学研究科修士 2 井田佳祐, 文学学術院 助手 板口典弘 「海外学会のすゝめ: PsychonomicsSociety for Neuroscience15:30 ポスター発表② 16:30 ポスター撤去開始(1700 まで) 17:00 閉会のあいさつ 1730 懇親会@舟形や ※懇親会に参加希望される方は事前にご連絡ください Notes ・ポスターは 10301700 まで自由に閲覧できます。 ・発表者の責任在席期間が 10301200 15301700 2 つの期間に分かれてい ます。 ・責任在席時間以外の,発表者の在席は自由です。 ・プログラムは予告なく変更される可能性があります。ご了承下さい。 ・当日,大学はロックアウトとなっており,閉門されております。 学内に飲み物の自動販売機はありますが,食べ物の販売はございません。 そのためお食事は予めお持ちいただくか,いったん外に出てお買い求めください。 運営協力者 板口典弘,中島悠介,井田佳祐,大井屋奏,吉原将大,小野口航,飯島拓海,小野島萌,山田千晴 責任者 板口典弘([email protected]

2 回早稲田大学心理学コース研究発表会不快情動の回避と精神的健康の関連―マインドフルネスの調整効果に着目して― 4. 早稲田大学

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Page 1: 2 回早稲田大学心理学コース研究発表会不快情動の回避と精神的健康の関連―マインドフルネスの調整効果に着目して― 4. 早稲田大学

第 2 回早稲田大学心理学コース研究発表会 2014 年 2 月 15 日 於早稲田大学戸山キャンパス

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第 2 回早稲田大学心理学コース研究発表会

於 戸山キャンパス 33 号館 3 階 第一会議室 2014 年 2 月 15 日

スケジュール

10:00 ポスター掲示

10:30 ポスター発表①

12:00 お昼休み

13:00 特別招待講演 (司会:板口典弘 助手)

13:00-13:40 早稲田大学高等研究所 助教 木田哲夫 先生

「多感覚性注意効果の脳内時空間動態」

13:50-14:30 帝京平成大学 健康メディカル学部 教授 永井知代子 先生

「失語症研究における進行性失語の役割」

14:40 スモール・トーク

14:40-15:00 早稲田大学文学研究科修士 2 年 井田佳祐, 文学学術院 助手 板口典弘

「海外学会のすゝめ: Psychonomics,Society for Neuroscience」

15:30 ポスター発表②

16:30 ポスター撤去開始(17:00 まで)

17:00 閉会のあいさつ

17:30 ~ 懇親会@舟形や

※懇親会に参加希望される方は事前にご連絡ください

Notes

・ポスターは 10:30~17:00 まで自由に閲覧できます。

・発表者の責任在席期間が ①10:30~12:00 と ②15:30~17:00 の 2 つの期間に分かれてい

ます。

・責任在席時間以外の,発表者の在席は自由です。

・プログラムは予告なく変更される可能性があります。ご了承下さい。

・当日,大学はロックアウトとなっており,閉門されております。

学内に飲み物の自動販売機はありますが,食べ物の販売はございません。

そのためお食事は予めお持ちいただくか,いったん外に出てお買い求めください。

運営協力者

板口典弘,中島悠介,井田佳祐,大井屋奏,吉原将大,小野口航,飯島拓海,小野島萌,山田千晴

責任者

板口典弘([email protected]

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第 2 回早稲田大学心理学コース研究発表会 2014 年 2 月 15 日 於早稲田大学戸山キャンパス

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会場案内

早稲田大学戸山キャンパス 33 号館 3 階 第一会議室

・アクセス

JR山手線 高田馬場駅 徒歩 20 分

西武線 高田馬場駅 徒歩 20 分

地下鉄東京メトロ 東西線 早稲田駅 徒歩 3 分

地下鉄東京メトロ 副都心線 西早稲田駅 徒歩 12 分

会場見取り図

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第 2 回早稲田大学心理学コース研究発表会 2014 年 2 月 15 日 於早稲田大学戸山キャンパス

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ポスター発表 演題

1. 早稲田大学 修士 2 年 吉田暁

随意的呼吸統制が覚醒水準および反応時間に及ぼす影響

2. 早稲田大学 修士 1 年 犬塚朋子

1 歳児の模倣行動における合理性理解

3. 早稲田大学 博士 2 年 前川真奈美

不快情動の回避と精神的健康の関連―マインドフルネスの調整効果に着目して―

4. 早稲田大学 博士 3 年 牟田季純

音楽が持つ感情的性格における印象評価的側面(perceived emotion)と情動反応的側面(felt emotion)の区別に関する

実験研究

5. 早稲田大学 修士 1 年 大塚美寿々

大学生の新型うつ病傾向について:予備調査とその結果

6. 早稲田大学 修士 2 年 高橋直士

マインドフルネス技法の効果研究―重心動揺を指標として―

7. 早稲田大学 修士 2 年 石川遥至

「切り絵」作業が気分と注意に及ぼす影響について

8. 早稲田大学 修士 3 年 斎藤翔一郎

マインドフルネス呼吸法が注意機能に及ぼす影響の検討―新ストループ検査Ⅰを指標とした予備的研究

9. 早稲田大学 科目等履修生 原世都子

がん患者におけるマインドフルネス瞑想法と只観法(しかんほう)の質的効果検討

10. 早稲田大学 科目等履修生 三枝高大

境界性パーソナリティ障害の測定的研究について

11. 早稲田大学 修士 1 年 村上始 ※発表者変更 → 玉利祐樹

リスク下の意思決定における確率加重関数の推定

12. 早稲田大学 修士 2 年 竹内潤子

多元的価値構造の計量分析手法の開発

13. 早稲田大学 学部 4 年 斎藤翼

日英バイリンガルにおける英語の習熟度が音素弁別能力に与える影響

14. 早稲田大学 修士 2 年 井田佳祐

The Functional Phonological Unit of Japanese-English Bilinguals is Language Dependent

15. 早稲田大学 修士 2 年 吉原将大

The word frequency of orthographic neighbors and the lexicality of targets modulate the turple effect

16. 早稲田大学 修士 1 年 小野口航

進化シミュレーションを用いた間接互恵性の検討

17. 早稲田大学 修士 2 年 大井屋奏

face in the crowd 課題における表情認知に対する性とストレスの影響

18. 早稲田大学 学部 4 年 飯島拓海

Longer presentation of a via point improves precision of reaching movement

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第 2 回早稲田大学心理学コース研究発表会 2014 年 2 月 15 日 於早稲田大学戸山キャンパス

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19. 早稲田大学 学部 4 年 小野島萌

視覚性注意の方向による形態認知の変化の検討

20. 早稲田大学 学部 4 年 山田千晴

Kinematic Components of Experimentally Induced Slips of the Pen

21. 早稲田大学 修士 3 年 中島悠介

The influence of eye movements on open-loop reaching movements in eye-hand coordination

22. 早稲田大学 修士 2 年 藤掛友希

コラージュ療法作品に対する PAC 分析を用いた振り返りに関する研究

23. 早稲田大学 助手 板口典弘

Writing on the air: re-exploring Kusho behavior

24. 早稲田大学 特別研究員 中山真里子

日英バイリンガルの英単語の認識-語彙競合は第二言語でも起こるのか

25. 東京女子大学 学部 4 年 杉山美智子

外国人向けのやさしい日本語ルールはロービジョンの人の読み困難を解消するのか?

26. 東京女子大学 修士 1 年 大西まどか

高解像度ディスプレイとロービジョンの関係

27. 東京女子大学 修士 2 年 髙橋あおい

線頻度と視認性

28. 立教大学 学部 3 年 近江朋加

手画像呈示を伴うアダプテーションが視触覚刺激の同時性判断に及ぼす効果ついて

29. 立教大学 学部 3 年 田中智明

超高精細映像に対する感性的印象評価

30. 独立行政法人産業技術総合研究所 特別研究員 森数馬

心臓迷走神経活動とパーソナリティの交互作用による音楽聴取時に生じる鳥肌感の予測

31. 東京大学 先端科学技術研究所 特別研究員 山本健太郎

奥行きによる知覚的な回転運動速度の変容

32. 千葉大学 博士 1 年 今泉修

遅延視覚フィードバックが幻肢の運動感覚に及ぼす影響

33. 千葉大学 技術補佐員 山田桃子

聴覚的不快刺激に対する P300 ―2 刺激 oddball と 3 刺激 oddball の差異―

34. 白百合女子大学 修士 2 年 坂内理香

青年期における過剰適応傾向の発達的変化-実際の意識・行動と気持ちの差異に着目して-

35. 東京大学 修士 2 年 浜名真以

幼児期の感情語の獲得過程

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題目 No. 002-01 発表場所 B-12 責任発表時間 15:30-17:00

随意的呼吸統制が覚醒水準および反応時間に及ぼす影響

吉田暁 (早稲田大学)

本研究では, 眠気の亢進が予想される場面を設定し, 呼吸統制行うことによって覚醒水準の低下が抑

制されるかを検証した。実験は大学生 24 名 (実験群 12 名, 統制群 12 名) を対象に行い, 単純図形の反

復呈示による5分間の誘眠刺激と, ボタン押し反応要求課題からなる視覚刺激セットを4セッション連続

で呈示した。各セッション終了後, Karolinska Sleepiness Scale 日本語版 (KSS-J) を用い, 主観的眠気

を評価させた。実験群は誘眠刺激実施中, 教示音に従って吸気 4 秒・呼気 6 秒の呼吸統制を行った。統制

群は同様の教示音を聴くのみであった。分析の結果, 統制群における反応時間及び KSS-J 評定値は, セ

ッション 1 からセッション 4 にかけて有意に増加していた。一方で呼吸統制を行った実験群においては,

測定項目にセッション間の有意な変化は見られなかった。誘眠刺激によって, 覚醒水準の低下が生じたこ

と, そして, 呼吸統制によって眠気亢進の抑制効果が得られた可能性が示された。

題目 No. 002-02 発表場所 C-7 責任発表時間 10:30-12:00

1 歳児の模倣行動における合理性理解

犬塚朋子 (早稲田大学)

新生児模倣の発見から、30 年が経った。その間、多数の研究により、子どもの模倣行動が、それまで

考えられたような単純なものではなく、より選択的・解釈的な行為であることが報告されている。その

多くが、人間の子どもには行為者の視点や意図を共有しようという心の働きがあることを示唆している。

中でも、Gergely ら(2002)による、子どもが 14 か月にして他者の行動の合理性を評価し、自身の模倣行

動を選択していることを示した合理的模倣の研究は、最も重要な発見のひとつと言える。この研究で子

どもは、実験者が例示した行動は同じであるにも関わらず、模倣すべき行動と模倣すべきではない行動

とを合理的に区別して模倣することが見いだされた。本研究は Meltzoff(1988)・Gergely ら(2002)の「額

押しパラダイム」を利用し、14 か月児群、18 か月児群、22 か月児群の合理的模倣の発達的変化を検討

しようとするものである。現在、研究の緒に就いたばかりであるため、ここでは研究方法と現時点で得

られているデータを紹介する。

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題目 No. 002-03 発表場所 C-1 責任発表時間 10:30-12:00

不快情動の回避と精神的健康の関連―マインドフルネスの調整効果に着目して―

前川真奈美 (早稲田大学)

目的:不快情動の回避と精神的健康との関係について,マインドフルネス傾向の高低を考慮に入れて

検討した。方法:大学生 216 名を対象に調査を実施し,無効回答のない 193 名(男性 68 名,女性 120 名,

不明 5 名;平均年齢 20.4±1.4 歳)のデータを用いた。本研究では,マインドフルネス,不快情動回避心性,

精神的健康の指標として基本的信頼感,特性不安,抑うつ傾向を測定した。結果と考察:マインドフル

ネスと不快情動回避心性の得点をもとに 4 つのクラスターに分類し,クラスターを独立変数,精神的健

康指標を従属変数とする分散分析を行った。その結果,不快情動回避心性が高くてもマインドフルネス

傾向が高ければ精神的健康度も高いことが示された。このことから,不快情動を回避しようとする傾向

が精神的健康に及ぼす影響において,「現在の体験に意図的に注意を向け,それを評価せずに受け入れる」

という態度が調整変数として機能している可能性が示唆された。

題目 No. 002-04 発表場所 A-12 責任発表時間 15:30-17:00

音楽が持つ感情的性格における印象評価的側面(perceived emotion)と情動反応的側面(felt emotion)の区

別に関する実験研究

牟田季純 (早稲田大学)

音楽の感情的性格における印象評価的側面(perceived emotion)と情動反応的側面(felt emotion)の

違いは,従来の質問紙研究では主に教示の違い(音楽の印象を尋ねるか,生起した気分を尋ねるか)を

用いた議論によってその区別が示されてきた。しかし,その区別は教示によって要求される言語化プロ

セスの違いのみを反映していると解釈することもでき,そうであれば両プロセスの対象(情報源)とな

る心的表象が互いに同じものであるという可能性は否定できない。本研究では,異なる気分誘導群(ポ

ジティブ対ネガティブ)を用いて体系的な印象操作を狙い,単一の指標楽曲に対する印象とその楽曲で

生起した気分が異なるかを検討した。その結果,群間で印象評定が有意に異なったにも関わらず生起し

た気分にほとんど差が見られなかった。このことから楽曲の印象とその楽曲によって生起する気分の心

的表象が同一でないことが示された。

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題目 No. 002-05 発表場所 A-9 責任発表時間 10:30-12:00

大学生の新型うつ病傾向について:予備調査とその結果

大塚美寿々 (早稲田大学)

本研究では, 眠気の亢進が予想される場面を設定し, 呼吸統制行うことによって覚醒水準の低下が抑

制されるかを検証した。実験は大学生 24 名 (実験群 12 名, 統制群 12 名) を対象に行い, 単純図形の反

復呈示による5分間の誘眠刺激と, ボタン押し反応要求課題からなる視覚刺激セットを4セッション連続

で呈示した。各セッション終了後, Karolinska Sleepiness Scale 日本語版 (KSS-J) を用い, 主観的眠気

を評価させた。実験群は誘眠刺激実施中, 教示音に従って吸気 4 秒・呼気 6 秒の呼吸統制を行った。統制

群は同様の教示音を聴くのみであった。分析の結果, 統制群における反応時間及び KSS-J 評定値は, セ

ッション 1 からセッション 4 にかけて有意に増加していた。一方で呼吸統制を行った実験群においては,

測定項目にセッション間の有意な変化は見られなかった。誘眠刺激によって, 覚醒水準の低下が生じたこ

と, そして, 呼吸統制によって眠気亢進の抑制効果が得られた可能性が示された。

題目 No. 002-06 発表場所 A-11 責任発表時間 10:30-12:00

マインドフルネス技法の効果研究―重心動揺を指標として―

高橋直士 (早稲田大学)

目的:心のあり方と立位姿勢における動揺との関連性,及び重心動揺を指標としたマインドフルネス

技法の効果を検討した。方法:FFMQ,脱中心化,心理的健康,及び重心動揺の測定を行った後,技法

群 12 名はマインドフルネス技法を実施し,統制群 12 名は安静に過ごした。続いてもう一度同様の測定

を行った。実験参加者はこのセッションに週 1 回,計 5 回参加した。実験期間中,技法群は毎日 10 分間

マインドフルネス技法を実施し,統制群は普段通りに過ごした。結果と考察:マインドフルネス及び心

理的健康が高まる程,姿勢制御が行われ,重心動揺が減尐することが示唆された。特に,FFMQ 下位尺

度「気付きを向けた行動」得点と単位面積軌跡長との間に,比較的強い正の相関が見られた。重心動揺

を指標としたマインドフルネス技法の効果は,特定の重心動揺指標(総軌跡長,外周面積,単位軌跡長,

単位面積軌跡長)に表れる可能性が示唆された。

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題目 No. 002-07 発表場所 C-4 責任発表時間 15:30-17:00

「切り絵」作業が気分と注意に及ぼす影響について

石川遥至 (早稲田大学)

近年,抑うつと注意の関連が指摘されている。抑うつを高める注意の向け方として,自己注目,抑う

つ的反すうが挙げられる。両者の共通点は,自己に関するネガティブな情報に注意が固着してしまうこ

とである。そこで本研究では,集中を要する「切り絵」作業に対して固着した注意を移行することによ

る,注意状態と気分の改善効果を検討した。その結果,切り絵作業は自己注目・反すう傾向の高い人に

対して,抑うつや不安の低減に有効であり,注意状態の改善に効果的であることが明らかになった。た

だし,その機序は,強制的な注意の移行による自己注目や反すうの抑制というプロセスとは異なるもの

であると考えられた。切り絵は,自己やネガティブな思考への注意と並行して作業自体への注意集中を

促すことが示された。ここから,切り絵による気分の改善は,ネガティブな思考に飲まれずに距離を置

いて観察するという「脱中心化」が喚起されたことによる可能性が示唆された。

題目 No. 002-08 発表場所 A-10 責任発表時間 15:30-17:00

マインドフルネス呼吸法が注意機能に及ぼす影響の検討―新ストループ検査Ⅰを指標とした予備的研究

斎藤翔一郎 (早稲田大学)

うつや不安への介入に関する概念として,マインドフルネスが注目を集めている。Kabat-Zinn(2003)

の定義では,マインドフルネスを「意図的に,現在の瞬間に,そして瞬間瞬間に展開する体験に,判断

をせずに注意を払うことで現れる気づき」と定義している。Jha et al.(2010)は,判断をせずに注意を払

うというマインドフルネスのトレーニングを行うことによって,注意機能における自発的な入力レベル

と反応レベル(コンフリクトモニタリング)の機能の選択のプロセスを変えることを示唆している。また,

このコンフリクトモニタリングを評価する上で,ストループ課題は有用な知見となることが報告されて

いる(Botvinick,2004)。そこで本研究では,1 回限りのマインドフルネス呼吸法を行うことによって,注

意機能にどのような影響を与えるかについて,自己記入式のストループ課題を用いて予備的検討を試み

た。

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第 2 回早稲田大学心理学コース研究発表会 2014 年 2 月 15 日 於早稲田大学戸山キャンパス

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題目 No. 002-09 発表場所 C-2 責任発表時間 15:30-17:00

がん患者におけるマインドフルネス瞑想法と只観法(しかんほう)の質的効果検討

原世都子 (早稲田大学)

[目的]がん患者におけるマインドフルネス瞑想法と只観法の質的効果の相違点と共通点を検討する。

[方法]20 人の乳がん患者が 3 週間のマインドフルネス瞑想法あるいは只観法に参加、半構造化面接を受

け、一週間の記録表に感想を書き、最後の内観報告を含めて計 4 回実験室に通った。1 回目と 4 回目を

KJ 法で比較した。[結果] 4 回目の内観報告書において、両技法群共に「心身の快」「情動調整」「対象と

の関係性の変化」「期待」が挙げられた。小カテゴリーでは、マインドフルネス群で「効果への期待」、

只観法群では「気持ちの切り替え」が挙げられた。[結論]マインドフルネス群では呼吸に注意することに

よってリラクセーションが得られ、効果への期待が増強した。只観法群では、視点の切り替えに注意が

使われることで、気持ちの切り替えが促進されることが示された。両技法に共通する無評価的気づきは、

「情動調整」と「対象との関係性の変化」に有効であることが示唆された。

題目 No. 002-10 発表場所 C-3 責任発表時間 10:30-12:00

境界性パーソナリティ障害の測定的研究について

三枝高大 (早稲田大学)

本研究では,境界性パーソナリティ障害(BPD)の既存の研究、測定方法について検討する。尺度による

測定では,ミロン臨床多軸目録境界性スケール17項目短縮版(井沢,1995)や構造化面接で用いられる

SCID-II人格質問票を自己記述式に変更したものなどが用いられているが,これらの測定方法は,BPD

エピソード外での評価は行えないためにアナログ群におけるBPDを適切に評価できない。加えて,自己

記述式の回答と実際の行動との乖離,といった問題がある。そこで,このような問題の解決案として,

神経心理学的指標を項目の妥当性の指標として使用する,項目に文脈を加えることを提案する。これら

により構成される測定尺度には,自己記述式の回答と実際の行動との乖離を解消する,文脈を加える事

による増分妥当性といったメリットがある。そして,今後、予定するBPD尺度の作成の方法について記

述する。

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第 2 回早稲田大学心理学コース研究発表会 2014 年 2 月 15 日 於早稲田大学戸山キャンパス

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題目 No. 002-11 発表場所 C-11 責任発表時間 10:30-12:00

リスク下の意思決定における確率加重関数の推定

村上始 1,井出野尚 1, 玉利祐樹 1, 竹村和久 1 (1.早稲田大学)

本研究は、リスク下の意思決定における確率加重関数に対して、心的モノサシ理論(竹村, 1998)による

モデルを適用し、他のモデルとの比較を行なったものである。リスク下における人の意思決定現象に関

する理論として、プロスペクト理論(Tversky & Kahneman, 1979; Tversky & Kahneman, 1992)は重要

な位置を占めてきたが、様々な確率加重関数がこれまで提案されてきている。本発表では、心的モノサ

シ理論に基づく確率加重関数によってリスク下の意思決定を説明することを試み、これまで提案されて

いる Tversky & Kahneman(1992)のモデルと、Prelec(1998)によるモデルに対し、同一の実験のもとで、

各モデルを比較、検討した結果を報告する。また、実験の結果から、従来の Tversky & Kahenman (1992)

のモデル、Prelec(1998)のモデルで説明できない部分を、竹村(1998)のモデルで説明することが可能

であることが示唆されたことを報告する。

題目 No. 002-12 発表場所 C-12 責任発表時間 15:30-17:00

多元的価値構造の計量分析手法の開発

竹内潤子 (早稲田大学)

人が持つ価値や判断基準は 1 つではなく,価値の構造は多元的であると考えられるが,個々人の価値

構造が多元的であることの実証的検討はこれまであまりなされていない。竹内・井出野・玉利・今関・

竹村(2013)は個人ごとの多元的価値構造の測定法として,(1)自由記述による価値の抽出,(2)その価値の

コルクボード上への自由な布置,(3)調査参加者自身による布置の解釈によって構成されるコルクボー

ド・イメージ・マッピング法を提案したが,同手法では個人間で項目が異なるため比較が困難であった。

そこで本研究では,個人間比較のための基準として,各個人が所属する集団ごとの価値構造の特徴を用

いるため,価値構造の集団間比較のための分析手法の開発を行った。その結果,(a)各参加者によってグ

ルーピングされた価値の内容の出現頻度,(b)各参加者が用いていた軸の内容の出現頻度,及び(c)各参加

者が各価値を布置した座標から求めた平均方向の比較によって,(a)集団ごとの主要な価値,(b)構造化の

際の基準,及び(c)価値が空間において持つ意味を明らかにできる可能性が示された。

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第 2 回早稲田大学心理学コース研究発表会 2014 年 2 月 15 日 於早稲田大学戸山キャンパス

11

題目 No. 002-13 発表場所 A-1 責任発表時間 10:30-12:00

日英バイリンガルにおける英語の習熟度が音素弁別能力に与える影響

斎藤翼 (早稲田大学)

生後 1 年を境に失われるとされる母国語以外の言語の音素に対する弁別能力が、その後の訓練により

再獲得され得るか否かについて、Dehaene-Lambertz(1997)を参考に、ERP と行動データにより検討

した。実験の結果、near-homophone 条件の刺激の処理のされ方は TOEIC スコア高得点保持者と低得点

保持者で異なることが明らかになった。この結果は、日本語母語話者の英語に対する音素弁別能力の再

獲得に関して、まず、日本語母語話者の英語に対する音素弁別能力は訓練によって再獲得され得ること

を示唆している。そして、日本語母語話者の英語に対する音素弁別能力は訓練によって再獲得され得る

ものではないが、音素同士のつながり方など、音素そのものとは別の要素から、日本人にとって弁別が

困難であるとされる英単語を弁別する能力を新たに獲得するという可能性を示唆している。

題目 No. 002-14 発表場所 A-3 責任発表時間 10:30-12:00

The Functional Phonological Unit of Japanese-English Bilinguals is Language Dependent

Keisuke Ida 1, Mariko Nakayama

1, Stephen J. Lupker

2 (1.Waseda Univ., 2.University of Western

Ontario)

According to the previous speech production studies, the functional unit size for phonological

encoding depends on language: when they encode phonology, English monolinguals use a phoneme-sized

unit but Japanese monolinguals use a mora-sized unit. In the present research, the nature of a

functional phonological unit was examined for highly proficient Japanese-English bilinguals. In

particular, a question was addressed as to whether the nature of a functional phonological unit is

modulated depending on the language being used. Using naming experiments with masked primes,

highly proficient Japanese-English bilinguals were asked to name English targets and Japanese targets

presented in romaji in order to examine the masked onset (phoneme) priming and masked mora priming

effects for these targets. A significant masked onset priming effect was observed for the English targets,

confirming that they do use a phoneme-sized unit when they encode phonology in English. When they

were asked to name Japanese words, however, no onset priming effect emerged but a significant mora

priming effect was observed. These results suggested that the nature of a functional phonological unit

depends on the language being used. That is, the proficient bilinguals appear to use different

phonological units for Japanese and English words depending on the language being used.

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題目 No. 002-15 発表場所 A-4 責任発表時間 15:30-17:00

The word frequency of orthographic neighbors and the lexicality of targets modulate the turple effect

Masahiro Yoshihara 1, Yasushi Hino

1 (1.Waseda Univ.)

There is now considerable evidence that a letter string can activate semantic information appropriate

to its orthographic neighbors (e.g., Forster and Hector’s, 2002, turple effect). According to cascaded

models, the turple effect size should be larger for stimuli possessing higher frequency neighbors. Using a

semantic categorization task with Animal category, however, Mulatti, Cembrani, Peressotti & Job (2008)

reported that the effect size was larger for nonwords possessing a low frequency animal neighbor

(low-frequency nonwords) than for nonwords possessing a high frequency animal neighbor

(high-frequency nonwords). In order to further examine how the turple effect size is modulated by word

frequency of orthographic neighbors, we conducted semantic categorization tasks with Animal category.

Word frequencies of animal neighbors were manipulated for katakana-written nonwords (in Experiment

1) and words (in Experiment 2). Consistent with the results from Mulatti et al., semantic categorization

responses were faster for the high-frequency nonwords than for the low-frequency nonwords in

Experiment 1. When the critical targets were word stimuli, on the other hand, consistent with the

predictions from cascaded models, responses were slower for the words with a high-frequency animal

neighbor than for the words with a low-frequency animal neighbor. The implications of these results are

discussed.

Keywords: Orthographic neighbor, turple effect, Cascaded model, Word frequency, Semantic categorization task

題目 No. 002-16 発表場所 B-11 責任発表時間 10:30-12:00

進化シミュレーションを用いた間接互恵性の検討

小野口航 (早稲田大学)

間接互恵性を成立させる要因を検討するために、ギビング・ゲームパラダイムを用い、シミュレーシ

ョンを行った先行研究が数多くある (Nowak & Sigmund, 1998; Leimar & Hammerstein, 2001; 真島

& 高橋, 2005)。ギビング・ゲームは相手からの直接の返報が期待できない状況で一方的に相手に対して

資源を提供するゲームである。真島らは間接互恵性を成立させる戦略について、先行研究でのシミュレ

ーションにおけるモデルやパラメータの設定の問題点を指摘した。そして、それらの問題点を改善した

シミュレーションを行い、間接互恵性を成立させる頑健な戦略として strict discriminator を提案して

いる。しかし、Nowak & Sigmund (1998)、Leimar & Hammerstein (2001)では、サンプリングの際に

資源が負の値となることを避けるために、資源を提供する際に生じるコストを、交換を行うたびに資源

の提供者・受け手に対して与えている。また、真島 & 高橋 (2005)ではコストの扱いについて明記され

ていない。そこで本研究では資源が負の値になる場合の新たな対処方法を検討し、そのうえで間接互恵

性を成立させる戦略の検討を行う。

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題目 No. 002-17 発表場所 C-9 責任発表時間 10:30-12:00

Face in the crowd 課題における表情認知に対する性とストレスの影響

大井屋奏 (早稲田大学)

【目的】複数の顔刺激を使用する face in the crowd 課題をストレス状況下で実施し,表情認知の適応

的意義を明らかにする.【方法】ターゲットを怒り顔,喜び顔とした face in the crowd 課題を行った.ス

トレス負荷にはホワイトノイズを使用した.また,大学生用ストレス自己評価尺度(SSRS)によって,

被験者の感情状態(抑うつ・不安・怒り)を測定した.【分析】被験者の性別,ストレス負荷の有無,感

情状態の高低,ターゲットとなる表情を独立変数とし,課題における反応時間を従属変数とした分散分

析を行った.【結果】女性高抑うつ群において,怒り顔に対する反応時間のみ阻害され,喜び顔に対す

る反応時間が保持されることが示唆された.この傾向は Taylor et al.(2000)の提唱した,女性がストレス

状況下において協力を希求する tend and befriend 反応によって説明が可能である.ただし,今回得られ

た結果はストレス負荷の有無に関係なく認められたため,今後使用するストレス負荷の改善が必要であ

る.

題目 No. 002-18 発表場所 B-2 責任発表時間 15:30-17:00

Longer presentation of a via point improves precision of reaching movement

Takumi Iijima 1, Yoshihiro Itaguchi

1, Kazuyoshi Fukuzawa

1 (1.Waseda Univ.)

We investigated the effect of presentation time of a via point on accuracy and precision of reaching

movement. The assumption is that human improves accuracy and precision of visually guided reaching

with a via point when they look at the via point for longer time. To test the hypothesis, we had an

experiment, and subjects performed reaching with a via point on a horizontal plane. Before they move

their arm, the via point appeared on a screen in front of them. As a result, variable error of the via point

was improved. On the other hand, variable error of the end point of the reaching did not vary according

with the presentation time of the via point. These results suggest that the longer we perceive a target

before moving, the more precise we make positional representation of the target in the phase of motor

planning.

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題目 No. 002-19 発表場所 B-8 責任発表時間 15:30-17:00

視覚性注意の方向と形態認知の変化の検討

小野島萌 (早稲田大学)

本研究では,半側空間無視の出現機序として視覚性注意の障害を仮定し,健常者実験によって検討し

た。本研究では,視覚性注意を上・右に向けた時の方が,下・左に向けた時よりも形態認知能力および

模写成績が高いことを仮説とした。さらに,本実験における健常者の模写エラーを,半側空間無視患者

と文献比較した。実験として,形態マッチング課題と模写課題をおこなった。マッチング正答率および

模写成績において,視覚性注意を上や右に向けた時の方が,下や左に向けた時より優れていた。その一

方で,上右,下左の間には差がなかった。この結果は、視空間注意の影響が右上と左下で異なる可能性

を示唆する。また模写課題では,刺激にない形態的特徴を追加して描く誤りが顕著であった。これは半

側空間無視患者の「無視」症状とは大きく異なる。この結果から,半側空間無視症状は,視覚性注意の

障害では説明しにくいことが示唆された。

題目 No. 002-20 発表場所 B-1 責任発表時間 10:30-12:00

Kinematic Components of Experimentally Induced Slips of the Pen

Chiharu Yamada 1, Yoshihiro Itaguchi

1, Kazuyoshi Fukuzawa

1 (1.Waseda Univ.)

The present study aimed to reveal the mechanism of writing slips, where another character is

miswritten instead of an aimed character. Writing slip particularly appears when people are required to

write the same kana character repeatedly as fast as possible. This writing task is called Rapid Repeated

Writing (RRW). Although visual and kinematic similarity could contribute to occurrence of writing slips,

previous studies have not investigated the relationship between aimed characters and slipped characters.

The current study assumed that kinematic similarity between characters positively related to occurrence

of writing slips rather than visual similarity. To test this idea, we defined visual similarity according to a

questionnaire, and kinematic similarity based on writing speed and trajectory. RRW caused slipped

characters, which were similar to the aimed characters in visual aspects but not in kinematic ones. With

the definitions of visual similarity and kinematic similarity, the result suggested that visual similarity

contributed to making slips rather than visual similarity did.

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題目 No. 002-21 発表場所 B-3 責任発表時間 10:30-12:00

The influence of eye movements on open-loop reaching movements in eye-hand coordination

Yusuke Nakashima 1, Kazuyoshi Fukuzawa

1 (1.Waseda Univ.)

The previous studies showed that reaching movements without visual information about arm position

were influenced by saccade amplitude, suggesting that saccade amplitude information, which may be

provided by an efference copy, is integrated into planning open-loop reaching movements (van Donkelaar

et al., 2000). The present study assumes that an efference copy of eye movements is represented in terms

of eye movement direction as well as eye movement amplitude. Based on the assumption, we hypothesized

that open-loop reaching movements after saccades shift in the direction of the saccades. To test the

hypothesis, four types of eye-hand coordination tasks were carried out. These experiments were different

with regard to saccade direction (left-right or up-down) and planes where reaching movements were

performed (frontal or horizontal). Participants could not see their arms. The end position of reaching

movements accompanied by saccades was compared with that which was not accompanied by saccades. As

a result, the end position in each saccade condition shifted in the direction of the saccade. These results

suggest that an efference copy of eye movements is represented in terms of eye movement direction as

well as eye movement amplitude. The results support the idea that an efference copy of eye movements is

integrated into planning open-loop reaching movements.

題目 No. 002-22 発表場所 C-5 責任発表時間 10:30-12:00

コラージュ療法作品に対する PAC 分析を用いた振り返りに関する研究

藤掛友希 (早稲田大学)

本研究では,コラージュ療法作品に対し PAC 分析を用いた振り返りを行った。それにより,従来コラー

ジュ療法研究で提唱された「レディメイドの組み合せ」や「見立て」という理論的言及を踏まえた。さ

らに作品制作後と振り返り後の二時点の作品に対する体験過程を測定した「EXPsp スケール」と作品の

構成要素における主観的な(制作者の)意味合いと客観的な(実験者の)意味合いとの距離を測定した

「見立て距離」という数量的指標を導入することで,質的研究のみならず,どのような制作過程・作品や,

振り返りが,これらの指標に影響を与えるか明らかにした。その結果,「EXPsp スケール」得点は振り返り

前後にて有意に上昇し,また,作品に「日用品・アクセサリー」や「重ね貼り」がある場合に高く,振り返り

にて「コンプレックス」や「制作スタイル」, 「制作者の感覚との不一致感」があった場合に上昇した。

また,「見立て距離」得点に関しては,「図地反転」や「枠の加工」の切り方が有ったり,「切り方種類」,

「内容種類」が多い場合に高いことが明らかとなった。

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題目 No. 002-23 発表場所 B-4 責任発表時間 15:30-17:00

Writing on the air: re-exploring Kusho behavior

Yoshihiro Itaguchi (Waseda Univ.)

The present study re-explored Kusho behavior. Kusho (air-writing) is well-known behavior for

Japanese people, which was first experimentally studied by Sasaki and Watanabe (1983). When we recall

a character or check the stroke order of a character, we often write the character on the air or a surface

using our index finger as if it were a pen. After a series of monumental works by Sasaki and his colleagues,

no striking study was reported on Kusho though many tried to. The present study, using a Kanji (Chinese

character) construction task, re-examined the role of Kusho behavior in a more controlled setting than

previous studies. The participants answered Kanji characters which were decomposed into three or four

parts as soon as possible after the parts were presented on a computer screen simultaneously but

separately in space. The participants did this task under three hand conditions: Kusho available, Kusho

forbidden, and circle drawing conditions. In addition, there were three types of trials in terms of

presentation time of the stimuli: 1s, 3s, and 10s presentation. Correct response rate was found to be

slightly higher in the Kusho available condition than the other conditions only in the 10s-presentation

trials. Response time differed by neither hand condition nor presentation time. These results were,

surprisingly, inconsistent with the previous studies which reported a large effect of Kusho behavior on

character construction, casting a question on the prevailing role of Kusho behavior in the character

construction task.

題目 No. 002-24 発表場所 A-2 責任発表時間 15:30-17:00

日英バイリンガルの英単語の認識-語彙競合は第二言語でも起こるのか

中山真里子 (早稲田大学)

語を読む際, 語を正しく認識するためには(e.g., RING), 視覚的に類似する複数の語との違いを見極

めなければならない(e.g. SINK, PICK, PINT)。第一言語の読みの研究によると, この時脳内では, 読ま

れる語とその語と類似する語に対応する表象との間で, 互いを抑制しようとする語彙競合と呼ばれる働

きが起こるとされる。この語彙競合は, 英語などのアルファベッド言語だけでなく, 日本語のカタカナ

語や漢字熟語の読みの過程でも起こる普遍的なプロセスであることが示されている。本研究では, 語彙

競合が第二言語の読みの過程にも起こるのか日英バイリンガルを対象に検証した。実験手法はマスク下

のプライミングによる語彙判断課題であった。結果, 語彙競合は第二言語では起こらないという解釈に

整合的なデータが観察された。一方で、英語を第一言語とする者を対象に同様の実験を行ったところ, 先

行研究同様に語彙競合を支持するデータが観察された。このことから, 第二言語の読み処理は, 第一言

語のそれと質的に異なることが示唆された。

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題目 No. 002-25 発表場所 A-6 責任発表時間 15:30-17:00

外国人向けのやさしい日本語ルールはロービジョンの人の読み困難を解消するのか?

杉山美智子 1 ,小田浩一 1 (1.東京女子大学)

「やさしい日本語」がどの程度やさしいのかを音読したときの読み速度で定量的に評価した試みにつ

いて報告する。現存する「やさしい日本語」の書き換えルールを 9 つにグループ化し,それに加えて9

つ全てのルールを総合したルール,合計 10 のルールで,公文書から抜き出した文章の書き換えを行い刺

激文とした。これらと書き換え前の文書を実験参加者に音読させ,読速度を比較した。また刺激文に対

する主観評価も行った。実験参加者は正常視力を有する日本語母語話者 36 名で,18 名は正常視力条件

で,18 名は人工的に小数視力を 0.4 程度に下げられた視力低下条件で音読した。読速度の比較から,語

彙を日本語能力検定 3〜4 級レベルにするルールが,正常視力条件では加えて漢字にふりがなをふるルー

ルが有効である可能性が示唆された。また,主観評価では読速度の結果と関連性がみられず,語彙の書

き換えに対しては批判的であった。

題目 No. 002-26 発表場所 A-8 責任発表時間 15:30-17:00

高解像度ディスプレイとロービジョンの関係

大西まどか 1 ,小田浩一 1 (1.東京女子大学)

本研究では、解像度の異なる文字画像でコントラスト閾を測定し、高解像度で表示することの有効性を

検討した。8bitグレースケールのアルファベット文字画像(視角27.5分)を刺激に用いた。構成するピクセル

が6,8,12,16,24,32,48pixel/文字の解像度を設定し、解像度ごとに上下法でコントラスト閾の測定を行った。

コントラスト閾について解像度を要因とした1要因分散分析を行ったところ、12pixel以下で解像度の主効果

が有意であり、解像度を高くすることで文字のコントラスト閾が下がることがわかった。また、12pixel以

上ではコントラスト閾がほぼ一定になることがわかった。文字の認識に必要な空間周波数は2~3cycles/文

字である(Solomonら,1994)が、高調波成分がこの基本周波数成分のコントラストを上げていると考えられ

る。基本周波数成分の強化で文字の視認性が上がるため、高調波が見えないロービジョンにも高解像度で

の表示が有効である可能性が示唆された。

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題目 No. 002-27 発表場所 A-5 責任発表時間 10:30-12:00

袋文字の視認性と線頻度

髙橋あおい 1 ,小田浩一 1 (1.東京女子大学)

袋文字は視認性が低く(Arditi ら,1997)、ロービジョン者の利用は困難である。本研究では漢字の袋文

字の視認性と文字の形態的複雑さの指標である線頻度(Majaji ら,2002)との関係を検討する。刺激は漢字

30 字であり、線頻度が同程度の 10 字を 1 群とする 3 群で構成された。各漢字について袋文字でない字

体(原字)と 2 種類の袋文字(輪郭線幅の細いものと太いもの)で刺激画像を作成し、恒常法で刺激 1 字ずつ

の認知閾を推定した。被験者は正常視力を有する男女 7 名。線頻度から認知閾を説明する回帰分析を行

ったところ説明率(調整済 R²)は約 75%であり、原字と比較した袋文字の視認性の低下は線頻度の増加に

よる可能性が示唆された。また、認知閾について線頻度と字体を要因とする二要因分散分析を行ったと

ころ、2 つの主効果と交互作用がそれぞれ有意であったことから、線頻度が高くなるほど視認性は低下す

るが、その度合いは書体によって異なることが分かった。線頻度が高い日本語文字を袋文字にすると線

頻度は倍になり見にくくなるため、視認性を意識した場合に日本語文で袋文字を使うことは避けるべき

だと言える。

題目 No. 002-28 発表場所 B-6 責任発表時間 15:30-17:00

手画像呈示を伴うアダプテーションが視触覚刺激の同時性判断に及ぼす効果ついて

近江朋加 (立教大学)

複数の刺激が同一事象から生起すると感じるには,その刺激が同時に知覚されることが重要であり,

すなわち,その場合刺激同士が強く結合した形で処理される可能性を示す。Fujisaki et al. (2004) は,

時間差の順応,つまりわずかな時間差をつけて 2 刺激を繰り返し対呈示することで,同時に知覚される

基準が状況によって可塑的に変化することを示唆した。また,Ide & Hidaka(2013)は,画面上に手画像

を呈示しその指先に視覚刺激,そして参加者の手の同位置に触覚刺激を,わずかな時間差をつけて呈示

した。その結果,時間差のずれを感じにくくなるということが示唆された。これは,手画像が視触覚刺

激間の統合を促進した結果,両感覚刺激を時間的に区別することが難しくなったためであると考えられ

る。 では,手画像呈示しながら視触覚刺激を時間差順応しても,両感覚刺激間の統合を促進させるだ

ろうか。この点を明らかにするため,触視覚刺激間の時間ずれが,手画像呈示しを伴う時間差順応によ

って大きな効果を見せるか検討した。

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題目 No. 002-29 発表場所 B-7 責任発表時間 10:30-12:00

超高精細映像に対する感性的印象評価

田中智明 (立教大学)

近年,映像技術の急速な革新により,超高精細映像などの新しいタイプの映像が身の回りにあふれる

ようなった。先行研究では,臨場感などの感性的印象への影響について,様々な条件下で実験を行い,

超高精細映像の効果的な提示方法を探ってきた。しかし,その多くが静止画を用いたものであるため,

本研究では動画像を用いて,従来の映像規格である HD 映像(1920×1080 ピクセル)と,超高精細映像

として,HD 映像の約 4 倍の画素数を持つ 4K 映像(3840×2160 ピクセル)の感性的印象の比較を試み

た。解像度の違いが,動きや撮影画角といった映像のコンテンツが含む特性とどのように関与するのか

を検討し,更に,液晶ディスプレイと大型スクリーンの 2 条件を用意して,観視環境による印象への影

響についても検討した。その結果,映像の解像度ごとに,また映像コンテンツの特性に依存して,評価

や快適さに関わる印象と迫力や活動に関する印象が,各々異なって変化することが示された。

題目 No. 002-30 発表場所 A-7 責任発表時間 10:30-12:00

心臓迷走神経活動とパーソナリティの交互作用による音楽聴取時に生じる鳥肌感の予測

森数馬 (独立行政法人産業技術総合研究所)

音楽は,鳥肌感(鳥肌が立つ,ぞくぞくするような感覚)を喚起しやすい事象である。先行研究では,

安静時の心臓迷走神経活動が弱く,常に生理的に覚醒している人,もしくは,芸術作品への関心の高さな

どを反映する性格5因子の経験への開放性が高い人が,音楽によって鳥肌感を経験しやすいことが示唆され

ている。本研究では,迷走神経活動と経験への開放性の両方を測定し,鳥肌感に対する影響を検討した。

実験では,まず参加者の安静時の心電図を測定した。その後,参加者は音楽を聴取し,鳥肌感が生起した

ときにマウスクリックにより報告を行った。音楽聴取後,鳥肌感の強度を評価させた。さらに,実験終了

後,参加者は経験への開放性に関する質問紙に回答した。統計解析の結果,迷走神経活動が弱く,かつ,

経験への開放性が高い人に鳥肌感が強く・頻繁に喚起されると示された。これらを踏まえて,鳥肌感を経

験しやすいのはどのような人かについて議論した。

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題目 No. 002-31 発表場所 B-5 責任発表時間 10:30-12:00

奥行きによる知覚的な回転運動速度の変容

山本健太郎 (東京大学 先端科学技術研究センター)

本研究では,奥行き配置による回転運動速度の同化現象(山本, 2013)について実験的に検討を行った。

反対方向に回転する白と黒の十字型の刺激を前後に重ねて配置し,一方を比較刺激,もう一方を標準刺

激として,恒常法による回転速度の弁別課題を行ったところ,刺激を左右に並べて配置した場合に比べ

て速度差の弁別閾値が高くなった(実験 1)。これは山本(2013)の報告と一致し,奥行き配置により回

転運動速度の差が検出しづらくなることを示唆する。また奥行き配置の場合,前方の刺激の回転速度が

後方の刺激に比べて速く感じられることも示された。さらに,奥行き配置された回転速度の弁別閾値が

刺激間の距離に依存して変化すること(実験 2),刺激の重なりによる後方の物体の一時的消失は弁別閾

値の変化に影響しないこと(実験 3)が示された。これらの結果は,奥行きが知覚的な速度を変容させる

ことを示唆する。

題目 No. 002-32 発表場所 B-10 責任発表時間 15:30-17:00

遅延視覚フィードバックが幻肢の運動感覚に及ぼす影響

今泉修 (千葉大学)

切断した四肢の存在を感じる“幻肢”が痛むことがあるが,健常側の四肢を鏡に映して切断側に見せること

で痛みを軽減することが知られている (ミラーセラピー)。本研究では左腕切断患者1名の協力を得て,視覚

フィードバックの遅延が幻肢の運動感覚に及ぼす影響を調べた。実験では,健常側の右手の開閉運動を撮

影し,左右反転させて撮影像をモニタに映した。患者は,遅延0, 250, 500 msecの映像を観察しながら右手

開閉運動を続け,幻肢の運動感覚の強さを評価した。遅延500 msecでは,開閉運動のリズムが実際と映像

とで逆位相であった。その結果,遅延250, 500 msecでは運動感覚が減尐したが,左右の手を交互に開閉し

ていると思いながら課題を遂行するよう教示すると,遅延500 msec条件では運動感覚が増大した。遅延し

た視覚フィードバックが幻肢の運動感覚を減尐させること,また,遅延に合わせる構えも運動感覚に関与

することが示唆された。

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題目 No. 002-33 発表場所 B-9 責任発表時間 10:30-12:00

聴覚的不快刺激に対する P300 ―2 刺激 oddball と 3 刺激 oddball の差異―

山田桃子(千葉大学),池田一成 (東京学芸大学)

野原ら(1996)は,痛覚の認知過程にアプローチする一つの手法として P300 の測定を行い,痛み刺

激と非痛み刺激との間での差異が 2 刺激 Oddball 課題の P3b で見られず,3 刺激 Oddball 課題の P3a と

P3b で生じることを見出した。しかし,野原らの実験には不十分な点も多く,この結果が痛み刺激特性

によるものなのかは明らかでない。そこで本研究では,先行研究を追従検討するために,聴覚的不快刺

激と非不快刺激を用い,先行研究と同様に 2 つの Oddball 課題間で P300 を比較検討した。その結果,

刺激間の差異は 2 刺激 Oddball 課題との P3b と 3 刺激 Oddball 課題の P3a,両者において見出された。

この結果から,不快が 2 刺激弁別の能動的注意処理の過程で特に重要な刺激となるが,3 刺激弁別の過程

や刺激文脈の慣れの効果に相殺される傾向にあると考えられる。

題目 No. 002-34 発表場所 C-6 責任発表時間 15:30-17:00

青年期における過剰適応傾向の発達的変化-実際の意識・行動と気持ちの差異に着目して-

坂内理香 (白百合女子大学)

本研究は,過剰適応傾向が中学校,高校,大学と学校段階を経るに従いどのように変化するか,過剰適応を「実

際に過剰適応的なふるまいをすること[意識・行動]」と「それについてどう思っているか[気持ち]」の2側面に分け,そ

れらがどのように関係しているか,自由記述においても[意識・行動]と[気持ち]の差異が表出されるかを調べることを

目的とした。調査は中学生,高校生,大学生の計693名を対象に行った。調査の結果,発達的変化においては,学

校段階を経るに従い過剰適応の外的側面を表わす得点が上がり,内的側面を表わす得点には有意な変化がみら

れないことが示された。[意識・行動]と[気持ち]の差異においては,過剰適応尺度得点によって群分けした過剰適

応群は他の群と比較して[意識・行動]と[気持ち]の得点差が大きいことが示された。自由記述においては,過剰適

応群は有意に自分の気持ちと合わない表出をしていることが示された。

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題目 No. 002-35 発表場所 C-8 責任発表時間 15:30-17:00

幼児期の感情語の獲得過程

浜名真以 (東京大学)

子どもが「嬉しい」「悲しい」などの感情を表す語をどのように理解し使用できるようになるのかを探

るため,幼児期の感情語の使い方と,感情語発話前の乳児への母親の感情語インプットを調査した。研

究 1 では 2-5 歳児に表情やストーリーのラベルづけ課題を行い,3 歳から 5 歳にかけては使用できる感情

語の種類の数に増加は認められないものの,感情刺激の呼び分けが洗練されることが示された。このこ

とから語が使えるようになった後もレキシコンの再編成が生じ語の意味範囲が変化していくと言える。

さらに,研究 2 では 15-18 か月児の母親の子どもへの感情語インプットを調査し,母親は感情刺激の呼

び分けが完璧ではなく,様々な刺激に同じ感情語を使用したり様々な感情語を同じ単一の刺激に対して

使用したりすることがあるということがわかった。また,子どもの感情語ラベルと母親のインプットに

は整合性が見られた。

早稲田大学心理学教室 HP:http://www.wasedapsychology.jp/

早稲田大学心理学コース研究発表会 HP:http://www.f.waseda.jp/fukuzawa/society/presen2/

発行:2014 年 1 月 30 日(第一版) 2014 年 2 月 5 日(第三版)