9
2.1 はじめに 磁場閉じ込め核融合炉では閉じ込め領域から SOL 領域 に流れ出したプラズマ流は磁力線に沿ってダイバータ板へ 導かれる.図1に SOL 領域からダイバータ板へのエネル ギー輸送の概念図[1]を示す.原型炉(DEMO)においては SOL 領域への定常プラズマ熱負荷は 500 MW 程度と想定さ れており,ITER と比較して5倍程度増加する.また,ダイ バータ材料には低放射化材料を用いる必要があり,熱除去 性能は制限される.ダイバータ板での熱負荷を 50 MW 以 下にまで低減することを考えると,放射によって 450 MW ものパワーを冷却させる必要がある.さらに,ダイバータ 板は定常熱負荷とともに ELM やディスラプションに起因 するパルス熱負荷に曝される. 図1に示したプラズマから材料へのエネルギー輸送過程 を明らかにするには,直線型プラズマ装置を用いた模擬実 験ならびにシミュレーション研究が有効であり,国内外で 多くの研究が実施されている.そこで,本章ではダイバー タにおけるプラズマ熱流制御ならびに材料損傷過程評価に 重要な最近の研究成果を紹介する.まず,次節では放射冷 却ダイバータの熱・粒子流のシミュレーションの予測精度 向上に重要な原子・分子過程について,従来考慮されてい なかった輻射輸送の効果について議論する.特に,直線型 プラズマ装置を用いた基礎実験データの寄与について紹介 する.ダイバータ板前面まで到達したプラズマ熱流はプラ ズマ・シースを介して材料に伝達される.そこで,2.3節で は固体表面へのプラズマ熱流の指標としてパワー伝達係数 を導入し,その基礎的な考え方を述べる.特に,イオンの エネルギー反射係数,電子放出,表面再結合等の表面特性 のパワー伝達係数への影響を理論的・実験的に紹介する. また,近年注目されているタングステンへのヘリウムプラ ズマ照射効果として表面に形成される繊維状ナノ構造の効 果についても議論する.一方,異なったパワー伝達係数を もつ表面が近接して共存する場合,ホットスポット形成と の関連で議論を試みる.ダイバータは定常熱負荷とともに ELM やディスラプションに起因するパルス熱負荷に曝さ れる.これらのパルス熱負荷によるダイバータ板材料の損 小特集 DEMO に向けた直線型装置を用いた境界プラズマ,プラズマ・壁相互作用研究 2.ダイバータにおける熱流制御とプラズマ材料相互作用 2. Divertor Heat Flux Control and Plasma-Material Interaction 菊 池 祐 介,澤 田 圭 司 1) ,高 村 秀 一 2) ,上 田 良 夫 3) ,永 田 正 義 KIKUCHI Yusuke, SAWADA Keiji 1) , TAKAMURA Shuichi 2) , UEDA Yoshio 3) and NAGATA Masayoshi 兵庫県立大学工学研究科, 1) 信州大学工学部, 2) 愛知工業大学工学部, 3) 大阪大学工学研究科 (原稿受付:2014年6月3日) 原型炉(DEMO)では熱除去性能の低い低放射化材料を使用することや閉じ込め領域から排出されるプラズ マ熱流が ITER の5倍程度増加することから,安定した放射冷却ダイバータの実現が必須である.ダイバータの 熱・粒子流をシミュレーションにより高精度に予測する必要があるが,現在の計算コードに考慮されていない原 子・分子過程(輻射輸送)について議論する.プラズマ・シースを介したダイバータ板へのプラズマ熱入流に関 して,イオンのエネルギー反射係数,電子放出,表面再結合等の表面特性のパワー伝達係数への影響を理論的・ 実験的に紹介する.次に ELM やディスラプションのパルス熱負荷によるダイバータ板材料の損傷過程の模擬実 験およびシミュレーション研究を示し,材料表層に形成される蒸気層による熱緩和効果について紹介する.また, タングステンへのヘリウムプラズマ照射効果として表面に形成される繊維状ナノ構造の効果についても議論する. Keywords: divertor, heat flux, atomic and molecular process, tungsten, helium effect, power transmission factor, pulse heat load, vapor shielding University of Hyogo, Himeji, HYOGO 671-2280, Japan Coresponding author’s e-mail: [email protected] J.PlasmaFusionRes.Vol.90,No.8(2014)480‐488 図1 閉じ込め領域から SOL 領域,ダイバータ板へのエネルギー 輸送の概念図[1]. !2014 The Japan Society of Plasma Science and Nuclear Fusion Research 480

2. Divertor Heat Flux Control and Plasma-Material Interaction...Divertor Heat Flux Control and Plasma-Material Interaction 菊池祐介,澤田圭司 1) ,高村秀一 2) ,上田良夫

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  • 2.1 はじめに磁場閉じ込め核融合炉では閉じ込め領域から SOL領域

    に流れ出したプラズマ流は磁力線に沿ってダイバータ板へ

    導かれる.図1に SOL領域からダイバータ板へのエネル

    ギー輸送の概念図[1]を示す.原型炉(DEMO)においては

    SOL領域への定常プラズマ熱負荷は500 MW程度と想定さ

    れており,ITERと比較して5倍程度増加する.また,ダイ

    バータ材料には低放射化材料を用いる必要があり,熱除去

    性能は制限される.ダイバータ板での熱負荷を 50 MW以

    下にまで低減することを考えると,放射によって 450 MW

    ものパワーを冷却させる必要がある.さらに,ダイバータ

    板は定常熱負荷とともにELMやディスラプションに起因

    するパルス熱負荷に曝される.

    図1に示したプラズマから材料へのエネルギー輸送過程

    を明らかにするには,直線型プラズマ装置を用いた模擬実

    験ならびにシミュレーション研究が有効であり,国内外で

    多くの研究が実施されている.そこで,本章ではダイバー

    タにおけるプラズマ熱流制御ならびに材料損傷過程評価に

    重要な最近の研究成果を紹介する.まず,次節では放射冷

    却ダイバータの熱・粒子流のシミュレーションの予測精度

    向上に重要な原子・分子過程について,従来考慮されてい

    なかった輻射輸送の効果について議論する.特に,直線型

    プラズマ装置を用いた基礎実験データの寄与について紹介

    する.ダイバータ板前面まで到達したプラズマ熱流はプラ

    ズマ・シースを介して材料に伝達される.そこで,2.3節で

    は固体表面へのプラズマ熱流の指標としてパワー伝達係数

    を導入し,その基礎的な考え方を述べる.特に,イオンの

    エネルギー反射係数,電子放出,表面再結合等の表面特性

    のパワー伝達係数への影響を理論的・実験的に紹介する.

    また,近年注目されているタングステンへのヘリウムプラ

    ズマ照射効果として表面に形成される繊維状ナノ構造の効

    果についても議論する.一方,異なったパワー伝達係数を

    もつ表面が近接して共存する場合,ホットスポット形成と

    の関連で議論を試みる.ダイバータは定常熱負荷とともに

    ELMやディスラプションに起因するパルス熱負荷に曝さ

    れる.これらのパルス熱負荷によるダイバータ板材料の損

    小特集 DEMOに向けた直線型装置を用いた境界プラズマ,プラズマ・壁相互作用研究

    2.ダイバータにおける熱流制御とプラズマ材料相互作用

    2. Divertor Heat Flux Control and Plasma-Material Interaction

    菊池祐介,澤田圭司1),高村秀一2),上田良夫3),永田正義KIKUCHI Yusuke, SAWADA Keiji1), TAKAMURA Shuichi2), UEDA Yoshio3)and NAGATAMasayoshi

    兵庫県立大学工学研究科,1)信州大学工学部,2)愛知工業大学工学部,3)大阪大学工学研究科

    (原稿受付:2014年6月3日)

    原型炉(DEMO)では熱除去性能の低い低放射化材料を使用することや閉じ込め領域から排出されるプラズマ熱流が ITERの5倍程度増加することから,安定した放射冷却ダイバータの実現が必須である.ダイバータの熱・粒子流をシミュレーションにより高精度に予測する必要があるが,現在の計算コードに考慮されていない原子・分子過程(輻射輸送)について議論する.プラズマ・シースを介したダイバータ板へのプラズマ熱入流に関して,イオンのエネルギー反射係数,電子放出,表面再結合等の表面特性のパワー伝達係数への影響を理論的・実験的に紹介する.次にELMやディスラプションのパルス熱負荷によるダイバータ板材料の損傷過程の模擬実験およびシミュレーション研究を示し,材料表層に形成される蒸気層による熱緩和効果について紹介する.また,タングステンへのヘリウムプラズマ照射効果として表面に形成される繊維状ナノ構造の効果についても議論する.

    Keywords:divertor, heat flux, atomic and molecular process, tungsten, helium effect, power transmission factor, pulse heat load,

    vapor shielding

    University of Hyogo, Himeji, HYOGO 671-2280, Japan

    Coresponding author’s e-mail: [email protected]

    J. Plasma Fusion Res. Vol.90, No.8 (2014)480‐488

    図1 閉じ込め領域から SOL領域,ダイバータ板へのエネルギー輸送の概念図[1].

    �2014 The Japan Society of PlasmaScience and Nuclear Fusion Research

    480

  • 傷の評価にはプラズマ粒子として熱負荷を与えられるプラ

    ズマガンを用いた模擬実験が有効である.そこで,2.4節で

    はパルス熱負荷によるプラズマ対向材料の損傷過程につい

    て,磁化プラズマガンを用いた模擬実験とシミュレーショ

    ン研究結果を紹介する.特にヘリウム照射により表面改質

    されたタングステン材の影響と蒸気遮蔽効果による熱緩和

    に関して議論する.

    2.2 原子・分子過程ITER,さらにはDEMOにおいて,ダイバータへの熱流

    低減のため,プラズマがダイバータ板に到達するまでに放

    射損失や再結合などでエネルギーおよび運動量を散逸させ

    る非接触プラズマが想定されている[1‐3].非接触プラズ

    マ出現の機構は,定性的には,次のように理解されている

    [1]:コアプラズマからの高熱流プラズマがダイバータ板

    に流れていく過程において,まず人為的あるいは自然に混

    入する不純物を励起・電離することにより温度が低下する

    (放射領域).ダイバータ板に近づくと中性の原子・分子の

    励起・電離やこれら粒子との荷電交換によりプラズマ温度

    がさらに低下し,同時にプラズマ密度は電離により上昇す

    る(電離フロント).ダイバータ板の近傍では,低温・高密

    度のプラズマは再結合して消失し,非接触プラズマになる

    (再結合・運動量吸収領域).我々は,これらの原子・分子

    過程を定量的に理解するために必要となる衝突輻射モデル

    と中性粒子輸送コードの開発を進めており,モデルの信頼

    性の検証のため,直線型プラズマ生成装置(13.56 MHz の

    RF放電装置)を用いている(図2).可視域(370 nm-

    780 nm)を同時計測可能なエシェル分光器と真空紫外分光

    器,およびシングルプローブ・ダブルプローブが設置され

    ている.直径 5 cmのガラス管にアンテナが巻かれており,

    軸対称のプラズマが生成されるため,分光計測において

    アーベル変換が可能である.原子・分子過程の研究のため

    のシンプルな装置である.

    2.2.1 計算機コードの開発とその検証

    不純物や水素原子・分子などの粒子の電離や再結合にお

    いて,基底状態と電離状態の間の直接過程だけでなく,励

    起状態を経由する過程を考慮しなくてはならない.衝突輻

    射モデルは,電子衝突や光の放出などに伴う励起状態の変

    化を記述するモデルであり[4],様々な励起状態の粒子密

    度,光の放射強度,励起状態の経由を含めた電離・再結合

    の反応速度係数などが計算される.

    通常,ダイバータプラズマの解析において,ある粒子が

    放射した光を別の粒子が吸収する過程(輻射輸送)は考慮

    されていない.輻射輸送は,光を吸収して励起した粒子に

    電子が衝突して電離することにより,放射損失の低下や電

    離の増加をもたらす.この過程は,低温・高密度の粒子が

    広い空間に存在するとき生じやすくなる.

    水素原子衝突輻射モデル 輻射輸送は,すべての場所の粒

    子がお互いに光を放出・吸収するため,非局所的な現象で

    ある.我々は,水素原子ライマン系列発光線の輻射輸送を

    収束計算により扱う水素原子衝突輻射モデルを開発した

    [5,6].

    1.空間を微小セルに分割し,各場所に原子温度��,原子

    密度��,電子温度��,電子密度��,イオン密度���

    を与える.

    2.最初に,光吸収を無視してプラズマ中の各場所での光

    放出強度を衝突輻射モデルで計算し,それらが吸収を

    伴いながら周囲に広がることを考慮して,各場所の輻

    射場強度を求める.

    3.次に,再度各場所で光吸収過程を考慮して光放出強度

    を計算する.

    4.このような計算を諸量が収束するまで繰り返す.

    実際には,水素分子から励起水素原子が生成される反応

    (1)‐(3)もモデルに組み込まれている.反応(2),(3)

    は分子が関与する再結合過程(分子活性化再結合)である.

    H2+e→H+H*, (1)

    H2+H+→H2++H,H2++e→H+H*, (2)

    H2+e→H+H-,H-+H+→H+H*. (3)

    図2のRF水素プラズマにおいて,水素原子バルマー発

    光線強度を解析した例を紹介する.ダブルプローブで計測

    された��,��を我々の中性粒子輸送コードに与えて��,

    ��と水素分子密度���を計算し(図3),輻射輸送を考慮

    して,励起水素原子の密度を計算した.中性粒子輸送コー

    ドでは,上の反応(2),(3)のように初期振動状態により反

    応速度係数が大きく変わるものがあるため,異なる振動状

    態の水素分子を独立な粒子として追跡している.また,各

    種の分子反応により生成される原子の速度分布が精密に計

    算されている.図4に,例として,主量子数3の原子の径

    方向分布を示す.水素原子��(�����)強度の径方向分

    布の計測から,アーベル変換を経て算出された実験値も示

    されている.計算値は実験値をよく再現している.中心部

    では,基底状態原子からの電子衝突励起,上の反応(1),

    ��(�����)の光吸収励起が同程度に効いている.周辺

    部では��の光吸収励起が支配的である.

    水素分子衝突輻射モデル 分子の反応過程では,たとえ

    ば,上の反応(3)のように,初期回転状態によって反応断面

    積が何桁も変化するものがある[7].このため,我々は,電

    図2 RF放電装置.

    Special Topic Article 2. Divertor Heat Flux Control and Plasma‐Material Interaction Y. Kikuchi et al.

    481

  • 子状態だけを区別したモデル[8],電子状態・振動状態を

    区別したモデル[9]を拡張し,さらに回転状態を区別する

    モデルの開発を行っている.現在版では,主量子数(融合

    原子)が6以下の4133の状態を区別している.このモデル

    では,分光計測と直接比較が可能な分子スペクトルを計算

    することができる(計算例:図5).RFプラズマで観測さ

    れる可視域の水素分子発光線と比較すると,�����に遷移

    する連続光,����������の発光線の強度は計算により

    よく再現される.����������の発光線強度から,水素

    分子密度���,分子振動・回転温度の算出ができる.また,

    連続光と����������の強度比から電子温度の算出も可

    能である.

    2.2.2 DEMOに向けて

    DEMO(SlimCS)[10,11]のダイバータの粒子・熱制御

    の研究にダイバータ統合コード SONIC[12,13]が用いられ

    ている.現時点では,輻射輸送は考慮されていない.水素

    原子ライマン系列発光線の輻射輸送の効果を見積もるた

    め,SONIC の計算結果��,��,���,��,��,���を入力

    データとして上述の輻射輸送の収束計算を行った.��の吸

    収長は,スペクトル中心で 1 mm程度のところも存在する

    が,これより十分小さい空間メッシュは計算時間の観点か

    ら現状では困難である.このため,輻射輸送の計算のメッ

    シュをSONICと同じとし,各メッシュの中心点で諸量を計

    算した.1つのメッシュの中ではプラズマは一様とした.

    あるメッシュでの光の吸収を考える場合,自分自身のメッ

    シュの中で放射された光の吸収は厳密に計算し,他のメッ

    シュでは,それらの中心点から光が放射されるとした.計

    算の結果,再結合プラズマとされていた多くの場所が,輻

    射輸送を考慮すると電離進行プラズマになった.収束計算

    のメッシュが荒い点や,正確には輻射輸送を考慮した電

    離・再結合速度係数を SONIC にフィードバックする必要

    がある点で大雑把な計算ではあるが,ダイバータ統合コー

    ドにおいて輻射輸送を考慮する必要があることが強く示唆

    される.今後は,精密な計算を短時間で行うことが大きな

    課題となる.一方,核融合のダイバータでは,入射された

    アルゴン等の不純物からの線輻射が主であるため,これら

    の輻射輸送の評価が必要である.水素原子・分子のモデル

    は,主にHのコードを開発してきたが,D,Tのモデルの

    整備も進めていく.

    2.3 タングステン表面特性がプラズマ熱流入に与える影響

    2.3.1 パワー伝達係数の重要性

    冒頭で紹介があったように,閉じ込め領域からSOLに流

    れ出て,一部放射でそのエネルギーを散逸しつつ磁力線に

    沿ってダイバータ領域へプラズマ熱流は流れ込み,最終的

    にはダイバータ板へ到達する.過渡的熱負荷の一つである

    ELMの場合もほぼ同様である[1].ダイバータ領域が非接

    触再結合プラズマの場合は,これを打ち破ってダイバータ

    板に襲来する.しかし,最後の砦として固体表面前面に形

    成されるプラズマ・シースがある.シースは上流から到来

    するプラズマ熱流を固体表面に無条件で引き渡すわけでは

    図5 電子・振動・回転状態を区別した水素分子衝突輻射モデルによる分子発光線の計算例.

    図3 ダブルプローブ計測で求めた Te,ne,および中性粒子輸送コードで求めた TH,nH,nH2.

    図4 主量子数n = 3の励起水素原子の密度.水素原子Hから求めた値と計算結果の比較.

    Journal of Plasma and Fusion Research Vol.90, No.8 August 2014

    482

  • ない.対向プラズマ・パラメータと材料表面特性によって

    規定されるプラズマ熱流を固体表面にもたらすのである.

    その指標がパワー伝達係数である.このようにしてプラズ

    マ・シースは SOLからのプラズマ熱流に対する境界条件

    を与える.SOLでの熱伝導が大きい場合にはシース制限と

    なり,逆にそれが小さい場合にはSOL熱伝導制限された熱

    流がダイバータにもたらされる.

    2.3.2 パワー伝達係数の定義と意味

    プラズマ・シースを介してのプラズマ熱流入は次のよう

    に規格化して表現される[1]:

    ������������

    ����. (4)

    ここで,��は固体表面前面におけるプラズマ電子の温度,

    ��はイオン飽和電流密度であり,素電荷�で割ることによ

    りイオン粒子束密度となる.自由な流れのマクスウエル分

    布したプラズマ電子が一個あたりもって通過するエネル

    ギーは���であるので,分母は熱流束密度の次元をもつ.

    ��と��はそれぞれ電子とイオンがもたらす熱流束密度であ

    るのでパワー伝達係数(PowerTransmissionFactor :PTF)

    �は無次元量となる.(4)式の分母はダイバータ探針など

    から計測可能な量であり,分子は赤外カメラ等によって評

    価されるので,�は実験的にも決めやすい量である.

    マクスウエル分布したプラズマに対する PTFの基本は

    ������������

    ������

    �������� �������������� ����� �,(5)

    と表される.��は再結合エネルギーである.(5)式を規格

    化シース電圧����������の関数としてプロットすると

    図6となる.�と��はそれぞれ壁とプラズマの電位であ

    る.�が極小になる付近が正味の流入電流が零になる浮遊

    電圧に相当する.この場合��となる.この値は電子温

    度によって変わるので注意する.この電圧より左側のシー

    ス電圧が深い領域ではイオンの衝撃エネルギーが熱流入の

    主要因となり,右側の浅い領域では電子の熱エネルギー流

    入が指数関数的に増加する.後述するように浮遊電位は,

    固体表面から電子放出があれば浅くなり,高エネルギーの

    電子が存在すると深くなる.したがって�のシース電圧依

    存性が意味をもつことになる.

    2.3.3 二電子温度プラズマにおける浮遊電圧

    パワー伝達係数に影響を及ぼす二つの要因について紹介

    しよう.本節では電子の速度分布関数がマクスウエル分布

    からずれ,高温電子が共存する効果について述べ,次節で

    は電子放出の影響を議論しよう.

    バルク電子は��の,高温成分は��の温度をもつ,それ

    ぞれマクスウエル分布している二成分が混在している,二

    電子温度重水素プラズマを考える.このようなプラズマは

    波動加熱によって現れたり,ELMに伴ってダイバータに

    到達したりする[14].高温電子成分の密度割合を�,温度

    比を�������として浮遊電圧の変化を図7に示す[1].

    このように高温電子の存在は,プラズマ電位を基準にした

    浮遊電位を負に深くして電子粒子束とイオン粒子束の電荷

    平衡を取ろうとする.

    2.3.4 タングステン表面からの電子放出

    高温電子の流入と逆の効果をもたらすのは表面からの電

    子放出である.これは材料表面が高温になることによる熱

    電子放出,高エネルギー一次電子によって放出される二次

    電子や,場合によってはイオンの衝撃や表面再結合エネル

    ギーによってもたらされるオージェ電子が役割を担うこと

    がある[15].図8の a)と b)にはタングステン(W)の二次

    電子放出係数が電子のエネルギーと温度の関数としてそれ

    ぞれ示されている.Wはかなり大きな放出係数をもつこと

    が分かる[16].しかし,トカマク装置では磁力線が材料表

    面へ斜め入射する効果により実効的に減じられる[17].

    電子放出により材料表面への電荷流入平衡が崩れ,電子

    放出を補うべく材料の表面電位は,プラズマ電位に近づこ

    うとしてシース電圧の大きさが小さくなると,結果として

    図9に示すように熱流入は指数関数的に大きくなる.横軸

    は放出電子電流密度を乱雑電子粒子束電流密度 �

    ��

    � で規

    格化している.

    図7 二電子温度重水素プラズマに対するシース電圧の温度比依存性.電子放出はないとしている.図6 重水素プラズマに対する PTFのシース電圧依存性.

    Special Topic Article 2. Divertor Heat Flux Control and Plasma‐Material Interaction Y. Kikuchi et al.

    483

  • ����

    � ������

    ������� . (6)

    ここで,���はシース端のプラズマ密度であり,プラズマ領

    域のプラズマ密度の約半分である.�����

    ���

    � が1に近い場

    合には放出電子の空間電荷効果が重要となり,取り扱いに

    注意が必要である[18].表面が高温になり熱電子放出が増

    大すると,熱流入が加速することに留意する必要がある

    [19].

    2.3.5 二電子温度プラズマのパワー伝達係数

    二電子温度プラズマに対するパワー伝達係数は次のよう

    に書かれる[20]:

    ������������

    ����������������������

    ��

    ������������������ ������������ ��������� �

    � �������������

    � �� �������������

    ������������

    ��������

    � ���� . (7)���はイオンのエネルギー反射係数,����はオージェ電

    子放出係数,�����はの仕事関数,��は二次電子放出係

    数,そして,�����������������.は音速を表すため

    の実効電子温度である.(7)式の第一行目はイオンの熱流

    束を表す.その最後の因子はオージェ電子放出による冷却

    効果である.第二行目はバルク電子の熱流を,第三行目以

    下は高温電子のそれを表す.ここでも二次電子放出に伴う

    冷却を取り入れている.

    図10は重水素プラズマがと向き合う場合の PTFの

    シース電圧依存性を高温電子の割合をパラメータに描いた

    ものである.重水素プラズマ実験で得られたPTFと(7)式

    の比較を図11で行っている.ヘリウムプラズマ照射により

    繊維状ナノ構造が表面に形成された[21]の PTFと未照

    射のそれを比べている.これら一連の実験は直線型プラズ

    マ発生装置AIT-PID を駆使して行われた[22].装置の写

    真とブロック図を図12に示す.未照射ので得られた

    ���に対してナノ構造をもつのそれは小さくなっている

    ことがわかる.これは表面における重水素イオンの

    繊維との多重衝突に起因すると考えられる[23].ナノ構造

    をもつの PTF値が未照射のそれに比して小さい原因は

    イオンのエネルギー反射係数の相異と,電子放出による冷

    却効果の有無があるのではないかと考えられる.ナノ構造

    形成では図8のc),d)[24]に示すように,大きな高低差

    の起伏,すなわち図の����が大であると発生した2次

    電子が深い谷から外に出てこられないという物理機構によ

    り電子放出が抑制されるからである[25].異なる表面形態

    による,このような PTFの差はヘリウムプラズマ中のW

    でも観測されている[20,23].

    図8 タングステンとベリリウムに対する二次電子放出係数 a),b)[16]と表面の起伏の効果 c),d)[24].

    図9 PTFとシース電圧の放出電子電流依存性.

    Journal of Plasma and Fusion Research Vol.90, No.8 August 2014

    484

  • 2.3.6 異なるPTFをもつ対向面の共存

    PTFはダイバータ板と対向するプラズマからシースを

    介して材料表面へ流入するパワーを規定するが,プラズマ

    パラメータによって熱流値は変わる.ダイバータ板はすべ

    て接地され,同電位になっている場合が多い.シース電圧

    は対向するプラズマと壁の間の電位差であり,異なるシー

    ス電圧の壁が近接すると,その間に磁力線を横切って電界

    が発生することになる.同様に異なるPTFを持つ壁が近接

    する場合には対向するプラズマ間に温度差が生じ,図13に

    示すように,磁力線を横切る熱伝導が発生する.局所的な

    高温輝点が発生し,熱電子放出によるPTFの著しい局所的

    上昇はホットスポット形成につながろう.

    冒頭で述べたように,PTFは閉じ込め領域からSOLに流

    れ出たプラズマ熱流に対する境界条件を与える.PTFが小

    さければ磁力線を横切る熱流が増加し熱流に対する SOL

    幅が拡がることになる.

    ELMのような過渡的熱負荷に対しては,磁力線に沿っ

    た熱輸送の特性時間は短いが,磁場を横切る輸送に関して

    はELMの時間スケールに近く,ダイナミックな挙動に注

    意する必要がある[26].

    2.4 パルス熱負荷照射時のプラズマ対向材料損傷過程

    核融合炉におけるELMやディスラプションのパルス熱負

    荷はプラズマ対向機器の損傷を引き起こす危険性がある.

    また,2013年11月に ITERにおいてフルタングステン・ダ

    イバータの適用が決定され,パルス熱負荷によるタングス

    テン材の損傷過程や ITERの運転に与える影響の評価は喫

    緊の研究課題である.ITERのType IELMはエネルギー密

    度 0.2-2 MJ/m2,パルス幅 0.1-1 ms 程度と想定されてい

    る[27].パルス熱負荷照射時の材料表面温度上昇��は1

    次元熱伝導方程式から以下のように与えられる[1].

    ������

    ������ . (8)

    ここで,�は熱負荷[W/m2],�はパルス幅[s],�は質量密

    度[kg/m3],��は比熱[J/(K・kg)],�は熱伝導率[W/(m・

    K)]である.この式から,� �� は表面温度上昇に比例する

    量であり,タングステンが融点に達する条件(溶融限界)

    では� ��~50 MJ/m2/t0.5となる.ここで,ELMの典型的な

    図10 重水素プラズマ-タングステン系における PTFのシース電圧依存性の例.�は高温電子成分の割合.

    図12 コンパクトなプラズマ発生装置,AIT-PID.(a)は装置全体の写真.(b)は PTF測定のための配置を示す.Wターゲットにはバイポーラー電力増幅器を用いて電気的に正弦波バイアス電圧が加えられる.

    図11 重水素プラズマと2種類の表面形態をもつW系におけるPTFのシース電圧依存性の実験と理論の比較.

    図13 異なる PTFが共存する場合の対向プラズマに誘起される磁力線を横切る熱輸送.

    Special Topic Article 2. Divertor Heat Flux Control and Plasma‐Material Interaction Y. Kikuchi et al.

    485

  • パルス幅を 0.5 ms とすると,溶融限界を与える熱負荷は~

    1MJ/m2 となる.ペレット入射や外部共鳴摂動磁場

    (RMP)を用いたELM緩和法の研究も進められており,

    ELMの熱負荷を 0.5 MJ/m2 以下に低減する必要がある.

    一方,2.1節で述べたように,He照射によるタングステ

    ンの表面改質とパルス熱負荷の相互作用,パルス熱負荷の

    繰り返し照射効果,定常とパルスの重畳効果,蒸気遮蔽効

    果等,パルス熱負荷照射時のプラズマ対向機器の健全性評

    価には残された研究課題が多い.本節では直線型装置を用

    いたパルス熱負荷模擬実験やシミュレーション研究を中心

    に紹介する.

    2.4.1 He照射タングステンへのパルス熱負荷照射

    タングステンにHe照射すると表面に綿毛のようなナノ

    サイズ突起(W-fuzz 構造)が形成されることが,直線型プ

    ラズマ装置[28]やトカマク装置[29]で観測されている.

    W-fuzz 構造が形成されると熱伝導率の低下等の様々な材

    料物性値の変化が発生することから,パルス熱負荷に対す

    るW-fuzz の応答を調べる必要がある.直線型プラズマ装

    置 PISCES-A にて定常Heプラズマ照射されたタングステ

    ン試料を磁化プラズマガン装置(兵庫県立大学)に設置し,

    ELM様パルスプラズマを照射する実験が行われている.

    図14に磁化プラズマガン装置の写真を示す.兵庫県立大学

    では2台の磁化プラズマガン装置をターゲットチャンバー

    に接続したユニークな実験装置(ダブルプラズマガン)を

    開発している[30].これにより,①2つのELM様パルス

    プラズマを時間差で連続生成,②同時生成によるプラズマ

    合体(高エネルギー密度プラズマ生成)をさせる実験も期

    待できる.

    照射実験では,定常プラズマ未照射のタングステン試料

    にパルスプラズマを照射すると,表面近傍の温度変化に伴

    う膨張と収縮により粒界に沿って亀裂が生じる[31].しか

    し,W-fuzz構造が形成されている場合には亀裂の発生が抑

    制される結果が得られている[32].一方,最近の実験

    (MAGNUM-PSI 装置)においては,パルス熱負荷のエネル

    ギーが高くなり,さらにパルス数が増加するとW-fuzz 構

    造が消失し,最終的に表面亀裂が発生する結果が示されて

    いる[33].

    図15に重水素パルスプラズマ照射(エネルギー密度:~

    1.1 MJ/m2,パルス幅:0.1-0.2 ms)後のW-fuzz 試料表面

    の電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)写真を示す

    [34].W-fuzz 構造がパルス熱負荷により溶融している様

    子が分かる.一方,通常のタングステンに同様のパルスプ

    ラズマを照射しても表面溶融は確認されない.W-fuzz層は

    熱伝導率が低く,熱が集中的に付与されるため,表面溶融

    が発生したと考えられる.また,パルスプラズマ照射前後

    の試料の質量計測から,W-fuzzの14%程度がパルスプラズ

    マ照射により消失している.これらはW-fuzz の溶発や

    アーキングによるものと考えられ,タングステンの表面状

    態がパルス熱負荷効果に大きな影響を与えることがわかる.

    2.4.2 蒸気遮蔽効果

    タングステンを用いたプラズマ対向材料の運転領域は前

    述した溶融限界以下にする必要があるが,溶融限界を超え

    たパルス熱負荷が照射された時のプラズマ対向材料の損傷

    過程はプラズマ対向材の寿命予測に重要となる.パルス熱

    負荷エネルギーが高くなると,固体材料の表層に溶融層,

    図14 ELM様パルス熱負荷模擬実験用の磁化プラズマガン装置.(a)は2台の磁化プラズマガンを用いたダブルプラズマガン装置の写真.(b)は磁化プラズマガン装置の模式図.

    図15 パルスプラズマ照射後のW-fuzz構造[34].未損傷部(上図),損傷部(下図).

    Journal of Plasma and Fusion Research Vol.90, No.8 August 2014

    486

  • 蒸気層が形成され,ドロプレット放出が発生する.溶融層

    の振る舞いとプラズマ対向機器への工学的な影響について

    は本誌小特集[35]にまとめられている.一方,材料に流入

    するプラズマと蒸気層や放出された材料粒子との相互作用

    は材料損傷に多大な影響を与えると考えられる.このよう

    な観点からプラズマ‐材料相互作用のシミュレーション

    (HEIGHTコード)が行われている[36,37].HEIGHTコー

    ドはSOLからダイバータ板へのプラズマフロー,材料表面

    に形成される溶融層および蒸気層の流体力学的な振る舞

    い,プラズマと固体,液体,蒸気層の相互作用を計算する

    統合モデルである(図16).ディスラプションを模擬した

    パルス熱負荷(10 MJ/m2,1 ms)がタングステンに照射さ

    れたときの表面温度,溶融層と蒸気層の厚さの計算結果を

    図17に示す.まず,プラズマのエネルギーが固体表面に入

    射され,表面温度が急激に上昇している.その後,蒸気層

    が固体材料前面に形成されるため,プラズマからのエネル

    ギーは吸収され,表面温度は低下していく.このような蒸

    気層での放射による冷却は蒸気遮蔽(Vapor shielding)効

    果と呼ばれており,パルス熱負荷に対する材料損耗量を決

    定する重要な要因の一つとして考えられている.

    プラズマガンを用いたパルス熱負荷模擬実験において蒸

    気遮蔽効果が検討されている[38].図18にパルスプラズマ

    照射時にターゲット材に吸収されるエネルギーをカロリー

    メータで計測した結果を示す.ここで,横軸はターゲット

    へ入射されるプラズマが有するエネルギーであり,縦軸が

    材料に吸収されたエネルギーである.入射されるプラズマ

    エネルギーが増大するにつれて,吸収されるエネルギーが

    飽和していくことから,蒸気遮蔽による熱緩衝効果と考え

    られている.しかし,高熱流パルスプラズマと材料の相互

    作用の動的挙動は未解明な点が多い.一方,このような物

    質の重相状態と熱緩衝効果は宇宙船外壁や大電流遮断器等

    にて分野横断的に発現する物理としても注目されており,

    模擬実験とシミュレーション研究の比較研究が今後重要と

    なる[39].

    本節で述べた溶融限界は単発のパルス熱負荷が照射され

    た場合であり,最近の研究では,エネルギーが溶融限界よ

    りはるかに低い場合でも,繰り返し照射されることでタン

    グステン表面に亀裂の発生と局所的な溶融が発生すること

    が明らかにされている[40].また,実際の核融合炉では定

    常プラズマが存在する中でパルス熱負荷が照射されること

    から,直線型プラズマ装置NAGDIS-I(名古屋大学)と磁化

    プラズマガン装置(兵庫県立大学)を組み合わせた複合照

    射装置NAGDIS-PG[41]をはじめとする重畳熱負荷実験も

    重要となる.さらに,原型炉においては中性子照射による

    プラズマ対向材料の微細組織変化や核変換元素の生成に起

    因する材料物性値の変化が予想される.中性子照射効果は

    日米科学技術協力 PHENIX計画において実験が予定され

    ており[42],その成果が期待される.

    図16 HEIGHTコードにおけるプラズマー材料相互作用モデル[36].

    図17 パルス熱負荷(10 MJ/m2,1 ms)照射時のタングステン表面温度,溶融層と蒸気層の厚さの時間発展[37].

    図18 ターゲット材へ入射されるプラズマのエネルギー(横軸)と材料へ吸収されるエネルギー(縦軸)[38].

    Special Topic Article 2. Divertor Heat Flux Control and Plasma‐Material Interaction Y. Kikuchi et al.

    487

  • 参 考 文 献[1]高村秀一:境界領域プラズマ理工学の基礎(森北出版

    �,2010).[2]朝倉伸幸他:特集/テキスト 核融合炉 第4章 炉

    心プラズマに関する基盤と課題(4‐3 熱・粒子制御),プラズマ・核融合学会誌 87 Suppl., 98 (2011).

    [3]A. Loarte et al., Nucl. Fusion 47, S203 (2007).[4]T. Fujimoto, Plasma Spectroscopy (Oxford University

    Press, Oxford, 2004).[5]K. Sawada, J. Plasma Phys. 72, 1024 (2006).[6]K. Sawada et al., Plasma Fusion Res. 6, 1401010 (2011).[7]J. Horacek et al., NIFS-DATA-73 (Feb. 2003).[8]K.Sawada,T.Fujimoto, J.Appl. Phys.78, 2913-2924 (1995).[9]K. Sawada andT.Fujimoto, Contrib. PlasmaPhys. 42, 603

    -607 (2002).[10]K. Tobita et al., Nucl. Fusion 47, 892 (2007).[11]K. Tobita et al., Nucl. Fusion 49, 075029 (2009).[12]H. Kawashima et al., Plasma Fusion Res. 1, 031 (2006).[13]K. Shimizu et al., Nucl. Fusion 49, 065028 (2009).[14]D. Tskhakaya et al ., Contrib. Plasma Phys. 48, 89 (2008).[15]F.M. Propst et al., Phys. Rev. 132, 312 (1963).[16]K. Imai et al., Contrib. Plasma Phys. 50, 458 (2010).[17]S. Mizoshita et al., J. Nucl. Mater. 220-222, 488 (1995).[18]S. Takamura et al., Contrib. Plasma Phys. 44, 126 (2004).[19]A. Bergman: Nucl. Fusion 42, 1162 (2002).[20]S. Takamura et al., Contrib. Plasma Phys. 54, 474 (2014).[21]高村秀一他:日本物理学会誌 68, 602 (2013).[22]S. Takamura, IEEJ Trans. Electrical Electronic Eng. 7,

    S19 (2012).[23]S. Takamura et al., Trans. Fusion Sci. Technol. 63, 225

    (2013).[24]J.Kawata andK.Ohya, J. PlasmaFusionRes. 70, 84 (1994).[25]S. Takamura et al., Nucl. Fusion 52, 123001 (2012).[26]S. Jachmich et al., J. Nucl. Mater. 363-365, 1050 (2007).[27]G. Federici et al., Plasma Phys. Control. Fusion 45, 1523

    (2003).[28]S. Takamura et al., Plasma Fusion Res. 1, 051 (2006).[29]G.M. Wright et al., Nucl. Fusion 52, 042003 (2012).[30]Y. Kikuchi et al., Proc. 24th IAEA Fusion Energy Conference

    (2012) FTP/P1-10.[31]Y. Kikuchi et al., J. Nucl. Mater. 415, S55 (2011).[32]D. Nishijima et al., Fusion Sci. Technol. 60, 1447 (2011).[33]S. Kajita et al., Nucl. Fusion 54, 033005 (2014).[34]D. Nishijima et al., J. Nucl. Mater. 434, 230 (2013).[35]時谷政行,上田良夫:プラズマ・核融合学会誌 87, 591

    (2011).[36]A. Hassanein, Fusion Eng. Des. 60, 527 (2002).[37]A. Hassanein et al., J. Nucl. Mater. 273, 326 (1999).[38]V.I. Teresin et al., Proceeding of 21st IAEA Fusion En-

    ergy Conference (2008) IT/P6-12.[39]藤澤彰英他:プラズマ・核融合学会誌 90, 177 (2014).[40]Th. Loewenhoff et al., Phys. Scr. T145, 014057 (2011).[41]S. Kajita et al., J. Nucl. Mater. 438, S707 (2013).[42]上田良夫,波多野雄治:プラズマ・核融合学会誌 89,

    749 (2013).

    Journal of Plasma and Fusion Research Vol.90, No.8 August 2014

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