12
2005.4 本解説書は        の特長と その応用例について解説します。 の名前の由来 ® ® 結晶粒が細かく、磁気特性が優れているこ とから、“fine(きめ細かい、優れている)” と、“metal (金属)”というふたつの単語を 組み合わせて名づけました。 ◎「ファインメット ® 」は日立金属の登録商標です。 ◎「Metglas ® 」はMetglas,Inc.の登録商標です。

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2005.4

本解説書は        の特長と その応用例について解説します。

の名前の由来 ®

®

結晶粒が細かく、磁気特性が優れているこ

とから、“fine(きめ細かい、 優れている)”

と、“metal(金属)”というふたつの単語を

組み合わせて名づけました。

◎「ファインメット ®」は日立金属の登録商標です。

◎「Metglas ®」はMetglas,Inc.の登録商標です。

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本解説書に記載されたデータは保証値ではありません。本解説書に記載された製品についての詳細なカタログ、仕様書を用意しております。 ご使用に際しましては、製品カタログ、仕様書の内容を十分ご確認ください。

飽和磁束密度 Bs(T)

103

104

105

106

0.50.0 1.0 1.5 2.0 2.5

比透磁率μr

従来の 特性材の限界

2

1)飽和磁束密度と透磁率の双方が高い 飽和磁束密度はFe(鉄)基アモルファスと同等で、かつ透磁率はCo(コバルト)基アモルファスと同等です。

2)コアロスが少ない コアロスはFe基アモルファスの1/5以下、かつCo基アモルファスと同等の値のため、省エネルギー化できます。

3)磁歪が低い 磁歪が低いため、加工時の応力による特性の劣化が少なく、可聴周波成分が入力されたときの騒音も小さくできます。

4)温度特性が良好で、かつ経時変化が少ない 温度変化による透磁率の変化量は、-40℃~150℃の範囲で±10%以内となっています。 経時変化も少なく、 Co基アモルファスのような実用上問題となる透磁率低下もありません(ご参照:P11 比透磁率の経時変化グラフ)。

5)高周波特性が良好 透磁率とコアロスは、ともに広い周波数帯域において、 Co基アモルファスと同等の特性を有しています。また、薄帯のため高抵抗であり、低コアロスとなっています。

6)B-H曲線の形状制御が可能 B-H曲線の形状・角形比は、熱処理によって高・中・低と制御できます。使用目的や、用途に合わせて選択が可能です。

Co基アモルファス

Fe基アモルファス

パーマロイ

ケイ素鋼

Fe-Al-Si

Mn-Znフェライト

Co基アモルファス

Fe基アモルファス

パーマロイ

f=1 kHz

ケイ素鋼

【B-H曲線の例(直流)】

【軟磁性材料の比透磁率と飽和磁束密度の関係】

H

B(T)

Mタイプ (FT-3M)

Hmax=800 A/m

Hmax=8 A/m

0

1.0

H

B(T)

Lタイプ (FT-3L)

Hmax=800 A/m

Hmax=8 A/m

0

1.0

B(T)

H

Hmax=800 A/m

Hmax=8 A/m1.0

0

Hタイプ (FT-3H)

Fe-Al-Si

Mn-Znフェライト

®とは

飽和磁束密度と比透磁率が高く、コアロスが少ない ナノ結晶 Fe(鉄)基軟磁性材料         が生み出した、 日立金属オリジナルのナノ結晶軟磁性材料 ®は、 電気・電子・情報通信機器の省エネ化、 小型軽量化、 低ノイズ化の実現に貢献します。

従来材の特性を超える ® ®の特長

®のB-H曲線の形状制御

の主な貢献内容

®の特長

リボンを巻いて構成した閉磁路コアに磁路方向の直流磁界を印加して熱処理すればHタイプ、磁界を印加せずに熱処理すればMタイプ、磁路と垂直方向の直流磁界を印加すればLタイプとなります。

H、M、Lは熱処理とそれに基づくB-H曲線の角形性を示しています。

材料技術および応用技術

®の透過型電子顕微鏡写真 結晶の微細化により磁気特性はアモルファスのときに比

べて大幅に向上します。 従来、結晶質磁性材料では、結

晶組織が細かいほど軟磁気特性は悪くなるとされてきまし

たが、日立金属オリジナルの ®が、この常識

をくつがえしました。

ファインメット®の素材は、Feを主成分にして、これにSi

(シリコン)とB(ボロン)および微量のCu(銅)とNb(ニオブ)

を添加した独自組成の高温融液を約100万℃/秒で急冷

固化したアモルファス(非晶質)薄帯です。 この素材を結

晶化温度以上で熱処理し、 結晶粒径をこれまで実現でき

なかった10nm(nm:ナノメータ、1nm=0.001μm=百万分

の1mm)程度まで小さくしています。

® 

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本解説書に記載されたデータは保証値ではありません。本解説書に記載された製品についての詳細なカタログ、仕様書を用意しております。 ご使用に際しましては、製品カタログ、仕様書の内容を十分ご確認ください。

日立金属は、パーマロイ、アモルファス、そして ®などの金属軟磁性材料から、フェライトにいたる幅広い軟磁性材

料について、組成分析から製造や加工、評価、回路設計まで豊富な技術を蓄積しています。 また、 薄帯を始めとする素材の

質的・量的革新を進めると同時に、特長ある応用品を開発しています。 そして、「素材に立脚した応用」と「応用に立脚した素

材」の両面から、省エネ、小型軽量化、高機能化を追求します。

3

高飽和磁束密度

良好な温度特性 低コアロス

高透磁率 高角形比 低磁歪

Co基アモルファス

Fe基アモルファス

パーマロイ

ケイ素鋼

Fe-Al-Si

Mn-Znフェライト

省エネ化  小型・軽量化  高機能化  低ノイズ化  高周波化

磁気増幅器 磁気パルス圧縮回路 サージアブソーバ 可飽和リアクトル 高電圧パルストランス

EMIフィルタ コモンモードチョーク 磁気シールド 電磁波吸収素子 電流センサー 磁気センサー

高周波パワートランス アクティブ・フィルタ 平滑チョークコイル

加速空洞

超急冷 技術

ナノ構造 制御技術

熱処理 技術

評価技術

磁気回路 設計技術

電気・ 電子回路 設計技術

®の主な貢献内容

®の特長の特長 ®の特長

材料技術および応用技術材料技術および応用技術 材料技術および応用技術

®の透過型電子顕微鏡写真の透過型電子顕微鏡写真 ®の透過型電子顕微鏡写真 ファインメット

®を構成する材料技術と応用分野

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1.23 1.20 0.50 0.48 2.5 2.7 3,500 7.5 570 ~0 1.2

7.3×103

EMIフィルタ用 コモンモードチョーク

飽和磁束密度Bs*(T) 角形比Br/Bs* 保磁力Hc*(A/m) パルス透磁率μrp** コアロスPcv**(J/m3) キュリー温度Tc(℃) 飽和磁歪定数λs(×10-6) 抵抗率ρ(μΩ・m) 密度d(kg/m3)

20℃ 100℃ 20℃ 100℃ 20℃ 100℃

*:最大磁化力800A/m時の 直流磁気特性 **:パルス幅0.1μs、 動作磁束密度量      ΔB=0.2T

FT-3M材料名

Co基アモルファス 0.60 0.53 0.80 0.78 0.30 0.29 4,500 6.0 210 ~0 1.3

7.7×103

Ni-Znフェライト 0.38 0.29 0.71 0.60 30 20 500 7.0 200 -7.8 1×1012 5.2×103

EMI:電磁干渉 (ElectroMagnetic Interference)

高比透磁率、高飽和磁束密度、低コアロスの特長を活かした応用事例をご紹介します。

高比透磁率を活かした小型化

従来材の2倍の高飽和磁束密度で高Vt積サージに対応

®の応用事例

®コアのインピーダンス比透磁率μrzは、Mn-Znフェライトコアのμrzに比べて広い周波数帯域で大きな値を示すとともに、 温度による変化も極めて小さくなっています。 このためEMIフィルタ用コモンモードチョークに、

®コアを適用すると、自己発熱による温度上昇を含めた使用温度範囲を0℃~100℃とした場合、 Mn-Znフェライトコアに比べて、 同一性能で約1/2程度の体積まで小型化が図れます。 また、 ®コアの飽和磁束密度Bsは、Mn-Znフェライトコアの約3倍あるため、 パルス性のノイズに対し飽和しにくいという特長もあります。

®ビーズには、ナノ結晶軟磁性材料 ®(FT-3M)材を使用しています。 このため、 ®ビーズは、 表に示すように、 従来材であるCo基アモルファスやNi-Znフェライトの2倍以上の飽和磁束密度があり、 Co基アモルファスと同等の低コアロス、高パルス透磁率を有しています。キュリー温度が570℃と高いため、 高温での動作にも優れています。 ダイオードのリバースリカバリ電流のようなサージ電流およびリンギングの抑制用可飽和コアとして好適です。

【 ®ビーズ(FT-3M)と従来材の比較】

®ビーズ

Mn-Znフェライトのμrz

103

104

105

100 101 102 103 104

周波数(kHz)

102

(FT-1M)のμrz

【インピーダンス比透磁率の比較】

インピーダンス比透磁率μrz

140℃ 100℃ 60℃ 20℃ 0℃

-20℃ -40℃

140℃ 100℃ 60℃ 20℃ 0℃

-20℃ -40℃

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10-3

10-2

10-1

100

101

102

10-2 10-1 100

磁束密度 Bm (T)

コアロス Pcm(W/kg)

Fe基アモルファス

Mn-Znフェライト

3%ケイ素鋼板(t=0.05mm)

6.5%ケイ素鋼板(t=0.05mm)

(FT-3M)

®(FT-3M)カットコアのコアロス(10kHz,Bm=0.2T)は、 Fe基アモルファスカットコアやMn-Znフェライトカットコアの1/5以下、ケイ素鋼薄板(0.05mm)カットコアの1/10以下となっています。 このため、 高周波インバータ用高周波パワートランスのコアに

®を適用すると、大幅な低ロス化と小型化ができます。また、飽和磁歪定数が10-7オーダーであるため、可聴周波数成分を含む高周波で駆動した場合にも、 Fe基アモルファスカットコアで問題となるような大きな騒音は生じません。

高周波パワートランス

10kHz 40kVA 高周波パワートランス

【磁気パルス圧縮回路用可飽和コアに適用した場合の比較】

【カットコアの10kHzにおけるコアロス比較】

パルスパワー用コア

PETフィルム

2.04

1680

~1.3

40

0.74

1.75

PETフィルム

0.78

180

~1

8

3.95

1.0

0.65

70

~3

160

16.8

1.66

セラミック

1.54

710

~1

8

1

1

低コアロスによる小型化

小型化とコアロスの低減

®コアの層間絶縁は、高耐圧セラミックコーティングを施しています。この適用先として、エキシマレーザや加速器などで使用される高電圧パルスパワー電源の磁気パルス圧縮回路用可飽和コアや昇圧パルストランス用コア、あるいは線形誘導加速器やRF加速器の加速空洞用コアがあります。Fe基アモルファスコアと同等の小型化、Co基アモルファスコアと同等のトータルコアロス化が可能です。

(T)

(J/m3)

(A/m)

層間絶縁材

実効動作磁束密度K・ΔBm

パルス半周期のコアロスPc

飽和領域の比透磁率μr(sat)

リセット磁化力H(reset)

可飽和リアクトル体積比

可飽和リアクトルの トータルコアロス比

コア材質 (FT-3H)

Fe基 アモルファス

Co基 アモルファス

Ni-Zn フェライト

K:コアの占積率、 ΔBm:最大動作磁束密度

パルス幅圧縮比=5.0 (入力パルス幅0.5μs、出力パルス幅0.1μs)

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®の製造方法とミクロ組織

Cuに富む領域 (Cuクラスタ)

アモルファス

fcc Cu bcc Fe-(Si)

残存アモルファス相 (Nb、Bに富む領域)

結晶化

適正熱処理条件 結晶化初期 熱処理初期

板厚:~18μm 結晶粒径:~10nm

溶解→超急冷

急冷後の アモルファス

巻磁心

コア

アモルファス 金属薄帯

加工(成形) ナノ結晶化

t

fcc Cu bcc Fe-(Si)

アモルファス相 (Nb、Bに富む領域) (高Tx)

アモルファス

®の製造方法

®の結晶化の模式図

®の製造方法、ナノ結晶化のプロセス、熱処理パターンの概要をご紹介します。

アモルファスを出発点として、アモルファス→Cuに富む領域形成→Cu相界面からbccFe相結晶化→bcc Fe(-Si)相形成と結晶化が進行します。同時に、bcc Fe(-Si)相の周囲にNbとBに富む高い結晶化温度(高Tx)のアモルファス相が残存し、アモルファス相が安定化され、

結晶粒の成長が抑制されます。 このように、Cuによる結晶相の核生成効果とNbによるbcc結晶粒成長抑制効果の相乗効果によって均一微細なナノ結晶粒組織が実現されます。

®用のアモルファス薄帯の製造法と、典型的な ®コアの製造方法を示します。素材のアモルファス薄帯は、単ロール法と呼ばれる超急冷法で溶湯を急速凝固させて製造します。このため、素材は平均18μmと極薄です。

巻磁心の製造は、薄帯を所定形状に巻き回して成形したあと、熱処理によってナノ結晶組織とします。これにより初めて ®固有の磁気特性が得られます。

熱処理

Fe(鉄)を主成分に、これにSi(シリコン)とB(ボロン) および微量のCu(銅)とNb(ニオブ)を添加した高温融液を約100万℃/sで急冷固化します。

単ロール法

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7

20nm

【Mタイプ用の熱処理パターン例】

熱処理条件

500~570℃

空冷 または 炉冷

1~2h 0.5~3h

不活性ガス N2(窒素)または Ar(アルゴン)雰囲気中

時間

室温

温度

100~ 200℃

Mタイプ用の典型的な熱処理条件を示します。 磁気特性に応じて最適な条件を選択します。

®のミクロ組織 透過電子顕微鏡によるミクロ組織写真を示します。 約10nmの均一で超微細な結晶粒組織が特徴です。主相はbcc Fe(-Si)相で、結晶粒の周囲にアモルファス相が残存しています。

【 ®のミクロ組織】

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®(熱処理済)の2材質の物性を示します。抵抗率はFe基アモルファスと同等ですが、磁歪が一桁低く、キュリー温度が570℃と高いことが特徴です。 FT-3はFT-1の飽和磁歪定数を改良した材質で、飽和磁正定数が10-7オーダーとなっています。

従来の結晶質軟磁性材料の粒径Dは、1μmよりもはるかに大きく、Dが小さくなるほど軟磁気特性が劣化、Hcは増加することが知られています。このため、熱処理でDを大きく成長させ、軟磁気特性を改善してきました。Dをナノオーダーとする

®の開発により、従来とは異なる性質が明らかとなり、軟磁気特性の更なる改善が実現しました。Dの従来領域では、HcはDの逆数に比例、ナノオーダー領域では2から6乗に比例し、逆の依存性となります。

標準磁気特性

物理的特性

密度

(×103kg/m3)

7.4

7.3

材料名 抵抗率

(μΩ・m)

1.1

1.2

飽和磁歪定数

(10-6)

+2.3

-~0

キュリー温度

(℃)

~570

~570

【材料の物理的特性】

FT-1

FT-3

注1)Bs、Br / Bs、Hc : 直流磁気特性(Hm=800A/m, 25℃)、 μr(1kHz) : 比透磁率(1kHz, Hm=0.05A/m, 25℃)、   μr(100kHz) : 比透磁率(100kHz, Hm=0.05A/m, 25℃)、 Pcv: コアロス(100kHz, Bm=0.2T, 25℃)、 λs: 飽和磁歪定数、 Tc : キュリー温度 注2)上記特性は、 当社での測定による

材  料

FT-1H

FT-1M

FT-3H

FT-3M

FT-3L

Fe基アモルファス

Co基アモルファス高透磁率材

Co基アモルファス高角形比材

3%Siケイ素鋼

6.5%Siケイ素鋼

50%Niパーマロイ

80%Niパーマロイ高透磁率材

80%Niパーマロイ高角形比材

Mn-Znフェライト高透磁率材

Mn-Znフェライト低損失材

板厚 (μm)

18

18

25

18

18

50

50

25

25

25

Bs (T)

1.35

1.35

1.23

1.23

1.23

1.56

0.55

0.60

1.90

1.30

1.50

0.74

0.74

0.44

0.49

λs (x10-6)

+ 2.3

-~0

+ 27

-~0

-~0

- 0.8

- 0.1

+ 25

-~0

-~0

- 0.6

- 0.6

~570

~570

415

180

210

750

700

500

460

460

>150

>200

ファインメット

従来結晶材料 ケイ素鋼 パーマロイ Fe-Al-Si

ナノ結晶軟磁性材料

D-1D2~6

D=5~30nm D>1μm

100 101 102 103 104 105 106

結晶粒径 D (nm)

10-1

100

101

102

103

104

105

106

107

保磁力 Hc (A/m)

軟磁性材料の結晶粒径と保磁力

【 ®と従来材の磁気特性(ノーカット・トロイダルコア)】

【結晶粒径Dと保磁力Hcの関係】

®

Br/Bs (%)

Hc (A/m)

μr(1kHz) (x103)

μr(100kHz) (x103)

Pcv (kW/m3)

Tc (℃)

90

60

89

50

5

83

5

85

85

63

95

55

80

23

29

0.8

1.3

0.6

2.5

0.6

2.4

0.3

0.3

6.0

45.0

12.0

0.5

2.4

8.0

12.0

5.0

70.0

30.0

70.0

50.0

5.0

115.0

30.0

2.7

1.2

50.0

5.3

2.4

1.5

15.0

5.0

15.0

16.0

5.0

18.0

10.0

0.8

0.8

5.0

5.3

2.4

950

350

600

300

250

2200

280

460

8400

5800

3400

1000

1200

1200

680

* FT-1、FT-3は材質(化学組成)を示しています。

■ 基本特性 ■ 基本特性

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比透磁率の周波数特性

比透磁率の周波数特性 (エポキシ樹脂含浸後)

インピーダンス比透磁率 および複素比透磁率

中角形比高透磁率材FT-3M、Co基アモルファス、Fe基アモルファスおよびMn-Znフェライトの比透磁率の周波数特性比較を示します。 FT-3Mは、広帯域でFe基アモルファスやMn-Znフェライトを凌ぎ、Co基アモルファスと同等の高い比透磁率を示します。

エポキシ樹脂含浸したFT-3M、 1Mの比透磁率の周波数特性を示します。FT-3Mは、磁歪が低く硬い(変形し難い)ことから含浸しても比透磁率が高く、かつ広い帯域で安定しています。 注)エポキシ樹脂の種類、含浸条件により異なる場合があります。

FT-1Mのインピーダンス比透磁率 μrzおよび複素比透磁率の実数部 μr’と虚数部μr”の周波数特性を示します。50kHz付近でμr”はμr’よりも大きくなります。 μrzとμr’、 μr”には、次のような関係があります。

μrz、μ

r’、μ

r”

μrz=  μr’2 +μr”

2

■ 周波数特性 ■ 周波数特性 ®の特性

100 101 102102

102

103

104

105

103 104

周波数(kHz)

比透磁率μr

100 101 102 103 104

周波数(kHz)

103

104

105

比透磁率μr

103

102

104

105

100 101 102 103 104

周波数(kHz)

複素比透磁率の虚数部μr”

複素比透磁率の実数部μr’

インピーダンス比透磁率μrz

Co基アモルファス

Fe基アモルファス

Mn-Znフェライト

Co基アモルファス FT-1M

Fe基アモルファス

FT-3M

FT-3M

Co基アモルファス FT-3M

FT-1M

Fe基アモルファス

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■ コアロス特性 ■ コアロス特性

コアロスの周波数特性 (エポキシ樹脂含浸後)

コアロスの周波数特性 (エポキシ樹脂含浸前)

コアロスのBm依存性

101101

102

103

104

103102

コアロス Pcv (kW/m3 )

エポキシ樹脂含浸したFT-3M、1Mのコアロスの周波数特性を示します。 FT-3Mは、含浸してもコアロスはフェライトより低く、Co基アモルファスと同等で、かつ広い周波数帯域で安定しています。 注)エポキシ樹脂の種類、含浸条件に より異なる場合があります。

エポキシ樹脂含浸前のFT-1M、FT-3M、Fe基アモルファス、Co基アモルファス、およびMn-Znフェライトのコアロスの周波数特性を示します。FT-1MおよびFT-3Mは、Mn-ZnフェライトやFe基アモルファスよりも低コアロスで、Co基アモルファスと同等です。

図16 コアロスの周波数特性【含浸後】

101101

102

102

103

104

103

コアロス Pcv (kW/m3 )

Bm = 0.2T

Bm = 0.2T

FT-3H、FT-3MおよびFT-3Lの20kHzのコアロスのBm依存性を示します。FT-3MとFT-3Lが、ほぼ同程度にコアロスが小さくなっています。これに対し、高角形のFT-3Hは、低Bm側でこれらよりも大きなコアロスになっていますが、Bmが大きくなるにつれて、その差が小さくなります。

100

101

102

103

コアロス Pcv (kW/m3 )

0.05 0.1 1.0

Bm(T)

周波数(kHz)

周波数(kHz)

Fe基アモルファス

Mn-Znフェライト

Co基アモルファス

FT-3M

FT-1M

Fe基アモルファス

Mn-Znフェライト

FT-1M

FT-3H

FT-3M FT-3L

FT-3M

Co基アモルファス

f=20kHz

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本解説書に記載されたデータは保証値ではありません。本解説書に記載された製品についての詳細なカタログ、仕様書を用意しております。 ご使用に際しましては、製品カタログ、仕様書の内容を十分ご確認ください。 11

0 20 40 60 80 100 120 140 1600

2

4

6

8

10

■ 温度依存性 ■ 温度依存性

飽和磁束密度の温度依存性

比透磁率の温度依存性

比透磁率の経時変化

FT-1とFT-3の飽和磁束密度Bsの温度依存性を示します。 FT-1、FT-3ともBsの温度依存性は非常に小さく、例えば温度が25℃から150℃に上昇しても、Bsの低下率は10%以下となっています。 注)このデータは、FT-3、FT-1ともに、熱処理(結晶化)済材料の値を示します。 Bsの値は、 Hタイプ、 Mタイプ、 Lタイプで同じため、BHタイプを記載せず、FT-3、FT-1という表記としています。

1.2

1.3

1.4

1.5

飽和磁束密度 Bs(T)

0 20 40 60 80 100 120 140 160

温度(℃)

1.1

FT-1Mの10kHzにおける比透磁率の温度依存性を示します。 温度依存性が小さく、例えば、比透磁率の変化率は、0℃から150℃の範囲で、25℃の比透磁率に対し、 ±10%よりも小さな値となっています。

温度(℃)

比透磁率 μr(×104 )

FT-1M

FT-1Mを100℃の高温に放置したときの比透磁率(f=1kHz)の経時安定性を示します。 FT-1Mの比透磁率は、時間が経過しても、Co基アモルファスのように低下することなく、ほとんど一定の値を示します。

0

0

2

4

6

8

10

12

比透磁率 μr(×104 )

101 102 103 104

時間(h)

Co基アモルファス

FT-1

FT-3

FT-1M

100℃高温放置

f=10 kHz

f=1kHz

®の特性

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重要なお知らせ

2007年3月作成 HL-FM9-D(PDF) カタログ番号

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