21
(学校教育法第 30 条第 2 項より) 「確かな学力」の定着のためには、学校教育 法第 30 条第 2 項に示された学力の三要素をバ ランスよくはぐくむことが重要である。 単元や題材のまとまりの中で、子供たちが 「何ができるようになるか」を明確にしながら、 「何を学ぶか」という知識の質や量の改善とと もに、「どのように学ぶか」という視点から、学 びの質や深まりを重視することが必要である。 そのために、「主体的・対話的で深い学び」の実 現を目指して授業改善に取り組み、子供一人ひ とりの学ぶ喜び・わかる嬉しさを積み重ねてい く。 また、子供たちが学習の成果を的確に捉える ためには学習評価の充実が求められる。加えて、 学習評価には子供の学習改善につなげるものに していくことや、教師の指導改善を図るものと しても重要な役割がある。 ・育成を目指す資質・能力の三つの柱を踏まえ た各教科における年間計画・単元計画を立て る。 ・「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた 授業改善に取り組み、指導方法等の充実に努 める。 ・探究的な学習の過程を重視した総合的な学習 の時間の充実を図る。 ・学習指導要領に基づいた評価規準を示して、 子供に目標を明確にした学習指導を行う。 ・「わからない・できない」子供への手立てのあ る指導計画を立てる。 ・評価の方針、方法、結果等について学校全体 で共通理解を図る。 ・多面的・多角的な評価を行い、信頼性・妥当 性の高い学習評価とする。 ・学力調査の結果を分析して、課題を把握し、 授業改善等の具体的な取組みを推進する。 ・学校図書館が持つ機能の活用、デジタルコン テンツや ICT 機器・EduNet などの活用、学 習を支援する人材の効果的な活用を図る。 ・基本的生活習慣の確立、家庭学習や読書等の 指導ができるよう、学校と家庭が信頼関係を 構築し、手立ての共有に努める。 (略)生涯にわたり学習する基盤が培われるよう、基 を習得させるとともに、これらを活用して課 その他の能力をはぐくみ、主 を養うことに、 特に意を用いなければならない。※この規定は、中学校・高等学校に準用する。 ・実際の社会や社会の中で生きて働く「 ・未知の状況にも対応できる「 ・学んだことを人生や社会に生かそうとする「 (平成 31 年 1 月 「新しい学習指導要領リーフレット」より) 33

2 「生きる力」をはぐくむ (1)確かな学力の育成kusunoki.nishi.or.jp/school/media/gakkyo/02ikirutikara.pdf<関連資料等> 「確かな学力」について

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Page 1: 2 「生きる力」をはぐくむ (1)確かな学力の育成kusunoki.nishi.or.jp/school/media/gakkyo/02ikirutikara.pdf<関連資料等> 「確かな学力」について

<関連資料等>

○「確かな学力」について ~学力の三要素~ (学校教育法第30条第 2項より)

「確かな学力」の定着のためには、学校教育

法第 30 条第 2 項に示された学力の三要素をバ

ランスよくはぐくむことが重要である。

単元や題材のまとまりの中で、子供たちが

「何ができるようになるか」を明確にしながら、

「何を学ぶか」という知識の質や量の改善とと

もに、「どのように学ぶか」という視点から、学

びの質や深まりを重視することが必要である。

そのために、「主体的・対話的で深い学び」の実

現を目指して授業改善に取り組み、子供一人ひ

とりの学ぶ喜び・わかる嬉しさを積み重ねてい

く。

また、子供たちが学習の成果を的確に捉える

ためには学習評価の充実が求められる。加えて、

学習評価には子供の学習改善につなげるものに

していくことや、教師の指導改善を図るものと

しても重要な役割がある。

<具体的方策>

・育成を目指す資質・能力の三つの柱を踏まえ

た各教科における年間計画・単元計画を立て

る。

・「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた

授業改善に取り組み、指導方法等の充実に努

める。

・探究的な学習の過程を重視した総合的な学習

の時間の充実を図る。

・学習指導要領に基づいた評価規準を示して、

子供に目標を明確にした学習指導を行う。

・「わからない・できない」子供への手立てのあ

る指導計画を立てる。

・評価の方針、方法、結果等について学校全体

で共通理解を図る。

・多面的・多角的な評価を行い、信頼性・妥当

性の高い学習評価とする。

・学力調査の結果を分析して、課題を把握し、

授業改善等の具体的な取組みを推進する。

・学校図書館が持つ機能の活用、デジタルコン

テンツや ICT 機器・EduNet などの活用、学

習を支援する人材の効果的な活用を図る。

・基本的生活習慣の確立、家庭学習や読書等の

指導ができるよう、学校と家庭が信頼関係を

構築し、手立ての共有に努める。

(1)確かな学力の育成 2 「生きる力」をはぐくむ

取組みの重点

・「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善に努める

・学習評価の充実を図る

(略)生涯にわたり学習する基盤が培われるよう、基礎的な知識及び技能を習得させるとともに、これらを活用して課題

を解決するために必要な思考力、判断力、表現力その他の能力をはぐくみ、主体的に学習に取り組む態度を養うことに、

特に意を用いなければならない。※この規定は、中学校・高等学校に準用する。

・実際の社会や社会の中で生きて働く「知識及び技能」 ・未知の状況にも対応できる「思考力、判断力、表現力等」 ・学んだことを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力、人間性等」

〇育成すべき資質・能力の三つの柱 (平成31年 1月 「新しい学習指導要領リーフレット」より)

- 33 -

Page 2: 2 「生きる力」をはぐくむ (1)確かな学力の育成kusunoki.nishi.or.jp/school/media/gakkyo/02ikirutikara.pdf<関連資料等> 「確かな学力」について

○学校図書館の機能の活用 (平成 29 年 3 月 学習指導要領 より)

<学校図書館が有する 3 つの機能>

「読書センター」:児童生徒の読書活動や児童生徒への読書指導の場である

「学習センター」:児童生徒の学習活動を支援したり、授業の内容を豊かにしてその理解を深めたりする

「情報センター」:児童生徒や教職員の情報ニーズに対応したり、児童生徒の情報の収集・選択・活用能力を育成したりする

※詳細については、p.58「学校文化の拠点となる学校図書館」を参照

・学ぶことに興味や関心を持ち、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら、見通しを持って粘り強く取

り組み、自己の学習活動を振り返って次につなげる「主体的な学び」が実現できているか。

・子供同士の協働、教職員や地域の人との対話、先哲の考え方を手掛かりに考えること等を通じ、自己の考え

を広げ深める「対話的な学び」が実現できているか。

・習得・活用・探究という学びの過程の中で、各教科等の特質に応じた「見方・考え方」を働かせながら、知

識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見いだして解決策を

考えたり、思いや考えを基に創造したりすることに向かう「深い学び」が実現できているか。

「授業づくりハンドブック ~授業改善の 7 つの視点~」

(H31.4 西宮市教育委員会)

①単元の見通しの提示 ⑤ペア学習、グループ学習の設定

②本時のめあて・目標の提示 ⑥話し合い活動の設定

③調べてまとめる学習の設定 ⑦振り返り活動の設定

④体験的に学ぶ場面の設定

「ひょうごつまずきポイント 指導事例集」

(H29 兵庫県教育委員会)

・小学校:国語・算数 中学校:国語・数学の 4 種類

・全国学力・学習状況調査の分析からつまずきポイントを抽出

し、その学習内容の系統を示した上で、解消に向けた指導の工

夫が掲載されている。

Check

(評価方法例)

活動の観察、発問への応答、ノート、ワークシート、

質問紙、面接、活動の観察、ペーパーテスト、小論文、

プレゼンテーション、作品、観察記録、レポート、グ

ループでの話し合いの内容、子供の自己評価

工夫 改善

パフォーマンス評価

知識やスキルを使いこなす(活用・応用・統合する)こ

とを求めるような評価方法。 ポートフォリオ評価

学習の過程や成果を示す様々な記録を系統的に蓄積

し、編集したり検討会を行ったりしながら評価してい

〇「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善(平成28年 12月 「中央教育審議会答申」より)

学習指導要領の各教科等に

おける目標や内容について、

資質・能力の三つの柱に基づ

いて再整理されたことを踏

まえ、観点別学習状況の評価

についても、4観点から3観

点に整理された。

〇観点別学習状況の評価

○授業づくりの参考資料

指導計画等

を踏まえた

教育の実施

指導計画等の作成

児童生徒の学習状況、

指導計画等の評価

授業や

指導計画等

の改善

Plan

Do

Check

Action

指導と評価

の一体化

○学習指導と学習評価のPDCA ○評価方法の工夫・改善サイクル

各教科の学習活動の特質、評価の観点や評価規準、

評価場面や子供の発達段階に応じて選択し評価する。

学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図り、(小:児童の)(中:生徒の)主体的・

対話的で深い学びの実現に向けた授業改善に生かすとともに、(小:児童の)(中:生徒の)

自主的、自発的な学習活動や読書活動を充実すること。

関心・意欲・態度

技 能

思考・判断・表現

主体的に学習に取り組む態度知識・理解

思考・判断・表現

知識・技能

- 34 -

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<関連資料等>

グローバル化の進展により、外国語によるコ

ミュニケーション能力は、生涯にわたる様々な

場面で必要とされることが想定され、外国語を

用いて互いの考えを伝え合い理解し合うことの

重要性は増している。 このことを踏まえ、自立した人間として、主

体的に判断し、多様な人々と協働しながら新た

な価値を創造することができるよう、外国語教

育の充実を図り、豊かな語学力・コミュニケー

ション能力、主体性・積極性、異文化理解の精

神等を身につけた子供を育成していく。

<具体的方策> ・「外国語によるコミュニケーションにおける

見方・考え方」を働かせ、「知識及び技能」「思

考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、

人間性等」の三つの柱から構成される資質・

能力の育成を図るため、自分の考えや気持ち

を伝えあう言語活動を中心に据えた授業づ

くりに取り組む。 ・小学校においては、中学年での外国語活動、

高学年での外国語科の取組みを充実させる。 ・中学校外国語科においては、小学校で学んだ

音声から文字への円滑な接続、学びの連続性

を図る。

○新学習指導要領における外国語教育

○今後のスケジュールと実施に向けた取組み(令和元年 中教審教育課程部会資料をもとに作成)

○外国語教育に関する西宮市の事業 (中学生英語ワークショップの様子)

2020 年(令和 2 年) 2021 年(令和 3 年) 2022 年(令和 4 年)

小学校 全面実施

教科書の配布

中学校 全面実施

教科書の採択 教科書の配布

高等学校 実施(学年進行)

教科書の検定 教科書の採択 教科書の配布

実施に向けた

取組み

(県)英語教育推進リーダー中央研修受講者による、各校中核教員研修

中核教員が各校内で研修をすることで、リーダー研修の内容を全中学校に行き渡らせる

(市)研究グループ「英語・外国語活動」

小学校・中学校の外国語科の充実、小中連携を一層深めるためのカリキュラム作成等

取組みの重点

考えや気持ちを伝え合う、豊かな語学力・コミュニケーション能力の育成を図る

(2)外国語教育の推進 2 「生きる力」をはぐくむ

外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方

外国語で表現し伝え合うため、外国語やその背景にある文化を、社会や世界、他者との関わりに着

目して捉え、コミュニケーションを行う目的や場面、状況等に応じて、情報を整理しながら考えなど

を形成し、再構築すること ・小学校 3・4 年生 年間 35 時間の外国語活動

三つの領域別目標:「聞くこと」「話すこと[やり取り]」「話すこと[発表]」 ・小学校 5・6 年生 年間 70 時間の教科としての外国語

五つの領域別目標:「聞くこと」「読むこと」「話すこと[やり取り]」「話すこと[発表]」「書くこと」

・中学校 五つの領域別目標+外国語で自分自身の考えや気持ちなどを伝え合う対話的な活動を重視

・高等学校 五つの領域別目標+ディベートやディスカッションなどを通して発信力を高める科目群を設定

外国語教育の充実 ・中学生の海外派遣 ・中学生英語ワークショップ ・高校生語学研修 ・ALT 派遣事業 ・姉妹・友好都市交流事業

教員を対象とした研修等 ・英語・外国語活動担当者会 ・研究グループ「英語・外国語活動」 ・WSU 教育交流事業 ・研究研修「外国語活動研修」「英語科研

修」「外国語ワンポイント研修」

段階的に先行実施

段階的に先行実施

- 35 -

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情報活用能力は、各教科等の学びを支える基

盤となる資質・能力である。 そこで、「基本的な操作」「問題解決・探究に

おける情報活用」「プログラミング」「情報モラ

ル・セキュリティ」などの観点を相互に関連さ

せた情報活用能力を身につける必要がある。 特に、情報モラル教育はネットトラブルやネ

ット依存などを防止するため、発達段階に応じ

た指導を系統的に行うことが重要である。 プログラミング教育については、教育課程全

体を見渡し、プログラミング的思考を育成する

意図を持った指導をすることが大切である。

<具体的方策>

・各教科等の年間指導計画に、ICT の活用、情

報モラルに関する指導を位置付ける。 ・ICT を積極的に活用し、基本的な操作や情報

を収集・比較・選択し、情報の特性を生かし

た効果的な表現ができるよう指導する。 ・適切なコミュニケーションや情報発信のあり

方、個人情報や著作権等の保護、トラブル回

避の方法を正しく理解させる。 ・教科等において、コンピュータを用いたプロ

グラミングの体験を位置付けるなど、プログ

ラミング的思考を育成する授業に取り組む。

<関連資料等>

(3)情報活用能力の育成

○情報活用能力と3つの柱

2 「生きる力」をはぐくむ

知識及び技能 思考力、判断力、表現力等 学びに向かう力、人間性等

取組みの重点

情報を主体的に活用できる授業を展開し、情報活用能力を育成する

・情報と情報技術を適切に活

用するための知識と技能 ・問題解決・探究における情報

活用の方法の理解 ・情報モラル・セキュリティな

どについての理解

・問題解決・探究における情報

を活用する力 (プログラミング的思考・情

報モラル・セキュリティを

含む)

・問題解決・探究における情報

活用の態度 ・情報モラル・セキュリティな

どについての態度

(平成 30 年 3 月 「次世代の教育情報化推進事業(情報教育の推進等に関する調査研究)成果報告書」 文部科学省 より )

○プログラミング教育で育成するプログラミング的思考

プログラミング的思考を育成するために

は、試行錯誤を繰り返しながら自分の考

える動作の実現を目指す中で、うまくい

かなかった場合はどこが間違っているか

考え、修正や改善を行いその結果を確か

めるなど、論理的に考えさせることが大

切です

(平成 30 年 11 月「小学校プログラミング教育の手引き(第 2 版)」文部科学省 より)

①課題を見つけ解決への見通し

を持つ ②解決を目指し、既習の知識・技

能を活用して考える

③結果を確かめ、解決に向け

て試行錯誤する

○プログラミング教育の実践事例(小学校4年生 社会科:安全なくらしを守る 西宮浜小学校)

課題:より安全なくらしを実現するため、地域にある信号機の課題を見つけ、よりよい信号機をつくる

- 36 -

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人は生涯、様々な役割を果たしながら、自分

の役割の価値や自分と役割の関係を見いだして

いく。このような営みの積み重ねがキャリアで

ある。 キャリア教育では、学校で学ぶことと社会の

接続を意識し、子供の社会的・職業的自立に向

け、必要な基盤となる資質・能力をはぐくむこ

とが重要である。そして、子供が社会の中で自

分の役割を果たし、自分らしい生き方を実現し

ていく「キャリア発達」を促すことを目指して

いる。キャリア教育に取り組むにあたっては、

特別活動を要としつつ、学校の教育活動全体を

通じて組織的・系統的に行うことが大切である。 <具体的方策>

・指導資料等を活用しながら研修の充実を図る。 ・キャリアパスポートなどの活用を図りながら、

学習や活動を見通したり、振り返ったりして、

自分を見つめる場面を重視する。 ・自らの役割を果たしつつ、多様な人々と協働

できる体験活動を実施する。

・自校の課題や教育目標を踏まえ、体系的・系

統的な指導計画及び全体計画を作成する。 ・学年間・校種間、家庭や地域等との連携を図

り、体系的なキャリア教育を推進する。

(4)キャリア教育の推進 2 「生きる力」をはぐくむ

取組みの重点

発達段階に応じた教育を通して、社会的・職業的自立の基盤となる能力・態度を育てる

幼稚園児

遊びの中で、他者と関

わり、「伝え合う力」を

はぐくんでいる。

(南甲子園幼稚園)

○キャリアノート(西宮浜小学校)

中学生

職業人の方々の話を聴

くことで、生徒が自身

の生き方を考えるきっ

かけとなっている。

(真砂中学校)

小学生

外部講師を招聘し、自分

の趣味や好みが、どのよ

うな職業につながるか

を学んでいる。

(南甲子園小学校)

小学校・中学校新学習指導要領 (平成 29 年 3 月公示)より

◆総則において「特別活動を要と

しつつ各教科等の特質に応じ

て、キャリア教育の充実を図る

こと」が示された。 ◆特別活動〔学級活動〕に「一人

一人のキャリア形成と自己実

現」に関する内容が位置付けら

れた。 ◆キャリア教育の視点からの小・

中・高等学校のつながりが明確

になるよう整理された。

高校生

卒業生の講演を聴くこ

とは、社会における自ら

の役割を考える機会と

なっている。

(西宮東高等学校)

<関連資料等>

○発達段階に応じた活動

- 37 -

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自己の生き方をはぐくむキャリア教育 ~発達段階での課題~

家 庭

地 域

幼稚園

「人格形成の基礎を培う時期」

・豊かな心情の醸成 ・物事に自分から関わろうとする意欲の向上 ・健全な生活を営むために必要な態度の育成 ・人と関わる力の育成

中学校

「 現 実 的 探 索 と 暫 定 的 選 択 の 時 期 」

・肯定的自己理解と自己有用感の獲得 ・興味・関心等に基づく職業観・勤労観の形成 ・主体的な進路選択能力の育成

・進路計画の立案と暫定的選択 ・生き方や進路に関する現実的探索

小学校

「 進 路 の 探 索 ・ 選 択 に か か る

基 盤 形 成 の 時 期 」

・自己及び他者への積極的関心の形成・発展 ・身のまわりの仕事や環境への関心意欲の向上 ・夢や希望、憧れる自己イメージの獲得 ・勤労を重んじ目標に向け努力する態度の形成

○参考資料

・「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」

(H23 中央教育審議会答申)

・キャリア教育の手引き(H23 小・中、H24 高 文部科学省)

・キャリア教育を創る「学校の特色を生かして実践するキャリア教育」

(H23 国立教育政策研究所)

・キャリアノートモデル(小・中・高)

・キャリア教育の推進(小・中 教師用指導資料)

・ひょうごキャリア教育指導事例集(H30 兵庫県教育委員会)

H26 兵庫県教育委員会

一人ひとりの社会的・職業的自立に

向け、必要な基盤となる能力や態度

を育てることを通して、キャリア発

達を促す教育 高等学校

「現 実 的 探 索 ・ 試 行 と

社 会 的 移 行 準 備 の 時 期 」

・自己理解の深化と自己受容 ・選択基準としての職業観・勤労観の確立 ・将来設計の立案と社会的移行の準備 ・進路の現実吟味と試行的参加

未 来

社会的・職業的自立

「キャリア教育」とは

◆人間関係形成・社会形成能力

◆自己理解・自己管理能力

◆課題対応能力

◆キャリアプランニング能力

基盤となる

「基礎的・汎用的能力」

- 38 -

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(5)幼稚園教育の推進 2 「生きる力」をはぐくむ

取組みの重点

教育活動の充実を図り、一人ひとりのよさと可能性を伸ばす

幼児期の教育は、生涯にわたる人間形成の基

礎を培う重要なものである。 教師は、幼児の自発的な活動としての遊びを

生み出すために必要な環境を整え、一人ひとり

の特性に応じて指導をしていくことが大切であ

る。西宮市立幼稚園では、多様な体験活動を重

視し、遊びを通した総合的な指導から、学びの

基礎を培い、後伸びする力をはぐくむよう取り

組んでいる。幼児教育においてはぐくみたい資

質・能力及び「幼児期の終わりまでに育ってほ

しい姿」を踏まえ、発達や学びの連続性を見通

した創意ある教育活動を展開していくことが重

要である。

<具体的方策>

・職員の同僚性を高め、多面的な幼児理解に努

めるとともに、幼児の確かな学びや育ちを捉

え、PDCA サイクルにより保育の充実を図る。 ・保育の可視化を進め、積極的に保護者や地域

に発信し、幼児教育への理解や協力を図る。 ・支援を要する幼児については、関係機関との

連携を図り、長期的な視点をもって個に応じ

た指導や支援を行う。 ・小学校とともに、幼児期と児童期の発達段階

を踏まえた交流活動を充実させ、「幼児期の

終わりまでに育ってほしい姿」の共有等、円

滑な接続に向けて組織的に取り組む。 <関連資料等>

○幼児期の終わりまでに育ってほしい姿 (平成 30 年度「幼稚園教育要領解説」をもとに作成)

(平成 28 年 8 月「幼児教育部会における審議の取りまとめ」文部科学省をもとに作成) 小学校

以上

・思いやり ・安定した情緒 ・自信 ・相手の気持ちの受容 ・好奇心、探求心・葛藤、自分への向き合い、折り合い ・話合い、目的の共有、協力 ・色、形、音等の美しさや面白さに対する

感覚 ・自然現象や社会現象への関心 等

・試行錯誤、工夫 ・予想、予測、比較、分類、確認 ・他の幼児の考えなどに触れ、新しい

考えを生み出す喜びや楽しさ ・言葉による表現、伝え合い ・振り返り、次への見通し ・自分なりの表現 ・表現する喜び 等

思考力、判断力、表現力等の基礎(遊びや生活の中で、気付いたこと、できるようになったことなども使いながら、どう考えたり、試したり、工夫したり、表現したりするか)

学びに向かう力、人間性等(心情、意欲、態度が育つ中で、いかによりよい生活を営むか)

・三つの円の中で例示される資

質・能力は、五つの領域の「ね

らい及び内容」及び「幼児期の

終わりまでに育ってほしい姿」

から、主なものを取り出し、便

宜的に分けたものである。

・基本的な生活習慣や生活に必要な 技能の獲得

・身体感覚の育成 ・規則性、法則性、関連性等の発見 ・様々な気付き、発見の喜び ・日常生活に必要な言葉の理解 ・多様な働きや芸術表現のための

基礎的な技能の獲得 等

知識及び技能の基礎 (遊びや生活の中で、豊かな体験を通じて、何を感じたり、何に気付いたり、何が分かったり、何ができるようになるのか)

遊びを通しての総合的な指導

健康な心と体 自立心 協同性 道徳性・規範意識の芽生え

社会生活との 関わり

思考力の芽生え 自然との関わり ・生命尊重

数量や図形、標識や文字などへの 関心・感覚

言葉による 伝え合い

豊かな 感性と表現

○幼児教育において育みたい資質・能力の整理

実際の指導では、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」が到達すべき目標ではないことや、個別に取り出さ

れて指導されるものではないことに十分留意する必要がある。

- 39 -

Page 8: 2 「生きる力」をはぐくむ (1)確かな学力の育成kusunoki.nishi.or.jp/school/media/gakkyo/02ikirutikara.pdf<関連資料等> 「確かな学力」について

現在、「高等学校教育改革」、「大学教育改革」、

「大学入学者選抜改革」の三位一体による「高

大接続改革」が進められており、「高等学校教育

改革」では、学習指導要領の抜本的見直しが行

われた。新学習指導要領の趣旨に則り、主体的・

対話的で深い学びの視点からの授業改善、多面

的な学習評価を推進する。また、選挙権年齢や

成年年齢の引き下げなどの状況を踏まえて、主

権者教育やキャリア教育等を通じ、社会の中で

自立する力の育成を図る。 文部科学省において新時代に対応した普通

科の改革等が検討される中、今後、各高等学校

の更なる特色化が求められる。各高等学校にお

いて教育理念を明確にし、中・長期ビジョンに

基づいた特色ある教育活動を実施することで、

魅力ある高校づくりを推進する。

<具体的方策>

・必要に応じて ICT 機器も活用しながら、主体

的・対話的で深い学びの実現に向けて授業改

善を全校体制で進める。 ・「総合的な探究の時間」等を中心として、生徒

が自ら問いを見いだし、試行錯誤しながら探

究していく学習を推進する。 ・観点別学習状況の評価及び指導と評価の一体

化について研究を進める。 ・大学入学者選抜の改革への対応を進める。 ・市立高等学校パワーアップ事業等を活用し、

生徒のキャリア形成に資する体験活動等を

推進する。 ・地域との連携・協働の視点を持ったカリキュ

ラム・マネジメントに努め、社会に開かれた

教育課程の実現を図る。 ・各高等学校において、教育委員会と連携しな

がら、市立高等学校のあり方、教育理念、中・

長期ビジョンについて検討を進める。

<関連資料等>

〇高等学校教育改革・大学入学者選抜改革のスケジュール(令和元年「高大接続改革の進捗状況」文部科学省 をもとに作成)

(6)魅力ある高校づくりの推進 2 「生きる力」をはぐくむ

取組みの重点

授業改善及び学習評価の改善、教育理念に基づいた特色ある教育活動を進める

◆ 高等学校教育改革

H28 年度 H29 年度 H30 年度 R1 年度 R2 年度 R3 年度 R4 年度 R5 年度 R6 年度

教育課程の見

直し

学習指導方法の改善、教師の指導力向上

多面的な 評価の充実

「高校生のた め の 学び の 基 礎診断」の仕組 み の 構築

◆ 大学入学者選抜改革 H28 年度 H29 年度 H30 年度 R1 年度 R2 年度 R3 年度 R4 年度 R5 年度 R6 年度

「大学入学 共通テスト」 の導入

個別大学に おける入学 者選抜改革

中央教育 審議会に て審議

中央教育 審議会に て審議

周知 ・徹底

教科書作成・検定・採択・供給 新学習指導要領

(年次進行で実施)

制度改正 制度改正に基づく教師の養成・採用・研修の充実

多面的な評価の推進・学習評価の在り方の見直しや指導要録の改善 ・学習成果を多面的に評価するツールとしての民間検定等の活用の促進・生徒自身の自発的なキャリア形成を促す方策の推進

新学習指導要領を 踏まえた対応

「実施方針」の策定に向

けた検討

「実施方針」の

策定・公表

認定基準等の

策定・公表

⒓月認定・公表

検証・見直し

新学習指導

要領に対応し

た診断開始

各年度で申請受付・審査・認定・情報提供 → 各高等学校で選択し計画的に実施

新テストに係る実証的・専門的検討と準備・実施

新学習指導要

領に対応した

テストの実施

「実施方針」の策定に向けた検討

「実施方針」の

策定・公表

試行調査の実

施(

5万人規模)

試行調査の実

施(

⒑万人規模)

実施大綱等

の策定・公表

「大学入学共

通テスト」実施

新学習指導要

領に対応した

「実施大綱」の

予告

新学習指導要

領に対応した

「実施大綱」の

策定・公表

現行学習指導要領の下での実施

大学入学者選抜実施要項の見直しについて、高校・大学関係者による協議

大学入学者選抜

実施要項の見直し

に係る予告通知

新学習指導要領の下での実施

各大学の入

学者選抜

方法等の予

告・公表

各大学で

選抜実施

新学習指導要領

に対応した個別

選抜の実施に関

する通知

各大学の入

学者選抜

方法等の予

告・公表

「令和7年度大学

入学者選抜実施

要項」発出

各大学で

選抜実施

「令和3年度大学

入学者選抜実施

要項」発出

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Page 9: 2 「生きる力」をはぐくむ (1)確かな学力の育成kusunoki.nishi.or.jp/school/media/gakkyo/02ikirutikara.pdf<関連資料等> 「確かな学力」について

特別支援教育は、全ての教職員で推進するも

のである。インクルーシブ教育システムの構築

を目指し、幼稚園、小・中学校の通常の学級、

通級指導教室、特別支援学級、特別支援学校等

それぞれの学びの場において、個々の障害の状

態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を、組

織的かつ継続的に行うことが重要である。その

中で、合理的配慮の提供や、一人ひとりの教育

的ニーズに応えるための指導の評価、改善を行

い、子供たちの自立や社会参加につなげる。ま

た、校種間や関係機関との連携により、長期的

な視点での子供たちへの教育的支援を行う。

<具体的方策>

・「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」を

活用し、関係機関との連携や、一人ひとりの

教育的ニーズに応じた指導目標・内容・方法

等を明確にした指導の充実を図る。

・子供の実態を的確に把握し、教育的ニーズに

応じた指導や支援を行うため、全ての教職員

の指導力向上を図る。

・合理的配慮や支援体制について校内委員会に

よる組織的な PDCA サイクルを確立する。

・計画的、組織的、継続的な交流及び共同学習

を実施する。

<関連資料等>

○特別支援教育における連続性のある「多様な学びの場」

(7)特別支援教育の推進 2 「生きる力」をはぐくむ

取組みの重点

関係機関との連携を図り、個々の障害の状態等に応じた指導や支援、合理的配慮の提供を行う

参考資料等(※は県教委 HP からダウンロード可能) (リーフレット等)

・学校で「合理的配慮」の提供が義務となります(H28 兵庫県教育委員会)※ ・特別支援教育の視点を生かした授業のユニバーサルデザイン化ハンドブック(H28 兵庫県教育委員会)※ ・交流及び共同学習ガイド(H31 文部科学省) ・全ての子供のための特別支援教育(H29 西宮市教育委員会)(EduNet 「いずみ」)に掲載 ・小学校・中学校教職員のための特別支援教育ハンドブック(H31 兵庫県教育委員会)※

(研修に活用可能な講義サイト等) ・兵庫県立特別支援教育センター:インターネット講義配信サイト ・国立特別支援教育総合研究所 :特別支援教育研修講座(個人登録が必要) ・国立特別支援教育総合研究所 :発達障害教育推進センター 研修講義コンテンツ

個別の教育支援計画・個別の指導計画の作成

必要に 応じて

特別支援学校 視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。)に対して、幼稚園、小学校、中学校、

高等学校に準ずる教育を行うとともに、障害による学習上または生活上の困難を改善・克服するための特別な指導領域「自立

活動」を実施。子供の実態に応じた弾力的な教育課程を編成できるようになっており、一人ひとりに応じた教育内容・方法を

工夫し、きめ細かな指導・支援を行う。また。子供の居住地域の学校との交流も行っている。

特別支援学級 障害の種別ごとに小学校、中学校、義務教育学校に設置される学級であり、きめの細かい指導を行うことができるよう、少人

数で編制される。教育内容は、原則として小・中学校の学習指導要領に沿っているが、子供の障害の状態や特性などに応じて、

特別支援学校学習指導要領を参考にし、「自立活動」など子供一人ひとりに応じた弾力的な教育課程を編成することができる。

また、通常の学級の子供たちとの「交流及び共同学習」を実態に応じて推進する。

通級による指導 通常の学級に在籍する軽度の障害がある子供に対して、大部分の授業は通常の学級で行いつつ、障害による学習上又は生活上

の困難を克服するため、「自立活動」などの障害の状態に応じた特別な指導を「通級指導教室」といった特別の場で行う特別

支援教育の一つの形態。西宮市では、難聴およびLD・ADHD等の子供たちが対象。(令和元年度実施:小学校 24 校、中学

校 14 校)

通常の学級 通常の学級においても、子供たちの実態に応じた支援や配慮を行う。掲示物の工夫等、学習に取り組みやすい教育環境を整え

たり、わかりやすく具体的な指示・発問や板書の工夫をしたりするなど、特別支援教育の視点を取り入れた授業のユニバーサ

ルデザイン化の推進を行う。新学習指導要領では、学習上の困難さに応じた指導の工夫が求められている。

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Page 10: 2 「生きる力」をはぐくむ (1)確かな学力の育成kusunoki.nishi.or.jp/school/media/gakkyo/02ikirutikara.pdf<関連資料等> 「確かな学力」について

自立と社会参加を目指した特別支援教育の推進~校内委員会を中心に子供を支える校内体制づくり~

・定規を当てたり指でなぞったりして、読んでいるところに注目させる

・質問や指示の出し方を工夫する(一つずつ具体的に出す、文字や絵で示すなど)

・あいまいな言い方ではなく簡潔で明確な言葉で表現する(抽象的な言葉を避けるなど)

・環境の調整をする(不要なものを片付ける、座席は前にする、見通しを持たせるなど)

・その日の予定や変更は、あらかじめ黒板に書いたり一緒に読んだりして確認する

・机上の学用品の置き場所や、机の中の置き場所を具体的に指示する(絵カードなど)

※主な相談機関一覧(P62・63)参照

・文章を読むことが苦手

・話を聞くことが苦手

・やりとりがうまくいかない

・授業中に立ち歩いてしまう

・行動の切り替えが苦手

・片付けが苦手

具体的な子供の姿

・文字を順に目で追うことができているか

・自分に話しかけられている意識があるか

・字義通りの理解や解釈等をしていないか

・周囲の物や音(刺激)に影響を受けやすいか

・行動の結果を予想したり見通したりできるか

・何をどこにしまうかを理解しているか

子供を理解する視点

○協働して子供への支援に取り組む関係づくり

・子供について、事実に基づいた情報を共有する。

・課題の解決をめざし、学校と保護者がそれぞれの

立場でできることを考え、実行する。

○保護者の事情や心情の理解

・保護者の思いを傾聴する。

・子育ての苦労をねぎらい、悩みを受け止める。

○できる配慮や支援からの取組み

・あらゆる機会をとらえて子供の様子を伝える。

・家庭でできる支援を提案する。

○関係機関への紹介

・保護者が専門的な支援の必要性を感じたときに

紹介する。

信頼関係の構築

校 内 委 員 会 特別支援教育コーディネーター

実態把握 具体的支援策の提示 環境整備

教員の専門性の向上校内研修

教職員全体の理解啓発

学級担任等へのアドバイス

情報の整理・目的の明確化・専門性の向上

本人・保護者との合意形成 合理的配慮、個別の指導計画・個別

の教育支援計画の策定と見直し

学校での一貫した指導

関係機関との連携 保護者との連携

子供の生活・学習上の困難に対する支援

特別支援教育課 ・特別支援教育に関する指導助言・相談

・就園・就学相談

こども未来センター ・特別支援教育に係る研修

・特別支援学校のセンター的機能による巡回相談

・西宮専門家チームによる教育相談・発達相談

・専門職の派遣(心理士・ソーシャルワーカー・医療関係者)

・幼稚園教諭の研修制度(指導主事の配置)

子供家庭支援課

西宮こども家庭センター

県立特別支援教育センター

医療・保健・福祉機関

実践・指導・支援の具体的な手立て

全ての子供にとってわかりやすい授業

居心地のよい学級

指導助言・研修

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Page 11: 2 「生きる力」をはぐくむ (1)確かな学力の育成kusunoki.nishi.or.jp/school/media/gakkyo/02ikirutikara.pdf<関連資料等> 「確かな学力」について

生徒指導では、一人ひとりの児童生徒の内面

理解と人間的なふれあいに基づく指導を充実さ

せるとともに、全教育活動を通して児童生徒の

社会的資質や行動力を高めるように指導、援助

していくことが大切である。指導の際には児童

生徒の人権に配慮し、個に応じた指導を徹底し、

いかなる場合も体罰を行ってはならない。

学校では、一人ひとりの児童生徒自らが、現

在及び将来における自己実現を図っていくため

の自己指導能力の育成を目指して、生徒指導の

方針・基準の明確化・具体化を図ることが重要

である。

また、時代の変化に対応しながら、校種間の

連続性を有する一貫した生徒指導を行う体制づ

くりや、全職員による組織的・計画的な取組み、

地域・家庭・関係機関との連携に努めることが

必要である。

<具体的方策>

・児童生徒や社会の変化に対応した生徒指導方 針のもと、生徒指導の三つの機能を生かした

授業づくり及び特別活動の充実を中心に据え

た開発的生徒指導に努める。

・いじめ・不登校・虐待・貧困等の今日的課題

に対して、児童生徒・家庭・地域の実態に応

じた手立てや未然防止策を考え、指導計画を

作成して取り組む。スクールカウンセラーや

全中学校区へ配置されているスクールソーシ

ャルワーカーを効果的に活用するなど、組織

的な対応を行う。 ・日常的な観察、いじめを含む定期的なアンケ

ート等で児童生徒の実態把握に努め、それに

基づいたガイダンスと、個々の児童生徒の多

様な実態を踏まえたカウンセリングの双方に

よる支援を行う。

・個々の課題を全体の課題と捉え、全教職員で

協働して課題解決を図る。 ・いじめや問題行動への対応の際には、保護者

との信頼関係を大切にするとともに、必要に

応じて学校問題解決支援チームや関係機関

と連携を図る。

・被虐待事案への対応については、子供の安全

を第一に優先し、「学校・教育委員会等向け虐

待対応の手引き(文部科学省)」をもとに関係

機関との連携を図り、迅速かつ適切に行う。

取組みの重点

子供理解を深め、目標や計画を明確にして、自己指導能力の育成を目指す

特別活動

学級活動における話し合い活動の充実。リーダーの育成。児童会・生徒会活動の充実。学校行事での達成感。

生徒指導の三つの機能を生かした授業を展開する。「主体的・対話的で深い学び」のある授業を導入すると、より効果的である。

授 業 いじめ防止

<学校の取組み>

①学校いじめ防止基本方針

に則った対応と PDCA サイクルによる見直し

②教職員間の情報共有及び

いじめ対応チーム(仮称)

を中心とした組織的な

対応

③定期的なアンケート及び

教育相談体制の充実

(参考)

※いじめ防止対策推進法

※西宮市いじめ防止基本

方針(西宮市 HP 参照)

自己決定の場を与える

「自分で決めて実行する」

自己存在感を与える

「自分は価値ある存在

であると実感する」

共感的人間関係を育成する

「ありのままに自分を語り

理解しあう人間関係」

(8)生徒指導の充実 2 「生きる力」をはぐくむ

(平成 22 年 3 月「生徒指導提要」文部科学省 をもとに作成)

<関連資料等> ○生徒指導の三機能と自己指導能力の育成

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<関連資料等>

不登校児童生徒への支援は、「学校に登校す

る」という結果のみを目標とするのではなく、

児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会

的に自立することを目指す必要がある。また、

児童生徒にとっては、不登校の時期が休養や自

分を見つめ直すなどの積極的な意味を持つこと

がある一方で、学業の遅れや進路選択上の不利

益や社会的自立へのリスクが存在することに留

意する必要がある。

学校では、児童生徒が不登校となった要因を

的確に把握し、学校関係者や家庭、必要に応じ

て関係機関が情報共有し、組織的・計画的な、

個々の児童生徒に応じたきめ細やかな支援策を

策定することや、社会的自立へ向けて進路の選

択肢を広げる支援をすることが重要である。既

存の学校教育になじめない児童生徒については、

学校としてどのように受け入れていくかを検討

し、なじめない要因の解消に努める必要がある。

また、学校に合わない子供が増えてきたとい

う捉え方だけでなく、学校が子供に合わなくな

ってきているのではないかとの視点を持ち、授

業づくりや集団づくり、適切な関わりなど、新

たな不登校を生まない取組みを充実し、「魅力

ある学校づくり」を推進することが重要である。 ○不登校児童生徒支援の体制

<具体的方策>

《主な不登校児童生徒の支援のあり方》

・担任・養護教諭等やスクールカウンセラー、

スクールソーシャルワーカー、必要に応じて

関係機関を交えた組織的な対応。

・「児童生徒理解・教育支援シート」等を活用

した個に応じた支援、家庭との連携。

・資料「私たちに何ができるか」の活用。

・あすなろ学級「みらい」「なるおきた」を中

心とした、社会的自立に向けた支援。

・但馬やまびこの郷、神出学園等の公的機関や

民間施設等との連携。

《魅力ある学校づくりに向けた主な取組み》

・これまでの学校のあり方を、学校全体で見つ

め直す。

・アクティブ・ラーニングの視点からの「分か

る授業」の実現に向けた全校的な授業改善。

・授業に集中しやすい教室内環境の工夫。

・授業の「めあて」の明確化と板書の工夫。

・仲間づくりを大切にした特別活動の充実。

・校内の教育相談体制の充実。

・児童生徒への生活アンケート結果を生かした

取組みの工夫。

取組みの重点

不登校の子供の社会的自立に向けた支援の充実と魅力ある学校づくりを目指す

2 「生きる力」をはぐくむ (9) 不登校児童生徒支援の充実

兵庫県 ・但馬やまびこの郷(小・中) ・神出学園(中・高) ・相談窓口(ひょうごっ子悩み 相談センター)

・医療機関 ・民間施設のガイドライン

西宮市 ・あすなろ学級

「みらい」「なるおきた」 ・資料「私たちに何ができる

か」 ・不登校等の相談窓口(こど

も未来センター内) ・在家庭学習支援システム ・不登校に関する研修会 ・民間施設等との交流会 ・不登校対策庁内検討委員会

・北部地域の試行的な不登校

支援

不登校支援を行う民間施設等 ・フリースクール ・NPO 法人 ・支援団体 など

国の法令・通知(一部) ・「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」

(平成 29 年 2 月 14 日施行)

・「不登校児童生徒への支援の在り方について」(令和元年 10 月 25 日付文科省通知)

あすなろ学級(社会的自立を目指す)

・「みらい」こども未来センター内 ※少人数制。半日制。自学自習、ソーシャ

ルスキルトレーニング。 ・「なるおきた」鳴尾北幼稚園休園施設内

※学級制。一日制。教科学習、自学自習、

表現活動、体験活動等。 関係部署との連携

不登校児童生徒の居場所(学校等) ・皆が笑顔で登校できる魅力ある学校づくり

・別室登校(居場所サポーターの派遣等) ・放課後登校(担任等との関わり) ・あすなろ学級 など

「あすなろ学級なるおきた」の様子

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取組みの重点

家庭や地域と連携し、積極的に健康の保持増進を図る資質・能力を育成する

(10) 健康教育の推進 2 「生きる力」をはぐくむ

<関連資料等>

学校における健康教育は、心身の健康の保持

増進を図るために、教育活動全体の中で、発達段

階や系統性を踏まえて進めていくものである。

変化の激しいこれからの社会を生きぬく子供に、

「心身の健康」「発育・発達」「安全」「食」等の指

導を通して、生涯にわたり主体的に健康で安全

な生活を実現する力が身につくように、家庭・地

域との連携を図りながら取り組んでいく。

<具体的方策>

・子供が健康・安全について理解するとともに、

健康課題の発見と解決に向けて思考・判断し、

明るく豊かな生活を営む力を身につけられる

ように、指導の充実を図る。その際、健康診断

や健康相談等も活用する。また、個々の心身の

状態を把握し早期に対応するために、全教育

活動を通じて健康観察を実施し、適切な保健

管理を行う。

・学校環境の安全点検・衛生的管理、環境衛生検

査等の保健管理を行う。

・感染症(インフルエンザ、HIV など)やアレル

ギー疾患等について正しく理解させ、予防す

る能力や態度が身につくよう取り組む。 ・発達段階に応じて心身の発育・発達と健康、性

に関する知識を深め、生命の尊重や自他の個

性を尊重した行動がとれるように取り組む。 ・心身ともに健康な子供の育成を目指し、精神保

健コンサルテーションの充実を図る。 ・家庭、地域に自校の健康課題や取組みについて

発信し、学校保健委員会や教育連携協議会等

の中で、子供の心身の健康や安全についての

協議を進め、共に取り組む。

精神保健コンサル

テーションで症状

から可能な対応を

考える。

(R1山口中学校)

○学校精神保健コンサルテーション

自己管理能力向

上を目指した取

組み。

H29.30 西宮市学

校保健研究推進

指定校

(生瀬小学校)

49%

46%

5%とても深まった

やや深まった

あまり深まらなかった

ケースについて子供理解が深まりましたか?

37%

55%

8%とても繋がった

やや繋がった

あまり繋がらなかった

ケースを通し、周辺の子供理解につながりま

したか?

とてもつながった

ややつながった

あまりつながらな

かった

学校医・学校歯科医・薬剤師・保護者・学校職員(体育担

当・養護教諭)が集まり、東京ベイ・浦安市川医療センタ

ーCEO神山 潤 先生を迎え、「眠りの大切さ」について

学んだ。各校の学校保健委

員会も、子供の健康課題解

決のために関係者が集まっ

て具体的方策を検討し、継

続的な取組みを評価する会

議としての開催が求められ

ている。

○第 63 回西宮市学校保健研究大会「眠りの大切さ」

(H30コンサルテーション事後アンケートより)

~この歯はどうやって磨いたらいいんだろう?~

○児童自ら考え行動できる健康教育の充実

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取組みの重点

自ら安全に行動し、人や社会の安全に貢献できる資質・能力を育成する

(11)安全体制の構築 2 「生きる力」をはぐくむ

学校における安全教育は、子供自身が、日常生

活全般における安全確保のために必要な事項を

実践的に理解し、自他の生命尊重を基盤として、

生涯を通じて安全な生活を送る基礎を培うとと

もに、進んで安全で安心な社会づくりに参加し、

貢献できるような資質・能力を育成することを

目指している。

簡単な安全点検に関わる体験活動の取組みは、

安全教育の観点から重要である。そのことが、子

供が危険な状況を知らせるなど、子供の独自の

視点や協力による安全管理の取組みの充実につ

ながる。

学校安全における「生活安全」「交通安全」「災

害安全」の各領域を通じて、安全教育と安全管理

に関する活動を充実させる必要がある。

校内で組織的に取り組む体制を構築するとと

もに、教職員の研修や家庭及び地域との連携を

充実させ、学校安全に関する組織活動の推進を

図る。

<具体的方策>

・安全教育と安全管理の内容を関連、統合した学

校安全計画を作成する。

・安全教育の目標や各教科等の年間を通じて指

導すべき内容を位置付け、系統的・体系的な安

全教育を実施する。

・良好な環境を維持するために、定期的に校舎や

施設・設備等の点検を実施する。

・交通安全・防犯・防災の観点から、可能な限り

安全な通学路を設定し、関係者が合同で定期

的に通学路の点検を実施する。

・自らの命を守り抜くために主体的に行動でき

る態度を育成できるよう、交通安全教室や防

犯教室、薬物乱用防止教室、情報モラル教室等

を実施する。 ・発達の段階に応じて心肺蘇生法及び AED など

の一次救命処置の講習を実施する。

<関連資料等>

通学路の安全点検を学

校と PTA、警察、地域、

行政等で協働して実施

〇警察による交通安全教室

学校危機管理マニュアル作成の手引き(H30文部科学省)

〇通学路の安全点検

(上ケ原小学校)

〇学校安全の体系(H30「生きる力」をはぐくむ学校での安全教育 文部科学省)

〇参考資料

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突如として襲いかかる様々な自然災害から、

自らの生命を守るため、正しい知識や技能を身

につけ、主体的に判断し行動する力を育成する。 そのために、防災教育の推進を図る。災害発

生時を想定した、年間の防災教育指導計画を作

成し、避難訓練を実施する。また、阪神淡路大

震災や東日本大震災等の過去の経験や教訓から

防災学習をすることにより、災害から身を守る

ための正しい行動力や災害に対して具体的に備

える力を身につける必要がある。 また、災害に備え、地域の防災拠点として機

能するよう学校の防災体制の充実を図る。立地

条件等に即して、危機管理意識や判断力の向上

を図ることが大切である。 <具体的方策>

・防災教育副読本「明日に生きる」や防災教育

教材を防災教育指導計画に位置付け、各教科

や体験活動を通して「自助・共助・公助」の

視点から、防災・減災について学ぶ。 ・あらゆる災害を想定し、避難訓練を計画的に

実施することで、具体的な避難行動を身につ

ける。 ・「学校防災マニュアル」を見直し、校内での研

修を通じて共通理解するとともに危機管理

意識や判断力の向上を図る。 ・地域の災害特性や、大規模災害を想定し、平

素から家庭、地域、自主防災組織等と連携を

強化し、「自らの生命を守る」行動へつながる

防災訓練を実施する。 ・普段から校内の安全環境を整え、災害に備え

る安全管理を行う。

(12)防災教育の推進 2 「生きる力」をはぐくむ

取組みの重点

自らの生命を守る知識・技能・判断力・行動力を育成する

〔兵庫県教育委員会 ホームページより〕

・各校の立地条件等に即

した学校防災マニュア

ルを作成。 ・実際の避難行動や安否

確認、連絡体制等の項

目を校内で作成。

・地域と合同で防災研修

を実施。 ・避難所運営ゲーム

(HUG)を通して、災害

を想定した研修を行

い、互いの防災意識・

危機管理意識の向上を

図る。

(小松小学校) (神原小学校)

○地域と連携した防災研修の実施

<関連資料等> ○防災教育副読本「明日に生きる」の活用 ○防災マニュアルの作成

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Page 16: 2 「生きる力」をはぐくむ (1)確かな学力の育成kusunoki.nishi.or.jp/school/media/gakkyo/02ikirutikara.pdf<関連資料等> 「確かな学力」について

教育基本法には、教育の目的として、人格の

完成を目指すことが示されている。そして、そ

の人格の基盤となる道徳性を養うことが道徳教

育の目標である。その目標の達成のために、学

校のあらゆる教育活動を通じて道徳教育を進め

るとともに、道徳教育の要となる「特別の教科

道徳」(以下「道徳科」という。)の一層の充実

を図る必要がある。

道徳科においては、子供が道徳的価値につい

て、「考え、議論する」ことで、「知」から「自

覚」へと深まる授業づくり、児童生徒がいかに

変容・成長したかを積極的に受け止めて認め、

励ます個人内評価を通して道徳性を養い、より

よく生きようとする子供の日常生活につなげて

いく。

<具体的方策> ・児童生徒、学校及び地域の実態を踏まえ、道

徳教育の全体計画において、道徳教育の重点

目標を設定するとともに、重点的指導内容を

明確にした道徳科の年間指導計画を作成す

る。

・自己を見つめ、物事を多面的・多角的に考え、

自己の生き方・人間としての生き方について

の考えを深める道徳科の授業づくりを行う。

・授業公開や学校だよりの活用等、家庭・地域

への啓発を進めるとともに、参画・協働によ

る道徳教育を積極的に推進する。

・教科書及び兵庫県道徳副読本「心シリーズ」

を学校・家庭・地域等、様々な場面で積極的・

計画的に活用する。

<関連資料等>

道徳教育は、教育基本法及び学校教育法に定めら

れた教育の根本精神に基づき、(小:自己の)

(中:人間としての)生き方を考え、主体的な判

断の下に行動し、自立した人間として他者と共に

よりよく生きるための基盤となる道徳性を養うこ

とを目標とする。

○道徳教育の目標(平成 29 年 3 月学習指導要領より)

(13)道徳教育の推進 2 「生きる力」をはぐくむ

取組みの重点

「考え、議論する」授業づくり、家庭・地域等との連携を含む道徳教育の日常化を進める

○道徳科の授業の視点(平成 31 年 3 月「特別の教科 道徳」

の全面実施に向けて 兵庫県教育委員会 より)

○道徳科の評価に向けて重視する2つの視点具体例(平成 31 年 3 月「特別の教科 道徳」の全面実施に向けて

兵庫県教育委員会 より)

○参考資料

② ③ ①

・教員の問いが明確に児童生徒に伝わっていたか。

・教員は、児童生徒の発言をきちんと受け止めてい

たか。 ・教員の問い(発問)は、ねらいに迫るために本当

に有効な問い(発問)であったか。 ・教員の問い返しは、より深く考えるために有効で

あったか。 ・児童生徒は、道徳的価値について多面的・多角的

に考え、発言することができたか。 ・児童生徒は、道徳的価値の理解を深めることがで

きたか。 ・児童生徒は、自分自身との関わりの中で、自己の

(人間としての)生き方について考えることがで

きたか。 ④

「一面的な見方から多面的・多角的な見

方へと発展しているか」 「道徳的価値の理解を自分自身との関わ

りの中で深めているか」

「特別の教科 道徳」の全面実施に向けて

(4 冊シリーズ)兵庫県教育委員会

・道徳的価値に関わる問題に対する判断の根拠やそのときの心情を様々な視点から捉え考えようとしている。

・自分と違う立場や感じ方、考え方を理解しようとしている。

・複数の道徳的価値の対立が生じる場面において取り得る行動を多面的・多角的に考えようとしている。等

・読み物教材の登場人物を自分自身に置き換えて、自分なりに具体的にイメージして理解しようとしている。

・現在の自分自身を振り返り、自らの行動や考えを見直している。

・道徳的価値を実現することの難しさを自分のこととして捉え、考えようとしている。等

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Page 17: 2 「生きる力」をはぐくむ (1)確かな学力の育成kusunoki.nishi.or.jp/school/media/gakkyo/02ikirutikara.pdf<関連資料等> 「確かな学力」について

人権教育の目標は、子供が発達段階に応じて、

人権の意義や内容等について理解するとともに、

「自分の大切さとともに他の人の大切さを認め

ること」ができるようになり、それが様々な場

面等で具体的な態度や行動に現れるようにする

ことである。その個々の態度や行動が、人権が

尊重される社会づくりにつながる。

そのために、人権が尊重される教育の場とし

て、人権教育を基盤に据えた学校・学級づくり

を進め、豊かな人権感覚を育むとともに、人権

に関する正しい知的理解を深めることにより、

人権意識を高めていくことが大切である。

また、人間尊重の精神を基盤として、多文化

共生社会の実現に向け、異文化や異文化をもつ

人々をはじめ、共生することのできる態度を育

成していくことが必要である。

<具体的方策>

・校種間の連携、系統的な指導計画のもと、授

業の充実を図る。 ・同和問題を中心として、女性、子供、高齢者、

障害のある人、外国人、インターネットの悪

用、LGBT などの人権諸問題の解決に向けた

教育を、全教育活動を通じて計画的に進める。 ・日本語指導を必要とする帰国・外国人幼児児

童生徒の理解に努め、地域、関係機関との連

携を図りながら、生活・学習支援を充実させ

ていく。 ・様々な体験や経験を通して、「命の大切さ」を

実感させることや、具体的な関わり・交流を

通して、他の人の思いを共感的に理解し、共

に生きる力を育てる。 ・教科・領域と連携した人権学習の推進を図る。

<関連資料等>

○西宮の人権教育

(14) 人権教育の推進 2 「生きる力」をはぐくむ

取組みの重点

豊かな人間関係の醸成を通して、人と共に生きていく力を育てる

第 2 次西宮市人権教育・啓発に関する基本計画(令和元年(2019 年)より)

「自己肯定感」をはぐくむ教育、「多様性(ちがい)」を認め合う教育の推進

体験活動仲間づくり

参観・懇談

授業・保育

人権教育の指導方法等の在り方について

[第 3 次取りまとめ]をもとに作成

知識的側面 人権に関する知識・理解

技能的側面 受容・共感する想像力や感受性

コミュニケーション技能

価値的・態度的側面自己肯定感や人間の尊厳多様性に対する開かれた心

人 権 感 覚人権に関する

知 的 理 解

多文化共生

実践行動へ

全ての関係者の人権が尊重されている教育の場としての学校・学級

自分の人権も他者の人権も守ろうとする 意識・意欲・態度 【人権感覚が健全にはたらいて、正しい知識がむすびついたとき】

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西宮市同和教育基本方針 昭和 46 年(1971 年)

同和教育は、人間教育の原点であり、民主教育の根幹である。したがって、「西宮の教育

は、同和教育に始まって同和教育に終わる。」という認識のうえに、すべての教育施設、

すべての家庭、すべての地域社会において、同和教育の推進に努める。

人権教育地区別研修会

昭和 45 年頃から、「同和教育地区別研修会」として教員の自主的な研修会からスタートし

た。以降 50 年近く、「一人ひとりの子供を輝かせる」という同和教育の追い求めてきた原

点を変えることなく、取組みを積み重ねている。現在は7つの地区に分かれて公開授業や

研修会等を実施している。学校外での研修の中心的な場になり、西宮市の学校人権・同和

教育の質的向上に大きな役割を果たしている。

【ねらい】

指導者の同和問題に対する認識を深めて指導力の向上を図り、生活上の具体的な人権

問題を解決する実践力を育てることや、部落差別をはじめとする人権課題解消にむけ

た指導を計画的・系統的に行うことを重点に、教職員の自主的な研修会として実施す

る。

22,413 25,411

28,575 28,511

27,013 29,198

34,335 40,755 3,868 4,383 4,895 5,496 6,171

7,897 9,612

10,371

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

H18 H19 H20 H22 H24 H26 H28 H30(平成 30 年度「外国人児童生徒等の教育の現状と課題」文部科学省をもとに作成)

〔西宮の状況〕

H26 H27 H28 H29 H30 R119 28 28 25 34 43

○日本語指導が必要な児童生徒の増加 (単位:人)

日本語指導が必要な 日本国籍児童が 10,000人突破

外国人児童生徒も40,000 人に

⇒今後も増加傾向の見込み

○日本語指導を必要とする帰国・外国人幼児児童生徒の支援体制

外国につながりをもつ子供たちの理解

「特別の教育課程」の実施・・・・・・・・・・・・・・校内での取り出し授業を実施

子ども多文化共生サポーター(県)・・・・・・帰国入国1年を上限に派遣

多言語相談員(県)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・懇談や面談時に派遣

生活・学習相談員(市)・・・・・・・・・・・・・・・・・配置可能な時間内で支援員を配置

日本語教室(市)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・週1回、日本語指導員を派遣して実施

【※いずれも申請等の書類が必要です】

西宮市人権教育共通教材指導系統表(EduNet 「いずみ」) 「在日外国人教育の推進について 全6集」(H9~H14 発行) 「外国につながりを持つ子どもたちとともに ~在日外国人教育に取り組むみなさんへ~」

(H24 発行) 「すべての子供に 温かな居場所を

~気付いてください 身近にいるセクシュアルマイノリティの子供たち~」(H26 発行) 「帰国・出国・入国される保護者の皆さんへ」(EduNet 「いずみ」) 「西宮の国際教育 第5集」(H30 発行) 「帰国・外国人児童生徒受入に伴う 学級担任ハンドブック」(H24 発行)

○参考資料等

(日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査より)

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<関連資料等>

○体つくり運動の充実

みやっ子トライ! 体育の授業をはじめとする

学校の教育計画の中で、「運

動プログラム」や「独自の準

備運動」等を活用した「体力

づくり」を「体力向上実施

校」で推進しその成果を市

内に発信する。

取組み例 成果

器具を活用した

運動の充実

休み時間に器具を活用し外遊び

を行う児童が増加した。

計画的にサーキ

ットを実施

短距離走・長距離走ともに記録

の伸長が図られた。

オリジナル体操 体を動かす習慣づけができた。

記録の可視化

(タイムなど)

記録の伸長を意識し、主体的に

取り組む生徒が増加した。

体育指導においては、心と体を一体としてとら

え、運動や健康・安全についての理解と、多様な

運動遊びや運動を通して、生涯にわたって運動に

親しむ資質や能力を育てるとともに、健康の保持

増進や体力の向上を図ることを大切にする。子供

が運動に親しむために、体つくり運動を基盤とし

た体育指導を行い、体を動かす機会の充実と運動

をする習慣づくりなどに取り組む。 <具体的方策>

・教育活動において幅広く、遊び・体育・スポー

ツ活動を位置付け、発達段階に応じて体を動か

す「楽しさ」や「心地よさ」を味わわせる。 ・子供の能力や適性、興味・関心、地域の実態や

校種のつながりを意識した年間指導計画を作成

し、指導の工夫・改善を図る。 ・新体力テストの結果等を活用し、自己の体力や

運動能力の状況を把握させ、主体的に体力向上

を図る態度を育成する。 ・体つくり運動を充実させ、体力向上に向けた運

動を継続的に授業で取り組む。

(15)体力・運動能力の向上 2 「生きる力」をはぐくむ

取組みの重点

運動をすることの楽しさや心地よさを味わわせ、豊かなスポーツライフにつながる学習を展開する

みやっ子運動ひろば

決められた種目の中で運

動ひろばへの参加を通し

て仲間づくり・体力向上・

運動能力の向上を図る。

○みやっ子体力向上事業

http://jupiter.edu.nishi.or.jp/edumin/EduNet

津門体操(津門小学校)

■健やかな心身の育成 ・幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。

(教育基本法第2条第1項より)

■子供の実態 ・運動する子供とそうでない子供の二極化傾向が

見られる。

・子供の体力について、低下傾向には歯止めが掛

かっているものの、体力水準が高かった昭和 60

年頃と比較すると、依然として低い状況が見ら

れる。

■体育科、保健体育科の役割 ・生涯にわたって運動に親しむこと、健康の保

持増進及び体力の向上についての(~中略~)

現在及び将来の生活を健康で活力に満ちた楽

しく明るいものにすることが大切である。

(平成 29 年 7 月 学習指導要領解説体育編・保

健体育編目標の改善より)

■体つくり運動の充実 子供が、体力を高めるための運動の行い方について理解し、自己に応じた体力づく

りを行うため、発達段階に応じた系統的な指導による運動能力の向上が大切。

【体つくり運動】体を動かす楽しさや心地よさを味わい運動好きになるとともに、心

と体との関係に気付いたり、仲間と交流したりすることや、様々な基本的な体の動

きを身につけたり、体の動きを高めたりして、体力を高めるために行われる運動。

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〇新体力テスト:全国平均値を 50 点とした場合の西宮市立小・中学校の値(R元年度 新体力テストより)

○本市児童生徒の体力・運動能力の昭和 60 年頃との比較

別 項目

兵庫県の

平均値 西宮市の平均値

昭和60年頃を

100とした指数(%)

昭和60年頃と比較すると、中学校男子の50m走の記録が、同程度である。 一方、小学校では握力とボール投げについて、中学校男子では握力、中学校女子ではボール投げの記録が大きく下回る傾向が続いている。 ◎:指数が同程度の項目 ▼:指数が 90%以下の項目

S60年頃 H15 H20 H25 R1 R1

握力 18.4 16.8 16.4 15.54 15.17 ▼ 82.4

50m走 9.1 9.26 9.20 9.23 9.29 97.9

ソフトボール投げ 29.4 27.0 26.3 23.92 22.32 ▼ 75.9

握力 17.1 16.5 16.1 15.08 14.80 ▼ 86.5

50m走 9.3 9.51 9.52 9.61 9.64 96.3

ソフトボール投げ 17.4 14.9 14.6 13.62 12.81 ▼ 73.6

握力 31.5 31.0 35.2 28.06 26.92 ▼ 85.5

50m走 7.9 7.82 7.51 7.95 7.96 ◎ 99.2

持久走 371.3 384.3 370.0 375.93 382.98 96.9

ハンドボール投げ 22.3 21.4 24.1 20.98 20.41 91.5

握力 25.3 23.8 23.8 23.5 23.11 91.3

50m走 8.6 8.77 8.67 8.73 8.71 98.7

持久走 274.2 281.9 279.4 278.35 283.65 96.6

ハンドボール投げ 15.4 13.5 13.9 12.88 12.67 ▼ 82.3

小学校5年男子 握力・長座体前屈・反復横とび・立ち幅とびに課題が見られます。筋力、柔軟性、敏捷性、筋パワー、跳躍能力の向上が求められます。

小学校5年女子 50m走・20mシャトルラン以外に課題が見られます。筋

力、筋持久力、柔軟性、敏捷性、筋パワー、跳躍能力、

巧緻性、投球能力の向上が求められます。

中学校2年男子 握力に課題が見られます。筋力の向上が求められます。

中学校2年女子 握力に課題が見られます。筋力の向上が求められます。

筋 力:大きな力を出す能力 筋持久力:筋力を持続する能力 柔 軟 性:大きく関節を動かす能力 敏 捷 性:素早く動作を繰り返す能力 筋パワー:素早い動きの中で強い力を発揮する能力 巧 緻 性:運動を調整する能力

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朝食欠食や孤食、栄養の偏りや不規則な食事

等による生活習慣病の増加等、健康と食に係る

課題は、子供たちの生涯にわたって関係するこ

とである。そのため、「食」に関する正しい知識

と、「食」を自らが選択し、望ましい食習慣を身

につけていくことが大切である。学校給食につ

いては、今後も食物アレルギー対応等を適切に

行い、「食」の安全を確立する必要がある。 新学習指導要領において、学校における食育

がこれまで以上に明確に位置付けられ、学校教

育活動全体を通じて組織的・計画的に推進を図

ることが求められている。「食に関する指導の年

間計画」に基づき、教育活動全体を通して、健

康・安全で活力ある生活を送るための基礎が培

われるよう配慮しながら、「食」に関する資質・

能力を育成していく。また、児童生徒がその発

達段階に応じて食生活に対する正しい理解と望

ましい食習慣を身につけることができるよう、

学校給食を「生きた教材」として指導に活用し

ていく。 <具体的方策>

・「食に関する指導の年間計画」を作成し、教育

活動全体を通じて食育に取り組む。 ・「食」に関する体験活動・調理実習等を行い、

技能を養うとともに、生産者へ思いを馳せる

ようにする。 ・安全・安心な学校給食の実施に努めるととも

に、学校における食育の「生きた教材」とな

るよう献立内容の充実及び地場産物の活用

に取り組む。 ・「学校給食献立作成・アレルゲン管理システム」

の安定的な運用により、ヒューマンエラーに

よる誤食の未然防止に努める。 ・「宮っ子給食♡食育フェア」を実施し、西宮市

における学校給食、食育の情報発信および啓

発の場とする。

<関連資料等>

○食に関する指導の目標(平成 31 年 3 月「食に関する指導の手引き-第二次改訂版-」文部科学省より)

○宮っ子給食♡食育フェア

(16) 2 「生きる力」をはぐくむ

取組みの重点

「食」に関する知識と選択する力を習得し、健全な食生活を実践できる力を育む

<知識・技能> 食事の重要性や栄養バランス、食文化等についての理解を図り、健康で健全な食生活に関する知識

や技能を身につけるようにする。 <思考力・判断力・表現力等> 食生活や食の選択について、正しい知識・情報に基づき、自ら管理したり判断したりできる能力を

養う。 <学びに向かう力・人間性等> 主体的に、自他の健康な食生活を実現しようとし、食や食文化、食料の生産等に関わる人々に対し

て感謝する心を育み、食事のマナーや食事を通じた人間関係形成能力を養う。

令和元年度は、「もっと知ろう!宮っ子給食」をメインテーマとし、和食と給食を通して国際理解を深めることを目的に、パネル展示、クイズ・体験コーナーなどを行った。

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